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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】水切り仮固定治具
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/00 20060101AFI20240417BHJP
   E04B 1/64 20060101ALN20240417BHJP
【FI】
E04F21/00 C
E04B1/64 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020193466
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082104
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】前川 敏晴
(72)【発明者】
【氏名】木内 智子
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-266576(JP,A)
【文献】実開昭59-000007(JP,U)
【文献】実開昭59-075841(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2011-0008210(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/36- 1/61
E04B 1/64
E04D 13/15
E04B 2/56- 2/70
E06B 1/56- 1/60
E04F 21/00
E04F 21/18
E04G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水切りを正位置に仮固定するための水切り仮固定治具であって、
躯体に設けられる壁受金物に固定される固定部と、
前記固定部と連結され正位置に配置された前記水切りを上方から押さえる押さえ部と、を有し、
前記押さえ部は、前記水切りに設けられた上方に開口する溝部に上方から嵌合可能な凸部、および前記水切りに設けられた上方に突出する突出部に上方から嵌合可能な凹部の少なくとも一方を有する水切り仮固定治具。
【請求項2】
前記押さえ部は、前記水切りの先端側に位置し、前記水切りを前記先端側から押さえる先端側押さえ部を有する請求項1に記載の水切り仮固定治具。
【請求項3】
前記固定部は、前記押さえ部よりも上方となる位置に固定される請求項1又は2に記載の水切り仮固定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水切り仮固定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の内部に雨水が入り込むことを防止したり、建物の見栄えを良くしたりするために、建物の外壁材の下縁部に沿うように水切りを設けている(例えば、特許文献1および2参照)。水切りは、長尺の部材で、梁などの躯体や躯体に設けられる壁受金物などに固定されている。水切りの施工時には、作業者は、取り付け位置に配置した水切りを片手で押さえ、もう片方の手で水切りを躯体や壁受金物にビス打ちしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平4-20513号公報
【文献】特開平10-266576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、水切り材は、外壁材の下縁部の位置、すなわち床面より低い位置に設けられる。このため、作業者は、床面よりも低い位置に水切りを固定しなければならず、作業時の姿勢が安定しないことがある。これにより、作業者が水切りを確実に押さえられず、水切りが正位置からずれて落下したり、水切りを押さえる力によって、水切りが歪んでしまったりする虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、水切りを正位置に安定した状態に仮固定することができる水切り仮固定治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る水切り仮固定治具は、水切りを正位置に仮固定するための水切り仮固定治具であって、躯体に設けられる壁受金物に固定される固定部と、前記固定部と連結され正位置に配置された前記水切りを上方から押さえる押さえ部と、を有し、前記押さえ部は、前記水切りに設けられた上方に開口する溝部に上方から嵌合可能な凸部または凹部を有する。
【0007】
本発明では、押さえ部の凸部を正位置に配置された水切りに設けられた上方に開口する溝部に上方から嵌合させる、または押さえ部の凹部を正位置に配置された水切りに設けられた上方に突出する凸部に上方から嵌合させて、固定部を躯体に固定することにより、水切りを正位置に安定した状態に仮固定することができる。
これにより、水切りを躯体に固定する際に、作業者が水切りを手で押さえる必要が無いため、水切りが落下することを防止できるとともに、水切りを容易に固定することができる。
【0008】
また、本発明に係る水切り仮固定治具では、前記押さえ部は、前記水切りの先端側に位置し、前記水切りを前記先端側から押さえる先端側押さえ部を有していてもよい。
このような構成とすることにより、水切りが先端側(室外側)に移動することを防止でき、水切りを正位置に安定した状態に仮固定することができる。また、押さえ部の凸部または凹部と、先端側押さえ部と、の複数の箇所で水切りを押さえるため、水切りの位置が振れることを防止できる。
【0009】
また、本発明に係る水切り仮固定治具では、前記固定部は、前記押さえ部よりも上方となる位置に固定されてもよい。
このような構成とすることにより、固定部を、低い位置にある水切りを押さえる押さえ部よりも高い位置に固定するため、固定部の躯体への固定作業を行いやすい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水切りを正位置に安定した状態に仮固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】建物の外周部の縦断面図である。
図2】本発明の実施形態による水切り仮固定治具の一例を示す斜視図である。
図3図2のA-A線断面図である。
図4】水切り仮固定治具の正面図である。
図5】水切り仮固定治具の平面図である。
図6】水切り仮固定治具の室内側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態による水切り仮固定治具について、図1図6に基づいて説明する。
図1に示すように、水切り2は、建物11の梁材13(躯体)に設けられ固定された壁受金物14に固定される。水切り2は、外壁材12の下に設置される。本実施形態では、水切り2の下側に下階の外壁材121が配置されている。なお、水切り2の下側には、基礎の立ち上がり部などが配置されていてもよい。図2に示すように、本実施形態による水切り仮固定治具1は、壁受金物14に水切り2を仮固定するために使用される。壁受金物14は、梁材13に固定されているため、建物11の躯体とする。
図1に戻り、梁材13は、H形鋼やI形鋼などの鉄骨梁である。壁受金物14は、長尺の部材で、梁材13の長さ方向に延びる向きで梁材13の上に接合されている。
【0013】
壁受金物14は、梁材13の上フランジ131に重なって固定される固定板部141と、固定板部141から上方に突出する背板部142と、を有している。
固定板部141は、平板状に形成され、板面が水平となる向きで上フランジ131の上に接合されている。固定板部141は、室内側(図1では右側)の部分が上フランジ131の鉛直方向の上側に位置し、室外側の部分が上フランジ131よりも室外側に突出している。固定板部141は、上フランジ131とボルト接合されている。固定板部141の室外側の部分は、外壁材12の下に配置される。固定板部141の室外側の端部は、外壁材12の室外側の端面よりも室内側に位置している。
【0014】
背板部142は、断面形状がL字形の部材である。背板部142は、L字形を形成する平板状の第1片142aおよび第2片142bを有している。第1片142aは、板面が水平となる向きで固定板部141の上面に接合されている。第2片142bは、第1片142aの室外側の縁部から上方に突出している。第2片142bは、板面が室内外方向(図1の矢印Bの方向)を向く鉛直面となっている。
背板部142は、固定板部141の室内外方向の中間部の上に配置され、梁材13の上フランジ131の室外側の縁部よりも室外側に位置している。すなわち、背板部142は、ボルト143よりも室外側において固定板部141から上方に突出している。固定板部141の背板部142よりも室外側の部分には、水切り2が取り付けられている。
【0015】
水切り2は、長尺の形材で、長さ方向に直交する断面形状が、長さ方向全体にわたって略同じ形状となっている。水切り2は、長さ方向が梁材13および壁受金物14の長さ方向と同じ方向となるように配置される。
水切り2は、例えば、アルミニウム製のアルミ水切りである。水切り2は、長尺の形材で、長さ方向が梁材13および壁受金物14の長さ方向と同じ方向となる向きに配置される。
【0016】
水切り2は、下板部41と、外板部42と、を有している。下板部41は、外壁材12の下側に配置されている。外板部42は、下板部41の室外側の縁部から下方に延び、下階の外壁材121の室外側に配置されている。
下板部41は、室内外方向の中間部に、長さ方向に延びて上方に開口する溝部44が形成されている。下板部41は、溝部44の室内側に位置する第1下板部45と、溝部44の室内側に位置する第2下板部46と、溝部44を形成する第1溝板部47、第2溝板部48および第3溝板部49と、を有している。
【0017】
第1下板部45は、壁受金物14の固定板部141の背板部142よりも室外側の部分の上に配置される。第1下板部45は、水平部451と、傾斜部452と、を有している。水平部451は、平板状に形成され、板面が水平となる向きに配置される。傾斜部452は、水平部451の室内側の縁部に接続され、水平部451に対して傾斜している。傾斜部452は、その面が室内側に向かって漸次上側に向かう傾斜面となっている。
第1下板部45の水平部451は、壁受金物14の上に配置される。第1下板部45の水平部451の下面は、壁受金物14の上面と面接触している。第1下板部45の室外側の縁部は、壁受金物14の室外側の縁部よりも室外側に位置している。
【0018】
第1溝板部47は、第1下板部45の室外側の縁部から室外側に向かって漸次下側に向かう斜めに延びている。第2溝板部48は、第2下板部46の室内側の縁部から室内側に向かって漸次下側に向かう斜めに延びている。第1溝板部47の下縁部と、第2溝板部48の下縁部とは、室内外方向に間隔をあけ、同じ高さに配置されている。第3溝板部49は、平板状に形成され、板面が水平面となる向きに配置される。第3溝板部49は、室内側の縁部が第1溝板部47の下縁部と接続され、室外側の縁部が第2溝板部48の下縁部と接続されている。第1溝板部47と第2溝板部48との間で第3溝板部49の上側が溝部44となっている。溝部44は、壁受金物14の室外側に配置されている。
【0019】
第2下板部46は、平板状に形成され、板面が水平面となる向きに配置される。第2下板部46は、第1下板部45の平板部と同じ高さに配置される。第2下板部46は、外壁材12の下側に配置される。
外板部42は、第2下板部46の室外側の縁部から室外側に向かって漸次下側に向かう第1外板部421と、第1外板部421の室外側の縁部から下側に延びる第2外板部422と、を有している。第1外板部421および第2外板部422は、外壁材12の室外側に配置されている。
【0020】
本実施形態による水切り2は、壁受金物14に取り付けられ、ビスなどの固定具で壁受金物14に固定される。水切り2は、長さ方向の両端部それぞれの近傍がビスなどの固定具で壁受金物14に固定される。
壁受金物14に取り付けられた水切り2の上には、外壁材12が設置される。外壁材12の下端面は、水切り2の下板部41と対向し、外壁材12の室内側の面の下端部近傍は、背板部142の第2片142bの室外側の面と対向する。
本実施形態では、外壁材12の角部には、鉛直面および水平面に対して斜めとなる面取り部122が形成されている。外壁材12の下端面と室内側の面との角部の面取り部122は、第1下板部45の傾斜部452と対向するように配置される。
【0021】
図2および図3に示すように、水切り仮固定治具1は、壁受金物14の上に置いた水切り2が位置ずれしないように、水切り2を正位置に仮固定可能に構成されている。以下説明では、水切り仮固定治具1は、水切り2を仮固定している姿勢であるものとする。
図3から図6に示すように、水切り仮固定治具1は、壁受金物14(図3参照)に固定される固定部5と、水切り2(図3参照)を上方から押さえる押さえ部6と、を有している。固定部5と押さえ部6とは接合、または一体に形成されている。
【0022】
押さえ部6は、鋼板などで平板状に形成され、板面が水切り2(図3参照)の長さ方向を向く姿勢で水切り2の上に配置される。押さえ部6は、上縁部62が水平となる直線状に延び、室内側の室内縁部63および室外側の室外縁部64が鉛直となる直線状に延びている。室内縁部63は、上縁部62の室内側の端部から下側に延びている。室外縁部64は、上縁部62の室外側の端部から下側に延びている。室外縁部64は、室外縁部64よりも長い。室外縁部64の下端部は、室内縁部63の下端部よりも下方に位置している。押さえ部6の下部側には、下側に突出する第1凸部65、第2凸部66および第3凸部67が形成されている(図3および図4参照)。
【0023】
図4に示すように、押さえ部6の下縁部61は、室内縁部63の下端部から室外側に向かって漸次下側に向かう斜めに延びる第1下縁部601と、第1下縁部601の室外側の端部から室外側に水平に延びる第2下縁部602と、第2下縁部602の室外側の端部から上側に延びる第3下縁部603と、第3下縁部603の上端部から室外側に延びる第4下縁部604と、第4下縁部604の室外側の端部から下側に延びる第5下縁部605と、第5下縁部605の下縁部61から室外側に延びる第6下縁部606と、第6下縁部606の室外側の端部から室外側に向かって漸次下側に向かう斜めに延びる第7下縁部607と、第7下縁部607の下端部から室外側に水平に延びる第8下縁部608と、第8下縁部608の室外側の縁部から室外側に向かって漸次上側に向かう斜めに延びる第9下縁部609と、第9下縁部609の上端部から室外側に向かって水平に延びる第10下縁部610と、第10下縁部610の室外側の縁部から上側に延びる第11下縁部611と、第11下縁部611の上端部から室外側に延びる第12下縁部612と、第12下縁部612の室外側の端部から下側に延びる第13下縁部613と、第13下縁部613の下端部から室外側に延びて室外縁部64の下端部と接続される第14下縁部614と、を有している。
【0024】
第2下縁部602、第6下縁部606、第10下縁部610は、同じ高さに配置されている。第4下縁部604と第12下縁部612とは、同じ高さに配置されている。第4下縁部604および第12下縁部612は、第2下縁部602、第6下縁部606および第10下縁部610よりも上側に配置されている。第8下縁部608は、第2下縁部602、第6下縁部606および第10下縁部610よりも下側に配置されている。第14縁部は、第8下縁部608よりも下側に配置されている。
第1凸部65は、第1下縁部601、第2下縁部602および第3下縁部603に囲まれている。第2凸部66(凸部)は、第7下板部、第8下板部および第9下板部に囲まれている。第3凸部67(先端側押さえ部)は、第13下板部、第14下板部および室外縁部64の下部側に囲まれている。図3に示すように、第2凸部66は、水切り2の溝部44に対応する形状に形成されている。
【0025】
室内側縁63から第2凸部66までの水平距離は、背板部142の第2片142bの室外側の面と、壁受金物14に取り付けられた水切り2の溝部44までの水平距離と同じ値に設定されている。
室内縁部63から第13下縁部613までの水平距離は、背板部142の第2片142の室外側の面と、壁受金物14に取り付けられた水切り2の第2外板部422の室外側の面までの水平距離と同じ値または、やや大きい値に設定されている。
【0026】
固定部5は、押さえ部6の上縁部62に接合される上板部51と、上板部51の室内側の端部から下側に延びて押さえ部6の室内縁部63よりも室内側に位置する側板部52と、側板部52に挿通される仮固定ボルト53と、を有している。固定部5は、鋼板などを加工して製作されている。
上板部51は、平板状に形成され、板面が水平面となる向きで押さえ部6の上縁部62に接合されている。側板部52は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く向きに配置されている。
側板部52と押さえ部6の室内縁部63とは、室内外方向に間隔をあけて配置されている。
【0027】
側板部52には、孔部521が形成され、孔部521に仮固定ボルト53が挿通されるナット54が接合されている。図3に示すように、側板部52の孔部521およびナット54に室内側から仮固定ボルト53が挿通されると、仮固定ボルト53の先端部(室外側の端部)が押さえ部6の室内縁部63と室内外方向に対向する。仮固定ボルト53の孔部521およびナット54への挿し込み寸法を調整することで、仮固定ボルト53の先端部と押さえ部6の室内縁部63との間隔を調整できるように構成されている。
【0028】
押さえ部6には、室外側かつ上側となる位置に、板面を貫通する孔部68が形成されている。この孔部68には、水切り仮固定治具1を保管する際につるしたり、保管位置に固定したりするためのロープなどを通すことが可能となっている。
【0029】
水切り仮固定治具1を用いた水切り2の仮固定方法について説明する。
まず、壁受金物14の上に水切り2を仮置きする。
続いて、水切り2の長さ方向の両端部近傍それぞれの上に水切り仮固定治具1を設置する。水切り仮固定治具1は、水切り2をビスなどの固定具で固定する位置と干渉しない位置に設置する。
【0030】
側板部52と押さえ部6の室内縁部63との間に、壁受金物14の背板部142の第2片142bおよび第2片142bを挟む立ち上がり板部35および折り返し板部36を配置する。側板部52を背板部142の第2片142bの室内側に配置し、押さえ部6を背板部142の第2片142bの室外側に配置する。
押さえ部6の室内縁部63を立ち上がり板部35の室外側の面に沿わせ、押さえ部6の下縁部61を水切り2の上に沿わせる。
【0031】
このとき、押さえ部6の第2凸部66を水切り2の溝部44に挿入する。押さえ部6の第7下縁部607を溝部44の第1溝板部47と接触させる。押さえ部6の第8下縁部608を溝部44の第3溝板部49と接触させる。押さえ部6の第9下縁部609を溝部44の第2溝板部48と接触させる。押さえ部6の室内縁部63を立ち上がり板部35の室外側の面に沿わせた状態で、第2凸部66を水切り2の溝部44に挿入することで、水切り2は、正位置に拘束される。
押さえ部6の第1下縁部601を水切り2の第1下板部45の傾斜部452と接触または隙間をあけて対向させる。押さえ部6の第2下縁部602および第5下縁部605を水切り2の第1下板部45の水平部451の上面と接触させる。押さえ部6の第2下縁部602は、第1凸部65の下縁部となる。押さえ部6の第10下縁部610を水切り2の第2下板部46の上面と接触させる。
押さえ部6の第3凸部67を水切り2の第2外板部422の室外側に配置し、押さえ部6の第13下縁部613を水切り2の第2外板部422の室外側の縁部と接触させる、または隙間をあけて対向させる。
【0032】
続いて、仮固定ボルト53を締めて、仮固定ボルト53の先端部を壁受金物14の背板部142の第2片142bの室内側の面に当てる。仮固定ボルト53と押さえ部6とで背板部142の第2片142bおよび立ち上がり板部35を室内外方向から挟んだ状態とし、水切り仮固定治具1を動かないように固定する。
これにより、水切り2が正位置に仮固定され、作業者が水切り2から手を放しても、水切り2が位置ずれしたり、外れたりすることが無い。
この状態で、水切り2をビスなどの固定具で壁受金物14に固定する。本実施形態では、水切り2を壁受金物14にビスなどの固定具で固定する位置の近くに水切り仮固定治具1が設置されるため、水切り2を壁受金物14に固定した際の締結力によって水切り2が位置ずれしたり歪んだりすることを抑えることができる。
水切り2を壁受金物14に固定したら、仮固定ボルト53を緩めて水切り仮固定治具1を壁受金物14から取り外す。
【0033】
次に、上述した本発明の実施形態による水切り仮固定治具の作用・効果について図面を用いて説明する。
本発明の実施形態による水切り仮固定治具1では、押さえ部6の第2凸部66を水切り2に設けられた上方に開口する溝部44に上方から嵌合させて、固定部5を壁受金物14に固定することにより、水切り2を正位置に安定した状態に仮固定することができる。
これにより、作業者が水切り2を正位置に手で押さえる必要が無いため、水切り2を壁受金物14に固定する際に、水切り2が落下することを防止できるとともに、水切り2を壁受金物14に容易に固定することができる。
【0034】
また、上記の実施形態による水切り仮固定治具1では、押さえ部6は、水切り2の室外側に位置し、水切り2を室外側から押さえる第3凸部67を有している。
これにより、水切り2が室外側に移動することを防止でき、水切り2を正位置に安定した状態に仮固定することができる。
また、押さえ部6の第1凸部65、第2凸部66および第3凸部67の複数の箇所で水切り2を押さえるため、押さえ部6で押さえた水切り2の位置が振れることを防止できる。
【0035】
また、上記の実施形態による水切り仮固定治具1では、固定部5は、壁受金物14における水切り2よりも上方となる立ち上がり板部35に固定される。
これにより、固定部5を壁受金物14に容易に固定することができる。
【0036】
以上、本発明による水切り仮固定治具の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、水切り仮固定治具1の押さえ部6には、水切り2を室外側から押さえる第3凸部67が設けられているが、水切り2を室外側から押さえる機構が設けられていなくてもよい。また、押さえ部6の下縁部61の形状は、上記以外であってもよい。
【0037】
また、上記の実施形態では、水切り仮固定治具1は、壁受金物14の立ち上がり板部35に固定されるが、水切り仮固定治具1が固定される位置は上記以外であってもよい。水切り仮固定治具1が躯体に固定される機構は、上記以外であってもよい。また、水切り仮固定治具1は、例えば仮固定ボルト53を用いずに、クリップなどで固定されてもよい。
【0038】
また、上記の実施形態では、水切り2は、アルミニウム製のアルミ水切りであるが、水切り2の材質は上記以外であってもよい。また、水切りの形状は、上記以外であってもよい。
【0039】
また、上記の実施形態では、水切り2に上方に開口する溝部44が形成され、水切り仮固定治具の押さえ部6に溝部44に上方から嵌合する第2凸部66が形成されている。これに対し、水切り2に上方に突出する突出部が形成され、水切り仮固定治具1の押さえ部6に突出部に上方から嵌合する凹部が形成されていてもよい。また、水切りに溝部44および突出部の両方が形成され、水切り仮固定治具1の押さえ部6に溝部44および突出部に嵌合する凸部および凹部の両方が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 水切り仮固定治具
2 水切り
5 固定部
6 押さえ部
13 梁材(躯体)
14 壁受金具
44 溝部
66 第2凸部(凸部)
67 第3凸部(先端側押さえ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6