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特許7474111吐出部材及びそれを用いたエアゾール製品
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  • 特許-吐出部材及びそれを用いたエアゾール製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】吐出部材及びそれを用いたエアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/14 20060101AFI20240417BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20240417BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B65D83/14 220
B05B9/04
B05B1/02 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020083747
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021178648
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】岡本 一真
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知之
(72)【発明者】
【氏名】松井 和弘
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/065413(WO,A1)
【文献】特開2019-099230(JP,A)
【文献】特開2017-214147(JP,A)
【文献】特開2001-299915(JP,A)
【文献】特開2006-290408(JP,A)
【文献】米国特許第05813785(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/14
B05B 9/04
B05B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性内容物が充填されたエアゾール容器に取り付けられる吐出部材であって、
略円筒状の筒壁部と、
前記筒壁部の内周面によって構成され、前記筒壁部の軸方向に延びる内部通路と、
前記筒壁部の先端に設けられ、前記内部通路の先端を塞ぐ閉止部と、
前記筒壁部を貫通する吐出通路とを備えたノズルを有し、
前記吐出通路が前記ノズルの側方および先端で開口しており且つ前記吐出通路の軸方向長さが10~40mmであって、前記内部通路の軸方向長さが前記吐出通路の軸方向長さよりも長いことで、前記ノズルから吐出された発泡吐出物を保持する、
前記吐出通路を構成する切欠がノズルの軸方向に延びており、切欠と前記ノズルの軸方向とが平行である、吐出部材。
【請求項2】
前記ノズルの外径が軸方向で変化していない、請求項1記載の吐出部材。
【請求項3】
前記ノズルの先端が平坦である、請求項1又は2記載の吐出部材。
【請求項4】
前記吐出通路の孔壁が、前記ノズルの基端部側の底縁部と、その底縁部からそれぞれノズルの先端面にまで延びている左右の側縁部と、閉止部の切欠面とを備えている、請求項1から3のいずれかに記載の吐出部材。
【請求項5】
吐出通路の幅がノズルの先端に向かうにつれて広がっている、請求項1から4のいずれかに記載の吐出部材。
【請求項6】
吐出通路の流路断面形状が略台形である、請求項記載の吐出部材。
【請求項7】
吐出通路よりも上流に絞りが設けられている、請求項1からのいずれかに記載の吐出部材。
【請求項8】
ノズルとは別体のノズルジョイントを備え、ノズルの基端部がノズルジョイントに着脱可能に取り付けられている、請求項1からのいずれかに記載の吐出部材。
【請求項9】
さらに別体のスパウト部材を備え、ノズルジョイントがスパウト部材に着脱可能に取り付けられている、請求項記載の吐出部材。
【請求項10】
エアゾール容器と、
そのエアゾール容器に充填される発泡性内容物と、
そのエアゾール容器に設けられる請求項1からのいずれかに記載の吐出部材とからなるエアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発泡性内容物を吐出する吐出部材およびそれを用いたエアゾール製品に関する。さらに詳しくは立体的な装飾性を有する発泡吐出物を形成する吐出部材およびそれを用いたエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状部材の側面にスリット状の複数の吐出口が形成されており、この吐出口から発泡性内容物を吐出することで、カーネーションやケイトウのような形状の泡が得られる吐出部材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-214147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吐出部材は、筒状部材の軸方向中央部が径外方向に膨出していたり、キャップ状の蓋部材によって段差が形成されたりしているため発泡吐出物をノズルに保持しやすいが、筒状部材の周囲に付着した泡を、筒状部材をしごくようにして取ろうとしても膨出部分や段差が邪魔をして取り難い。
【0005】
本発明は、立体的な装飾性を有する発泡吐出物を形成することができ、ノズルの周りに付着した泡を簡単に手に取ることができる吐出部材およびそれを用いたエアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出部材は、発泡性内容物Aが充填されたエアゾール容器11に取り付けられる吐出部材1、1Aであって、略円筒状の筒壁部3と、筒壁部3の内周面によって構成され、筒壁部3の軸方向に延びる内部通路3aと、筒壁部3の先端に設けられ、内部通路3aの先端を塞ぐ閉止部4と、筒壁部3を貫通する吐出通路3bとを備えたノズル2を有し、吐出通路3bが前記ノズル2の側方および先端で開口していることを特徴としている。
【0007】
このような吐出部材1、1Aは、吐出通路3bの幅W3がノズル2の先端に向かうにつれて広がっていることが好ましい。また、吐出通路3bの流路断面形状が略台形であることが好ましい。さらに、吐出通路3bよりも上流に絞り5bが設けられていることが好ましい。さらにまた、ノズル2とは別体のノズルジョイント5を備え、ノズル2の基端部2bがノズルジョイント5に着脱可能に取り付けられていることが好ましい。また、さらに別体のスパウト部材14を備え、ノズルジョイント5がスパウト部材14に着脱可能に取り付けられていることが好ましい。
【0008】
本発明のエアゾール製品10は、エアゾール容器11と、そのエアゾール容器11に充填される発泡性内容物Aと、そのエアゾール容器11に設けられる上記いずれかに記載の吐出部材1、1Aとからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吐出部材およびエアゾール製品は、発泡吐出物がノズルの側方および先端で開口する吐出通路により成形されて、ノズルの側方および斜め上方に吐出されるため、膨出部分や段差を設けなくても発泡性吐出物がノズルに保持されやすく泡を簡単に手に取ることができる。また、立体的な装飾性を有する発泡吐出物を形成することができ、吐出部材およびそれを用いたエアゾール製品を提供することができる。
【0010】
吐出通路の幅がノズルの先端に向かうにつれて広がっている場合、吐出された発泡吐出物をノズルの周りに保持させやすく、発泡吐出物の一体化を促進し、発泡吐出物が一体化せずにちぎれて上方に飛散するのを防止することができる。
【0011】
吐出通路の流路断面形状が略台形である場合も、吐出された発泡吐出物をノズルの周りに保持させやすい。
【0012】
吐出通路よりも上流に絞りが設けられている場合、エアゾール容器のステム孔からノズル内に吐出された吐出物(以下、ノズル内吐出物という)を絞りから吐出通路までの内部通路内で発泡させやすくなり吐出通路で所望の形成に成形しやすく、複雑な形状の泡を形成することができる。
【0013】
ノズルとは別体のノズルジョイントを備え、ノズルの基端部がノズルジョイントに着脱可能に取り付けられている場合は、複数のノズルを簡単に使い分けることができる。
【0014】
さらに別体のスパウト部材を備え、ノズルジョイントがスパウト部材に着脱可能に取り付けられている場合、複数のノズルジョイントを簡単に使い分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】エアゾール製品を示す正面図である。
図2図2Aがノズルの正面図、図2Bがノズルの平面図、図2C図2BのII-II線断面図、図2Dがノズルの横断面図である。
図3図3Aがノズルジョイントの正面図、図3Bがノズルジョイントの平面図、図3Cがノズルジョイントの断面図である。
図4】吐出部材の断面図である。
図5】別の吐出部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「1.概略説明」
<第1実施形態>
図1のエアゾール製品10は、エアゾール容器11と、そのエアゾール容器11に充填される発泡性内容物Aと、そのエアゾール容器11に装着される吐出部材1とからなる。前記エアゾール容器11は、例えば、容器本体12と、その開口部に取り付けられたエアゾールバルブ13とからなる従来公知のものである。ただし、エアゾール容器11としては、従来公知である他の形態のものを用いても良い。そのエアゾールバルブ13のマウンティングカップ13aは、容器本体12の上端を覆うようにして固定されている。このマウンティングカップ13aと容器本体12とによって形成されるエアゾール容器11の環状の凸部11aは、スパウト部材14の係止部として働く。
【0017】
「2.吐出部材など」
吐出部材1はエアゾール容器11に装着され、その先端近辺の吐出通路3bからノズル内吐出物を吐出して所望の形状に成形し、保持するものである。前記吐出部材1はスパウト部材14と泡制御部材1aとからなる。前記スパウト部材14は、例えば、エアゾール容器11に装着される筒状の装着部15と、その装着部15にヒンジ部を介して連結され、揺動自在に配置される操作部16とからなる。その操作部16は、エアゾール容器11のエアゾールバルブ13のステム13bに装着されている。その操作部16の天面から筒状のノズル基部16aが上方に向けて突出している。前記操作部16の天面は、指で直接押し下げ操作する操作面16bを形成している。この操作面16bを押し下げることでステム13bを押し下げる、または揺動させることができ、エアゾール容器11内の発泡性内容物Aを吐出部材1に供給することができる。
【0018】
前記ノズル基部16aの先端には、泡制御部材1aが装着されている。その泡制御部材1aは、ノズル2と、ノズル2とノズル基部16aとを連結するノズルジョイント5とを備えている。
【0019】
ノズル2は、図2に示すように、略円筒状の筒壁部3と、筒壁部3の内面によって構成され、筒壁部3の軸方向に延びる内部通路3aと、筒壁部3の先端に設けられ、内部通路3aの先端を塞ぐ閉止部4と、筒壁部3を貫通する複数の吐出通路3bとを備えている。吐出通路3bを構成する切欠Nはノズル2の軸方向に延びている。切欠Nとノズル2の軸方向とは平行である。また、この切欠Nはノズル2の先端面2aにまで達している。この状態は、切欠Nがノズル2の先端面2aを貫通しているとも言える。従って、吐出通路3bを構成する孔壁は、ノズル2の基端部2b側の底縁部3cと、その底縁部3cからそれぞれノズル2の先端面2aにまで延びている左右の側縁部3d、3dと、閉止部4の切欠面4aとからなる。
【0020】
吐出通路3bの幅W3は、ノズル2の先端に向かうにつれて広がっている。ただ、幅が変わらず一定でもよい。また、吐出通路3bの流路断面形状は略台形である。ただ、略V字状であってもよい。吐出通路3bはノズル2の周方向に等間隔で6つ形成されている。ただ、その数は適宜変更可能であり、例えば3~10個であり、好ましくは4~8個である。ノズル2の外径D2は軸方向において同径とされている。すなわち、軸方向において外径に変化はない。なお、ノズル2の外径D2と、ノズルジョイント5の外径D5と、ノズル基部16aの外径D16はすべて等しく、ノズル2、ノズルジョイント5、ノズル基部16aを連結すると、軸方向において外径の変わらない1本の部材が出来上がる(図1参照)。
【0021】
前記閉止部4は、平面視、筒壁部3の内面よりも内側の部分である。この閉止部4は筒壁部3と一体である。ただし、閉止部4は筒壁部3と別体であってもよい。内部通路3aを流れるノズル内吐出物は基本的には閉止部4に衝突し、流れる方向を変えて吐出通路3bから外部に吐出される。ただ、切欠Nは閉止部4にまで達しており、閉止部4の外周を切り欠いている。そのため、ノズル内吐出物の一部は閉止部4と衝突することなく、ノズル2の先端から外部に吐出される。この状態は、閉止部4に衝突回避部Eが設けられているとも言える。また、吐出通路3bがノズル2の側方および先端で開口しているとも言える。また、吐出通路3bによってノズル2の側方から先端にかけて連続する開口が設けられているとも言える。
【0022】
前記ノズル2の外径D2は3~15mmで、好ましくは5~10mmである。吐出通路3bの軸方向長さL3bは10~40mmで、好ましくは15~35mmである。10mm以下では、発泡性吐出物を保持しにくく、垂れ落ちやすくなり、40mm以上では、ノズル2の閉止部4に到達しにくく、吐出通路3bで所望の形状に成形されにくくなる。吐出通路3bの幅W3(幅が変化する場合は最大値)は0.3~4mmで、好ましくは0.5~2mmである。側縁部3dの傾きは、ノズル2の中心軸に対して0~5度で、好ましくは0.1~1である。筒壁部3の壁厚は0.5~5mmで、好ましくは0.8~3mmである。内部通路3aの径d3は、2.0~12mmで、好ましくは2.5~10mmである。
【0023】
このノズル2は、例えば、ノズル2の軸方向に相対移動する一対の金型を用いて射出成形することができる。具体的には、外型にノズル2の外形に沿った溝(穴)を形成し、内型にノズル2の内形に沿った突起を形成し、溝と突起との間に樹脂を充填・硬化させた後、一方の金型をノズル2の軸方向に相対移動させることで上記構成のノズル2を成形することができる。すなわち、上記ノズル2は吐出通路3bを構成する切欠Nがノズル2の先端面2aにまで達しているため、金型をノズル2の軸方向に抜くことができ、簡単に且つ大量に製造することができる。特に、吐出通路3bの幅W3がノズル2の先端に向かうにつれて広がっているため、金型を抜きやすい。また、衝突回避部Eによって外型と内型の合わせ目に隙間ができにくい。なお、仮に切欠Nがノズル2の先端面2aまで達していなければ、金型をノズル2の側方に向かって抜く必要があり、製造が煩雑になる。
【0024】
ノズルジョイント5は、図3に示すように、ノズル2が装着される略円筒状のノズル装着部6と、ノズル基部16aが装着される略円筒状のノズル基部装着部7と、ノズル装着部6とノズル基部装着部7との間に設けられた環状段部8と、ノズル装着部6からノズル基部装着部7まで連通する連通路5aとを備えている。ノズル装着部6の先端には絞り5bが設けられている。そして連通路5aはこの絞り5bによって流路面積が狭められている。絞り5bは、ノズルジョイント5とノズル2とを連結した状態において、ノズル2の吐出通路3bよりも上流に位置する。環状段部8の外径D5はノズル2の外径D2と同じである。ノズル装着部6の外径D6は、ノズル2の基端部2bの内径とほぼ同じである。そして、ノズル装着部6がノズル2の基端部2bに着脱可能に内嵌されることで、連通路5aと内部通路3aとが連通する。また、ノズル基部装着部7の外径D7は、ノズル基部16aの内径とほぼ同じである。そして、ノズル基部装着部7がノズル基部16aに着脱可能に内嵌されることでノズルジョイント5はスパウト部材14に取り付けられ、エアゾール容器11から連通路5aへの発泡性内容物(ノズル内吐出物)の供給が可能となる。
【0025】
連通路5aの径d5は1.5~10mmで、好ましくは2~5mmである。絞り5bの孔径doは0.5~3mmで、好ましくは0.8~2.7mmである。絞り5bの孔径doが0.5mm以下であると、ノズル内吐出物の供給量が少なくなりすぎ、ノズルの閉止部に到達せずに吐出通路で成形されにくく、絞り5bの孔径doが3mm以上であると、ノズル内吐出物の供給量が多くなりすぎ、ノズルから垂れ落ちやすくなる。また、内部通路の径d3、連通路の径d5、絞り5bの孔径doの関係は、d3>d5>doが好ましい。この関係であると、ノズル内吐出物は、連通路内で発泡し、絞りにより供給量を調整し、内部通路から吐出通路へ適度なスピードで移動することで立体的な装飾性を有する発泡吐出物が形成され、保持されやすくなる。
【0026】
前記泡制御部材1aの材質は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン(NY)あるいはポリアセタール(POM)などの合成樹脂や、アルミニウムなどの薄肉の金属パイプを用いることができる。なお、金属を用いる場合は、泡制御部材1aを金属とし、スパウト部材14を前述の合成樹脂で成形してもよい。なおスパウト部材14としては、従来公知の物を用いることができる。例えば、発泡性内容物が充填された容器にネジ機構を用いて取り付けられるものでもよい。
【0027】
発泡性内容物Aの具体例としては、たとえば、消臭剤、芳香剤、虫よけ、殺菌剤などの家庭用品、洗顔剤、洗浄剤、入浴剤、保湿剤、日焼け止め、クレンジング剤、化粧水、シェービング剤、脱毛剤、制汗剤、殺菌消毒剤、害虫忌避剤などのスキンケア剤、トリートメント剤、スタイリング剤、染毛剤などのヘアケア剤などの人体用品、ホイップクリームなどの食品などがあげられる。前記発泡性内容物Aは前記用途の有効成分を含む原液と、原液を発泡させる噴射剤とからなり、噴射剤としては、たとえば、プロパン、ブタン、ペンタンなどの炭素数が3~5の脂肪族炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、ジメチルエーテルなどの液化ガス、炭酸ガス、窒素、圧縮空気などの圧縮ガスなどがあげられる。なかでも、泡の成形性、保形性に優れ、発泡吐出物を所望の形状にしやすい点から、脂肪酸石鹸などの界面活性剤や、単糖類、多価アルコールなどを原液中に含有したものを用い、さらに噴射剤として液化ガスを用いることが好ましい。
【0028】
「3.発泡吐出物の成形方法など」
前記スパウト部材14の操作面16b(図4参照)が押し下げられ、ステム13bが下げられ、または揺動されると、エアゾール容器11内の発泡性内容物Aがステム13bから吐出してスパウト部材14に供給される。スパウト部材14に供給されたノズル内吐出物(ステム孔から吐出されスパウト部材14内に供給された発泡性内容物)は、ノズル基部16aを通ってノズルジョイント5に入る。ノズルジョイント5には絞り5bが設けられているため、絞り5bによって内部通路3aへの供給量が絞られ、連通路5a内にあるノズル内吐出物は発泡が抑制される。絞り5bを通って内部通路3a内に供給されたノズル内吐出物は、ここで発泡してノズル2の内部通路3aを流れ、大部分が閉止部4に衝突して流速が遅くなると共に流れの方向が変化し、吐出通路3bから側方および斜め上方に吐出される。吐出通路3bがスリット状であるため、吐出されたノズル内吐出物は、最初は板状に成形される。しかし、重力による影響や後ろから次々と吐出されるノズル内吐出物に押されて不規則に湾曲する。また、吐出通路3bは複数設けられているため、ノズル2の外周に全体として花の形状の装飾性を有する泡(発泡吐出物)が形成される。その花の形状としては、カーネーション、ケイトウなどである。
【0029】
本発明のエアゾール製品10は吐出部材1に発泡吐出物を保持させた状態で玄関や部屋などに置き、発泡吐出物から室内に有効成分を蒸散させて使用してもよく、吐出部材1に保持されている発泡吐出物を手ですくいとり、身体などの目的箇所に塗布して使用してもよい。ノズル2、ノズルジョイント5、ノズル基部16aを連結してなる、軸方向において外径の変わらない1本の部材が出来上がることから、ノズル2の先端に向かってしごくことでノズル2の周りに付着した泡を簡単に手に取ることができる。また、本発明のエアゾール製品10では、着脱可能なノズルジョイント5を備えているため、吐出通路3bの形状や数が異なる複数のノズル2を用意しておき、必要に応じてノズル2を取り換えることも可能である。また、絞り5bの孔径doが異なる複数のノズルジョイント5を用意しておき、必要に応じてノズルジョイント5を取り換えることも可能である。
【0030】
図5は本発明の異なる吐出部材1Aを示したものである。この吐出部材1Aはノズルジョイント5が省略されている。連通路5aはノズル基部16aの内面によって構成されている。また、絞り5bはノズル基部16aの先端に設けられている。ノズル基部16aの先端近傍の外径は他の部分よりも小とされ、ノズル2を着脱可能に外嵌できるようになっている。他の構成については吐出部材1と同様である。
【0031】
この吐出部材1Aにおいても、内部通路の径d3、連通路の径d5、絞り5bの孔径doの関係が、d3>d5>doとされている。また、ノズル2については吐出部材1と同じものである。従って、吐出部材1と同様の作用効果を奏する。
【0032】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施形態では、ノズルジョイント5に絞り5bが設けられていたが、ノズル2に絞りを設けてもよいし、ノズル基部16aに絞りを設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1、1A 吐出部材
1a 泡制御部材
2 ノズル
2a ノズルの先端面
2b ノズルの基端部
3 筒壁部
3a 内部通路
3b 吐出通路
3c 底縁部
3d 側縁部
4 閉止部
4a 切欠面
N 切欠
5 ノズルジョイント
5a 連通路
5b 絞り
6 ノズル装着部
7 ノズル基部装着部
8 環状段部
10 エアゾール製品
11 エアゾール容器
11a 凸部
12 容器本体
13 エアゾールバルブ
13a マウンティングカップ
13b ステム
14 スパウト部材
15 装着部
16 操作部
16a ノズル基部
16b 操作面
A 発泡性内容物
E 衝突回避部
D2 ノズルの外径
d3 内部通路の径
D5 ノズルジョイントの外径
d5 連通路の径
D6 ノズル装着部の外径
D7 ノズル基部装着部の外径
D16 ノズル基部の外径
do 絞りの孔径
W3 吐出通路の幅
L3b 側縁部の長さ
図1
図2
図3
図4
図5