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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】滴下容器用カバー
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
B65D83/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020030123
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021133951
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】515279946
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 巧
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-095300(JP,A)
【文献】特表2003-511179(JP,A)
【文献】特開2019-187540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を収容する収容部を有する滴下容器の前記収容部に装着される滴下容器用カバーであって、
底部と、
前記底部から立設する第一押圧部と、
前記第一押圧部に対して間隙を有し、前記第一押圧部に対向する面を具備して前記底部から立設する第二押圧部と、を備え、
前記第一押圧部及び前記第二押圧部のうち、前記対向する面にはそれぞれ突起が設けられており、
前記突起は、
前記突起のうち前記底部とは離隔した側の端部と前記底部との距離が、前記装着される前記収容部の高さの0.7倍以上であるとともに、前記収容部を幅方向に4等分した最も外側の範囲となる位置にのみ配置される、
滴下容器用カバー。
【請求項2】
薬液を収容する収容部を有する滴下容器の前記収容部に装着される滴下容器用カバーであって、
底部と、
前記底部から該底部に一体に形成されて立設する第一押圧部と、
前記第一押圧部に対して間隙を有し、前記第一押圧部に対向する面を具備して前記底部から該底部に一体に形成されて立設する第二押圧部と、を備え、
前記第一押圧部及び前記第二押圧部のうち、前記対向する面にはそれぞれ突起が設けられており、
前記突起は、前記突起のうち前記底部とは離隔した側の端部と前記底部との距離が、前記装着される前記収容部の高さの0.7倍より小さいとともに、前記収容部を幅方向に4等分した最も中央寄りの範囲となる位置にのみ配置される、
滴下容器用カバー。
【請求項3】
前記突起は前記収容部の前記幅方向中央に対して対称となる位置のそれぞれに設けられている、請求項1又は2に記載の滴下容器用カバー。
【請求項4】
前記対向する面には湾曲した凹部を有し、前記凹部に前記突起が設けられている、請求
項1~のいずれか1項に記載の滴下容器用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を滴下する滴下容器に装着する滴下容器用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
滴下することにより薬液を取り出すための滴下容器のうち、特に1回あたりの使用量が少量(例えば一滴程度)である薬液に用いられる滴下容器では、使用者が意図する量とは異なる量の薬液が滴下されてしまうことを回避することが重要である。ところが、例えば薬液が低沸点溶媒を含む場合や、粘性が小さい場合等に、実際には意図したよりも多くの滴数の薬液が滴下されてしまう不具合がある。このような不具合は、人の手指からの体温の伝熱(伝導、輻射)による温度の変化に起因する薬液の粘度の変化、薬液の揮発による容器内部の内圧上昇、及び押圧する際の力の加減等が要因であると考えられる。また、冷蔵して保管する薬液を用いるときにこのような不具合の発生が顕著であり、冷蔵庫から取り出したときの雰囲気温度の変化も影響すると考えられる。
また、逆に粘性の高い薬液では滴下のために大きな力で押圧することが必要なこともある。
【0003】
これに対して特許文献1乃至特許文献3のような技術が開示されている。
特許文献1には、容器収容部の側面と底面を覆うように断熱カバーが装着され、この断熱カバーの内面には、全体に亘って複数のリブが形成されることにより容器収容部と断熱カバーとの間に空隙を設けた液体滴下用具が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ボトルと、該ボトルを収容、離脱できるプラスチック製の容器とを備えており、容器は横壁部に可動片が設けられているボトル容器が開示されている。
【0005】
特許文献3には、容器収容部の少なくとも側面を所定間隔隔てて被覆するジャケットが設けられてなる滴下容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3572158号公報
【文献】特開2000-85860号公報
【文献】特開2009-207593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、意図する滴下をより確実に行うことができる滴下容器用カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、薬液を収容する収容部を有する滴下容器の収容部に装着される滴下容器用カバーであって、底部と、底部から立設する第一押圧部と、第一押圧部に対して間隙を有し、第一押圧部に対向する面を具備して底部から立設する第二押圧部と、を備え、第一押圧部及び第二押圧部のうち、対向する面にはそれぞれ突起が設けられており、突起は、突起のうち底部とは離隔した側の端部と底部との距離が、装着される収容部の高さの0.7倍以上であるとともに、収容部を幅方向に4等分した最も外側の範囲となる位置にのみ配置され、又は、突起のうち底部とは離隔した側の端部と底部との距離が、装着される収容部の高さの0.7倍より小さいとともに、収容部を幅方向に4等分した最も中央寄りの範囲となる位置にのみ配置される、滴下容器用カバーである。
【0009】
突起は収容部の幅方向中央に対して対称となる位置のそれぞれに設けられていてもよい。
【0010】
対向する面には湾曲した凹部を有し、凹部に突起が設けられているように構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、突起の位置により意図する滴下をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は滴下容器用カバー10の斜視図である。
図2図2(a)は滴下容器用カバー10の正面図、図2(b)は滴下容器用カバー10の右側面図である。
図3図3(a)は滴下容器用カバー10の平面図、図3(b)は滴下容器用カバー10の底面図である。
図4図4は滴下容器用カバー10の断面図である。
図5図5は滴下容器1に装着した場面の滴下容器用カバー10の斜視図である。
図6図6(a)は滴下容器1に装着した場面の滴下容器用カバー10の平面図、図6(b)は滴下容器1に装着した場面の滴下容器用カバー10の右側面図である。
図7図7は、図4に対して滴下容器1を合わせた図である。
図8図8は、押圧について説明する図である。
図9図9(a)は滴下容器用カバー20の断面図、図9(b)は図9(a)に滴下容器1を合わせた図である。
図10図10は、押圧について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第一形態]
図1乃至図4は第一形態を説明する図であり、図1は滴下容器用カバー10の斜視図、図2(a)は滴下容器用カバー10の正面図、図2(b)は滴下容器用カバー10の右側面図、図3(a)は滴下容器用カバー10の平面図、図3(b)は滴下容器用カバー10の底面図、図4図2(b)に示したA-A矢視断面図である。
また、図5乃至図8には滴下容器用カバー10に滴下容器1が配置された図を表した。滴下容器1は滴下されるべき薬液が収容された容器であり、薬液が収容された筒状の収容部2、収容部2に連続して設けられ、滴下のためのノズル及び開口を備えた滴下部(不図示)、及び、当該滴下部を覆うフタ3を有して構成されている。図5は斜視図、図6(a)は平面図、図6(b)は右側面図、図7図4の視点で滴下容器1が配置された場面を説明する図である。
これら図では、わかりやすさのため必要に応じて3次元(x、y、z)の直交座標系の方向を合わせて示している。ここでy方向は高さ方向であり、滴下容器1において収容部2とフタ3とが並ぶ方向である。また、z方向は厚さ方向であり、後述する第一押圧部12と第二押圧部13とが対向して並ぶ方向である。そしてx方向は幅方向であり、後述する2つの押圧突起12bが並ぶ方向である。
【0014】
図1乃至図7からわかるように、本形態の滴下容器用カバー10は、底部11、第一押圧部12、第二押圧部13を有している。
【0015】
本形態で底部11は平板状の部材である。そして、平板状である底部11(本形態では一端、z方向一端)に第一押圧部12が配置(立設)され、及び、平板状である底部11(本形態では他端、z方向他端)に第二押圧部13が配置(立設)されている。そして、第一押圧部12と第二押圧部13とは互いに対向するように配置される。従って、第一押圧部12と第二押圧部13とは底部11のz方向に間隙10aを有し、対向して配置されている。
図5乃至図7からわかるように、この間隙10aに滴下容器1の収容部2が挿入され、該収容部2の底が滴下容器用カバー10の底部11に接触するように配置される。
【0016】
本形態で第一押圧部12及び第二押圧部13は板状の部材である。ただし、板状であることに限定されることはなく、両者の間に滴下容器1の収容部2が挿入でき、後述する押圧突起12b、13bを備えるものであればその形態は限定されない。
板状であれば、図5及び図6からわかるように、第一押圧部12及び第二押圧部13の間隙10aに滴下容器1の収容部2が配置されたときに当該収容部2を第一押圧部12及び第二押圧部13で覆うことができ、保温性を高めたり、滴下の操作性を高めたりすることが可能となる。
【0017】
第一押圧部12及び第二押圧部13の高さ(y方向大きさ)は特に限定されることはないが、図5乃至図7のように滴下容器1の収容部2に装着したときに収容部2が全て隠れるとともに、フタ3は露出する大きさであることが好ましい。これにより保温性や操作性を保ちつつもフタ3の開閉が容易となる。
第一押圧部12及び第二押圧部13の幅(x方向大きさ)も特に限定されることはないが、図5乃至図7のように滴下容器1の収容部2に装着したときに収容部2の多くの部分が隠れることが好ましい。これにより保温性や操作性を保つことができる。
【0018】
第一押圧部12及び第二押圧部13のうち対向していない側の面の形状は特に限定されることはなく、例えば意匠的な観点からデザインを工夫することができる。本形態では、その一部が盛り上がるように構成されている。
【0019】
一方、第一押圧部12及び第二押圧部13のうち、互いに対向している側の面については、その形態が図4に表れている。図4は第一押圧部12についての図であるが、第二押圧部13についても同様に考えることができるので、ここでは第一押圧部12について説明する。
特に図3図4からわかるように、本形態では、第一押圧部12のうち第二押圧部13に対向する側の面には、z方向に窪むように湾曲した凹部12aを有し、この凹部12aの表面に突起である押圧突起12bが設けられている。
【0020】
凹部12aの湾曲は、例えば図6(a)からわかるように、第一押圧部12と第二押圧部13との間に挿入される滴下容器1の収容部2の外面の湾曲に沿った形状であることが好ましい。ただし必ずしも凹部12aが設けられる必要はなく、第一押圧部12のうち第二押圧部13に対向する側の面が平坦であってもよい。
ただし、通常は滴下容器1の収容部2はその外面が凸となるように湾曲した面を備えていることが多いため、当該収容部2と押圧突起12bとの接触をより確実にし、その効果をさらに顕著なものとする観点から、凹部12aが設けられることが好ましい。
【0021】
押圧突起12bは、第一押圧部12のうち第二押圧部13に対向する側の面に設けられる突起であり、本形態では2つの押圧突起12bが設けられている。この押圧突起12bについては以下のような形態を備えていることが好ましい。
【0022】
押圧突起12bの高さ方向(y方向)の位置については次の通りである。
図7に示したように、装着されるべき滴下容器1の収容部2の高さ(y方向の大きさ)をHbとする。また、図4の視点において1つの押圧突起12bの端部のうち底部11と離隔した側の端部(図4の12c)と、底部11のうち押圧突起12b側の面とのy方向距離をLとする。
そして本形態ではLは0.7・Hb以上の大きさとされていることが好ましい。すなわち、本形態では押圧突起12bの端部12cが底部11から大きく離隔した位置に達するように配置される。
なお、上記したように、底部11のうち押圧突起12b側となる面と、第一押圧部12の上端部(底部11から最も離隔した端部)との距離Hc(図4参照)はおおむねHbと同じであることが多い。この観点から、Lは0.7・Hc以上の大きさとしてもよい。
【0023】
一方、押圧突起12bの幅方向(x方向)の位置については次の通りである。
図7に示したように、装着される滴下容器1の収容部2の幅(x方向の大きさ)をWbとする。図4の視点で、滴下容器1の収容部2が滴下容器用カバー10に配置されたとき(すなわち図7のとき)に、収容部2の軸となる位置を線Abとする。また、この線Abと、押圧突起12b(押圧突起12bのうち線Abに最も近い部位)と、の距離をWpとする。
本形態では、このWpがWb/4以上であることが好ましい。すなわち、収容部2を幅方向に4等分した最も外側の範囲となる位置に押圧突起12bが配置されている。
【0024】
また、押圧突起12bの幅(x方向大きさ)、長さ(y方向大きさ)、突出量(z方向大きさ)は、特に限定されることはないが、幅は0.5mm以上10mm以下、長さが10mm以上40mm以下、突出量は1mm以上5mm以下であることが好ましい。これにより薬液の滴下の制御がさらに適切に行われる。
ただし、通常は滴下容器1の収容部2がy方向に長いことから、押圧突起12bも、幅及び突出量に比べて長さが大きくなるように細長いことが好ましい。
【0025】
押圧突起12bのうちy方向に直交する方向の断面(xz平面で切断した断面)の形状は特に限定されることはないが四角形や中央が最も突出する山型であることが好ましい。
【0026】
また、押圧突起12bは、上記線Abを挟んでx方向の同じ位置に線対称となるように複数配置されていることが好ましい。これにより収容部2を均等に押圧することができる。従って、本形態では押圧突起12は偶数個配置されていることが好ましい。本形態では2つの押圧突起12が設けられた例であるが、4つ、6つ、8つ等、数が多くてもよい。
【0027】
滴下容器用カバー10を構成する材料は特に限定されることはないが、強度とある程度の弾性力を備える材料であることが好ましい。これには例えばポリプロピレンを挙げることができる。
【0028】
以上のような本形態の滴下容器用カバー10を収容部2に装着した滴下容器1を用いて、施術者はフタ3を外し、滴下容器1の滴下部を下向きするとともに、図6(b)に直線矢印で示したように第一押圧部12及び第二押圧部13の上部を指で押圧する。これにより、第一押圧部12と第二押圧部13とが互いに近づく方向に移動し、これにより押圧突起12b、13bが収容部2を押圧して収容部2の内圧を上昇させ、収容部2に収容してあった薬液を滴下部に移動させて薬液を滴下することができる。
【0029】
このとき、本形態の滴下容器用カバー10によれば、図6(a)、図7からよくわかるように、上記のようなy方向位置及びx方向位置の押圧突起12b、13bのみが配置されることにより、押圧突起12b、13bは収容部2の上部かつ幅方向端部を押圧することになる。
これによれば、図8に説明のための模式図を表したように、直線矢印で示した押圧する位置と押圧突起12b、13bの上端部との位置が概ね同じであるため、底板11を支点として、押圧位置を力点、押圧突起12b、13bを作用点とした「てこ」を考えても、「てこの原理」による作用点における力の増幅は小さく抑えられる。
さらに、図6(a)からわかるように押圧突起12b、13bは収容部2の幅方向端部を押圧するので、押圧による収容部2の変形が抑制される。すなわち通常、収容部2は楕円柱形状のため、中央部に比べて端の方ほど凹み難く、変形が抑制されることから押圧力の伝達が抑制され、その結果押圧力が抑制される。すなわち意図する滴下をより確実に行うことができる。
【0030】
すなわち、本形態の滴下容器用カバー10によれば、収容部2に収容された薬液の粘度が低い場合や揮発性が高い場合であっても、押圧力が抑制されているため、薬液の過剰な滴下が抑制され、意図した適切や薬液の滴下が行われ、意図する滴下をより確実に行うことができる。
【0031】
[第二形態]
図9には、第二形態の滴下容器用カバー20について説明する図を示した。図9(a)は図4に相当する図、図9(b)は図7に相当する図である。
本形態の滴下容器用カバー20では、上記した第一形態の滴下容器用カバー10の押圧突起12bの代わりに、これとは配置が異なる押圧突起22bを備える点で相違する。その他の事項については、滴下容器用カバー10と同様に考えることができるので、ここでは押圧突起22bに関連する事項についてのみ説明する。
【0032】
図9からわかるように、本形態では第一押圧部22(第二押圧部23も同様)の押圧突起22bは高さ方向については底部11に近い位置であるとともに、幅方向には中央に寄せられるように配置されている(本形態では合計3つ)。これは具体的には次のような意味である。
【0033】
本形態では押圧突起22bの高さ方向(y方向)の位置については次の通りである。
本形態では、押圧突起22bについて上記したLが0.7・Hb(0.7・Hc)よりも小さいことが好ましい。すなわち、本形態では押圧突起22bの端部22cが、上記した押圧突起12bの端部12cに比べて底部11に近い位置となる。
【0034】
一方、押圧突起22bの幅方向(x方向)の位置については、WpがWb/4より小さいことが好ましい。ここでWp及びWbの意味は上記(図4図7)と同じである。すなわち、収容部を幅方向に4等分した最も中央寄りの範囲となる位置に押圧突起22bが配置される。
【0035】
また、押圧突起22bの幅(x方向大きさ)、長さ(y方向大きさ)、突出量(z方向大きさ)及び断面形状は押圧突起12bと同様に考えることができる。
ただし、通常は滴下容器1の収容部2がy方向に長いことから、押圧突起も、幅及び突出量に比べて長さが大きくなるように細長いことが好ましい。
【0036】
また、押圧突起22bは、上記線Abを挟んでx方向の同じ位置に線対称となるように複数配置されていることが好ましい。これにより収容部2を均等に押圧することができる。本形態では押圧突起22bは3つ配置されている。従って中央の押圧突起22bが線Abに重なるように配置されている。本形態では3つの押圧突起22bが設けられた例であるが、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0037】
以上のような本形態の滴下容器用カバー20を収容部2に装着した滴下容器1を用いて、施術者はフタ3を外し、滴下容器1の滴下部を下向きするとともに、図6(b)に直線矢印で示した態様と同様に第一押圧部22及び第二押圧部23の上部を指で押圧する。これにより、第一押圧部22と第二押圧部23とが互いに近づく方向に移動し、特に押圧突起22b、23bが収容部2を押圧して収容部2の内圧を上昇させて滴下部に薬液を移動させ、滴下部から薬液を滴下することができる。
【0038】
このとき、本形態の滴下容器用カバー20によれば、図9(a)、図9(b)からよくわかるように、上記のようなy方向位置及びx方向位置の押圧突起22b、23bのみが配置されることにより、収容部2の比較的低い位置かつ幅方向中央付近を押圧することになる。
これによれば、図10に説明のための模式図を表したように、直線矢印で示した押圧する位置と押圧突起22b、23bの端部との位置が離れているため、底板11を支点として、押圧位置を力点、押圧突起を作用点とした「てこ」を考えると、「てこの原理」による作用点における力が増幅されている。
さらに、図9(b)からわかるように押圧突起22b(押圧突起23bも)は収容部2の幅方向中央部分を押圧するので、押圧による収容部2の変形が大きい。すなわち通常、収容部2は楕円柱形状のため、端部に比べて中央部が凹みやすいことから強い押圧力を与えることができる。
【0039】
本形態の滴下容器用カバー20によれば、収容部2に収納された薬液の粘度が高く、押し出し(滴下)し難い場合であっても、押圧力が強められているため、薬液の速やかな滴下が可能となり、意図する滴下をより確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 滴下容器
2 収容部
3 フタ
10、20 滴下容器用カバー
11 底部
12、22 第一押圧部
12a 凹部
12b、22b 押圧突起
13、23 第二押圧部
13a 凹部
13b、23b 押圧突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10