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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】カップ部を有する婦人下着
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/00 20060101AFI20240417BHJP
   A41C 3/08 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A41C3/00 A
A41C3/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024512175
(86)(22)【出願日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 JP2023042243
【審査請求日】2024-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395004003
【氏名又は名称】ゴールドフラッグ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】平久保 晃世
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/224965(WO,A1)
【文献】特開2001-254207(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0349550(US,A1)
【文献】特開2013-072161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0221718(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C3/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方向に湾曲した下辺2と、前記下辺2の脇側端部P1から上辺3に向かって立ち上がった側辺4と、前記下辺2の胸元側端部P2から前記側辺4の上端P3に至る上辺3とを有し、バストBを収納するように構成された左右一対のブラジャーカップ1と、
前記ブラジャーカップ1の表面から分離して該ブラジャーカップ1をその表面側から覆うように配設され、前記ブラジャーカップ1の脇側端部P1から胸元側端部P2に至る下辺2がその下縁22に縫着され、前記ブラジャーカップ1の側辺4と上辺3とが非縫着に設けられているカップ被覆布20と、
前記カップ被覆布20に縫着されたストラップ70と、
その下辺42がブラジャーカップ1の下辺2に縫着され、その上端辺45がストラップ70に接続されたリフトアップ布40とを備えた婦人下着Aであって、
前記ブラジャーカップ1は、内側カップ1iと、前記内側カップ1iの表側に設けられた外側カップ1oとで2重構造となるように形成され、
前記外側カップ1oの上辺1o3と側辺1o4との交差部分であるコーナー部分1o9には孔6が設けられており、
前記リフトアップ布40は、内側カップ1iと外側カップ1oとの間に挟まれるように設けられ、前記リフトアップ布40の上端辺45に至る帯状の挿通部分46が前記コーナー部分1o9の前記孔6に裏側から表側に向けて挿通され、前記コーナー部分1o9を上から押圧するように設けられていることを特徴とするカップ部を有する婦人下着。
【請求項2】
内側カップ1iと外側カップ1oは、同一外形でその全周が一体的に縫着又は接着されていることを特徴とする請求項1に記載のカップ部を有する婦人下着。
【請求項3】
内側カップ1iと外側カップ1oは、中層1bが発泡材で、その表・裏面層1a・1cとして薄い織布が張り付けられている三層構造のシート状の発泡体積層生地、内側カップ1iの裏面層1c及び外側カップ1oの表面層1aに薄い織布が設けられた二層構造のシート状の発泡体積層生地、不織布或いは織布の内のいずれか1が素材として用いられてなることを特徴とする請求項1に記載のカップ部を有する婦人下着。
【請求項4】
前記コーナー部分1o9に穿設された前記孔6は前記挿通部分46の長手方向に対して交差する方向でスリット状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の婦人下着。
【請求項5】
前記挿通部分46の幅46wより孔6の長手方向の幅6wの方が大きく形成されていることを特徴とする請求項4に記載の婦人下着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラジャーやキャミソールのようなカップ部を有する婦人下着に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラジャーに代表されるカップ部を有する婦人下着は、カップ部の下辺に円弧状のワイヤを用いたものと、ワイヤを用いないものの2種類がある。ワイヤを用いないカップ部を有する婦人下着を、ワイヤレス婦人下着(或いは、ワイヤレスブラジャー)という。
ワイヤレス婦人下着(ワイヤレスブラジャー)は、例えばバストを覆うための左右のカップ部、カップ部の下辺に必要に応じて縫着されてこれを支持する土台部、この土台部から背面側に延びるバック部、及びカップ部からバック部に架けて設けられたストラップなどを備えている。ワイヤを用いた婦人下着(ブラジャー)は、カップ部の下辺に円弧状のワイヤが挿入されている。ワイヤはカップ部の形状をワイヤの形に保つ働きをする。
【0003】
婦人下着の着用者には、バストの豊かな人やそうではない人、胸板の厚い人や薄い人、肩幅の広い人や狭い人、いかり肩の人やなで肩の人などがあり、バスト周りに関して実に様々な体形がある。
このような婦人下着のカップ部に共通して求められる主たる機能の一つとしては、バストを寄せて上げることで胸元にきれいなデコルテを形成することや、バストの造形性向上が挙げられる。これに加えてどのような体形の人が着用してもカップ部がぴったりと隙間なく装着されてバストをしっかりとホールドしているというフィット感や、着用時の快適性(例えば、体を左右に捩じってもブラジャーカップが胸から浮かない、両腕を振ってもバストがブラジャーカップの脇からはみ出ない、両手を上に上げてもブラジャーがずれ上がらない、両肩を回してもストラップが肩から落ちてしまわない、ジャンプをしてもバストが大きく揺れない、前屈みになってもブラジャーのバックベルトが上がらないというようなこと)など着け心地の向上も重要な要素として挙げられる。
【0004】
特許文献1は婦人下着のバストの造形性向上に対する発明で、この発明はバストを豊かに盛り上げるためにリフトアップ布を用いるものである。このリフトアップ布は、その上端がブラジャーカップの上端外側のコーナー部と共にストラップの胸側端部に縫着され、且つブラジャーカップの下辺と共にその下辺が土台布のカップ刳り辺にそれぞれ縫着され、ストラップの胸側端部と土台布のカップ刳り辺との間に斜めに架け渡されている。
【0005】
このリフトアップ布のブラジャーカップに対する被覆領域は、ブラジャーカップの外面において、その下側部分から外側側面部分にかけての領域で、この範囲を一面的に覆う。これにより着用時には、ストラップの引きで、リフトアップ布により、ブラジャーカップに収納されたバストの脇側部分から下部をその膨らみに合わせて全体的に内側に寄せて上方に持ち上げることができ、前中心側にバストを寄せて美しいデコルテを胸元に形成する効果があるとしている。
【0006】
特許文献2(図7)の従来の婦人下着Zは、左右一対のブラジャーカップ100、カップ被覆布120、ストラップ170、背面部107、土台布110、及びリフトアップ布140とで構成されており、特許文献1と同様、リフトアップ布140による美しいデコルテ形成に効果を発揮する。
これに加えて、ブラジャーカップ100の下辺102がリフトアップ布140の下縁122に縫着されている。ブラジャーカップ100の側辺104と上辺103とがカップ被覆布120に対して非縫着に設けられている。リフトアップ布140はブラジャーカップ100とカップ被覆布120との間に挟まれるように設けられている。ブラジャーカップ100の上端P103が位置するコーナー部分109には孔106が設けられており、リフトアップ布140の挿通部分146が前記孔106をブラジャーカップ100の表面100s側から裏側に通過するように配置されている(図7(c))。
【0007】
特許文献1では、リフトアップ布の上端がブラジャーカップの上端外側のコーナー部と共にストラップの胸側端部に縫着され、且つブラジャーカップの下辺と共にその下辺が土台布のカップ刳り辺にそれぞれ縫着されているので、体を左右に捩じったり、両腕を振ったり上に上げたりすると、ブラジャーカップもストラップに引っ張られて移動してバストから外れたり、逆にストラップが肩から落ちてしまうことがあり、着け心地の点で問題があった。
【0008】
そこで、特許文献2では、ブラジャーカップ100の上端P103のコーナー部分109に孔106を設け、この孔106にリフトアップ布140の挿通部分146が前記孔106を表面100s側から裏側に通過するように配置して、ブラジャーカップ100がリフトアップ布140の動きに拘束されないようにした。その結果、特許文献1の問題点であった着け心地の点は解消された
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-212437公報
【文献】特許6446605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1,2もリフトアップ布140はブラジャーカップ100の表面100s側に配置されている。リフトアップ布140はバストBを吊り上げるためのある程度の引っ張り強度と弾力性を必要とするため、例えば、パワーネットの2重使いなどがなされて厚みがある。その結果、仮に、リフトアップ布140を覆うカップ被覆布120を使用したとしてもその上からアウター100Tを着用するとリフトアップ布140の上辺143が筋状の段差100Dとなってアウター100T上に現れ、外観を損なうという問題が生じた。特に、夏物のようなアウター100Tではこれが顕著に現れる(図7(b))。
【0011】
また、上記のように特許文献2では、ブラジャーカップ100のコーナー部分109の孔106にリフトアップ布140の挿通部分146を表面100s側から裏面側に通過するように通してあるので、コーナー部分109では挿通部分146がコーナー部分109の裏面側に入り込み、挿通部分146がコーナー部分109を表側に押し出す。その結果、上記同様、押し出された部分が段差100Dとなってアウター100Tに顕著に現れる(図7(c))。
【0012】
本発明は、上記のような従来例の問題に鑑みてなされたもので、造形性およびフィット感の向上は勿論のこと、リフトアップ布がアウターに響かないような外観に優れたカップ部を有する婦人下着を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、カップ部を有する婦人下着Aに関する(図1)。
下方向に湾曲した下辺2と、前記下辺2の脇側端部P1から上辺3に向かって立ち上がった側辺4と、前記下辺2の胸元側端部P2から前記側辺4の上端P3に至る上辺3とを有し、バストBを収納するように構成された左右一対のブラジャーカップ1と、
前記ブラジャーカップ1の表面から分離して該ブラジャーカップ1をその表面側から覆うように配設され、前記ブラジャーカップ1の脇側端部P1から胸元側端部P2に至る下辺2がその下縁22に縫着され、前記ブラジャーカップ1の側辺4と上辺3とが非縫着に設けられているカップ被覆布20と、
前記カップ被覆布20に縫着されたストラップ70と、
その下辺42がブラジャーカップ1の下辺2に縫着され、その上端辺45がストラップ70に接続されたリフトアップ布40とを備えた婦人下着Aであって、
前記ブラジャーカップ1は、内側カップ1iと、前記内側カップ1iの表側に設けられた外側カップ1oとで2重構造となるように形成され、
前記外側カップ1oの上辺1o3と側辺1o4との交差部分であるコーナー部分1o9には孔6が設けられており、
前記リフトアップ布40は、内側カップ1iと外側カップ1oとの間に挟まれるように設けられ、前記リフトアップ布40の上端辺45に至る帯状の挿通部分46が前記コーナー部分1o9の前記孔6に裏側から表側に向けて挿通され、前記コーナー部分1o9を上から押圧するように設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカップ部を有する婦人下着Aにおいて、
内側カップ1iと外側カップ1oは、同一外形でその全周が一体的に縫着又は接着されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のカップ部を有する婦人下着Aにおいて、
内側カップ1iと外側カップ1oは、中層1bが発泡材で、その表・裏面層1a・1cとして薄い織布が張り付けられている三層構造のシート状の発泡体積層生地、内側カップ1iの裏面層1c及び外側カップ1oの表面層1aに薄い織布が設けられた二層構造のシート状の発泡体積層生地、不織布或いは織布の内のいずれか1が素材として用いられてなることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の婦人下着Aにおいて、
前記コーナー部分1o9に穿設された前記孔6は前記挿通部分46の長手方向に対して交差する方向(直交又は直交に近い角度)でスリット状に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の婦人下着Aにおいて、
前記挿通部分46の幅46wより孔6の長手方向の幅(スリット幅)6wの方が大きく形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記構成により、本発明は造形性およびフィット感の向上は勿論のこと、リフトアップ布がアウターに響かず、優れた外観を呈するカップ部を有する婦人下着とすることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は本発明の婦人下着(第1実施形態)を着用した状態を示す斜視図、(b)は同(第2実施形態)を着用した状態を示す斜視図である。
図2図1(a)に示す婦人下着の使用状態において、(a)はその中央を縦断面した図、(b)は中央縦断面の一部分を拡大した図、(c)はブラジャーカップのコーナー部分の拡大断面図である。
図3】カップ被覆布を取り除いた図1の婦人下着において、ストラップ、リフトアップ布及びブラジャーカップの移動状態を示す斜視図であり、(a)はリフトアップ布の一の実施形態、(b)はリフトアップ布の他の実施形態の斜視図である。
図4】本発明の婦人下着の分解図である。
図5】バストサイズが大きい場合の婦人下着を着用状態の断面図である。
図6】バストサイズが小さい場合の婦人下着を着用状態の断面図である。
図7】(a)は従来例の婦人下着の着用状態を示す斜視図、(b)はX部分の拡大断面図、(c)はY部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の婦人下着Aについて説明する。本発明の婦人下着Aには、例えば、ブラジャータイプのもの、図示しないがキャミソールタイプのもの、その他でブラジャーカップ1を有する下着がすべて含まれる。本明細書ではブラジャーを代表例とし、以下、同じ符号Aで示す。
【0021】
本発明のブラジャーAの実施形態を図1(a)~図4に示す。ブラジャーAは、左右対称のブラジャーカップ1、カップ被覆布20、リフトアップ布40、必要に応じて用いられる土台布10、背面部7(図の実施例では、サイドベルト11・12)及びストラップ70とで構成されている。本実施例では土台布10を用いたブラジャーAを中心に説明する。
土台布10を用いないブラジャーAを図1(b)に示す。この場合は、背面部7がカップ被覆布20の左右両側に設けられる。それ以外は土台布10を用いたブラジャーAと同じである。
【0022】
ブラジャーカップ1は、内側カップ1iと外側カップ1oの2重構造で、同じ外形の内側カップ1iと外側カップ1oの周囲が縫着されて形成されている。そして後述するようにリフトアップ布40が両者の間に挟み込まれ、その下辺42がブラジャーカップ1の下辺2に縫着されている。
ブラジャーカップ1の形状はバストBやデザインによりさまざまな形状、例えば、図示していないが貝殻状や図1に示すようなハート形がある。ここではハート形を代表例とする。
【0023】
本発明のブラジャーカップ1は上記のように2重構造となっているが、その理由は後述するように、内側カップ1iと外側カップ1oにそれぞれ違う機能を付与し、バスト造形性およびフィット感の向上だけでなく、リフトアップ布40がアウターTに響かない、外観に優れたカップ部とするためである。それ故、内側カップ1iと外側カップ1oを合わせた時の本発明のブラジャーカップ1の厚みは、通常のブラジャーカップの厚みと同じようになるように形成されている。しかしながら、内側カップ1i、外側カップ1oの厚みはその機能によってそれぞれ適宜選択される。
【0024】
また、ブラジャーカップ1の厚みには着用者の要望に合わせて様々なものがある。図示しないパッドなども用いられる。パッドを用いる場合は、内側カップ1iの内面(着用者側の面)に図示しないパッド収納用のポケットが設けられる。図5,6の場合はパッドを使用しない場合を示す。
着用者がバストにボリュームを欲しい場合には、厚みの大なる内側カップ1iが用いられる(図6)。本発明のブラジャーカップ1は内側カップ1iと外側カップ1oの2重構造なので、内側カップ1iはその厚みを変えて着用者の要望に合うようにする用途に用いられる。外側カップ1oは後述するように、内側カップ1iとリフトアップ布40の上辺43との間に発生する段差Dをカバーしてこの段差DがアウターTに線として現れないようにする用途に用いられる(図2)。
【0025】
外側カップ1o及び内側カップ1iの素材は様々なものが使用される。例えば、中層が発泡材で、その表・裏面に薄い織布が張り付けられている三層構造のシート状の発泡体積層生地(フォーム・ラミネーティド・ファブリック)、又は薄い織布が表面に設けられた二層構造のシート状の発泡体積層生地(フォーム・バックド・ファブリック)である。発泡材は本実施例ではウレタン樹脂が使用されている。
これら発泡体積層生地を用いた外側カップ1o及び内側カップ1iの成形に当たっては、発泡体積層生地の原反を適切な大きさに裁断し、金型にて加圧加熱成形し、不要部分を切除して予定された上記の形状に成形する。
【0026】
外側カップ1o及び内側カップ1iが三層構造のシート状の発泡体積層生地の場合は、その表・裏面層1a・1cとして薄い織布が張り付けられている。二層構造のシート状の発泡体積層生地は、外側カップ1oの表面層1aとして薄い織布が設けられ、内側カップ1iでは裏面層1cに薄い織布が設けられる。
このような発泡体積層生地で形成された外側カップ1o及び内側カップ1iは、柔軟性と弾力性を有している。しかし伸びはリフトアップ布40に比べて少ない。
勿論、外側カップ1o及び内側カップ1iの素材はこれに限定されず、不織布、ダブルラッセル等の織布、その他公知の素材を使用することができる。
本実施例では、発泡体積層生地を用いた場合を中心に説明する。
【0027】
発泡体積層生地を用いた内側カップ1iの一例として、中央部分が最も厚く、全体として周縁に向かってその肉厚が漸減するように構成されたものがある(図5)。
発泡体積層生地を用いた内側カップ1iの他例として、内側カップ1iはブラジャーカップ1の下辺2に添う下半分1dが上半分1eより厚くて内面側(バスト側)に膨出しており、上半分1eは下半分1dから上辺3に向かってその肉厚が漸減するように構成されている(図6)。
発泡体積層生地を用いた外側カップ1oは図5の場合でも、図6の場合でも、中央部分が最も厚く全体として周縁に向かってその肉厚が漸減するように構成されている。外側カップ1oは上記のように段差DがアウターTに響かないようにすればよいので着用時に段差Dが発生しない厚さであれば足る。これは不織布、ダブルラッセル等、その他公知の素材を使用した場合でも言えることである。
【0028】
内側カップ1iと外側カップ1oは全周が縫着又は接着されて1つのブラジャーカップ1を構成し、両者を表裏で合わせるとトップ位置K(ブラジャーカップ1の表面で最も高い位置)が最も厚く、全体として周縁に向かってその肉厚が漸減するように構成されている。
【0029】
いずれの場合もブラジャーカップ1の外側カップ1oの表面側は、全体的になだらかで前方に碗状に膨らんでいる。図5のブラジャーカップ1において、内側カップ1iの下半分1dに相当する厚みを図示していないが、パッドで補うようにしてもよいし、逆に図6の内側カップ1iの下半分1dの厚肉部分をパッドで構成してもよい。
【0030】
ブラジャーカップ1は、バストBを直接収納するためのもので、表面側に椀状に膨出している。ブラジャーカップ1の下辺2は下方向に湾曲し、着用者のバージスラインVに沿うように設けられている。下辺2の最下点をPで示し、その端部を脇側端部P1、胸元側端部P2とする。ブラジャーカップ1の側辺4は外側に大きな半径で湾曲した弧状態に形成され、下辺2の脇側端部P1から上辺3に向かって立ち上がる。上辺3は側辺4の上端P3と下辺2の胸元側端部P2との間の辺で、本実施例ではS字状のスネークラインを描いている。
【0031】
上辺3は、上辺を3~4等分した時に、上端P3から1/3~1/4離れた地点P4(胸元側端部P2から2/3~3/4の地点)で曲がって方向が変わり、この曲がり方向が変わる部分(変曲部分)で、上端P3から地点P4までの短い辺の部分が緩い上向きのカーブを描き、胸元側端部P2から地点P4までの長い辺の部分が大きな上向きのカーブを描く。両上向きのカーブは地点P4で下向きのカーブに滑らかに繋がっている。そしてこれら下辺2、上辺3及び側辺4は円弧で滑らかに繋がれている(図1参照)。
なお、このブラジャーカップ1は説明を分かりやすくするために下辺2、上辺3及び側辺4に分けて説明したが、上辺3と側辺4を連続させて一つの上辺としてもよい。
【0032】
そしてブラジャーカップ1の上辺3と側辺4が交叉する部分の近辺部分がコーナー部分で、この地点を上端P3とする。ブラジャーカップ1を構成する外側カップ1oのコーナー部分1o9において孔6が設けられている。
この孔6はスリット状に形成され、孔6の形成方向は、ブラジャーカップ1(即ち、外側カップ1o)の側辺4に略平行、且つ側辺4に近接して穿設され、後述するようにこのスリット状の孔6に挿通される挿通部分46の長手方向に対して交差する方向(直交又は直交に近い角度)に形成される。
このスリット状の孔6の長手方向の幅(スリット幅)6wは、ここを通過する挿通部分46の幅46wと等しいか、或いはより大きく形成されている。
【0033】
カップ被覆布20は、ブラジャーカップ1の全体を覆うように配設される薄い布で、ブラジャーカップ1の上辺3と側辺4はカップ被覆布20に縫着されず、ブラジャーカップ1の下辺2のみがカップ被覆布20の下縁22に縫着され、ブラジャーカップ1の表面から分離している。ブラジャーカップ1の下辺2の縫着範囲は脇側端部P1から胸元側端部P2迄の全部である。脇側端部P1は下辺2の最下点Pと袖刳り25に至る袖刳り側端部22aとの間に設けられる。カップ被覆布20の側辺24は、袖刳り側端部22aからストラップ接続部23aに至る辺で袖刳り25の一部を構成する。
【0034】
カップ被覆布20は、図4のように1パーツで構成される場合と、図示していないが2パーツで構成される場合とがある。2パーツで構成される場合、接合部分を縫着すれば、1パーツで構成される場合と同じ形状になる。
【0035】
1パーツで構成されるカップ被覆布20は、ブラジャーカップ1の外面形状に沿うようになだらかな球面を描くように金型にて加圧加熱成形されている。素材としては、金型にて加圧加熱成形が可能なもの、例えば、ポリウレタン繊維その他伸縮性に富む素材を用いたパワーネットのようなもの、或いはレース編みされたものが用いられる。更には伸縮性(特に、図1に於いて、縦方向「上辺23に平行な方向」より横方向「上辺23に直角な方向」に伸縮性)に富む素材で構成された薄いレース生地が用いられる。
2パーツで構成される場合は、上側パーツと下側パーツとで構成され、素材としては、伸びが少なく、金型による加熱加圧成形のできないような生地が用いられる。上側パーツと下側パーツの接合部分を縫着して、ブラジャーカップ1の外面形状に沿うように表面側に膨らんだ形状にする。
【0036】
図4に示すように、カップ被覆布20の下縁22は、バージスラインVに沿った下向きU形で、その端部を袖刳り側端部22a、及び連結端部22bとする。前記袖刳り25の一部を構成する側辺24は、袖刳り側端部22aから上に立ち上がり、ストラップ接続部23aに至る。ストラップ接続部23aと連結端部22bとの間の辺が上辺23である。
【0037】
カップ被覆布20の下縁22はブラジャーカップ1の下辺2より長く、カップ被覆布20の下縁22の袖刳り側端部22aと連結端部22bとの間にブラジャーカップ1の下辺2が縫着されている。
カップ被覆布20の下縁22に対するブラジャーカップ1の下辺2の縫着範囲は脇側端部P1から胸元側端部P2である。上記のように脇側端部P1は下辺2の最下点Pと袖刳り25に至る袖刳り側端部22aとの間に設けられる。
【0038】
カップ被覆布20は、図4に矢印で示すように、下縁22からストラップ接続部23aに向かって斜め上方向(肩方向)に伸びやすく、その直角方向は前記斜め上方向に比べて伸びにくい。
ただし、カップ被覆布20の縦横の伸びは次に述べるリフトアップ布40の伸びより小さい。
【0039】
リフトアップ布40は、ブラジャーカップ1の内側カップ1iと外側カップ1oとの間に挟まれるように設けられている。リフトアップ布40の下辺42は、ブラジャーカップ1の下辺2に合わせて形成され、下辺2に一体的に縫着又は接着されている。リフトアップ布40の下辺42の胸元側端部Q2からストラップ70側に伸びた直線状の辺を上辺43、下辺42の脇側端部Q1からストラップ70側に伸びた辺を側辺44とする。この上辺43と側辺44との間の部分の紐状に細く伸びた部分を挿通部分46とし、挿通部分46の上端をストラップ70に接続する上端辺45とする。この挿通部分46は後述するようにブラジャーカップ1の外側カップ1oの孔6に挿通される。
【0040】
リフトアップ布40の素材は、スパンデックス生地やパワーネット生地で、ここではリフトアップ布40は折り畳まれて二重使いとなっており、その上辺43が折り畳み辺で直線状に伸びている(図4)。側辺44は大きく凹円弧状に形成されている。
上辺43の上部と側辺44の上部で挟まれた挿通部分46は、上記のように細く帯状に伸び、その上端辺45がストラップ70の胸側の端部に接続されている。
なお、折り畳まれたリフトアップ布40の裁断辺である側辺44はその伸縮性を損なわない縫い方で表裏一体に縫着されている。
【0041】
リフトアップ布40の伸び方向は、図4に示すように十字の矢印で示すように上辺43に平行な方向の伸びが、これに直角な方向の伸びより大である。従って、着用時にリフトアップ布40に張力が加わった場合、下辺42から上端辺45の間で大きな張力が発生し、下辺42から肩方向に向かって大きく伸びるが、この伸び方向に対して直角方向の伸びは少なく、この部分のバストBは効果的に胸元側(内側)に寄せられる。
【0042】
図3(a)のようにリフトアップ布40の下辺42が大きくなれば、下辺42のバスト吊り上げ範囲が広くなり、内側カップ1iを介してバストB全体を吊り上げることになる。
図3(b)のように下辺42が小さく、ブラジャーカップ1の最下点Pを越えて脇側端部P1側にリフトアップ布40の下辺42が縫着されている場合は、内側カップ1iを介しての脇側端部P1側からのバスト寄せ効果が高くなる。
そして、ブラジャーカップ1内のリフトアップ布40は、外側カップ1oにカバーされてリフトアップ布40の上辺43に沿って発生する線状の段差Dは外側カップ1oの表面に現れない。
【0043】
婦人下着Aの前面部5となる土台布10は必要に応じて設けられる。ここでは土台布10を用いる場合を代表例にする。土台布10は、例えば図4に示すように、円弧状でW形に抉られたカップ刳り辺13が左右に設けられている。そして婦人下着Aの背面部7となるサイドベルト11・12は土台布10から左右に伸びている(図1(a))。(或いは、土台布10を使用しない場合では、サイドベルト11・12はカップ被覆布20から左右に伸びている(図1(b))。)
【0044】
カップ刳り辺13には左右のカップ被覆布20の下縁22、リフトアップ布40の下辺42、ブラジャーカップ1の下辺2、及び非伸縮性のテープ28が更に重ね合わされて一体となって縫着され、バージスラインVに嵌り込むW形の細い線状のカップ支持部14が形成されている。
【0045】
本実施例ではワイヤはこの部分(カップ支持部14)に用いられない。従って、ワイヤを用いた時のようにカップ部の下辺であるカップ支持部14の形状が一義的に決まらず、ワイヤ使用時に比べて柔軟性を持つ。ただし、カップ支持部14は分厚く柔軟に曲がるが長手方向の伸縮性はない。着用時、バストBのバージスラインVにソフトに接するようになる。カップ支持部14におけるリフトアップ布40の張力は、上記のようにリフトアップ布40の下辺42に発生する。
【0046】
図の実施形態では土台布10とサイドベルト11・12とは布地、又はレース地で構成されている。一方のサイドベルト11の端部には雄側である係止部材11a、他方のサイドベルト12の端部には雌側である被係止部材12aが設けられている。そして、土台布10、及びサイドベルト11・12は、図4の十字矢印で示すように、短手方向より長手方向の方が弾性を持ち伸縮性に富む。
【0047】
土台布10を設けない場合は、ブラジャーカップ1の連結端部22bがカップ連結布50を介して接続され、ブラジャーカップ1の下辺2に非伸縮性のテープ28を重ね合わせて縫着して強度を出すようにする。そして、婦人下着Aの背面部7となるサイドベルト11・12は、カップ被覆布20の下縁22(特に、前記下縁22において、ブラジャーカップ1の最下点Pに相当する位置)から袖刳り側端部22a、或いは脇側端部P1に相当する位置から左右に伸びている(図1(b))。
【0048】
上記カップ連結布50は、左右のブラジャーカップ1の上辺3の胸元側端部P2の近傍部分(対向部分)8を連結する布である。カップ連結布50はパワーネットのような伸縮性に富む布の2重折りのものが使われている。該カップ連結布50は、左右のブラジャーカップ1の連結方向の伸びの方がこれに直交する方向より大きく、且つ弾性を伴ってよく伸びる。カップ連結布50の両側辺は上記のように胸元側端部P2の近傍部分8に縫着され、更にカップ連結布50の下辺は土台布10の左右のカップ刳り辺13の間の山形部分52を含むその両側部分に於いて、W形の細い線状のカップ支持部14に縫着されている。
【0049】
カップ連結布50は、左右のブラジャーカップ1同士を接続するものなので、ブラジャーカップ1の間から外部に露出する。そこでここではカップ被覆布20の形状及び構造、取付位置を考慮してカップ連結布50を隠すようにした。
即ち、左右のカップ被覆布20の連結端部22bは、反対側のブラジャーカップ1の下辺2まで伸び、カップ連結布50の上でこれを隠すように上下に重ね合わされている。
【0050】
ブラジャーカップ1及び土台布10にその下辺42が縫着されたリフトアップ布40の挿通部分46は、ブラジャーカップ1の内側カップ1iの表面下部を覆い、外側カップ1oのコーナー部分1o9のスリット状の孔6を裏側から表側に挿通され、その上端辺45がストラップ70の一端(胸側の端部)にカップ被覆布20のストラップ接続部23aと共に接続される。ストラップ70の他端(背中側の端部)はサイドベルト11(12)の上辺中央にそれぞれ接続されている。
【0051】
リフトアップ布40の挿通部分46の幅46wは、上記のようにスリット状の孔6のスリット開口幅6wと同じか又は小さく形成されている。後者の場合、スリット幅6wが挿通部分46の幅46wと等しい場合に比べて接触抵抗がより少なくなるため、挿通部分46の長手方向のスリット状の孔6に対する移動が等しい場合より容易になる。更に、スリット開口幅6wが挿通部分46の幅46wに比べて大きいので、スリット方向に挿通部分46の可動範囲が増え、着用者の体形に合わせてストラップ70の位置がずれたとしても(例えば、肩幅が広い場合、左右のストラップ70の間隔は広がり、逆では狭まる。)この余裕の範囲でこのズレ量を吸収して、常に、ブラジャーカップ1をバストB位置に保持できる。
なお、リフトアップ布40の上辺43は図1から分かるように、ブラジャーカップ1のトップ位置Kと一致する部分、或いはその上下近傍部分を通る。
【0052】
次に、婦人下着Aを着用した場合の作用に付いて説明する。この婦人下着Aを着用すると、係止部材11aと被係止部材12aで繋がれたサイドベルト11・12によって土台布10が伸びて着用者の胴回りを軽く締め付け、ストラップ70がカップ被覆布20及びリフトアップ布40を矢印(図1参照)で示すように肩方向に吊り上げる。
カップ支持部14は両バストBのバージスラインVにそれぞれ入り込み、バストBを下から支える。カップ支持部14にはワイヤが入っていないため、伸びはないがバストBの大小、或いはバージスラインVの形状に合わせてカップ支持部14が柔軟に変形してバージスラインVにソフトに当たる(フィット感向上)。
【0053】
そしてブラジャーカップ1の下辺2全体とカップ被覆布20の下縁22、及びリフトアップ布40の下辺42が上記のように縫着されているので、ブラジャーカップ1の内側カップ1iを介してバストBがリフトアップ布40の下辺42で吊り上げられる。
【0054】
また、ブラジャーカップ1の外側カップ1oは、リフトアップ布40の挿通部分46が外側カップ1oのコーナー部分1o9に設けたスリット状の孔6に裏面側から表面側に挿通されている。そしてストラップ70に接続され、肩から吊るされた挿通部分46に対してある程度の範囲で該スリット状の孔6が容易にその長手方向に移動できる。換言すれば、ブラジャーカップ1がリフトアップ布40の挿通部分46に対して移動できる。
そして上記のようにこの挿通部分46は、スリット状の孔6を通過する部分はスリット状の孔6より細いが、図1から分かるように、スリット状の孔6より若干下の部分(例えば、スリット状の孔6より10mm程度下辺42側に下がった位置)ではその幅が急増し、スリット状の孔6のスリット幅6wを越える。これにより、ブラジャーカップ1の挿通部分46の長手方向への無制限な移動は抑制される。
【0055】
このようなブラジャーカップ1とリフトアップ布40との関係において、挿通部分46の幅方向(孔6のスリット方向)では、ストラップ70が水平方向に移動すると、該スリット状の孔6の孔縁に挿通部分46が引っ掛かるので、ブラジャーカップ1も係合後の移動量だけ共に移動することになる。換言すれば、ブラジャーカップ1の上辺3と側辺4は、挿通部分46の挿通によって水平方向にある範囲の余裕を持って拘束される。即ち、ブラジャーカップ1の上辺3及び側辺4は完全なフリーではなく、有る範囲の余裕を以ってリフトアップ布40に拘束され、不安定さが解消される。
【0056】
このブラジャーAを着用すると、図5に示すようにブラジャーカップ1に対してバストBが大きい場合、バストBを収納したブラジャーカップ1が豊かなバストBに押されてその下辺2を中心に前方に倒れる。この時、リフトアップ布40の挿通部分46をブラジャーカップ1の外側カップ1oのスリット状の孔6がスムーズに下に移動してバストBを包み込む。
【0057】
これに対して、図6に示すようにブラジャーカップ1に対してバストBが小さい場合、ブラジャーカップ1を上から覆うカップ被覆布20の張力によりブラジャーカップ1が、その下辺2を中心に起き上がる。この時、リフトアップ布40の挿通部分46をブラジャーカップ1の外側カップ1oのスリット状の孔6がスムーズに上に移動してバストBを包み込む。
このブラジャーカップ1の上記起倒は、ストラップ70に接続され、ブラジャーカップ1全体をその表面側から包み込むカップ被覆布20によって行われる。
なお、図6のようにブラジャーカップ1の下半分1dを分厚くしておけば(或いは、パッドを挿入して分厚くしておけば)、バストアップ効果を高められる。
いずれの場合でも、ブラジャーカップ1は上記起倒によってバストBの大小に対してある程度の裕度を以って対応することが出来ること、カップ支持部14にワイヤを挿入しないワイヤレスなので、或るカップサイズでその前後のカップサイズをカバー出来、それ故、ワイヤを用いた従来例に比べてカップサイズを減らすことが出来る。
【0058】
次にこの婦人下着Aを着用した者が、アウターTをその上から着用した場合、アウターTがブラジャーAのカップ被覆布20に接する(図2)。
従来の婦人下着Zでは、図7(b)に示すように、リフトアップ布140がブラジャーカップ100の表側に設けられているので、ブラジャーカップ100の表面100sとリフトアップ布140の上辺143との間にリフトアップ布140の厚さ分の段差100Dが生じる。リフトアップ布140の上にはカップ被覆布120が設けられ、上記段差100Dを覆うものの生地がレース地のような薄いものであるので、上記段差100Dに沿って屈曲し、上記段差100Dを解消できない。その結果、カップ被覆布20に接したアウター100Tも影響を受け、アウター100Tの表面に段差100Dに沿った筋が現れる。
【0059】
また、図7(c)に示すように、従来の婦人下着Zはブラジャーカップ100のコーナー部分109において、リフトアップ布140の挿通部分146がコーナー部分109の孔106に表面側から裏面側に向かって通されている。その結果、裏に潜り込んだ挿通部分146がコーナー部分109を表側に押し上げ、この部分に段差100Dが発生する。この段差100Dは上記同様アウター100Tに影響する。
【0060】
これに対して、既に述べたように、本発明ではリフトアップ布40の挿通部分46より下の部分はブラジャーカップ1内に収納されており、外側カップ1oのカバーによりリフトアップ布40の上辺43の段差Dは外側カップ1oの表面に現れない。その結果、アウターTにも影響しない(図2(b))。
また、ブラジャーカップ1において、リフトアップ布40の挿通部分46が外側カップ1oのコーナー部分1o9の孔6に裏面側から表面側に向かって通されている。その結果、表面側に位置する挿通部分46がコーナー部分1o9を上から押さえることになるので、コーナー部分1o9が表面側に浮かず、この部分に段差Dが発生しない。この部分でも上記同様アウターTに影響しない。
【0061】
以上により、造形性およびフィット感の向上は勿論のこと、リフトアップ布がアウターに響かないような外観に優れたカップ部を有する婦人下着を提供することが出来るようになった。
【符号の説明】
【0062】
A:婦人下着、B:バスト、D:段差、K:トップ位置、P:最下点、P1:脇側端部、P2:胸元側端部、P3・P103:側辺の上端、P4:側辺の上端から1/3から1/4の地点、Q1:リフトアップ布の脇側端部、Q2:リフトアップ布の胸元側端部、T:アウター、V:バージスライン、Z:従来の婦人下着
1:ブラジャーカップ、1a:表面層、1b:中層、1c:裏面層、1d:下半分、1e:上半分、1i:内側カップ、1o:外側カップ、1o3:上辺、1o4:側辺、1o9:外側カップのコーナー部分、2:下辺、3:上辺、4:側辺、5:前面部、6:孔、6w:孔の長手方向の幅(スリット幅)、7:背面部、8:ブラジャーカップの胸元側端部の近傍部分、10:土台布、11・12:サイドベルト、11a:係止部材、12a:被係止部材、13:カップ刳り辺、14:カップ支持部、20:カップ被覆布、22:下縁、22a:袖刳り側端部、22b:連結端部、23:カップ被覆布の上辺、23a:ストラップ接続部、24:側辺、25:袖刳り、28:テープ、40:リフトアップ布、42:リフトアップ布の下辺、43:リフトアップ布の上辺、44:リフトアップ布の側辺、45:上端辺、46:挿通部分、46w:挿通部分の幅、50:カップ連結布、52:山形部分、70:ストラップ、100:ブラジャーカップ、100D:段差、100s:ブラジャーカップの表面、100T:アウター、102:下辺、103:上辺、104:側辺、106:孔、107:背面部、109:ブラジャーカップのコーナー部分、110:土台布、120:カップ被覆布、122:下縁、140:リフトアップ布、143:リフトアップ布の上辺、146:挿通部分、170:ストラップ

【要約】
婦人下着Aは、下辺2、側辺4及び上辺3とを有する左右一対のブラジャーカップ1と、ブラジャーカップ1をその表面側から覆う被覆布20と、ストラップ70と、リフトアップ布40とを含む。ブラジャーカップ1は、内側カップ1iと外側カップ1oの2重構造である。外側カップ1oの上辺1o3と側辺1o4との交差部分であるコーナー部分1o9には孔6が設けられている。リフトアップ布40は、内側カップ1iと外側カップ1oとの間に挟まれるように設けられ、リフトアップ布40の帯状の挿通部分46が外側カップ1oのコーナー部分1o9の孔6に裏側から表側に向けて挿通されるように設けられている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7