(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】溶液製造方法および溶液
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240417BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240417BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20240417BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20240417BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240417BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240417BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240417BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240417BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/365
A61K8/42
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/49
A61Q5/02
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2023556716
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2022040115
(87)【国際公開番号】W WO2023085108
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2021182838
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504256800
【氏名又は名称】株式会社ビューロ
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【氏名又は名称】宇高 克己
(72)【発明者】
【氏名】柏原 泰則
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-263996(JP,A)
【文献】特開2015-017245(JP,A)
【文献】特開2000-178144(JP,A)
【文献】特開2014-108084(JP,A)
【文献】東亜製薬株式会社, 色付き泡の色が白くなるから手洗いが楽しくなる!Te-Clearカラーチェンジソープ [online,[検索日 2022.12.15], インターネット:<URL:https://toaseiyaku.jp/te-clearcolorchangesoap>
【文献】薬用せっけん ミューズ 色が変わる魔法の泡!!新しくなった「泡ハンドソープ」絶賛販売中 [online], 201,[検索日 2022.12.15], インターネット:<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000025618.html>
【文献】アルボース 泡の色が変わるハンドソープ, Amazon.co.jp [online], 2020.09.24,[検索日 2022.12.15], インターネット:<URL:https://www.amazon.co.jp/アルボナース-泡の色が変わるハンドソープ-500ml/dp/B09KBY5RF7>
【文献】東亜製薬Te-Clearカラーチェンジソープ ブルー本体, www.yodobashi.com [online], 販売開始日:2021.07.01,[検索日 2023.04.27], インターネット:<URL:https://www.yodobashi.com/product/100000001006242549/>
【文献】ミューズ泡ハンドソープ フルーティフレッシュの香り 色が変わる泡, Amazon.co.jp [online], Amazon.co.jp,[検索日 2023.04.27], インターネット
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
A23L 5/00- 5/49
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡形成用溶液の製造方法であって、
前記溶液は洗浄及び/又は遊びに際して用いられる溶液であり、
前記方法は、
水溶性色素と水とが混合される工程と、
前記工程で得られた水溶性色素含有水溶液に起泡剤が添加される工程
とを具備する方法。
【請求項2】
前記方法はpH調整剤が前記色素含有水溶液に添加される工程を具備する
請求項1の方法。
【請求項3】
前記方法はグリセリンが前記色素含有水溶液に添加される工程を具備する
請求項1又は請求項2の方法。
【請求項4】
前記溶液は中性ないしは弱酸性である
請求項1又は請求項2の方法。
【請求項5】
前記起泡剤が、前記水100質量部に対して、5~50質量部であり、
前記色素が、前記水100質量部に対して、0.0001~5質量部である
請求項1の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシャンプー等の溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
髪(又は、頭)の手入れ(洗浄)に、シャンプー、リンス、コンディショナーが用いられている。
前記溶液は、例えばポンプ装置(例えば、シャンプー容器)の容器本体内に入れられている。ポンプ装置のヘッドを押す事で、容器本体内の溶液がノズル口から出て来る。出て来た溶液の形態は泡である。この時、泡の色を肉眼では感じる事が出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗髪に際して、大人は、ポンプ装置から出て来たシャンプーの泡の色を気にしない。
【0005】
洗髪を嫌がる子供(幼児)は多い。このような時に、シャンプー溶液の泡に色が着いていると、洗髪を嫌がる子供(幼児)でも洗髪が楽しくなるであろう。
【0006】
斯かる観点から、これまでのシャンプー溶液に色材(色素)を添加してみた。
しかし、添加した色材(色素)の量が十分なのに、肉眼で泡の色を感じる事が出来なかった。
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、例えば洗髪(又は、遊び)等に際して、得られた泡の色が肉眼ではっきり判る泡形成用の溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、十分な量の色材(色素)が入っているシャンプー溶液なのに、このシャンプー溶液から出来た泡は、何故、色を感じる事が出来なかったのかの研究開発を進めて行った。
【0009】
試行錯誤を繰り返している中で、偶々、濃色な(色をしっかりと実感できる)色合いの泡が出来ていた。
その時は、シャンプー溶液からの泡が、何故に、濃色だったかの原因(理由)は判らなかった。
どのようにして造られたシャンプー溶液からの泡が濃色であったかが判らなかった。
今までと同じ方法でシャンプー溶液を造っていた筈なのに、斯のシャンプー溶液からの泡が、何故に、濃色だったのかが判らなかったのである。
【0010】
前記シャンプー溶液がどのようにして造られたかを一つ一つ思い出して行った。
その結果、濃色な色合いの泡が出来た溶液は、色素含有溶液(色素と水とを混合して出来た溶液)に界面活性剤(起泡剤)を入れると言う段階を経たものである事に気付いた。
それまでは、色材(色素)や界面活性剤を、一度(同時)に、水の中に入れていた。それが普通であろう。
【0011】
混合(添加)工程の順序を変える事によって、何故に、そのような違いが起きるかは判らなかった。
【0012】
しかし、混合(添加)工程の順序を変える事によって、濃色な色合いの泡が得られた事は間違いなかった。
【0013】
そこで、界面活性剤と水とを混合して出来た界面活性剤含有溶液に色素を添加してみた。勿論、界面活性剤や色素の種類・量は上記の場合と同じである。しかし、この場合は、上記の場合の如きの濃色な色合いの泡は得られなかった。
上記現象は、界面活性剤や色素の種類を変えても、又、界面活性剤や色素の量を変えても同様であった。
【0014】
本発明者は、これ等の現象を、もう一度、総合して考えた。
その結果は次のような事で有ろうかとの結論に到達した。
先ず、界面活性剤や色素などを一度に水に添加した場合と、界面活性剤含有水溶液に色素を添加した場合と、色素含有水溶液に界面活性剤を添加した場合とによって、何故に、これ等の溶液から出来た泡の色具合が違っていたのかを本発明者は考察した。
その結果、本発明者は、次のような理由に基づくのであろうと推察するに至った。
色素が水に添加されると、前記色素と前記水との間に水素結合が起きる。この後で界面活性剤が添加されても、前記色素(前記水素結合によって結合(反応)の手が塞がれた色素)と前記界面活性剤との間には結合(反応)が起こり難い。従って、界面活性剤は界面活性剤(起泡剤)としての機能を効果的に発揮したのであろうと推察された。前記色素は色素としての機能(色の発現:呈色)を効果的に発揮したのであろうと推察された。
界面活性剤や色素などが一度に水に添加された場合には、前記界面活性剤と前記色素との間での結合(物理的結合あるいは化学的結合)が起きる。この為、前記界面活性剤は界面活性剤(起泡剤)としての機能が低下したのであろうと推察された。前記色素は色素としての機能(色の発現:呈色)が低下したのであろうと推察された。
界面活性剤含有水溶液に色素が添加された場合も、界面活性剤や色素などが水に一度(同時)に添加された場合と同様であろうと推察された。
【0015】
上記知見を基にして本発明がなされた。
【0016】
本発明は、
泡形成用溶液の製造方法であって、
前記方法は、
色素と水とが混合される工程と、
前記工程で得られた色素含有水溶液に起泡剤が添加される工程
とを具備する
方法を提案する。
【0017】
本発明は、
pH調整剤が前記色素含有水溶液に添加される工程を、更に、具備する
方法を提案する。
【0018】
本発明は、
グリセリンが前記色素含有水溶液に添加される工程を、更に、具備する
方法を提案する。
【0019】
本発明は、
前記溶液が中性ないしは弱酸性である
方法を提案する。
【0020】
本発明は、
前記起泡剤が前記水100質量部に対して5~50質量部であり、
前記色素が前記水100質量部に対して0.0001~5質量部である
方法を提案する。
【0021】
本発明は、
前記溶液中に含有されている色素は前記水との反応によって前記起泡剤との反応性が低下していて、前記溶液中には前記起泡剤と未反応の色素が存在してなる
方法を提案する。
【0022】
本発明は前記起泡剤が界面活性剤である方法を提案する。
【0023】
本発明は、
前記界面活性剤が、
アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の群の中から選ばれる一種または二種以上である
方法を提案する。
【0024】
本発明は前記色素が水溶性色素である方法を提案する。
【0025】
本発明は前記溶液のpHが7.3~5.5である方法を提案する。
【0026】
本発明は、
溶液がpH調整剤を含有する工程を更に具備してなり、
前記pH調整剤は前記水100質量部に対して0.01~1質量部である
方法を提案する。
【0027】
本発明は、
前記溶液が粘度調整剤を含有する工程を更に具備してなり、
前記粘度調整剤は前記水100質量部に対して5~50質量部である
方法を提案する。
【0028】
本発明は前記溶液が泡形成に圧縮ガスが用いられ無い非エアロゾルタイプである方法を提案する。
【0029】
本発明は、
容器本体と出口とポンプとを具備する装置の前記容器本体内に前記溶液が入れられてなり、
前記ポンプの作動によって前記容器本体に収容された前記溶液と空気とが混合して前記出口から出て来たのが着色した泡である
方法を提案する。
【0030】
本発明は、
色の濃淡を10段階のグラデーションで表示した場合に、前記溶液から出来た泡の色の濃淡のグラデーションが濃い方から7番目より濃い側に在る溶液である
方法を提案する。
【0031】
本発明は、
泡形成用の溶液であって、
前記溶液は起泡剤と色素と水とを少なくとも含有してなり、
前記溶液中には前記起泡剤と前記色素との間で化学的に未反応な起泡剤と色素とが存在してなり、
前記溶液は中性ないしは弱酸性である
溶液を提案する。
【0032】
本発明は、
前記起泡剤が前記水100質量部に対して5~50質量部であり、
前記色素が前記水100質量部に対して0.0001~5質量部である
溶液を提案する。
【0033】
本発明は、
前記溶液中に含有されている色素は前記水との反応によって前記起泡剤との反応性が低下していて、前記溶液中には前記起泡剤と未反応の色素が存在してなる
溶液を提案する。
【0034】
本発明は、前記起泡剤が、好ましくは、界面活性剤である溶液を提案する。
【0035】
本発明は、前記界面活性剤は、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の群の中から選ばれる一種または二種以上である溶液を提案する。
【0036】
本発明は、前記色素は、好ましくは、水溶性色素である溶液を提案する。
【0037】
本発明は、前記溶液のpHが、好ましくは、7.3~5.5である溶液を提案する。
【0038】
本発明は、前記溶液は中性ないしは弱酸性である溶液を提案する。
【0039】
本発明は、好ましくは、pH調整剤を含有してなり、前記pH調整剤は、前記水100質量部に対して、好ましくは、0.01~1質量部である溶液を提案する。
【0040】
本発明は、好ましくは、粘度調整剤を含有してなり、前記粘度調整剤は、前記水100質量部に対して、好ましくは、5~50質量部である溶液を提案する。
【0041】
本発明は、前記溶液は、例えば泡形成に圧縮ガスが用いられ無い非エアロゾルタイプである溶液を提案する。
【0042】
本発明は、例えば容器本体と出口とポンプとを具備する装置の前記容器本体内に前記溶液が入れられてなり、前記ポンプの作動によって前記容器本体に収容された前記溶液と空気とが混合して前記出口から出て来たのが着色した泡である溶液を提案する。
【0043】
本発明は、色の濃淡を10段階のグラデーションで表示した場合に、好ましくは、前記溶液から出来た泡の色の濃淡のグラデーションが濃い方から7番目より濃い側に在る溶液を提案する。
【発明の効果】
【0044】
泡の色を肉眼で明確に認識できる溶液を、簡単・低廉なコストで提供できた。
前記溶液がシャンプーに用いられた場合には、子供や幼児は大喜びするであろう。
洗髪嫌いな子供や幼児でも洗髪を嫌がらなくなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の溶液が入れられるポンプ付き容器の概略図
【発明を実施するための形態】
【0046】
第1の本発明は泡形成用溶液の製造方法である。
第2の本発明は泡形成用溶液である。
前記溶液は、特に、得られた泡の色が肉眼で明確に認識できる泡形成用の溶液である。例えば、色の濃淡を10段階のグラデーションで表示した場合に、前記溶液から出来た泡の色の濃淡のグラデーションが濃い方から7番目(数値は3)より濃い側に在る溶液である。好ましくは濃い方から6番目(数値は4)より濃い側に在る溶液である。更に好ましくは濃い方から5番目(数値は5)より濃い側に在る溶液である。もっと好ましくは濃い方から4番目(数値は6)より濃い側に在る溶液である。上限値に格別な意味合いは無いが、例えば濃い方から4番目に在る溶液である。
ここで、色の濃淡のグラデーション表示は、当該色素の含有量が0(蒸留水のみ)の場合を0段階、当該色素の飽和水溶液(水は蒸留水)の場合(色素の濃度が最も濃い場合)を9段階とし、10段階のグラデーションで色の濃淡を表すものとした。従って、数値が大きな方が濃色である。
前記溶液は、例えば泡形成に圧縮ガスが用いられ無い非エアロゾルタイプの溶液である。例えば、容器本体と出口とポンプとを具備する装置の前記容器本体内に入れられる溶液であって、前記ポンプの作動によって前記容器本体に収容された前記溶液と空気とが混合して前記出口から出て来たのが着色した泡になる溶液である。
前記溶液は、起泡剤と色素と水とを、少なくとも、含有する。前記起泡剤と前記色素との間で化学的に未反応な起泡剤と色素とが、前記溶液中には、存在している。例えば、前記溶液中に含有されている色素は前記水との反応によって前記起泡剤との反応性が低下していて、前記溶液中には前記起泡剤と未反応の色素が存在している。
前記方法は、
色素と水とが混合される工程と、
前記工程で得られた色素含有水溶液に起泡剤が添加される工程
とを具備する。
【0047】
前記起泡剤は、前記水100質量部に対して、好ましくは、5質量部以上であった。更に好ましくは10質量部以上であった。好ましくは50質量部以下であった。更に好ましくは40質量部以下であった。もっと好ましくは30質量部以下であった。
前記色素は、前記水100質量部に対して、好ましくは、0.0001質量部以上であった。更に好ましくは0.001質量部以上であった。もっと好ましくは0.01質量部以上であった。好ましくは5質量部以下であった。更に好ましくは1質量部以下であった。もっと好ましくは0.1質量部以下であった。
【0048】
前記起泡剤は、好ましくは、界面活性剤である。例えば、アニオン性界面活性剤である。例えば、カチオン性界面活性剤である。例えば、両性界面活性剤である。例えば、非イオン性界面活性剤である。何れのタイプのものでも良い。一種のみが用いられても良い。二種以上の界面活性剤が用いられても良い。
前記アニオン性界面活性剤は特には限定されない。具体的には、例えばN-アシルアミノ酸、脂肪酸、アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、アシル乳酸、N-アシルメチルアラニン、N-アシルサルコシン、ジアシルアミノ酸及びそれらの塩等のカルボン酸塩型、アルカンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、α-スルホ脂肪酸メチルエステル、アシルイセチオン酸、アルキルスルホコハク酸、N-アシルメチルタウリン及びそれらの塩等のスルホン酸塩型、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル及びそれらの塩等の硫酸塩型、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びそれらの塩等のリン酸塩型が挙げられる。
前記カチオン性界面活性剤は特には限定されない。具体的には、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等)、アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム)、アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POE-アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
前記両性界面活性剤は特には限定されない。具体的には、グリシン型両性界面活性剤(例えば、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩等)、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤(例えば、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩等)、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤(例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、スルホベタイン型両性界面活性剤(例えば、アルキルヒドロキシスルホベタイン等)等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤は特には限定されない。具体的には、例えばPOE-ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等)、POE-ソルビット脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等)、POE-グリセリン脂肪酸エステル(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等)、POE-脂肪酸エステル(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等)、POE-アルキルエーテル(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等)、プルロニック型(例えば、プルロニック等)、POE・POP-アルキルエーテル(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等)、テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物(例えば、テトロニック等)、POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等)、POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等)、アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等)、POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE-アルキルアミン、POE-脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等の親水性の非イオン界面活性剤が挙げられる。
前記界面活性剤は石油系由来の合成界面活性剤でも天然由来の界面活性剤(所謂、石けん)でも良い。
【0049】
前記色素は、好ましくは、水溶性色素である。例えば、赤色102号(C20H11N2Na3O10S3,2-ヒドロキシアゾナフタレン-4’,6,8-トリスルホン酸三ナトリウム)、赤色106号(Sodium 9-(2,4-disulfonatophenyl)3,6-bis(diethylamino)xanthylium)、青1号(ブリリアントブルーFCF:(Ethyl)[4-[[2-(sodiooxysulfonyl)phenyl][4-[[3-(sodiooxysulfonyl)benzyl](ethyl)amino]phenyl]methylene]-2,5-cyclohexadien-1-ylidene](3-sulfonatobenzyl)aminium)、黄色4号(1H-Pyrazole-3-carboxylic acid, 4, 5-dihydro-5-oxo-1-(4-sulfophenyl)-4-[(4-sulfophenyl)azo]-, trisodium salt)、黄色203号(2-(1,3-Dioxoindan-2-yl)quinolinedisulfonic acid sodium salt)、紫401号(2-N-[(9,10-Dihydro-4-hydroxy-9,10-dioxoanthryl]amino-5-methylbenzenesulfonic acid sodium salt)等が挙げられる。勿論、これに限られない。
【0050】
前記溶液は肌などに対して用いられる。従って、好ましくは、前記溶液のpHが、例えば7.3~5.5であった。好ましくは、中性から弱酸性であった。
中性から弱酸性にする為、例えばpH調整剤が用いられる。例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、氷酢酸、乳酸、乳酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウム、DL-リンゴ酸等が挙げられる。勿論、是には限られない。クエン酸が代表的である。
前記pH調整剤は、前記水100質量部に対して、例えば0.01~1質量部であった。
【0051】
前記溶液は、粘度の観点から、好ましくは、粘度調整剤を含有する。
粘度調整剤としては、例えばペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、アラビアガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、グリセリン類が挙げられる。グリセリンは、保湿剤、増粘安定剤などの用途がある。グリセリンは、肌にうるおいとしっとりした感触を与え、肌の上に薄い皮膜をつくって外気の乾燥から肌を守る。従って、グリセリンの使用は本発明の用途に好適であった。
前記粘度調整剤は、前記水100質量部に対して、好ましくは、5~50質量部であった。
【0052】
本発明の溶液は次のようにして製造される。
先ず、水(例えば、蒸留水または精製水)に、上記の色素が混合(添加)された。その割合は上記の通りであった。攪拌が行われた。是に拠って、上記色素が十分に溶解した。
前記色素が溶解した色素含有水溶液に、上記起泡剤(例えば、界面活性剤)が混合(添加)された。攪拌が行われた。是に拠って、上記起泡剤が十分に分散した。
上記pH調整剤やグリセリン等も、必要に応じて、前記界面活性剤と同時(又は、別々)に、前記色素含有水溶液に、混合(添加)された。
【0053】
以下、具体的な実施例が挙げられる。本発明は以下の実施例にのみ限定されない。本発明の特長が大きく損なわれない限り、各種の変形例や応用例も本発明に含まれる。
【0054】
[実施例1]
0.1質量部の赤色106号が100質量部の精製水に添加された。攪拌・混合が行われた。
10質量部のクエン酸が100質量部の精製水に添加された。攪拌・混合が行われた。
4質量部の非イオン界面活性剤(ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド:アミゾールCDE)、10質量部のアニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム:サンデットEN)、1.5質量部の上記10wt%クエン酸水溶液、12質量部のグリセリン、10質量部の1,3-ブチレングリコール、及び39.5質量部の精製水が、一度で、3質量部の上記赤色106号含有水溶液に添加された。攪拌・混合が行われた。
この後、10質量部の両性界面活性剤(アミノ酸系界面活性剤:エヌジェボンASP-12TKL)が添加された。攪拌・混合が行われた。
上記溶液が100メッシュの篩を介して濾過された。この濾液のpHは約5.5~6.0であった。この濾液が
図1に示される如きのポンプ装置の容器本体内に充填された。
図1中、1は容器本体、2は容器本体1の口部に捩じ込まれたキャップである。このキャップ2にはポンプ装置3が取りつけられている。ポンプ装置3のピストン4のヘッド5が押されると、ピストン4が下降し、ノズル6の口から上記溶液の泡が吐出される。ヘッド5から手を離すと、ピストン4が上昇して元の位置に復帰する。斯かる構造は、従来からも公知であるから、詳細は省略される。
【0055】
[比較例1A]
実施例1と同様に行われた。
但し、前記赤色106号、前記界面活性剤、前記クエン酸、前記グリセリン、前記グリコール等の全ての成分が、同時(一度)に、精製水に投入された。
この溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0056】
[比較例1B]
実施例1と同様に行われた。
但し、前記界面活性剤、前記クエン酸、前記グリセリン、前記グリコール等の色素以外の全ての成分が、同時(一度)に、精製水に投入された。この後、前記溶液に前記赤色106号が添加された。
この溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0057】
[実施例2~6]
実施例1と同様に行われた。
但し、赤色106号の代わりに、赤色102号(実施例2)、黄色4号(実施例3)、黄色203号(実施例4)、青1号(実施例5)、紫401号(実施例6)が用いられた。
これ等の溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0058】
[比較例2A~6A]
比較例1Aと同様に行われた。
但し、赤色106号の代わりに、赤色102号(比較例2A)、黄色4号(比較例3A)、黄色203号(比較例4A)、青1号(比較例5A)、紫401号(比較例6A)が用いられた。
これ等の溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0059】
[比較例2B~6B]
比較例1Bと同様に行われた。
但し、赤色106号の代わりに、赤色102号(比較例2B)、黄色4号(比較例3B)、黄色203号(比較例4B)、青1号(比較例5B)、紫401号(比較例6B)が用いられた。
これ等の溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0060】
[実施例7]
実施例1と同様に行われた。
但し、アミゾールCDEの代わりにレボン2000が用いられた。サンデットENの代わりにリポフローMNが用いられた。
この溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0061】
[比較例7A]
実施例7の成分が用いられ、比較例1Aと同様に行われた。
この溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0062】
[比較例7B]
実施例7の成分が用いられ、比較例1Bと同様に行われた。
この溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0063】
[実施例8]
実施例1と同様に行われた。
但し、エヌジェボンASP-12TKLの代わりにエナジコールDP-30が用いられた。
この溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0064】
[比較例8A]
実施例8の成分が用いられ、比較例1Aと同様に行われた。
この溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0065】
[比較例8B]
実施例8の成分が用いられ、比較例1Bと同様に行われた。
この溶液が
図1のポンプ装置の容器本体内に充填された。
【0066】
[特徴]
上記各例の溶液が充填されたポンプ装置が用いられて、ノズル6の口から上記溶液の泡が吐出された。
この泡の色を肉眼で観察された結果が下記の表に示される。
泡の色の濃淡
実施例1 5
比較例1A 2
比較例1B 2
実施例2 4
比較例2A 2
比較例2B 1
実施例3 4
比較例3A 2
比較例3B 2
実施例4 4
比較例4A 2
比較例4B 2
実施例5 6
比較例5A 2
比較例5B 2
実施例6 5
比較例6A 2
比較例6B 2
実施例7 4
比較例7A 2
比較例7B 1
実施例8 3
比較例8A 2
比較例8B 1
【0067】
上記表における泡の色の濃淡は、グラデーション(10段階による)表示である。数値が大きな程、色が濃い。
上記実施例の溶液(数値が3以上)の泡の色は、肉眼で、はっきり、認識できた。
上記比較例の溶液は数値が低い。上記比較例の溶液の泡の色は、肉眼では、認識でき難かった。
【符号の説明】
【0068】
1 容器本体
2 キャップ
3 ポンプ装置
4 ピストン
5 ヘッド
6 ノズル(出口)