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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ステータコアの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20240417BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
H02K1/18 D
H02K15/02 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020111269
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010605
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 靖
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-115965(JP,A)
【文献】特開2019-068724(JP,A)
【文献】特開2014-093803(JP,A)
【文献】特開2015-053823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルが巻装されるステータコアの製造方法であって、
前記ステータコアは、
前記コイルが巻装される複数のティースと、
前記複数のティースのうち、隣接する前記ティースを連結するティース連結部と、
内周部に前記複数のティースと嵌合する複数の嵌合部が設けられた第1環状部と、
を備え、
(a)前記複数のティースと前記ティース連結部とが一体に形成されてなる第2環状部を板材から打ち抜く工程と、
(b)前記第2環状部を打ち抜く前の前記板材に対して、前記ティース連結部に相当する箇所に非磁性化処理を施す工程と、
(c)前記複数のティースと前記複数の嵌合部とを嵌合させて、前記第1環状部と前記第2環状部とを一体化させる工程と、
を有し、
前記(b)工程では、前記非磁性化処理により形成される非磁性体部によって前記板材に所定のパターンが形成されるように、前記非磁性化処理を施し、
前記所定のパターンは、複数の線状の前記非磁性体部が繰り返して形成されてなるパターンを有し、
前記(a)工程では、前記複数の線状の前記非磁性体部が交差している交差部を目印として、前記板材から前記第2環状部を打ち抜くことを特徴とするステータコアの製造方法。
【請求項2】
前記(b)工程では、前記非磁性化処理として、前記板材にレーザーを照射することを特徴とする請求項1に記載のステータコアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に用いられるステータコアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータなどの回転電機に用いられるステータコアとして、複数のティースを備える環状ティース部材と、該環状ティース部材の外側に配置される環状ヨーク部材と、を有するステータコアが知られている。このようなステータコアの製造方法の一例として、環状ティース部材と環状ヨーク部材とを別々に形成し、環状ティース部材の複数のティースのそれぞれにコイルを巻装した後、環状ティース部材と環状ヨーク部材とを嵌合させる製造方法が知られている。このような製造方法では、環状ティース部材と環状ヨーク部材とを嵌合する前に、環状ティース部材の各ティースにコイルを装着するため、各ティースにコイルを容易に装着することができる。
【0003】
なお、上記のようなステータコアの製造方法の一例が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-115965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなステータコアを構成する環状ティース部材は、複数のティースと、該複数のティースを連結するティース連結部とを有しており、このティース連結部においてティース間の磁束が漏れる場合がある。回転電機においてティース間の磁束が漏れると、回転電機の出力特性が低下する虞がある。
【0006】
上記特許文献1には、ティース間の磁束の漏れを低減するために、環状ティース部材のティース連結部に非磁性化加工を施すことが記載されている。具体的には、上記特許文献1には、板材からプレス加工で打ち抜かれたコアシート材を積層して環状ティース部材を形成し、この環状ティース部材に対して非磁性化加工を施すことが記載されている。この場合、環状ティース部材を形成した後、環状ティース部材の複数のティース連結部全てに対して非磁性化加工を施すため、非磁性化加工を施すのに時間がかかる。また、積層前のコアシート材に非磁性化加工を施す場合においても、積層するコアシート材の枚数分の加工時間が必要となり、非磁性化加工に費やす時間が長くなることが懸念される。
【0007】
また、板材から打ち抜いたコアシートやコアシートの積層体に追加工を施すと、コアシートや積層体の寸法が変化してしまう虞がある。
【0008】
本発明の目的は、品質の安定化を図りつつ、加工時間の短縮化が図られたステータコアの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、コイルが巻装されるステータコアの製造方法であって、前記ステータコアは、前記コイルが巻装される複数のティースと、前記複数のティースのうち、隣接する前記ティースを連結するティース連結部と、内周部に前記複数のティースと嵌合する複数の嵌合部が設けられた第1環状部と、を備え、(a)前記複数のティースと前記ティース連結部とが一体に形成されてなる第2環状部を板材から打ち抜く工程と、(b)前記第2環状部を打ち抜く前の前記板材に対して、前記ティース連結部に相当する箇所に非磁性化処理を施す工程と、(c)前記複数のティースと前記複数の嵌合部とを嵌合させて、前記第1環状部と前記第2環状部とを一体化させる工程と、を有し、前記(b)工程では、前記非磁性化処理により形成される非磁性体部によって前記板材に所定のパターンが形成されるように、前記非磁性化処理を施し、前記所定のパターンは、複数の線状の前記非磁性体部が繰り返して形成されてなるパターンを有し、前記(a)工程では、前記複数の線状の前記非磁性体部が交差している交差部を目印として、前記板材から前記第2環状部を打ち抜く。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ステータコアの品質の安定化を図りつつ、ステータコアの加工時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】車両のルーフに搭載されたサンルーフ装置を示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態のモータ装置の斜視図である。
図3図2に示すモータ装置に組み込まれたブラシレスモータのシャフトに形成されたウォームとウォームホイールとの噛み合い状態を示す斜視図である。
図4図3のA-A線に沿う断面図である。
図5図4に示すステータコアの外鉄心の形状を示す平面図である。
図6図4に示すステータコアの内鉄心の形状を示す平面図である。
図7図6に示す内鉄心を打ち抜くための板材を示す平面図である。
図8図7のA部を示す拡大部分平面図である。
図9図6に示す内鉄心を打ち抜く際の目印を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
まず、本実施の形態のブラシレスモータが搭載されるモータ装置について説明する。図1に示すように、サンルーフ装置10は、ルーフパネル11を備えている。ルーフパネル11は、車両12のルーフ13に形成された開口部14を開閉する。ルーフパネル11の車幅方向(図中上下方向)に沿う両側には、一対のシュー15a,15bがそれぞれ固定されている。また、ルーフ13の開口部14の車幅方向に沿う両側には、車両12の前後方向(図中左右方向)に延びるガイドレール16がそれぞれ固定されている。そして、一対のシュー15a,15bが、対応する一対のガイドレール16にそれぞれ案内されることで、ルーフパネル11が、車両12の前後方向に移動自在つまり開閉自在となっている。
【0014】
車両12の後方側(図中右側)に配置されたシュー15bのそれぞれには、ギヤ付きの駆動ケーブル17a,17bの一端が連結されている。これらの駆動ケーブル17a,17bの他端は、開口部14よりも車両12の前方側(図中左側)に取り回されている。
【0015】
車両12の前方側で、開口部14とフロントガラス18との間に配置されたルーフ13の内部には、モータ装置20が搭載されている。そして、一対の駆動ケーブル17a,17bの他端が、モータ装置20に設けられた出力ギヤ42bに噛み合わされている。ここで、モータ装置20が駆動されると、出力ギヤ42bの回転に伴い、一対のシュー15a,15bが互いに逆向きに移動される。これにより、ルーフパネル11は、一対のシュー15bを介して一対の駆動ケーブル17a,17bによって押し引きされ、これにより、自動的に開閉される。
【0016】
次に、本実施の形態のモータ装置20について説明する。なお、以下の説明において、単に軸方向という場合は、モータのシャフトの回転軸線方向をいい、単に周方向という場合は、上記シャフトの周方向をいい、単に径方向という場合は、上記シャフトの径方向をいうものとする。
【0017】
図2に示すように、モータ装置20は、ブラシレスモータ21とギヤ部40とを有している。ブラシレスモータ21は、図4に示す環状のステータコア25と、ステータコア25に巻装されたコイル(巻線)28と、を備えたステータ29を有している。そして、ステータコア25は、径方向内側に向かって延びる複数のティース30を有している。また、ブラシレスモータ21は、ティース30の内側に回転自在に配置されたロータ24を有している。そして、ロータ24は、ロータコア22と、ロータコア22の外周に設けられたリング状のマグネット23と、を有している。さらに、ブラシレスモータ21は、ステータコア25の径方向の内側に設けられ、かつ、図3に示す回転軸線31の回りに回転するシャフト27を有している。なお、ロータコア22は、シャフト27に固定されるとともに、回転軸線31を径方向中心としている。シャフト27は、図3に示すように、ボールベアリング44によって回転自在に支持されている。
【0018】
また、図4に示すように、ステータコア25は、ステータコア25の内周面からステータコア25の径方向内側に向かって突出する複数のティース30を備えており、複数のティース30のそれぞれに絶縁膜33を介してコイル28が巻回されている。
【0019】
次に、図2に示すように、ギヤ部40には、ギヤケース41が設けられている。ギヤケース41の開口部分は、図示しないギヤカバーによって閉塞されている。このギヤカバーは、プラスチック等の樹脂材料により略平板状に形成され、ギヤケース41に対して所謂スナップフィットの係合構造により容易に装着可能となっている。
【0020】
また、ギヤケース41には、ウォームホイール収容部41aが設けられている。ウォームホイール収容部41aは、ギヤケース41の厚み方向であって、かつ上記ギヤカバー側とは反対側に窪んで設けられている。そして、ウォームホイール収容部41aには、減速機構を形成するウォームホイール42が回転自在に収容されている。
【0021】
ウォームホイール42は、プラスチック等の樹脂材料により略円板形状に形成され、その径方向外側には、図3に示すように、シャフト27と連なって形成されたウォームシャフト43に設けられたウォーム43aが噛み合わされる歯部42aが形成されている。また、ウォームホイール42の回転中心には、出力ギヤ42bの軸方向基端側が固定されている。ここで、出力ギヤ42bは、鋼製であって、その軸方向中間部が図2に示すギヤケース41のボス部に回転自在に支持されている。そして、出力ギヤ42bの軸方向先端側は、ギヤケース41の外部に延出されており、これにより出力ギヤ42bの先端側には、一対の駆動ケーブル17a,17bの他端が噛み合わされる(図1参照)。
【0022】
ここで、モータ装置20の動作について説明する。
【0023】
モータ装置20では、外部から図2に示すターミナル32を介して図示しないコントローラ基板に供給された電力が、図4に示すブラシレスモータ21の各コイル28に選択的に供給される。すると、ステータ29(ティース30)に所定の鎖交磁束が形成され、この鎖交磁束と、ロータコア22に設けられたマグネット23により形成される有効磁束との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、ロータコア22が継続的に回転する。
【0024】
そして、ロータコア22が回転すると、図3に示すシャフト27と一体化されているウォームシャフト43が回転し、さらに、ウォームシャフト43に噛み合っているウォームホイール42が回転する。そして、ウォームホイール42に連結されている出力ギヤ42bが回転し、所望の電装品等を駆動させることができる。
【0025】
次に、本実施の形態のブラシレスモータ21に装着されたリング状のマグネット23について説明する。マグネット23は、図4に示すように、複数のティース30のそれぞれと対向するマグネット23の外周部における外周面23aにN極やS極などの磁極が形成されるように着磁されている。このように着磁されたマグネット23は、極配向のマグネット23とも呼ばれる。具体的には、リング状のマグネット23において、磁束23bを高める手段として、マグネット23の外周部の外周面23aに磁極が形成されるように着磁される極異方着磁が適用されている。その結果、複数のティース30のそれぞれと対向する外周面23aにN極やS極などの磁極が形成されている。そして、上記極異方着磁によって着磁されたブラシレスモータ21においては、リング状のマグネット23の内側への磁束漏れが発生することはないため、リング状のマグネット23の内側に磁性体を配置することは必須ではない。なお、マグネット23の着磁方法については、極異方着磁に限定されることなく、例えば、磁化配向がリング状のマグネット23の径方向のラジアル配向となるような着磁方法を適用してもよい。
【0026】
次に、本実施の形態におけるブラシレスモータ21のステータコア25の詳細構造について説明する。図4に示すように、ステータコア25は、コイル28が巻装された複数のティース30と、複数のティース30のうち、隣接するティース30を連結するティース連結部26と、内周部に複数のティース30のそれぞれと嵌合する複数の嵌合部35aが設けられた環状の外鉄心(第1環状部)35と、を備えている。なお、複数のティース30とティース連結部26とは、環状の内鉄心(第2環状部)36として一体に形成されている。そして、内鉄心36は、外鉄心35の内側に配置され、かつ、複数の嵌合部35aで外鉄心35と嵌合されている。すなわち、本実施の形態のステータコア25は、分割された2つの環状のコアである外鉄心35と内鉄心36とからなり、外鉄心35と内鉄心36とを嵌合してなるものである。
【0027】
図5に示すように、外鉄心35は、環状に形成されており、例えば、鉄系金属からなる。外鉄心35の内周部には、装着されるティース30の数に対応した数の凹状の嵌合部35aが所定の均等な間隔で形成されている。
【0028】
図6に示すように、内鉄心36も環状に形成されており、例えば、鉄系金属からなる。内鉄心36の外周部には、複数のティース30が所定の均等な間隔で設けられている。隣り合うティース30間にはティース連結部26が配置され、各ティース30とティース連結部26とは、一体に形成されている。さらに、各ティース30の外側の先端に、外鉄心35の嵌合部35aと嵌合可能な突起部30aが設けられている。
【0029】
また、本実施の形態のステータコア25では、その内鉄心36における複数のティース連結部26のそれぞれに、非磁性体部36aが設けられている。この非磁性体部36aは、各ティース連結部26の周方向の中央部付近に非磁性化処理が施されて形成されたものである。ティース連結部26の中央部付近に非磁性体部36aが形成されたことにより、このティース連結部26においてティース30間の磁束23b(図4参照)の漏れを防止することができる。なお、ティース連結部26における非磁性体部36aの形成位置は、ティース連結部26の周方向の中央部付近に限定されるものではない。
【0030】
本実施の形態では、上記非磁性化処理は、後述する図7に示す板材34からプレス加工等の打ち抜きによってステータコア25のコアシートが打ち抜かれる前に、板材34の状態で行われたものである。板材34は、例えば、鉄系金属からなる。上記非磁性化処理は、例えば、レーザー37を照射することである。あるいは、上記非磁性化処理は、板材34に所定の加工ひずみを形成するものであってもよい。レーザー37の照射または加工ひずみの形成の何れの場合であっても、非磁性体部36aが形成されたことで、ティース連結部26におけるティース30間の磁束23bの漏れを防止することができ、ブラシレスモータ21の磁気特性の劣化を防止することができる。
【0031】
次に、本実施の形態のステータコア25の製造方法について説明する。
【0032】
まず、図7および図8に示すように、鉄系金属からなる板材34に対して、図6に示す内鉄心36のティース連結部26に相当する箇所に非磁性化処理を施す。例えば、上記非磁性化処理として、内鉄心36を打ち抜く前の板材34に対してレーザー37を照射することにより、非磁性体部36aからなる所定のパターン36bを板材34に形成する。
【0033】
本実施の形態では、上記所定のパターン36bは、複数の非磁性体部36aのそれぞれが線状に形成され、これら複数の線状の非磁性体部36aが繰り返して形成されてなるパターン36bである。一例として、図8に示すような3本の線状の非磁性体部36aのパターン36bが、図7に示すように、板材34の縦方向と横方向とに複数個繰り返して形成されている。本実施の形態では、図8に示すような3本の線状の非磁性体部36aからなるパターン36bが1つの内鉄心36に対応しており、内鉄心36の複数のティース連結部26のそれぞれの中央部付近に対応するように、非磁性体部36aの線状のパターン36bが形成されている。
【0034】
なお、図9に示すように、1つの内鉄心36に対応した3本の線状の非磁性体部36aには、3本の線状の非磁性体部36aが交差する交差部36cが1つ形成されている。この交差部36cを環状の内鉄心36の中心に相当させる。
【0035】
板材34にレーザー37を照射して3本の線状の非磁性体部36aからなる所定のパターン36bを板材34の縦方向と横方向とに複数個繰り返して形成した後、図6に示すような内鉄心36の形状を有したプレス加工により内鉄心36を打ち抜く。この時、例えば、図9に示すように、3本の線状の非磁性体部36aが交差する交差部36cを目印として、板材34から内鉄心36を打ち抜く。すなわち、交差部36cを環状の内鉄心36の中心点として、3本の線状の非磁性体部36aからなるパターン36bと、内鉄心36の形状とを位置合わせした状態でプレス加工を実施して、図6に示すような形状の内鉄心36を打ち抜く。これにより、板材34から、各ティース連結部26のそれぞれの中央部付近に非磁性体部36aが形成された複数の内鉄心36のコアシートを取得することができる。
【0036】
そして、内鉄心36のコアシートを所定の枚数積層させることで、図6に示すような各ティース連結部26それぞれの中央部付近に非磁性体部36aが形成された所定の厚さの環状の内鉄心36を形成する。
【0037】
さらに、内鉄心36の各ティース30に対して、図4に示すようにコイル28を巻装する。この時、内鉄心36では、隣り合うティース30間の部分が外側に向かって開口しているため、コイル巻線機のノズルが各ティース30の周辺において上下左右に動き易く、コイル28の巻装時間の短縮化を図ることができる。
【0038】
一方、別の板材等から外鉄心35を打ち抜くことで、複数の外鉄心35のコアシートを取得する。そして、外鉄心35のコアシートを所定の枚数積層させることで、図5に示すような内周部に複数の嵌合部35aが形成された所定の厚さの外鉄心35を形成する。
【0039】
そして、各ティース30にコイル28が巻装された内鉄心36と、複数の嵌合部35aを備えた外鉄心35とを嵌合させて内鉄心36と外鉄心35とを一体化させる。すなわち、ステータコア25を形成する。この時、外鉄心35の内周部の嵌合部35aに、内鉄心36の各ティース30の先端の突起部30aを嵌合させてステータコア25を形成する。
【0040】
本実施の形態のステータコア25の製造方法においては、板材34からプレス加工等の打ち抜きによって内鉄心36のコアシートが打ち抜かれる前に、板材34の内鉄心36のティース連結部26に相当する箇所に非磁性化処理が行われるため、打ち抜かれた時点では既に内鉄心36のコアシートに非磁性体部36aが形成されている。したがって、コアシートを打ち抜いた後に非磁性化処理が行われる場合と比べて、複数のティース連結部26のそれぞれに個別に非磁性化処理を行う必要がなく、非磁性化処理のための加工時間が削減でき、内鉄心36の形成のために必要な加工時間を大幅に短縮することができる。
【0041】
また、板材34から打ち抜いた内鉄心36のコアシートやコアシートの積層体に追加工を施す必要がないため、内鉄心36のコアシートや積層体の寸法が変化してしまうという懸念も無くすことができる。すなわち、プレス加工で打ち抜いた内鉄心36の寸法精度をそのまま維持することができる。
【0042】
その結果、ステータコア25の品質の安定化を図りつつ、ステータコア25の加工時間の短縮化を図ることができる。
【0043】
また、非磁性体部36aが板材34に所定のパターン36bとして形成されるため、パターン36bの交差部36c等を打ち抜きの際の目印として使用することも可能である。さらに、非磁性体部36aが板材34に所定のパターン36bとして形成されることで、スキュー等にも対応させることができる。例えば、モータの特性をより引き出すために、ステータコア25における非磁性体部36aの位置をティース連結部26の中央部に対して変更したい場合もあるが、本実施の形態のステータコア25の製造方法では、板材34において、内鉄心36を打ち抜く際に、打ち抜く位置を僅かに変えるだけで、非磁性体部36aの位置をティース連結部26の中央部に対してずらすことができる。
【0044】
言い換えると、本実施の形態のステータコア25の製造方法では、非磁性体部36aの形成位置を様々な位置に設定することができ、モータの特性のバリエーションに対応させることが可能である。なお、打ち抜き後のステータコアに対して非磁性体部36aを形成する方法では、打ち抜き後に非磁性体部36aの位置を変えるのは非常に困難である。
【0045】
また、本実施の形態のステータコア25では、その内鉄心36において、複数のティース30とティース連結部26とは、一体に形成されている。これにより、内鉄心36の剛性を確保することができるとともに、内鉄心36の部品点数を削減することができる。
【0046】
また、レーザー37の照射により非磁性体部36aを形成することにより、容易に、かつ短時間で高精度に非磁性体部36aを形成することが可能である。
【0047】
なお、上記実施の形態では、レーザー37の照射により非磁性体部36aを形成する場合を説明したが、加工ひずみ等によって非磁性体部36aを形成してもよい。
【0048】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態において、モータ装置20に組み込まれるブラシレスモータ21のステータコア25の外鉄心35の形状は、円形であってもよい。
【0049】
また、上記実施の形態においては、ブラシレスモータ21の内部に組み込まれるマグネット23がリング状のマグネット23の場合を説明したが、マグネット23は、ロータコア22の外周部に装着される分割された複数のマグネット23であってもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、ブラシレスモータ21がモータ装置20に搭載される場合について説明したが、ブラシレスモータ21は、パワーウィンドウ駆動用のモータなどであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10:サンルーフ装置,11:ルーフパネル,12:車両,13:ルーフ,14:開口部,15a,15b:シュー,16:ガイドレール,17a,17b:駆動ケーブル,18:フロントガラス,20:モータ装置,21:ブラシレスモータ,22:ロータコア,23:マグネット,23a:外周面,23b:磁束,24:ロータ,25:ステータコア,26:ティース連結部,27:シャフト,28:コイル,29:ステータ,30:ティース,30a:突起部,31:回転軸線,32:ターミナル,33:絶縁膜,34:板材,35:外鉄心(第1環状部),35a:嵌合部,36:内鉄心(第2環状部),36a:非磁性体部,36b:パターン,36c:交差部(目印),37:レーザー,40:ギヤ部,41:ギヤケース,41a:ウォームホイール収容部,42:ウォームホイール,42a:歯部,42b:出力ギヤ,43:ウォームシャフト,43a:ウォーム,44:ボールベアリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9