(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02212 20210101AFI20240417BHJP
【FI】
H01S5/02212
(21)【出願番号】P 2020120783
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】P 2020033415
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519283819
【氏名又は名称】CIG Photonics Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0074658(US,A1)
【文献】特開2011-108939(JP,A)
【文献】特開2020-98837(JP,A)
【文献】特開2011-197360(JP,A)
【文献】特開2006-216839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0137699(US,A1)
【文献】特開2018-186130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0310397(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0203922(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面を有し、前記第1面及び前記第2面の間で貫通する複数の貫通孔を有する導電性ブロックと、
信号リードを含み、前記複数の貫通孔の内側に前記導電性ブロックとは絶縁されてそれぞれ固定されている複数のリードと、
複数の導体層が絶縁層を介して配置された構造の2層以上の中継基板と、
光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子と、
信号ワイヤを含む複数のワイヤと、
を有し、
前記中継基板は、前記導電性ブロックの前記第1面に対向して固定される第1端面と、前記第1端面とは反対の第2端面と、前記第1端面及び前記第2端面の間で前記中継基板の厚みを規定する表面及び裏面と、を有し、
前記表面は、前記第1端面から前記第2端面の方向に前記厚みが減少するように傾斜する傾斜面を、少なくとも、前記第2端面よりも前記第1端面に近い位置に有し、
前記複数の導体層は、前記傾斜面に一部が配置されるように前記表面に位置する信号パターンと、前記裏面から前記第1端面及び前記第2端面のそれぞれに至るように位置する第1グランドパターンと、を有し、
前記信号ワイヤは、前記信号リードにボンディングされる一端と、前記傾斜面で前記信号パターンにボンディングされる他端と、を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載された光モジュールであって、
前記複数の導体層は、中継基板の内層に位置して前記第1グランドパターンに電気的に接続する第2グランドパターンを含むことを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光モジュールであって、
前記複数のワイヤは、グランドワイヤを含み、
前記グランドワイヤは、前記第2端面で前記第1グランドパターンにボンディングされる一端を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載された光モジュールであって、
前記導電性ブロックは、前記第1面に隆起する台座部を有し、
前記グランドワイヤの他端は、前記台座部にボンディングされていることを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記第1面と前記第1端面の間に介在して、前記第1グランドパターンを前記導電性ブロックに電気的に接続し、前記中継基板を前記導電性ブロックに固定する導電性接着剤をさらに有することを特徴とする光モジュール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記中継基板は、前記第1端面のみで前記導電性ブロックに支持されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記中継基板の少なくとも一部は、前記複数の貫通孔のいずれにも重ならないことを特徴とする光モジュール。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記信号ワイヤは、前記信号リードの先端面にボンディングされていることを特徴とする光モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載された光モジュールであって、
前記信号リードは、前記複数の貫通孔の対応する1つの内側に位置する保持部を有し、
前記先端面は、前記保持部の径よりも大きいことを特徴とする光モジュール。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記複数のワイヤは、前記表面で前記信号パターンにボンディングされるワイヤをさらに含むことを特徴とする光モジュール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記信号パターンは、信号線と、前記傾斜面に位置して前記信号線の配線幅よりも大きいパッド部と、を含むことを特徴とする光モジュール。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記第1グランドパターンは、前記裏面から前記第2端面に至るように位置することを特徴とする光モジュール。
【請求項13】
請求項12に記載された光モジュールであって、
前記第1グランドパターンは、前記第2端面を超えて前記表面に至るように延びていることを特徴とする光モジュール。
【請求項14】
請求項13に記載された光モジュールであって、
前記複数のワイヤは、前記表面で前記第1グランドパターンにボンディングされるワイヤをさらに含むことを特徴とする光モジュール。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
第1中継基板及び第2中継基板のそれぞれが前記中継基板であり、
前記第1中継基板の前記信号パターン及び前記第2中継基板の前記信号パターンによって、差動伝送線路が構成されることを特徴とする光モジュール。
【請求項16】
第1面及び第2面を有し、前記第1面及び前記第2面の間で貫通する複数の貫通孔を有する導電性ブロックと、
信号リードを含み、前記複数の貫通孔の内側に前記導電性ブロックとは絶縁されてそれぞれ固定されている複数のリードと、
複数の導体層が絶縁層を介して配置された構造の2層以上の中継基板と、
光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子と、
信号ワイヤを含む複数のワイヤと、
を有し、
前記中継基板は、前記導電性ブロックの前記第1面に対向して固定される第1端面と、前記第1端面とは反対の第2端面と、前記第1端面及び前記第2端面の間で前記中継基板の厚みを規定する表面及び裏面と、を有し、
前記表面は、前記第1端面から前記第2端面の方向に前記厚みが減少するように傾斜する傾斜面を有し、
前記複数の導体層は、前記傾斜面に位置する信号パターンと、前記裏面に位置する第1グランドパターンと、前記第1端面に露出する第1露出面を有するように前記中継基板に埋め込まれて前記第1グランドパターンに接続する第1導電体と、を有し、
前記信号ワイヤは、前記信号リードにボンディングされる一端と、前記傾斜面で前記信号パターンにボンディングされる他端と、を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項17】
請求項16に記載された光モジュールであって、
前記複数の導体層は、前記第2端面に露出する第2露出面を有するように前記中継基板に埋め込まれて前記第1グランドパターンに接続する第2導電体をさらに有することを特徴とする光モジュール。
【請求項18】
請求項17に記載された光モジュールであって、
前記第2導電体の前記第2露出面に面接触して少なくとも表面が導電材料からなる導電ピースをさらに有し、
前記複数のワイヤは、前記導電ピースの前記表面に一端がボンディングされたグランドワイヤを含むことを特徴とする光モジュール。
【請求項19】
請求項18に記載された光モジュールであって、
前記導電ピースは、全体的に前記導電材料からなることを特徴とする光モジュール。
【請求項20】
請求項18に記載された光モジュールであって、
前記導電ピースは、絶縁材料からなる本体と、前記本体に形成された金属膜と、を含み、
前記金属膜の一部は、前記第2露出面との接続部であり、
前記金属膜の他の一部は、前記第2端面に対向せず、前記グランドワイヤのボンディング部であることを特徴とする光モジュール。
【請求項21】
請求項18から20のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記光電素子が搭載される搭載基板と、
前記搭載基板を支持し、導電材料からなり、前記グランドワイヤの他端がボンディングされた支持ブロックと、
をさらに有することを特徴とする光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
TO-CAN(Transistor Outline Can)型パッケージは、アイレットの貫通孔にガラス等の誘電体を介して保持されたリードを用いて、電気信号を光半導体素子へ伝送するようになっている(特許文献1及び2)。リードは、ろう接によって、セラミック基板の配線パターンに接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-50357号公報
【文献】特開2011-123188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ろう接は、ワイヤを使用しないのでインダクタンスの低減を可能にするが、高価なペレット(例えばAuSnはんだ)が必要になる。また、ろう接には、正確な位置でリードを配置することが必要であるが、その位置制御は困難である。
【0005】
本発明は、インダクタンスが大きくならないようにワイヤを使用する電気的接続を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る光モジュールは、第1面及び第2面を有し、前記第1面及び前記第2面の間で貫通する複数の貫通孔を有する導電性ブロックと、信号リードを含み、前記複数の貫通孔の内側に前記導電性ブロックとは絶縁されてそれぞれ固定されている複数のリードと、複数の導体層が絶縁層を介して配置された構造の2層以上の中継基板と、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子と、信号ワイヤを含む複数のワイヤと、を有し、前記中継基板は、前記導電性ブロックの前記第1面に対向して固定される第1端面と、前記第1端面とは反対の第2端面と、前記第1端面及び前記第2端面の間で前記中継基板の厚みを規定する表面及び裏面と、を有し、前記表面は、前記第1端面から前記第2端面の方向に前記厚みが減少するように傾斜する傾斜面を、少なくとも、前記第2端面よりも前記第1端面に近い位置に有し、前記複数の導体層は、前記傾斜面に一部が配置されるように前記表面に位置する信号パターンと、前記裏面から前記第1端面及び前記第2端面のそれぞれに至るように位置する第1グランドパターンと、を有し、前記信号ワイヤは、前記信号リードにボンディングされる一端と、前記傾斜面で前記信号パターンにボンディングされる他端と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、信号ワイヤを使用するのでコストを削減することができる。また、傾斜面に信号ワイヤをボンディングするので、ボンディングプロセスが容易であり、短い信号ワイヤの使用が可能になり、インダクタンスを小さくすることができる。
【0008】
(2)(1)に記載された光モジュールであって、前記複数の導体層は、中継基板の内層に位置して前記第1グランドパターンに電気的に接続する第2グランドパターンを含むことを特徴としてもよい。
【0009】
(3)(1)又は(2)に記載された光モジュールであって、前記複数のワイヤは、グランドワイヤを含み、前記グランドワイヤは、前記第2端面で前記第1グランドパターンにボンディングされる一端を有することを特徴としてもよい。
【0010】
(4)(3)に記載された光モジュールであって、前記導電性ブロックは、前記第1面に隆起する台座部を有し、前記グランドワイヤの他端は、前記台座部にボンディングされていることを特徴としてもよい。
【0011】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記第1面と前記第1端面の間に介在して、前記第1グランドパターンを前記導電性ブロックに電気的に接続し、前記中継基板を前記導電性ブロックに固定する導電性接着剤をさらに有することを特徴としてもよい。
【0012】
(6)(1)から(5)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記中継基板は、前記第1端面のみで前記導電性ブロックに支持されていることを特徴としてもよい。
【0013】
(7)(1)から(6)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記中継基板の少なくとも一部は、前記複数の貫通孔のいずれにも重ならないことを特徴としてもよい。
【0014】
(8)(1)から(7)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記信号ワイヤは、前記信号リードの先端面にボンディングされていることを特徴としてもよい。
【0015】
(9)(8)に記載された光モジュールであって、前記信号リードは、前記複数の貫通孔の対応する1つの内側に位置する保持部を有し、前記先端面は、前記保持部の径よりも大きいことを特徴としてもよい。
【0016】
(10)(1)から(9)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記複数のワイヤは、前記表面で前記信号パターンにボンディングされるワイヤをさらに含むことを特徴としてもよい。
【0017】
(11)(1)から(10)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記信号パターンは、信号線と、前記傾斜面に位置して前記信号線の配線幅よりも大きいパッド部と、を含むことを特徴としてもよい。
【0018】
(12)(1)から(11)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記第1グランドパターンは、前記裏面から前記第2端面に至るように位置することを特徴としてもよい。
【0019】
(13)(12)に記載された光モジュールであって、前記第1グランドパターンは、前記第2端面を超えて前記表面に至るように延びていることを特徴としてもよい。
【0020】
(14)(13)に記載された光モジュールであって、前記複数のワイヤは、前記表面で前記第1グランドパターンにボンディングされるワイヤをさらに含むことを特徴としてもよい。
【0021】
(15)(1)から(10)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、第1中継基板及び第2中継基板のそれぞれが前記中継基板であり、前記第1中継基板の前記信号パターン及び前記第2中継基板の前記信号パターンによって、差動伝送線路が構成されることを特徴としてもよい。
【0022】
(16)本発明に係る光モジュールは、第1面及び第2面を有し、前記第1面及び前記第2面の間で貫通する複数の貫通孔を有する導電性ブロックと、信号リードを含み、前記複数の貫通孔の内側に前記導電性ブロックとは絶縁されてそれぞれ固定されている複数のリードと、複数の導体層が絶縁層を介して配置された構造の2層以上の中継基板と、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子と、信号ワイヤを含む複数のワイヤと、を有し、前記中継基板は、前記導電性ブロックの前記第1面に対向して固定される第1端面と、前記第1端面とは反対の第2端面と、前記第1端面及び前記第2端面の間で前記中継基板の厚みを規定する表面及び裏面と、を有し、前記表面は、前記第1端面から前記第2端面の方向に前記厚みが減少するように傾斜する傾斜面を有し、前記複数の導体層は、前記傾斜面に位置する信号パターンと、前記裏面に位置する第1グランドパターンと、前記第1端面に露出する第1露出面を有するように前記中継基板に埋め込まれて前記第1グランドパターンに接続する第1導電体と、を有し、前記信号ワイヤは、前記信号リードにボンディングされる一端と、前記傾斜面で前記信号パターンにボンディングされる他端と、を有することを特徴とする。
【0023】
(17)(16)に記載された光モジュールであって、前記複数の導体層は、前記第2端面に露出する第2露出面を有するように前記中継基板に埋め込まれて前記第1グランドパターンに接続する第2導電体をさらに有することを特徴としてもよい。
【0024】
(18)(17)に記載された光モジュールであって、前記第2導電体の前記第2露出面に面接触して少なくとも表面が導電材料からなる導電ピースをさらに有し、前記複数のワイヤは、前記導電ピースの前記表面に一端がボンディングされたグランドワイヤを含むことを特徴としてもよい。
【0025】
(19)(18)に記載された光モジュールであって、前記導電ピースは、全体的に前記導電材料からなることを特徴としてもよい。
【0026】
(20)(18)に記載された光モジュールであって、前記導電ピースは、絶縁材料からなる本体と、前記本体に形成された金属膜と、を含み、前記金属膜の一部は、前記第2露出面との接続部であり、前記金属膜の他の一部は、前記第2端面に対向せず、前記グランドワイヤのボンディング部であることを特徴としてもよい。
【0027】
(21)(18)から(20)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記光電素子が搭載される搭載基板と、前記搭載基板を支持し、導電材料からなり、前記グランドワイヤの他端がボンディングされた支持ブロックと、をさらに有することを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
【
図2】導電性ブロック及びこれに搭載される電子部品を示す斜視図である。
【
図5】ワイヤボンディングを説明するための図である。
【
図6】第2の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。
【
図7】第3の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。
【
図8】第4の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。
【
図9】第5の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。
【
図10】第5の実施形態に係る光モジュールの一部を示す断面図である。
【
図11】第5の実施形態に係る光モジュールの中継基板を示す斜視図である。
【
図12】第6の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。
【
図13】第6の実施形態に係る光モジュールの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。全図において同一の符号を付した部材は同一又は同等の機能を有するものであり、その繰り返しの説明を省略する。なお、図形の大きさは倍率に必ずしも一致するものではない。
【0030】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。光モジュール100は、TO-CAN(Transistor Outline-Can)型光モジュールであり、発光素子を備える光送信サブアセンブリ(TOSA: Transmitter Optical Sub-Assembly)、受光素子を備える光受信サブアセンブリ(ROSA: Receiver Optical Sub-Assembly)、発光素子及び受光素子の両方を備える双方向モジュール(BOSA;Bidirectional Optical Sub-Assembly)のいずれであってもよい。光モジュール100は、フレキシブル基板(FPC)102を有し、プリント基板(PCB)104に接続されるようになっている。光モジュール100は、導電性ブロック10(例えばアイレット)を有する。
【0031】
図2は、導電性ブロック10及びこれに搭載される電子部品を示す斜視図である。導電性ブロック10は、金属などの導電材料からなり、第1面12及び第2面14を有する。
導電性ブロック10は、第1面12及び第2面14の間でそれぞれ貫通する複数の貫通孔16を有する。導電性ブロック10は、第1面12に一体的な台座部18を有する。台座部18は、第1面12に隆起している。台座部18も導電体からなる。導電性ブロック10は、基準電位(例えばグランド)に接続される。
【0032】
光モジュール100は、複数のリードLを有する。複数のリードLは、複数の貫通孔16の内側に、導電性ブロック10とは絶縁されてそれぞれ固定されている。例えば、貫通孔16にはガラスなどの絶縁材料20が充填されている。複数のリードLは、第1面12から突出している。複数のリードLは、第2面14からも突出して、フレキシブル基板102(
図1)に接続されている。
【0033】
複数のリードLは、信号リード22を含む。信号リード22は、複数の貫通孔16の対応する1つの内側に位置する保持部24を有する。信号リード22は、基準電位の導電性ブロック10の貫通孔16の内側にあって、同軸線路を構成する。信号リード22の先端面は、保持部24の径よりも大きい。
【0034】
光モジュール100は、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子26を有する。光電素子26は、シングルエンド駆動されるようになっている。光電素子26は、搭載基板28に搭載されている。搭載基板28は、台座部18に搭載されている。台座部18には、バイパスコンデンサ30が搭載されている。バイパスコンデンサ30の裏面(電極)が台座部18に導通し、基準電位(例えばグランド)に接続される。
【0035】
搭載基板28は、光電素子26が搭載される搭載面を有する。搭載面に平行な方向に光軸OXを向けるように、光電素子26は配置されている。搭載基板28は、搭載面に配線パターン32を有する。
【0036】
図3は、配線パターン32の平面図である。配線パターン32は、光電素子26に電気的に接続されている。詳しくは、配線パターン32は、光電素子26の裏面(電極)が接合されるグランド電極34を有する。グランド電極34は、側面電極36と一体化して、搭載面とは反対側で、台座部18に電気的に接続されている。配線パターン32は、光電素子26に高周波信号を入力するための信号電極38を有する。
【0037】
図2に示すように、光モジュール100は、中継基板40を有する。中継基板40は、厚みを規定する表面42及び裏面44を有する。表面42(又は裏面44)の両端に、第1端面46及び第2端面48が接続する。第2端面48は、第1端面46とは反対の面である。表面42は、傾斜面50を、少なくとも、第2端面48よりも第1端面46に近い位置に有する。傾斜面50は、第1端面46から第2端面48の方向に厚みが減少するように傾斜する。第1端面46は、導電性ブロック10の第1面12に対向して固定される。固定のためには、ある程度、第1端面46が大きいことが好ましく、中継基板40を薄くするには限界がある。
【0038】
図4は、中継基板40の詳細図である。導電性接着剤52が第1面12と第1端面46の間に介在する。導電性接着剤52によって、中継基板40は導電性ブロック10に固定される。中継基板40は、第1端面46のみで導電性ブロック10に支持されていてもよい。中継基板40(第1端面46)の少なくとも一部は、
図2に示すように、複数の貫通孔16(絶縁材料20)のいずれにも重ならないので、導電性接着剤52の接着力が確保される。中継基板40は、複数の導体層54(例えば金属)が絶縁層56(例えばセラミック)を介して配置された構造になっている。
【0039】
(信号パターン)
複数の導体層54は、信号パターン58を有する。信号パターン58は、表面42に位置している。信号パターン58の一部は、傾斜面50に配置されている。信号パターン58は、信号線60を含む。信号パターン58は、信号線60の配線幅よりも大きいパッド部62を含む。パッド部62は、傾斜面50に位置している。
【0040】
(第1グランドパターン)
複数の導体層54は、第1グランドパターン64を有する。第1グランドパターン64は、裏面44から第1端面46及び第2端面48のそれぞれに至るように位置する。導電性接着剤52によって、第1端面46で、第1グランドパターン64が導電性ブロック10に電気的に接続される。第1グランドパターン64は、第2端面48を超えて表面42に至るように延びている。
【0041】
(第2グランドパターン)
複数の導体層54は、第2グランドパターン66を有する。第2グランドパターン66は、中継基板40の内層に位置して第1グランドパターン64に電気的に接続する。複数の導体層54は、第1ビア68を含む。第1ビア68は、絶縁層56を貫通して、第1グランドパターン64及び第2グランドパターン66を接続する。
【0042】
第2グランドパターン66は、第1グランドパターン64よりも、信号パターン58に近い。そのため、キャパシタンスを大きくする(低下を防止する)ことができる。なお、傾斜面50では、信号パターン58は第2グランドパターン66から離れるが、信号線60よりもパッド部62が大きいので、これもキャパシタンスの低下を防止している。絶縁層56(誘電体)の一方面に第2グランドパターン66があり、誘電体の他方面に信号パターン58があり、これによりマイクロストリップ線路が構成される。
【0043】
(第3グランドパターン)
複数の導体層54は、第3グランドパターン70を含む。第3グランドパターン70は、表面42に位置して第2グランドパターン66に電気的に接続する。複数の導体層54は、第2ビア72を含む。第2ビア72は、絶縁層56を貫通して、第2グランドパターン66及び第3グランドパターン70を接続する。
【0044】
(ワイヤ)
図2に示すように、光モジュール100は、複数のワイヤを有する。本実施形態によれば、高価なペレットを使用せずに、ワイヤを使用するのでコストを削減することができる。
【0045】
信号ワイヤ74の一端は、信号リード22にボンディングされる。信号ワイヤ74は、信号リード22の先端面にボンディングされている。信号リード22の先端面は、ボンディング領域を確保するために、保持部24の径よりも大きくなっている。信号ワイヤ74の他端は、傾斜面50で信号パターン58にボンディングされる。信号ワイヤ74によって、信号リード22と信号パターン58が電気的に接続される。なお、信号ワイヤ74を使用することでインダクタンスが大きくなっても、傾斜面50でのキャパシタンスを大きくすることで、インピーダンスをバランスさせることができる。
【0046】
中継基板40の表面42で信号パターン58には、ワイヤW1の一端がボンディングされている。ワイヤW1の他端は、信号電極38(
図3参照)にボンディングされている。信号電極38と光電素子26は、ワイヤW7を介して接続されている。
【0047】
グランドワイヤ76の一端は、第2端面48で第1グランドパターン64にボンディングされる。グランドワイヤ76の他端は、台座部18にボンディングされている。中継基板40の表面42で、第1グランドパターン64にはワイヤW2の一端がボンディングされている。ワイヤW2の他端は、搭載基板28のグランド電極34(
図3参照)にボンディングされている。中継基板40の裏面44で、第1グランドパターン64にはワイヤW3の一端がボンディングされている。ワイヤW3の他端は、台座部18にボンディングされている。
【0048】
中継基板40の表面42で、第3グランドパターン70(
図4参照)にはワイヤW4の一端がボンディングされている。ワイヤW4の他端は、台座部18にボンディングされている。バイパスコンデンサ30の上側の電極は、ワイヤW5を介して、リードLに接続されて、電圧が印加されるようになっている。電圧は、他のワイヤW6を介して、光電素子26にも接続されて電源電圧が供給される。光電素子26は、ワイヤW7によって、信号電極38(
図3参照)にも接続されている。
【0049】
(製造方法)
図5は、ワイヤボンディングを説明するための図である。光モジュール100の製造方法はワイヤボンディングを含む。キャピラリ78を使用して、信号ワイヤ74の一端を、信号リード22の先端面にボンディングする。
【0050】
続いて、信号ワイヤ74の他端を、傾斜面50で信号パターン58にボンディングする。このボンディングは、傾斜面50がキャピラリ78に対して垂直になるように、導電性ブロック10を傾けて行う。傾斜面50へのボンディングは、他の部品との干渉を避けることができるため、部品ばらつきによらず、安定した生産が可能となる。
【0051】
本実施形態では、傾斜面50に信号ワイヤ74をボンディングするので、ボンディングプロセスが容易であり、短い信号ワイヤ74の使用が可能になり、インダクタンスを小さくすることができる。これにより、特性の改善を図ることが可能になる。
【0052】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。光モジュールは、熱電冷却器280を有する。熱電冷却器280は、上面及び下面を有する。上面及び下面は、セラミックなどの絶縁体からなる。下面が導電性ブロック210の第1面212に固定されている。固定には、熱伝導性の接着剤を使用してもよい。熱電冷却器280は、上面及び下面の間で熱を移動させるためのペルチェ素子(図示せず)を内部に有する。
例えば、上面が吸熱面になり、下面が放熱面になるが、その逆に切り替えられるようになっている。熱電冷却器280の電極は、ワイヤWによって、リードLに接続されている。
【0053】
熱電冷却器280の上面には金属層282が積層する。金属層282は、基準電位プレーン(例えばグランドプレーン)となる。金属層282と搭載基板28(
図3参照)の間に支持ブロック284が介在する。支持ブロック284は、導電材料である金属からなる。支持ブロック284は金属層282と導通し、搭載基板28の側面電極36を介してグランド電極34と導通する。
【0054】
グランドワイヤ76の一端は、第2端面48で第1グランドパターン64にボンディングされる。グランドワイヤ76の他端は、支持ブロック284にボンディングされている。中継基板40の表面42で、第3グランドパターン70にはワイヤWの一端がボンディングされている。ワイヤWの他端は、支持ブロック284にボンディングされている。
【0055】
支持ブロック284には、バイパスコンデンサ30が搭載されている。バイパスコンデンサ30の裏面(電極)が支持ブロック284に導通し、基準電位(例えばグランド)に接続される。バイパスコンデンサ30の他方の電極は、ワイヤWを介して、リードLに接続され、電圧が印加されるようになっている。電圧は、他のワイヤWを介して、光電素子26にも接続されて電源電圧が供給される。第1の実施形態で説明した内容は本実施形態に適用可能である。
【0056】
[第3の実施形態]
図7は、第3の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。第1中継基板340Aの信号パターン358及び第2中継基板340Bの信号パターン358によって、差動伝送線路が構成される。信号パターン358は、信号伝達方向を基準として、左右対称の形状であってもよい。第1中継基板340A及び第2中継基板340Bが同じ構造であれば、部品の共通化によるコスト削減が可能である。
【0057】
差動駆動が可能な光電素子326として、直接変調型レーザー(Directly Modulated Laser;DML)が想定される。DMLは、一般に高い電流で駆動する必要があるため、特性インピーダンスを低く設定し、低消費電化を図る場合が多い。汎用的に高周波線路の特性インピーダンスは25Ωに設定される。特性インピーダンスを25Ωに整合させるため、信号パターン358の線幅は、比較的大きい(0.5~0.7mm程度)。なお、第1の実施形態では、50Ω整合の単相方式が想定される。
【0058】
第1中継基板340A及び第2中継基板340Bのそれぞれは、全体的に、複数の貫通孔316のいずれにも重ならない。貫通孔316の内側にある絶縁材料320は導電性接着剤352との接着力が弱いが、その絶縁材料320に導電性接着剤352が付着しないので、第1中継基板340A及び第2中継基板340Bのそれぞれと導電性ブロック310の接着力が強い。
【0059】
搭載基板328の配線パターン332は、一対の差動信号配線386を含む。光電素子326の裏面電極(図示せず)が、一対の差動信号配線386の一方に電気的に接続される。一対の差動信号配線386の他方と光電素子326はワイヤWによって接続されている。
【0060】
一対の信号パターン358のそれぞれは、ワイヤWによって、一対の差動信号配線386の対応する1つに接続されている。また、一対の信号パターン358のそれぞれは、ワイヤWによって、対応する信号リード322に接続されている。こうして、一対の信号リード322が光電素子326に電気的に接続される。第1の実施形態で説明した内容は本実施形態に適用可能である。
【0061】
[第4の実施形態]
図8は、第4の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。本実施形態では、中継基板440の表面442において、傾斜面450の全体に信号パターン458がある。表面442の全体が傾斜面450であってもよい。これによれば、中継基板440の厚みを薄くすることができるので、インピーダンスを、内層のグランドパターンを有さずとも所望の値に近づけることができ、コスト耐力に優れる構成となっている。第3の実施形態で説明した内容は本実施形態に適用可能である。
【0062】
[第5の実施形態]
図9は、第5の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。
図10は、第5の実施形態に係る光モジュールの一部を示す断面図である。本実施形態では、デジタルデータの伝送にシングルエンド方式が採用されている。光モジュールは、2層以上の中継基板540を有する。
【0063】
図11は、第5の実施形態に係る光モジュールの中継基板540を示す斜視図である。中継基板540は、複数の導体層が絶縁層を介して配置された構造を有する。本実施形態は、中継基板540において、第2の実施形態(
図6)と異なる。
【0064】
中継基板540は、第1導電体580(例えば埋め込みビア)を有する。第1導電体580は、中継基板540(絶縁層)に埋め込まれて第1グランドパターン564に接続されている。第1導電体580は、第1端面546に露出する第1露出面582を有する。中継基板540の第1端面546は、導電性ブロック510の第1面512に対向して固定されている。固定には、導電性接着剤を使用してもよい。第1導電体580は、導電性ブロック510に電気的に接続される。
【0065】
中継基板540は、第2導電体584(例えば埋め込みビア)を有する。第2導電体584は、中継基板540(絶縁層)に埋め込まれて第1グランドパターン564に接続している。第2導電体584は、第2端面548に露出する第2露出面586を有する。第2端面548は、第1端面546とは反対にある。
【0066】
光モジュールは、導電ピース588を有する。導電ピース588は、全体的に導電材料からなる。導電ピース588は、少なくとも表面が導電材料からなり、第2導電体584の第2露出面586に面接触して電気的に接続している。グランドワイヤ576の一端は、導電ピース588の表面にボンディングされている。グランドワイヤ576は、導電ピース588を介して、第1グランドパターン564に電気的に接続される。グランドワイヤ576の他端は、支持ブロック590に接続されている。その他の内容に関して、本実施形態には、第2の実施形態で説明したことを適用可能である。
【0067】
[第6の実施形態]
図12は、第6の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。
図13は、第6の実施形態に係る光モジュールの一部を示す断面図である。本実施形態では、第5の実施形態で説明した中継基板540(
図11)が使用されている。
【0068】
本実施形態は、導電ピース688において、第5の実施形態(
図9)と異なる。導電ピース688は、絶縁材料からなる本体692を含む。本体692は、複数の平面を有する多面体である。導電ピース688は、本体692に形成された金属膜694を含む。
【0069】
金属膜694の一部694aは、本体692の、第2端面548を向く面に形成されている。つまり、金属膜694の一部694aは、第2導電体584の第2露出面586との接続部である。導電ピース688は、第2導電体584を介して、第1グランドパターン564に電気的に接続される。
【0070】
金属膜694の他の一部694bは、本体692の、第2端面548を向く面とは反対の面に形成されている。金属膜694の他の一部694bは、中継基板540の第2端面548に対向しない。金属膜694は、本体692の三面以上にわたって形成され、連続一体的になっている。
【0071】
金属膜694の他の一部694bは、グランドワイヤ576のボンディング部である。グランドワイヤ576は、金属膜694を介して、第2導電体584に電気的に接続される。グランドワイヤ576によって、支持ブロック590にグラウンド電位を伝達して、グラウンド電位を安定させている。なお、
図12に示すように、熱電冷却器680の金属層682と導電性ブロック610は、ワイヤW8によって接続されており、これによるグランドの強化も図られている。
【0072】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0073】
10 導電性ブロック、12 第1面、14 第2面、16 貫通孔、18 台座部、20 絶縁材料、22 信号リード、24 保持部、26 光電素子、28 搭載基板、30 バイパスコンデンサ、32 配線パターン、34 グランド電極、36 側面電極、38 信号電極、40 中継基板、42 表面、44 裏面、46 第1端面、48 第2端面、50 傾斜面、52 導電性接着剤、54 導体層、56 絶縁層、58 信号パターン、60 信号線、62 パッド部、64 第1グランドパターン、66 第2グランドパターン、68 第1ビア、70 第3グランドパターン、72 第2ビア、74 信号ワイヤ、76 グランドワイヤ、78 キャピラリ、100 光モジュール、102 フレキシブル基板、210 導電性ブロック、212 第1面、280 熱電冷却器、282 金属層、284 支持ブロック、310 導電性ブロック、316 貫通孔、320 絶縁材料、322 信号リード、326 光電素子、328 搭載基板、332 配線パターン、340A 第1中継基板、340B 第2中継基板、352 導電性接着剤、358 信号パターン、386 差動信号配線、440 中継基板、442 表面、450 傾斜面、458 信号パターン、510 導電性ブロック、512 第1面、540 中継基板、546 第1端面、548 第2端面、564 第1グランドパターン、576 グランドワイヤ、580 第1導電体、582 第1露出面、584 第2導電体、586 第2露出面、588 導電ピース、590 支持ブロック、610 導電性ブロック、680 熱電冷却器、682 金属層、688 導電ピース、692 本体、694 金属膜、694a 一部、694b 他の一部、L リード、OX 光軸、W ワイヤ、W1 ワイヤ、W2 ワイヤ、W3 ワイヤ、W4 ワイヤ、W5 ワイヤ、W6 ワイヤ、W7 ワイヤ、W8 ワイヤ。