(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B60K 35/10 20240101AFI20240417BHJP
B60K 35/215 20240101ALI20240417BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20240417BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20240417BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20240417BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20240417BHJP
【FI】
B60K35/10
B60K35/215
G10L15/10 200W
G10L15/00 200Q
G06F3/16 650
G06F3/16 620
G06F3/0484
(21)【出願番号】P 2020017503
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】江原 正大
(72)【発明者】
【氏名】宮里 宏治
(72)【発明者】
【氏名】前畑 実
(72)【発明者】
【氏名】安田 理人
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/130399(WO,A1)
【文献】特開2019-079083(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158792(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/157662(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0083075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00 -37/20
G06F 3/01
3/048-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる表示装置であって、
表示部と、
前記車両の車室内において、発話者の着座位置に対応する位置から前記表示部まで延在し、複数の発光領域に区分され、前記複数の発光領域の各々を発光させることが可能な照明部と、
前記発話者が発話中であるときに、前記複数の発光領域のうち前記
発話者の着座位置に対応する前記発光領域を発光させ、
前記発話者の発話が終了すると、前記照明部の発光位置を、前記発話者の着座位置に対応する位置から、前記表示部の位置へ移動させた後、前記発話による指示内容に応じた指示応答処理の実行中であることを示す映像を前記表示部に表示させる制御部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記照明部は、
前記車両のインストルメントパネルに設けられ、車幅方向において助手席から運転席まで延在して配置され、
前記表示部は、
前記インストルメントパネルにおける前記助手席および前記運転席の間に設けられ、
前記制御部は、
前記照明部の発光位置を、前記発話者の着座位置に対応する位置から、前記表示部の位置へ移動させた後、前記照明部の発光表示を消去すること
を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記指示応答処理の結果の出力中である場合に出力中であることを示す映像を前記表示部に表示させ、前記指示応答処理の結果の出力を待機する場合に出力待機中であることを示す映像を前記表示部に表示させること
を特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
車両に設けられる表示装置であって、
表示部と、
複数の発光領域に区分され、前記複数の発光領域の各々を発光させることが可能な照明部と、
発話者が発話中であるときに、前記複数の発光領域のうち前記発話者の着座位置に対応する前記発光領域を発光させ、前記発話者の発話が終了すると、前記発話による指示内容に応じた指示応答処理の実行中であることを示す映像を前記表示部に表示させる制御部と、
を備え、
前記映像は、前記発話者の着座位置に対応する前記発光領域で発する光の色に対応する色を有するオブジェクトを含むこと
を特徴とする表示装置。
【請求項5】
車両に設けられる表示装置であって、
表示部と、
複数の発光領域に区分され、前記複数の発光領域の各々を発光させることが可能な照明部と、
車室内の音声から生成された音声信号に基づいて前記音声が発せられた位置を特定する位置特定処理と、前記音声信号に基づいて前記音声の指示内容を特定する指示特定処理と、前記指示内容に応じた指示応答処理とを処理装置に実行させ、前記処理装置が前記位置特定処理と前記指示特定処理とを実行している期間において前記複数の発光領域のうち前記位置特定処理により特定された位置に対応する前記発光領域を発光させ、前記処理装置が前記指示応答処理を実行している期間に前記指示応答処理の実行中であることを示す映像を前記表示部に表示させる制御部と、
を備え、
前記映像は、前記特定された位置に対応する前記発光領域で発する光の色に対応する色を有するオブジェクトを含むこと
を特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記特定された位置に対応する発光領域が発光することにより表現される形状と、前記オブジェクトの形状とが異なること
を特徴とする請求項
5に記載の表示装置。
【請求項7】
表示部と、
車両の車室内において、発話者の着座位置に対応する位置から前記表示部まで延在し、複数の発光領域に区分され、前記複数の発光領域の各々を発光させることが可能な照明部と、を備える表示装置の制御方法であって、
前記発話者が発話中であるときに、前記複数の発光領域のうち前記
発話者の着座位置に対応する前記発光領域を発光させ、
前記発話者の発話が終了すると、前記照明部の発光位置を、前記発話者の着座位置に対応する位置から、前記表示部の位置へ移動させた後、前記発話による指示内容に応じた指示応答処理の実行中であることを示す映像を前記表示部に表示させる制御工程
を含むことを特徴とする表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車内の乗員が発話した音声を認識し、認識した音声に基づいて処理を行い、処理結果をディスプレイ等に表示する処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、処理装置では、乗員の音声を認識(聞取)する認識処理、認識した音声に基づく内部処理、処理結果を出力する出力処理等の各処理段階がある。しかしながら、従来技術では、処理装置が現在どの処理を実行中なのかを乗員が把握することは難しく、例えば、処理が長引いたり、いずれかの処理で止まる等の状況が発生すると、乗員に不安を与えてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、システムの処理状況を乗員が把握できる表示装置および表示装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、車両に設けられる表示装置であって、表示部と、照明部と、制御部とを備える。前記照明部は、複数の発光領域に区分され、前記複数の発光領域の各々を発光させることが可能である。前記制御部は、車室内の音声から生成された音声信号に基づいて前記音声が発せられた位置を特定する位置特定処理と、前記音声信号に基づいて前記音声の指示内容を特定する指示特定処理と、前記指示内容に応じた指示応答処理とを処理装置に実行させ、前記処理装置が前記位置特定処理と前記指示特定処理とを実行している期間において前記複数の発光領域のうち前記位置特定処理により特定された位置に対応する前記発光領域を発光させ、前記処理装置が前記指示応答処理を実行している期間に前記指示応答処理の実行中であることを示す映像を前記表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、システムの処理状況を乗員が把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る表示装置の制御方法の概要を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係る表示装置の制御方法の概要を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態に係る表示装置の制御方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る表示装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、認識処理から内部処理へ移行する際の連携表示を示す図である。
【
図6】
図6は、照明部および表示部における表示態様を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る表示装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する表示装置および表示装置の制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1A~
図1Cを用いて、実施形態に係る表示装置の制御方法の概要について説明する。
図1A~
図1Cは、実施形態に係る表示装置の制御方法の概要を示す図である。
図1A~
図1Cでは、車内の前方部に設けられた表示装置1の構成の一部を示している。
【0011】
なお、表示装置1は、図示しない処理装置に関する各種情報を表示する機能を有する。ここでいう、処理装置とは、乗員の発話を認識し、認識した発話に基づく処理結果を乗員へ提供するシステムである。具体的には、処理装置は、車室内の音声から生成された音声信号に基づいて音声が発せられた位置を特定する位置特定処理と、音声信号に基づいて音声の指示内容を特定する指示特定処理と、指示内容に応じた指示応答処理とを実行する。例えば、処理装置では、経路案内に関する情報や、車内エンターテイメント(楽曲再生や動画再生等)、周辺情報(おすすめ店舗や、おすすめ観光地等)等の情報が、表示装置1による表示や、図示しないスピーカ等による音声により提供される。
【0012】
図1A~
図1Cに示すように、実施形態に係る表示装置1は、照明部100と、表示部200とを備える。なお、表示装置1は、制御部2や記憶部3をさらに備えるが、表示装置1の詳細な構成については
図2で後述する。
【0013】
照明部100は、図示しない発光素子を有し、かかる発光素子が発光することで発光する。具体的には、照明部100は、乗員の乗車位置に対応した複数の発光領域に区分され、複数の発光領域の各々を発光させることが可能である。例えば、
図1Aに示した照明部100は、運転席および助手席に対応した位置が発光する発光領域を有する。具体的には、照明部100は、車両のインストルメントパネル(ダッシュボード)に設けられ、車幅方向において助手席から運転席まで延在して配置される。
【0014】
なお、
図1Aでは、1つの照明部100が運転席および助手席の乗員に対応している場合を示しているが、2つの照明部100がそれぞれ運転席および助手席の乗員に独立して対応してもよい。
【0015】
表示部200は、例えば、ナビゲーション装置の表示部であり、車両のインストルメントパネルに設けられる。なお、表示部200は、ナビゲーション装置の表示部に限定されず、他の車載器の表示部や、処理装置専用の表示部であってもよい。
【0016】
実施形態に係る表示装置1の制御方法では、処理装置に関する乗員の発話を受け付けた場合、発話を行っている乗員に対応する照明部100を発光するとともに、発話に基づく処理装置の処理状態の変化を照明部100および表示部200の連携表示により表示する。
【0017】
ここで、
図1Bおよび
図1Cを用いて、実施形態に係る表示装置1の制御方法の概要について説明する。
図1Bでは、処理装置が乗員の発話を認識(聴取)している認識処理中の表示装置1の制御方法を示し、
図1Cでは、認識した発話に基づく処理装置の内部処理中の表示装置1の制御方法を示す。つまり、認識処理とは、上述した位置特定処理および指示特定処理であり、内部処理とは、指示応答処理である。
【0018】
図1Bに示すように、助手席の乗員が処理装置に関する発話を行ったとする。なお、処理装置に関する発話は、所定の発話トリガーに基づいて受け付ける(認識する)が、かかる点の詳細については後述する。
【0019】
表示装置1は、かかる発話を受け付けた場合、発話した乗員の位置を特定し、特定した乗員に対応する照明部100を発光する。具体的には、表示装置1は、照明部100の領域のうち助手席側の領域を、乗員が発話している間継続して発光する。
【0020】
つまり、表示装置1は、位置特定処理と指示特定処理と実行している期間において複数の発光領域のうち位置特定処理により特定された位置(助手席)に対応する発光領域を発光させる。これにより、処理装置が位置特定処理および指示特定処理の実行中であることを乗員が把握できるため、安心して発話を行うことができる。
【0021】
つづいて、処理装置は、乗員の発話が終了した後、認識した発話に基づいた情報を提供するための内部処理を実行する。なお、内部処理とは、乗員の発話に基づく指示内容に応じた処理であり、例えば、指示内容に応じた情報を検索する検索処理や、走行経路の設定処理等を含む。この場合、
図1Cに示すように、表示装置1は、乗員の発話の終了とともに、照明部100の発光を終了し、その後、処理装置が内部処理中であることを示す表示を表示部200に行う。なお、表示部200に表示される表示体については後述する。
【0022】
つまり、表示装置1は、処理装置が位置特定処理と指示特定処理とを実行している期間において複数の発光領域のうち位置特定処理により特定された位置に対応する発光領域を発光させ、処理装置が指示応答処理を実行している期間に指示応答処理の実行中であることを示す映像を表示部200に表示させる。すなわち、処理装置の認識処理から内部処理への処理状態の変化を照明部100および表示部200の連携表示(発光および表示)により表示する。
【0023】
このように、実施形態に係る表示装置1の制御方法によれば、処理装置の処理状態の変化を照明部100および表示部200の連携表示により表示することで、処理装置の処理状況を乗員が把握できる。
【0024】
このため、例えば、処理装置の内部処理が長引いたり、認識処理等のいずれかの処理で止まる等の状況が発生したとしても、処理状況を把握できることで乗員に不安を与えてしまうことを回避できる。
【0025】
なお、実施形態に係る表示装置1は、処理装置の認識処理から内部処理へ移行することを、照明部100の光の移動により示すことができるが、かかる点については後述する。
【0026】
また、実施形態に係る表示装置1は、内部処理後の処理結果を出力する際に、処理結果の出力を開始することと、処理結果の出力を待機することとを、表示部200の表示により分けることができるが、かかる点についても後述する。
【0027】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る表示装置1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る表示装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0028】
図2に示すように、実施形態に係る表示装置1は、制御部2と、記憶部3と、照明部100と、表示部200と、受付部300とを備える。また、表示装置1は、処理装置400に接続される。なお、表示装置1は、処理装置400と別体に構成される場合に限らず、一体的に構成されてもよい。
【0029】
受付部300は、例えば、乗員の音声を収集するマイクロフォンである。具体的には、受付部300は、処理装置400に関する乗員の発話を含む音声を収集する。例えば、受付部300は、各乗員の対応する位置に設けられる。例えば、受付部300は、各乗員の乗車位置の前方に配置される。具体的には、運転席および助手席については、ダッシュボードに配置され、後部座席については、運転席および助手席それぞれのヘッドレストや背もたれ部等に配置される。
【0030】
ここで、表示装置1は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0031】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部2として機能する。
【0032】
また、制御部2の少なくとも一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0033】
また、記憶部3は、たとえば、RAMやフラッシュメモリに対応する。RAMやフラッシュメモリは、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、表示装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0034】
制御部2は、処理装置400の処理状態の変化を照明部100および表示部200の連携表示により表示する。具体的には、制御部2は、まず、受付部300が収集した音声が、処理装置400に関する乗員の発話であるかを判定する。
【0035】
例えば、制御部2は、受付部300が収集した音声を解析して、特定の発話トリガーが含まれるか否かを判定する。例えば、制御部2は、「ナビ、周辺のレストランを教えて」という音声を受付部300が受け付けた場合、「ナビ」という処理装置の識別語を発話トリガーと判定する。
【0036】
また、制御部2は、「○○を教えて」のような指示に関する言葉を発話トリガーとして認識してもよい。あるいは、処理装置400に関する発話を認識したことを示す情報を処理装置400から取得してもよい。
【0037】
そして、制御部2は、発話トリガーを受け付けた場合、発話を行っている乗員の位置を特定する。例えば、制御部2は、乗員の位置にそれぞれ設けられた受付部300のうち、発話トリガーを受け付けた受付部300に対応する乗員を、発話を行っている乗員として特定する。つまり、制御部2は、車室内の音声から生成された音声信号に基づいて音声が発せられた位置を特定する。なお、制御部2は、処理装置400の位置特定処理の処理結果を取得して音声が発せられた位置を特定してもよい。
【0038】
そして、制御部2は、特定した乗員の位置に対応する照明部100を発光する。かかる点について、
図3および
図4を用いて説明する。
図3および
図4は、照明部100の発光位置を示す図である。
【0039】
例えば、
図3に示すように、助手席の乗員が発話を行っている場合、表示装置1は、助手席側の照明部100を発光する。具体的には、表示装置1は、車幅方向において助手席から運転席まで延在する照明部100の領域のうち、助手席側の領域を発光する。つまり、表示装置1は、位置特定処理と指示特定処理とを実行している期間において複数の発光領域のうち位置特定処理により特定された位置(助手席)に対応する発光領域を発光させる。なお、照明部100は、例えば、複数の色調で発光するが、発光態様については後述する。
【0040】
つづいて、
図4に示すように、運転席の乗員が発話を行っている場合、表示装置1は、運転席側の照明部100を発光する。具体的には、表示装置1は、車幅方向において助手席から運転席まで延在する照明部100の領域のうち、運転席側の領域を発光する。つまり、表示装置1は、位置特定処理と指示特定処理とを実行している期間において複数の発光領域のうち位置特定処理により特定された位置(運転席)に対応する発光領域を発光させる。
【0041】
このように、表示装置1は、照明部100のうち、発話を行っている乗員に対応する位置を発光することで、処理装置がどの乗員の発話を認識中であるかを把握することができる。
【0042】
なお、処理装置400による発話の認識処理中は表示部200では表示は行わない。つまり、制御部2は、処理装置400が発話を受け付け中は照明部100のみを発光する。換言すれば、制御部2は、位置特定処理および指示特定処理の終了後に、指示応答処理の実行中であることを示す映像を表示部200に表示させる。
【0043】
そして、処理装置400による発話の認識処理が終了し、認識した発話に基づく内部処理を実行する場合、内部処理を行っていることを表示部200で表示する。具体的には、制御部2は、処理装置400が発話に基づく内部処理に移行する際、照明部100による発光表示が表示部200へ移動する態様の連携表示を行う。かかる点について、
図5を用いて説明する。
【0044】
図5は、認識処理から内部処理へ移行する際の連携表示を示す図である。
図5の上段に示すように、処理装置400の認識処理において、助手席側の照明部100が発光していることとする。
【0045】
制御部2は、処理装置400が発話を受け付け中は照明部100のみを発光し、処理装置400が発話に基づく内部処理に移行する際、照明部100による発光表示が表示部200へ移動する態様の連携表示を行う。
【0046】
具体的には、
図5の上段に示すように、助手席側の照明部100が発光している状態で、制御部2は、受付部300による乗員の発話の受付が終了し、処理装置400から内部処理へ移行することを示す情報を取得したとする。
【0047】
かかる場合、
図5の中段に示すように、制御部2は、照明部100の助手席側の発光表示を運転席側(表示部200側)へ移動する態様で表示する。そして、制御部2は、照明部100の発光表示が表示部200の真上まで移動した後、かかる発光表示を消去するとともに、
図5の下段に示すような映像を表示部200に表示させる。
【0048】
つまり、制御部2は、処理装置400の認識処理から内部処理への移行(処理状態の変化)を、照明部100から表示部200への発光表示の移動により表現する。換言すれば、制御部2は、指示特定処理が完了した場合、指示特定処理が完了したことを示す映像を表示部200に表示させる。これにより、処理装置400が認識処理から内部処理に移行したことを乗員が把握できる。
【0049】
次に、
図6を用いて、照明部100および表示部200における表示態様について具体的に説明する。
図6は、照明部100および表示部200における表示態様を示す図である。
図6の上段には、照明部100における発光表示110を示し、
図6の中段および下段には、表示部200における映像210を示す。
【0050】
図6の上段に示すように、認識処理中を示す発光表示110は、例えば、発光箇所を複数有する。
図6の上段に示す例では、3つのバー状の発光箇所が異なる色調(赤、黄、青)で示されている。
【0051】
なお、発光箇所については、任意の形状、数、色調を採用可能である。また、複数の発光箇所は、色調が異なる場合に限らず、発光サイズや、発光輝度等が異なってもよい。
【0052】
つづいて、内部処理中を示す映像210は、例えば、周方向にずれつつ重なり合った複数のリング状のオブジェクトを有する。この複数のリング状のオブジェクトは、数および色調が、発光表示110における発光箇所の数および色調に対応している。すなわち、映像210は、位置特定処理で特定された位置に対応する発光領域で発する光の色に対応する色を有するオブジェクトを含む。具体的には、
図6の中段に示す例では、3つのリング状の表示が3つのバー状の発光箇所と同じ色調(赤、黄、青)で示される。すなわち、特定された位置に対応する発光領域が発光することにより表現される形状(バー状)と、オブジェクトの形状(リング状)とが異なる。
【0053】
つまり、制御部2は、照明部100による発光表示110と、表示部200へ移動した映像210との色調を揃えつつ、表示形状を異ならせる。このように、照明部100による発光表示110と、表示部200へ移動した映像210との色調を揃えることで、処理装置400の処理が継続していることを乗員が直感的に把握することができる。
【0054】
また、照明部100による発光表示110と、表示部200へ移動した映像210との表示形状(バー形状→リング状)を異ならせることで、処理装置400の処理状態が認識処理から内部処理へ変化したことを乗員が直感的に把握することができる。
【0055】
つづいて、制御部2は、内部処理が完了した場合、処理結果を乗員へ提供(出力)するが、この場合、乗員に対して即座に処理結果を出力する場合と、乗員に対して即座に処理結果を出力すべきでない場合に出力を待機する場合とがある。
【0056】
例えば、車両が交通量の多い交差点や、事故多発地点、右左折直前の位置を走行している場合等のように、運転者が運転に集中している状態では、処理結果を即座に出力してしまうと、運転者が処理結果を聞き(見)逃したり、運転に集中できなかったりするおそれがあるため、出力を待機する場合がある。
【0057】
つまり、処理装置400の処理状態として、処理結果の出力を開始する出力処理と、出力処理を待機する待機処理とが存在することとなる。そこで、制御部2は、内部処理の結果の出力を開始する場合(出力処理)と、内部処理の結果の出力を待機する場合(待機処理)とで、表示部200に表示される表示の表示態様を異ならせる。
【0058】
図6の下段左には、出力処理中の表示部200の映像220を示し、
図6の下段右には、待機処理中の表示部200の映像230を示す。
図6の下段に示すように、映像220と、映像230とでは、3つのリング状の表示の中央の表示が異なる。
【0059】
具体的には、映像220の中央には、複数の小さな粒子が拡散する態様の表示体221が表示され、映像230の中央には、1つの粒子が留まっている態様の表示体231が表示される。
【0060】
つまり、映像220および映像230は、内部処理中を示す映像210の3つのリング状の表示に表示体221または表示体231が追加された表示態様で表示される。換言すれば、制御部2は、指示応答処理の結果の出力中である場合に出力中であることを示す映像220を表示部200に表示させ、指示応答処理の結果の出力を待機する場合に出力待機中であることを示す映像230を表示部200に表示させる。これにより、内部処理から出力処理または待機処理のどちらの処理へ移行したかを乗員が把握できる。
【0061】
また、制御部2は、内部処理が完了した場合、表示部200の映像210の表示態様を映像220または映像230の表示態様に変化させることで、内部処理の完了を表示する。これにより、処理装置400の内部処理の完了を乗員が把握することができる。
【0062】
なお、
図6に示した、発光表示110、映像210,220,230の態様は一例であって、処理状態が異なることを表現できれば任意の態様を採用可能である。
【0063】
図7を用いて、実施形態に係る表示装置1が実行する処理の処理手順について説明する。
図7は、実施形態に係る表示装置1が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0064】
まず、制御部2は、受付部300によって乗員の発話を受け付けたか否かを判定し(ステップS101)、発話を受け付けていない場合(ステップS101)、発話を受け付けるまでステップS101を繰り返し実行する。
【0065】
制御部2は、受付部300が発話を受け付けた場合(ステップS101:Yes)、発話した乗員、すなわち、音声が発せられた位置を特定する(ステップS102)。
【0066】
つづいて、制御部2は、発話中の乗員に対応する照明部100を発光する(ステップS103)。つまり、制御部2は、特定した位置に対応する発光領域を発光させる。
【0067】
つづいて、制御部2は、乗員の発話が終了したか否かを判定し(ステップS104)、発話が終了していない場合(ステップS104:No)、ステップS103に戻る。
【0068】
制御部2は、発話が終了した場合(ステップS104:Yes)、照明部100の光を表示部200に移動する態様の連携表示を行う(ステップS105)。つまり、制御部2は、位置特定処理および指示特定処理の終了後に、指示応答処理の実行中であることを示す映像を表示部200に表示させる。
【0069】
つづいて、制御部2は、受け付けた発話に基づく処理装置の内部処理を行う(ステップS106)。
【0070】
つづいて、制御部2は、内部処理が完了した場合(ステップS107)、乗員の状態が処理結果を出力可能な状態であるか否かを判定する(ステップS108)。
【0071】
制御部2は、乗員の状態が処理結果を出力可能な状態である場合(ステップS108:Yes)、表示部200に表示中の発光表示を第1表示態様に変化させる(ステップS109)。つまり、制御部2は、指示応答処理の実行中であることを示す映像210から出力中であることを示す映像220へ変化させる。
【0072】
つづいて、制御部2は、内部処理の処理結果を出力し(ステップS110)、処理を終了する。
【0073】
一方、制御部2は、乗員の状態が処理結果を出力可能な状態ではない場合(ステップS108:No)、表示部200に表示中の発光表示を第2表示態様に変化させ(ステップS111)、ステップS108へ戻る。つまり、制御部2は、指示応答処理の実行中であることを示す映像210から出力待機中であることを示す映像230へ変化させる。
【0074】
上述してきたように、実施形態に係る表示装置1は、車両に設けられる表示装置1であって、表示部200と、照明部100と、制御部2とを備える。照明部100は、複数の発光領域に区分され、複数の発光領域の各々を発光させることが可能である。制御部2は、車室内の音声から生成された音声信号に基づいて音声が発せられた位置を特定する位置特定処理と、音声信号に基づいて音声の指示内容を特定する指示特定処理と、指示内容に応じた指示応答処理とを処理装置に実行させ、処理装置400が位置特定処理と指示特定処理とを実行している期間において複数の発光領域のうち位置特定処理により特定された位置に対応する発光領域を発光させ、処理装置400が指示応答処理を実行している期間に指示応答処理の実行中であることを示す映像210を表示部200に表示させる。これにより、システムの処理状況を乗員が把握できる。
【0075】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 表示装置
2 制御部
3 記憶部
100 照明部
200 表示部
300 受付部
400 処理装置