(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】浴槽台
(51)【国際特許分類】
A47K 3/12 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
A47K3/12
(21)【出願番号】P 2019073118
(22)【出願日】2019-04-05
【審査請求日】2021-11-11
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
(72)【発明者】
【氏名】土井 健史
(72)【発明者】
【氏名】青山 智行
(72)【発明者】
【氏名】大河原 由梨
(72)【発明者】
【氏名】岩本 楓
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】蔵野 いづみ
【審判官】北川 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-79708(JP,A)
【文献】特開2003-125966(JP,A)
【文献】特開2003-319884(JP,A)
【文献】特開2012-249913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持脚と、
それら各支持脚の上部に跨がって設けられ、それら各支持脚を連結する連結体と、
その連結体により支持されるとともに、前記連結体に係合されることにより当該連結体に着脱可能に取り付けられている座部と、を備える浴槽台において、
前記連結体には、その周縁
部の一部により、前記浴槽台を移動させる際に把持する取っ手が
形成されていることを特徴とする浴槽台。
【請求項2】
前記座部は、前記連結体を上方から覆う天板部と、その天板部の周縁部から下方に延び前記連結体を側方から覆う側板部とを有し、
前記連結体には、前記側板部よりも下方に延びた状態で前記取っ手が設けられていることを特徴とする請求項
1に記載の浴槽台。
【請求項3】
前記座部は、平面視にて長方形状とされ、
前記連結体は、矩形の外周枠部を有するフレーム体からなり、
前記外周枠部における4辺の各枠辺部のうち、前記座部の長辺側に配置された枠辺部に前記取っ手が設けられていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の浴槽台。
【請求項4】
前記座部は、前記連結体を上方から覆う天板部と、その天板部の周縁部から下方に延び前記連結体を側方から覆う側板部とを有し、
前記外周枠部は、前記側板部の内面に沿った矩形形状をなし、
前記外周枠部における4辺の各枠辺部のうち、前記座部の短辺側に配置された枠辺部には内側に凹むことで当該枠辺部と前記側板部との間に指を挿し入れ可能とする凹部が形成されていることを特徴とする請求項
3に記載の浴槽台。
【請求項5】
前記座部は、前記連結体を上方から覆う天板部と、その天板部の周縁部から下方に延び前記連結体を側方から覆う側板部とを有し、
前記座部の長辺側に配置された前記枠辺部はその一部が前記側板部よりも下方に突出した板状をなす板部とされており、その板部を有して前記取っ手が形成されており、
前記取っ手には、前記板部の下縁部に沿って前記板部の裏側へ突出する突出部により指掛け部が形成されていることを特徴とする請求項
3又は
4に記載の浴槽台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室の洗い場や浴槽内において踏み台や腰掛け等として用いられる浴槽台が知られている。一般に、浴槽台は、複数の支持脚と、それら各支持脚の上端部を連結して設けられるフレーム体と、そのフレーム体により支持される座部とを備えている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
座部は、合成樹脂材料により形成され、フレーム体を上方から覆う天板部と、その天板部の周縁部から下方に延びフレーム体を側方から覆う側板部とを有している。また、座部は、フレーム体に係合される係合部を有し、その係合部の係合により当該フレーム体に着脱可能に取り付けられている。この場合、座部をフレーム体から取り外して座部の清掃等を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、使用者が浴室内において浴槽台を移動させる場合には、座部の縁、すなわち座部の側板部を持って移動させることになると考えられる。例えば、浴槽台を浴槽内に入れたり浴槽内から取り出したりする際には、座部の縁を持ってかかる作業を行うことになると考えられる。
【0006】
しかしながら、上述したように、座部はフレーム体に対して着脱可能に取り付けられているため、座部を持って浴槽台を移動させる場合、座部がフレーム体から外れてしまうことが懸念される。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、座部が外れることなく移動させることが可能な浴槽台を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の浴槽台は、複数の支持脚と、それら各支持脚の上部に跨がって設けられ、それら各支持脚を連結する連結体と、その連結体により支持されるとともに、前記連結体に係合されることにより当該連結体に着脱可能に取り付けられている座部と、を備える浴槽台において、前記連結体には、その周縁側に前記浴槽台を移動させる際に把持する取っ手が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、連結体に設けられた取っ手を持って浴槽台を移動させることができるため、浴槽台を移動させるに際し、座部が連結体から外れるのを防止することができる。
【0010】
第2の発明の浴槽台は、第1の発明において、前記連結体には、その周縁部の一部により前記取っ手が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、連結体の一部を用いて取っ手が形成されているため、取っ手を連結体に設ける上で構成の簡素化を図ることができる。
【0012】
第3の発明の浴槽台は、第1又は第2の発明において、前記座部は、前記連結体を上方から覆う天板部と、その天板部の周縁部から下方に延び前記連結体を側方から覆う側板部とを有し、前記連結体には、前記側板部よりも下方に延びた状態で前記取っ手が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、連結体の周縁側に、座部の側板部よりも下方に延びた状態で取っ手が設けられている。この場合、使用者が浴槽台を腰掛けとして使用したり踏み台として使用したりする際に、取っ手が邪魔になるのを抑制することができる。
【0014】
第4の発明の浴槽台は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記座部は、平面視にて長方形状とされ、前記連結体は、矩形の外周枠部を有するフレーム体からなり、前記外周枠部における4辺の各枠辺部のうち、前記座部の長辺側に配置された枠辺部に前記取っ手が設けられていることを特徴とする。
【0015】
一般に、浴槽台は、座部が平面視にて長方形状をなしている。かかる浴槽台を浴槽内で使用する場合、座部の各短辺が浴槽の長辺と平行となるように浴槽台を浴槽内に配置することになる。このため、座部の各短辺側においては、座部と浴槽の壁との間の間隔が小さくなることが考えられる。そこで、本発明では、この点に鑑み、フレーム体の外周枠部の各枠辺部のうち、座部の長辺側に配置された枠辺部に取っ手を設けている。この場合、取っ手を持って浴槽台を浴槽内に置いたり浴槽内から取り出したりする際に、取っ手を持ち易くすることができる。
【0016】
また、使用者が浴槽内で上記の浴槽台に座る際には、足を座部の長辺側に向けて座ることになる。このため、取っ手が座部の長辺側に配置される上記の構成では、取っ手が使用者の足と同じ側に配置されることになる。したがって、上記の構成は、取っ手を持って浴槽台を浴槽内から引き出す際等において都合のよい構成となっている。
【0017】
第5の発明の浴槽台は、第4の発明において、前記座部は、前記連結体を上方から覆う天板部と、その天板部の周縁部から下方に延び前記連結体を側方から覆う側板部とを有し、前記外周枠部は、前記側板部の内面に沿った矩形形状をなし、前記外周枠部における4辺の各枠辺部のうち、前記座部の短辺側に配置された枠辺部には内側に凹むことで当該枠辺部と前記側板部との間に指を挿し入れ可能とする凹部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、座部の長辺側では、外周枠部の枠辺部に取っ手が設けられている一方、取っ手が設けられていない座部の短辺側では、外周枠部の枠辺部に内側に凹んだ凹部が形成されている。この場合、その凹部が形成されていることで、枠辺部と座部の側板部との間に指を挿し入れることが可能となっている。これにより、フレーム体に係合された座部を当該フレーム体から取り外す際に、枠辺部と側板部との間に指を挿し入れて、座部をフレーム体から取り外し易くすることが可能となる。
【0019】
第6の発明の浴槽台は、第4又は第5の発明において、前記座部は、前記連結体を上方から覆う天板部と、その天板部の周縁部から下方に延び前記連結体を側方から覆う側板部とを有し、記座部の長辺側に配置された前記枠辺部はその一部が前記側板部よりも下方に突出した板状をなす板部とされており、その板部を有して前記取っ手が形成されており、前記取っ手には、前記板部の下縁部に沿って前記板部の裏側へ突出する突出部により指掛け部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、取っ手が板状をなす板部を有しており、その取っ手には、板部の下縁部に沿って板部の裏側へ突出する突出部により指掛け部が形成されている。この場合、指掛け部に指を掛けて取っ手を持つことができるため、取っ手を持ち易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】取っ手及び凹部の周辺を斜め下方から見た斜視図。
【
図5】浴槽台を浴槽内に配置した状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、
図1は浴槽台10を斜め上方から見た斜視図であり、
図2は浴槽台10を斜め下方から見た斜視図である。
【0023】
図1及び
図2に示すように、浴槽台10は、台部11と、その台部11を支持する複数の支持脚12とを備える。台部11は、平面視において矩形形状とされ、詳しくは長方形状とされている。これにより、台部11は、平面視における4つの辺部のうち、2つの辺部が長辺部11aとなっており、残りの2つの辺部が短辺部11bとなっている。また、台部11の四隅にはそれぞれ支持脚12が取り付けられている。
【0024】
台部11は、合成樹脂製の座部13と、その座部13を下方から支える金属製のフレーム体14とを備える。座部13は、天板部15と、その天板部15の周縁部から下方に延びる側板部16とを有している。天板部15は、平面視の形状が長方形状とされており、詳しくは、その四隅に天板部15の対角線方向に張り出した張出部15aが形成されている。また、側板部16は、天板部15の周縁部に沿って環状に形成されている。
【0025】
天板部15の上面には座面シート17が敷設されている。座面シート17はクッション材により形成され、その上面が座面となっている。なお、座面シート17は必ずしもクッション材により形成される必要はなく、ゴム材により形成されてもよい。
【0026】
フレーム体14は、アルミダイカストにより成形された平面視矩形の枠体からなる。フレーム体14は、座部13の天板部15の下面側に設けられ、その周囲が側板部16により囲まれた状態で配置されている。フレーム体14は、矩形枠状をなす外周枠部21を有している。外周枠部21は、側板部16の内面に沿って延びる4つ(4辺)の枠辺部22,23と、外周枠部21の4隅に設けられた4つの筒状部24とを有している。
【0027】
各枠辺部22,23のうち、座部13の長辺側に配置された一対の枠辺部22は長辺側枠辺部22となっており、座部13の短辺側に配置された一対の枠辺部23は短辺側枠辺部23となっている。また、各筒状部24は上下に延びる筒状をなしており、その筒状部24により隣り合う枠辺部22,23同士が互いに連結されている。
【0028】
なお、フレーム体14は、外周枠部21に加え、その外周枠部21において対角に位置する筒状部24同士を繋ぐとともに互いに交差した状態で接続される一対の繋ぎ部25をさらに有している。これにより、フレーム体14の強度向上が図られている。
【0029】
フレーム体14には、座部13が着脱可能に取り付けられている。座部13は、その天板部15の下面側にフレーム体14に係合可能な複数の係合部26を有している。これらの係合部26は、天板部15の四隅付近にそれぞれ配置されている。座部13は、その天板部15がフレーム体14の上に載置された状態で、各係合部26がフレーム体14の外周枠部21に下方から係合されている。これにより、その係合によって、座部13がフレーム体14に着脱可能に取り付けられている。この場合、座部13やフレーム体14を清掃する際に、座部13をフレーム体14から取り外して清掃することが可能となっている。
【0030】
支持脚12は、上下方向に延びる筒状をなしており、金属製とされている。各支持脚12は、その上端部がフレーム体14の筒状部24に挿入され、その挿入状態でフレーム体14に取り付けられている。この場合、フレーム体14が各支持脚12を連結する連結体に相当する。また、各支持脚12は、その脚長さがそれぞれ調整可能とされている。
【0031】
各支持脚12の下端部には脚ゴム27が取り付けられている。脚ゴム27には、その底面部に吸盤28が設けられている。脚ゴム27と吸盤28とはゴム材による一体成形により形成されている。
【0032】
ここで、本浴槽台10には、使用者が浴槽台10を移動させる際に把持するための取っ手31が設けられている。取っ手31は、台部11における各長辺部11aにそれぞれ設けられている。本浴槽台10では、この取っ手31に関する構成に特徴を有しており、以下においてはその特徴的な構成について
図3及び
図4を用いながら説明する。
図3は、浴槽台10を台部11の長辺部11a側から見た側面図である。
図4は、取っ手31及び凹部38の周辺を斜め下方から見た斜視図である。
【0033】
図3及び
図4に示すように、フレーム体14の外周枠部21の各長辺側枠辺部22は、上側に座部13の天板部15が載置される載置板部22aと、その載置板部22aから下方に延び座部13の側板部16と対向する対向板部22bとを有している。各長辺側枠辺部22の対向板部22bは座部13の側板部16よりも下方に延出した延出部分32を有しており、それら各延出部分32によりそれぞれ取っ手31が形成されている。
【0034】
各取っ手31は、長辺側枠辺部22の長手方向に延びる横長形状とされ、換言すると台部11の長辺部11aに沿って延びる横長形状とされている。各取っ手31は、長辺部11aにおける中間部に配置され、詳しくは中央部に配置されている。
【0035】
各取っ手31は、座部13の側板部16よりも下方に突出する板状をなす取っ手板部33を備える。取っ手板部33は、長辺部11aに沿って延びる横長形状とされ、全体として逆台形形状とされている。これにより、取っ手板部33は、長辺部11aに沿う方向(以下、長辺方向という)の長さが下方に向かうにつれて小さくなっている。なお、取っ手板部33が「板部」に相当する。
【0036】
詳しくは、取っ手板部33は、長辺方向に延びる下縁部33aと、その下縁部33aの両端部からそれぞれ上方に延びる一対の側縁部33bとを有しており、各側縁部33bが上側に向かうにつれ互いに離間するように傾斜して延びている。より詳しくは、下縁部33aの両端部にはそれぞれ円弧状をなす円弧部33cが形成され、その円弧部33cを介して下縁部33aが側縁部33bと滑らかに接続されている。
【0037】
取っ手板部33には、その下縁部33aに沿って延び取っ手板部33の裏側に突出する突出部35が設けられている。本取っ手31においてはこの突出部35により指掛け部36が形成されている。これにより、その指掛け部36に指を掛けて取っ手31を持つことが可能となっている。
【0038】
また、突出部35は、下縁部33aと各側縁部33bと(円弧部33cと)に連続して形成されており、詳しくは下縁部33aの全域と各側縁部33bの全域とに亘って連続して形成された突条部とされている。また、取っ手板部33の表側の面は突出部35にかけて曲面状をなしており、詳しくは突出部35にかけて円弧状をなす円弧面とされている。
【0039】
フレーム体14の外周枠部21の各短辺側枠辺部23は、上側に座部13の天板部15が載置される載置板部23aと、その載置板部23aから下方に延び座部13の側板部16と対向する対向板部23bとを有している。各短辺側枠辺部23の対向板部23bにはフレーム内側に向けて凹んだ凹部38が形成されている。凹部38は、短辺側枠辺部23の中央部に形成され、フレーム内側に凸となる円弧状をなすように凹んでいる。この凹部38により対向板部23bと側板部16との間には所定の隙間が形成されており、その隙間により指を挿し入れ可能な挿し入れ部39が形成されている。これにより、フレーム体14に係合された座部13を当該フレーム体14から取り外す際には、この挿し入れ部39に指を挿し入れて座部13を取り外すことが可能となっている。
【0040】
以上のように、本浴槽台10では、台部11の各長辺部11aにそれぞれ取っ手31が設けられている一方、台部11の各短辺部11bにはそれぞれ指を挿し入れ可能な挿し入れ部39(凹部38)が設けられている。
【0041】
続いて、浴槽台10の使用方法について
図5を用いながら説明する。
図5は、浴槽台10を浴槽内に配置した状態を示す平面図である。
【0042】
図5に示すように、浴槽台10を浴槽45内で使用する場合には、台部11の各短辺部11bが浴槽45の長辺と平行となるように浴槽台10を浴槽45内に配置する。この場合、浴槽台10は、台部11の各短辺部11bが浴槽45の壁45a(周壁)に近接した状態で配置される。浴槽台10を浴槽45内に配置する際には、取っ手31を持って浴槽台10を浴槽45内に移動させ配置する。この場合、取っ手31は台部11の長辺部11aに設けられているため、取っ手31が持ち易くなっている。
【0043】
浴槽台10を浴槽45内に配置した後、浴槽台10を浴槽45の底面45bに上方から押し付けることで、浴槽台10の下端に設けられた吸盤28を底面45bに対して吸着させる。これにより、浴槽台10が底面45bに対して固定された状態となる。
【0044】
使用者Uは浴槽45内に配置された浴槽台10を踏み台として利用したり、腰掛けとして利用したりすることができる。例えば使用者Uが浴槽台10を腰掛けとして使用する場合、使用者Uは台部11の長辺部11aの側に足を配置した状態で台部11上に座ることになる。この場合、使用者Uの足が配置される長辺部11a側には上述したように取っ手31が設けられている。このため、使用者Uが取っ手31を持って浴槽台10を浴槽45から取り出す際に好都合となっている。
【0045】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0046】
フレーム体14の外周枠部21に取っ手31を設けたため、その取っ手31を持って浴槽台10を移動させることができる。これにより、浴槽台10を移動させるに際し、座部13がフレーム体14から外れてしまうのを防止することができる。
【0047】
また、浴槽台10は吸盤28を用いて浴槽45の底面45bに固定されるため、浴槽台10を浴槽45から引き上げる際には比較的大きな力で引き上げる必要がある。このため、例えば座部13の縁(側板部16)を持って浴槽台10を引き上げるとなると、座部13がフレーム体14から外れてしまうことが大いに想定される。この点、外周枠部21に取っ手31を設けたことで、その取っ手31を持って浴槽台10を引き上げることができるため、かかる引き上げの際においても座部13がフレーム体14から外れてしまうのを防止することができる。
【0048】
外周枠部21の一部、具体的にはその枠辺部22の一部を座部13の側板部16よりも下方に延出させ、その延出させた延出部分32により取っ手31を形成した。この場合、取っ手31をフレーム体14に設ける上で構成の簡素化を図ることができる。
【0049】
フレーム体14の周縁側に、座部13の側板部16よりも下方に延出させた状態で取っ手31を設けたため、使用者が浴槽台10を腰掛けとして使用したり踏み台として使用したりする際に、取っ手31が邪魔になるのを抑制することができる。
【0050】
座部13の長辺側では、外周枠部21の枠辺部22に取っ手31を設ける一方、座部13の短辺側では、外周枠部21の枠辺部23にフレーム内側に凹んだ凹部38を形成した。この場合、その凹部38が形成されていることで、枠辺部23と座部13の側板部16との間に指を挿し入れ可能な挿し入れ部39が形成されている。これにより、フレーム体14に係合された座部13を当該フレーム体14から取り外す際に、その挿し入れ部39に指を挿し入れて、座部13をフレーム体14から取り外し易くすることが可能となる。
【0051】
取っ手31には、取っ手板部33の下縁部33aに沿って取っ手板部33の裏側へ突出する突出部35が形成され、その突出部35により指掛け部36が形成されている。この場合、その指掛け部36に指を掛けて取っ手31を持つことができるため、取っ手31を持ち易くすることができる。
【0052】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、取っ手31をフレーム体14の一部を用いて形成したが、これを変更して、取っ手をフレーム体14とは別体で形成し、その取っ手をフレーム体14にねじ等の固定部材を用いて固定するようにしてもよい。この場合にも、浴槽台10を移動させる際、取っ手を持つことで、座部13がフレーム体14から外れるのを防止することができる。
【0054】
・また、取っ手をフレーム体14とは別体で形成する場合、その取っ手を板状に形成してもよいし、棒状に形成してもよい。例えば、取っ手を棒状に形成する場合、棒材を下方に凸となるように折り曲げることで取っ手を形成することが考えられる。この場合、棒材の上端側をフレーム体14の外周枠部21に固定し、棒材において凸部を含む下側部分を座部13の側板部16よりも下方に延出させ取っ手とする。この場合、取っ手における上記凸部を持って浴槽台10を移動させることが可能となる。
【0055】
また、取っ手をフレーム体14とは別体で形成する場合、取っ手をフレーム体14と異なる金属材料により形成したり、又は樹脂材料により形成したりしてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、取っ手31を座部13の各長辺側にそれぞれ設けたが、取っ手31を座部13の各長辺側のうち一方にのみ設けるようにしてもよい。また、取っ手31を座部13の長辺側に設けることに代えて又は加えて、座部13の短辺側に設けるようにしてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、座部13を平面視において長方形状としたが、これを変更して、正方形状としてもよい。その場合、フレーム体14の外周枠部21の各枠辺部のうちいずれかの枠辺部に取っ手31を設ければよい。
【0058】
・上記実施形態では、取っ手31をフレーム体14において下方に突出するように設けたが、これを変更して、取っ手31をフレーム体14において側方に突出するように設けてもよい。例えば、フレーム体14の外周枠部21(長辺側枠辺部22)の一部を座部13の側板部16よりも下方に延出させるとともに、その延出部分からさらに側方(浴槽台10の外側)に向けて延出させた延出部分を設け、その延出部分により取っ手を形成することが考えられる。
【0059】
また、取っ手をフレーム体14において上方に突出するように設けてもよい。この場合、例えば座部13の天板部15に取っ手を挿通させる孔部を形成し、その孔部を通じてフレーム体14とは別体からなる取っ手を当該フレーム体14に取り付ける構成が考えられる。
【0060】
・上記実施形態では、取っ手板部33の裏側に突出する突出部35を取っ手板部33の下縁部33aと各側縁部33bとに連続させて形成したが、これを変更して、突出部35を取っ手板部33の下縁部33aにのみ形成してもよい。その場合にも、突出部35により指掛け部36が形成されるため、その指掛け部36に指を掛けながら取っ手31を持つことができる。
【0061】
なお、取っ手板部33の裏側に突出部35(指掛け部36)を設けないようにしてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、各支持脚12を連結する連結体としてのフレーム体14をアルミダイカスト(鋳造)により形成したが、連結体は必ずしも鋳造によって形成する必要はない。例えば、連結体を、鋼板により形成したり、パイプ材を組み合わせて形成したりしてもよい。これらの場合にも、連結体の周縁側に取っ手を設けることで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、連結体を鋼板により形成する場合、その鋼板の周縁部の一部を座部13の側板部16よりも下方に延出させることで取っ手を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…浴槽台、11…台部、12…支持脚、13…座部、14…フレーム体、21…外周枠部、22…枠辺部、23…枠辺部、31…取っ手、32…延出部分、33…取っ手板部、33a…下縁部、35…突出部、36…指掛け部、38…凹部。