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特許7474022ベッド装置の脚部起伏機構及びベッド装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ベッド装置の脚部起伏機構及びベッド装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 17/04 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
A47C17/04 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018040019
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019150484
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-09-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】大平 和幸
(72)【発明者】
【氏名】大野 渉
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】中村 則夫
【審判官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-125829(JP,A)
【文献】特開2009-207626(JP,A)
【文献】特開2005-143982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C17/00-23/34,A61G7/00-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部側寄りにある一端側がベッドフレーム側に揺動可能に連結される膝ボトム支持フレームと、
頭部側寄りにある一端側が前記膝ボトム支持フレーム脚部側寄りにある他端側に揺動可能に連結される足ボトム支持フレームと、
頭部側寄りにある一端側が前記ベッドフレーム側に揺動可能に連結され、脚部側寄りにある他端側が前記足ボトム支持フレーム脚部側寄りにある他端側であって当該足ボトム支持フレームの端部近傍に揺動可能に連結されて構成される伸縮ステーと、
を備え、
前記伸縮ステーは、第1摺動部材と、第2摺動部材とにより長さを調節可能な調節機構を備え、
前記第1摺動部材は、前記第2摺動部材の内部に収納されるように連結され、
前記第1摺動部材は、前記第2摺動部材の内部に収納される脚部側寄りにある一端側にロックピンを有し、頭部側寄りにある他端側が前記ベッドフレーム側に揺動可能に連結され、
前記第2摺動部材は、脚部寄りにある一端側が前記足ボトム支持フレームの脚部寄り側にある他端側に揺動可能に連結され、
前記ロックピンを前記第2摺動部材の長手方向に沿ってガイドするロックピンガイド部と、
前記ロックピンを当該第2摺動部材上の所定の位置に位置決めするように、当該第2摺動部材の短手方向に沿って切り込まれ、かつ、当該第2摺動部材の脚部寄り側にある一端側に向かって傾くように形成される位置決め用の溝部であるロックピン位置決め部と、を備え、
前記ロックピン位置決め部は、前記ロックピンガイド部に沿って、等間隔に複数個形成される
ことを特徴とするベッド装置の脚部起伏機構。
【請求項2】
前記ロックピン位置決め部は、少なくとも3個以上形成されることを特徴とする請求項1に記載のベッド装置の脚部起伏機構。
【請求項3】
前記膝ボトム支持フレームと前記足ボトム支持フレームとが開放角度が略180°の状態で、
かつ、前記膝ボトム支持フレームと前記足ボトム支持フレームとが略水平状態のときに、
前記伸縮ステーのリンク長さを特定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のベッド装置の脚部起伏機構。
【請求項4】
前記伸縮ステー頭部側寄りにある一端側と前記ベッドフレーム側との連結位置は、変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1から3のうち何れか一項に記載のベッド装置の脚部起伏機構。
【請求項5】
ベッドフレームに分割して配置される床部の一部を起伏させる起伏機構を備えるベッド装置において、
前記床部は、脚部を備え、
前記脚部を起伏させる起伏機構として、請求項1から4の何れか一項に記載の脚部起伏機構を用いることを特徴とするベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンク機構等に係り、特に、動作可能な3リンク部材を備えるリンク機構等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、利用者(被介助者)が姿勢を変化させたり、ベッド装置に乗り降りしやすくしたり、介助者が介助しやすくしたりするために、ベッド装置全体を昇降させるための昇降機構や、背上げ機構、膝上げ機構等の起伏機構を有するベッド装置が知られている。
【0003】
背上げ機構は、上部フレーム上に分割されて載置された床部のうちの上体を支持する背部(背ボトム)を作動させることによって、背ボトムに接する利用者の背中を起こす。膝上げ機構は、上部フレーム上に分割されて載置された床部のうちの膝を支持する膝部(膝ボトム)を作動させることにより、利用者の膝を上げる。
【0004】
このような起伏機構を備えるベッド装置は、例えば、身体が不自由な利用者により在宅で利用される。利用者は、ベッド装置に対して背上げ動作や膝上げ動作を行なわせることにより、自身が好む姿勢にすることができる(特許文献1を参照)。
【0005】
また、介護者は、ベッド装置に対して背上げ動作や膝上げ動作を行なわせることにより、利用者を介護しやすくなる。このように、ベッド装置は、在宅で利用する側である利用者の動作を助けることができる上に、利用者を介護する側である介護者を支援(サポート)することができる。
【0006】
膝上げ機構は、膝ボトムには足ボトムの一端部が回動可能に連結されている。足ボトムの他端部の下方に支持機構(足ボトム支持機構)が設けられ、足ボトム支持機構は、膝上げ動作が行なわれるときの足ボトムの他端部の位置、すなわち、利用者の足先の位置を第1位置(高位置)又は第1位置より低い第2位置(低位置)に調節を可能とする(例えば、特許文献2)。
【0007】
従来のベッド装置の足ボトム支持機構では、介護者が、利用者の足先の位置を低位置に調節する場合、足先支持ステーの端部を足先支持ステー用支持部の低段部に配置することにより、膝上げ動作から膝下げ動作への移行を何度行なっても、利用者の足先の位置を低位置に保つことができる。また、介護者が、利用者の足先の位置を高位置に調節する場合、足先支持ステーの端部を足先支持ステー用支持部の係合部に配置することにより、膝上げ動作から膝下げ動作への移行を何度行なっても、利用者の足先の位置を高位置に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-240583号公報
【文献】特開2009-207626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1の技術によれば、簡単な構成で膝上げを行なうことができるが、足ボトムを上げることができない。また、特許文献2の技術によれば、足ボトムを上げることができるが、足ボトムを上げる動作に切り換える操作が煩雑であって、調節がしにくいという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、起伏機構の調節を容易に行うことができるリンク機構等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための本発明に係るリンク機構等は、次の通りである。
【0012】
本発明は、動作可能な3リンク部材を備えるリンク機構であって、一端側が当該リンク機構が設けられる基部側に揺動可能に連結される第1リンク部材と、一端側が前記第1リンク部材の他端側に揺動可能に連結される第2リンク部材と、一端側が前記第2リンク部材の他端側に揺動可能に連結され、他端側が前記基部側に揺動可能に連結されて構成される第3リンク部材と、を備え、前記第3リンク部材の構成として、長手方向に長さを調節可能な調節機構を備えることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記リンク機構において、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とが開放角度が略180°の状態で、かつ、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とが略水平状態のときに、前記第3リンク部材のリンク長さを最大長として、前記リンク長さを伸縮可能とすることが好ましい。
【0014】
また、前記リンク機構において、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とが開放角度が略180°の状態で、かつ、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とが略水平状態のときに、前記第3リンク部材のリンク長さを特定することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、ベッド装置に搭載されてベッドフレームに分割して配置される床部の一部をリンク機構により起伏させる起伏機構であって、前記床部は、脚部を備え、前記脚部を起伏させるリンク機構として、一端側が当該リンク機構が設けられる基部側(ベッドフレーム側)に揺動可能に連結される第1リンク部材と、一端側が前記第1リンク部材の他端側に揺動可能に連結される第2リンク部材と、一端側が前記第2リンク部材の他端側に揺動可能に連結され、他端側が前記基部側に揺動可能に連結されて構成される第3リンク部材と、を備え、前記第3リンク部材の構成として、長手方向に長さを調節可能な調節機構を具備するリンク機構を用いることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明は、ベッドフレームに分割して配置される床部の一部を起伏させる起伏機構を備えるベッド装置において、前記床部は、脚部を備え、前記脚部を起伏させる起伏機構として、一端側が当該リンク機構が設けられる基部側(ベッドフレーム側)に揺動可能に連結される第1リンク部材と、一端側が前記第1リンク部材の他端側に揺動可能に連結される第2リンク部材と、一端側が前記第2リンク部材の他端側に揺動可能に連結され、他端側が前記基部側に揺動可能に連結されて構成される第3リンク部材と、を備え、前記第3リンク部材の構成として、長手方向に長さを調節可能な調節機構を備えるリンク機構を具備する起伏機構を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のリンク機構によれば、動作可能な3リンク部材を備えるリンク機構であって、一端側が当該リンク機構が設けられる基部側に揺動可能に連結される第1リンク部材と、一端側が前記第1リンク部材の他端側に揺動可能に連結される第2リンク部材と、一端側が前記基部側に揺動可能に連結され、他端側が前記第2リンク部材の他端側に揺動可能に連結されて構成される第3リンク部材と、を備え、前記第3リンク部材の構成として、長手方向に長さを調節可能な調節機構を備えることで、リンク機構の動作の調節を容易に行なうことができるので、例えば、このリンク機構を起伏機構に用いることで起伏動作を容易に調節することができる。
【0018】
また、本発明のリンク機構によれば、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とが開放角度が略180°の状態で、かつ、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とが略水平状態のときに、前記第3リンク部材のリンク長さを最大長として、前記リンク長さを伸縮可能とすることで、前述した作用効果に加えて、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを山形に昇降させる、いわゆる山上げ状態で作用させることが容易にでき、第2リンク部材の第3リンク部材側が上に持ち上がる、いわゆる逆反り状態を防止することができる。
【0019】
また、本発明のリンク機構によれば、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とが開放角度が略180°の状態で、かつ、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とが略水平状態のときに、前記第3リンク部材のリンク長さを特定することで、前述した作用効果に加えて、前記第2リンク部材を略平行状態で前記第1リンク部材を昇降させる、いわゆる水平上げで作用させたりすることが容易にでき、第2リンク部材の第3リンク部材側が上に持ち上がる、いわゆる逆反り状態を防止することができる。
【0020】
また、本発明の起伏機構によれば、ベッド装置に搭載されてベッドフレームに分割して配置される床部の一部をリンク機構により起伏させる起伏機構であって、前記床部は、脚部を備え、前記脚部を起伏させるリンク機構として、一端側が当該リンク機構が設けられる基部側(ベッドフレーム側)に揺動可能に連結される第1リンク部材と、一端側が前記第1リンク部材の他端側に揺動可能に連結される第2リンク部材と、一端側が前記基部側に揺動可能に連結され、他端側が前記第2リンク部材の他端側に揺動可能に連結されて構成される第3リンク部材と、を備え、前記第3リンク部材の構成として、長手方向に長さを調節可能な調節機構を具備するリンク機構を用いることで、例えば、脚部を動作させる起伏機構の起伏動作を容易に調節することができる。
【0021】
また、本発明のベッド装置によれば、ベッドフレームに分割して配置される床部の一部を起伏させる起伏機構を備えるベッド装置において、前記床部は、脚部を備え、前記脚部を起伏させる起伏機構として、一端側が当該リンク機構が設けられる基部側(ベッドフレーム側)に揺動可能に連結される第1リンク部材と、一端側が前記第1リンク部材の他端側に揺動可能に連結される第2リンク部材と、一端側が前記基部側に揺動可能に連結され、他端側が前記第2リンク部材の他端側に揺動可能に連結されて構成される第3リンク部材と、を備え、前記第3リンク部材の構成として、長手方向に長さを調節可能な調節機構を備えるリンク機構を具備する起伏機構を用いることで、例えば、脚部を動作させる起伏機構の起伏動作を容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係るベッド装置の全体の構成を示す説明図である。
図2】前記ベッド装置を構成する脚部起伏機構を動作させていない状態を示す説明図である。
図3】前記脚部起伏機構により膝ボトム支持フレームと足ボトム支持フレームを山上げ状態に上昇させた状態を示す説明図である。
図4】(a)~(c)は前記脚部起伏機構を構成する伸縮ステーの構成を示す説明図である。
図5】第2実施形態に係るベッド装置の脚部起伏機構を構成する伸縮ステーの取付状態を示す説明図である。
図6】前記脚部起伏機構を動作させていない状態を示す説明図である。
図7】前記脚部起伏機構により足ボトム支持フレームを略水平に上昇させた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、本発明のベッド装置を実施するための第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明を実施する形態の一例であって、本発明の第1実施形態に係るベッド装置の全体の構成を示す説明図、図2は前記ベッド装置を構成する脚部起伏機構を動作させていない状態を示す説明図、図3は前記脚部起伏機構により膝ボトム支持フレームと足ボトム支持フレームを山上げ状態に上昇させた状態を示す説明図である。
である。
【0024】
第1実施形態に係るベッド装置1は、図1に示すように、マットレス4と、マットレス4が載置される分割されたボトム(床部)3と、その分割されたボトム3の一部を起伏させる起伏機構と、起伏機構を支持するベッドフレーム2とを備えたベッド装置において、ボトム3の構成として、ベッド利用者の脚部に対応する膝ボトム3c、足ボトム3dを備え、図2図3に示すように、起伏機構として、膝ボトム3cをベッド長手方向に沿って起伏させる脚部起伏機構10を備え、脚部起伏機構を起伏させる特徴的なリンク機構20を備えることを特徴とするものである。
【0025】
まず、第1実施形態に係るベッド装置1の基本的な構成について説明する。
ベッドフレーム2の上には分割されたボトム(床部)3が配置される。
ボトム3は、背ボトム(背部)3a、腰ボトム3b、膝ボトム(膝部)3c、足ボトム3dに分割されて構成されている。そして、その分割されたボトム3の上にマットレス4が配置される。ベッドフレーム2のヘッド側(頭部側)とフット側(脚部側)には、それぞれヘッドボード5,フットボード6が設けられている。
【0026】
ベッドフレーム2の下部にはキャスタ8が設けられて、ベッド装置1の移動を容易にしている。
【0027】
次に、第1実施形態のベッド装置1における特徴的な構成について図面を参照して説明する。
第1実施形態では、脚部起伏機構10を動作する構成として、動作可能な3リンク部材を備えるリンク機構20を備えている。
リンク機構20は、図2図3に示すように、第1リンク部材として、一端側がリンク機構20が設けられる基部となるベッドフレーム2側に揺動可能に連結される膝ボトム支持フレーム21と、第2リンク部材として、一端側が膝ボトム支持フレーム21の他端側に揺動可能に連結される足ボトム支持フレーム22と、第3リンク部材として、一端側が足ボトム支持フレームの他端側に揺動可能に連結され、他端側がベッドフレーム2側に揺動可能に連結されて構成される伸縮ステー23とを備えている。
【0028】
膝ボトム支持フレーム21は、膝ボトム3cを下側から支持するように構成され、一端側が支持部25によりベッドフレーム2に揺動可能に軸支されている。
【0029】
足ボトム支持フレーム22は、足ボトム3dを下側から支持するように構成され、一端側が支持部26により膝ボトム支持フレーム21の他端側に揺動可能に軸支されている。
足ボトム支持フレーム22の他端側には、キャスタ11が取付けられている。
【0030】
キャスタ11は、図2に示すように、脚部起伏機構10が動作していない状態で、膝ボトム3cと足ボトム3dが平坦な状態のときに、ベッドフレーム2と当接して足ボトム支持フレーム22の他端側を支持するように構成されている。
【0031】
また、キャスタ11は、図3に示すように、脚部起伏機構10が動作した状態で、膝ボトム支持フレーム21と足ボトム支持フレーム22との連結部が上昇して山上げ状態になるときに、ベッドフレーム2と当接しながら移動することで、足ボトム支持フレーム22の他端側を支持するように構成されている。
【0032】
伸縮ステー23は、一端側がベッドフレーム2側の取付ブラケット30に支持部28により揺動可能に軸支され、他端側が支持部27により足ボトム支持フレーム22の他端側に揺動可能に軸支されている。
【0033】
ここで、伸縮ステー23について図面を参照して説明する。
図4(a)~(c)は第1実施形態のベッド装置の脚部起伏機構を構成する伸縮ステーの構成を示す説明図である。
【0034】
伸縮ステー23は、図4(a)~(c)に示すように、第1ステー部材(第1摺動部材)231と第2ステー部材(第2摺動部材)232とを備えて構成されている。伸縮ステー23は、第1ステー部材231を第2ステー部材232の内部に収納したり延伸させたりすることで伸縮可能に構成されている。
【0035】
図4(a)は、伸縮ステー23の長さが最大に伸びた状態を示す。
図4(b)は、伸縮ステー23の長さが調節された状態を示す。
図4(c)は、伸縮ステー23の長さが最小に縮めた状態を示す。
【0036】
伸縮ステー23の両端部となる第1ステー部材231の端部と第2ステー部材232の端部には、それぞれ取付穴231a,232aが設けられている。
【0037】
また、伸縮ステー23は、調節機構234を備えて、長さを調節可能に構成されている。調節機構234は、伸縮ステー23の長さを多段階で調節可能に構成されている。
【0038】
具体的には、調節機構234は、図4(a)~(c)に示すように、第1ステー部材231を第2ステー部材232に支持するロックピン234aと、ロックピン234aの移動をガイドするロックピンガイド部234bと、ロックピン234aを所定位置に位置決めするロックピン位置決め部234cを備えて構成されている。
【0039】
ロックピン234aは、第1ステー部材231の第2ステー部材232内部に収納される一端側に設けられている。ロックピン234aは第1ステー部材231の短手方向に変移可能に構成されている
【0040】
ロックピンガイド部234bは、第2ステー部材232の長手方向に沿ってロックピン234aが所定の長さを移動可能に設けられたガイド用の溝部である。
【0041】
ロックピン位置決め部234cは、ロックピン234aを第2ステー部材232上の所定位置に位置決めする位置決め用の溝部であって、ロックピン234aをロックピンガイド部234bから第2ステー部材232の短手方向に移動して位置決めする。
【0042】
ロックピン位置決め部234cは、ロックピンガイド部234bに沿って、等間隔に複数個形成されている。これにより、伸縮ステー23の長さを多段階で調節可能としている。
【0043】
ロックピン位置決め部234cの形状は、図4(b)に示すように、伸縮ステー23が短くなる方向に第1ステー部材231を移動するときにロックピンが位置決めされるように、ロックピンガイド部234bの側部から外側に向かい、かつ、第2ステー部材232の取付穴232aに向かって斜めに形成されている。
【0044】
このように構成することで、ロックピン位置決め部234cとロックピン234aとにより伸縮ステー23が短くなる方向へ第1ステー部材231を移動することをロックしている。
一方、伸縮ステー23が長くなる方向に第1ステー部材231が移動するときは、ロックピン234aはロックピン位置決め部234cの傾斜に沿って移動するので、ロックピン位置決め部234cとロックピン234aとによる位置決め状態が解除されて、第1ステー部材231を移動することができる。
【0045】
次に、第1実施形態のベッド装置1において脚部起伏機構10により利用者の脚部を起伏するときの状態について図面を参照して説明する。
【0046】
第1実施形態では、図2に示すように、膝ボトム3cとベッドフレーム2の角度を0°として、膝ボトム3cと足ボトム3dとのリンク内側の開放角度が180°の状態で、かつ、膝ボトム3cと足ボトム3dとが略水平状態のときに、図4(a)に示すように、脚部起伏機構10のリンク機構20を構成する伸縮ステー23が、最大長に伸びた状態から伸縮可能な状態、すなわちロックピン234aがロックピンガイド部234b上で移動可能な状態で、脚部起伏機構10により脚部の昇降操作を行なう。
【0047】
脚部起伏機構10により膝ボトム支持フレーム21を起伏させると、図3に示すように、足ボトム支持フレーム22の一端側は、膝ボトム支持フレーム21とともに上昇する。
足ボトム支持フレーム22他端側は、一端側が上昇することで膝ボトム支持フレーム21方向(図中左方向)に移動するに連れて、伸縮ステー23の長さが短くなり、伸縮ステー23が縮みきるまで、キャスタ11がベッドフレーム2に当接した状態で膝ボトム支持フレーム21方向に移動する。
【0048】
このように、脚部起伏機構10が動作するため、膝ボトム3cと足ボトム3dは、図3に示すように、山上げ状態で起伏される。この状態で、足ボトム3dの他端側を上昇させて伸縮ステー23の長さを調節機構234により調節して固定すると、足ボトム3dの他端側を上げた状態を維持することができる。
【0049】
また、伸縮ステー23の調節機構234の位置決め状態を解除することで、足ボトム3dの他端側を下げることができる。
【0050】
以上のように構成したので、第1実施形態によれば、脚部起伏機構10を備えたベッド装置1において、脚部起伏機構10を構成するリンク機構として、膝ボトム支持フレーム21と、足ボトム支持フレーム22と、伸縮ステー23を備え、伸縮ステー23の構成として、長手方向に長さを調節可能な調節機構234を備えることで、脚部起伏機構10による膝ボトム3cと足ボトム3dの起伏状態を容易に調節することができる。
【0051】
第1実施形態では、伸縮ステー23を縮む方向に移動可能に構成したので、脚部起伏機構10により起伏動作を行なうときは足ボトム3dの他端側が下がった山上げ状態で起伏され、足ボトム3dの他端側を持ち上げたいときは、伸縮ステー23の長さを調節機構234により調節して固定することで、利用者の所望する位置で足ボトム3dの状態を維持することができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図面を参照して説明する。
図5は第2実施形態に係るベッド装置の脚部起伏機構を構成する伸縮ステーの取付状態を示す説明図、図6は前記脚部起伏機構を動作させていない状態を示す説明図、図7は前記脚部起伏機構により足ボトム支持フレームを略水平に上昇させた状態を示す説明図である。
【0053】
なお、第2実施形態のベッド装置は、基本構成は第1実施形態のベッド装置1と同様な構成を備えるものであり、同様な構成や機能を有するものは第1実施形態のベッド装置1と同一の符号を付することで説明を省略する。
【0054】
第2実施形態では、図6に示すように、膝ボトム3cとベッドフレーム2の角度を0°として、膝ボトム3cと足ボトム3dとのリンク内側の開放角度が180°の状態で、かつ、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とが略水平状態のときに、ベッド装置1における脚部起伏機構10を構成する伸縮ステー23の設置状態を、第1実施形態と異なり、最大長に伸ばした状態にせずに、図5に示すように、ロックピン234aが最大長に伸した状態の手前のロックピン位置決め部234cにセットされて伸縮ステー23の長さが特定された状態で、脚部起伏機構10により脚部の昇降操作を行なう。
【0055】
脚部起伏機構10により膝ボトム支持フレーム21を起伏させると、図7に示すように、足ボトム支持フレーム22の一端側は、膝ボトム支持フレーム21とともに上昇する。
足ボトム支持フレーム22他端側は、一端側が上昇することで膝ボトム支持フレーム21方向(図中左方向)に移動するに連れて、伸縮ステー23が支持部28を支点として揺動することで、足ボトム支持フレーム22の他端側が膝ボトム支持フレーム21方向に移動するとともに上昇する。
【0056】
第2実施形態では、膝ボトム支持フレーム21と足ボトム支持フレーム22と伸縮ステー23とベッドフレーム2への支持する位置の関係により、足ボトム支持フレーム22を略水平に移動しながら起伏するようになっている。
【0057】
この状態で、伸縮ステー23の調節機構234による位置決め状態を解除して、伸縮ステー23の長さを調節することで、足ボトム3dの他端側を上昇位置を調節することができる。
【0058】
また、伸縮ステー23の調節機構234の位置決め状態を解除することで、足ボトム3dの他端側を下げることができる。
【0059】
以上のように構成したので、第2実施形態によれば、脚部起伏機構10を備えたベッド装置1において、伸縮ステー23を最大に伸した状態の手前でロックピン位置決め部234cにより長さを設定することで、脚部起伏機構10により起伏動作を行なうときは足ボトム3dを略水平な状態で起伏動作を行うことができる。また、足ボトム3dの他端側を下げたいときは、現状の伸縮ステー23の長さの位置決め状態を解除して、調節機構234により利用者の所望する位置にすることができる。
【0060】
なお、第2実施形態では、伸縮ステー23の長さを最大に伸した状態の手前でロックピン位置決め部234cにより位置決めするようにしているが、伸縮ステー23の長さはこれに限定されるものではなく、利用者の所望する脚部の起伏状態に応じて伸縮ステー23の長さを設定することが可能である。
【0061】
また、上述した実施形態では、伸縮ステー23の調節機構234にはロックピン234aの位置決めを複数のロックピン位置決め部234cにより調節可能にしているが、例えば、利用者の状態や好みに応じて、足ボトム3dの状態が設定されるように、伸縮ステー23の長さを、特定された位置で位置決めして設定するようにしてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、伸縮ステー23を取付ける支持部28を取付ブラケット30によりベッドフレーム2の特定位置に固定されているが、例えば、伸縮ステー23の構成や長さに応じて、取付位置を変更可能にするようにしてもよい。
【0063】
また、上述した第1実施形態における伸縮ステー23の長さの設定状態と、第2実施形態における伸縮ステー23の長さの設定状態とを切り換え可能に構成してもよい。
このように構成することで、利用者の状態に応じて脚部の起伏状態を山上げ状態とするか水平上げ状態にするかを容易に選択できる。
【0064】
なお、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のベッド装置は、医療用、介護用、家庭用のベッド等に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ベッド装置
2 ベッドフレーム(基部)
3c 膝ボトム
3d 足ボトム
10 脚部起伏機構(起伏機構)
20 リンク機構
21 膝ボトム支持フレーム(第1リンク部材)
22 足ボトム支持フレーム(第2リンク部材)
23 伸縮ステー(第3リンク部材)
231 第1ステー部材
232 第2ステー部材
234 調節機構
234a ロックピン
234b ロックピンガイド部
234c ロックピン位置決め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7