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特許7474177サイドミラー装置およびサイドミラー装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】サイドミラー装置およびサイドミラー装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20240417BHJP
   B60R 1/072 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B60R1/06 R
B60R1/06 D
B60R1/072
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020172484
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022064010
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 一樹
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-061961(JP,A)
【文献】実開昭61-081444(JP,U)
【文献】特開平09-123834(JP,A)
【文献】登録実用新案第3067364(JP,U)
【文献】特表2020-500780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
B60R 1/072
B60S 1/56
B60S 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡面を有するミラーと、
前記ミラーを車体に支持する筐体と、
運転者が操作した場合および水滴の付着が検知された場合の少なくとも一方の場合に、前記車体に対して前記ミラーを回転させる回転機構と、
を備え
前記回転機構は、周囲に別の車両が走行していない場合に、前記ミラーを回転させる
サイドミラー装置。
【請求項2】
前記回転機構は、前記ミラーを前後方向または左右方向に回転させる
請求項1に記載のサイドミラー装置。
【請求項3】
前記回転機構は、前記ミラーを前記筐体ごと回転させる
請求項1または2に記載のサイドミラー装置。
【請求項4】
前記回転機構は、走行中の風圧による風が前記鏡面に対して当たるように、前記ミラーを前記筐体ごと回転させる
請求項に記載のサイドミラー装置。
【請求項5】
前記筐体には、複数の前記ミラーが配置され、
前記回転機構は、複数の前記ミラーを回転させて、1つの前記ミラーと別の前記ミラーとを入れ替える
請求項1~のいずれか一つに記載のサイドミラー装置。
【請求項6】
前記ミラーは、両面に前記鏡面を有し、
前記回転機構は、前記ミラーを回転させて、1つの前記鏡面と別の前記鏡面とを入れ替える
請求項1~のいずれか一つに記載のサイドミラー装置。
【請求項7】
車両に対する水滴の付着を検知する検知工程と、
前記車両に対して水滴が付着した場合に、鏡面を有するミラーを車体に対して回転させる回転工程と、
を含み、
前記回転工程は、周囲に別の車両が走行していない場合に、前記ミラーを回転させる
サイドミラー装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドミラー装置およびサイドミラー装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両用のサイドミラーに付着した雨滴を効率よく除去するため、ミラーの鏡面に撥水性の被膜を形成する技術が知られている。これにより、車両後方の視認性を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-53337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、鏡面の撥水性を維持するため、定期的にメンテナンスが必要であることから、かかるメンテナンスを実施しない場合、車両後方に対する視認性が徐々に悪化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両後方に対する視認性を向上させることができるサイドミラー装置およびサイドミラー装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るサイドミラー装置は、ミラーと、筐体と、回転機構と、を備える。ミラーは、鏡面を有する。筐体は、前記ミラーを車体に支持する。回転機構は、運転者が操作した場合および水滴の付着が検知された場合の少なくとも一方の場合に、前記車体に対して前記ミラーを回転させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両後方に対する視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るサイドミラーの制御方法の一例を示す説明図である。
図2図2は、実施形態の変形例1に係るサイドミラーの制御方法の一例を示す説明図である。
図3図3は、実施形態の変形例2に係るサイドミラーの制御方法の一例を示す説明図である。
図4図4は、実施形態の変形例3に係るサイドミラーの制御方法の一例を示す説明図である。
図5図5は、実施形態に係るサイドミラーの制御方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するサイドミラー装置およびサイドミラー装置の制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
<実施形態>
最初に、実施形態に係るサイドミラー1の制御方法について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係るサイドミラー1の制御方法の一例を示す説明図である。
【0011】
なお、図1においては、説明の便宜のために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向で規定される3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。
【0012】
この直交座標系において、X軸は車両100の前後方向、Y軸は車両100の左右方向、Z軸は車両100の高さ方向である。また、X軸の正方向は車両100の進行方向であり、Z軸の正方向は鉛直上向きである。
【0013】
図1の(a)に示すように、実施形態に係るサイドミラー1は、車両100の側部に配置される前方側のドアの前端部に取り付けられて、主に運転者が車両100の後方を確認するために使用される。
【0014】
実施形態に係るサイドミラー1は、サイドミラー装置の一例であり、ミラー10と、筐体20と、回転機構30とを備える。ミラー10は、板状であり、少なくとも一方の主面に鏡面11(図1の(b)参照)を有する。図1の(a)に示す状態において、鏡面11は、車両100の後方側を向くように配置される。
【0015】
筐体20は、ミラー10を車両100の車体に支持する。筐体20は、例えば、ミラー10よりも車両100の前方側に配置される。そして、筐体20は、かかる筐体20の後方側において鏡面11が後方に向かって露出するように、ミラー10を収容する。
【0016】
回転機構30は、車両100の車体に対してミラー10を回転させる機構である。たとえば、図1の例では、回転機構30が、ミラー10を筐体20ごと上下方向に回転させることができる。
【0017】
ここで、サイドミラー1は、鏡面11に付着した雨滴を効率よく除去するため、以下の工程を実施する。
【0018】
まず、回転機構30は、図1の(a)に示すように、車両100に対する雨滴の付着を検知する(ステップS01)。かかる雨滴は、水滴の一例である。回転機構30は、たとえば、車両100のフロントガラスに対する雨滴の付着を検知するセンサからの信号に基づいて、車両100に対する雨滴の付着を検知する。
【0019】
そして、回転機構30は、車両100に対する雨滴の付着を検知した場合に、図1の(b)に示すように、車両100の車体に対してミラー10を回転させる(ステップS02)。
【0020】
回転機構30は、たとえば、ミラー10を筐体20ごと上下方向に回転させて、走行中の風圧による風Wが鏡面11に対して当たるように、ミラー10を回転させる。すなわち、回転機構30は、ミラー10の鏡面11が車両100の前方側を向くように、ミラー10を筐体20ごと回転させる。
【0021】
これにより、走行中の風圧による風Wを鏡面11に当てることができることから、かかる風Wによって鏡面11に付着した雨滴を吹き飛ばすことができる。したがって、実施形態によれば、鏡面11に付着した雨滴を効率よく除去することができる。
【0022】
そして、実施形態では、ミラー10を回転させてから所与の時間が経過した後に、図1の(c)に示すように、回転機構30が、ミラー10の向きを元に戻す(ステップS03)。
【0023】
ここまで説明した処理によって、運転者は、雨滴が除去されたミラー10を用いて車両100の後方を視認することができる。したがって、実施形態によれば、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0024】
なお、図1の例では、回転機構30が、雨滴の付着が検知された場合にミラー10を回転させる例について示したが、回転機構30は、かかる回転機構30を運転手が操作した場合に、ミラー10を回転させてもよい。
【0025】
これにより、運転手が所望するタイミングでミラー10から雨滴を除去することができることから、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0026】
また、図1の例では、ミラー10を上下方向に回転させる例について示したが、ミラー10の回転方向は上下方向に限られず、左右方向に回転させてもよい。
【0027】
このように、ミラー10を上下方向または左右方向に回転させることにより、走行中の風圧による風Wを鏡面11に当てることができることから、かかる風Wによって鏡面11に付着した雨滴を吹き飛ばすことができる。したがって、実施形態によれば、鏡面11に付着した雨滴を効率よく除去することができる。
【0028】
なお、ミラー10を左右方向に回転させる場合、サイドミラー1を左右方向に回転させて折りたたむ折りたたみ機構が、実施形態に係る回転機構30として機能してもよい。これにより、サイドミラー1において、折りたたみ機構と回転機構30とを一体にすることができることから、サイドミラー1のコストを低減することができる。
【0029】
また、実施形態では、雨滴の付着が検知された場合などに、左右のサイドミラー1を交互に回転させるとよい。これにより、一方のサイドミラー1で後方を視認しながら、他方のサイドミラー1に付着した雨滴を除去することができる。
【0030】
また、実施形態では、回転機構30が、車両100の周囲に別の車両が走行していない場合に、ミラー10を回転させてもよい。これにより、車両100がより安全な状況で鏡面11に付着した雨滴を吹き飛ばすことができる。
【0031】
なおこの場合、回転機構30は、たとえば、車両100の周囲に別の車両が走行していないことを、車両100の周囲の状態を検知するカメラやセンサなどからの情報によって検知することができる。
【0032】
<変形例1>
つづいて、実施形態の各種変形例について、図2図4を参照しながら説明する。なお、以下に示す各種変形例では、実施形態と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略することがある。
【0033】
図2は、実施形態の変形例1に係るサイドミラー1の制御方法の一例を示す説明図である。なお、以降に示す図2図4は、サイドミラー1の断面図を示しており、図2に示す変形例1では、サイドミラー1の構成が上述の実施形態と異なる。
【0034】
具体的には、変形例1に係るサイドミラー1は、図2の(a)に示すように、筐体20に複数(図2では2つ)のミラー10(以下、ミラー10A、10Bとも呼称する。)を備える。
【0035】
ミラー10Aは、鏡面11Aを有し、かかる鏡面11Aが車両100の後方側を向くように筐体20に支持される。ミラー10Bは、鏡面11Bを有し、かかる鏡面11Bが車両100の前方側(たとえば、車両100の斜め前方下向き)を向くように筐体20に支持される。
【0036】
そして、回転機構30(図1の(a)参照)は、車両100に対する雨滴の付着が検知された場合に、図2の(b)に示すように、車両100(図1の(a)参照)の車体に対してミラー10A、10Bを回転させる。
【0037】
回転機構30は、たとえば、ミラー10A、10Bを筐体20ごと上下方向に回転させて、走行中の風圧による風Wが鏡面11Aに対して当たるとともに、鏡面11Bが車両100の後方側を向くように、ミラー10A、10Bを回転させる。
【0038】
すなわち、回転機構30は、たとえば、ミラー10Aの鏡面11Aが車両100の斜め前方上向きに向くとともに、鏡面11Bが車両100の後方側を向くように、ミラー10A、10Bを回転させる。
【0039】
これにより、走行中の風圧による風Wを鏡面11Aに当てることができることから、かかる風Wによって鏡面11Aに付着した雨滴を吹き飛ばすことができる。さらに、実施形態では、鏡面11Aに付着した雨滴を除去している際にも、ミラー10Bで車両100の後方を視認することができる。
【0040】
すなわち、変形例1では、ミラー10Bで後方を視認しながら、ミラー10Aに付着した雨滴を除去することができる。したがって、変形例1によれば、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0041】
なお、変形例1では、ミラー10A、10Bを回転させてから所与の時間が経過した後に、回転機構30が、ミラー10A、10Bの向きを元に戻してもよいし、後方を向いたミラー10Bに雨滴が付着した際に、回転機構30が、ミラー10A、10Bの向きを元に戻してもよい。
【0042】
また、変形例1では、図2の(a)に示すように、ミラー10Aが後方側を向いた状態で、ミラー10Bが前方側を向いているとよい。これにより、ミラー10Aで後方を視認している際に、ミラー10Bに付着した雨滴を除去することができる。
【0043】
したがって、変形例1によれば、ミラー10Aとミラー10Bとを入れ替えた際に、ミラー10Bに雨滴が付着している状態になっていることを抑制することができる。
【0044】
また、変形例1では、実施形態と同様に、回転機構30が、かかる回転機構30を運転手が操作した場合に、ミラー10A、10Bを回転させてもよい。これにより、運転手が所望するタイミングでミラー10Aから雨滴を除去することができることから、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0045】
また、変形例1では、実施形態と同様に、回転機構30が、車両100の周囲に別の車両が走行していない場合に、ミラー10A、10Bを回転させてもよい。これにより、車両100がより安全な状況でミラー10A、10Bを回転させることができる。
【0046】
なお、図2の例では、ミラー10が筐体20に2つ設けられた例について示したが、筐体20に設けられるミラー10の数は2つに限られず、3つ以上のミラー10が設けられてもよい。
【0047】
<変形例2>
図3は、実施形態の変形例2に係るサイドミラー1の制御方法の一例を示す説明図である。図3に示す変形例2では、サイドミラー1の構成が上述の実施形態および変形例1と異なる。
【0048】
具体的には、変形例2に係るサイドミラー1は、図3の(a)に示すように、筐体20に複数(図3では2つ)のミラー10A、10Bを備える。
【0049】
ミラー10Aは、鏡面11Aを有し、かかる鏡面11Aが車両100の後方側を向くように筐体20に支持される。ミラー10Bは、鏡面11Bを有し、かかる鏡面11Bが車両100の前方側を向くように筐体20の内部に収容される。
【0050】
そして、回転機構30(図1の(a)参照)は、車両100に対する雨滴の付着が検知された場合に、図3の(b)に示すように、車両100(図1の(a)参照)の車体に対してミラー10A、10Bを回転させる。変形例2において、回転機構30は、たとえば、ミラー10A、10Bを筐体20の内側で入れ替えるように回転させる。
【0051】
そして、回転機構30は、図3の(c)に示すように、ミラー10A、10Bを回転させて、ミラー10Aとミラー10Bとを入れ替える。すなわち、回転機構30は、鏡面11Bが車両100の後方側を向くとともに、鏡面11Aが車両100の前方側を向くようにミラー10A、10Bを回転させる。
【0052】
これにより、雨滴が付着したミラー10Aと、雨滴が付着していないミラー10Bとを入れ替えることができる。したがって、変形例2によれば、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0053】
また、変形例2では、筐体20が、走行中の風圧による風Wをかかる筐体20の内部に導く導入部21を有しているとよい。これにより、導入部21によって筐体20の内部に導かれた風Waを、雨滴が付着したミラー10Aの鏡面11Aに当てることができる。
【0054】
すなわち、変形例2では、ミラー10Bで後方を視認しながら、ミラー10Aに付着した雨滴を風Waで効率よく除去することができる。したがって、変形例2によれば、車両100の後方に対する視認性をさらに向上させることができる。
【0055】
なお、図3の例では、導入部21を通流した風Waを雨滴が付着した鏡面11(図3では鏡面11A)に当てる例について示したが、たとえば、筐体20に内蔵されるファンからの風を雨滴が付着した鏡面11に当ててもよい。
【0056】
これによっても、ミラー10Bで後方を視認しながら、ミラー10Aに付着した雨滴を効率よく除去することができる。
【0057】
また、変形例2では、ミラー10A、10Bを回転させてから所与の時間が経過した後に、回転機構30が、ミラー10A、10Bを元の位置に戻してもよいし、後方を向いたミラー10Bに雨滴が付着した際に、回転機構30が、ミラー10A、10Bを元の位置に戻してもよい。
【0058】
また、変形例2では、実施形態と同様に、回転機構30が、かかる回転機構30を運転手が操作した場合に、ミラー10A、10Bを回転させてもよい。これにより、運転手が所望するタイミングでミラー10Aとミラー10Bとを入れ替えることができることから、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0059】
また、変形例2では、実施形態と同様に、回転機構30が、車両100の周囲に別の車両が走行していない場合に、ミラー10A、10Bを回転させてもよい。これにより、車両100がより安全な状況でミラー10A、10Bを入れ替えることができる。
【0060】
なお、図3の例では、ミラー10が筐体20に2つ設けられた例について示したが、筐体20に内蔵されるミラー10の数は2つに限られず、3つ以上のミラー10が内蔵されてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態に示した構成と、ここまで説明した変形例2の構成とを組み合わせて、サイドミラー1の制御を行ってもよい。たとえば、車両100が走行を開始する際や走行時に周辺の車両が比較的多い場合には、変形例2に示した制御を実施し、走行時に周辺の車両が少ない場合には、実施形態に示した制御を実施してもよい。
【0062】
これにより、車両100がより安全な状況でサイドミラー1の視認性を向上させることができる。
【0063】
<変形例3>
図4は、実施形態の変形例3に係るサイドミラー1の制御方法の一例を示す説明図である。変形例3に係るサイドミラー1は、図4の(a)に示すように、筐体20に1つのミラー10が設けられる。
【0064】
そして、かかるミラー10は、両面に鏡面11Aおよび鏡面11Bを有する。かかる鏡面11Aは、車両100の後方側を向くように位置し、鏡面11Bは、車両100の前方側を向くように筐体20の内部に収容される。
【0065】
そして、回転機構30(図1の(a)参照)は、車両100に対する雨滴の付着が検知された場合に、図4の(b)に示すように、車両100(図1の(a)参照)の車体に対してミラー10を回転させる。変形例2において、回転機構30は、たとえば、鏡面11A、11Bを入れ替えるように回転させる。
【0066】
そして、回転機構30は、図4の(c)に示すように、ミラー10を回転させて、鏡面11Aと鏡面11Bとを入れ替える。すなわち、回転機構30は、鏡面11Bが車両100の後方側を向くとともに、鏡面11Aが車両100の前方側を向くようにミラー10を回転させる。
【0067】
これにより、雨滴が付着した鏡面11Aと、雨滴が付着していない鏡面11Bとを入れ替えることができる。したがって、変形例3によれば、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0068】
また、変形例3では、筐体20が、走行中の風圧による風Wをかかる筐体20の内部に導く導入部21を有しているとよい。これにより、導入部21によって筐体20の内部に導かれた風Waを、雨滴が付着した鏡面11Aに当てることができる。
【0069】
すなわち、変形例3では、鏡面11Bで後方を視認しながら、鏡面11Aに付着した雨滴を風Waで効率よく除去することができる。したがって、変形例3によれば、車両100の後方に対する視認性をさらに向上させることができる。
【0070】
なお、図4の例では、導入部21を通流した風Waを雨滴が付着した鏡面11(図4では鏡面11A)に当てる例について示したが、たとえば、筐体20に内蔵されるファンからの風を雨滴が付着した鏡面11に当ててもよい。
【0071】
これによっても、鏡面11Bで後方を視認しながら、鏡面11Aに付着した雨滴を効率よく除去することができる。
【0072】
また、変形例3では、鏡面11A、11Bを入れ替えてから所与の時間が経過した後に、回転機構30が、鏡面11A、11Bを元の位置に戻してもよいし、後方を向いた鏡面11Bに雨滴が付着した際に、回転機構30が、鏡面11A、11Bを元の位置に戻してもよい。
【0073】
また、変形例3では、実施形態と同様に、回転機構30が、かかる回転機構30を運転手が操作した場合に、ミラー10を回転させてもよい。これにより、運転手が所望するタイミングで鏡面11Aと鏡面11Bとを入れ替えることができることから、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0074】
また、変形例3では、実施形態と同様に、回転機構30が、車両100の周囲に別の車両が走行していない場合に、ミラー10を回転させてもよい。これにより、車両100がより安全な状況で鏡面11A、11Bを入れ替えることができる。
【0075】
また、上記の実施形態に示した構成と、ここまで説明した変形例3の構成とを組み合わせて、サイドミラー1の制御を行ってもよい。たとえば、車両100が走行を開始する際や走行時に周辺の車両が比較的多い場合には、変形例3に示した制御を実施し、走行時に周辺の車両が少ない場合には、実施形態に示した制御を実施してもよい。
【0076】
これにより、車両100がより安全な状況でサイドミラー1の視認性を向上させることができる。
【0077】
<制御処理の手順>
続いては、実施形態に係るサイドミラー1の制御処理の手順について、図5を参照しながら説明する。図5は、実施形態に係るサイドミラー1の制御方法の手順を示すフローチャートである。
【0078】
最初に、回転機構30は、運転者が回転機構30を操作したか否かを判定する(ステップS101)。そして、運転者が回転機構30を操作した場合(ステップS101,Yes)、回転機構30は、車両100の車体に対してミラー10を回転させる(ステップS102)。
【0079】
さらに、回転機構30は、ミラー10を回転させてから所与の時間が経過した後に、ミラー10の向きを元に戻し(ステップS103)、一連の処理を完了する。
【0080】
ここまで説明した処理によって、運転者は、雨滴が除去されたミラー10を用いて車両100の後方を視認することができる。したがって、実施形態によれば、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0081】
一方で、運転者が回転機構30を操作していない場合(ステップS101,No)、回転機構30は、車両100に対して雨滴が付着したか否かを判定する(ステップS104)。
【0082】
そして、車両100に対する雨滴の付着が検知された場合(ステップS104,Yes)、ステップS102の処理に移行する。一方で、車両100に対する雨滴の付着が検知されていない場合(ステップS104,No)、一連の処理を完了する。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、車両100に対して雨滴が付着したことを検知した都度、ミラー10を回転させる例について示したが、必ずしも車両100に対して雨滴が付着したことを検知した都度、ミラー10を回転させる必要は無い。
【0084】
たとえば、回転機構30は、車両100に対する雨滴の付着を検知した回数や頻度、あるいは雨滴の付着を検知してからの経過時間などに応じて、ミラー10を回転させてもよい。また、回転機構30は、車両100に対する雨滴の付着を検知した後、所定の周期で定期的にミラー10を回転させてもよい。
【0085】
さらに、所定の周期で定期的にミラー10を回転させる場合、かかる所定の周期は、車両100に搭載されたワイパーの稼働速度に応じて設定されてもよい。たとえば、回転機構30は、車両100に搭載されたワイパーの稼働速度が所与のしきい速度以上である場合、ワイパーの稼働速度が所与のしきい速度よりも遅い場合と比較して、短い周期でミラー10を回転させるとよい。
【0086】
これによっても、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。なお、かかるしきい速度は、1つ設定されていてもよいし、複数設定されていてもよい。
【0087】
また、回転機構30は、ミラー10の鏡面11に付着する雨滴の個数や面積などに応じて、ミラー10を回転させてもよい。これによっても、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。さらにこの場合、雨滴の付着が少なく、視認性がそれほど悪化していない場合にもミラー10が回転することを抑制することができる。
【0088】
なおこの場合、回転機構30は、たとえば、鏡面11の状態を検知するカメラやセンサなどからの情報によって、鏡面11に付着する雨滴の個数や面積を検知することができる。
【0089】
実施形態に係るサイドミラー装置(サイドミラー1)は、鏡面11を有するミラー10と、ミラー10を車体に支持する筐体20と、運転者が操作した場合および水滴の付着が検知された場合の少なくとも一方の場合に、車体に対してミラー10を回転させる回転機構30と、を備える。これにより、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0090】
また、実施形態に係るサイドミラー装置(サイドミラー1)において、回転機構30は、周囲に別の車両が走行していない場合に、ミラー10を回転させる。これにより、車両100がより安全な状況で鏡面11に付着した雨滴を吹き飛ばすことができる。
【0091】
また、実施形態に係るサイドミラー装置(サイドミラー1)において、回転機構30は、ミラー10を前後方向または左右方向に回転させる。これにより、鏡面11に付着した雨滴を効率よく除去することができる。
【0092】
また、実施形態に係るサイドミラー装置(サイドミラー1)において、回転機構30は、ミラー10を筐体20ごと回転させる。これにより、走行中の風圧による風Wを鏡面11に当てることができる。
【0093】
また、実施形態に係るサイドミラー装置(サイドミラー1)において、回転機構30は、走行中の風圧による風Wが鏡面11に対して当たるように、ミラー10を筐体20ごと回転させる。これにより、鏡面11に付着した雨滴を効率よく除去することができる。
【0094】
また、実施形態に係るサイドミラー装置(サイドミラー1)において、筐体20には、複数のミラー10A、10Bが配置され、回転機構30は、複数のミラー10A、10Bを回転させて、1つのミラー10Aと別のミラー10Bとを入れ替える。これにより、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0095】
また、実施形態に係るサイドミラー装置(サイドミラー1)において、ミラー10は、両面に鏡面11A、11Bを有し、回転機構30は、ミラー10を回転させて、1つの鏡面11Aと別の鏡面11Bとを入れ替える。これにより、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0096】
また、実施形態に係るサイドミラー装置(サイドミラー1)の制御方法は、車両100に対する水滴(雨滴)の付着を検知する検知工程(ステップS103)と、車両100に対して水滴(雨滴)が付着した場合に、鏡面11を有するミラー10を回転させる回転工程(ステップS102)と、を含む。これにより、車両100の後方に対する視認性を向上させることができる。
【0097】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 サイドミラー(サイドミラー装置の一例)
10、10A、10B ミラー
11、11A、11B 鏡面
20 筐体
21 導入部
30 回転機構
100 車両
W、Wa 風
図1
図2
図3
図4
図5