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特許7473995クレセントフックを含む内回転式裁縫装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】クレセントフックを含む内回転式裁縫装置
(51)【国際特許分類】
   D05B 57/14 20060101AFI20240417BHJP
   D05B 57/38 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
D05B57/14 A
D05B57/38
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022536666
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 KR2021095062
(87)【国際公開番号】W WO2021242084
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0063844
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522235478
【氏名又は名称】クレセント フック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Crecent Hook Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】シム ヨンクン
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-538093(JP,A)
【文献】特表2015-534890(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0047741(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0105315(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1478281(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 57/00-57/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側が開放された中空の円筒状からなるハウジング部と、前記ハウジング部の開放された一側と反対側に安着して、駆動軸から回転動力を伝達されて回転するギア部と、前記ハウジング部の内部に収容されて、前記ギア部から回転動力を伝達されて回転する動力伝達部と、前記動力伝達部よりも前記ハウジング部の開放された一側に隣接するように、前記ハウジング部の内部に収容されて、前記動力伝達部から回転動力を伝達されて回転するものの、上糸を掛ける環状フックを含むフックボディ部を含むクレセントフックを含む内回転式裁縫装置であって、
前記ハウジング部の開放された方向と同じ方向に、前記フックボディ部には下糸収容空間が形成され、
前記下糸収容空間に収容された下糸は、前記フックボディ部と動力伝達部との間に排出されて、上糸に掛かるように構成されたことにより、縫製物に供給される下糸の張力を維持して、下糸が絡まる現象を防止することを特徴とする、
クレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項2】
前記フックボディ部は、円筒状からなり、外側から内側中心方向に切開された陷沒部が形成され、前記陷沒部の一端にはフックが形成され、前記フックの末端は、前記動力伝達部側に偏向したことを特徴とする、
請求項1に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項3】
前記陷沒部の内周面中央には、前記下糸収容空間に収容された下糸を、前記フックボディ部と動力伝達部との間にガイドする板状の下糸ガイド板が形成されたことを特徴とする、
請求項2に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項4】
前記下糸ガイド板は、前記陷沒部の内周面中央に縦に配置され、前記下糸ガイド板には、下糸が通すように下糸排出孔が形成されたことを特徴とする、
請求項3に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項5】
前記フックボディ部における前記下糸収容空間が形成された面と反対側面の中央部分は、凸状に凸部が形成され、前記凸部の縁は、偏平に形成されて、複数のピン収容孔が貫通形成されたことを特徴とする、
請求項2に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項6】
前記動力伝達部における前記フックボディ部に向かう面の中央部分は、前記フックボディ部の凸部に対応するように、凹状に凹部が形成され、前記凹部の縁は、偏平に形成されて、フックボディ部に回転動力を伝達するように、前記複数のピン収容孔に対応するように、複数の動力伝達ピンが突出形成されたことを特徴とする、
請求項5に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項7】
前記動力伝達部は、前記ハウジング部の内部に斜めに配置されて、前記フックボディ部の一部分を推進して動力を伝達することを特徴とする、
請求項6に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項8】
前記ギア部は、駆動軸に連結されて回転する動力伝達ギアと、前記動力伝達ギアに噛み合って回転する回転ギアとを含み、
前記動力伝達部は、前記回転ギアの回転軸を回転中心に、前記回転ギアと同期化されて回転することを特徴とする、
請求項1に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項9】
前記フックは、前記動力伝達部との間に一定の離隔空間を形成することを特徴とする、
請求項2に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項10】
前記離隔空間は、上糸を掛けて、上下を向く針を収容することを特徴とする、
請求項9に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項11】
前記動力伝達部は、クレセントフックを含む内回転式裁縫装置の上側部に行くほど、前記フックボディ部と離隔するように、前記ハウジング部の内部に斜めに配置されて、クレセントフックを含む内回転式裁縫装置の上側部の動力伝達部とフックボディ部との間に離隔空間を形成することを特徴とする、
請求項1~10のうちいずれか一項に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【請求項12】
前記ハウジング部は、前記動力伝達部が安着するベース部と、前記ベース部の外周に沿って一定の高さで突出形成されたリム部とを含み、
前記リム部は、一定の領域が切開されて、前記動力伝達部と前記フックボディ部との間の離隔空間と連通する上糸入出口を含むことを特徴とする、
請求項11に記載のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレセントフックを含む内回転式裁縫装置に関するものであり、特に、縫製物に供給される下糸の張力を維持して、下糸が絡まる現象を防止することで、裁縫不良を防止することのできるクレセントフックを含む内回転式裁縫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンは、衣類、かばん、履物、その他縫製物を機械的に裁縫して、早くかつ手軽く製作することができるように創案された裁縫機械である。
【0003】
しかし、裁縫作業における縫製物を移動させるか、縫製線に沿って裁縫するか、ミシンを調整する作業は結局、ミシンを調整する人の役割であるため、ミシンの効率如何によって裁縫作業の効率が左右されるようになる。
【0004】
ミシンの基本原理は、下糸を備え、上糸を引っ張って、機械的作動によって下糸と上糸とを結び、縫製物にステッチ(縫い目)を形成することであるので、特に、ミシンの下糸供給装置は、ミシンの心臓と言えるものであり、ミシンの下糸具備量の多少は、裁縫作業の継続性を決める最も重要な要素となり、裁縫の効率を左右することから、現在も、ミシンの下糸巻き取り量を増やすため様々な努力が試みられている。
【0005】
それにもかかわらず、現代のミシンの横、縦、高さの大きさは、人体工学的観点で、人が裁縫作業できる最適化した状態に徐々に発展してきたものと理解されており、当業界では、ミシンの基本構造に変形を加えることをためらい、これによって、その部品であるミシンの下糸供給装置の開発もある程度限界を有するようになる。
【0006】
図1は、従来技術によるミシンの下糸供給装置を示した図面であり、図2は、図1を分解して示した図面である。
【0007】
従来技術によるミシンの下糸供給装置1は、図1及び図2に示されたように、ミシンの下側部に設けられた駆動軸(D)に結合されて、駆動軸(D)から動力を伝達されて回転しつつ、下糸を提供する装置を言う。
【0008】
ミシンの下糸供給装置1の形状は、平面が円形を成し、高さに比べて相対的に大きな直径を有する円筒状からなることによって、ミシンの下糸供給装置1に収容される下糸の用量を大きく増加させることができる。
【0009】
かかるミシンの下糸供給装置1は、ハウジング部10と、ギア部20と、カバー部30と、動力伝達部40と、フックボディ部50と、ケース部60と、を含む。
【0010】
ハウジング部10は、内側に収容空間を形成しつつ、一側が開放された円筒状からなり、開放された一側を介して収容空間に回転ギア23、回転ギアカバー33、動力伝達部40、フックボディ部50などを収容する。
【0011】
ギア部20は、ミシンの駆動軸(D)に一側が連結されて、回転する駆動軸(D)から回転動力を伝達されて、ギア歯の噛み合いによって動力伝達部40へ回転力を伝達する構成を言う。
【0012】
かかるギア部20は、駆動軸(D)から伝達された動力により動力伝達部40を回転さ
せるようになり、動力伝達部40は、フックボディ部50と連結されるところ、動力伝達部40の回転力がフックボディ部50を回転させるようになる。
【0013】
かかるギア部20は、動力伝達ギア部21と、回転ギア23と、を含む。
【0014】
カバー部30は、ギア部20がハウジング部10に安着して回転できるように、ギア部20をハウジング部10に固定する構成を言う。
【0015】
かかるカバー部30上には、一面から他面を貫通する複数本の固定孔が形成され、固定孔に固定手段(F)を挿入することにより、ハウジング部10上にカバー部30が結合されるようにする。
【0016】
かかるカバー部30は、動力伝達ギアカバー部31と、回転ギアカバー部33と、を含む。
【0017】
図3は、図2のミシンの下糸供給装置における動力伝達部を示した図面である。
【0018】
動力伝達部40は、回転ギア23の回転軸を回転中心に、回転ギア23と同期化されて回転する構成を言う。
【0019】
かかる動力伝達部40は、ハウジング部10の収容空間上に斜めに形成されて、フックボディ部50の一部分を推進して動力を伝達するように構成される。
【0020】
図4は、図2のミシンの下糸供給装置におけるフックボディ部を示した図面である。
【0021】
フックボディ部50は、動力伝達部40から回転動力を伝達されて回転する構成であり、一側が開放された円筒状に形成されて、内部に下糸収容空間を形成して下糸を貯蔵し、フックボディ部50の外側から内側中心方向に一定の領域を切開した陷沒部を形成して、上糸を掛けて、降りる針が、フックボディ部と干渉しないようにしつつ、フックボディ部50に掛かって回転する上糸が、下糸と絡まると、自然にフックボディ部50から解けるようにする。
【0022】
図5は、図2のミシンの下糸供給装置における動力伝達部とフックボディ部との間に離隔空間が形成された状態を示した図面である。
【0023】
動力伝達部40が斜めに形成されつつ、動力伝達部40は、上側部に行くほど、フックボディ部50とより大きく離隔し得る。
【0024】
逆に、動力伝達部40は、下側部に行くほど、フックボディ部50と離隔空間を形成することなく密接に接するところ、動力伝達部40は、フックボディ部50の下側部を推進して、フックボディ部50を回転させるものと言える。
【0025】
フックボディ部50のフック51は、上糸(U)を掛ける環状構成であり、フック51の末端は、動力伝達部40側に偏向し得る。
【0026】
動力伝達部40の回転板41は、θ角度で傾くことができるところ、下糸供給装置1の上側部における動力伝達部40とフックボディ部50は、最も広い離隔空間(E)を形成するようになる。
【0027】
離隔空間(E)は、ハウジング部10の上糸入出口と連通するため、上糸を掛けて、下
を向く針は、ハウジング部10の上糸入出口を経て、離隔空間(E)に入ることになり、このとき、フック51が上糸を掛けて回転するようになる。
【0028】
ケース部60は、フックボディ部50の開放された一側を覆う構成であり、フックボディ部50の下糸収容空間の平面形状と相補的な外周形状を有するように構成される。
【0029】
かかるケース部60は、フックボディ部50と結合されて、フックボディ部5の下糸収容空間に安着した下糸の塊が外部に離脱しないようにする。
【0030】
ここで、図面符号62は、フックボディ部50の下糸収容空間から下糸が排出されるように、ケース部60の真中に形成された下糸排出孔である。
【0031】
図6図10は、図1のミシンの下糸供給装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面である。
【0032】
フックボディ部50の下糸収容空間に収容された下糸(L)は、図6図10に示されたように、フックボディ部50が回転する場合、ケース部60の真中に形成された下糸排出孔62を介して排出され、針(N)に掛かる上糸に引っかかる下糸(L)の長さが一定でないため、下糸(L)の張力が維持されなくなる問題点がある。
【0033】
特に、図6の場合は、下糸(L)に張力が過度に作用する問題点があり、図7の場合は、下糸(L)の張力が一定に、かつ、ぴんと張っていなければならないが、そうでなくて、下糸(L)がフックボディ部50のフックに掛かって絡まる現象が発生することで、裁縫不良を生じさせる問題点がある。
【0034】
また、図9の場合は、上糸(U)が引き上げられるとき、下糸(L)の緩い部分が上糸(U)と共に引き上げられることによって、裁縫不良を引き起こすようになる問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【文献】KR10-2019-0105315A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
本発明の目的は、縫製物に供給される下糸の張力を維持して、下糸が絡まる現象を防止することで、裁縫不良を防止することのできるクレセントフックを含む内回転式裁縫装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記目的を達成するために、本発明のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置は、一側が開放された中空の円筒状からなるハウジング部と、前記ハウジング部の開放された一側と反対側に安着して、駆動軸から回転動力を伝達されて回転するギア部と、前記ハウジング部の内部に収容されて、前記ギア部から回転動力を伝達されて回転する動力伝達部と、前記動力伝達部よりも前記ハウジング部の開放された一側に隣接するように、前記ハウジング部の内部に収容されて、前記動力伝達部から回転動力を伝達されて回転するものの、上糸を掛ける環状フックを含むフックボディ部を含むクレセントフックを含む内回転式裁縫装置であって、前記ハウジング部の開放された方向と同じ方向に、前記フックボディ部には下糸収容空間が形成され、前記下糸収容空間に収容された下糸は、前記フックボディ部と動力伝達部との間に排出されて、上糸に掛かるように構成されることを特徴とする
【0038】
このとき、前記フックボディ部は、円筒状からなり、外側から内側中心方向に切開された陷沒部が形成され、前記陷沒部の一端にはフックが形成され、前記フックの末端は、前記動力伝達部側に偏向しているのが好ましい。
【0039】
また、前記陷沒部の内周面中央には、前記下糸収容空間に収容された下糸を、前記フックボディ部と動力伝達部との間にガイドする板状の下糸ガイド板が形成される。
【0040】
かかる下糸ガイド板は、前記陷沒部の内周面中央に縦に配置され、前記下糸ガイド板には、下糸が通すように下糸排出孔が形成されてもよい。
【0041】
さらに、前記フックボディ部における前記下糸収容空間が形成された面と反対側面の中部部分は、凸状に凸部が形成され、前記凸部の縁は、偏平に形成されて、複数のピン収容孔が貫通形成される。
【0042】
また、前記動力伝達部における前記フックボディ部に向かう面の中央部分は、前記フックボディ部の凸部に対応するように、凹状に凹部が形成され、前記凹部の縁は、偏平に形成されて、フックボディ部に回転動力を伝達するように、前記複数のピン収容孔に対応するように、複数の動力伝達ピンが突出形成される。
【0043】
かかる動力伝達部は、前記ハウジング部の内部に斜めに配置されて、前記フックボディ部の一部分を推進して動力を伝達することを特徴とする。
【0044】
一方、前記ギア部は、駆動軸に連結されて回転する動力伝達ギアと、前記動力伝達ギアに噛み合って回転する回転ギアとを含み、前記動力伝達部は、前記回転ギアの回転軸を回転中心に、前記回転ギアと同期化されて回転するのが好ましい。
【0045】
また、フックボディ部のフックは、前記動力伝達部との間に一定の離隔空間を形成することを特徴とする。
【0046】
このとき、前記離隔空間は、上糸を掛けて、上下を向く針を収容する。
【0047】
さらに、前記動力伝達部は、クレセントフックを含む内回転式裁縫装置の上側部に行くほど、前記フックボディ部と離隔するように、前記ハウジング部の内部に斜めに配置されて、クレセントフックを含む内回転式裁縫装置の上側部の動力伝達部とフックボディ部との間に離隔空間を形成することを特徴とする。
【0048】
また、前記ハウジング部は、前記動力伝達部が安着するベース部と、前記ベース部の外周に沿って一定の高さで突出形成されたリム部とを含み、前記リム部は、一定の領域が切開されて、前記動力伝達部と前記フックボディ部との間の離隔空間と連通する上糸入出口を含む。
【0049】
その他実施形態の具体的な事項は、「発明を実施するための具体的な内容」及び添付の「図面」に含まれている。
【0050】
本発明の利点及び/または特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている各種実施形態を参照すれば明確になる。
【0051】
しかしながら、本発明は、以下に開示の各実施形態の構成のみに限定されるものではな
く、互いに異なる様々な形態に具現することもできる。ただ、本明細書に開示の各々の実施形態は、本発明の開示を完全にして、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求範囲の各請求項の範疇によって定義されるだけである。
【発明の効果】
【0052】
本発明による場合、ハウジング部の開放された方向と同じ方向に、フックボディ部には下糸収容空間が形成され、下糸収容空間に収容された下糸は、フックボディ部と動力伝達部との間に排出されて、上糸に掛かるように構成されることにより、縫製物に供給される下糸の張力を維持して、下糸が絡まる現象を防止することができる効果がある。
【0053】
これによって、下糸の張力が一定しない場合に発生する裁縫不良を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】従来技術によるミシンの下糸供給装置を示した図面。
図2図1を分解して示した図面。
図3図2のミシンの下糸供給装置における動力伝達部を示した図面。
図4図2のミシンの下糸供給装置におけるフックボディ部を示した図面。
図5図2のミシンの下糸供給装置における動力伝達部とフックボディ部との間に離隔空間が形成された状態を示した図面。
図6図1のミシンの下糸供給装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面。
図7図1のミシンの下糸供給装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面。
図8図1のミシンの下糸供給装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面。
図9図1のミシンの下糸供給装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面。
図10図1のミシンの下糸供給装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面。
図11】本発明によるクレセントフックを含む内回転式裁縫装置を示した図面。
図12図11を分解して示した図面。
図13図12のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置におけるフックボディ部と動力伝達部を示した図面。
図14図13のフックボディ部と動力伝達部を反対側方向から見た状態を示した図面。
図15図11のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面。
図16図11のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面。
図17図11のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面。
図18図11のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面。
図19図11のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面。
【発明を実施するための最善の形態】
【0055】
以下、添付の図面を参考して、本発明の好ましい実施形態について詳説すれば、次のと
おりである。
【0056】
本発明を詳説する前に、本明細書で使われた用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に絶対に解釈されてはならず、本発明の発明者が自己の発明を最も最善な方法で説明するために、各種用語の概念を適宜定義して使うことができ、さらには、これら用語や単語は、本発明の技術的思想に符合する意味と概念に解釈すべきである。
【0057】
すなわち、本明細書で使われた用語は、本発明の好ましい実施形態を説明するために使われるだけであり、本発明の内容を具体的に限定しようとする意図で使われたものではなく、これら用語は、本発明の様々な可能性を考慮して定義された用語である。
【0058】
また、本明細書において、単数の表現は、文脈上明確に他の意味に示さない限り、複数の表現を含んでいてもよく、同様、複数で表現されていても、単数の意味を含むことができる。
【0059】
本明細書の全体におけるある構成要素が他の構成要素を「含む」と記載する場合、特に逆の意味に記載されない限り、任意の他の構成要素を除くものではなく、任意の他の構成要素をさらに含んでいてもよいことを意味し得る。
【0060】
さらに、ある構成要素が他の構成要素の「内部に存在するか、連結して設置される」と記載した場合は、この構成要素が他の構成要素と直接に連結されているか、接触して設置されていてもよく、一定距離を置いて離隔して設置されていてもよく、一定距離を置いて離隔して設置されている場合については、該構成要素を他の構成要素に固定乃至連結させるため第3の構成要素又は手段が存在し得、この第3の構成要素又は手段に対する説明は、省略し得る。
【0061】
他方、ある構成要素が他の構成要素に「直接に連結」されているか、または「直接に接続」されていると記載される場合は、第3の構成要素又は手段が存在しないと理解しなければならない。
【0062】
同様、各構成要素間の関係を説明する他の表現、つまり、「~間に」と「すぐ~間に」、または「~に隣合う」と「~に直接に隣合う」なども、同じ趣旨を有すると解釈すべきである。
【0063】
また、本明細書における「一面」、「他面」、「一側」、「他側」、「第1」、「第2」などの用語は、使われるならば、一構成要素に対して、この一構成要素が他の構成要素から明確に区別できるように使われて、これら用語によって、当該構成要素の意味が制限的に使われるものではない。
【0064】
また、本明細書における「上」、「下」、「左」、「右」などの位置に関する用語は、使われるならば、当該構成要素に対して、当該図面における相対的な位置を示していると理解しなければならず、これら位置について絶対的な位置を特定しない限り、これら位置に関する用語が絶対的な位置を言及していると理解してはならない。
【0065】
さらに、本発明の明細書では、「…部」、「…機」、「モジュール」、「装置」などの用語は、使われるならば、一以上の機能や動作を処理できる単位を意味し、これは、ハードウェア又はソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの結合で具現することができる。
【0066】
また、本明細書では、各図面の各構成要素に対してその図面符号を付することにおいて
、同じ構成要素に対しては、この構成要素がたとえ他の図面に示されても、同じ図面符号を有するように、つまり、全明細書における同じ参照符号は、同じ構成要素を示している。
【0067】
本明細書に添付の図面では、本発明を構成する各構成要素の大きさ、位置、結合関係などは、本発明の思想を十分明確に伝達できるようにするために、または説明の便宜のため一部を誇張または縮小するか、省略して記述されていてもよく、よって、その比例や縮尺は、厳密でなくてもよい。
【0068】
また、以下では、本発明を説明することにおいて、本発明の要旨を曖昧にすると判断される構成、例えば、従来技術を含む公知技術に対する詳説省略することができる。
【0069】
図11は、本発明によるクレセントフックを含む内回転式裁縫装置を示した図面であり、図12は、図11を分解して示した図面である。
【0070】
本発明によるクレセントフックを含む内回転式裁縫装置は、ミシンの下側部に設けられた駆動軸(D)に結合されて、駆動軸(D)から動力を伝達されて回転しつつ、下糸を提供する装置であって、ハウジング部100、ギア部200、動力伝達部300、およびフックボディ部400を含めて構成される。
【0071】
ハウジング部100は、一側が開放された中空の円筒状からなり、開放された一側を介して動力伝達部300、フックボディ部400などを収容する。
【0072】
かかるハウジング部100は、回転する駆動軸(D)が収容され得る空間を提供することができるが、駆動軸(D)が回転しても、ハウジング部100には直接的な回転力が伝達されないように構成するのが好ましく、ハウジング部100は、ベース部110とリム部120とを含めて構成される。
【0073】
ベース部110は、ハウジング部100の開放された一側の反対側の他面上で面を成して、略円板状に形成され、ハウジング部100の内部に収容される部品(例えば、動力伝達部300、フックボディ部400など)を支持する。
【0074】
かかるベース部110には、後述する動力伝達ギア210と回転ギア220などが収容されるように、複数の孔が形成される。
【0075】
リム部120は、ベース部110の外周に沿って一定の高さで突出形成されたものであり、これらリム部120を介してハウジング部100の内部空間が設けられて、内部空間に収容された部品が外部に離脱することを防止する。
【0076】
また、リム部120は、一定の領域が切開されて、後述する動力伝達部300とフックボディ部400との間の離隔空間(E)と連通する上糸入出口122を含む。
【0077】
かかる上糸入出口122の形状に関連して、これをある特定の概念に限定するものではないものの、好ましくは、長方形に形成されてもよい。
【0078】
このように形成された上糸入出口122を介して、上糸を掛けている針(N)が、ハウジング部100の内部空間に入ることができるようになりつつ、ハウジング部100上に結合されて回転するフックボディ部400のフック(H)が、上糸を掛けて回転することができるようになる。
【0079】
ギア部200は、ハウジング部100の開放された一側と反対側に安着して、駆動軸(D)から回転動力を伝達されて回転することである。
【0080】
すなわち、ギア部200は、ミシンの駆動軸(D)に一側が連結されて、回転する駆動軸(D)から回転動力を伝達されて、ギア歯の噛み合みによって動力伝達部300に回転力を伝達する。
【0081】
かかるギア部200は、駆動軸(D)から伝達された動力により、後述する動力伝達部300を回転させることになり、動力伝達部300は、フックボディ部400と連結されて、動力伝達部300の回転力がフックボディ部400を回転させるようになる。
【0082】
かかるギア部200は、動力伝達ギア210及び回転ギア220を含めて構成される。
【0083】
動力伝達ギア210は、駆動軸(D)上に直接に連結されて、駆動軸(D)の回転に伴って共に回転するように構成されて、回転ギア220に動力を伝達することである。
【0084】
回転ギア220は、動力伝達ギア210に噛み合って回転する構成であり、駆動軸(D)の回転による動力伝達ギア210の回転力を伝達されることができる。
【0085】
前述したように構成されたハウジング部100及びギア部200に関する構成は、本発明が発明して特許出願した韓国特許出願番号第10-2018-0025712号に開示の構成と類似又は同一であるため、詳説を省略することとする。
【0086】
一方、動力伝達部300は、ハウジング部100の内部に収容されて、ギア部200から回転動力を伝達されて回転するものであって、回転ギア220の回転軸を回転中心に、回転ギア220と同期化されて回転する。かかる動力伝達部300に関する詳説は、図13及び図14に基づいて後述することとする。
【0087】
フックボディ部400は、動力伝達部300よりもハウジング部100の開放された一側に隣接するように、ハウジング部100の内部に収容されて、動力伝達部300から回転動力を伝達されて回転するものの、上糸を掛ける環状フック(H)を含むように構成される。
【0088】
かかるフックボディ部400に関する詳説は、図13及び図14に基づいて後述することとする。
【0089】
図13は、図12のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置におけるフックボディ部と動力伝達部を示した図面であり、図14は、図13のフックボディ部と動力伝達部を反対側方向から見た状態を示した図面である。
【0090】
フックボディ部400は、動力伝達部300から回転動力を伝達されて回転するものであり、一側が開放された円筒状に形成され、ハウジング部100の開放された方向と同じ方向に下糸収容空間410が形成される。
【0091】
このように、下糸収容空間410に収容された下糸は、フックボディ部400と動力伝達部300との間に排出されて、上糸に掛かるように構成される。
【0092】
このように、円筒状からなるフックボディ部400は、外側から内側中心方向に一定の領域の切開された陷沒部420が形成されるが、上糸を掛けて、降りる針が、フックボディ部400と干渉しないようにしつつ、フックボディ部400に掛かって回転する上糸が
、下糸と絡まると、自然にフックボディ部400から解けるようにする。
【0093】
かかる陷沒部420によって、フックボディ部400の平面形状は、U状になり得る。
【0094】
かかる陷沒部420の一端には、環状フック(H)が形成され、フック(H)の末端は、動力伝達部300側に偏向したものが好ましい。
【0095】
このように、フックボディ部400の全体的な形状が三日月状からなり、いわゆる「クレセントフック(cresenthook)」と命名されてもよい。
【0096】
一方、陷沒部420の内周面中央には、下糸収容空間410に収容された下糸を、フックボディ部400と動力伝達部300との間にガイドする板状の下糸ガイド板(P)が形成される。
【0097】
かかる下糸ガイド板(P)は、陷沒部420の内周面中央に縦に配置されるが、下糸ガイド板(P)には、下糸が通すように下糸排出孔(G)が形成される。
【0098】
未説明の符号Sは、ボビンケース(図示せず)をフックボディ部400の下糸収容空間410に固定するための固定スライドである。
【0099】
さらに、フックボディ部400における下糸収容空間410が形成された面と反対側面の中央部分は、凸状に凸部430が形成され、凸部430の縁は、偏平に形成されて、複数のピン収容孔440が貫通形成される。
【0100】
かかるピン収容孔440は、動力伝達部300に形成された動力伝達ピン330を収容するように、フックボディ部400の一面から他面を貫通するように形成された孔を言う。
【0101】
かかるピン収容孔440の形状に関連して、これをある特定の概念に限定するものではないが、動力伝達ピン330は、半球状に形成されるのが好ましく、これを容易に収容できるように、ピン収容孔440は、円形からなるのが好ましい。
【0102】
また、ピン収容孔440の位置及び本数は、ピン収容孔440が動力伝達ピン330と結合する構成である点で、動力伝達ピン330に対応するフックボディ部400の位置上に複数形成されるのが好ましい。
【0103】
一方、フックボディ部400のフック(H)は、動力伝達部300との間に一定の離隔空間(E)を形成するが、このとき、前記離隔空間(E)は、上糸を掛けて、上下を向く針を収容する。
【0104】
クレセントフックを含む内回転式裁縫装置の上側部における動力伝達部300とフックボディ部400は、最も広い離隔空間(E)を形成するようになる。
【0105】
かかる離隔空間(E)は、ハウジング部100の上糸入出口122と連通するため、上糸を掛けて、下を向く針は、ハウジング部100の上糸入出口122を経て、前記離隔空間(E)に入るようになり、このとき、フック(H)が上糸を掛けて回転するようになる。
【0106】
動力伝達部300は、回転ギア220の回転軸を回転中心に、回転ギア220と同期化されて回転するものであって、ハウジング部100の内部に斜めに形成されて、フックボ
ディ部400の一部分を推進して動力を伝達するように構成されてもよい。
【0107】
このように、動力伝達部300が斜めに形成されつつ、動力伝達部300は、上側部に行くほど、フックボディ部400とより大きく離隔し、逆に、下側部に行くほど、フックボディ部400と離隔空間(E)を形成することなく、密接に接するようになる。
【0108】
これは、動力伝達部300がフックボディ部400の下側部を推進して、フックボディ部400を回転させるものと言える。
【0109】
また、動力伝達部300におけるフックボディ部400に向かう面の中央部分は、フックボディ部400の凸部430に対応するように、凹部310が凹状に形成される。
【0110】
かかる凹部310の縁は、偏平に形成されて、フックボディ部400に回転動力を伝達するように、複数のピン収容孔440に対応するように、複数の動力伝達ピン330が突出形成される。
【0111】
かかる動力伝達ピン330は、前述したように、半球状に形成されるのが好ましいが、その他形状でもいくらでも具現可能である。
【0112】
さらに、複数の動力伝達ピン330の間隔は、一定に決まってもよく、そうでなくてもよいなど、様々な全実施形態を含むと言える。
【0113】
好ましくは、動力伝達ピン330がフックボディ部400の下側部を推進して、フックボディ部400を回転することができると前述したところ、回転力の伝達を容易にするために、隣合う動力伝達ピン330間の間隔は、動力伝達部300の上側部に比べて、動力伝達部300の下側部においてより狭く構成されてもよい。
【0114】
図15図19は、図11のクレセントフックを含む内回転式裁縫装置から下糸が供給される状態を概略的に示した図面である。
【0115】
下糸(L)が縫製物に供給される場合、下糸(L)の張力を一定に維持させることが、裁縫の品質を決定するのに非常に重要なカギである。
【0116】
動力伝達部300とフックボディ部400との間の離隔空間(E)は、ハウジング部100の上糸入出口122と連通するため、上糸(U)を掛けて、下を向く針(N)は、ハウジング部100の上糸入出口122を経て、前記離隔空間(E)に入ることになり、このとき、フック(H)が上糸(U)を掛けて回転するようになる。
【0117】
また、フックボディ部400の下糸収容空間410に収容された下糸(L)は、図15図19に示されたように、フックボディ部400と動力伝達部300との間に排出されて、上糸(U)に掛かるように構成されることで、縫製物に供給される下糸(L)の張力を維持して、下糸(L)が絡まる現象を防止することができるようになり、これによって、下糸(L)の張力が一定しない場合に発生する裁縫不良を防止することができるようになる。
【0118】
以上、一部の例を挙げて、本発明の好ましい様々な実施形態について説明したが、本「発明を実施するための具体的な内容」項目に記載の様々な実施形態に関する説明は、例示的なものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、以上の説明から本発明を多様に変形して実施するか、本発明と均等な実施を行うことができるという点を理解することができる。
【0119】
また、本発明は、他の様々な形態に具現することができるため、本発明は、上述した説明によって限定されるものではない。以上の説明は、本発明に開示の内容が完全になるようにするためのものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の範疇を完全に知らせるために提供されるだけであり、本発明は、請求範囲の各請求項によって定義されるだけである。
【符号の説明】
【0120】
100 ハウジング部
110 ベース部
120 リム部
122 上糸入出口
200 ギア部
210 動力伝達ギア
220 回転ギア
300 動力伝達部
310 凹部
330 動力伝達ピン
400 フックボディ部
410 下糸収容空間
420 陷沒部
430 凸部
440 ピン収容孔
U 上糸
L 下糸
N 針
E 離隔空間
D 駆動軸
H フック
P 下糸ガイド板
G 下糸排出孔
S ボビンケース固定スライド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【図 】
図8
図9
図10
図11
図12
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図19