(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/46 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
B60P1/46 B
(21)【出願番号】P 2020149761
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文昭
(72)【発明者】
【氏名】更家 拓弥
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04702511(US,A)
【文献】実公昭62-022431(JP,Y2)
【文献】特許第4212218(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0245886(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/00
B62D 33/027,33/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の荷受台と、
前記荷受台を支持する荷受台支持部を有し、該荷受台支持部を昇降することによって前記荷受台を昇降させる昇降機構部と、
前記荷受台が略水平な張出位置と略鉛直な格納位置との間を水平又は略水平方向に延びる回動軸周りに回動できるように前記荷受台を前記荷受台支持部に直接又は間接に連結する連結部材と、
前記荷受台の回動方向における前記張出位置から前記格納位置に向かう向きに該荷受台を付勢可能なトーションバーと、を備え、
前記トーションバーは、前記回動軸に沿って延び且つ前記荷受台の回動に伴った捻じれ変形によって付勢力を生じさせる部位を有し、一端部を前記荷受台に固定されると共に他端部を前記連結部材に接続され、
前記連結部材は、
前記荷受台支持部を前記回動軸に沿って貫通する軸部と、
該軸部の一方の端部が接続され且つ前記回動軸方向の一方側から前記荷受台支持部に固定される固定部と、を有し、
前記荷受台支持部及び前記連結部材のうちの少なくとも一方は、前記連結部材を前記荷受台支持部に対して固定するための係合部を有し、
前記係合部は、前記荷受台支持部に対して前記固定部を前記回動軸周りの複数の位置のそれぞれに取り外し可能に固定でき
るボルトであり、
前記軸部の他方の端部は、前記回動軸方向における前記荷受台支持部より他方側において、前記トーションバーの前記他端部と接続されて
おり、
前記固定部は、前記回動軸方向に貫通し且つ前記ボルトを挿通可能な複数の固定部側孔であって、前記回動軸からの距離が異なる複数の固定部側孔を有し、
前記荷受台支持部は、前記回動軸方向に貫通し且つ前記ボルトを挿通又は螺合可能な複数の支持部側孔を有し、
前記固定部が前記回動軸周りの各位置のときに前記複数の支持部側孔のうちの少なくとも一つの支持部側孔が該固定部の対応する少なくとも一つの固定部側孔と前記回動軸方向から見て重なるように、該複数の支持部側孔がそれぞれ配置されている、荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記荷受台支持部と前記連結部材と前記トーションバーとの組が、二つ配置され、
各組の前記荷受台支持部と前記連結部材とは、前記回動軸方向における前記荷受台の一方の端部側と他方の端部側とのそれぞれに配置される、請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記二つの組のうちの一方の組の前記トーションバーにおける前記回動軸に沿って延びる部位の形状と、他方の組の前記トーションバーにおける前記回動軸に沿って延びる部位の形状とは、異なっている、請求項2に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記複数の固定部側孔および前記複数の支持部側孔の少なくとも一方の複数の孔は、前記回動軸と直交する方向のうちの一つの方向に沿って隣り合う孔同士が前記回動方向に互いにずれた位置となるように、それぞれ配置されている、請求項
1~3のいずれか1項に記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両に搭載される荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷役車両に搭載される荷受台昇降装置が知られている(特許文献1参照)。この荷受台昇降装置は、
図10及び
図11に示すように、板状の荷受台510と、荷受台510を支持する荷受台支持部521を有し、該荷受台支持部521を昇降させる昇降部520と、荷受台510が略水平な張出位置と略鉛直な格納位置との間を回動可能となるように荷受台510と荷受台支持部521とを連結するゲートピン531、532と、荷受台510を付勢可能なトーションバー540と、トーションバー540の付勢力を調整するための調整プレート550と、を備えている。
【0003】
ゲートピン531は、荷受台510の回動軸c方向に延び、且つ、該回動軸c方向に荷受台支持部521を貫通した状態で荷受台510と荷受台支持部521とを連結している。このゲートピン531は、回動軸c方向に貫通する中空部5310を有する筒状である。
【0004】
トーションバー540は、回動方向における張出位置から格納位置に向かう向きに荷受台510を付勢する。具体的に、トーションバー540は、回動軸c方向に延びる長尺な部材であり、一端部541が荷受台510と共に回動するように固定され、他端部542がゲートピン531の中空部5310に挿通されている。この他端部542は、昇降部520の外側(荷受台510の幅方向の外側)に配置された調整プレート550と嵌合している(
図11参照)。
【0005】
調整プレート550は、回動軸c周りの複数の位置のそれぞれにボルトBによって固定可能である。この調整プレート550は、回動軸c周りの固定位置を変える(回動軸c周りに回転させる)ことで、荷受台510が回動したときのトーションバー540の捻じれ量(即ち、トーションバー540による付勢力)が変化し、これにより、荷受台510を張出位置と格納位置との間で回動操作する作業員の負荷を変える(調整する)ことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の荷受台昇降装置500では、荷受台510に荷物等が載置された状態で荷受台支持部521が昇降する、即ち、荷受台510が昇降したときに、荷受台510と荷受台支持部521とを連結するゲートピン531、532に対し、荷受台510自体の荷重と該荷受台510に載置された荷物等の荷重とによってせん断力が加わる。このとき、ゲートピン531は、中空部5310を有する筒状であるため、前記せん断力によって変形し易い。このようなせん断力によってゲートピン531が変形すると、ゲートピン531に挿通されたトーションバー540にも荷重(前記せん断力に起因する荷重)が加わり、これにより、トーションバー540が損傷する場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、トーションバーが損傷し難い荷受台昇降装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の荷受台昇降装置は、
板状の荷受台と、
前記荷受台を支持する荷受台支持部を有し、該荷受台支持部を昇降することによって前記荷受台を昇降させる昇降機構部と、
前記荷受台が略水平な張出位置と略鉛直な格納位置との間を水平又は略水平方向に延びる回動軸周りに回動できるように前記荷受台を前記荷受台支持部に直接又は間接に連結する連結部材と、
前記荷受台の回動方向における前記張出位置から前記格納位置に向かう向きに該荷受台を付勢可能なトーションバーと、を備え、
前記トーションバーは、前記回動軸に沿って延び且つ前記荷受台の回動に伴った捻じれ変形によって付勢力を生じさせる部位を有し、一端部を前記荷受台に固定されると共に他端部を前記連結部材に接続され、
前記連結部材は、
前記荷受台支持部を前記回動軸に沿って貫通する軸部と、
該軸部の一方の端部が接続され且つ前記回動軸方向の一方側から前記荷受台支持部に固定される固定部と、を有し、
前記荷受台支持部及び前記連結部材のうちの少なくとも一方は、前記連結部材を前記荷受台支持部に固定するための係合部を有し、
前記係合部は、前記荷受台支持部に対して前記固定部を前記回動軸周りの複数の位置のそれぞれに取り外し可能に固定でき、
前記軸部の他方の端部は、前記回動軸方向における前記荷受台支持部より他方側において、前記トーションバーの前記他端部と接続されている。
【0010】
このように、連結部材の軸部が荷受台支持部を貫通した状態で、該軸部が荷受台支持部を貫通している位置と異なる位置(回動軸方向における荷受台支持部より他方側)でトーションバーと接続されているため、荷受台に荷物等が載置された状態で荷受台支持部が昇降する際のせん断力は、荷受台支持部を貫通する軸部に加わり(即ち、トーションバーには加わらず)、これにより、前記せん断力に起因するトーションバーの損傷が防がれる。
【0011】
前記荷受台昇降装置では、
前記荷受台支持部と前記連結部材と前記トーションバーとの組が、二つ配置され、
各組の前記荷受台支持部と前記連結部材とは、前記回動軸方向における前記荷受台の一方の端部側と他方の端部側とのそれぞれに配置されてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、回動軸方向における荷受台の一方の端部側と他方の端部側とで独立して固定部の回動軸周りの位置を変更できる、即ち、一方の組のトーションバーの捻じれ量と他方の組のトーションバーの捻じれ量とをそれぞれ独立して調整できるため、回動の際の荷受台に加わる付勢力の大きさの微調整が行い易くなる。
【0013】
この場合、
前記二つの組のうちの一方の組の前記トーションバーにおける前記回動軸に沿って延びる部位の形状と、他方の組の前記トーションバーにおける前記回動軸に沿って延びる部位の形状とは、異なっていてもよい。
【0014】
このように、一方の組と他方の組とで、例えば、回動軸に沿って延びる部位の断面形状、断面の大きさ、長さ等の異なるトーションバーを用いることによっても、回動の際の荷受台に加わる付勢力の大きさの微調整が行い易くなる。
【0015】
また、前記荷受台昇降装置では、
前記係合部は、ボルトであり、
前記固定部は、前記回動軸方向に貫通し且つ前記ボルトを挿通可能な複数の固定部側孔であって、前記回動軸からの距離が異なる複数の固定部側孔を有し、
前記荷受台支持部は、前記回動軸方向に貫通し且つ前記ボルトを挿通又は螺合可能な複数の支持部側孔を有し、
前記固定部が前記回動軸周りの各位置のときに前記複数の支持部側孔のうちの少なくとも一つの支持部側孔が該固定部の対応する少なくとも一つの固定部側孔と前記回動軸方向から見て重なるように、該複数の支持部側孔がそれぞれ配置されていてもよい。
【0016】
このように、回動軸からの距離が異なる複数の位置に孔(固定部側孔)が配置されることで回動方向に孔の位置を僅かにずらした配置が可能になり、これにより、複数の孔(固定部側孔又は支持部側孔)が回動軸を中心とする同一円周上に配置される場合に比べ、複数の孔を有する部材の強度を確保しつつ付勢力の微調整が可能となる。
【0017】
また、前記荷受台昇降装置では、
前記複数の固定部側孔および前記複数の支持部側孔の少なくとも一方の複数の孔は、前記回動軸と直交する方向のうちの一つの方向に沿って隣り合う孔同士が前記回動方向に互いにずれた位置となるように、それぞれ配置されていてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、付勢力の微調整が可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上より、本発明によれば、トーションバーが損傷し難い荷受台昇降装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明に係る荷受台昇降装置を備えた荷役車両の後部の側面側の一部断面図である。
【
図2】
図2は、前記荷役車両の後部の斜視図である。
【
図3】
図3は、前記荷受台昇降装置が備える荷受台の回動軸側の端部を後方から見たときのトーションバー及びその周辺の部材の配置を示す図である。
【
図4】
図4は、前記荷受台の回動軸側の端部を上方から見たときのトーションバー及びその周辺の部材の配置を示す図である。
【
図5】
図5は、前記昇降装置が備えるスライダを側面側から見た図である。
【
図6】
図6は、車幅方向の左側のスライダのブラケットと該ブラケットに固定された調整プレートとの連結部を車幅方向の左側から見た図である。
【
図7】
図7は、車幅方向の左側のスライダのブラケットと該ブラケットに固定された調整プレートとの構成を示すための断面図である。
【
図8】
図8は、車幅方向の右側のスライダのブラケットと該ブラケットに固定された調整プレートとの連結部を車幅方向の右側から見た図である。
【
図9】
図9は、車幅方向の右側のスライダのブラケットと該ブラケットに固定された調整プレートとの構成を示すための断面図である。
【
図10】
図10は、従来の荷受台昇降装置における荷受台の回動軸側の端部及びその周辺の構成の一部省略断面図である。
【
図11】
図11は、従来の荷受台昇降装置における調整プレート及びその周辺を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図9を参照しつつ説明する。
【0022】
本実施形態に係る荷受台昇降装置は、
図1~
図4に示すように、荷役車両の荷台10の後端部に配置される。この荷受台昇降装置1は、荷物が載置可能な板状の荷受台2と、荷受台2を昇降させる昇降機構部3と、荷受台2が略水平な開き姿勢(張出位置)P1と略鉛直な閉じ姿勢(格納位置)P2との間を水平又は略水平方向に延びる回動軸C周りに回動できるように荷受台2を昇降機構部3に直接又は間接に連結する連結部材4と、荷受台2の回動方向における開き姿勢P1から閉じ姿勢P2に向かう向きに該荷受台2を付勢可能なトーションバー5と、を備える。本実施形態の荷受台昇降装置1は、二つの連結部材4と、二つのトーションバー5A、5Bを備える。また、本実施形態の荷受台昇降装置1は、荷受台2を閉じ姿勢で固定するためのロック装置6も備える。
【0023】
荷受台2は、長方形状であり、前記長方形状の一つの長辺部を車幅方向に一致させた状態で該長辺部を回動中心にして回動する。即ち、本実施形態の荷受台2の回動軸Cの延びる方向は、車幅方向と一致している。この荷受台2は、表板21と、該表板21と間隔をあけて配置される平面状の裏板22と、を有する。また、荷受台2は、車幅方向における荷受台2の両端部のそれぞれから車幅方向に出入り(進退)するロックバー61を有する。
【0024】
表板21は、荷受台2が開き姿勢P1のときに、荷物を載置可能な平面状の載置面211と、載置面211の後端から延び且つ後方側ほど下方に位置する傾斜面212と、を備えている。
【0025】
ロックバー61は、荷受台2の裏板22に備えた操作部(図示せず)を操作することによって荷受台2の車幅方向の端部から進退する。このロックバー61は、ロック装置6の一部を構成する。ロック装置6の詳細については、後述する。
【0026】
また、荷受台2は、裏板22の内面の幅方向の中央部に固定されている補強板23と、該補強板23の幅方向の両端部に配置される二つの収容板部24と、を有する。各収容板部24は、トーションバー5の一端部52を荷受台2に固定する部位である。具体的に、収容板部24は、所定の収容空間を画定し、この収容空間にトーションバー5の一端部52を収容することによって該一端部52を荷受台2に対して固定する。
【0027】
昇降機構部3は、車幅方向に間隔をあけて配置される一対のアウタコラム31と、アウタコラム31内に進退可能に収容される一対のインナーコラム32と、アウタコラム31及びインナーコラム32に対して昇降する二つのスライダ33と、を有する。また、昇降機構部3は、一対のアウタコラム31同士を接続するように該一対のアウタコラム31間を車幅方向に延びるクロスメンバー34と、を有する。
【0028】
一対のアウタコラム31のそれぞれは、上下方向に延び且つ中空の角筒状である。各アウタコラム31の前壁部31Aは、荷台10の後端部に溶接され、後壁部31Bは、スライダ33を案内するための縦スリット31Sを有する。この縦スリット31Sは、後壁部31Bにおける車幅方向の中央部を上下方向(昇降方向)に延びている。また、各アウタコラム31は、該アウタコラム31の内部を前後に区分けする板部材311と、インナーコラム32の昇降を案内する案内ローラ312と、アウタコラム31内の上部に固定される上側固定シーブ313と、アウタコラム31内の下部に固定される下側固定シーブ314と、を有する。
【0029】
板部材311は、アウタコラム31の内部を区分けすることで、インナーコラム32が昇降する空間を画定する。本実施形態のアウタコラム31では、インナーコラム32が板部材311の後方側に画定された空間内を昇降する。
【0030】
案内ローラ312は、アウタコラム31の内部において回転自在に軸支された状態でインナーコラム32に当接し、該インナーコラム32の昇降に伴ってインナーコラム32の外面を転動することで、インナーコラム32を上下方向(昇降方向)に案内する。
【0031】
上側固定シーブ313と下側固定シーブ314とのそれぞれは、アウタコラム31の内部において回転自在に軸支され、後述するワイヤWを案内する。
【0032】
また、アウタコラム31は、荷受台2のロックバー61が係合可能な被係合部62を有する。本実施形態の被係合部62は、アウタコラム31の車幅方向の外側の面から後方に延びるフックである。この被係合部62は、ロック装置6の一部を構成する。ロック装置6の詳細については、後述する。
【0033】
一対のインナーコラム32のそれぞれは、上下方向に延び且つ中空の角筒状である。本実施形態のインナーコラム32は、アウタコラム31の板部材311の後方側に画定された空間(内部空間)と対応する形状の角筒状である。各インナーコラム32の後壁部32Bは、スライダ33を案内するための縦スリット32Sを有する。この縦スリット32Sは、車幅方向におけるアウタコラム31の縦スリット31Sと同じ位置において、上下方向(昇降方向)に延びている。
【0034】
また、各インナーコラム32は、昇降時に自身を案内する案内ローラ321と、該案内ローラ321を回転自在に軸支するブラケット322と、を有する。この案内ローラ321は、インナーコラム32の上端部において、ブラケット322を介して回転自在に軸支され、インナーコラム32の昇降時にアウタコラム31の後壁部31Bの内面を転動することによりインナーコラム32の昇降を案内する。
【0035】
二つのスライダ33のそれぞれは、アウタコラム31又はインナーコラム32内に位置しており、その一部をアウタコラム31に形成された縦スリット31S又はインナーコラム32に形成された縦スリット32Sから後方側に突出させた状態で、アウタコラム31又はインナーコラム32内を昇降する。
【0036】
具体的に、スライダ33は、
図5~
図9にも示すように、上下方向に延びる本体部331と、本体部331に回転自在に軸支される案内ローラ332と、本体部331から後方に突出するブラケット(荷受台支持部)333と、を有する。また、本実施形態のスライダ33は、本体部331の下端部に配置されるステー334と、該ステー334に取り付けられるストッパボルト335と、を有する。
【0037】
本体部331は、上下方向に延びる板状の部材であり、後方側の一部(被案内部位)を縦スリット31S、32Sを通じてアウタコラム31又はインナーコラム32から後方側に突出させている。この本体部331の被案内部位は、スライダ33が昇降する際に縦スリット31S、32Sに案内される部位である。この本体部331は、上端部と下端部とに案内ローラ332がそれぞれ配置されている。この上下一対の案内ローラ332は、スライダ33がアウタコラム31及びインナーコラム32に対して昇降するときに、アウタコラム31の内面又はインナーコラム32の内面を転動する。これにより、スライダ33は、スムーズに昇降する。
【0038】
ブラケット333は、本体部331の被案内部位の下部から後方側に延びている。このブラケット333は、車幅方向に平行な一対の板部(第一板部333A、第二板部333B)と、これら板部333A、333Bの前方側(アウタコラム31及びインナーコラム32側)の端部同士を連結する連結板部333Cと、を有する。
【0039】
第一板部333A及び第二板部333Bは、それぞれ下端部に車幅方向に貫通する貫通孔3330を有する。これら第一板部333A及び第二板部333Bの各貫通孔3330は、荷受台2の回動軸Cを中心とする円形であり(即ち、各板部333A、333Bの貫通孔3330は、車幅方向から見て重なっており)、該貫通孔3330には連結部材4の一部41が挿通される。
【0040】
また、一対の板部333A、333Bのうちの車幅方向の外側の板部(第一板部)333Aは、回動軸C方向に貫通し且つ連結部材4を固定するためのボルト(係合部)Bを挿通又は螺合可能な複数の孔(支持部側孔)3331であって、回動軸Cからの距離が異なる複数の孔3331を有する。本実施形態の孔3331は、ボルトBと螺合するボルト用孔であり、第一板部333Aは、三つのボルト用孔3331を有する。尚、以下では、貫通孔3330(回動軸C)に近いボルト用孔から順に、第一孔3331a、第二孔3331b、第三孔3331cと、称することもある。
【0041】
これら三つのボルト用孔3331は、回動軸Cと直交する方向のうちの一つの方向(貫通孔3330における所定の径方向)に沿って隣り合う孔3331同士が回動方向(回動軸Cを回動中心とする回動方向)に互いにずれた位置となるように、それぞれ配置されている。
【0042】
本実施形態の三つのボルト用孔(第一孔3331a、第二孔3331b、第三孔3331c)は、貫通孔3330と第一孔3331aとの中心同士を結ぶ線に対して第二孔3331bの中心が回動方向の一方側(荷受台2が閉じ姿勢P2から開き姿勢P1に向かう側)に位置し、貫通孔3330と第二孔3331bとの中心同士を結ぶ線に対して第三孔3331cの中心が回動方向の一方側に位置するように、それぞれ配置されている。
【0043】
また、本実施形態の荷受台昇降装置1において、後方側から見て左側のブラケット333では、上下方向に対する貫通孔3330と第一孔3331aとの中心同士を結ぶ線の角度は5°であり、上下方向に対する貫通孔3330と第二孔3331bとの中心同士を結ぶ線の角度は10°であり、上下方向に対する貫通孔3330と第三孔3331cとの中心同士を結ぶ線の角度は15°である(
図6参照)。一方、後方側から見て右側のブラケット333では、上下方向に対する貫通孔3330と第一孔3331aとの中心同士を結ぶ線の角度は10°であり、上下方向に対する貫通孔3330と第二孔3331bとの中心同士を結ぶ線の角度は15°であり、上下方向に対する貫通孔3330と第三孔3331cとの中心同士を結ぶ線の角度は20°である(
図8参照)。
【0044】
ストッパボルト335は、ステー334に対して上下方向に進退可能であり、荷受台2の閉じ姿勢P2から開き姿勢P1への回動時に荷受台2の回動軸C側の端部と当接することによって荷受台2の開き姿勢P1を調整、詳しくは、水平面に対する荷受台2の角度を調整する。
【0045】
クロスメンバー34は、車幅方向に延びる中空の角筒部341と、角筒部341の内部に配置される昇降用の駆動装置(図示せず)と、を有する。
【0046】
角筒部341は、荷台10の後端に沿って水平方向(車幅方向)に延び、角筒部341の両端は、アウタコラム31にそれぞれ溶接されている。
【0047】
駆動装置は、油圧シリンダ(図示せず)と、該油圧シリンダの伸縮によって車幅方向に移動可能に併設された回転自在な左右の可動シーブ(図示せず)と、を有する。左右の可動シーブにはワイヤWがそれぞれ巻き掛けられており、これらワイヤWは、左右に分かれてアウタコラム31内の下側固定シーブ314と上側固定シーブ313とに順に巻き掛けられ、その先端をスライダ33に連結されている。これにより、油圧シリンダが伸長作動することで、スライダ33が上昇し、荷受台2が上昇する。また、油圧シリンダを短縮作動することで、スライダ33が下降し、荷受台2が下降する。
【0048】
二つの連結部材4のそれぞれは、トーションバー5を介して荷受台2を回動可能にスライダ33のブラケット333に連結する。具体的に、各連結部材4は、スライダ33のブラケット333を車幅方向に貫通する軸部41と、該軸部41の一方の端部が接続され且つ回動軸C方向の一方側からブラケット333に固定される調整プレート(固定部)42と、を有する。また、本実施形態の連結部材4は、調整プレート42をブラケット333に固定するためのボルト(係合部)Bも有する。
【0049】
軸部41は、中心が回動軸Cと一致するように回動軸C方向に延びる略円柱状であり、ブラケット333の貫通孔3330に挿通されている。この軸部41は、ブラケット333の各板部333A、333Bの貫通孔3330にそれぞれ挿通された状態で各板部333A、333Bから両側に突出する長さを有する。本実施形態の軸部41は、中実の円柱状である。
【0050】
軸部41の車幅方向(荷受台2の幅方向)外側の端部(一方の端部)は、調整プレート42を貫通した状態で該調整プレート42に対して回動軸C周りに相対回転できないように固定されている。本実施形態の軸部41は、調整プレート42に溶接によって固定されている。また、軸部41の車幅方向内側の端部(他方の端部)は、車幅方向におけるスライダ33のブラケット(荷受台支持部)333より内側において、トーションバー5と接続されている。具体的に、軸部41の車幅方向内側の端部は、車幅方向に延びる嵌合孔411を有し、該嵌合孔411にトーションバー5が内嵌されることによって該トーションバー5と接続されている。本実施形態の嵌合孔411の横断面(車幅方向と直交する断面)は、多角形状である。
【0051】
調整プレート42は、スライダ33のブラケット333(詳しくは、第一板部333A)に対して回動軸C周りの複数の位置(固定位置)のそれぞれに取り外し可能に固定できる。この調整プレート42は、回動軸C周りの固定位置を変更することでトーションバー5の捻じれ量を変更し、これにより、回動の際に荷受台2に付勢される回動方向の付勢力の大きさを調整できる。本実施形態の調整プレート42は、ボルト(係合部)Bによってブラケット333に取り外し可能に固定され、ボルトBの挿通可能な複数の孔(固定部側孔)422を有する。
【0052】
具体的に、調整プレート42は、ブラケット333の第一板部333Aに沿って広がる板状の部材であり、軸部41の延びる方向(回動軸C方向)と直交する所定方向(長手方向)に延びている。本実施形態の調整プレート42は、長手方向に延びる中心線C1を対称軸とする線対称な形状の板状部材であり、上下方向と中心線C1とのなす角αが所定の角度となるような複数の固定位置(本実施形態の例では、αが5°、10°、15°の位置、又はαが10°、15°、20°の位置)に固定可能である。
【0053】
この調整プレート42は、車幅方向に貫通し且つ軸部41の車幅方向外側の端部を挿通させる軸部用孔421と、それぞれが車幅方向に貫通し且つボルトBを挿通可能な複数のボルト用孔422と、を有する。
【0054】
軸部用孔421は、中心が回動軸Cと一致するように調整プレート42の長手方向の一方の端部に配置されている。
【0055】
複数のボルト用孔422は、調整プレート42が回動軸C周りの各固定位置のときに、ブラケット333の複数の孔3331のうちの少なくとも一つの孔3331が調整プレート42において対応する少なくとも一つのボルト用孔422と車幅方向から見て重なるように、それぞれ配置されている。本実施形態の複数のボルト用孔422は、調整プレート42が回動軸C周りの各固定位置のときに、ブラケット333の複数の孔3331のうちの一つの孔3331が調整プレート42の一つのボルト用孔422と車幅方向から見て重なるように、それぞれ配置されている。
【0056】
具体的に、複数のボルト用孔422は、回動軸Cからの距離が異なる位置に配置されている。より具体的には、複数のボルト用孔422は、隣り合うボルト用孔422同士が間隔をあけた状態で中心線C1上に並んでいる。本実施形態の調整プレート42は、三つのボルト用孔422を有する。尚、以下では、軸部用孔421(回動軸C)に近いボルト用孔から順に、第四孔422a、第五孔422b、第六孔422cと、称することもある。
【0057】
本実施形態の荷受台昇降装置1では、後方側から見て左側の連結部材4の調整プレート42では、上下方向と中心線C1とのなす角αが5°となる固定位置のときに、第六孔422cがブラケット333の第三孔3331cと重なり、上下方向と中心線C1とのなす角αが10°となる固定位置のときに、第五孔422bがブラケット333の第二孔3331bと重なり、上下方向と中心線C1とのなす角αが15°となる固定位置のときに、第四孔422aがブラケット333の第一孔3331aと重なる。そして、重なったボルト用孔3331a~3331c、422a~422cにボルトBが挿入及び螺合されることで、調整プレート42がブラケット333における回動軸C周りの所定の固定位置に固定される(
図6参照)。
【0058】
また、後方側から見て右側の連結部材4の調整プレート42では、上下方向と中心線C1とのなす角αが10°となる固定位置のときに、第六孔422cがブラケット333の第三孔3331cと重なり、上下方向と中心線C1とのなす角αが15°となる固定位置のときに、第五孔422bがブラケット333の第二孔3331bと重なり、上下方向と中心線C1とのなす角αが20°となる固定位置のときに、第四孔422aがブラケット333の第一孔3331aと重なる。そして、重なったボルト用孔3331a~3331c、422a~422cにボルトBが挿入及び螺合されることで、調整プレート42がブラケット333における回動軸C周りの所定の固定位置に固定される(
図8参照)。
【0059】
二つのトーションバー5のそれぞれは、回動軸Cに沿って延び且つ荷受台2の回動に伴った捻じれ変形によって付勢力を生じさせる部位50を有し、一端部52を荷受台2に固定されると共に他端部51を連結部材4に接続されている(
図3参照)。これら二つのトーションバー5のそれぞれは、荷受台2の閉じ姿勢P2から開き姿勢P1への回動に伴って生じる(又は増加する)捻じれによって、荷受台2を閉じ姿勢P2方向に付勢する付勢力を生じさせる(又は増大させる)。本実施形態の二つのトーションバー5A、5Bにおいて、長さと太さ(断面の径)以外の構成は同じである。即ち、一方のトーションバー5Aと他方のトーションバー5Bとでは、長さと太さ(断面の径)が異なる。
【0060】
具体的に、各トーションバー5A、5Bは、回動軸C(車幅方向)に沿って延びる本体50と、連結部材4の軸部41に接続される第一端部(他端部)51と、荷受台2に固定される第二端部(一端部)52と、を有する。この本体50は、横断面(車幅方向と直交する断面)が円形の棒状であり、第一端部51は、軸部41の多角形状の嵌合孔411に内嵌する形状、即ち、横断面が嵌合孔411と同じ多角形状であり、第二端部52は、本体50に対して曲がっている。本実施形態の第二端部52は、板状の荷受台2に沿ってU字状に曲がっている。
【0061】
各トーションバー5A、5Bの第一端部51は、荷受台2から車幅方向外側にそれぞれ突出した状態で、軸部41の多角形状の嵌合孔411に内嵌されている。この内嵌によって、軸部41とトーションバー5の第一端部51との回動軸C周りの相対回転が防がれる。また、第一端部51が軸部41の嵌合孔411に内嵌された状態でセットスクリューやボルト等の留め具が軸部41の径方向からねじ込まれていることで(
図7及び
図9参照)、軸部41の嵌合孔411からの抜けが阻止されている。
【0062】
一方、各トーションバー5A、5BのU字状の第二端部52は、収容板部24によって荷受台2の内部に画定される空間に、荷受台2に沿った姿勢が維持されるように収容される。これにより、荷受台2と第二端部52との回動軸C周りの相対回転が防がれる。即ち、荷受台2が回動軸C周りに回動したときに、該荷受台2と共に第二端部52も回動軸C周りに回動する。
【0063】
各トーションバー5A、5Bにおいて、荷受台2が閉じ姿勢P2から開き姿勢P1に回動したときに、連結部材4(調整プレート42)がスライダ33のブラケット333に固定されているため、この連結部材4の軸部41に接続されている第一端部51が回動軸C周りの回動を阻止された状態で第二端部52が荷受台2と共に回動軸C周りに回動する。これにより、各トーションバー5の本体50に回動軸C周りの捻じれが生じ(又は前記捻じれが増大し)、この捻じれに起因する付勢力(捻じれを解消する方向の付勢力)の発生(又は付勢力の増大)によって、荷受台2を開き操作するときの作業者の負担が抑えられる。一方、荷受台2が開き姿勢P1から閉じ姿勢P2に回動するときには、上述のようにして荷受台2が閉じ姿勢P2から開き姿勢P1に回動したときに生じた付勢力(又は増大した付勢力)によって、荷受台2を閉じ操作するときの作業者の負担が抑えられる。
【0064】
尚、本実施形態の荷受台昇降装置1では、上述のように、回動軸Cに沿って延びるトーションバー5の第一端部51が連結部材4に接続され、且つ、トーションバー5の第二端部52が荷受台2に固定されている。このため、連結部材4の調整プレート42を回動軸C周りに回動させて固定位置(上下方向と調整プレート42の中心線C1のなす角α)を変更することで、荷受台2が閉じ姿勢P2から開き姿勢P1に回動したときにトーションバー5に生じる捻じれ(本体50の捻じれ)の大きさが変化する。これにより、荷受台2が開き姿勢P1に向けて回動したときに生じる(又は増大する)閉じ姿勢P2に向けた付勢力の大きさを調整することができる。
【0065】
本実施形態の荷受台昇降装置1では、スライダ33と連結部材4とトーションバー5との組が荷受台2の車幅方向の一方の端部側と他方の端部側とに配置されている。このため、各組の調整プレート42の固定位置をそれぞれ独立して選択(調整)することで、荷受台2の回動に伴って生じる各組のトーションバー5A、5Bの付勢力をそれぞれ独立して調整することができる。
【0066】
ロック装置6は、荷受台2を閉じ姿勢P2で開放可能に固定する構成である。本実施形態のロック装置6は、荷受台2のロックバー61と、昇降機構部3のアウタコラム31に設けられた被係合部62と、によって構成されている。このロック装置6では、荷受台2が閉じ姿勢P2のときに各ロックバー61を車幅方向に突出させて被係合部(本実施形態の例ではフック)62にそれぞれ係合させることで、荷受台2を閉じ姿勢P2に固定できる。一方、各被係合部62と係合しているロックバー61をそれぞれ荷受台2の内部に退避させることで、閉じ姿勢P2で固定されていた荷受台2が開放され、開き姿勢P1側に回動可能になる。
【0067】
以上の荷受台昇降装置1によれば、連結部材4の軸部41がスライダ33のブラケット333を貫通した状態で、該軸部41がブラケット333を貫通している位置と異なる位置(車幅方向におけるブラケット333より内側)でトーションバー5と接続されている。このため、開き姿勢の荷受台2に荷物等が載置された状態でスライダ33が昇降する際のせん断力(ブラケット333の貫通孔3330周縁部から加わるせん断力)は、連結部材4の軸部41に加わり、トーションバー5には加わらない。これにより、前記せん断力に起因するトーションバー5の損傷が防がれる。しかも、本実施形態の軸部41は、上述のように中実構造であるため、十分な強度が確保されており、前記せん断力による軸部41の損傷も防がれる。
【0068】
また、荷受台2とスライダ33とを回動可能に連結する連結部材4がトーションバー5(詳しくは、第一端部51)を固定して該トーションバー5の捻じれ角を調整するため、該連結部材4が従来の調整板を兼用できる。
【0069】
また、本実施形態の荷受台昇降装置1では、スライダ33と連結部材4とトーションバー5とを組としたときに、二つの組が配置されている。そして、各組のスライダ33と連結部材4とは、車幅方向(回動軸C方向)における荷受台2の一方の端部側と他方の端部側とのそれぞれに配置されている。このため、車幅方向における荷受台2の一方の端部側と他方の端部側とで独立して調整プレート42の回動軸C周りの固定位置を変更できる。即ち、一方の組のトーションバー5の捻じれ量と他方の組のトーションバー5の捻じれ量とをそれぞれ独立して調整できるため、回動の際に荷受台2に加わる付勢力の大きさの微調整が行い易い。
【0070】
例えば、本実施形態の荷受台昇降装置1では、荷台10を後方側から見て左側の前記組では、調整プレート42の中心線C1が上下方向に対して5°、10°、15°のうちの5°傾いた固定位置(回動軸C周りの複数の固定位置のうちの一つの固定位置)に調整プレート42が固定され(
図6参照)、荷台10を後方側から見て右側の前記組では、調整プレート42の中心線C1が上下方向に対して10°、15°、20°のうちの20°傾いた固定位置(回動軸C周りの複数の固定位置のうちの他の一つの固定位置)に調整プレート42が固定されている(
図8参照)。これによって、例えば、後方側から見て左側の前記組では、経年劣化による付勢力が調整され、後方側から見て右側の前記組では、荷受台2のサイズ等の仕様に応じた付勢力が設定されるように、左右で異なる目的での付勢力の調整(設定)が可能となる。
【0071】
また、本実施形態の荷受台昇降装置1では、回動軸Cからの距離が異なる複数のボルト用孔422を調整プレート42が有している。また、スライダ33のブラケット333が有する複数のボルト用孔3331(第一孔3331a、第二孔3331b、第三孔3331c)は、調整プレート42が回動軸C周りの各固定位置のときに、スライダ33のブラケット333が有する複数のボルト用孔3331(第一孔3331a、第二孔3331b、第三孔3331c)のうちの少なくとも一つのボルト用孔が調整プレート42において対応する少なくとも一つのボルト用孔422(第四孔422a、第五孔422b、第六孔422c)と回動軸C方向から見て重なるように、それぞれ配置されている。このように、回動軸Cからの距離が異なる複数の位置にボルト用孔422(第四孔422a、第五孔422b、第六孔422c)が配置されることで、回動方向にボルト用孔422の位置を僅かにずらした配置が可能になる。これにより、複数のボルト用孔(貫通孔)422が回動軸Cを中心とする同一円周上に配置される場合に比べ、複数のボルト用孔422を有する部材(本実施形態の例では、スライダ33のブラケット333)の強度を確保しつつトーションバー5の捻じれに起因する付勢力の微調整が可能となる。尚、本実施形態の荷受台昇降装置1では、ブラケット333も、回動軸Cからの距離が異なる複数のボルト用孔3331を有している。
【0072】
また、本実施形態の荷受台昇降装置1では、スライダ33のブラケット333が有する複数のボルト用孔3331は、回動軸Cと直交する方向のうちの一つの方向に沿って隣り合うボルト用孔3331同士が回動方向に互いにずれた位置となるように、それぞれ配置されているため、付勢力の微調整が可能である。
【0073】
尚、本発明の荷受台昇降装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0074】
上記実施形態の荷受台昇降装置1では、昇降機構部3がスライダ33を中空な角筒状のアウタコラム31及びインナーコラム32内を上下方向にスライドさせることで荷受台2を上下方向(垂直方向)に昇降させるが、この構成に限定されない。例えば、昇降機構部3は、平行リンクによって、開き姿勢P1を維持しつつ荷受台2を昇降させる構成でもよい。この場合、荷受台2が連結部材4によって前記平行リンクを構成するアームに回動可能に連結される。
【0075】
また、上記実施形態の荷受台昇降装置1では、連結部材4の軸部41が中実であるが、この構成に限定されない。例えば、内部(中空部分)にリブ等の補強構造が施され、ブラケット333から加わるせん断力に対する十分な強度が確保されていれば、軸部41は、中空構造でもよい。
【0076】
また、上記実施形態の荷受台昇降装置1は、二つのトーションバー5A、5Bを備えているが、この構成に限定されない。荷受台昇降装置1は、一つのトーションバー5を備える構成でもよい。
【0077】
また、上記実施形態の荷受台昇降装置1では、二つのトーションバー5A、5Bは、長さと太さ以外の構成は同じであるが、この構成に限定されない。二つのトーションバー5は、全てが同じ構成でもよい。
【0078】
また、トーションバー5の具体的な構成は、限定されない。トーションバー5は、回動軸C方向に延びると共に荷受台2の回動によって荷受台2を付勢する付勢力を生じさせ、且つ、第一端部51が連結部材4の軸部41に回動軸C周りに相対回転しない状態で接続(連結)されると共に第二端部52が荷受台2に対して回動軸C周りに相対回転しない状態で固定される構成であればよい。
【0079】
例えば、上記実施形態の二つのトーションバー5A、5Bでは、閉じ姿勢P2から開き姿勢P1に向かう荷受台2の回動動作によって捻じれの生じる部位(本体50)の断面形状が同じであるが、二つのトーションバー5において、本体50の断面形状がそれぞれ異なっていてもよい。このように、スライダ33と連結部材4とトーションバー5とを組としたときに荷受台昇降装置1に二つの組が配置され、二つの組のうちの一方の組のトーションバー5Aにおける付勢力を生じさせる部位50の形状と、他方の組のトーションバー5Bにおける付勢力を生じさせる部位50の形状とが異なっている場合、回動の際の荷受台2に加わる付勢力の大きさの微調整が行い易くなる。
【0080】
また、上記実施形態の荷受台昇降装置1では、調整プレート42の回動軸C周りの固定位置毎に、調整プレート42の一つのボルト用孔422とブラケット333の一つのボルト用孔3331とが車幅方向から見て重なるが、この構成に限定されない。前記固定位置毎に、調整プレート42の複数のボルト用孔422とブラケット333の複数(ボルト用孔422の数と同じ数)のボルト用孔3331とが、それぞれ車幅方向に重なる構成でもよい。
【0081】
調整プレート42におけるボルト用孔422の具体的な数及び配置と、スライダ33のブラケット333におけるボルト用孔3331の具体的な数及び配置とは、限定されない。上記実施形態の荷受台昇降装置1では、調整プレート42において複数のボルト用孔422がそれぞれ回動軸Cからの距離の異なる位置に配置されると共に、スライダ33のブラケット333において複数のボルト用孔3331がそれぞれ回動軸Cからの距離の異なる位置に配置されているが、例えば、調整プレート42に一つのボルト用孔422が配置されると共に、スライダ33のブラケット333において複数のボルト用孔3331が回動軸Cを中心とする円周上に間隔をあけて配置されていてもよい。
【0082】
また、上記実施形態の荷受台昇降装置1では、調整プレート42における回動軸Cからの距離の異なる複数のボルト用孔422が、回動軸Cと直交する方向に真っ直ぐに並び、スライダ33のブラケット333における回動軸Cからの距離の異なる複数のボルト用孔3331が、隣り合うボルト用孔3331同士が回動方向に互いにずれた状態で配置されているが、この構成に限定されない。調整プレート42における回動軸Cからの距離の異なる複数のボルト用孔422が、隣り合うボルト用孔422同士が回動方向に互いにずれた状態で配置され、スライダ33のブラケット333における回動軸Cからの距離の異なる複数のボルト用孔3331が、回動軸Cと直交する方向に真っ直ぐに並んでもよい。
【0083】
上記実施形態の荷受台昇降装置1では、一方の組(スライダ33と連結部材4とトーションバー5との組)と他方の組とで、複数の固定位置の間隔がそれぞれ同じである(上記実施形態の例では、上下方向に対する調整プレート42の中心線C1のなす角αが5°間隔となる位置)であるが、この構成に限定されない。例えば、一方の組の複数の固定位置では、回動軸C周りに隣り合う固定位置同士の間隔が細かく(例えば、5°間隔)、他方の組の複数の固定位置において、回動軸C周りに隣り合う固定位置同士の間隔が大きく(例えば、10°間隔)てもよい。即ち、調整プレート42の複数の固定位置の間隔は、一方の組と他方の組とで異なっていてもよい。かかる構成によっても、トーションバー5によって生じる付勢力の大きさを微調整することができる。
【0084】
また、上記実施形態の荷受台昇降装置1において、連結部材4におけるスライダ33(詳しくは、ブラケット333)に取り外し可能に固定される部位(上記実施形態の例では、調整プレート42)は、プレート状であるが、ブロック状等の他の形状でもよい。
【0085】
上記実施形態の固定部(調整プレート)42は、連結部材4が有するボルト(係合部)Bによって荷受台支持部(ブラケット)333に固定されているが、固定部42が荷受台支持部333に固定される具体的な構成は限定されない。例えば、固定部42が荷受台支持部333から突出する突出部(係合部)と係合することによって固定位置に固定されていてもよい。即ち、荷受台支持部333及び連結部材4(固定部42)のうちの少なくとも一方が、連結部材4(固定部42)を荷受台支持部333に対して固定するための係合部を有していればよい。
【0086】
また、上記実施形態の荷受台昇降装置1は、荷受台2の回動軸C方向が車幅方向と一致するように、荷役車両に搭載されているが、回動軸C方向が車長方向と一致するように、荷役車両等に搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…荷受台昇降装置、10…荷台、2…荷受台、21…表板、211…載置面、212…傾斜面、22…裏板、23…補強板、24…収容板部、3…昇降機構部、31…アウタコラム、31A…前壁部、31B…後壁部、31S…縦スリット、311…板部材、312…案内ローラ、313…上側固定シーブ、314…下側固定シーブ、32…インナーコラム、32B…後壁部、32S…縦スリット、321…案内ローラ、322…ブラケット、33…スライダ、331…本体部、332…案内ローラ、333…ブラケット(荷受台支持部)、333A…第一板部、333B…第二板部、333C…連結板部、3330…貫通孔、3331…ボルト用孔(支持部側孔)、3331a…第一孔(支持部側孔)、3331b…第二孔(支持部側孔)、3331c…第三孔(支持部側孔)、334…ステー、335…ストッパボルト、34…クロスメンバー、341…角筒部、4…連結部材、41…軸部、411…嵌合孔、42…調整プレート(固定部)、421…軸部用孔、422…ボルト用孔(固定部側孔)、422a…第四孔(固定部側孔)、422b…第五孔(固定部側孔)、422c…第六孔(固定部側孔)、5、5A、5B…トーションバー、50…本体、51…第一端部(他端部)、52…第二端部(一端部)、6…ロック装置、61…ロックバー、62…被係合部、500…荷受台昇降装置、510…荷受台、520…昇降部、521…荷受台支持部、531…ゲートピン、5310…中空部、540…トーションバー、541…一端部、542…他端部、550…調整プレート、B…ボルト、C、c…回動軸、C1…中心線、P1…開き姿勢(張出位置)、P2…閉じ姿勢(格納位置)、W…ワイヤ、α…上下方向と調整プレートの中心線とのなす角