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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】インターロイキン37発現促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/61 20060101AFI20240417BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240417BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240417BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 36/88 20060101ALI20240417BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20240417BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240417BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240417BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240417BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20240417BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20240417BHJP
   A61K 127/00 20060101ALN20240417BHJP
   A61K 131/00 20060101ALN20240417BHJP
【FI】
A61K36/61
A23L33/105
A61K8/9789
A61K36/185
A61K36/88
A61P17/16
A61P29/00
A61P43/00 111
A61Q19/00
A61Q19/02
A23L2/00 F
A23L2/52 ZNA
A61K127:00
A61K131:00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020006712
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2021113173
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 知大
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 千奈
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0056268(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0121352(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0057753(KR,A)
【文献】特開平07-188045(JP,A)
【文献】特開2000-069938(JP,A)
【文献】特開2006-062991(JP,A)
【文献】特開2012-097008(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101450127(CN,A)
【文献】野嶋 潤,パイナップルセラミド『パインセラ』の美肌効果,FOOD Style 21,2013年03月01日,第17巻,第3号,p.93-95
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/61
A61P 43/00
A61K 36/88
A61K 36/185
A61P 29/00
A61P 17/16
A61K 8/9789
A61Q 19/00
A61Q 19/02
A23L 33/105
A23L 2/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グァバ葉、パイナップル果実及びパパイヤ果実を含有することを特徴とするインターロイキン37(IL-37)発現促進剤。
【請求項2】
請求項1記載のIL-37発現促進剤を含有するIL-37発現促進用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グァバ葉を含有することを特徴とするインターロイキン37発現促進剤、抗炎症剤、美白剤に関する。さらに詳しくは、グァバ葉、パイナップル果実及びパパイヤ果実を含有することを特徴とするインターロイキン37発現促進剤、抗炎症剤、美白剤に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン37(IL-37)は、サイトカインのインターロイキン1(IL-1)ファミリーのメンバーであり、炎症抑制作用(抗炎症作用)を有している。IL-37には、細菌感染や紫外線などの外部刺激により誘発される炎症性サイトカインなどにより引き起こされる炎症を抑制する働きがあり、炎症に対する広範な防御的役割を担っている。
【0003】
炎症は、細菌感染や紫外線などの外部刺激で誘発される生体防御反応のひとつである。しかし、この炎症が過剰になると、組織や細胞を損傷させ、正常な生体反応を維持できない場合もある。炎症が生体を損傷させる疾病として、アレルギー疾患、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患などが知られている。つまり、外部刺激への対応として炎症反応は必要不可欠であるが、抗炎症作用により炎症が過剰にならないようにコントロールすることで、疾病などから生体を守ることができる。
【0004】
美白は、色素沈着が少なく、白くて明るい皮膚の色のことを指す。この美白においても炎症が大きく関与している。紫外線暴露でケラチノサイト(表皮細胞)から産生される炎症性サイトカイン(IL-1など)がメラノサイト(色素細胞)を刺激し、メラニンが過剰に産生される。この過剰に産生されたメラニンが色素沈着の原因であり、その繰り返しによってシミやそばかすが生じる。シミやそばかすのない、白くて明るい皮膚の色を保つには、紫外線で誘発される炎症を抑えることが非常に重要となる。
【0005】
IL-37に関連する技術情報として、IL-37のバリアントを含むポリペプチド、並びに関連する治療法及び組成物(特許文献1)が、抗炎症性ポリペプチドを提供する技術として知られているが、グァバ葉は記載されておらず、また、文献中に美白を想到させる記載は一切見当らない。また、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実を含有する美白剤(特許文献2、3、4)は提案されているものの、この3種を組み合わせた抗炎症剤や美白剤については全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-522547号公報
【文献】特許第3193441号
【文献】特許第5714869号
【文献】特開2006-62991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、グァバ葉を含有することを特徴とするIL-37発現促進剤、抗炎症剤、美白剤に関する。さらに詳しくは、グァバ葉、パイナップル果実及びパパイヤ果実を含有することを特徴とするIL-37発現促進剤、抗炎症剤、美白剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究した結果、グァバ葉がIL-37発現促進作用、抗炎症作用、美白作用を有することを見出した。さらに、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実を組み合わせることにより、IL-37発現促進作用、抗炎症作用、美白作用がさらに顕著に増加することを見出した。
【0009】
本発明のグァバ葉として、フトモモ科(Myrtaies)バンジロウ属(Psidium)に属するグァバ(Psidium guajava)の葉を用いることができる。
【0010】
本発明のパイナップル果実として、パイナップル科(Bromeliaceae)アナナス属(Ananas)に属するパイナップル(Ananas comosus)の果実を用いることができる。
【0011】
本発明のパパイヤ果実として、パパイヤ科(Caricaceae)パパイヤ属(Carica)に属するパパイヤ(Carica papaya)の果実を用いることができる。
【0012】
本発明に用いるグァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実は、必要に応じてそのままの状態、破砕物、圧搾物、乾燥物などを適宜選択することができる。また、微粒化処理、ロールプレス処理、摩砕処理、超高圧マイクロスチーム処理、通常工業的に用いられるその他機械的方法などで処理して用いてもよい。
【0013】
本発明に用いるグァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実は、必要に応じて抽出操作に付することができる。抽出溶媒として、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなど)、液状多価アルコール類(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテルなど)などを用いることができる。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いても良い。また、抽出方法としては、連続抽出、浸漬抽出などが挙げられ、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過、活性炭処理などによる脱色、脱臭などの処理をして用いてもよい。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥などの処理を行い、乾燥物として用いてもよい。
【0014】
本発明のグァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実は、いずれの処理物あるいは抽出物を用いてもよい。更に、グァバ葉は含水エタノール抽出物、パイナップル果実はエタノール抽出物、パパイヤ果実は乾燥破砕した粉末を用いることが好ましい。
【0015】
本発明に用いるグァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実の摂取量は、投与形態、使用目的、年齢、体重などによって異なる。グァバ葉含水エタノール抽出物として0.1~100mg/日、好ましくは0.5~20mg/日、より好ましくは1~10mg/日の範囲で1日1回から数回経口投与できる。パイナップル果実エタノール抽出物として1~1000mg/日、好ましくは10~100mg/日、より好ましくは20~50mg/日の範囲で1日1回から数回経口投与できる。パパイヤ果実粉末として0.1~100mg/日、好ましくは0.5~20mg/日、より好ましくは1~10mg/日の範囲で1日1回から数回経口投与できる。上記投与範囲より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要がある場合もある。また、製剤化における薬効成分の添加法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
【0016】
本発明のIL-37発現促進剤は、食品、医薬部外品又は医薬品のいずれにも用いることができる。その剤形は内服用であることが好ましく、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤などの剤形で用いることができる。また、皮膚外用剤、注射剤、座剤などとして用いることもできる。
【0017】
本発明のIL-37発現促進剤は、効果を損なわない範囲内で、必要に応じて通常の食品、医薬部外品又は医薬品に用いられる賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、崩壊剤、炭化水素類、脂肪酸類、ビタミン類、アルコール類、エステル類、pH調整剤、防腐剤、香料などの成分を含有することもできる。ビタミン類を含有することが好ましく、更にβ―カロテン(ビタミンA)、ビタミンC、ビタミンEを含有することが好ましく、特にβ―カロテンを1~2mg、ビタミンCを1000~2000mg、ビタミンEを10~20mgで含有することが好ましい。
【0018】
本発明における抗炎症剤は、生体で生じた過剰な炎症を抑制する剤である。美白には抗炎症作用による色素沈着抑制が重要であることから、本発明の抗炎症剤は美白剤として用いることができる。また、アレルギー疾患、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、などの炎症性疾患の症状の予防改善に用いることができる。
【0019】
本発明における美白剤は、紫外線などによるメラニン生成に起因する色素沈着を抑制、改善する剤であり、シミ、そばかすの予防改善に用いることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のグァバ葉を含有することを特徴とするIL-37発現促進剤は、IL-37発現促進作用、抗炎症作用、美白作用を有する。さらに、グァバ葉、パイナップル果実及びパパイヤ果実を含有することを特徴とするIL-37発現促進剤は、極めて優れたIL-37発現促進作用、抗炎症作用、美白作用を有する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施例は例示のために説明するものであり、本発明の特許請求の範囲はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。尚、実施例に示す含有量の%は重量%を示す。
【実施例1】
【0022】
製造例1 グァバ葉熱水抽出物
グァバ葉100gに、精製水2Lを加え、95~100℃で2時間抽出した後、濾液を濃縮、凍結乾燥して、グァバ葉熱水抽出物9.3gを得た。
【0023】
製造例2 グァバ葉30%エタノール抽出物
グァバ葉100gに、精製水1.4Lとエタノール0.6Lを加え、常温で5日間抽出した後、濾液を濃縮乾固して、グァバ葉30%エタノール抽出物5.7gを得た。
【0024】
製造例3 グァバ葉70%エタノール抽出物
グァバ葉100gに、精製水0.6Lとエタノール1.4Lを加え、常温で5日間抽出した後、濾液を濃縮乾固して、グァバ葉70%エタノール抽出物3.2gを得た。
【0025】
製造例4 パイナップル熱水抽出物
パイナップル果実100gに、精製水2Lを加え、95~100℃で2時間抽出した後、濾液を濃縮、凍結乾燥して、パイナップル果実熱水抽出物7.4gを得た。
【0026】
製造例5 パイナップル果実30%エタノール抽出物
パイナップル果実100gに、精製水1.4Lとエタノール0.6Lを加え、常温で5日間抽出した後、濾液を濃縮乾固して、パイナップル果実30%エタノール抽出物4.0gを得た。
【0027】
製造例6 パイナップル果実エタノール抽出物
パイナップル果実100gに、エタノール1Lを加え、常温で5日間抽出した後、濾液を濃縮乾固して、パイナップル果実エタノール抽出物4.1gを得た。
【0028】
製造例7 パパイヤ果実粉末
パパイヤ果実100gを乾燥させ、粉砕後にふるい選別して、パパイヤ果実粉末80gを得た。
【0029】
製造例8 パパイヤ果実熱水抽出物
パパイヤ果実100gに、精製水2Lを加え、95~100℃で2時間抽出した後、濾液を濃縮、凍結乾燥して、パパイヤ果実熱水抽出物8.7gを得た。
【0030】
製造例9 パパイヤ果実30%エタノール抽出物
パパイヤ果実100gに、精製水1.4Lとエタノール0.6Lを加え、常温で5日間抽出した後、濾液を濃縮乾固して、パパイヤ果実30%エタノール抽出物4.7gを得た。
【実施例2】
【0031】
処方例1 顆粒剤
<処方>
成分 含有量(%)
1.グァバ葉30%エタノール抽出物(製造例2) 0.16
2.乳糖 91.84
3.セルロース 8.00
<製造方法>
成分1~3を乾式法により造粒し、顆粒剤を得る。
<用法>
1日当り3.2g摂取する。
【0032】
処方例2 顆粒剤
<処方>
成分 含有量(%)
1.グァバ葉30%エタノール抽出物(製造例2) 0.16
2.パイナップル果実エタノール抽出物(製造例6) 1.25
3.パパイヤ果実粉末(製造例7) 0.16
4.乳糖 90.43
5.セルロース 8.00
<製造方法>
成分1~5を乾式法により造粒し、顆粒剤を得る。
<用法>
1日当り3.2g摂取する。
【0033】
処方例3 顆粒剤
<処方>
成分 含有量(%)
1.グァバ葉30%エタノール抽出物(製造例2) 0.16
2.パイナップル果実エタノール抽出物(製造例6) 1.25
3.パパイヤ果実粉末(製造例7) 0.16
4.β―カロテン 0.05
5.ビタミンC 50.00
6.ビタミンE 0.50
7.乳糖 39.88
8.セルロース 8.00
<製造方法>
成分1~8を乾式法により造粒し、顆粒剤を得る。
<用法>
1日当り3.2g摂取する。
【0034】
処方例4 軟カプセル剤
<処方>
成分 含有量(%)
1.グァバ葉熱水抽出物(製造例1) 0.090
2.パイナップル果実熱水抽出物(製造例4) 1.800
3.パパイヤ果実熱水抽出物(製造例8) 0.006
4.米胚芽油 78.104
5.ミツロウ 12.000
6.ビタミンE 8.000
<製造方法>
成分1~6を混合し、ゼラチン、グリセリン、カラメル色素で構成される被膜に、350mg充填し、乾燥後、軟カプセル剤を得る。
<用法>
1日当り3粒摂取する。
【0035】
処方例5 飲料
<処方>
成分 含有量(%)
1.グァバ葉70%エタノール抽出物(製造例3) 0.10
2.パイナップル果実30%エタノール抽出物(製造例5) 1.80
3.パパイヤ果実30%エタノール抽出物(製造例9) 0.01
4.クエン酸 6.00
5.ショ糖 11.00
6.香料 1.00
7.水 80.09
<製造方法>
成分1~6を成分7の一部の水に撹拌溶解する。次いで、成分7の残りの水を加えて混合し、殺菌したものを飲料とする。
<用法>
1日当り50mL摂取する。
【0036】
処方例6 化粧水
<処方>
成分 含有量(%)
1.グァバ葉30%エタノール抽出物(製造例2) 5.0
2.パイナップル果実エタノール抽出物(製造例6) 5.0
3.パパイヤ果実粉末(製造例7) 5.0
4.グリセリン 5.0
5.ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 1.5
6.エタノール 5.0
7.防腐剤 0.5
8.水 73.0
<製造方法>
成分1~7を成分8の水に撹拌溶解する。
<用法>
1日当り2mLを皮膚に塗布する。
【0037】
比較例1 従来の顆粒剤
処方例1の顆粒剤において、グァバ葉30%エタノール抽出物(製造例2)を乳糖に置換えたものを、従来の顆粒剤とした。
【実施例3】
【0038】
試験例1 グァバ葉による抗炎症作用
DMEM培地でコンフルエントまで培養したヒトケラチノサイトHaCaTを用いて、紫外線B(UVB)未照射とUVB照射(50mJ/cm)の条件にて、グァバ葉30%エタノール抽出物(製造例2)を24時間添加して、リアルタイムPCR法による遺伝子発現解析を行った。未添加かつUVB未照射の条件での発現量を1として比較した。
【0039】
IL-37用のプライマーセット
TCTTTGCATTAGCCTCATCC(配列番号1)
ATCAGTTTCTCCTTCTTCAGC(配列番号2)
IL-1β用のプライマーセット
ACGAATCTCCGACCACCACTA(配列番号3)
GGCAGGGAACCAGCATCTT(配列番号4)
【0040】
試験例1の結果を表1に示す。グァバ葉30%エタノール抽出物(製造例2)は、UVB未照射時のIL-37の発現を促進し、UVB照射で抑制されたIL-37発現を回復させた。このことから、グァバ葉のIL-37発現促進作用が示された。
【0041】
【表1】
【0042】
さらに、グァバ葉30%エタノール抽出物(製造例2)は、UVB未照射時のIL-1β発現とUVB照射で促進されたIL-1β発現を抑制した。このことから、グァバ葉はIL-37発現促進とIL-1β発現抑制による抗炎症作用を有していることが示された。更に、美白には抗炎症作用による色素沈着の抑制、改善が重要であることから、グァバ葉は美白作用も有していることが示された。
【0043】
試験例2 グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実によるIL-37発現促進作用
DMEM培地でコンフルエントまで培養したヒトケラチノサイトHaCaTに、グァバ葉30%エタノール抽出物(製造例2)、パイナップル果実エタノール抽出物(製造例6)、パパイヤ果実粉末(製造例7)を24時間添加して、リアルタイムPCR法による遺伝子発現解析を行った。プライマーは試験例1と同じものを用い、未添加の条件での発現量を1として比較した。
【0044】
試験例2の結果を表2に示す。グァバ葉30%エタノール抽出物(製造例2)、パイナップル果実エタノール抽出物(製造例6)、パパイヤ果実粉末(製造例7)を各々添加した場合と比較して、製造例2、6、7の組み合わせはIL-37発現量の大幅な増加を示した。このことから、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実の組み合わせは格別顕著なIL-37発現促進作用を示し、極めて優れた抗炎症作用、美白作用を有していることが示された。
【0045】
【表2】
【0046】
試験例3 ヒト飲用による色素沈着改善作用
男女104名(20~50歳代)を26人ずつ4群に分け、グァバ葉を含有する顆粒剤(処方例1)、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実を含有する顆粒剤(処方例2)、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実、β―カロテン、ビタミンC、ビタミンEを含有する顆粒剤(処方例3)、従来の顆粒剤(比較例1)を、1回1.6gを1日2回、4週間飲用させた。飲用は、右上腕内側への紫外線照射(2200mJ/cm)後に開始した。紫外線照射1週後(色素沈着が最も顕著な時)及び紫外線照射4週後に分光測色計を用いて皮膚のL値(明度、数値が高いほど白いことを示す)の測定を行い、紫外線照射1週後から紫外線照射4週後にかけてのL値の変化量を比較した。
【0047】
試験例3の結果を表3に示す。グァバ葉を含有する顆粒剤(処方例1)の飲用によりL値が上昇したことから、グァバ葉の色素沈着改善作用が示された。
【0048】
【表3】
【0049】
グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実を含有する顆粒剤(処方例2)の飲用は、処方例1の飲用と比較して、著しくL値が上昇したことから、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実の組み合わせによる極めて優れた色素沈着改善作用が示された。
【0050】
試験例4 ヒト飲用による色素沈着抑制作用
男女104名(20~50歳代)を26人ずつ4群に分け、グァバ葉を含有する顆粒剤(処方例1)、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実を含有する顆粒剤(処方例2)、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実、β―カロテン、ビタミンC、ビタミンEを含有する顆粒剤(処方例3)、従来の顆粒剤(比較例1)を、1回1.6gを1日2回、4週間飲用させた。4週間飲用した後に左上腕内側への紫外線照射(2200mJ/cm)を行った。紫外線照射前及び紫外線照射1週後にL値の測定を行い、紫外線照射前から紫外線照射1週後にかけてのL値の変化量を比較した。
【0051】
試験例4の結果を表4に示す。グァバ葉を含有する顆粒剤(処方例1)の飲用によりL値の低下を抑制したことから、グァバ葉の色素沈着抑制作用が示された。
【0052】
【表4】
【0053】
グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実を含有する顆粒剤(処方例2)の飲用は、処方例1の飲用と比較して、著しいL値の低下抑制を示したことから、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実の組み合わせによる極めて優れた色素沈着抑制作用が示された。
【0054】
グァバ葉は、色素沈着改善作用と色素沈着抑制作用を有することから、美白作用が示された。また、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実の組み合わせは、優れた色素沈着改善作用と色素沈着抑制作用を有することから、極めて優れた美白作用が示された。
【0055】
以上の結果より、グァバ葉のIL-37発現促進作用、抗炎症作用、美白作用が示された。また、グァバ葉、パイナップル果実、パパイヤ果実の組み合わせによる極めて優れたIL-37発現促進作用、抗炎症作用、美白作用が示された。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のIL-37発現促進剤は、優れたIL-37発現促進作用、抗炎症作用、美白作用を示した。従って、優れたIL-37発現促進作用、抗炎症作用、美白作用を有する食品、医薬部外品又は医薬品としての利用に有用である。また、皮膚外用剤としても利用可能である。さらに、ケラチノサイトなどの細胞を培養する系において、IL-37産生増強を目的とした細胞培養時に使用する培地への利用も可能である。
【配列表】
0007473948000001.app