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特許7474037セパレータ継手、セパレータシステム、及びケーブル保護管
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】セパレータ継手、セパレータシステム、及びケーブル保護管
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/06 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
H02G9/06 050
H02G9/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019171023
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021048733
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】澤田 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】森 勇樹
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-216819(JP,A)
【文献】特開2007-236117(JP,A)
【文献】特開2008-017666(JP,A)
【文献】特開2007-229813(JP,A)
【文献】特開2006-158114(JP,A)
【文献】特開2009-268185(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03088786(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護管本体内を仕切るセパレータ部材に、軸状部材を介して接続されるセパレータ継手であって、
前記セパレータ部材に接触する継手壁を備え、
前記継手壁には、
前記軸状部材が内部に配置される第1貫通孔と、
前記第1貫通孔が開口する外面から、前記第1貫通孔とともに前記外面に交差する交差方向に延びて前記継手壁を貫通する第2貫通孔と、が形成され、
前記第2貫通孔は、前記第1貫通孔から前記外面に沿う沿面方向に延び、
前記交差方向及び前記沿面方向にそれぞれ直交する方向を直交方向としたときに、
前記第2貫通孔の前記直交方向の長さは、前記軸状部材の径よりも小さく、
前記継手壁には、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔が前記沿面方向に並べて一対形成され、
前記一対の第1貫通孔は、前記一対の第2貫通孔の間に配置されているセパレータ継手。
【請求項2】
前記軸状部材の径に対する前記第2貫通孔の前記直交方向の長さの比は、0.1以上1未満である請求項1に記載のセパレータ継手。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセパレータ継手と、
前記セパレータ部材と、
前記軸状部材と、
を備え、
前記第2貫通孔は、前記セパレータ部材における前記セパレータ継手が接続される端部とは反対側の端部に向かって延びているセパレータシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のセパレータシステムと、
前記保護管本体と、
を備え、
前記沿面方向は、前記保護管本体の管軸方向であるケーブル保護管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータ継手、セパレータシステム、及びケーブル保護管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無電柱化による景観の保護、地震等の災害時における被害の軽減等のために、電話線等の通信ケーブルを道路の路面下に埋設することが行われている。通信ケーブルを埋設する際に、例えば特許文献1に開示されたケーブル保護管が用いられている。ケーブル保護管では、保護管本体内がセパレータ部材により仕切られている。通信ケーブルは、引込用ケーブル、幹線用ケーブルといった通信ケーブルの種類に応じてセパレータ部材により分離され、保護管本体内に収容されている。
【0003】
ケーブル保護管は、セパレータ部材を複数備えている。複数のセパレータ部材は、保護管本体の管軸方向に並べて配置されている。管軸方向に隣り合う一対のセパレータ部材は、セパレータ継手により互いに接続されている。
セパレータ継手は、管軸方向の第1側に配置されたセパレータ部材に接続された連結部と、管軸方向の第2側に配置されたセパレータ部材に接続された受入部と、を備えている。受入部が、連結部を管軸方向に摺動可能に受け入れるため、一対のセパレータ部材のうちの一方のセパレータ部材が、一対のセパレータ部材のうちの他方のセパレータ部材に対して管軸方向に移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-259678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のケーブル保護管では、地震や温度変化等によりセパレータ部材に管軸方向の力が作用したときに、一方のセパレータ部材が他方のセパレータ部材に対して相対的に移動して、セパレータ部材に作用する管軸方向の力を緩和している。これにより、セパレータ部材が損傷するのを防止している。
しかしながら、特許文献1のセパレータ継手の構成は複雑であり、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、簡単な構成でセパレータ部材に対して管軸方向に移動させることができるセパレータ継手、及びこのセパレータ継手を備えるセパレータシステム及びケーブル保護管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のセパレータ継手は、保護管本体内を仕切るセパレータ部材に、軸状部材を介して接続されるセパレータ継手であって、前記セパレータ部材に接触する継手壁を備え、前記継手壁には、前記軸状部材が内部に配置される第1貫通孔と、前記第1貫通孔が開口する外面から、前記第1貫通孔とともに前記外面に交差する交差方向に延びて前記継手壁を貫通する第2貫通孔と、が形成され、前記第2貫通孔は、前記第1貫通孔から前記外面に沿う沿面方向に延び、前記交差方向及び前記沿面方向にそれぞれ直交する方向を直交方向としたときに、前記第2貫通孔の前記直交方向の長さは、前記軸状部材の径よりも小さく、前記継手壁には、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔が前記沿面方向に並べて一対形成され、前記一対の第1貫通孔は、前記一対の第2貫通孔の間に配置されていることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、セパレータ部材に接続された軸状部材を、セパレータ継手の第1貫通孔の内部に配置する。例えば、保護管本体内にセパレータ部材及びセパレータ継手を、第2貫通孔が第1貫通孔から延びる沿面方向が、保護管本体の管軸方向に平行になるように配置する。
【0009】
地震等によりセパレータ部材に管軸方向の力が作用しないときには、軸状部材に比較的大きな力が作用しなく、第2貫通孔の直交方向の長さは軸状部材の径よりも小さいため軸状部材は第2貫通孔内を通れず、軸状部材は第1貫通孔内に配置されている。一方で、セパレータ部材に前記管軸方向の力が作用すると、保護管本体内の一対のセパレータ部材が管軸方向に相対的に移動しようとする。この際に、軸状部材に比較的大きな力が作用し、軸状部材により継手壁における第2貫通孔の周縁部が変形し、軸状部材が第1貫通孔内から第2貫通孔内に向けて沿面方向に移動する。これにより、セパレータ部材が軸状部材とともにセパレータ継手に対して相対的に沿面方向(管軸方向)に移動し、セパレータ部材に作用する管軸方向の力が緩和される。
従って、第1貫通孔及び第2貫通孔が形成された継手壁を備えるセパレータ継手、及び軸状部材をという簡単な構成で、セパレータ部材に対してセパレータ継手を管軸方向に移動させることができる。
また、セパレータ部材に管軸方向に引張り力が作用する際に、軸状部材は、軸状部材が内部に配置されていた第1貫通孔から沿面方向の外側に延びるように配置された第2貫通孔内を移動しようとする。従って、セパレータ部材に管軸方向に引張り力が作用する際に、第2貫通孔をより効果的に用いることができる。
【0010】
また、前記セパレータ継手において、前記軸状部材の径に対する前記第2貫通孔の前記直交方向の長さの比は、0.1以上1未満であってもよい。
この発明によれば、地震等により軸状部材に比較的大きな力が作用しないときには、軸状部材を第1貫通孔内により確実に留めるとともに、軸状部材に比較的大きな力が作用するときには、軸状部材を第1貫通孔内から第2貫通孔内により確実に移動させることができる。
【0012】
また、本発明のセパレータシステムは、前記に記載のセパレータ継手と、前記セパレータ部材と、前記軸状部材と、を備え、前記第2貫通孔は、前記セパレータ部材における前記セパレータ継手が接続される端部とは反対側の端部に向かって延びていることを特徴としている。
この発明によれば、簡単な構成でセパレータ部材に対して管軸方向に移動させることができるセパレータ継手を用いてセパレータシステムを構成することができる。この際に、第2貫通孔は、セパレータ部材におけるセパレータ継手が接続される端部とは反対側の端部に向かって延びているため、セパレータ部材に管軸方向に引張り力が作用する際に、第2貫通孔をより効果的に用いることができる。
【0013】
また、本発明のケーブル保護管は、前記に記載のセパレータシステムと、前記保護管本体と、を備え、前記沿面方向は、前記保護管本体の管軸方向であることを特徴としている。
この発明によれば、軸状部材に比較的大きな力が作用した際に、軸状部材により継手壁における第2貫通孔の周縁部が変形し、軸状部材が第1貫通孔内から第2貫通孔内に向けて沿面方向に移動する。これにより、セパレータ部材が軸状部材とともにセパレータ継手に対して相対的に沿面方向(管軸方向)に移動し、セパレータ部材に作用する引張り力を緩和させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のセパレータ継手、セパレータシステム、及びケーブル保護管によれば、簡単な構成でセパレータ部材に対してセパレータ継手を管軸方向に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態のケーブル保護管が用いられるケーブル保護管路の斜視図である。
図2】同ケーブル保護管の一部を破断した斜視図である。
図3】同ケーブル保護管のセパレータ部材の正面図である。
図4図2中の切断線A1-A1の断面図である。
図5】同ケーブル保護管路のセパレータ継手の平面図である。
図6図4中の切断線A2-A2の断面図である。
図7】同ケーブル保護管を施工する工程を説明する平面図である。
図8】同ケーブル保護管の作用を説明する平面図である。
図9】本発明の一実施形態の第1変形例におけるセパレータ継手に、一対の直管用のセパレータ部材を接続した状態の平面図である。
図10】本発明の一実施形態の変形例におけるセパレータ継手に、直管用のセパレータ部材及び曲管用のセパレータ部材を接続した状態の平面図である。
図11】本発明の一実施形態の第2変形例におけるセパレータ継手の平面図である。
図12】本発明の一実施形態の第3変形例におけるセパレータ継手の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るケーブル保護管の一実施形態を、図1から図12を参照しながら説明する。
本実施形態のケーブル保護管2は、図1に示すケーブル保護管路1に用いられる。ケーブル保護管路1は、いわゆる一管セパレート方式のケーブル保護管2を備えている。ケーブル保護管2内には、通信ケーブル100が収容されている。ケーブル保護管2は、地中Gに埋設され、地中Gに通信ケーブル100を設置するためのものである。
【0017】
図1及び図2に示すように、ケーブル保護管2は、保護管本体10と、セパレータ部材15と、セパレータ継手35と、リベット(軸状部材)55と、を備えている。なお、図2では一部のセパレータ部材15を二点鎖線で示している。セパレータ部材15、セパレータ継手35、及びリベット55、セパレータシステム60を構成する。
図2に示すように、保護管本体10は円管状に形成されている。保護管本体10の内周面には、この内周面から保護管本体10の径方向(以下、単に径方向と言う)内側に向かって突出する凸部11が一対形成されている。一対の凸部11は、保護管本体10の管軸Oを挟むように配置されている。すなわち、一対の凸部11のうちの一方の凸部11は、他方の凸部11に対して、管軸O回りに180度移動した位置に配置されている。
なお、一対の凸部11の配置はこれに限定されず、一対の凸部11は保護管本体10の周方向の任意の位置に配置することが可能である。
保護管本体10及び一対の凸部11は、硬質塩化ビニル等の強度の高い合成樹脂材料を押出し成形することで一体に形成されている。保護管本体10は、管軸Oが水平面に沿うよう配置されている。なお、保護管本体10が配置される向きは、これに限定されない。
【0018】
セパレータ部材15は、保護管本体10の内部空間Sを上下方向に仕切っている。なお、セパレータ部材15が保護管本体10内を仕切る方向は上下方向に限定されず、管軸O方向に見たときの左右方向等でもよい。
図2及び図3に示すセパレータ部材15は、いわゆる直管用のセパレータ部材である。セパレータ部材15は、板状部16と、一対の板ばね部25と、を備えている。なお、図3は、セパレータ部材15を管軸Oに沿って見た、セパレータ部材15の正面図である。
板状部16は、本体連結壁17と、第1本体壁18と、第2本体壁19と、を備えている。本体連結壁17、第1本体壁18、及び第2本体壁19は、それぞれ平板状に形成されている。
本体連結壁17は、本体連結壁17の厚さ方向が上下方向に沿うように配置されている。
【0019】
第1本体壁18は、本体連結壁17の幅方向(管軸O方向に見たときに本体連結壁17の厚さ方向に直交する方向。以下では単に幅方向と言う)の第1端部から、本体連結壁17から離間するに従い漸次、上方に向かうように傾斜している。第2本体壁19は、本体連結壁17の幅方向の第2端部から、本体連結壁17から離間するに従い漸次、上方に向かうように傾斜している。
図3に示すように管軸Oに沿って見たときに、第1本体壁18及び第2本体壁19がなす第1角度θ1は、鈍角以下(0度よりも大きく180度未満)である。
ここで、第1角度θ1とは、第1本体壁18及び第2本体壁19が互いに接触していない場合には、第1本体壁18の外面の延長線L1と第2本体壁19の外面の延長線L2とがなす角度のことを意味する。第1本体壁18及び第2本体壁19が互いに接触している場合には、実際に第1本体壁18の外面と第2本体壁19の外面とがなす角度のことを意味する。
例えば、セパレータ部材15は、第1角度θ1をなす側が上方になるように配置して用いられている。
【0020】
図3及び図4に示すように、第1本体壁18には本体貫通孔18aが形成されている。なお、図4は、管軸Oに直交する断面図である。
本体貫通孔18aは、上下方向に沿って延びている。本体貫通孔18aは、第1本体壁18を上下方向に見たときに円形状を呈している。
第2本体壁19には、本体貫通孔18aと同様に本体貫通孔19aが形成されている。
【0021】
図3に示すように、板ばね部25は、ばね本体26と、第1凹部27と、を備えている。
ばね本体26は、第1本体壁18及び第2本体壁19における径方向外側の各端部から下方に向かって延びている。ばね本体26は、径方向外側に向かって凸となるように、保護管本体10の内周面に沿って湾曲している。
第1凹部27は、径方向内側に向かって窪んでいる。第1凹部27は、ばね本体26における本体壁18,19に接続される端部に設けられている。第1凹部27は、保護管本体10の凸部11に嵌め合っている(図2参照)。
本体壁18,19と第1凹部27との間には、第2凹部28がそれぞれ形成されている。第2凹部28は、径方向外側に向かって窪んでいる。
セパレータ部材15は、硬質塩化ビニル等の強度の高い合成樹脂材料を押出し成形すること等で一体に形成されている。
なお、セパレータ部材15が配置される向きは、これに限定されない。
【0022】
図2に示すように、セパレータ部材15は、内部空間Sを、板状部16よりも上方の上側管路S1と、板状部16よりも下方の下側管路S2と、に仕切っている。
板状部16の上側の外面は、上側管路S1に引込用ケーブルを収納するために、例えば、保護管本体10の内周面との間には直径φ100mmの円が内接可能な程度の収容空間が確保可能に設定されている。
【0023】
図5及び図6に示すように、セパレータ継手35は、継手連結壁37と、第1継手壁(継手壁)38と、第2継手壁(継手壁)39と、を備えている。
継手連結壁37、第1継手壁38、及び第2継手壁39は、それぞれ平板状に形成され、図5に示す平面視でそれぞれ矩形状を呈している。図5及び図6に示すように、第1継手壁38、継手連結壁37、及び第2継手壁39は、幅方向にこの順で並べて配置されている。
継手連結壁37の長手方向(管軸O方向)の各端部には、連結貫通孔42がそれぞれ形成されている。連結貫通孔42は、継手連結壁37の厚さ方向に延びていて、継手連結壁37の厚さ方向に見たときに円形状を呈している。
【0024】
第1継手壁38は、継手連結壁37の幅方向の第1端部から、継手連結壁37から離間するに従い漸次、上方に向かうように傾斜している。第1継手壁38の管軸O方向の長さ、及び継手連結壁37の管軸O方向の長さは、互いに同等である。
第2継手壁39は、継手連結壁37の幅方向の第2端部から、継手連結壁37から離間するに従い漸次、上方に向かうように傾斜している。第2継手壁39の管軸O方向の長さ、及び継手連結壁37の管軸O方向の長さは、互いに同等である。
継手連結壁37、第1継手壁38、及び第2継手壁39の管軸O方向の中心の位置は、互いに一致している。
【0025】
図6に示すように管軸Oに沿って見たときに、第1継手壁38及び第2継手壁39がなす第2角度θ2は、鈍角以下である。
ここで、第2角度θ2とは、第1継手壁38及び第2継手壁39が互いに接触していない場合には、第1継手壁38の外面の延長線L6と第2継手壁39の外面の延長線L7とがなす角度のことを意味する。第1継手壁38及び第2継手壁39が互いに接触している場合には、実際に第1継手壁38の外面と第2継手壁39の外面とがなす角度のことを意味する。第2角度θ2は、第1角度θ1と同程度である。
【0026】
図4及び図5に示すように、第1継手壁38には、継手貫通孔43が形成されている。継手貫通孔43は、第1貫通孔44と、第2貫通孔45と、を備えている。
ここで、第1継手壁38における第1貫通孔44及び第2貫通孔45がそれぞれ開口する外面を、開口外面38aと言う。開口外面38aは、平坦である。開口外面38aに直交する方向を、交差方向Xと言う。この例では、第1貫通孔44及び第2貫通孔45は、開口外面38aから交差方向Xに延びて第1継手壁38を貫通している。なお、第1貫通孔44及び第2貫通孔45が延びる交差方向Xは、開口外面38aに直交する方向に限定されず、開口外面38aに交差する方向でもよい。
第2貫通孔45は、第1貫通孔44から開口外面38aに沿う沿面方向Yに延びている。ここで、交差方向X及び沿面方向Yにそれぞれ直交する方向を、直交方向Zと言う。なお、開口外面38aに直交する方向とは、開口外面38aにおける第1貫通孔44及び第2貫通孔45がそれぞれ開口する部分が湾曲している場合には、この湾曲している部分に接する平面に直交する方向のことを意味する。
【0027】
図5に示すように、沿面方向Yは、開口外面38aに沿う方向のうち、第1継手壁38と継手連結壁37との接続部分38bに沿う方向である。
本実施形態では、第1継手壁38に、一対の継手貫通孔43(第1貫通孔44及び第2貫通孔45)が沿面方向Yに互いに間隔を空けて並べて配置されている。以下では、一対の第1貫通孔44のうち、一方の第1貫通孔44を第1貫通孔44Aとも言い、他方の第1貫通孔44を第1貫通孔44Bとも言う。第1貫通孔44Aから延びる第2貫通孔45(一対の第2貫通孔45のうちの一方)を第2貫通孔45Aとも言い、第1貫通孔44Bから延びる第2貫通孔45(一対の第2貫通孔45のうちの他方)を第2貫通孔45Bとも言う。第1貫通孔44Bに対する第1貫通孔44A側を第1側Y1と言い、第1貫通孔44Aに対する第1貫通孔44B側を第2側Y2と言う。
第2貫通孔45Aは、第1貫通孔44Aから、第1貫通孔44Bから離間する向き(第1側Y1)に沿面方向Yに沿って延びている。第2貫通孔45Bは、第1貫通孔44Bから、第1貫通孔44Aから離間する向き(第2側Y2)に沿面方向Yに沿って延びている。
第1継手壁38では、一対の第1貫通孔44は、一対の第2貫通孔45の間に配置されている。
【0028】
第1貫通孔44は、交差方向Xに見たときに円形状を呈している。第2貫通孔45は、交差方向Xに見たときに、沿面方向Yに長い長円形状を呈している。第1貫通孔44及び第2貫通孔45の直交方向Zの中心の位置は、互いに一致している。
図4に示すように、第2貫通孔45の直交方向Zの長さM2は、第1貫通孔44の径M1よりも短い。径M1は、4.2mm以上4.5mm以下程度であることが好ましい。長さM2は、2.0mm以上3.8mm以下程度であることが好ましい。後述するリベット55の軸部56の径M3に対する第2貫通孔45の長さM2の比は、0.1以上1未満であることが好ましい。この比は、0.8以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましい。この比は、0.3以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましい。
【0029】
例えば、電線共用溝では、耐震性確保のため、セパレータ部材の管軸方向の長さの1%、セパレータ部材に対してセパレータ継手が管軸方向に移動できることが求められている。ここで、セパレータ継手35に直交方向Zに2つの第2貫通孔45A,45Bが形成され、セパレータ部材15の管軸O方向の長さが5mの場合について説明する。この場合、各第2貫通孔45A,45Bの沿面方向Yの長さは、(5m×1%/2)の式から、25mmであることが好ましい。
例えば、保護管本体10の呼び径が100A(外径114mm)の場合、図5に示すセパレータ継手35の沿面方向Yの長さM6は、100mmである。第2貫通孔45A,45Bの長さM7は、それぞれ25mmである。第1貫通孔44A,44B間のピッチM8は、21mmである。
また、保護管本体10の呼び径は任意に設定することができる。保護管本体10の呼び径は、75A~300Aの何れであってもよい。
【0030】
図5に示すように、第2継手壁39には、継手貫通孔43と同様に構成された継手貫通孔48が形成されている。継手貫通孔48は、継手貫通孔43の第1貫通孔44、第2貫通孔45と同様に構成された第1貫通孔49、第2貫通孔50を備えている。第1貫通孔49、第2貫通孔50は、管軸Oを含む鉛直面に対して、第1貫通孔44、第2貫通孔45とそれぞれ面対称に形成されている。
第2貫通孔45Aの第1側Y1の端部、及び一対の連結貫通孔42のうちの第1側Y1の連結貫通孔42(以下、連結貫通孔42Aとも言う)の沿面方向Yの位置は、互いに一致している。第2貫通孔45Aの第2側Y2の端部、及び一対の連結貫通孔42のうちの第2側Y2の連結貫通孔42(以下、連結貫通孔42Bとも言う)の沿面方向Yの位置は、互いに一致している。
セパレータ継手35は、硬質塩化ビニル等の、弾性変形可能であって強度の高い合成樹脂材料を射出成形することで一体に形成されている。また、セパレータ継手35は、塩化ビニルシートのプレス加工等によっても製造することができる。
【0031】
図2に示すように、継手連結壁37、第1継手壁38、第2継手壁39は、本体連結壁17、第1本体壁18、第2本体壁19の下方から、本体連結壁17、第1本体壁18、第2本体壁19の管軸O方向の第1端部(セパレータ継手35が接続される端部)の下面にそれぞれ接触している。
継手連結壁37、第1継手壁38、第2継手壁39は、本体連結壁17、第1本体壁18、第2本体壁19に平行にそれぞれ配置されている。
第1継手壁38及び第2継手壁39は、セパレータ部材15の第1凹部27により第1継手壁38及び第2継手壁39の下方からそれぞれ支持されている。
セパレータ継手35は、第2角度θ2をなす側が上方になるように配置して用いられている。
【0032】
図4に示すように、リベット55は、軸部56と、軸部56よりも大径の第1頭部57、第2頭部58と、を備えている。
軸部56は、円柱状に形成され、セパレータ部材15の本体貫通孔18aの内部、及びセパレータ継手35の第1貫通孔44の内部にそれぞれ配置されている。
第1頭部57は、軸部56の第1端部に接続され、第1本体壁18の上面にこの上面の上方から係止している。第2頭部58は、軸部56の第2端部に接続され、第1継手壁38の下面にこの下面の下方から係止している。
第1貫通孔44の径M1は、リベット55の軸部56の径M3よりも大きい。第2貫通孔45の直交方向Zの長さM2は、軸部56の径M3よりも小さい。
【0033】
こうして、セパレータ部材15の第1本体壁18とセパレータ継手35の第1継手壁38とが、リベット55を介して接続されている。第2貫通孔45Aは、第1貫通孔44Aから沿面方向Yに沿って、セパレータ部材15におけるセパレータ継手35が接続される第1端部とは反対側の第2端部に向かって延びている(図2参照)。
同様に、セパレータ部材15の第2本体壁19とセパレータ継手35の第2継手壁39とが、リベット55を介して接続されている。
沿面方向Yは、保護管本体の管軸O方向である。
【0034】
図1に示すように、ケーブル保護管2の上側管路S1には、通信ケーブル100である引込用ケーブル100aが収容されている。
下側管路S2には、さや管103内に配置された通信ケーブル100である幹線用ケーブル100bが収容されている。
【0035】
以上のように構成されたケーブル保護管2は、以下のようにして施工される。
地中Gに、保護管本体10を埋設する。
保護管本体10内に、図7に示すセパレータ部材15(以下、セパレータ部材15Aとも言う。)の先端部(管軸O方向の端部)を配置する。この際に、一対の凸部11にセパレータ部材15Aの一対の第1凹部27を嵌め合わせる。なお、図7に及び後述する図8から図10では、セパレータ部材15等及びリベット55を二点鎖線で示している。
セパレータ部材15Aの基端部に、セパレータ継手35をリベット55を介して接続する。この際に、セパレータ部材15A側から、セパレータ部材15Aの本体貫通孔18a内、及びセパレータ継手35の第1貫通孔44A内に、第2頭部58が形成される前のリベット55であるリベット55A(図4参照)を挿入する。リベット55Aに第2頭部58を形成してリベット55とし、第1本体壁18と第1継手壁38とを接続する。同様に、リベット55によりセパレータ部材15Aの第2本体壁19とセパレータ継手35の第2継手壁39とを接続する。
【0036】
セパレータ継手35の基端側に、図7に示すように、別のセパレータ部材15(以下、セパレータ部材15Bとも言う。)を配置する。
そして、セパレータ部材15Bとセパレータ継手35とを、リベット55を介して接続する。セパレータ継手35を介して接続したセパレータ部材15Bを、保護管本体10内に挿入する。
以上の工程で、ケーブル保護管2が地中Gに施工される。
【0037】
セパレータ部材15に対して地震等により管軸O方向の力が作用しないときには、リベット55に比較的大きな力が作用しなく、第2貫通孔45の直交方向Zの長さM2はリベット55の軸部56の径M3よりも小さいためリベット55は第2貫通孔45内を通れず、リベット55は第1貫通孔44内に配置されている。
ここで言う比較的大きな力とは、震度4以上の地震の際にリベット55に作用する外力を意味し、例えば保護管本体10の呼び径が150Aであれば、500N(ニュートン)以上の外力を意味する。
なお、地震等によっては、セパレータ部材15に対して管軸O方向の引張り力が作用する場合がある。
【0038】
一方で、セパレータ部材15に対して前記管軸O方向の力が作用すると、保護管本体10内のセパレータ部材15A,15Bが管軸O方向に相対的に移動しようとする。この際に、リベット55に比較的大きな力が作用し、リベット55により第1継手壁38における第2貫通孔45の周縁部が変形し、例えば図8に示すように、リベット55が第1貫通孔44A内から第2貫通孔45A内に向けて沿面方向Yの第1側Y1に移動する。これにより、セパレータ部材15Aがリベット55とともにセパレータ継手35に対して相対的に第1側Y1に移動し、セパレータ部材15A,15Bに作用する引張り力が緩和される。
従って、第1貫通孔44及び第2貫通孔45が形成された第1継手壁38を備えるセパレータ継手35、及びリベット55をという簡単な構成で、セパレータ部材15Aに対してセパレータ継手35を管軸O方向に移動させることができる。
これにより、セパレータ部材15Aが損傷することを抑制することができる。なお、ケーブル保護管2の施工性は、従来と変わらない程度に維持される。
【0039】
リベット55の軸部56の径M3に対する第2貫通孔45の長さM2の比は、0.1以上1未満である。これにより、地震等によりリベット55に比較的大きな力が作用しないときには、リベット55を第1貫通孔44内により確実に留めるとともに、リベット55に比較的大きな力が作用するときには、リベット55を第1貫通孔44内から第2貫通孔45内により確実に移動させることができる。
一対の第1貫通孔44A,44Bは、一対の第2貫通孔45A,45Bの間に配置されている。セパレータ部材15に管軸O方向に引張り力が作用する際に、リベット55は、リベット55が内部に配置されていた第1貫通孔44Aから沿面方向Yの外側(第1側Y1)に延びるように形成された第2貫通孔45A内を移動しようとする。従って、セパレータ部材15に管軸O方向に引張り力が作用する際に、第2貫通孔45Aをより効果的に用いることができる。
【0040】
また、本実施形態のセパレータシステム60によれば、簡単な構成でセパレータ部材15に対して管軸O方向に移動させることができるセパレータ継手35を用いてセパレータシステム60を構成することができる。この際に、第2貫通孔45Aは、セパレータ部材15Aにおけるセパレータ継手35が接続される端部とは反対側の端部(第1側Y1)に向かって延びている。このため、セパレータ部材15A,15Bに管軸O方向に引張り力が作用する際に、第2貫通孔45Aをより効果的に用いることができる。
また、本実施形態のケーブル保護管2によれば、リベット55に比較的大きな力が作用した際に、リベット55により第1継手壁38における第2貫通孔45Aの周縁部が変形し、リベット55が第1貫通孔44A内から第2貫通孔45A内に向けて沿面方向Yに移動する。これにより、セパレータ部材15Aがリベット55とともにセパレータ継手35に対して相対的に沿面方向Yに移動し、セパレータ部材15A,15Bに作用する引張り力を緩和させることができる。
【0041】
本実施形態のセパレータ継手35は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図9に示す第1変形例のセパレータ継手65は、本実施形態のセパレータ継手35の各構成に加えて、第3貫通孔66及び第4貫通孔67が形成されている。
第3貫通孔66は、第1継手壁38における、第2貫通孔45Aと、第1継手壁38の第1側Y1の端との間に形成されている。第3貫通孔66は、第2貫通孔45Aの第1側Y1の端と、第1継手壁38の第1側Y1の端との中央部に形成されている。第3貫通孔66は、連結貫通孔42Aよりも第1側Y1に配置されている。
第4貫通孔67は、第1継手壁38における、第2貫通孔45Bと、第1継手壁38の第2側Y2の端との間に形成されている。第4貫通孔67は、第2貫通孔45Bに連なるように形成されている。第4貫通孔67は、連結貫通孔42Bよりも第2側Y2に配置されている。
【0042】
第3貫通孔66及び第4貫通孔67は、第1継手壁38を交差方向Xにそれぞれ貫通している。第3貫通孔66及び第4貫通孔67の径は、第1貫通孔44の径と同程度である。
第1継手壁38に形成された第3貫通孔66及び第4貫通孔67と同様に、第2継手壁39に第3貫通孔66及び第4貫通孔67が形成されている。
以上のように構成されたセパレータ継手65には、第1貫通孔44A及び第1側Y1の第1貫通孔49を用いて直管用のセパレータ部材15Aが接続される。第1貫通孔44B及び第2側Y2の第1貫通孔49を用いて直管用のセパレータ部材15Bが接続される。
【0043】
一方で、図10に示すように、セパレータ継手65に、セパレータ部材15Aに代えて、公知の曲管用のセパレータ部材70を接続することができる。セパレータ部材70とセパレータ継手65との接続には、例えば第3貫通孔66及び連結貫通孔42Aが用いられる。
セパレータ継手65を用いることで、直管用のセパレータ部材15A,15B同士を接続することと、直管用のセパレータ部材15Bと曲管用のセパレータ部材70とを接続することができる。
【0044】
図11に示す第2変形例のセパレータ継手75では、第1継手壁38において第3貫通孔66が第2貫通孔45Aに接続され、第2継手壁39において第3貫通孔66が第2貫通孔50に接続されている。第1継手壁38において第4貫通孔67が第2貫通孔45Bに接続され、第2継手壁39において第4貫通孔67が第2貫通孔50に接続されている。
このように構成されたセパレータ継手75では、例えば、第1貫通孔44A内に配置されたリベット55が、第1貫通孔44Aから第2貫通孔45Aを通して第3貫通孔66まで移動することができる。
【0045】
図12に示す第3変形例のセパレータ継手80では、第2変形例のセパレータ継手75に対して、第5貫通孔81が形成されている。
第1継手壁38に形成された第5貫通孔81は、第1貫通孔44Aと第1貫通孔44Bとを接続している。第1継手壁38に形成された第5貫通孔81の直交方向Zの長さ、及び第2貫通孔45の直交方向Zの長さM2は、互いに同等である。
第2継手壁39に形成された第5貫通孔81は、第1貫通孔49同士を接続している。
このように構成されたセパレータ継手80では、例えば、第1貫通孔44A内に配置されたリベット55が、第5貫通孔81を通して第1貫通孔44Bまで移動することができる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、第1貫通孔44を交差方向Xに見たときの形状は、円形状に限定されず、だ円形状や多角形状等でもよい。
セパレータ継手は、継手連結壁37を備えず、第1継手壁38及び第2継手壁39を備えてもよい。さらにセパレータ継手は、第2継手壁39を備えなくてもよい。
セパレータ部材15は、本体連結壁17及び一対の板ばね部25を備えなくてもよい。さらにセパレータ部材15は、第2本体壁19を備えなくてもよい。
軸状部材はリベット55であるとしたが、軸状部材はリベット55に限定されず、ボルト及びナット等であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
2 ケーブル保護管
10 保護管本体
15,70 セパレータ部材
35,65,75,80 セパレータ継手
38 第1継手壁(継手壁)
38a 開口外面(外面)
39 第2継手壁(継手壁)
44,49 第1貫通孔
45,50 第2貫通孔
55 リベット(軸状部材)
60 セパレータシステム
M2 長さ
M3 径
O 管軸
X 交差方向
Y 沿面方向
Z 直交方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12