(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240417BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
H04M9/00 H
(21)【出願番号】P 2020046732
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】峰田 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】宇野 亮二
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-165967(JP,A)
【文献】国際公開第2019/229978(WO,A1)
【文献】特開2007-181013(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053864(WO,A1)
【文献】特開2016-035614(JP,A)
【文献】特開2000-224221(JP,A)
【文献】特開平10-098536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H04L 12/28
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅に設置されて
来訪者から居住者を呼び出すための玄関子機と、前記来訪者からの呼び出しに
前記居住者が応答するための居室親機
と、を有するインターホン装置と、
前記住宅内に設置されて前記インターホン装置と無線通信可能な少なくとも一つの機器と、
前記住宅内において前記インターホン装置とは離隔して配置され、前記居住者からの対話型の音声操作に対応した
第一スピーカと、
を備えたインターホンシステムであって、
前記居室親機は、
前記
第一スピーカから放音された音声を集音する集音部と、
前記集音部により集音された前記音声に基づいて、前記少なくとも一つの機器に所定の制御を実行させるための制御信号
の送信
を制御する制御部と、
を有
し、
前記玄関子機は、
前記来訪者が操作する呼出操作部と、
前記集音部において集音された集音音声を放音する子機放音部と、
を有し、
前記居室親機は、前記呼出操作部からの呼出操作を受けた場合に、呼出音を放音する第二スピーカをさらに有し、
前記第一スピーカは、前記第二スピーカから放音された前記呼出音に応答して、応答メッセージを生成して、前記応答メッセージを前記音声として放音し、
前記制御部は、
前記音声が前記応答メッセージを含む場合には前記音声を前記子機放音部へ送信し、
前記音声が前記応答メッセージを含まず、且つ、前記音声が前記少なくとも一つの機器に関する内容を含む場合には、前記少なくとも一つの機器に前記制御信号を送信する、
ように構成されている、インターホンシステム。
【請求項2】
前記
第一スピーカは、前記居住者によりあらかじめ設定された時間になったとき、または、前記居住者が所有して前記
第一スピーカと通信可能に接続された電子機器からの指示信号を受信したときに、前記音声を放音する、請求項1に記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記音声の内容に応じて、前記所定の制御の種類、および前記制御信号を送信する送信先の少なくとも一方を異ならせるように構成されている、請求項1または2に記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記集音
部により集音された前記音声が前記応答
メッセージを含まない場合には前
記音声を前記子機放音部へは送信しないように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のインターホンシステム。
【請求項5】
住宅に設置されて来訪者から居住者を呼び出すための玄関子機と、前記来訪者からの呼び出しに前記居住者が応答するための居室親機と、を有するインターホン装置と、
前記住宅内において前記インターホン装置とは離隔して配置され、前記居住者からの対話型の音声操作に対応した第一スピーカと、
を備えたインターホンシステムであって、
前記居室親機は、前記第一スピーカから放音された音声を集音する集音部を有し、
前記玄関子機は、前記来訪者が操作する呼出操作部と、前記集音部において集音された集音音声を放音する子機放音部と、を有し、
前記居室親機は、前記呼出操作部からの呼出操作を受けた場合に、呼出音を放音する第二スピーカをさらに有し、
前記第一スピーカは、前記第二スピーカから放音された前記呼出音に応答して、応答メッセージを生成し、前記応答メッセージを前記音声として放音し、
前記居室親機は、前記集音部により集音された前記音声が前記応答メッセージを含む場合には前記音声を前記子機放音部へ送信する、インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、居住者を呼出して通話する機能を備えた玄関子機と、玄関子機からの呼出に応答する機能を備えた居室親機とを有するインターホンシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、住宅内の電化製品や照明器具などの各種機器を監視および制御するために、機器間ネットワークの構築が進められている。このような機器間ネットワークで接続された各種機器の制御には改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、インターホン装置とスピーカとを連携させることにより、住宅内に設置される各種機器を容易に制御可能なインターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のインターホンシステムは、
住宅に設置されて来訪者からの呼び出しに居住者が応答するための居室親機を有するインターホン装置と、
前記住宅内に設置されて前記インターホン装置と無線通信可能な少なくとも一つの機器と、
前記住宅内において前記インターホン装置とは離隔して配置され、前記居住者からの対話型の音声操作に対応したスピーカと、
を備えたインターホンシステムであって、
前記居室親機は、
前記スピーカから放音された音声を集音する集音部と、
前記集音部により集音された前記音声に基づいて、前記少なくとも一つの機器に所定の制御を実行させるための制御信号を送信する制御部と、
を有している。
【0007】
上記構成によれば、インターホン装置が備える居室親機とスピーカとを連携させることにより住宅内に設置される各種機器(例えば、エアコン、テレビ、給湯器などの電化製品、照明器具など)の制御を容易に行うことができる。特に、対話型のスピーカから放音された音声を音声指示信号として受信した居室親機が制御信号を各種機器へ送信するため、居室親機とスピーカとを有線又は無線回線で接続する必要がない。さらに、スピーカから放音された音声を居住者も聴くことができるため、ユーザビリティを向上させることができる。
【0008】
また、本発明のインターホンシステムにおいて、
前記スピーカは、前記居住者によりあらかじめ設定された時間になったとき、または、前記居住者が所有して前記スピーカと通信可能に接続された電子機器からの指示信号を受信したときに、前記音声を放音してもよい。
【0009】
上記構成によれば、居室親機に対する音声指示信号としての音声をスピーカから適切なタイミングで放音させることができる。
【0010】
また、本発明のインターホンシステムにおいて、
前記制御部は、前記音声の内容に応じて、前記所定の制御の種類、および前記制御信号を送信する送信先の少なくとも一方を異ならせるように構成されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、スピーカからの音声内容に応じて異なる制御を機器に実行させることができる。
【0012】
また、本発明のインターホンシステムにおいて、
前記インターホン装置は、前記来訪者が前記居住者を呼び出す呼出操作部と、前記集音部において集音された集音音声を放音する子機放音部とを有する玄関子機をさらに備え、
前記制御部は、前記集音音声が前記呼出操作部からの呼出操作を受けて前記居住者または前記スピーカにより応答された応答音声であるか否かを判断し、前記集音音声が前記応答音声ではないと判断された場合には前記集音音声を前記子機放音部へは送信しないように構成されていてもよい。
【0013】
通常は、集音部で集音された音声が玄関子機の子機放音部から放音されるが、集音音声が応答音声ではない場合に子機放音部から当該音声を放音させると、不都合が生じる場合がある。そこで、集音音声が子機放音部から放音させるべき応答音声ではない場合には、当該集音音声を子機側へ送信しないことで、予期せぬ放音を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のインターホンシステムによれば、インターホン装置とスピーカとを連携させることにより、住宅内に設置される各種機器を容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るインターホンシステムの構成図である。
【
図2】インターホン装置の玄関子機及び居室親機の機能ブロック図である。
【
図3】インターホンシステムの第一動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】インターホンシステムの第二動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るインターホンシステムの一例について、図面を参照して説明する。
図1は、インターホンシステム100の構成を示す図である。
図1に示すように、インターホンシステム100は、インターホン装置1と、インターホン装置1に通信可能に接続される機器、例えば、電気錠4、宅配ボックス5、給湯器6、スマートスピーカ7、スマートフォン8を備えている。
【0017】
インターホン装置1は、一戸建ての住宅、あるいはマンション等の集合住宅における各住戸などに設置される装置であり、玄関子機2と、居室親機3とを備えている。例えば、インターホン装置1がマンション等の集合住宅に設置される場合には、集合玄関(エントランス)に設置される集合玄関機が玄関子機2の機能の全部又は一部を有していてもよい。
【0018】
玄関子機2は、来訪者が居住者を呼び出して通話するためなどに用いられる。玄関子機2は、例えば、住宅の玄関等に設置されている。居室親機3は、玄関子機2からの呼び出しに居住者が応答するためなどに用いられる。居室親機3は、例えば、住宅内の居室等に設置されている。玄関子機2と居室親機3とは信号ラインLを介して通信可能に接続されている。
【0019】
電気錠4は、インターホン装置1が設置される住宅の玄関ドアに設けられている。電気錠4は、居室親機3に無線通信可能に接続されており、居室親機3から送信される制御信号に基づいて玄関ドアを施錠又は解錠する。
【0020】
宅配ボックス5は、宅配物を受け取るためのボックスであり、例えば、インターホン装置1が設置される住宅の玄関周辺に設けられている。宅配ボックス5は、居室親機3に無線通信可能に接続されており、居室親機3から送信される制御信号に基づいて施錠又は解錠可能に構成されている。
【0021】
給湯器6は、温水を供給可能な機器であり、インターホン装置1が設置される住宅内に設置されている。給湯器6は、居室親機3に無線通信可能に接続されており、居室親機3から送信される制御信号に基づいて、例えば浴槽への給湯を開始するように構成されている。
【0022】
なお、居室親機3に無線通信可能に接続される機器としては、電気錠4、宅配ボックス5、給湯器6の他に例えば、エアコン、テレビ、洗濯機、などの家電製品、照明器具等を含んでもよい。
【0023】
スマートスピーカ7は、居室内においてインターホン装置1の居室親機3とは一定距離離隔した場所に配置されている。スマートスピーカ7は、AI(人工知能)を搭載したスピーカであり、例えば、住宅の居間などに設置されている。スマートスピーカ7は、音声を介して居室親機3に通信可能に接続されている。スマートスピーカ7は、居住者などからの対話型の音声操作に対応したスピーカであり、居住者などからの話しかけに基づいて居室親機3と連携し、電気錠4、宅配ボックス5、給湯器6等の各種機器を操作することが可能である。スマートスピーカ7は、居住者が設定する所定の音声メッセージを放音するように構成されている。また、スマートスピーカ7は、スマートフォン8から送信される指示信号に基づいて所定の音声メッセージを放音するように構成されている。所定の音声メッセージは、スマートスピーカ7が有する記憶部71に記憶されている。
【0024】
スマートフォン8は、住宅の居住者が所有する端末(電子機器の一例)である。スマートフォン8は、スマートスピーカ7に通信可能に接続されている。スマートフォン8は、スマートスピーカ7を動作させるための指示信号をスマートスピーカ7に送信することが可能である。
【0025】
図2は、インターホン装置1の玄関子機2及び居室親機3の機能ブロック図である。
図2に示すように、玄関子機2は、呼出操作部21と、スピーカ22(子機放音部の一例)と、マイク23と、カメラ24と、子機制御部25とを備えている。
【0026】
呼出操作部21は、来訪者が居住者を呼び出しする際に操作する操作部であり、例えば、呼出ボタン等で構成されている。スピーカ22及びマイク23は、来訪者に向けて居住者側のメッセージ等を出力したり、居住者に向けて来訪者側のメッセージ等を送出したりするための通話部を構成する。カメラ24は、来訪者を撮像するための撮像機器である。呼出操作部21、スピーカ22、マイク23及びカメラ24は、子機制御部25に接続されている。子機制御部25は、接続されているこれら各部の動作を制御する。また、子機制御部25は、信号ラインLを介して居室親機3との間で信号の送受信を行う。
【0027】
子機制御部25は、玄関子機2の各部の動作を制御するための制御部であり、例えば1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)及び/又はTPU(Tensor Processing Unit)である。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、玄関子機制御プログラムが記憶されてもよい。RAMには、玄関子機制御プログラムが一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、記憶装置又はROMに記憶された制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、子機制御部25は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programammable Gate Array)等の集積回路(ハードウェア資源)によって構成されてもよい。さらに、子機制御部25は、少なくとも一つのマイクロコントローラと集積回路との組み合わせによって構成されてもよい。子機制御部25は、信号ラインLを介して居室親機3との間で信号の送受信を行う。
【0028】
居室親機3は、親機操作部31と、スピーカ32と、マイク33(集音部の一例)と、録音部34と、記憶部35と、ディスプレイ36と、親機制御部37とを備えている。親機制御部37は、音声判断部41と、応答メッセージ生成部42とを有している。
【0029】
親機操作部31は、来訪者からの呼び出しに対して居住者が応対する際に操作する操作部である。親機操作部31を操作することにより、例えば、来訪者との通話を可能にしたり、玄関ドアの電気錠4あるいは宅配ボックス5を解錠又は施錠したり、給湯器6を動作させたりすることが可能である。親機操作部31は、例えば、タッチスクリーン式のディスプレイ36上に表示されるタッチボタン、あるいは居室親機3の筐体上に設けられた押下式のボタンで構成されている。
【0030】
スピーカ32及びマイク33は、居住者に向けて来訪者側のメッセージ等を出力したり、来訪者に向けて居住者側のメッセージ等を送出したりするための通話部を構成する。また、マイク33は、居室内に放音される音声を集音することが可能な集音部として機能するように構成されている。例えば、マイク33は、スマートスピーカ7から放音された音声を集音できるように構成されている。
【0031】
録音部34は、玄関子機2のマイク23に入力されて居室親機3に送信される来訪者の音声を録音するように構成されている。
【0032】
記憶部35には、スマートスピーカ7から放音される音声をマイク33により集音した集音音声が記憶される。加えて、記憶部35には、来訪者に向けて送信される居住者側のメッセージ等が記憶される。送信されるメッセージには、例えば、来訪者に対して来訪者名を名乗らせるためのメッセージや、来訪者の用件を伺うメッセージ等を含む応答メッセージが含まれる。記憶部35には、さらに、録音部34で録音された録音データ(例えば来訪者の発話による音声)や、玄関子機2のカメラ24により撮像された撮像データ(例えば来訪者の映像)等が記憶される。
【0033】
ディスプレイ36には、例えば、玄関子機2のカメラ24で撮像された来訪者の映像が表示される。
【0034】
親機制御部37は、居室親機3の各部の動作を制御するための制御部であり、例えば1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROMと、RAMを含む。ROMには、居室親機制御プログラムが記憶されてもよい。RAMには、居室親機制御プログラムが一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、記憶装置又はROMに記憶された居室親機制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、親機制御部37は、ASICやFPGA等の集積回路(ハードウェア資源)によって構成されてもよい。さらに、親機制御部37は、少なくとも一つのマイクロコントローラと集積回路との組み合わせによって構成されてもよい。
【0035】
親機操作部31、スピーカ32、マイク33、録音部34、記憶部35及びディスプレイ36は、親機制御部37に接続されている。親機制御部37は、接続されているこれら各部の動作を制御する。また、親機制御部37は、信号ラインLを介して玄関子機2との間で信号の送受信を行う。また、親機制御部37は、無線通信により電気錠4、宅配ボックス5及び給湯器6との間で信号の送受信を行う。
【0036】
親機制御部37の音声判断部41は、例えば記憶部35に記憶されたマイク33の集音音声を解析して集音された音声内容を判断する。また、音声判断部41は、集音音声の内容が例えば居室親機3に接続されている機器(電気錠4,宅配ボックス5,給湯器6)に関する内容であるかを判断する。また、音声判断部41は、集音音声の内容が例えば玄関子機2の呼出操作部21からの呼出に対する応答音声であるかを判断する。音声判断部41は、例えば、集音音声の内容が呼出操作部21からの呼出に応答する居住者の応答音声であるか、あるいは、集音音声の内容が呼出操作部21からの呼出に応答するスマートスピーカ7の応答音声であるかを判断する。
【0037】
親機制御部37は、音声判断部41において集音音声の内容を判断し、集音音声の内容が機器(電気錠4,宅配ボックス5,給湯器6)に関する内容であると判断された場合には、集音音声の内容に応じて、判断された所定の機器に所定の制御を実行させる。
【0038】
親機制御部37の応答メッセージ生成部42は、例えば玄関子機2の呼出操作部21からの呼び出しに応答し、記憶部35に記憶された居住者側のメッセージに基づいて、来訪者に対する応答メッセージを生成する。応答メッセージ生成部42は、例えば来訪者が発話した音声の内容に応じて、応答メッセージを生成する。
【0039】
(第一動作例:給湯器の動作を制御する場合)
次に、
図3を参照してインターホンシステム100の第一動作例について説明する。
図3は、インターホンシステム100の第一動作例を説明するためのフローチャートである。
【0040】
まず、インターホンシステム100の設定が居住者等(以下、ユーザと称す。)によって行われる。例えば、所定のタイミングで浴槽への給湯予約をしたい場合、ユーザは、浴槽に給湯したい旨と給湯してほしい時間とを予めスマートスピーカ7に設定しておく。スマートスピーカ7への設定は、例えば音声による対話型の操作により設定可能である。設定された事項は、スマートスピーカ7の記憶部71に記憶される。
【0041】
スマートスピーカ7は、ユーザにより設定されている事項があるか否かを判定する(ステップS10)。
【0042】
ステップS10において、設定事項がないと判定された場合(ステップS10のNo)、スマートスピーカ7は、ユーザからの設定があるまで待機する。
【0043】
一方、ステップS10において、設定事項(本例の場合、浴槽への給湯予約、予約時間19:00)があると判定された場合(ステップS10のYes)、スマートスピーカ7は、設定された時間に合わせて浴槽への給湯が開始されるように、例えば19:00に「お風呂に給湯してください。」という音声を放音する(ステップS11)。「お風呂に給湯してください。」という音声フレーズは、設定事項に含まれる浴槽、給湯、予約等の用語に対応付けてスマートスピーカ7の記憶部71に記憶されている。
【0044】
スマートスピーカ7から音声フレーズ(「お風呂に給湯してください。」)が放音されると、居室親機3のマイク33は、スマートスピーカ7から放音された音声を集音する(ステップS12)。このとき、居室親機3のマイク33は、常時オン状態に設定されている。このため、マイク33は、スマートスピーカ7から放音された音声をその放音の時間にかかわらず集音することが可能である。
【0045】
スマートスピーカ7から放音された音声が集音されると、居室親機3の親機制御部37は、集音された音声に基づいて、処理すべき事項を認識する(ステップS13)。処理事項の認識は、集音された音声中に含まれる所定のフレーズを検出することによって認識することができる。例えば、集音された音声が「お風呂に給湯してください。」である場合、親機制御部37の音声判断部41は、「お風呂に給湯してください。」に含まれる「風呂」「給湯」というフレーズを検出することによって処理事項を認識する。親機制御部37は、「風呂」「給湯」というフレーズに基づいて、制御する対象機器が「給湯器6」であることと、制御する内容が「浴槽への給湯」であることを認識する。
【0046】
なお、上記したように居室親機3のマイク33は、常時オン状態に設定されている。このため、スマートスピーカ7から放音される音声だけでなく、周囲で放音される他の音声(例えば、居住者の話し声、テレビの音等)も集音する可能性がある。そこで、スマートスピーカ7から放音される音声だけを集音するために、例えば、スマートスピーカ7から居室親機3に要件を伝達する際には、スマートスピーカ7が、放音の最初に「親機へお願い」などの所定のフレーズや、所定の音楽(チャイムなど)を放音するようにしてもよい。居室親機3は、当該所定のフレーズを検知したときに、その放音音声がスマートスピーカ7から放音された音声であると判定し、当該放音音声を集音するようにしてもよい。
【0047】
次に、親機制御部37は、浴槽に給湯を開始させるための制御信号を給湯器6に送信する(ステップS14)。
【0048】
給湯器6は、居室親機3から制御信号を受信する(ステップS15)と、浴槽への給湯を開始する(ステップS16)。
【0049】
次に、給湯器6は、浴槽への給湯が完了したか否かを判定する(ステップS17)。
ステップS17において、浴槽への給湯が完了していないと判定された場合(ステップS17のNo)、給湯器6は給湯が完了するまで浴槽への給湯を継続する。
一方、ステップS17において、浴槽への給湯が完了したと判定された場合(ステップS17のYes)、給湯器6は、浴槽への給湯を終了して、給湯が完了した旨を表す完了信号を居室親機3へ送信する(ステップS18)。
【0050】
居室親機3が、給湯器6からの完了信号を受信ことにより、スマートスピーカ7に設定された「給湯予約」についての処理が終了する。
【0051】
なお、本動作例では、給湯器6について説明したが、居室親機3に接続されている機器であれば給湯器6に限定されない。例えば、機器が照明機器である場合には、スマートスピーカ7から所定時間に「リビングの照明を点灯してください。」という音声が放音され、その放音された音声が居室親機3のマイク33によって集音される。居室親機3の親機制御部37は、放音された音声から所定のフレーズを認識して、照明機器を点灯させる制御信号を照明機器に送信する。このように、親機制御部37は、集音音声に基づいて、居室親機に通信可能に接続された様々な機器の制御を実行することができる。
【0052】
本動作例では、居住者がスマートスピーカ7に直接的に指示事項を予約設定しておく例について説明したが、これに限られない。例えば、居住者が所有するスマートフォン8を介してスマートスピーカ7に対して指示信号を送信し、その指示信号に基づいてスマートスピーカ7が音声を放音するようにしてもよい。
【0053】
具体的には、居住者はスマートフォン8からスマートスピーカ7に向けて、浴槽に給湯してほしい時間を指示する指示信号を送信してもよい。指示信号を受信したスマートスピーカ7は、指示信号に基づいて所定時間に「お風呂に給湯してください。」という音声を放音する。放音された音声を居室親機3のマイク33が集音する以降の動作は、上述したステップS12以降の動作と同様である。
【0054】
別の具体例として、居住者はスマートフォン8からスマートスピーカ7に向けて、電気錠4の解錠を指示する指示信号を送信してもよい。指示信号を受信したスマートスピーカ7は、指示信号に基づいて所定時間に「電気錠を解錠してください。」という音声を放音する。居室親機3のマイク33は、その放音された音声を集音する。親機制御部37は、その集音された音声に基づいて、処理すべき事項(電気錠の解錠)を認識した後、対象機器である電気錠4に制御信号を送信して電気錠4を解錠する。
【0055】
(第二動作例:来訪者が呼出ボタンを操作した場合)
次に、
図4を参照してインターホンシステム100の第二動作例について説明する。
図4は、インターホンシステム100の第二動作例を説明するためのフローチャートである。
【0056】
来訪者により玄関子機2の呼出ボタンが押下されると(ステップS20)、子機制御部25は、信号ラインLを介して呼出信号を居室親機3に送信する(ステップS21)。加えて、子機制御部25は、玄関子機2の呼出ボタンが押下されると、カメラ24により来訪者の映像の撮像を開始させるとともに、撮像された来訪者の撮像データを、信号ラインLを介して居室親機3へ送信する。
【0057】
玄関子機2から呼出信号を受信すると、居室親機3の親機制御部37は、スピーカ22から呼出音(例えば「ピンポン」)を放音する(ステップS22)。また、玄関子機2から来訪者の撮像データを受信すると、親機制御部37は、当該受信された来訪者の撮像データを記憶部35に保存させるとともに、来訪者の映像をディスプレイ36に表示させる。
【0058】
居室親機3のスピーカ22から呼出音が放音されると、その呼出音に応答して、スマートスピーカ7は、来訪者に名前を名乗らせるメッセージや来訪者の用件を伺うメッセージを含む応答メッセージを生成し、生成された応答メッセージを放音する(ステップS23)。スマートスピーカ7は、例えば、「どちら様ですか。ご用件は何ですか。」という応答メッセージを生成して放音する。
【0059】
スマートスピーカ7から応答メッセージが放音されると、居室親機3のマイク33は、その放音された応答メッセージを集音する(ステップS24)。親機制御部37は、マイク33によって集音された集音音声を記憶部35に記憶する。
【0060】
次に、親機制御部37の音声判断部41は、マイク33によって集音された集音音声が呼出音に対して応答された応答音声であるか否かを判定する(ステップS25)。
音声判断部41は、例えば、集音された音声中に含まれる所定のフレーズを検出することによって集音音声が呼出音に対する応答音声であるか否かを判定する。具体的には、集音された音声中に「どちら様」「ご用件」などのフレーズが検出された場合に、その集音音声を応答音声であると判定するようにしてもよい。本例の場合は、スマートスピーカ7から放音された「どちら様ですか。ご用件は何ですか。」という応答メッセージには「どちら様」「ご用件」というフレーズが含まれているため、音声判断部41は集音された応答メッセージが応答音声であると判断する。
【0061】
集音音声が呼出音に対する応答音声であるか否かの判定は、例えば、呼出音が放音されてから所定時間内(例えば、30秒間以内)に集音された音声であるか否かで判定してもよい。例えば、呼出音が放音されてから30秒間以内に集音された音声である場合には、音声判断部41は、その集音音声が呼出音に対する応答音声であると判定する。一方、呼出音が放音されてから30秒間以降に集音された音声である場合には、音声判断部41は、その集音音声が呼出音に対する応答音声ではないと判定する。
【0062】
ステップS25において、集音された音声が呼出音に対する応答音声であると判定された場合(ステップS25のYes)、親機制御部37は、集音音声を玄関子機2へ送信する(ステップS26)。本例の場合は、スマートスピーカ7から放音された応答メッセージは応答音声であると判定されたため、親機制御部27は、集音した「どちら様ですか。ご用件は何ですか。」という応答メッセージを玄関子機2へ送信する。
【0063】
居室親機3から集音音声を受信すると、玄関子機2の子機制御部25は、受信された集音音声、すなわち、「どちら様ですか。ご用件は何ですか。」という応答メッセージをスピーカ22から放音させる(ステップS27)。
【0064】
一方、ステップS25において、集音音声が呼出音に対する応答音声ではないと判定された場合(ステップS25のNo)、親機制御部37は、集音音声を玄関子機2へは送信しないで、処理を終了する。
【0065】
なお、本動作例では、ステップS25において、集音音声が応答音声であると判定された場合には、親機制御部37は、集音音声そのものを玄関子機2へ送信する例について説明したが、これに限られない。例えば、集音音声が応答音声であると判定された場合には、親機制御部37は、応答メッセージ生成部42において、記憶部35に記憶されているメッセージに基づいて応答メッセージを生成し、生成された応答メッセージを玄関子機2へ送信するようにしてもよい。この場合、居室親機3から応答メッセージを受信した玄関子機2の子機制御部25は、受信した応答メッセージをスピーカ22から放音させる。
【0066】
なお、本動作例では、呼出音に対してスマートスピーカ7が応答する場合について説明したが、これに限られない。例えば、呼出音に対して居住者が応答する場合であってもよい。居室親機3のスピーカ22から呼出音(「ピンポン」)が放音されると、居住者は、その呼出音に対して、例えば、「どちら様ですか。ご用件は何ですか。」と居室親機3のマイク33に向かって応答する。居室親機3のマイク33に向けて発話されると、マイク33は、その発話された音声を集音する。親機制御部37の音声判断部41は、マイク33によって集音された集音音声が、呼出音に対して応答された応答音声であるか否か判定する。呼出音に対する応答音声であるか否かの判定は、上記スマートスピーカ7が応答する場合と同様に、集音された音声中に含まれる所定のフレーズを検出することによって判定してもよいし、呼出音が放音されてから所定時間内に集音された音声であるか否かで判定してもよい。判定以降の動作は、上記で説明したスマートスピーカ7が応答する場合と同様である。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係るインターホンシステム100は、住宅に設置されて来訪者からの呼び出しに居住者が応答するための居室親機3を有するインターホン装置1と、住宅内に設置されてインターホン装置1と無線通信可能な機器(電気錠4,宅配ボックス5,給湯器6等)と、住宅内においてインターホン装置1とは離隔して配置され、居住者からの対話型の音声操作に対応したスマートスピーカ7とを備えている。そして、居室親機3は、スマートスピーカ7から放音された音声を集音するマイク33(集音部の一例)と、マイク33により集音された音声に基づいて、少なくとも一つの機器に所定の制御を実行させるための制御信号を送信する親機制御部37とを有している。このような構成によれば、インターホン装置1が備える居室親機3とスマートスピーカ7とを連携させることにより、住宅内に設置される各種機器(電気錠,宅配ボックス,家電製品等)の制御を容易に行うことができる。特に、スマートスピーカ7から放音された音声を音声指示信号として受信した居室親機3が、その音声指示信号に基づいて、各種機器を制御するための制御信号を各種機器へ送信するため、居室親機3とスマートスピーカ7とを有線又は無線回線で接続する必要がない。さらに、スマートスピーカ7から放音された音声を居住者も聴くことができるため、各機器の動作を容易に認識することが可能であり、ユーザビリティを向上させることができる。
【0068】
本実施形態に係るインターホンシステム100によれば、スマートスピーカ7は、居住者によりあらかじめ設定された時間になったとき、または、居住者のスマートフォン8から指示信号を受信したときに、所定の音声を放音するように構成されている。このため、居室親機3に対する音声指示信号としての所定の音声をスマートスピーカ7から適切なタイミングで放音させることができる。
【0069】
本実施形態に係るインターホンシステム100によれば、親機制御部37は、集音される音声の内容に応じて、所定の制御の種類、および制御信号を送信する送信先の少なくとも一方を異ならせるように構成されている。このため、スマートスピーカ7から放音される音声内容に応じて、所定の機器にそれぞれ異なる制御を実行させることができる。
【0070】
本実施形態に係るインターホンシステム100によれば、インターホン装置1は、来訪者が居住者を呼び出す呼出操作部21と、居室親機3のマイク33において集音された集音音声を放音するスピーカ22とを有する玄関子機2をさらに備えている。そして、親機制御部37は、マイク33により集音された集音音声が呼出操作部21からの呼出操作を受けて居住者より応答された応答音声であるか否か、あるいはマイク33により集音された集音音声がスマートスピーカ7により応答された応答音声であるか否かを判断し、集音音声が応答音声ではないと判断された場合には集音音声を玄関子機2のスピーカ22へは送信しないように構成されている。通常は、居室親機3のマイク33で集音された音声は、玄関子機2のスピーカ22から放音されるようになっている。しかしながら、集音音声が応答音声ではない場合に玄関子機2のスピーカ22から当該応答音声ではない音声を放音させると、不都合が生じる場合がある。そこで、集音音声が応答音声ではない場合、すなわち集音音声が玄関子機2のスピーカ22から放音させるべき音声ではない場合には、当該集音音声を玄関子機2側へ送信しないことで、予期せぬ音声が玄関子機2から外部へ放音されるのを防ぐことができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0072】
第一動作例において、居室親機3のマイク33は、常時オン状態に設定されているが、この場合も第二動作例と同様に、マイク33により集音された集音音声が呼出操作部21からの呼出操作を受けて居住者またはスマートスピーカ7により応答された応答音声であるか否かを判断し、集音音声が応答音声ではないと判断された場合には集音音声を玄関子機2のスピーカ22へは送信しないようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0073】
1:インターホン装置、2:玄関子機、3:居室親機、4:電気錠、5:宅配ボックス、6:給湯器、7:スマートスピーカ、8:スマートフォン、21:呼出操作部、22:スピーカ(子機放音部の一例)、23:マイク、24:カメラ、25:子機制御部、31:親機操作部、32:スピーカ、33:マイク(集音部の一例)、34:録音部、35:記憶部、36:ディスプレイ、37:親機制御部、41:音声判断部、42:応答メッセージ生成部、71:記憶部、100:インターホンシステム