(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】物件種別仕訳作成装置、物件種別仕訳作成方法、および、物件種別仕訳作成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240417BHJP
【FI】
G06Q40/12
(21)【出願番号】P 2020155462
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 英明
(72)【発明者】
【氏名】須藤 裕之
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-131015(JP,A)
【文献】特開2012-203607(JP,A)
【文献】特開2018-156406(JP,A)
【文献】特開2020-86859(JP,A)
【文献】特開2012-123706(JP,A)
【文献】特開2020-9126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた物件種別仕訳作成装置であって、
前記記憶部は、
事業の各段階において発生させる仕訳の勘定科目を費目毎に設定した費目マスタを記憶する費目記憶手段、
を備え、
前記制御部は、
仕訳作成を開始する前記事業の段階である開始段階を設定したプロジェクトデータを取得するプロジェクト取得手段と、
前記事業に対応する前記費目、および、支払額を設定した支払データを取得する支払取得手段と、
前記費目マスタ、前記プロジェクトデータ、および、前記支払データに基づいて、前記事業の各進捗段階における振替仕訳データを作成する仕訳作成手段と、
を備えたことを特徴とする物件種別仕訳作成装置。
【請求項2】
前記仕訳作成手段は、
前記費目マスタ、前記プロジェクトデータ、および、前記支払データに基づいて、前記事業の前記進捗段階が前記開始段階以降の前記段階になった場合、前記支払データに設定され、且つ、前記費目マスタに設定された前記費目に対応する、前記費目マスタに設定された前記進捗段階における前記勘定科目の前記振替仕訳データを作成することを特徴とする請求項1に記載の物件種別仕訳作成装置。
【請求項3】
前記仕訳作成手段は、
更に、前記費目マスタ、前記プロジェクトデータ、および、前記支払データに基づいて、前記事業の前記進捗段階が前記開始段階になった場合、前記支払データに対応する支払仕訳データを作成することを特徴とする請求項1または2に記載の物件種別仕訳作成装置。
【請求項4】
前記支払仕訳データは、
借方の勘定科目が前渡金であることを特徴とする請求項3に記載の物件種別仕訳作成装置。
【請求項5】
前記記憶部は、
前記事業のプロジェクト識別子、前記事業の事業種別、および、前記開始段階を紐づけて設定したプロジェクトマスタを記憶するプロジェクト記憶手段、
を更に備え、
前記プロジェクト取得手段は、
前記プロジェクト識別子、前記事業種別、および、前記開始段階を設定した前記プロジェクトデータを取得し、当該プロジェクトデータを前記プロジェクトマスタに設定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の物件種別仕訳作成装置。
【請求項6】
前記費目は、
前記事業の前記事業種別に紐付けられ、
前記支払取得手段は、
前記事業の前記プロジェクト識別子、および、前記支払額が入力された場合、前記プロジェクトマスタに基づいて、当該事業の前記事業種別に紐付けられた前記費目を特定し、前記事業に対応する前記費目、および、前記支払額を設定した前記支払データを取得することを特徴とする請求項5に記載の物件種別仕訳作成装置。
【請求項7】
前記事業は、
不動産事業であり、
前記事業種別は、
マンション開発分譲、中古物件再販、戸建分譲、および/または、注文住宅を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の物件種別仕訳作成装置。
【請求項8】
前記費目は、
工事代金、および、請負工事代金を含み、
前記事業の前記段階は、
用地仕入段階、着工段階、竣工段階、および/または、引渡段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の物件種別仕訳作成装置。
【請求項9】
記憶部と制御部とを備えた物件種別仕訳作成装置に実行させるための物件種別仕訳作成方法であって、
前記記憶部は、
事業の各段階において発生させる仕訳の勘定科目を費目毎に設定した費目マスタを記憶する費目記憶手段、
を備え、
前記制御部で実行させる、
仕訳作成を開始する前記事業の段階である開始段階を設定したプロジェクトデータを取得するプロジェクト取得ステップと、
前記事業に対応する前記費目、および、支払額を設定した支払データを取得する支払取得ステップと、
前記費目マスタ、前記プロジェクトデータ、および、前記支払データに基づいて、前記事業の各進捗段階における振替仕訳データを作成する仕訳作成ステップと、
を含むことを特徴とする物件種別仕訳作成方法。
【請求項10】
記憶部と制御部とを備えた物件種別仕訳作成装置に実行させるための物件種別仕訳作成プログラムであって、
前記記憶部は、
事業の各段階において発生させる仕訳の勘定科目を費目毎に設定した費目マスタを記憶する費目記憶手段、
を備え、
前記制御部において、
仕訳作成を開始する前記事業の段階である開始段階を設定したプロジェクトデータを取得するプロジェクト取得ステップと、
前記事業に対応する前記費目、および、支払額を設定した支払データを取得する支払取得ステップと、
前記費目マスタ、前記プロジェクトデータ、および、前記支払データに基づいて、前記事業の各進捗段階における振替仕訳データを作成する仕訳作成ステップと、
を実行させるための物件種別仕訳作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物件種別仕訳作成装置、物件種別仕訳作成方法、および、物件種別仕訳作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マンション等の物件の竣工時や引渡し時に、予め振替仕訳の勘定科目が設定された代表科目マスタを用いて、未成工事支出金の振替仕訳を発生させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、複数事業を管理する際に、開発規模、工程および取引相手の違いから、それぞれの事業に応じた別の仕訳計上のシステム(仕組)を用意する必要があるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、単一システム内で複数事業を管理する際に、各事業に応じた仕訳を開発工程や費目という形でパターン化し、物件ごとに柔軟に設定を行うことで、しかるべき勘定科目で仕訳の自動計上を行うことができる物件種別仕訳作成装置、物件種別仕訳作成方法、および、物件種別仕訳作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る物件種別仕訳作成装置は、記憶部と制御部とを備えた物件種別仕訳作成装置であって、前記記憶部は、事業の各段階において発生させる仕訳の勘定科目を費目毎に設定した費目マスタを記憶する費目記憶手段、を備え、前記制御部は、仕訳作成を開始する前記事業の段階である開始段階を設定したプロジェクトデータを取得するプロジェクト取得手段と、前記事業に対応する前記費目、および、支払額を設定した支払データを取得する支払取得手段と、前記費目マスタ、前記プロジェクトデータ、および、前記支払データに基づいて、前記事業の各進捗段階における振替仕訳データを作成する仕訳作成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る物件種別仕訳作成装置において、前記仕訳作成手段は、前記費目マスタ、前記プロジェクトデータ、および、前記支払データに基づいて、前記事業の前記進捗段階が前記開始段階以降の前記段階になった場合、前記支払データに設定され、且つ、前記費目マスタに設定された前記費目に対応する、前記費目マスタに設定された前記進捗段階における前記勘定科目の前記振替仕訳データを作成することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る物件種別仕訳作成装置において、前記仕訳作成手段は、更に、前記費目マスタ、前記プロジェクトデータ、および、前記支払データに基づいて、前記事業の前記進捗段階が前記開始段階になった場合、前記支払データに対応する支払仕訳データを作成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る物件種別仕訳作成装置において、前記支払仕訳データは、借方の勘定科目が前渡金であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る物件種別仕訳作成装置において、前記記憶部は、前記事業のプロジェクト識別子、前記事業の事業種別、および、前記開始段階を紐づけて設定したプロジェクトマスタを記憶するプロジェクト記憶手段、を更に備え、前記プロジェクト取得手段は、前記プロジェクト識別子、前記事業種別、および、前記開始段階を設定した前記プロジェクトデータを取得し、当該プロジェクトデータを前記プロジェクトマスタに設定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る物件種別仕訳作成装置において、前記費目は、前記事業の前記事業種別に紐付けられ、前記支払取得手段は、前記事業の前記プロジェクト識別子、および、前記支払額が入力された場合、前記プロジェクトマスタに基づいて、当該事業の前記事業種別に紐付けられた前記費目を特定し、前記事業に対応する前記費目、および、前記支払額を設定した前記支払データを取得することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る物件種別仕訳作成装置において、前記事業は、不動産事業であり、前記事業種別は、マンション開発分譲、中古物件再販、戸建分譲、および/または、注文住宅を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る物件種別仕訳作成装置において、前記費目は、工事代金、および、請負工事代金を含み、前記事業の前記段階は、用地仕入段階、着工段階、竣工段階、および/または、引渡段階を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る物件種別仕訳作成方法は、記憶部と制御部とを備えた物件種別仕訳作成装置に実行させるための物件種別仕訳作成方法であって、前記記憶部は、事業の各段階において発生させる仕訳の勘定科目を費目毎に設定した費目マスタを記憶する費目記憶手段、を備え、前記制御部で実行させる、仕訳作成を開始する前記事業の段階である開始段階を設定したプロジェクトデータを取得するプロジェクト取得ステップと、前記事業に対応する前記費目、および、支払額を設定した支払データを取得する支払取得ステップと、前記費目マスタ、前記プロジェクトデータ、および、前記支払データに基づいて、前記事業の各進捗段階における振替仕訳データを作成する仕訳作成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る物件種別仕訳作成プログラムは、記憶部と制御部とを備えた物件種別仕訳作成装置に実行させるための物件種別仕訳作成プログラムであって、前記記憶部は、事業の各段階において発生させる仕訳の勘定科目を費目毎に設定した費目マスタを記憶する費目記憶手段、を備え、前記制御部において、仕訳作成を開始する前記事業の段階である開始段階を設定したプロジェクトデータを取得するプロジェクト取得ステップと、前記事業に対応する前記費目、および、支払額を設定した支払データを取得する支払取得ステップと、前記費目マスタ、前記プロジェクトデータ、および、前記支払データに基づいて、前記事業の各進捗段階における振替仕訳データを作成する仕訳作成ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1システムの中で複数事業のプロジェクト管理を行えるという効果を奏する。また、本発明によれば、各事業に応じた仕訳を開発工程(ステージ)や費目という形でパターン化し、物件ごとに柔軟に設定を行うことで、しかるべき仕訳(勘定科目)で連携できるという効果を奏する。また、本発明によれば、1システム内で複数事業を管理することができることにより、操作の標準化や情報の一元化が図れ、さらには正しい会計計上により決算早期化につながるという効果を奏する。また、本発明によれば、現在複数事業を行っていない会社が新たに事業拡大を行う場合、新システムの導入することなく、事業拡大に応じて発生する会計計上のミス等のリスクを負わずに、事業拡大に挑戦することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本実施形態における物件種別仕訳作成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における費目マスタの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態におけるプロジェクトマスタの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における物件種別仕訳作成装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本実施形態における物件種別仕訳作成処理の一例を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における勘定科目の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における費目設定の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0019】
[1.概要]
まず、本発明の概要を説明する。
【0020】
従来、デベロッパーシステムにおいては、「マンション開発分譲事業」「中古再販事業」「戸建開発分譲事業」または「注文住宅事業」の事業それぞれに応じた仕訳計上が必要な場合、開発規模、工程および取引相手等の違いから、事業毎にそれぞれ別システム(仕組)を利用していたため、複合的に業務を営む企業の場合、仕組の違いのせいで実績データの収集に時間がかかったり、人材の配置換えの妨げとなったりすることがあった。
【0021】
そこで、本実施形態において、各事業に応じた仕訳を開発工程(ステージ)および費目でパターン化し、物件ごとに柔軟に設定を行うことで、しかるべき仕訳で連携できる仕組みを提供している。
【0022】
[2.構成]
本実施形態に係る物件種別仕訳作成装置100の構成の一例について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態における物件種別仕訳作成装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、物件種別仕訳作成装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、物件種別仕訳作成装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0024】
物件種別仕訳作成装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。物件種別仕訳作成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、物件種別仕訳作成装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、物件種別仕訳作成装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0026】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、費目マスタ106aとプロジェクトマスタ106bと事業データベース106cとを備えている。
【0027】
費目マスタ106aは、事業の各段階において発生させる仕訳の勘定科目を費目毎に設定したマスタである。ここで、事業は、不動産事業であってもよい。また、費目は、工事代金、および、請負工事代金を含んでいてもよい。また、事業の段階は、用地仕入段階、着工段階、竣工段階、および/または、引渡段階を含んでいてもよい。また、費目マスタ106aは、費目識別子(例えば、費目コードおよび/または費目名等)が設定されていてもよい。
【0028】
ここで、
図2を参照して、本実施形態における費目マスタ106aの一例について説明する。
図2は、本実施形態における費目マスタ106aの一例を示す図である。
【0029】
図2に示すように、本実施形態においては、不動産事業における、費目コードと、用地仕入段階科目、着工段階科目、竣工段階科目および原価(引渡段階)科目を含む事業の各段階において発生させる仕訳の勘定科目と、が紐づけて設定されていてもよい。
【0030】
図1に戻り、プロジェクトマスタ106bは、事業のプロジェクト識別子(例えば、プロジェクトコード等)、事業の事業種別(例えば、セグメント等)、および、開始段階(例えば、開始ステージまたは開始工程等)を紐付けて設定したマスタである。ここで、事業種別は、不動産事業のマンション開発分譲、中古(物件)再販、戸建分譲、および/または、注文住宅等を含んでいてもよい。
【0031】
ここで、
図3を参照して、本実施形態におけるプロジェクトマスタ106bの一例について説明する。
図3は、本実施形態におけるプロジェクトマスタ106bの一例を示す図である。
【0032】
図3に示すように、本実施形態においては、不動産事業のプロジェクトコード、プロジェクト名、セグメント、および、ステージが紐付けて設定されていてもよい。
【0033】
図1に戻り、事業データベース106cは、事業データを記憶する。ここで、事業データは、事業の支払データ、仕訳データ、請求データ、契約データ、および/または、売上データ等を含んでいてもよい。
【0034】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0035】
制御部102は、物件種別仕訳作成装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、費目設定部102aとプロジェクト取得部102bと支払取得部102cと仕訳作成部102dとを備えている。
【0036】
費目設定部102aは、事業の各段階において発生させる仕訳の勘定科目を費目毎に費目マスタ106aに設定する。ここで、勘定科目は、発生科目または振替科目等であってもよい。
【0037】
プロジェクト取得部102bは、事業のプロジェクトデータを取得する。ここで、プロジェクト取得部102bは、仕訳作成を開始する事業の段階である開始段階を設定したプロジェクトデータを取得してもよい。また、プロジェクト取得部102bは、プロジェクト識別子、事業種別、および、仕訳作成を開始する事業の段階である開始段階を設定したプロジェクトデータを取得し、当該プロジェクトデータをプロジェクトマスタ106bに設定してもよい。
【0038】
支払取得部102cは、事業の支払データを取得する。ここで、支払取得部102cは、事業に対応する費目、および、支払額を設定した支払データを取得してもよい。また、支払取得部102cは、事業のプロジェクト識別子、および、支払額が入力された場合、プロジェクトマスタ106bに基づいて、当該事業の事業種別に紐付けられた費目を特定し、事業に対応する費目、および、支払額を設定した支払データを取得してもよい。また、支払取得部102cは、支払データを事業データベース106cに登録してもよい。
【0039】
仕訳作成部102dは、仕訳データを作成する。ここで、仕訳作成部102dは、費目マスタ106a、プロジェクトデータ、および、支払データに基づいて、事業の各進捗段階における振替仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102dは、費目マスタ106a、プロジェクトデータ、および、支払データに基づいて、事業の進捗段階が開始段階以降の段階になった場合、支払データに設定され、且つ、費目マスタ106aに設定された費目に対応する、費目マスタ106aに設定された進捗段階における勘定科目の振替仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102dは、費目マスタ106a、プロジェクトデータ、および、支払データに基づいて、事業の進捗段階が開始段階になった場合、支払データに対応する支払仕訳データを作成してもよい。ここで、支払仕訳データは、借方の勘定科目が前渡金であってもよい。また、仕訳作成部102dは、仕訳データを事業データベース106cに登録してもよい。なお、仕訳作成部102dは、事業の進捗段階を日付、または、ユーザにより入力される事業の進捗報告データ等により判定してもよい。
【0040】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図4から
図7を参照して説明する。
【0041】
[物件種別仕訳作成処理]
ここで、
図4を参照して、本実施形態における物件種別仕訳作成処理の一例について説明する。
図4は、本実施形態における物件種別仕訳作成装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
図4に示すように、プロジェクト取得部102bは、ユーザにより入力装置112を介して不動産事業のプロジェクト識別子、事業種別、および、仕訳作成を開始する不動産事業の段階である開始段階が入力された場合、プロジェクト識別子、事業種別および開始段階を設定したプロジェクトデータを取得し、当該プロジェクトデータをプロジェクトマスタ106bに設定する(ステップSA-1)。
【0043】
そして、支払取得部102cは、ユーザにより入力装置112を介して不動産事業に対応する費目識別子、および、支払額が入力された場合、不動産事業に対応する費目、および、支払額を設定した支払データを取得する(ステップSA-2)。
【0044】
そして、仕訳作成部102dは、プロジェクトマスタ106bに基づいて、不動産事業の進捗段階が開始段階に到達したか否かを判定する(ステップSA-3)。
【0045】
そして、仕訳作成部102dは、不動産事業の進捗段階が開始段階に到達していないと判定した場合(ステップSA-3:No)、所定時間(例えば、1日等)経過後、処理をステップSA-3に移行させる。
【0046】
一方、仕訳作成部102dは、不動産事業の進捗段階が開始段階に到達したと判定した場合(ステップSA-3:Yes)、処理をステップSA-4に移行させる。
【0047】
そして、仕訳作成部102dは、費目マスタ106aに基づいて、支払データに対応する、借方の勘定科目が前渡金である支払仕訳データを作成する(ステップSA-4)。
【0048】
そして、仕訳作成部102dは、プロジェクトマスタ106bに基づいて、不動産事業の進捗により、不動産事業の進捗段階が次の段階に到達したか否かを判定する(ステップSA-5)。
【0049】
そして、仕訳作成部102dは、不動産事業の進捗段階が次の段階に到達していないと判定した場合(ステップSA-5:No)、所定時間(例えば、1日等)経過後、処理をステップSA-5に移行させる。
【0050】
一方、仕訳作成部102dは、不動産事業の進捗段階が次の段階に到達したと判定した場合(ステップSA-5:Yes)、処理をステップSA-6に移行させる。
【0051】
そして、仕訳作成部102dは、支払データに設定され、且つ、費目マスタ106aに設定された費目に対応する、費目マスタ106aに設定された現在の進捗段階における勘定科目の振替仕訳データを作成する(ステップSA-6)。
【0052】
そして、仕訳作成部102dは、現在の進捗段階が引渡段階であるか否かを判定する(ステップSA-7)。
【0053】
そして、仕訳作成部102dは、現在の進捗段階が引渡段階ではないと判定した場合(ステップSA-7:No)、処理をステップSA-5に移行させる。
【0054】
一方、仕訳作成部102dは、現在の進捗段階が引渡段階であると判定した場合(ステップSA-7:Yes)、処理を終了する。
【0055】
ここで、
図5を参照して、本実施形態における物件種別仕訳作成処理の一例について説明する。
図5は、本実施形態における物件種別仕訳作成処理の一例を示すフロー図である。
【0056】
図5に示すように、本実施形態においては、ユーザによりプロジェクト登録画面にて、プロジェクトコード、セグメント、および、仕訳作成を開始する開始ステージ区分として「20:用地引渡段階」が入力された場合、プロジェクトデータがプロジェクトマスタ106bに登録され(ステップSB-1)、ユーザにより支払依頼入力画面にて、プロジェクトコードおよび支払額が登録された場合、該当するプロジェクトおよび費目にて支払データが登録され、プロジェクトが用地引渡段階に進捗した場合、プロジェクトの現在のステージ、および、費目マスタ106aの発生科目設定から科目が判別され、借方の勘定科目が前渡金、且つ、貸方の勘定科目が未払金である支払仕訳データが作成される(ステップSB-2)。
【0057】
そして、
図5に示すように、本実施形態においては、プロジェクトが進捗して着工開始となった場合、プロジェクトの現在のステージ、および、費目マスタ106aの発生科目設定から科目が判別され、借方の勘定科目が仕掛販売用不動産、且つ、貸方の勘定科目が前渡金である振替仕訳データが作成され(ステップSB-3)、プロジェクトが進捗して工事完了して販売開始(竣工)となった場合、プロジェクトの現在のステージ、および、費目マスタ106aの発生科目設定から科目が判別され、借方の勘定科目が販売用不動産、且つ、貸方の勘定科目が仕掛販売用不動産である振替仕訳データが作成され(ステップSB-4)、プロジェクトが進捗して契約締結および引渡完了となった場合、プロジェクトの現在のステージ、および、費目マスタ106aの発生科目設定から科目が判別され、借方の勘定科目が売上原価、且つ、貸方の勘定科目が販売用不動産である振替仕訳データが作成される(ステップSB-5)。
【0058】
また、
図6を参照して、本実施形態における各事業種別の事業の各段階において発生させる、費目毎に設定された勘定科目の一例について説明する。
図6は、本実施形態における勘定科目の一例を示す図である。
【0059】
図6に示すように、本実施形態におけるマンション開発・分譲事業および戸建分譲事業においては、費目が工事代金であり、開始ステージが用地仕入段階であるため、用地仕入段階の借方の勘定科目:前渡金、着工段階の借方の勘定科目:仕掛販売用不動産、竣工段階の借方の勘定科目:販売用不動産、引渡段階の借方の勘定科目:売上原価となる仕訳が作成されてもよい。また、
図6に示すように、本実施形態における中古再販事業においては、費目が工事代金であり、開始ステージが竣工段階であるため、竣工段階の借方の勘定科目:販売用不動産、引渡段階の借方の勘定科目:売上原価となる仕訳が作成されてもよい。また、
図6に示すように、本実施形態における注文住宅(請負工事)事業においては、費目が請負工事代金であり、開始ステージが着工段階であるため、着工段階の借方の勘定科目:未成工事支出金、引渡段階の借方の勘定科目:完成売上原価となる仕訳が作成されてもよい。
【0060】
また、
図7を参照して、本実施形態における費目設定の一例について説明する。
図7は、本実施形態における費目設定の一例を示す図である。
【0061】
図7に示すように、本実施形態においては、費目マスタメンテ画面にて、各費目のステージ毎の発生科目および振替科目の費目マスタ106aへの設定をユーザに予めさせていてもよい。
【0062】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0063】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0064】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0065】
また、物件種別仕訳作成装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0066】
例えば、物件種別仕訳作成装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて物件種別仕訳作成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0067】
また、このコンピュータプログラムは、物件種別仕訳作成装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0068】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0069】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0070】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0071】
また、物件種別仕訳作成装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、物件種別仕訳作成装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0072】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、住宅開発・販売を行う不動産業界において有用である。
【符号の説明】
【0074】
100 物件種別仕訳作成装置
102 制御部
102a 費目設定部
102b プロジェクト取得部
102c 支払取得部
102d 仕訳作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 費目マスタ
106b プロジェクトマスタ
106c 事業データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク