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特許7474087保持パッド、その製造方法、及び研磨加工品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】保持パッド、その製造方法、及び研磨加工品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20240417BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B24B37/30 C
H01L21/304 622H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020049543
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021146460
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005359
【氏名又は名称】富士紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】喜樂 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】守 純哉
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/073956(WO,A1)
【文献】特開2011-235385(JP,A)
【文献】特開2011-051075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00-3/60
B24B21/00-51/00
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートを備える保持パッドであって、
前記樹脂シートは、内部に気泡を有し、
前記保持面から深さ50μmにおける樹脂の壁比率W50が、20%以上40%以下であり、
前記保持面から深さ100μmにおける樹脂の壁比率W100が、41%以上60%以下であり、
前記樹脂シートを構成する樹脂が、ポリウレタン樹脂である、
保持パッド。
【請求項2】
前記壁比率W100に対する、前記壁比率W50の減少率((W100-50)/W100×100)は、30%以上60%以下である、請求項1記載の保持パッド。
【請求項3】
前記樹脂シートを構成する樹脂の23±2℃における100%モジュラスは、5MPa以上20MPa以下である、請求項1又は2に記載の保持パッド。
【請求項4】
前記樹脂シートの前記保持面と反対側に、接着シートを更に有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の保持パッド。
【請求項5】
前記樹脂シートと前記接着シートとの積層体の圧縮変形量は、40μm以上70μm以下である、請求項4に記載の保持パッド。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の保持パッドを製造する方法であって、
有機溶媒に溶解したポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を、成膜基材上に塗布し、水系凝固液中で樹脂溶液を凝固させて樹脂シートを得る工程と、
得られた前記樹脂シートを延伸する工程と、を有する、
造方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の保持パッドに、被研磨物を保持する保持工程と、
保持された前記被研磨物を、研磨パッドを用いて研磨する研磨工程と、を有する、
研磨加工品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持パッド、その製造方法、及び研磨加工品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイス及び電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、GaAs(ガリウム砒素)基板、ガラス、及びLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の良好な端部形状を求められる材料に対し、研磨パッドを用いる研磨加工が行われている。このような研磨加工、中でも片面研磨加工においては、被研磨物を保持するための保持パッドが使用されることがある。被研磨物の平坦性、端部形状、及び面品位を向上させるために様々な保持パッドが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリウレタン樹脂3~50wt%;DMF溶媒40~90wt%;および炭素数9~15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩0.1~5wt%を含むことを特徴とする支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物を用いて、高い圧縮率を有する保持パッドを得ることが開示されている。特許文献1によれば、そのような保持パッドは、内部に長くて大きい気孔が均一に形成され、低い密度を有しながらも、高い圧縮率および圧縮回復率を示すため、被研磨物に対してクッション性や吸着力に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5372090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが、上記特許文献1に記載のものを始めとする従来の保持パッドを詳細に検討したところ、従来の保持パッドにより被研磨物を保持して研磨を行うと、研磨後の被研磨物の端部形状に問題が生じることがわかった。
【0006】
例えば、特許文献1に記載されているような高い圧縮率を有する保持パッドにより被研磨物を保持して研磨を行うと、被研磨物が保持パッドに過度に沈み込むことに起因して、得られる被研磨物の端部がハネ形状又はダレ形状になる。また、逆に圧縮率の低い保持パッドにより被研磨物を保持して研磨を行うと、研磨時において被研磨物に局所的な応力が発生しやすいことに起因して、得られる被研磨物の端部がハネ形状又はダレ形状になる。したがって、圧縮率の高低に関わらず、被研磨物に良好な端部形状を付与することができる保持パッドが求められる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、研磨後の被研磨物に良好な端部形状を付与することができる保持パッド、その製造方法、及び研磨加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、保持面を軟質のままに維持しつつ、その表層付近の気泡間の壁厚を一定の範囲とした保持パッドが、研磨後の被研磨物に良好な端部形状を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートを備える保持パッドであって、
前記樹脂シートは、内部に気泡を有し、
前記保持面から深さ50μmにおける樹脂の壁比率W50が、20%以上40%以下であり、
前記保持面から深さ100μmにおける樹脂の壁比率W100が、41%以上60%以下である、
保持パッド。
[2]
前記壁比率W100に対する、前記壁比率W50の減少率((W100-50)/W100×100)は、30%以上60%以下である、[1]記載の保持パッド。
[3]
前記樹脂シートを構成する樹脂の23±2℃における100%モジュラスは、5MPa以上20MPa以下である、[1]又は[2]に記載の保持パッド。
[4]
前記樹脂シートの前記保持面と反対側に、接着シートを更に有する、[1]~[3]のいずれか1つに記載の保持パッド。
[5]
前記樹脂シートと前記接着シートとの積層体の圧縮変形量は、40μm以上70μm以下である、[4]に記載の保持パッド。
[6]
有機溶媒に溶解した樹脂を含む樹脂溶液を、成膜基材上に塗布し、水系凝固液中で樹脂溶液を凝固させて樹脂シートを得る工程と、
得られた前記樹脂シートを延伸する工程と、を有する、
保持パッドの製造方法。
[7]
[1]~[5]のいずれか1つに記載の保持パッドに、被研磨物を保持する保持工程と、
保持された前記被研磨物を、研磨パッドを用いて研磨する研磨工程と、を有する、
研磨加工品の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、研磨後の被研磨物に良好な端部形状を付与することができる保持パッド、その製造方法、及び研磨加工品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の保持パッドにおける樹脂シートの概略断面図である。
図2】本実施形態の保持パッドを用いて被研磨物の研磨を行う方法を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0013】
[保持パッド]
本実施形態の保持パッドは、被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートを備える保持パッドであって、樹脂シートは、内部に気泡を有し、保持面から深さ50μmにおける樹脂の壁比率W50が、20%以上40%以下であり、保持面から深さ100μmにおける樹脂の壁比率W100が、41%以上60%以下である。
【0014】
上記のような保持パッドにより被研磨物を保持して、被研磨物を研磨すると、研磨後の被研磨物に良好な端部形状を付与することができるが、その要因は、以下のように考えられる。ただし、要因は下記に限られない。
【0015】
高い圧縮率を有する従来の保持パッドにより被研磨物を保持して、被研磨物を研磨すると、被研磨物の端部を支持する応力が不十分となることにより、被研磨物の端部が保持パッドに対し過度に沈み込む傾向にある。その結果、被研磨物の中心部の研磨レートが向上し、被研磨物の研磨表面にはハネ形状又はダレ形状が生じやすい。一方、圧縮率が低い従来の保持パッドにより被研磨物を保持して、被研磨物を研磨すると、被研磨物に局所的な研磨圧力がかけられた場合、研磨圧力を応力分散することができない。その結果、被研磨物の一部分のみについて研磨レートが向上し、被研磨物の端部にハネ又はダレが生じる。
【0016】
これに対して、本実施形態の保持パッドは、上記のような構成を有することにより、被研磨物の端部を支持する応力が十分に維持されつつ、研磨圧力を応力分散することができる。その結果、得られる被研磨物の端部形状がより良化する。特に、保持面から深さ50μmにおける樹脂の壁比率W50が、20%以上40%以下であるため、保持面が変形しやすく、研磨圧力を応力分散することができる。その結果、得られる被研磨物の端部形状がより良化する。また、保持面から深さ100μmにおける樹脂の壁比率W100が、41%以上60%以下であるため、被研磨物の端部を支持する応力を十分に維持することができる。その結果、得られる被研磨物の端部形状がより良化する。
【0017】
ここで、「壁比率W」とは、樹脂と気泡の割合を示す値であり、気泡構造の指標となる。本明細書において、壁比率Wは、樹脂シートの保持面から所定の深さにおける断面の樹脂の割合として定義され、すなわち、以下の式(1)で定義される。なお、壁比率Wは、実施例に記載の方法により測定することができる。
壁比率W(%)=100×{Ap/(Ap+Ab)} (1)
Ap:樹脂シートの所定の深さにおける断面のうち、樹脂部分の占める面積
Ab:樹脂シートの所定の深さにおける断面のうち、気泡部分の占める面積
【0018】
したがって、所定の深さにおける壁比率が100%に近い場合、その深さにおいて樹脂成分が多く、すなわち、気泡が少ないことを示す。また、壁比率が0%に近い場合、気泡が多いことを示す。したがって、本実施形態の保持パッドは、深さ100μmにおける気泡の割合よりも、深さ50μmにおける気泡の割合の方が多い。その結果、上記の通り、得られる被研磨物の端部形状がより良化する。また、後述するように、そのような保持パッドにより被研磨物を保持して被研磨物の研磨を行うと、被研磨物の平坦性が一層向上する傾向にある。
【0019】
なお、本実施形態において「被研磨物の平坦性がより向上する」とは、被研磨物の研磨された表面が全体としてより平坦であることを意味する。これは、グローバル平坦性が良好であるということもできる。また、「端部形状がより良化する」とは、被研磨物の研磨された表面のうち、その表面の端部がより平坦であることを意味する。これは例えば、被研磨物の外周に生じる、ダレ形状(「ロールオフ」ともいう。)やハネ形状(「スキージャンプ形状」ともいう。)が抑制されていることを意味する。
【0020】
[樹脂シート]
図1に、樹脂シートの概略断面図を示す。図1に示すように、本実施形態の樹脂シート1は、被研磨物を保持するための保持面2を有し、内部に気泡3を有するものである。
【0021】
樹脂シートの保持面は、適量の水を含ませて被研磨物を押し付けることで、保持面と被研磨物の表面との相互作用等により被研磨物を保持することができる。また、保持面は、被研磨物を保持しやすいように被研磨物よりも大きく設計されていてもよいし、複数の被研磨物を同時に保持できるよう構成されていてもよい。
【0022】
さらに、本実施形態における樹脂シート1の構造としては、特に限定されないが、保持面2として皮膜(スキン層)を備え、スキン層の下部には厚み方向に縦長の気泡3を備えることが好ましい。また、気泡3は、互いに連通した連続気泡構造を有していてもよい。縦長の気泡3としては、例えば、本実施形態における樹脂シートの厚み方向に沿って、スキン層に向かって気泡径が漸次小さくなる形状を有するものが挙げられる。
【0023】
樹脂シートが内部に有する気泡の形状は、特に限定されないが、例えば、略球状、錐体状、及び紡錘形状が挙げられる。錐体状や紡錘形状の場合、樹脂シートの厚み方向に長い錐体状、及び紡錘形状が好ましい。樹脂シートがこのような形状を有する気泡を含むことにより、樹脂シートの保持面が水を一層保持しやすくなるため、保持パットが被研磨物を一層確実に保持できる傾向にある。また、樹脂シートが樹脂シートの厚み方向に長い錐体状又は紡錘形状の気泡を有することで、上記壁比率W50及びW100を満たす樹脂シートを構成しやすくなる傾向にある。
【0024】
樹脂シートの保持面から深さ50μmにおける樹脂の壁比率W50は、20%以上40%以下であり、好ましくは25%以上39%以下であり、より好ましくは30%以上38%以下である。壁比率W50が上記の範囲にあることにより、保持面が一層変形しやすく、研磨圧力を一層応力分散することができる。その結果、得られる被研磨物の平坦性が一層向上し、及び端部形状が一層良化する。更に、壁比率W50が上記の範囲にあると、被研磨物に対する保持パッドの追従性が一層向上するため、保持パッドは、被研磨物を被研磨物の厚さ方向に一層確実に吸着することができる。
【0025】
樹脂シートの保持面から深さ100μmにおける樹脂の壁比率W100は、41%以上60%以下であり、好ましくは45%以上58%以下であり、より好ましくは47%以上55%以下である。壁比率W100が上記の範囲にあることにより、被研磨物の端部を支持する応力を一層十分に維持することができる。
【0026】
上記壁比率W100に対する、上記壁比率W50の減少率((W100-50)/W100×100)は、好ましくは30%以上60%以下であり、より好ましくは31%以上50%以下であり、更に好ましくは32%以上45%以下であり、特に好ましくは32%以上40%以下である。上記減少率((W100-50)/W100×100)が上記の範囲にあることにより、保持面の変形のしやすさ、保持パッドの被研磨物に対する追従性、及び保持パッドが被研磨物の端部を支持する応力のバランスに一層優れる。その結果、得られる被研磨物の平坦性が一層向上し、及び端部形状が一層良化する。
【0027】
なお、壁比率W100及び壁比率W50は、特に限定されないが、例えば、後述する製造方法において、樹脂溶液中の有機溶媒の含有量を調整する方法、樹脂シートを延伸する方法、及びその延伸率を調整する方法などにより制御することができる。樹脂溶液中の有機溶媒の含有量が多いほど形成される気泡が大きくなり壁比率が小さくなる傾向にあり、有機溶媒の含有量が少ないほど壁比率が大きくなる傾向にある。また、樹脂シートを延伸することにより、延伸前の樹脂シートと比較して壁比率が小さくなり、延伸率により壁比率を調整することができる。
【0028】
本発明の効果をより有効かつ確実に奏する観点から、樹脂シートの平均厚さは、好ましくは0.50mm以上3.0mm以下であり、より好ましくは0.55mm以上2.0mm以下であり、更に好ましくは0.60mm以上1.5mm以下である。
【0029】
樹脂シートの圧縮変形量は、好ましくは20μm以上50μm以下であり、より好ましくは25μm以上45μm以下であり、更に好ましくは30μm以上40μm以下である。樹脂シートの圧縮変形量が上記の範囲にあることにより、被研磨物は保持パッドに一層適度に沈み込むことができるため、得られる被研磨物の平坦性が一層向上し、及び端部形状が一層良化する傾向にある。
【0030】
なお、圧縮変形量とは、所定の初期荷重で加圧した時の試料の厚さと、所定の最終荷重で加圧した時の試料厚さとの比から求められる値であり、より詳細には、実施例に記載の方法により測定することができる。また、樹脂シートの圧縮変形量は、壁比率W50及びW100や、後述する樹脂シートを構成する樹脂の23±2℃における100%モジュラスを適宜調節することで制御することができる。
【0031】
(樹脂)
樹脂シートを構成する樹脂は、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリサルホン樹脂、及びポリイミド樹脂、その他従来の研磨パッドの樹脂シート部分に用いられる樹脂が挙げられる。本発明の効果をより有効かつ確実に奏する観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。樹脂シートを構成する樹脂は1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
【0032】
ポリウレタン樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル-エーテル系ポリウレタン樹脂及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。ポリウレタン樹脂は1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
【0033】
樹脂シートは、その他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、保持パッドにおける樹脂シートに用いられ得るものであれば特に制限されないが、例えば、カーボンブラックなどの顔料、ノニオン系界面活性剤などの成膜安定剤及びアニオン系界面活性剤などの発泡調整剤が挙げられる。
【0034】
樹脂シートを構成する樹脂の23±2℃における100%モジュラスは、好ましくは5.0MPa以上20.0MPa以下であり、より好ましくは5.5MPa以上10.0MPa以下であり、更に好ましくは6.0MPa以上8.0MPa以下である。100%モジュラスが上記の範囲にあることにより、被研磨物は保持パッドに一層適度に沈み込むができ、得られる被研磨物の平坦性が一層向上し、及び端部形状が一層良化する。
【0035】
なお、「100%モジュラス」とは、その樹脂からなるシートを100%伸ばしたとき、すなわち、元の長さの2倍に伸ばしたとき、の引張力を試験片の初期断面積で除した値である。また、樹脂の23±2℃における100%モジュラスは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0036】
[接着シート]
本実施形態の保持パッドは、樹脂シートの保持面と反対側に、接着シートを更に有していてもよい。このような接着シートにより、研磨装置に保持パッドを固定することができる。
【0037】
接着シートに含まれる接着剤としては、特に制限されないが、例えば、ポリアミド系接着剤、ポリエステル系接着剤、エチレン-酢酸ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、オレフィン系接着剤、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、及びシリコーン系接着剤が挙げられる。
【0038】
接着シートは、研磨装置と保持パッドとを接着できるものであれば特に限定されないが、例えば、基材の両面に上記接着剤が塗布されているものが挙げられる。そのような基材としては、特に限定されないが、例えば、芳香族エステル樹脂からなる基材、PET樹脂からなる基材が挙げられる。
【0039】
樹脂シートと接着シートとの積層体の圧縮変形量は、好ましくは40μm以上70μm以下であり、より好ましくは50μm以上68μm以下であり、更に好ましくは55μm以上65μm以下である。上記積層体の圧縮変形量が上記の範囲にあることにより、被研磨物は保持パッドに一層適度に沈み込むことができるため、得られる被研磨物の平坦性が一層向上し、及び端部形状が一層良化する傾向にある。
【0040】
本実施形態の保持パッドの製造方法としては、上記構成を有する保持パッドを製造することができる方法である限り特に限定されないが、例えば、以下に記載する保持パッドの製造方法を好適に用いることができる。
【0041】
[保持パッドの製造方法]
本実施形態の保持パッドの製造方法は、有機溶媒に溶解した樹脂を含む樹脂溶液を、成膜基材上に塗布し、水系凝固液中で樹脂溶液を凝固させて樹脂シートを得る凝固工程と、得られた樹脂シートを延伸する延伸工程と、を有する。
【0042】
上記のような凝固工程と延伸工程とを有することにより、容易に壁比率W50が20%以上40%以下であり、かつ、壁比率W100が41%以上60%以下である樹脂シートを製造することができる。なお、以下、凝固工程により得られる樹脂シートは「延伸前の樹脂シート」ともいい、延伸工程により得られる樹脂シートは「延伸後の樹脂シート」ともいう。
【0043】
(凝固工程)
凝固工程は、有機溶媒に溶解した樹脂を含む樹脂溶液を、成膜基材上に塗布し、水系凝固液中で樹脂溶液を凝固させて延伸前の樹脂シートを得る工程である。
【0044】
一般的に、樹脂シートを形成する方法としては、湿式成膜法や乾式成型法(モールド法ともいう)が知られているが、本実施形態においては湿式成膜法を採用する。湿式成膜法では、樹脂を水混和性の有機溶媒に溶解させた樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、これを水系凝固液に浸漬することで樹脂をシート状に凝固再生させる。このようにして得られたシートの内部には、樹脂の凝固再生に伴い発生した多数の発泡が含まれている。そして、これを洗浄後乾燥させて長尺状の樹脂シートを得ることができる。以下、湿式成膜法の各工程について詳述する。
【0045】
一般に、湿式成膜法は、準備工程、塗布工程、凝固再生工程を含み、必要に応じて、洗浄・乾燥工程や、延伸前の樹脂シートの表面を平坦化するための研削・除去工程を含んでもよい。
【0046】
準備工程では、樹脂を、その樹脂を溶解可能であり、かつ、水混和性である有機溶媒に溶解させ、更に、必要に応じて添加剤を添加した後、それらを均一になるよう混合して、樹脂溶液を調製する。樹脂溶液は、濾過により凝集塊等を除去した後、真空下で脱泡しておくことが好ましい。
【0047】
上記樹脂としては、保持パッドで例示した樹脂を用いることができる。また、有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン(MEK)等の極性溶媒を用いることができる。上記の溶媒は、ポリウレタンを溶解可能で水混和性である。
【0048】
また、樹脂溶液中の樹脂濃度に限定はないが、例えば、樹脂溶液全体に対して、10質量%以上50質量%以下とすることができる。本実施形態の製造方法により得られる樹脂シートの壁比率W50を一層容易に20%以上40%以下とし、かつ、壁比率W100を一層容易に41%以上60%以下とする観点から、樹脂溶液中の樹脂濃度は、樹脂溶液全体に対して、好ましくは15質量%以上45質量%以下である。同様の観点から、樹脂溶液中の樹脂濃度は、樹脂溶液全体に対して、より好ましくは20質量%以上40質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以上35質量%以下である。なお、樹脂溶液中の樹脂濃度が低いほど形成される気泡が大きくなり、壁比率が小さくなる傾向にある。
【0049】
さらに、樹脂溶液には、例えば、発泡を制御する発泡調整剤、ポリウレタンの凝固再生を安定化させる成膜安定剤、及び、発泡形成を安定化させるためのカーボンブラック等の添加剤を添加することができる。
【0050】
成膜安定剤としては、特に制限されないが、例えば、ノニオン系界面活性剤が挙げられる。具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、及びプロピレングリコール脂肪酸エステルのような炭素数3以上のアルキル鎖が付加した化合物等が挙げられる。
【0051】
また、発泡調整剤としては、特に制限されないが、例えば、アニオン系界面活性剤が挙げられる。具体的には、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、及びリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0052】
塗布工程では、準備工程で調製された樹脂溶液を、常温下でナイフコータ等を用いて帯状の成膜基材に略均一に塗布するなどして塗膜を形成する。このとき、ナイフコータと成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)を調整することができる。
【0053】
成膜基材としては、可撓性フィルム、不織布、及び織布等を用いることができる。成膜基材として不織布又は織布を用いる場合は、ポリウレタン溶液の塗布時にポリウレタン溶液が成膜基材内部へ浸透するのを抑制するため、基材を予め水又は有機溶媒水溶液(DMFと水との混合液等)に浸漬する前処理(目止め)を行うことが好ましい。成膜基材から樹脂シートを剥離して得る場合は、可撓性フィルムを用いるのがより好ましい。
【0054】
凝固再生工程では、塗布工程で得られた塗膜(樹脂溶液が塗布された成膜基材)を、樹脂に対して貧溶媒である水系凝固液(例えば、水や水を主成分とする溶媒)に浸漬し、樹脂溶液の塗布膜を内部に多数の発泡を有するシート状に凝固再生させる。
【0055】
水系凝固液中では、一般に、まず、塗布された樹脂溶液の表面に微多孔の形成された厚さ数μm程度のスキン層が形成され、その後、ポリウレタン溶液中の有機溶媒と凝固液との置換の進行により樹脂が成膜基材の片面にシート状に凝固再生する。このとき、典型的には、有機溶媒が樹脂溶液から脱溶媒し、有機溶媒と凝固液とが置換することにより、スキン層の下側(成膜基材側)にスキン層に形成された微多孔より孔径が大きく、シートの厚み方向に丸みを帯びた断面略三角状の発泡が略均等に分散した状態で形成された発泡層が形成されるが、気泡構造はこれに限らない。
【0056】
洗浄・乾燥工程では、凝固再生工程で凝固再生した樹脂シートが成膜基材から剥離され、水等の洗浄液中で洗浄されて樹脂中に残留する有機溶媒が除去される。洗浄後、得られた樹脂シートを必要に応じてシリンダ乾燥機等で乾燥させる。
【0057】
シリンダ乾燥機は内部に熱源を有するシリンダを備える乾燥機であり、樹脂シートがシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後の樹脂シートは、ロール状に巻き取られる。
【0058】
(延伸工程)
上記のように巻き取られた延伸前の樹脂シートは、延伸工程により所定の延伸率で延伸する。これにより、延伸前の樹脂シートが延伸されて、壁比率が変化する。樹脂シートの延伸率は105%以上300%以下であり、より好ましくは110%以上250%以下である。樹脂シートを構成する樹脂の種類によって異なるが、延伸率が105%以上であることにより、延伸後の樹脂シートを所定の壁比率としやすくなる傾向にあり、また、延伸率が300%以下であることにより、延伸後の樹脂シートの破断や過度の薄肉化を回避できる傾向にある。なお、「延伸率が105%である」とは、延伸前の樹脂シートの長さに対して1.05倍の長さに延伸されることを意味する。
【0059】
延伸工程において、その延伸態様は特に限定されないが、例えば、一軸延伸であってもよく、二軸延伸であってもよい。所望の壁比率を有する樹脂シートを一層容易に得ることができる観点から、延伸工程は、好ましくは一軸延伸である。一軸延伸する場合、その延伸方向は特に限定されず、縦方向に延伸してもよく、横方向に延伸してもよい。
【0060】
本実施形態の保持パッドの製造方法は、更に研削・除去工程を有していてもよい。研削・除去工程とは、延伸後の樹脂シートの両面のうちの少なくとも一方を、バフ処理又はスライス処理で研削及び/又は一部除去する工程のことである。バフ処理やスライス処理により樹脂シートの厚みの均一化を図ることができ、樹脂シートの表面をより平坦にすることができる。その結果、被研磨物に対する保持力を一層均等化し、被研磨物の平坦性を一層向上させ、また端部形状を一層良化することができる。また、延伸後の樹脂シート表面のバフ処理量又はスライス処理量を適宜調節することにより、壁比率W100及び壁比率W50を適宜制御することができる。
【0061】
本実施形態における樹脂シートは、上述の湿式成膜法だけではなく、他の方法、例えば、特許第4624781号公報に開示されているような超臨界ガス発泡法によって100%モジュラスの異なる2種の熱可塑性ポリウレタンから製造することもできる。
【0062】
[研磨加工品の製造方法]
研磨加工品の製造方法は、上記保持パッドに、被研磨物を保持する保持工程と、保持された上記被研磨物を、研磨パッドを用いて研磨する研磨工程と、を有する。図2に、研磨加工品の製造方法の概略断面図を示す。図2では、初めに、研磨機の保持定盤21上に保持パッド10を固定し、被研磨物Wを保持させる。次いで、保持パッド10の保持面に被研磨物Wを保持した状態で、被研磨物Wの反対側の面(研磨される面)に研磨スラリー22を供給し、研磨装置の研磨用定盤23に装着された研磨パッド24を被研磨物Wに押し当てて回転させることにより、被研磨物Wを研磨することができる。以下、各工程について説明する。
【0063】
保持工程としては、被研磨物を保持パッドに保持することができる工程であれば特に限定されないが、例えば、保持パッドの保持面と被研磨物との間に液体、好ましくは水溶液、を介在させることで、液体の表面張力により被研磨物を保持パッドに保持することが挙げられる。そのような水溶液としては、例えば、純水等が挙げられる。あるいは、保持工程は、保持パッドを介して、被研磨物を吸引することで被研磨物を保持パッドに保持してもよい。
【0064】
被研磨物としては、特に制限されないが、例えば、半導体デバイス及び電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、GaAs(ガリウム砒素)基板、ガラス、及びLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の良好な端部形状を求められる材料等が挙げられる。
【0065】
研磨工程は、保持された被研磨物を、研磨パッドを用いて研磨する工程である。研磨パッドとしては、従来公知の様々な研磨パッドを用いることができる。研磨工程は、一次研磨(粗研磨)であってもよく、二次研磨(仕上げ研磨)であってもよく、それら両方の研磨を兼ねるものであってもよい。
【0066】
研磨工程においては、保持定盤で被研磨物を研磨パッド側に押圧しながら、保持定盤と研磨用定盤とを相対的に回転させることで、被研磨物の加工面が研磨パッドで研磨加工される。保持定盤と研磨用定盤は、互いに異なる回転速度で同方向に回転してもよく、異方向に回転してもよい。
【0067】
研磨工程では、研磨剤として研磨スラリーを用いてもよい。そのような研磨スラリーとしては、特に限定されないが、例えば、水、過酸化水素に代表される酸化剤などの化学成分、添加剤、砥粒(研磨粒子;例えば、SiC、SiO2、Al23、CeO2)等を含むものが挙げられる。
【実施例
【0068】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
25℃における100%モジュラスが9MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂30%をジメチルホルムアミド(DMF)へ溶解させた溶液100質量部、20%カーボンブラックのDMF分散液7.9質量部、成膜安定剤(ノニオン系界面活性剤)2.7質量部、発泡調整剤(アニオン系界面活性剤)1.2質量部、水8質量部、及びDMF55質量部を混合撹拌することにより、樹脂溶液を得た。
【0069】
次に、成膜基材として、PETフィルムを用意し、そこにナイフコータを用いて上記樹脂溶液を塗布し、塗膜を得た。
【0070】
次いで、得られた塗膜を成膜基材と共に、凝固液である水に浸漬し、樹脂を凝固再生して樹脂シートを得た。樹脂シートを凝固浴から取り出し、成膜基材を樹脂シートから剥離した後、樹脂シートを水からなる洗浄液に浸漬し溶媒であるDMFを除去した。その後、樹脂シートを乾燥しつつ巻き取った。
【0071】
得られた厚さ0.80mmの延伸前の樹脂シートを横方向に140%延伸した後、延伸後の樹脂シートの表面に対してバフ処理を施して、0.64mmの厚さの樹脂シートを得た。
【0072】
上記で得られた樹脂シートのバフ処理が施されていない面側に、剥離紙を備えたPET基材を含む接着シートを貼り合わせることで、保持パッドを得た。
【0073】
[実施例2]
25℃における100%モジュラスが6.3MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂を用い、さらに得られた延伸前の樹脂シートを横方向に110%延伸したこと以外は実施例1と同様にして、保持パッドを作製した。
【0074】
[比較例1]
凝固工程により得られた樹脂シートを延伸しなかったこと以外は実施例1と同様にして、保持パッドを作製した。
【0075】
[比較例2]
DMFの含有量を55質量部から30質量部へ変更したこと以外は実施例1と同様にして、保持パッドを作製した。
【0076】
[壁比率]
樹脂シートの保持面(接着シートを貼り合わせたのとは反対側の面)から100μm及び50μmの深さ地点における断層画像を、3次元計測X線CT装置(ヤマト科学社製 TDM1000H-II(2K))を用いて得た。次いで、得られた断層画像に対して画像処理ソフト(Volume Graphics社製 VG Studio MAX 3.0)を用いて、気泡部分の占める面積Abと樹脂部分の占める面積Apを測定し、上記式(1)に従って、壁比率を算出した。
【0077】
[圧縮変形量]
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、保持パッド(樹脂シートと接着シートとの積層体)の圧縮変形量を測定した。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終荷重のもとで5分間放置後の厚さt1を測定した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2であった。圧縮変形量は、下記式(2)で算出した。
圧縮変形量(μm)=t0-t1 (2)
【0078】
[研磨試験]
実施例及び比較例で得られた保持パッドから剥離紙を剥離し、剥離後の保持パッドを接着シート側で研磨機の保持定盤に貼り付けた。そして、被研磨物であるシリコンウェハ(直径12インチ×厚さ780μm)に対して、下記に示す研磨条件にて研磨を行った。
(研磨条件)
研磨機 :不二越株式会社製 MCP-150X
回転数 :(定盤)40rpm/(トップリング)41rpm
研磨圧 :100g/cm2
揺動 :20mm
研磨時間 :20分
研磨パッド :フジボウ愛媛株式会社製 スエードパッド#27
研磨剤 :フジミインコーポレーテッド社製 GLANZOX 1306(原液:水=1:20)
サンプル数 :各例につき25枚
【0079】
(端部形状)
上記研磨加工後の被研磨物について、光干渉式フラットネス測定装置(KLAテンコール社製、製品名「Wafersight」)によって端部形状を評価した。より詳細には、まず、上記研磨試験後の各シリコンウェハに対し、フラットネス測定を行った。得られた結果から、各シリコンウェハの外周部分におけるSFQR(site front least squares range)の最大値(SFQRmax)を求めた。なお、外周部分におけるSFQRは、被研磨物の端部に生じたダレ又はハネの程度を示す数値である。実施例及び比較例において得られたSFQRmaxについて、実施例1のSFQRmaxを100として標準化し、SFQRmaxが90以下であったものを「A」、SFQRmaxが90超100以下であったものを「B」、SFQRmaxが100超110未満であったものを「C」、SFQRmaxが110以上であったものを「D」、とそれぞれ判定した。結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の保持パッドは、半導体デバイス及び電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、GaAs(ガリウム砒素)基板、ガラス、及びLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の良好な端部形状を求められる材料の研磨時に被研磨物を保持するのに用いられ、特に、シリコンウェハの研磨に好適に用いられる保持パッドとして、産業上の利用可能性を有する。
図1
図2