(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】受電装置、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240417BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
H02J1/00 306G
G06F1/26 306
(21)【出願番号】P 2020082813
(22)【出願日】2020-05-08
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲井 健人
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121268(JP,A)
【文献】特開2014-174755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0280676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
G06F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信及び所定の給電規格に基づく受電が可能な第1のインタフェースと、
データ通信が可能な第2のインタフェースと、
1以上の識別情報を含む第1の適合性管理情報を記憶するメモリであって、前記第1の適合性管理情報において各識別情報は前記所定の給電規格の適合試験の合否を示す適合情報に関連付けられている、メモリと、
前記第2のインタフェースを介して通信装置から1以上の識別情報を含む第2の適合性管理情報を受信する受信手段であって、前記第2の適合性管理情報において各識別情報は前記適合試験の合否を示す適合情報に関連付けられている、受信手段と、
前記第2の適合性管理情報に基づいて前記第1の適合性管理情報を更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする受電装置。
【請求項2】
前記第2のインタフェースを介して前記通信装置へ前記第1の適合性管理情報に含まれる前記1以上の識別情報を送信する送信手段を更に備え、
前記第2の適合性管理情報に含まれる前記1以上の識別情報は、前記第1の適合性管理情報に含まれる前記1以上の識別情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記第1のインタフェースを介して給電装置から前記給電装置の識別情報を取得する取得手段を更に備え、
前記第1の適合性管理情報に前記給電装置の識別情報が含まれない場合、前記更新手段は、前記第1の適合性管理情報に前記給電装置の識別情報を追加する
ことを特徴とする請求項2に記載の受電装置。
【請求項4】
前記第1のインタフェースを介して給電装置から前記給電装置の識別情報を取得する取得手段と、
前記第2のインタフェースを介して前記通信装置へ前記給電装置の識別情報を送信する送信手段と、
を更に備え、
前記第2の適合性管理情報に含まれる前記1以上の識別情報は、前記給電装置の識別情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の受電装置。
【請求項5】
所定の認証規格に基づいて、前記第1のインタフェースを介して前記給電装置から前記給電装置の識別情報を含む認証情報を取得して当該認証情報が真正であるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の適合性管理情報及び前記給電装置の識別情報に基づいて、前記給電装置が前記適合試験に合格しているか否かを判定する第2の判定手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の受電装置。
【請求項6】
前記第1のインタフェースを介して前記給電装置から第1の電力を受電するように制御する制御手段を更に備え、
前記認証情報が真正であると判定され、かつ前記給電装置が前記適合試験に合格していると判定された場合、前記制御手段は、前記給電装置から前記第1の電力より大きい第2の電力を受電するように制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の受電装置。
【請求項7】
前記所定の認証規格は、USB-AUTH規格である
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の受電装置。
【請求項8】
前記第1のインタフェースは、USB TYPE-Cコネクタを含む
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項9】
前記第1のインタフェースは、USB規格に基づくデータ通信が可能である
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項10】
前記識別情報は、USB規格のXIDである
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項11】
データ通信及び所定の給電規格に基づく受電が可能な第1のインタフェースと、
データ通信が可能な第2のインタフェースと、
メモリと、
前記第1のインタフェースを介して給電装置から前記給電装置の識別情報を取得して前記メモリに蓄積する蓄積手段と、
前記第2のインタフェースを介して通信装置へ、前記メモリに蓄積された前記給電装置の識別情報を送信する送信手段と、
前記第2のインタフェースを介して前記通信装置から、前記給電装置の識別情報に関連付けられた、前記所定の給電規格の適合試験の合否を示す適合情報を受信する受信手段と、
前記給電装置の識別情報に関連付けられた前記適合情報を前記メモリに格納する格納手段と、
を備えることを特徴とする受電装置。
【請求項12】
データ通信及び所定の給電規格に基づく受電が可能な第1のインタフェースと、データ通信が可能な第2のインタフェースと、1以上の識別情報を含む第1の適合性管理情報を記憶するメモリであって、前記第1の適合性管理情報において各識別情報は前記所定の給電規格の適合試験の合否を示す適合情報に関連付けられている、メモリと、を備える受電装置の制御方法であって、
前記第2のインタフェースを介して通信装置から1以上の識別情報を含む第2の適合性管理情報を受信する受信工程であって、前記第2の適合性管理情報において各識別情報は前記適合試験の合否を示す適合情報に関連付けられている、受信工程と、
前記第2の適合性管理情報に基づいて前記第1の適合性管理情報を更新する更新工程と、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項13】
データ通信及び所定の給電規格に基づく受電が可能な第1のインタフェースと、データ通信が可能な第2のインタフェースと、メモリと、を備える受電装置の制御方法であって、
前記第1のインタフェースを介して給電装置から前記給電装置の識別情報を取得して前記メモリに蓄積する蓄積工程と、
前記第2のインタフェースを介して通信装置へ、前記メモリに蓄積された前記給電装置の識別情報を送信する送信工程と、
前記第2のインタフェースを介して前記通信装置から、前記給電装置の識別情報に関連付けられた、前記所定の給電規格の適合試験の合否を示す適合情報を受信する受信工程と、
前記給電装置の識別情報に関連付けられた前記適合情報を前記メモリに格納する格納工程と、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の受電装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項15】
コンピュータを、請求項11に記載の受電装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電装置、その制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラなどの電子装置に用いられる通信用の有線インタフェースには、USB(Universal Serial Bus)のように、データ転送と並行して電力を伝送できるものがある。USBは、非営利団体であるUSB規格推進団体USB-IF(USB Implementers Forum, Inc.)により規格が策定されている。USB-IFは、電子装置がUSB規格に適合していることを認定する作業も行っている。
【0003】
USB-IFは、USBに関連する様々な規格を策定しており、そのうちの1つにUSB-PD(USB-PowerDelivery)規格がある。USB-PD規格により、USBホストコントローラやACアダプタなどの給電装置から、USBケーブルを介して接続される受電装置に対して、最大100Wまでの大電力を供給できるようになっている。接続された装置間で扱う電力の増加に伴い、より安全性の向上が求められるようになってきている。
【0004】
そこで、接続された装置間で、互いに信頼できる装置かどうかを判別するための認証通信を可能とするUSB-AUTH(USB-AUTHentication)規格が規定されている。USB-AUTH規格によれば、各電子装置はUSB-IFから発行された証明書を電子情報として装置内に記憶しておき、所定の処理によって暗号化された通信により装置間で証明書をやりとりすることで、認証が可能である。
【0005】
特許文献1は、USB-AUTH規格による認証通信を用いた安全制御として、装置間を接続するUSBケーブルに対してUSB-AUTH通信を行い、認証の結果に応じて供給する電力を制御する給電装置に関する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
USB-AUTH通信による認証に必要な証明書は、USB規格に適合していることを確認するためのコンプライアンス試験に合格していない電子装置又はUSBケーブルであっても、USB-IFからの発行を受けることができる。そのため、電子装置及びUSBケーブルは、USB-AUTH通信により認証された場合であっても、USB規格に適合しているとは限らないが、特許文献1はこの点を考慮していない。
【0008】
ここで、受電装置が、USB-AUTH通信により認証された給電装置から電力の供給を受ける場合を考える。この場合、給電装置がUSB規格に適合しているとは限らないので、USB-AUTH通信の認証の結果のみに基づいて電力を制御すると、受電装置がUSB規格に適合していない給電装置から大電力の供給を受けてしまう可能性がある。そこで、コンプライアンス試験に合格している給電装置の識別情報を管理する情報(適合性管理情報)を参照することにより、受電装置に接続された給電装置がコンプライアンス試験に合格しているか否かを判定することが考えられる。コンプライアンス試験は継続的に行われているため、時間の経過と共に、コンプライアンス試験に合格している給電装置が増える可能性がある。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、受電装置が持つ適合性管理情報を適切に更新する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、データ通信及び所定の給電規格に基づく受電が可能な第1のインタフェースと、データ通信が可能な第2のインタフェースと、1以上の識別情報を含む第1の適合性管理情報を記憶するメモリであって、前記第1の適合性管理情報において各識別情報は前記所定の給電規格の適合試験の合否を示す適合情報に関連付けられている、メモリと、前記第2のインタフェースを介して通信装置から1以上の識別情報を含む第2の適合性管理情報を受信する受信手段であって、前記第2の適合性管理情報において各識別情報は前記適合試験の合否を示す適合情報に関連付けられている、受信手段と、前記第2の適合性管理情報に基づいて前記第1の適合性管理情報を更新する更新手段と、を備えることを特徴とする受電装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、受電装置が持つ適合性管理情報を適切に更新することが可能となる。
【0012】
なお、本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面及び以下の発明を実施するための形態における記載によって更に明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】携帯無線装置300の構成を示すブロック図。
【
図4A】第1の実施形態に係る受電制御のフローチャート。
【
図4B】第1の実施形態に係る受電制御の変形例のフローチャート。
【
図5A】USB適合リスト(適合性管理情報)の一例を示す図。
【
図5B】
図4AのS407における第2の認証処理の詳細を示すフローチャート。
【
図6】第2の実施形態に係るUSB適合リストの更新処理のフローチャート。
【
図7】第3の実施形態に係るUSB適合リストの更新処理のシーケンスチャート。
【
図8】(a)第3の実施形態に係るXID蓄積処理のフローチャート、(b)追加されたXIDを含むUSB適合リストの一例を示す図。
【
図10】第4の実施形態に係る受電制御のフローチャート。
【
図11】第4の実施形態に係る受電制御における情報(メッセージ)の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
●システム構成
図1は、第1の実施形態に係るシステム構成図である。
図1において、200は電子装置としての受電装置である。本実施形態では、受電装置の一例としてデジタルカメラを用いて説明をするが、本実施形態の受電装置はデジタルカメラに限定されるものではなく、任意の種類の受電装置に適用可能である。
【0016】
210は、受電装置200を外部装置と接続する接続部であり、本実施形態では、一例としてUSB TYPE-Cコネクタを用いて説明をする。接続部210(インタフェース)は、データ通信及びUSB-PD規格に基づく受電が可能なように構成される。
【0017】
120はケーブルであり、本実施形態では、一例としてUSBケーブルを用いて説明をする。ケーブル120を介して接続部210に外部装置が接続された場合、受電装置200は、外部装置から受電を行ったり、外部装置とデータ通信を行ったりすることができる。
【0018】
130は、外部装置としての給電装置である。ここでは、ACアダプタを例に説明をするが、給電装置130は、モバイルバッテリーや電源を持つ他の電子装置などであってもよい。
【0019】
300は、外部装置としての携帯無線装置であり、本実施形態では、スマートフォンを例に説明をする。しかしながら、携帯無線装置300は、パーソナルコンピュータ(PC)などの他の電子装置であってもよい。
【0020】
350は無線通信媒体であり、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの通信規格に準拠している。携帯無線装置300は、無線通信媒体360を介して受電装置200と接続される。この接続により、携帯無線装置300は、例えば、受電装置200であるデジタルカメラ内の記録画像やライブビュー画像を閲覧したり、カメラ撮影の制御を行ったりすることができる。360は無線通信媒体であり、例えば4Gや5Gなどの通信規格に準拠している。携帯無線装置300は、無線通信媒体370を介して、WEBアクセスが可能である。本実施形態では、受電装置200と携帯無線装置300とを無線通信媒体360を介して接続する例を用いて説明するが、受電装置200と携帯無線装置300との間の通信は無線通信に限定されず、有線通信であってもよい。
【0021】
150は外部装置としてのクラウドサーバである。携帯無線装置300は、無線通信媒体370を介してクラウドサーバ150にアクセスすることができる。クラウドサーバ150には、XIDとUSB適合情報とを紐づける情報(「USB適合リスト」と呼ぶ)が格納されている。XIDは、USB規格をサポートする電子装置及びケーブル(以下、総称して「USB製品」と呼ぶ)が持つ、製品固有の識別情報である。ここで、XIDが「製品固有」であることは、USB製品の型番の単位でXIDが割り当てられていることを意味する。従って、同一の型番を持つ複数のUSB製品は、同一のXIDを持つ。USB適合情報は、USB製品がUSB規格のコンプライアンス試験に合格しているか否か(或いは試験中であるか)を示す情報である。コンプライアンス試験に合格していることは、USB規格に適合していることの証明であるため、接続互換性を担保する上で重要となる。
【0022】
●受電装置200の構成
図2は、受電装置200の構成を示すブロック図である。
図2において、接続部210は、
図1で説明した通り、例えばUSB Type-Cコネクタである。201は、接続部210の電源端子(例えば、VBUS端子)と接続されている受電部であり、
図1に示す給電装置130からケーブル120を介して供給される電力を制御する。202は、リチウムイオン電池などの電池である。受電部201は、DC/DCコンバータ及び充電回路などを含み、接続部210を介して受電される電力を用いて、電池202への充電を行うように構成されている。
【0023】
203は、DC/DCコンバータなどを含む電源制御部であり、受電部201又は電池202からの電力を用いて、受電装置200に含まれる種々の回路に電力を供給する。204は、接続部210の通信端子(例えば、CC端子)と接続されるPD通信部であり、
図1に示す給電装置130及びケーブル120に内蔵されるICとの間でUSB-PD規格(所定の給電規格)に基づいたデータ通信を実行する。PD通信部204は、接続された給電装置130及びケーブル120がUSB-PD規格をサポートしているか否かの判断も行う。受電装置200は、PD通信部204により、USB-PD規格に規定された通信プロトコルに基づいたネゴシエーション通信を行い、給電装置130に対して所望の電力の供給を要求する。
【0024】
205は認証部であり、例えば、セキュリティチップによって構成される。認証部205は、不揮発性メモリを内蔵しており、USB-IFから発行された証明書の電子情報が予め格納されている。PD通信部204は、USB-PD規格に規定された通信により、給電装置130及びケーブル120のそれぞれから暗号化された証明書を含む電子情報を受信して、認証部205に送信する。認証部205は、USB-AUTH規格(所定の認証規格)に規定された所定の処理により、PD通信部204から送られた電子情報を復号することで、接続された給電装置130及びケーブル120がそれぞれUSB-IFにより信頼されたものであるか否かの認証(第1の認証)を行う。また、認証部205は、PD通信部204から送られた給電装置130及びケーブル120の電子情報を復号することで、給電装置130及びケーブル120のXIDを併せて取得する。
【0025】
206は、被写体像に対するズーム及びフォーカスを行う撮像レンズ、並びに、被写体像を電気的な画像情報に変換する撮像素子などを含む撮像部である。撮像部206で取得された画像情報は、制御部250で圧縮処理などの画像処理が行われ、記録媒体209に記録される。
【0026】
207は、ボタンやタッチパネル等で構成される操作部であり、ユーザが受電装置200を操作するために使用される。208は、LCD等で構成される表示部であり、受電装置200であるデジタルカメラの状態表示や画像の表示などに使用される。209は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体である。
【0027】
211は、NORフラッシュメモリやNANDフラッシュメモリ等で構成される不揮発性メモリであり、受電装置200の制御プログラムや画像データ等を格納するために使用される。不揮発性メモリ211は、SDカードのような取り外し可能な形態であってもよい。ここで、不揮発性メモリ211は、XIDとUSB適合情報とを紐づけるUSB適合リストを記憶するためにも使用される。例えば、USB適合リストは、受電装置200の出荷前に予め不揮発性メモリ211に格納されている。或いは、受電装置200は、ユーザによる操作に従って、携帯無線装置300を介してクラウドサーバ150からUSB適合リストを取得して不揮発性メモリ211に格納してもよい。また、受電装置200は、不揮発性メモリ211に記憶されたUSB適合リストを更新することができる。USB適合リストの更新に関する制御については後述する。
【0028】
212は、Wi-Fi(登録商標)やBlutooth(登録商標)等に準拠した無線部であり、外部装置とデータ通信を行うために使用される。無線部212(データ通信が可能なインタフェース)は、
図1で説明したように、携帯無線装置300と無線通信媒体360を介したデータ通信を行うために用いられる。
【0029】
250は、受電装置200全体を制御する制御部である。制御部250は、例えばマイクロプロセッサ及びRAMを内蔵し、不揮発性メモリ211に予め記憶された制御プログラムをRAMにロードして実行することにより受電装置200全体の動作を制御する。ここでいう、制御プログラムとは、本実施形態における後述の各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。また、制御部250は、受電部201及びPD通信部204を介して、接続部210に給電装置130及びケーブル120が接続されたことを判断することが可能な構成となっている。
【0030】
213は、制御部250内部の制御ブロックであり、XIDとUSB適合情報とを紐づけるUSB適合リストを更新するための情報更新判断部である。情報更新判断部213は、例えば、接続部210に給電装置130及びケーブル120が接続されたと制御部250により判断されたことに応じて、USB適合リストを更新すると判断する。これに限らず、情報更新判断部213は、外部装置からUSB適合リストの入手が可能な場合に適宜更新すると判断できればよい。例えば、情報更新判断部213は、無線部212により外部装置と接続されたと判断されたときや、操作部207を用いて所定のユーザ入力が行われたときに、USB適合リストを更新すると判断してもよい。
【0031】
214は、制御部250内部の制御ブロックであり、情報更新判断部213によりUSB適合リストを更新すると判断されると、接続された外部装置から有線又は無線のデータ通信にてUSB適合リストを入手するよう制御する情報入手部である。情報入手部214は、例えば、接続部210を介して接続された外部装置からUSB規格に規定された通信を用いてUSB適合リストを入手する。他の例として、情報入手部214は、無線部212を用いて、外部装置やクラウドサーバ150と無線通信により接続してUSB適合リストを入手してもよいし、記録媒体209に記憶されたUSB適合リストを入手してもよい。
【0032】
215は、制御部250内部の制御ブロックであり、情報入手部214から入手したUSB適合リストを受け取り、不揮発性メモリ211に既に記憶されているUSB適合リストを更新するか否かの判断と更新処理とを行う情報更新部である。情報更新部215の詳細な処理については後述する。
【0033】
●携帯無線装置300の構成
図3は、携帯無線装置300の構成を示すブロック図である。301は、ボタンやタッチパネル等で構成される操作部であり、ユーザが携帯無線装置300を操作するために使用される。
図1で説明したように、受電装置200の撮影制御や画像閲覧などの操作を行うことができる。
【0034】
302は、LCD等で構成される表示部であり、携帯無線装置300の状態表示や画像の表示に使用される。これにより、ユーザは、受電装置200の画像閲覧やライブビュー画像の確認などを行うことができる。
【0035】
303は、NORフラッシュメモリやNANDフラッシュメモリ等で構成される不揮発性メモリであり、携帯無線装置300のプログラムや画像データ等を格納するために使用される。不揮発性メモリ303は、XIDとUSB適合情報とを紐づけるUSB適合リストを記憶するためにも使用される。なお、不揮発性メモリ303は、SDカードのような取り外し可能な形態であってもよい。
【0036】
304は、Wi-Fi(登録商標)やBlutooth(登録商標)等に準拠した無線部であり、外部機器とデータ通信を行うために使用される。無線部304は、
図1で説明したように、受電装置200とデータ通信するために用いられる。
【0037】
305は、4Gや5Gといった規格に従う移動通信を行うための無線部であり、通話のための音声データだけでなく、高速データ通信によるWEBアクセスなどにも使用される。
図1で説明したように、携帯無線装置300は、WEB上のクラウドサーバ150にアクセスする場合も無線部305を使用する。
【0038】
●受電制御
図4Aは、第1の実施形態に係る受電制御のフローチャートである。制御部250は、ケーブル120を介して給電装置130が接続部210に接続されたことを検出すると、本フローチャートの処理を開始する。
【0039】
S401で、PD通信部204は、給電装置130とUSB-PD規格の通信プロトコルに基づいた情報の送受信を開始する。
【0040】
S402で、PD通信部204は、給電装置130がUSB-PD規格をサポートしているか否かを判断する。給電装置130がUSB-PD規格をサポートしている場合、処理ステップはS403に進み、そうでない場合、処理ステップはS411に進む。
【0041】
ここで、PD通信部204は、給電装置130からUSB-PD規格の通信プロトコルに基づいた通信を受信したか否かに応じて、給電装置130がPD規格をサポートしているか否かを判断する。PD通信部204は、USB-PD規格の通信プロトコルに基づいた通信を所定の期間内に正しく受信できた場合、給電装置130がUSB-PD規格をサポートしていると判断する。反対に、PD通信部204は、USB-PD規格の通信プロトコルに基づいた通信を正しく受信できなかった場合、又は所定の期間内に通信を受信できなかった場合に、給電装置130がUSB-PD規格をサポートしていないと判断する。所定の期間は、USB-PD規格に規定された期間であればよく、例えば、310msの期間であってもよい。また、USB-PD規格の通信プロトコルに基づいた通信とは、給電装置130が供給可能な電力情報を含むSource Capability Message通信のことである。本実施形態においては、一例として、給電装置130からの通信が、2.5W(5V、500mA)、15W(5V、3A)、27W(9V、3A)、及び30W(15V、2A)の電力をそれぞれ供給可能であることを示す電力情報を含むものとする。
【0042】
S403で、PD通信部204は、USB-PD規格の通信プロトコルに基づいて情報の送受信を行い、給電装置130に対して電力P11の供給を要求する。ここで、電力P11は、受電装置200がS405の第1の認証処理及びS407の第2の認証処理を実行可能な最低限の電力であればよい。また、電力P11は、S402で受信した給電装置130の供給可能な電力情報のうちから選択する形で決定される。本実施形態においては、一例として、電力P11は2.5W(5V、500mA)であるものとする。
【0043】
S404で、受電部201は、制御部250からの制御に基づいて、給電装置130から供給を受ける電力P12(第1の電力)が電力P11を超えないように制御する。本実施形態においては、受電部201は、給電装置130から供給を受ける電流値を500mA以下に制御することにより、電力P12(第1の電力)が電力P11を超えないように制御する。ここで、受電部201は、供給された電力P12を用いて、受電装置200がS405の第1の認証処理及びS407の第2の認証処理を実行するのに必要な電力を受電装置200の各部へ供給する。また、第1の認証処理及び第2の認証処理のための電力が不足しないようにするために、受電装置200において第1の認証処理及び第2の認証処理の実行に関与しないブロックについては、消費電力が少なくなるように動作を制限してもよい。
【0044】
S405で、受電装置200は、受電装置200に接続された給電装置130及びケーブル120がそれぞれUSB-IFにより信頼されたものであることを確認するために、給電装置130及びケーブル120それぞれに対して第1の認証処理を行う。第1の認証処理は、PD通信部204によるUSB-PD規格に基づいた情報の送受信と、認証部205によるUSB-AUTH規格に基づいた処理とを含む。
【0045】
給電装置130に対する第1の認証処理について具体的に説明する。PD通信部204は、給電装置130からUSB-AUTH規格の通信プロトコルに基づく所定の認証情報を受信する。所定の認証情報とは、USB-IFにより発行され、暗号化された証明書の電子情報である。PD通信部204が所定の期間内に所定の認証情報を正しく受信できなかった場合、証部205は、給電装置130がUSB-IFにより信頼されたものでないと判断する。所定の期間は、USB-PD規格に規定された期間であればよく、例えば、4.5sの期間であってもよい。PD通信部204は、所定の期間内に所定の認証情報を正しく受信した場合、受信した認証情報を認証部205に送る。
【0046】
認証部205は、所定の認証情報に対してUSB-AUTH規格で規定された所定の認証処理を行う。認証部205は、所定の認証処理が失敗した場合、給電装置130はUSB-IFにより信頼されたものでないと判断する。また、認証部205は、所定の認証処理が成功した場合、給電装置130はUSB-IFにより信頼されたものであると判断する。ここで、所定の認証処理とは、暗号化された証明書に対する復号処理であり、これにより、認証情報が真正であるか否かを判定することができる。また、認証部205は、所定の認証処理が成功した場合、復号された証明書の電子情報に含まれているXID(USB製品の識別情報)を取得する。
【0047】
ケーブル120に対する第1の認証処理は、給電装置130に対する第1の認証処理と同様である。なお、受電装置200は、給電装置130及びケーブル120のうちの一方についてのみ第1の認証処理を行ってもよい。
【0048】
S406で、認証部205は、S405の第1の認証処理の結果に基づき、給電装置130及びケーブル120がそれぞれUSB-IFにより信頼されたものであるか否かを判断する。給電装置130及びケーブル120がUSB-IFにより信頼されたものである場合(第1の認証処理が成功した場合)、処理ステップはS407に進む。給電装置130又はケーブル120がUSB-IFにより信頼されたものでない場合(第1の認証処理が失敗した場合)、処理ステップはS411に進む。
【0049】
なお、S405において給電装置130及びケーブル120のうちの一方についてのみ第1の認証処理が行われた場合、S406の条件分岐は、第1の認証処理が行われたUSB製品(例えば、給電装置130)の認証結果に基づいて行われる。
【0050】
S407で、制御部250は、給電装置130及びケーブル120がUSB規格に適合しているか否か(USB規格の適合試験に合格しているか否か)を確認する第2の認証処理を行う。第2の認証処理は、S406において取得された給電装置130及びケーブル120の各XIDをもとに、不揮発性メモリ211に予め記憶されているUSB適合リストに照合をかけることにより行われる。
【0051】
ここで、
図5Aを参照して、USB適合リスト(適合性管理情報)の一例を説明する。
図5Aにおいて、500はUSB適合リストである。501は、USB適合リスト500に含まれる1以上のXID(XIDリスト)を示す。502は、各XIDに紐づいたUSB適合情報を示す。USB適合情報502は、例えば、対応するUSB製品がUSB規格に適合していることを示す「OK」、適合していないことを示す「NG」、又は試験中であることを「試験中」の値を持つ。XID「0x9ABC_DEF0」に紐づくUSB適合情報502は、「NG」である。
【0052】
503は、各XIDに紐づいたUSB適合情報のバージョン情報を示す。バージョン情報503には、例えば「0.1」、「1.0」、「2.0」のような、バージョンを表す数値又は文字列が格納される。
図5Aの例では、バージョン情報503の数値が大きいほど、対応するUSB適合情報502及び拡張領域504の情報が新しいことを示す。
【0053】
504は、各XIDに紐づいた拡張領域を示す。拡張領域504には、USB適合情報以外の各XIDに関する情報が格納される。拡張領域504には、USB適合情報以外の各XIDに紐づく情報であれば、どのような情報が格納されてもよい。拡張領域504の情報は、後述されるUSB適合リストの更新の際に、各XIDに紐づいた新しい情報により更新されてもよい。また、例えば、操作部207によるユーザのメニュー選択や操作によって、特定のXIDに対応するUSB製品から電力を受電しないことが決定された場合に、拡張領域504の情報が更新されてもよい。
図5Aの例では、操作部207によるユーザのメニュー選択や操作によって、XID「0x789A_1234」を持つUSB製品から電力を受電しないことが決定されており、拡張領域504には、XID「0x789A_1234」に紐づけて「NG」(受電制限情報)の値が格納されている。もちろん、
図5Aは一例であり、USB適合リストの構成は
図5Aに示す構成に限定されない。
【0054】
上述の通り、
図4AのS407において、制御部250は、S406で取得されたXIDをもとに、USB適合リスト500に照合をかける。
【0055】
一例として、給電装置130のXIDが「0x1234_5678」、ケーブル120のXIDが「0x9ABC_DEF0」である場合を考える。この場合、
図5AのUSB適合リスト500において、給電装置130のXIDに紐づくUSB適合情報502は「OK」であり、制御部250は、給電装置130がUSB規格に適合していると判断する。また、ケーブル120のXIDに紐づくUSB適合情報502は「NG」であり、制御部250は、ケーブル120がUSB規格に適合していないと判断する。
【0056】
他の例として、給電装置130のXIDが「0x1234_5678」、ケーブル120のXIDが「0x789A_1234」である場合を考える。この場合、
図5AのUSB適合リスト500において、給電装置130のXIDに紐づくUSB適合情報502は「OK」であり、制御部250は、給電装置130がUSB規格に適合していると判断する。また、ケーブル120のXIDに紐づくUSB適合情報502は「OK」であり、制御部250は、ケーブル120がUSB規格に適合していると判断する。但し、ケーブル120のXIDに紐づく拡張領域504は「NG」である。そのため、制御部250は、ケーブル120のXIDに紐づくUSB適合情報502に関わらず、ケーブル120がUSB規格に適合していないと判断し、第2の認証処理が失敗したと判断してもよい。このように、制御部250は、USB適合情報502に加えて拡張領域504の情報に基づいて第2の認証処理を行ってもよい。
【0057】
なお、USB適合リスト500は、USB適合情報502を含まなくてもよい。この場合、制御部250は、XIDリスト501は、適合試験に合格しているUSB製品のXIDを示す。従って、例えば給電装置130のXIDがUSB適合リスト500に含まれる場合、制御部250は、給電装置130が適合試験に合格していると判定する。
【0058】
S407の第2の認証処理の更なる詳細については、
図5Bを参照して後述する。なお、受電装置200は、給電装置130及びケーブル120のうちの一方についてのみ第2の認証処理を行ってもよい。
【0059】
S408で、制御部250は、S407の第2の認証処理の結果に基づき、給電装置130及びケーブル120がそれぞれUSB規格に適合しているか否かを判断する。給電装置130及びケーブル120がUSB規格に適合している場合(第2の認証処理が成功した場合)、処理ステップはS409に進む。給電装置130又はケーブル120がUSB規格に適合していない場合(第2の認証処理が失敗した場合)、処理ステップはS411に進む。
【0060】
なお、S407において給電装置130及びケーブル120のうちの一方についてのみ第2の認証処理が行われた場合、S408の条件分岐は、第2の認証処理が行われたUSB製品(例えば、給電装置130)の認証結果に基づいて行われる。
【0061】
S409で、PD通信部204は、USB-PD規格の通信プロトコルに基づいた情報の送受信を行い、給電装置130からの供給可能な電力情報に基づいて、給電装置130に対して電力P21の供給を要求する。ここで、電力P21は、電力P11を超える電力であってもよい。また、電力P21は、受電装置200の動作に必要な電力であってもよい。また、電力P21は、S402で受信した給電装置130の供給可能な電力情報のうちから選択する形で決定される。本実施形態においては、一例として、電力P21は30W(15V、2A)であるものとする。
【0062】
S410で、受電部201は、制御部250からの制御に基づいて、給電装置130から供給を受ける電力P22(第2の電力)が電力P21を超えないように制御する。本実施形態においては、受電部201は、給電装置130から供給を受ける電流値を2A以下に制御することにより、電力P22(第2の電力)が電力P21を超えないように制御する。ここで、受電部201は、供給された電力P22を用いて、受電装置200の各部へ必要な電力を供給する。なお、受電装置200は、S404で行った動作の制限を解除して、より大きな電力(但し、電力P21を超えない)を消費するように受電装置200の各部の動作設定を切り替えてもよい。
【0063】
S402で給電装置130がUSB-PD規格をサポートしていないと判定された場合、S406で第1の認証処理が失敗されたと判定された場合、及びS408で第2の認証処理が失敗されたと判定された場合には、S411の処理が実行される。S411で、制御部250は、受電部201に対して給電装置130からの受電を停止するよう制御して、本フローチャートの受電制御を終了する。また、PD通信部204は、通信処理を停止してもよい。
【0064】
なお、S411において、制御部250は、受電を完全に停止する代わりに、受電部201に対して給電装置130から受電する電力を制限するように制御してもよい。給電装置130から受電する電力は、例えば、2.5W(5V、500mA)より低い電力であってよい。
【0065】
なお、制御部250は、処理ステップがS402、S406、及びS408のいずれからS411へ遷移したかに応じて、異なる処理を行ってもよい。例えば、処理ステップがS402からS411へ遷移した場合、給電装置130はUSB-PD規格をサポートしていない。そのため、制御部250は受電を停止するように制御する。処理ステップがS406からS411へ遷移した場合、給電装置130はUSB-PD規格をサポートしているが、信頼できるメーカーにより製造されたことが確認できない。そのため、制御部250は、例えば0.5W(5V、100mA)のような比較的小さな電力を受電するように制御する。処理ステップがS408からS411へ遷移した場合、給電装置130はUSB-PD規格をサポートしており、信頼できるメーカーにより製造されたことが確認できるが、USB規格に適合していることが確認できない。そのため、制御部250は、例えば2.5W(5V、500mA)のような、電力P11を超えない範囲で比較的大きな電力を受電するように制御する。
【0066】
次に、
図5Bを参照して、
図4AのS407における第2の認証処理の詳細について説明する。ここでは給電装置130に対する第2の認証処理を例に説明を行うが、ケーブル120に対する第2の認証処理についても同様である。
【0067】
S501で、制御部250は、第1の認証処理(
図4AのS406)により取得された給電装置130のXIDを、USB適合リスト500のXIDリスト501と照合して、XIDリスト501の中に一致するXIDが存在するか否かを判定する。給電装置130XIDと一致するXIDがXIDリスト501の中に存在する場合、処理ステップはS502に進み、そうでない場合、処理ステップはS506に進む。例えば、給電装置130のXIDが「0x1234_5678」であるとすると、XIDリスト501の中に一致するXID「0x1234_5678」が存在するため、処理ステップはS502に進む。
【0068】
S502で、制御部250は、USB適合リスト500において給電装置130のXIDに紐づいたUSB適合情報502が「OK」(USB製品がUSB規格に適合していることを示す情報)であるか否かを判定する。給電装置130のXIDに紐づいたUSB適合情報502が「OK」である場合、処理ステップはS503に進み、そうでない場合、処理ステップはS506に進む。例えば、給電装置130のXIDが「0x1234_5678」であるとすると、対応するUSB適合情報502は「OK」(USB製品がUSB規格に適合していることを示す情報)であるため、処理ステップはS503に進む。
【0069】
S503で、制御部250は、USB適合リスト500において給電装置130のXIDに紐づいた拡張領域504の情報が存在するか否かを判定する。給電装置130のXIDに紐づいた拡張領域504の情報が存在する場合、処理ステップはS504に進み、そうでない場合、処理ステップはS505に進む。例えば、給電装置130のXIDが「0x1234_5678」であるとすると、対応する拡張領域504の情報が存在しないため、処理ステップはS505に進む。他の例として、給電装置130のXIDが「0x789A_1234」であるとすると、対応する拡張領域504の情報が存在するため、処理ステップはS504に進む。
【0070】
S504で、制御部250は、給電装置130のXIDに紐づいた拡張領域504の情報が「NG」であるか否かを判定する。給電装置130のXIDに紐づいた拡張領域504の情報が「NG」である場合、処理ステップはS506に進み、そうでない場合、処理ステップはS505に進む。例えば、給電装置130のXIDが「0x789A_1234」であるとすると、対応する拡張領域504の情報が「NG」であるため、処理ステップはS506に進む。
【0071】
S505で、制御部250は、給電装置130がUSB規格に適合していると判断する。従って、給電装置130のXIDに対応するUSB適合情報502が「OK」であり、かつ、給電装置130のXIDに対応する拡張領域504に「NG」が存在しない場合、給電装置130に対する第2の認証処理が成功する。
【0072】
一方、S506では、制御部250は、給電装置130がUSB規格に適合していないと判断する。従って、XIDリスト501に給電装置130のXIDが存在しないか、対応するUSB適合情報502が「OK」でないか、又は、対応する拡張領域504が「NG」である場合、給電装置130に対する第2の認証処理が失敗する。
【0073】
なお、制御部250は、拡張領域504の情報を使用せずに第2の認証処理を行ってもよい。この場合、S503及びS504の処理は実行されず、給電装置130のXIDに対応するUSB適合情報502が「OK」である場合、処理ステップはS502からS505に進む。
【0074】
上記の受電制御によれば、給電装置130がUSB-IFにより信頼されたものであることに加えて、給電装置130がUSB規格に適合していることが確認された場合に、電力P12より大きい電力P22を受電する制御が行われる。従って、上記の受電制御によれば、受電の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0075】
●受電制御の変形例
図4Bは、第1の実施形態に係る受電制御の変形例のフローチャートである。
図4Bにおいて、
図4Aと同一又は同様の処理が行われるステップには
図4Aと同一の符号を付す。制御部250は、ケーブル120を介して給電装置130が接続部210に接続されたことを検出すると、本フローチャートの処理を開始する。
【0076】
S421で、PD通信部204は、USB-PD規格の通信プロトコルに基づいて情報の送受信を行い、給電装置130に対して電力P11の供給を要求する。ここで、電力P11は、受電装置200がS405の第1の認証処理を実行可能な最低限の電力であればよい。また、電力P11は、S402で受信した給電装置130の供給可能な電力情報のうちから選択する形で決定される。本実施形態においては、一例として、電力P11は2.5W(5V、500mA)であるものとする。
【0077】
S422で、受電部201は、制御部250からの制御に基づいて、給電装置130から供給を受ける電力P12(第1の電力)が電力P11を超えないように制御する。本実施形態においては、受電部201は、給電装置130から供給を受ける電流値を500mA以下に制御することにより、電力P12(第1の電力)が電力P11を超えないように制御する。ここで、受電部201は、供給された電力P12を用いて、受電装置200がS405の第1の認証処理を実行するのに必要な電力を受電装置200の各部へ供給する。また、第1の認証処理のための電力が不足しないようにするために、受電装置200において第1の認証処理の実行に関与しないブロックについては、消費電力が少なくなるように動作を制限してもよい。例えば、第1の認証処理を実行するのに必要な電力が0.5Wであり、受電装置200において第1の認証処理の実行に関与しないブロックが電力を消費しない場合、受電部201は、給電装置130から供給を受ける電流値が100mAになるように制御してもよい。
【0078】
S423で、PD通信部204は、USB-PD規格の通信プロトコルに基づいた情報の送受信を行い、給電装置130からの供給可能な電力情報に基づいて、給電装置130に対して電力P31の供給を要求する。ここで、電力P31は、受電装置200がS407の第2の認証処理を実行可能な最低限の電力であればよく、また、電力P11を超える電力であってもよいが、後述する電力P21よりは小さい。また、電力P31は、S402で受信した給電装置130の供給可能な電力情報のうちから選択する形で決定される。本実施形態においては、一例として、電力P31は15W(5V、3A)であるものとする。
【0079】
S424で、受電部201は、制御部250からの制御に基づいて、給電装置130から供給を受ける電力P32(第3の電力)が電力P31を超えないように制御する。本実施形態においては、受電部201は、給電装置130から供給を受ける電流値を3A以下に制御することにより、電力P32(第3の電力)が電力P31を超えないように制御する。電力P32(第3の電力)は、電力P12(第1の電力)より大きく電力P22(第2の電力)より小さい。ここで、受電部201は、供給された電力P32を用いて、受電装置200がS407の第2の認証処理を実行するのに必要な電力を受電装置200の各部へ供給する。また、第2の認証処理のための電力が不足しないようにするために、受電装置200において第2の認証処理の実行に関与しないブロックについては、消費電力が少なくなるように動作を制限してもよい。例えば、第2の認証処理を実行するのに必要な電力が5Wであり、受電装置200において第2の認証処理の実行に関与しないブロックが電力を消費しない場合、受電部201は、給電装置130から供給を受ける電流値が1Aになるように制御してもよい。
【0080】
S425の処理は、判定結果に応じた処理ステップの遷移先を除き、S408の処理と同様である。具体的には、S407の第2の認証処理が成功した場合、処理ステップはS426に進み、第2の認証処理が失敗した場合、処理ステップはS428に進む。
【0081】
S426で、PD通信部204は、USB-PD規格の通信プロトコルに基づいた情報の送受信を行い、給電装置130からの供給可能な電力情報に基づいて、給電装置130に対して電力P21の供給を要求する。ここで、電力P21は、電力P31を超える電力であってもよい。また、電力P21は、受電装置200の動作に必要な電力であってもよい。また、電力P21は、S402で受信した給電装置130の供給可能な電力情報のうちから選択する形で決定される。本実施形態においては、一例として、電力P21は30W(15V、2A)であるものとする。
【0082】
S427で、受電部201は、制御部250からの制御に基づいて、給電装置130から供給を受ける電力P22(第2の電力)が電力P21を超えないように制御する。本実施形態においては、受電部201は、給電装置130から供給を受ける電流値を2A以下に制御することにより、電力P22(第2の電力)が電力P21を超えないように制御する。ここで、受電部201は、供給された電力P22を用いて、受電装置200の各部へ必要な電力を供給する。なお、受電装置200は、S422及びS424で行った動作の制限を解除して、より大きな電力(但し、電力P21を超えない)を消費するように受電装置200の各部の動作設定を切り替えてもよい。
【0083】
S425で第2の認証処理が失敗されたと判定された場合には、S428の処理が実行される。S428で、制御部250は、受電部201に対して電力P32の受電(S424参照)を継続するように制御する。
【0084】
なお、
図4Bの例では、受電部201は、第2の認証処理(S407)が行われる前に、電力P
31の要求及び電力P
32の受電(S423及びS424)を行っている。しかしながら、受電部201は、第2の認証処理(S407)が失敗した後に、電力P
31の要求及び電力P
32の受電(S423及びS424)を行ってもよい。
【0085】
上記の受電制御の変形例によれば、給電装置130の安全性(信頼性)のレベルに応じた受電制御が可能になる。S422の時点(第1の認証処理の実行前)では、給電装置130が信頼できるメーカーにより製造されたか否か不明である。また、S424の時点(第1の認証処理の成功後、第2の認証処理の実行前)では、給電装置130がUSB規格に適合しているか否かは不明であるが、信頼できるメーカーにより製造されたことは確認されているので、ある程度は給電装置130を信頼できる。更に、S427の時点(第1の認証処理及び第2の認証処理の成功後)では、給電装置130が信頼できるメーカーにより製造され、かつUSB規格に適合していることが確認されているので、S424の時点よりも更に給電装置130を信頼できる。そのため、受電装置200は、S422の時点、S424の時点、S427の時点の順に、受電する電力を段階的に大きくする。これにより、給電装置130がUSB規格に適合していない場合であっても、受電装置200は、安全性を確保しつつ、ある程度大きな電力を受電することが可能になる。その結果、例えば、第2の認証処理の消費電力が電力P11(電力P12の最大値)よりも大きい場合であっても、受電装置200は、電力P32を受電することにより第2の認証処理を実行することが可能である。
【0086】
●第1の実施形態のまとめ
以上説明したように、第1の実施形態によれば、受電装置200は、USB-AUTH規格に基づいて、給電装置130からXIDを含む証明書を取得し、この証明書が真正であるか否かを判定する(第1の認証処理)。また、受電装置200は、XIDに基づいて、給電装置130がUSB規格の適合試験に合格しているか否かを判定する(第2の認証処理)。証明書が真正であると判定され、かつ給電装置130が適合試験に合格していると判定された場合、受電装置200は、給電装置130から電力P12(第1の電力)より大きい電力P22(第2の電力)を受電するように制御する。これにより、受電装置200による給電装置130からの受電の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0087】
なお、上の説明では、第2の認証処理は給電装置130のXIDとUSB適合リスト500とに基づいて実行されるものとしたが、本実施形態はUSB適合リスト500を用いる構成に限定されない。給電装置130を識別するXIDに基づいて適合試験の合否を判定可能な任意の構成が本実施形態の範囲に含まれる。
【0088】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、受電装置200が給電装置130からUSB適合リスト(第2の適合性管理情報)を取得することにより不揮発性メモリ211に格納されているUSB適合リスト(第1の適合性管理情報)を更新する構成について説明する。本実施形態において、基本的なシステム構成は第1の実施形態と同様である(
図1参照)。以下、主に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0089】
なお、給電装置130のメーカーは、例えば給電装置130の出荷前に、給電装置130の不揮発性メモリにUSB適合リストを格納することができる。
【0090】
図6は、第2の実施形態に係るUSB適合リストの更新処理のフローチャートである。受電装置200の情報更新判断部213がUSB適合リストを更新すると判断すると、本フローチャートの処理が開始する。
【0091】
なお、情報更新判断部213がUSB適合リストを更新すると判断する条件は特に限定されない。例えば、第1の実施形態において説明した通り、情報更新判断部213は、接続部210に給電装置130及びケーブル120が接続されたと制御部250により判断されたことに応じて、USB適合リストを更新すると判断する。
【0092】
また、
図6の更新処理は、接続部210に直接的又は間接的に接続された各USB製品に対して行われる。以下では、給電装置130に対する更新処理について説明を行うが、ケーブル120に対する更新処理についても同様である。
【0093】
S601で、情報更新判断部213は、PD通信部204によるデータ通信により、給電装置130がUSB適合リストを保有しているか否かを判定するための問い合わせを行う。情報更新判断部213は、給電装置130からの応答に基づいて、給電装置130がUSB適合リストを保有しているか否かを判定する。給電装置130がUSB適合リストを保有している場合、処理ステップはS602に進み、そうでない場合、本フローチャートの更新処理は終了する。
【0094】
S602で、情報入手部214は、PD通信部204によるデータ通信により、給電装置130からUSB適合リストを取得する。給電装置130から取得されるUSB適合リスト(以下、「給電装置130のUSB適合リスト」と呼ぶ)は、受電装置200の不揮発性メモリ211に格納されたUSB適合リスト(以下、「既存のUSB適合リスト」と呼ぶ)と同様のデータ構造(
図5A参照)を持つ。但し、給電装置130のUSB適合リストは、拡張領域504の情報は持たなくてもよい。
【0095】
以下の説明において、
図5Aに示すUSB適合リスト500の1つの行に対応する情報セットを「リストエントリ」と呼ぶ。例えば、給電装置130のUSB適合リストは、XID「0x3456_ABCD」に対してUSB適合情報「OK」及びVersion「1.0」を関連付けるリストエントリを含む。
【0096】
なお、給電装置130のUSB適合リストは複数のXIDを含んでいてもよい。この場合、S603以降の処理は、複数のXIDの各々を対象のXID(対象の識別情報)として実行される。また、給電装置130のUSB適合リストは、給電装置130のXIDを含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0097】
S603で、情報更新部215は、給電装置130のUSB適合リストに含まれるXID(以下、「取得したXID」と呼ぶ)が既存のUSB適合リスト内に存在するか否かを判定する。取得したXIDが既存のUSB適合リスト内に存在する場合、処理ステップはS605に進み、そうでない場合、処理ステップはS604に進む。
【0098】
S604で、情報更新部215は、取得したXIDに対応するリストエントリを既存のUSB適合リストに追加する。
【0099】
S605で、情報更新部215は、取得したXIDに紐付いたVersionが、既存のUSB適合リスト内に存在する同じXIDに紐付いたVersion(以下、「現在のVersion」と呼ぶ)よりも新しいか否かを判定する。取得したXIDに紐付いたVersionが現在のVersionよりも新しい場合、処理ステップはS606に進み、そうでない場合、既存のUSB適合リストを更新する必要がないため、本フローチャートの更新処理は終了する。
【0100】
なお、給電装置130のUSB適合リスト及び既存のUSB適合リストは、Version(バージョン情報)を含まなくてもよい。この場合、例えば、取得したXIDが既存のUSB適合リスト内に存在するとS603において判定された場合、本フローチャートの更新処理は終了してもよい。
【0101】
S606で、情報更新部215は、取得したXIDに対応する既存のUSB適合リストの拡張領域に情報が存在するか否かを判定する。拡張領域に情報が存在する場合、処理ステップはS607に進み、そうでない場合、処理ステップはS608に進む。
【0102】
S607で、情報更新部215は、拡張領域の情報が「NG」(USB製品から電力を受電しないことを示す受電制限情報)であるか否かを判定する。拡張領域の情報が「NG」である場合、本フローチャートの更新処理は終了し、そうでない場合、処理ステップはS608に進む。
【0103】
S608で、情報更新部215は、取得したXIDに対応するリストエントリにより、既存のUSB適合リストを更新する。
【0104】
●第2の実施形態のまとめ
以上説明したように、第2の実施形態によれば、受電装置200は、給電装置130からUSB適合リスト(第2の適合性管理情報)を取得する。そして、受電装置200は、給電装置130から取得したUSB適合リスト(第2の適合性管理情報)に基づいて、不揮発性メモリ211に格納されているUSB適合リスト(第1の適合性管理情報)を更新する。これにより、受電装置200が持つUSB適合リストの有用性を向上させることが可能となる。
【0105】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、受電装置200が携帯無線装置300からUSB適合リスト(第2の適合性管理情報)を取得することにより不揮発性メモリ211に格納されているUSB適合リスト(第1の適合性管理情報)を更新する構成について説明する。本実施形態において、基本的なシステム構成は第1の実施形態と同様である(
図1参照)。以下、主に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0106】
●USB適合リストの更新処理
図7は、第3の実施形態に係るUSB適合リストの更新処理のシーケンスチャートである。受電装置200の情報更新判断部213がUSB適合リストを更新すると判断すると、本シーケンスチャートの処理が開始する。
【0107】
なお、情報更新判断部213がUSB適合リストを更新すると判断する条件は特に限定されない。例えば、第1の実施形態において説明した通り、情報更新判断部213は、操作部207を用いて所定のユーザ入力が行われたときに、USB適合リストを更新すると判断する。
【0108】
S700で、受電装置200の制御部250は、無線部212を用いて、携帯無線装置300との無線接続を確立する処理を行う。同様に、携帯無線装置300の制御部350は、無線部304を用いて、受電装置200との無線接続を確立する処理を行う。
【0109】
なお、受電装置200の制御部250は、接続部210に給電装置130が接続された場合に、携帯無線装置300との無線接続を確立するためにS700の処理を開始してもよい。また、携帯無線装置300の制御部350は、受電装置200の画像を携帯無線装置300で閲覧する操作が行われた場合に、受電装置200との無線接続を確立するためにS700の処理を開始してもよい。これらの場合、情報更新判断部213は、無線接続が確立されたことに応じて、USB適合リストを更新すると判断してもよい。
【0110】
S701で、受電装置200の制御部250は、無線部212を用いて、不揮発性メモリ211に格納されているUSB適合リスト(受電装置200のUSB適合リスト)に含まれるXIDを携帯無線装置300へ送信する。携帯無線装置300の制御部350は、無線部304を用いて、受電装置200から送信されたXIDを受信する。
【0111】
なお、S701において、制御部250は、受電装置200のUSB適合リストに含まれるXIDの代わりに、又はこれに加えて、現在接続部210に接続されているUSB製品(例えば、給電装置130)のXIDを送信してもよい。また、制御部250は、過去に接続部210に接続されたUSB製品のXIDを送信してもよい。過去に接続部210に接続されたUSB製品のXIDを送信可能にするために、受電装置200は、接続部210に接続されたことのあるUSB製品のXIDを蓄積する。XID蓄積処理については後述する。
【0112】
S702で、携帯無線装置300の制御部350は、無線部305を用いて、クラウドサーバ150に対して、S701において受信したXIDに対応するUSB適合情報を要求する。
【0113】
S703で、携帯無線装置300の制御部350は、無線部305を用いて、クラウドサーバ150から、S702において要求したUSB適合情報を受信する。なお、ここでのUSB適合情報の受信は、例えば
図5Aに示すUSB適合リスト500と同様のデータ構造を持つ情報を受信することにより行われてもよい。
【0114】
S704で、携帯無線装置300の制御部350は、S701において受信したXIDとS703において受信したUSB適合情報とに基づいてUSB適合リストを作成し、不揮発性メモリ303に記憶する。不揮発性メモリ303に記憶されるUSB適合リスト(以下、「携帯無線装置300のUSB適合リスト」と呼ぶ)は、例えば
図5Aに示すUSB適合リスト500と同様のデータ構造を持つ。なお、携帯無線装置300のUSB適合リストが既に存在する場合、制御部350は、例えば
図6に示す更新処理と同様の処理により、携帯無線装置300のUSB適合リストを更新する。この更新処理のために、S703において、制御部350は、USB適合情報に加えてバージョン情報を受信してもよい。或いは、クラウドサーバ150には最新のUSB適合情報が記憶されている可能性が高いため、制御部350は、バージョン情報を用いずに更新処理を行ってもよい。この場合、例えば、取得したXIDが既存のUSB適合リスト内に存在すると
図6のS603において判定された場合、処理ステップはS608に進む。
【0115】
S705で、携帯無線装置300の制御部350は、無線部304を用いて、携帯無線装置300のUSB適合リストを受電装置200へ送信する。受電装置200の制御部250は、無線部212を用いて、携帯無線装置300から携帯無線装置300のUSB適合リストを受信する。
【0116】
S706で、受電装置200の制御部250は、S705において受信した携帯無線装置300のUSB適合リストに基づいて、受電装置200のUSB適合リストを更新する。制御部250は、例えば
図6に示す更新処理と同様の処理により、受電装置200のUSB適合リストを更新することができる。また、S704において説明した更新処理と同様、制御部250は、バージョン情報を用いずに更新処理を行ってもよい。
【0117】
●XID蓄積処理
図8(a)は、第3の実施形態に係るXID蓄積処理のフローチャートである。制御部250は、USB製品が接続部210に接続されたことを検出すると、本フローチャートの処理を開始する。以下の説明では、給電装置130が接続部210に接続されたものとする。
【0118】
S801で、制御部250は、給電装置130から給電装置130のXIDを取得する。ここでは、XID「0x5678_ABCD」が取得されたものとする。XIDの取得方法は特に限定されないが、例えば、制御部250は、認証部205が
図4AのS405において第1の認証処理により取得したXIDを取得することができる。
【0119】
S802で、制御部250は、S801において取得されたXIDが不揮発性メモリ211内のUSB適合リスト500のXIDリスト501に含まれるか否かを判定する。取得されたXIDがXIDリスト501に含まれる場合、本フローチャートの処理は終了する。取得されたXIDがXIDリスト501に含まれない場合、処理ステップはS803に進む。
【0120】
S803で、制御部250は、S801において取得されたXIDをXIDリスト501に追加する。また、制御部250は、このXIDに対してUSB適合情報「Unknown」及びVersion「0」を紐付ける。
【0121】
図8(b)は、追加されたXIDを含むUSB適合リストの一例を示す図である。
図5Aと比べて、
図8(b)にはXID「0x5678_ABCD」を含む列851が追加されている。
【0122】
制御部250は、接続部210に接続されたUSB製品から新たなXIDが取得される度にそのXIDをUSB適合リストに追加することにより、USB適合情報が未知のXIDを蓄積することができる。そして、制御部250は、蓄積されたXIDを前述したS701において携帯無線装置300に送信することにより、対応するUSB適合情報を取得することができる。
【0123】
なお、XIDの蓄積先は、USB適合リストに限定されない。また、蓄積されるXIDに対してUSB適合情報「Unknown」などを紐付けることは必須ではない。例えば、制御部250は、不揮発性メモリ211の中に新規XIDリストを作成し、新規XIDリストの中に新たなXIDを蓄積してもよい。
【0124】
●USB適合リストの共有
本実施形態によれば、ユーザが複数の受電装置を有する場合などに、携帯無線装置300を介して複数の受電装置の間でUSB適合リストを共有することができる。
【0125】
図9は、USB適合リストの共有例を説明する図である。ユーザは、受電装置200に加えて、受電装置200と同様の構成を持つ受電装置900を有するものとする。接続部910及び無線通信媒体960は、接続部210及び無線通信媒体360と同様の構成を持つ。また、ユーザは、ケーブル120及び給電装置130に加えて、ケーブル120及び給電装置130と同様の構成を持つケーブル920及び給電装置930を有するものとする。
【0126】
図9に示す状況において、給電装置130が接続されたことのある受電装置200が
図7に示す更新処理を実行すると、S704において、給電装置130のXID及びUSB適合情報が携帯無線装置300のUSB適合リストに格納される。その後、受電装置900が
図7に示す更新処理を実行すると、S705及びS706の処理により、給電装置130のXID及びUSB適合情報が受電装置900のUSB適合リストに格納される。同様に、給電装置930が接続されたことのある受電装置900が
図7に示す更新処理を実行すると、S704において、給電装置930のXID及びUSB適合情報が携帯無線装置300のUSB適合リストに格納される。その後、受電装置200が
図7に示す更新処理を実行すると、S705及びS706の処理により、給電装置930のXID及びUSB適合情報が受電装置200のUSB適合リストに格納される。
【0127】
このように、受電装置200及び900は、携帯無線装置300を用いる更新処理を行うことにより、USB適合リストを共有することができる。従って、例えば受電装置900に給電装置130が初めて接続されたタイミングで携帯無線装置300が使用不可能であったとしても、事前にUSB適合リストが共有されていれば、受電装置900は給電装置130の規格適合性を判定することができる。
【0128】
●第3の実施形態のまとめ
以上説明したように、第3の実施形態によれば、受電装置200は、携帯無線装置300(通信装置)からUSB適合リスト(第2の適合性管理情報)を取得する。そして、受電装置200は、携帯無線装置300から取得したUSB適合リスト(第2の適合性管理情報)に基づいて、不揮発性メモリ211に格納されているUSB適合リスト(第1の適合性管理情報)を更新する。これにより、受電装置200が持つUSB適合リストの有用性を向上させることが可能となる。
【0129】
また、第3の実施形態によれば、受電装置200は、給電装置130から給電装置130のXIDを取得して不揮発性メモリ211に蓄積し、蓄積された給電装置130のXIDを携帯無線装置300に送信する。そして、受電装置200は、携帯無線装置300から、給電装置130のXIDに関連付けられたUSB適合情報を受信して不揮発性メモリ211に格納する。これにより、受電装置200に実際に接続された(即ち、今後も使用される可能性の高い)給電装置130のXID及びUSB適合情報を選択的にUSB適合リストに格納することが可能となるため、不揮発性メモリ211の記憶領域の有効活用が可能になる。
【0130】
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、第1の認証処理又は第2の認証処理が失敗した際に情報(メッセージ)を表示する構成について説明する。本実施形態において、基本的なシステム構成は第1の実施形態と同様である(
図1参照)。以下、主に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0131】
図10は、第4の実施形態に係る受電制御のフローチャートである。本フローチャートにおいて、
図4Aと同一又は同様の処理が行われるステップには
図4Aと同一の符号を付す。制御部250は、ケーブル120を介して給電装置130が接続部210に接続されたことを検出すると、本フローチャートの処理を開始する。以下の説明においては、給電装置130に対して第1の認証処理及び第2の認証処理が行われるものとするが、他のUSB製品に対して第1の認証処理及び第2の認証処理が行われる場合も同様である。
【0132】
なお、
図10のS406の処理は
図4AのS406と同様であるが、第1の認証処理が失敗した場合の遷移先が
図4AのS406と異なる。具体的には、第1の認証処理が失敗した場合、処理ステップはS1001に進む。また、
図10のS408の処理は
図4AのS408と同様であるが、第2の認証処理が成功した場合及び失敗した場合それぞれの遷移先が
図4AのS408と異なる。具体的には、第2の認証処理が成功した場合、処理ステップはS1004に進み、第2の認証処理が失敗した場合、処理ステップはS1002に進む。
【0133】
S1001で、制御部250は、第1の情報を表示する第1の表示制御を行う。例えば、制御部250は、給電装置130がUSB-IFにより信頼されたものでないこと(第1の認証処理が失敗したこと)を示す情報を表示部208に表示する。また、制御部250は、給電装置130を使用して給電(電力P22の受電)を行うか否かの選択をユーザに促す情報を表示部208に表示する。
【0134】
図11(a)及び
図11(b)は、S1001における情報の表示例を示す図である。最初に、制御部250は、
図11(a)に示すような、給電装置130がUSB-IFにより信頼されたものでないこと(第1の認証処理が失敗したこと)を示す情報を表示部208に表示する。その後(例えば、所定時間経過後)、制御部250は、
図11(b)に示すような、給電装置130を使用して給電(電力P
22の受電)を行うか否かの選択をユーザに促す情報を表示部208に表示する。なお、S1001における情報の表示方法は特に限定されず、制御部250は、例えば
図11(c)に示すように、
図11(a)に相当する情報と
図11(b)に相当する情報とを1画面にまとめて表示してもよい。
【0135】
ユーザは、S1001において表示される情報により、第1の認証処理が失敗したことを認識することができる。そして、ユーザは、この情報を受けて、例えば、給電装置130を、USB-IFにより信頼されている他の給電装置に交換することで、安全に給電を行うことができる。
【0136】
図11(b)又は
図11(c)においてユーザにより操作部207を介して「はい」又は「いいえ」の選択が行われると、処理ステップはS1003に進む。
【0137】
S1002で、制御部250は、第2の情報を表示する第2の表示制御を行う。例えば、制御部250は、給電装置130がUSB規格の適合試験に合格していないこと(第2の認証処理に失敗したこと)を示す情報を表示部208に表示する。また、制御部250は、給電装置130を使用して給電(電力P22の受電)を行うか否かの選択をユーザに促す情報を表示部208に表示する。
【0138】
図11(d)及び
図11(b)は、S1002における情報の表示例を示す図である。最初に、制御部250は、
図11(d)に示すような、給電装置130がUSB規格の適合試験に合格していないこと(第2の認証処理に失敗したこと)を示す情報を表示部208に表示する。その後(例えば、所定時間経過後)、制御部250は、
図11(b)に示すような、給電装置130を使用して給電(電力P
22の受電)を行うか否かの選択をユーザに促す情報を表示部208に表示する。なお、S1002における情報の表示方法は特に限定されず、制御部250は、例えば
図11(e)に示すように、
図11(d)に相当する情報と
図11(b)に相当する情報とを1画面にまとめて表示してもよい。
【0139】
ユーザは、S1002において表示される情報により、第2の認証処理が失敗したことを認識することができる。そして、ユーザは、この情報を受けて、例えば、給電装置130を、適合試験に合格している他の給電装置に交換することで、安全に給電を行うことができる。或いは、USB適合リストが古いために第2の認証処理に失敗した可能性がある場合には、ユーザは、USB適合リストを更新するように受電装置200を操作してもよい。
【0140】
図11(b)又は
図11(e)においてユーザにより操作部207を介して「はい」又は「いいえ」の選択が行われると、処理ステップはS1003に進む。
【0141】
上記の通りS1001とS1002とで異なる情報を表示することで、ユーザは第1の認証処理及び第2の認証処理のいずれが失敗したかを認識することが可能になり、安全に給電を行うための対処法がより明確になる。但し、例えば
図11(f)に示すように、制御部250は、S1001とS1002とで同じ情報を表示してもよい。この場合であっても、ユーザは、少なくとも第1の認証処理又は第2の認証処理が失敗したことを認識することができる。
【0142】
S1003で、制御部250は、給電(電力P22の受電)を行うか否かを判定する。制御部250は、S1001又はS1002においてユーザが「はい」を選択した場合、給電を行うと判定し、S1001又はS1002においてユーザが「いいえ」を選択した場合、給電を行わないと判定する。給電を行う場合、処理ステップはS409に進み、そうでない場合、処理ステップはS411に進む。
【0143】
このように、ユーザは、S1001又はS1002において表示される、給電を行うか否かの選択をユーザに促す情報(給電選択情報)に応じて、「はい」を選択する操作(給電を行うことを選択するユーザ操作)を行うことにより、給電を行うことができる。従って、第1の認証処理又は第2の認証処理に失敗した場合であっても、例えばユーザが何らかの方法により給電装置130の安全性が確保されていることを知っている場合などには、ユーザは給電を行うことを選択することができる。その結果、ユーザにとっての利便性が向上する。なお、制御部250は、S1001及びS1002のうちの一方においてのみ、給電を行うか否かの選択をユーザに促す情報(給電選択情報)を表示してもよい。
【0144】
S1004で、制御部250は、第1の認証処理及び第2の認証処理の両方が成功したことを示す情報を表示部208に表示する。
【0145】
図11(g)は、S1004における情報の表示例を示す図である。
図11(g)に示すような情報表示により、ユーザは、第1の認証処理及び第2の認証処理の両方が成功したことを明確に認識することができる。但し、S1004の処理は省略してもよい。この場合であっても、ユーザは、S1001又はS1002の情報表示が行われないことにより、第1の認証処理及び第2の認証処理の両方が成功したことを認識することができる。
【0146】
●第4の実施形態のまとめ
以上説明したように、第4の実施形態によれば、受電装置200は、USB-AUTH規格に基づいて、給電装置130からXIDを含む証明書を取得し、この証明書が真正であるか否かを判定する(第1の認証処理)。また、受電装置200は、XIDに基づいて、給電装置130がUSB規格の適合試験に合格しているか否かを判定する(第2の認証処理)。そして、受電装置200は、第1の認証処理又は第2の認証処理が失敗した際に情報(メッセージ)を表示する。これにより、ユーザは、第1の認証処理又は第2の認証処理が失敗したことを容易に認識することが可能となる。
【0147】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0148】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0149】
120…ケーブル、130…給電装置、150…クラウドサーバ、200…受電装置、210…接続部、300…携帯無線装置、360…無線通信媒体、370…無線通信媒体