(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】検出機構、およびシリンジポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/145 20060101AFI20240417BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A61M5/145 508
A61M5/172
(21)【出願番号】P 2020503575
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2019007587
(87)【国際公開番号】W WO2019168039
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2018037593
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 学
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-094377(JP,A)
【文献】特開平06-339528(JP,A)
【文献】特開2004-305361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
A61M 5/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースとの間に検出対象が挿入されることで、前記ケースに取り付けられる基端側を中心に回動する回動部と、
前記回動部に取り付けられた磁石と、
前記ケースに収容され、前記磁石により形成される磁界を検出する磁気センサと、
前記磁気センサによって検出された検出結果に基づいて前記検出対象の挿入状態を検出する制御部と、
樹脂製のバネと、
を備え、
前記回動部は、前記検出対象を保持し、
前記ケースは後壁部を備え、
前記ケースには、前記基端側の前記回動部を回動可能に支持する軸部が取り付けられる回動支持部が形成され、
前記回動支持部は、前記回動部と交差する方向に延在する側壁部であり、
前記樹脂製のバネは、略U字状に形成され、前記回動部と前記ケースの後壁部との間に配置されて、前記回動部を付勢し、
前記磁石と前記磁気センサとの間に間隙があり、
前記検出対象の一部が前記間隙に挿入されることにより、前記磁気センサの検出結果が変化する、
検出機構。
【請求項2】
前記磁石は、前記回動部の先端側に取り付けられる
請求項1に記載の検出機構。
【請求項3】
前記回動部は、前記バネによって前記磁気センサ側に向けて付勢される
請求項1又は2に記載の検出機構。
【請求項4】
前記ケースには、前記回動部に対して前記検出対象の挿入位置とは反対側に壁部が形成され、
前記バネは、前記回動部と前記壁部との間に設けられる
請求項3に記載の検出機構。
【請求項5】
シリンジのフランジを検出する検出機構を備えたシリンジポンプであって、
前記検出機構は、
前記シリンジを着脱可能なケースと、
前記ケースとの間に前記フランジが挿入されることで、前記ケースに取り付けられる基端側を中心に回動する回動部と、
前記回動部に取り付けられた磁石と、
前記ケースに収容され、前記磁石により形成される磁界を検出する磁気センサと、
前記磁気センサによって検出された検出結果に基づいて前記フランジの挿入状態を検出する制御部と
樹脂製のバネと、
を備え、
前記回動部は、前記シリンジを保持し、
前記ケースは後壁部を備え、
前記ケースには、前記基端側の前記回動部を回動可能に支持する軸部が取り付けられる回動支持部が形成され、
前記回動支持部は、前記回動部と交差する方向に延在する側壁部であり、
前記樹脂製のバネは、略U字状に形成され、前記回動部と前記ケースの後壁部との間に配置されて、前記回動部を付勢し、
前記磁石と前記磁気センサとの間に間隙があり、
前記フランジの一部が前記間隙に挿入されることにより、前記磁気センサの検出結果が変化する、
シリンジポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出機構、およびシリンジポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、シリンジポンプにおいて、シリンジのフランジがフランジ収容部に挿入されたか否かを、検出部材を用いて検出することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記技術では、検出部材がケースに形成された孔に挿入されてケースから突出しており、水分や薬剤がケースに形成された孔からケース内に浸入するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記を課題の一例とするものであり、水分や薬剤がケース内に浸入することを抑制する検出機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る検出機構は、ケースと、前記ケースとの間に検出対象が挿入されることで、前記ケースに取り付けられる基端側を中心に回動する回動部と、前記回動部に取り付けられた磁石と、前記ケースに収容され、前記磁石により形成される磁界を検出する磁気センサと、前記磁気センサによって検出された検出結果に基づいて前記検出対象の挿入状態を検出する制御部と、樹脂製のバネとを備える。前記回動部は、前記検出対象を保持する。前記ケースは後壁部を備える。前記ケースには、前記基端側の前記回動部を回動可能に支持する軸部が取り付けられる回動支持部が形成される。前記回動支持部は、前記回動部と交差する方向に延在する側壁部である。前記樹脂製のバネは、略U字状に形成され、前記回動部と前記ケースの後壁部との間に配置されて、前記回動部を付勢しする。前記磁石と前記磁気センサとの間に間隙があり、前記検出対象の一部が前記間隙に挿入されることにより、前記磁気センサの検出結果が変化する。
【0007】
本発明の一態様によれば、水分や薬剤がケース内に浸入することを抑制する検出機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、シリンジが載置されていない状態における第1実施形態に係るシリンジポンプの概略斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、シリンジが載置されている状態における第1実施形態に係るシリンジポンプの概略斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るシリンジポンプの概略正面図である。
【
図4A】
図4Aは、噛み合い部がリードスクリューに噛み合う連結状態を示す断面図である。
【
図4B】
図4Bは、噛み合い部がリードスクリューに噛み合わない解放状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、フランジ挿入判定制御を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係るシリンジポンプのシリンジ検知ユニットの周囲を拡大した概略斜視図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るシリンジポンプのシリンジ検知ユニットの周囲を拡大した概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る検出機構、および検出機構を備えたシリンジポンプについて説明する。なお、以下の説明で参照する各図面において、各要素の寸法の関係や比率等は実物と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一の役割を果たす構成要素には同一の符号が付されている。
【0010】
以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、シリンジポンプ1のケース2の延伸方向をX軸方向および前後方向とし、鉛直方向に平行な方向をZ軸方向および上下方向とし、X軸およびZ軸に直交する方向をY軸方向とする。なお、ケース2の延伸方向は、シリンジ100の押し子102を押圧する方向と平行である。
【0011】
また、X軸正方向を「前方」とし、X軸負方向を「後方」とし、前方に移動することを「前進」とし、後方に移動することを「後退」とする。また、Y軸正方向を「手前」とし、Y軸負方向を「奥側」とする。
【0012】
第1実施形態に係るシリンジポンプ1について
図1A、
図1Bおよび
図2を参照し説明する。
図1Aは、シリンジ100が載置されていない状態における第1実施形態に係るシリンジポンプ1の概略斜視図である。
図1Bは、シリンジ100が載置されている状態における第1実施形態に係るシリンジポンプ1の概略斜視図である。
図2は、第1実施形態に係るシリンジポンプ1の概略平面図である。
【0013】
シリンジポンプ1は、ケース2と、駆動ユニット3と、シリンジ検知ユニット4とを備える。シリンジ検知ユニット4は、検出機構を構成する。
【0014】
ケース2には、シリンジ100が載置される置き台2Aが形成される。置き台2Aは、前後方向に沿って形成される。置き台2Aには、シリンジ100の筒部101を置き台2Aに固定するクランプ2Bが設けられる。クランプ2Bは、例えば、置き台2Aに回動可能に取り付けられ、シリンジ100を置き台2Aに固定する固定位置と、シリンジ100を着脱可能な着脱位置との間で回動可能である。なお、クランプ2Bは、スライドさせることでシリンジ100を置き台2Aに固定し、着脱可能としてもよい。
【0015】
また、ケース2には、置き台2Aに隣接する凹部2Cが形成される。ケース2には、前後方向に沿って凹部2Cと置き台2Aとが並んで形成され、凹部2Cは、置き台2Aよりも後方に形成される。凹部2Cは、置き台2Aよりも奥側に窪むように形成される。
【0016】
凹部2Cには、前後方向と直交する面2Dから、蛇腹25に覆われたシャフト17が突出し、シャフト17に接続されるスライダ18が設けられる。
【0017】
駆動ユニット3について、
図3を参照し説明する。
図3は、駆動ユニット3の斜視図である。なお、
図3では、説明のため一部の構成を省略している。駆動ユニット3の一部は、ケース2に収容される。
【0018】
駆動ユニット3は、一対の平板部10a、10bと、モータ11と、ギア群12と、リードスクリュー13と、噛み合い部14と、受け部材15と、一対のガイドシャフト16と、シャフト17と、スライダ18と、切替レバー19と、一対の把持部20a、20bと、押出機構21とを有する。
【0019】
平板部10a、10bは、前後方向に直交するように設けられ、ケース2(
図1参照)内に収容され、ケース2に固定される。なお、一対の平板部10a、10bのうち、スライダ18に近い後方側の平板部10aを第1平板部10aとし、第1平板部10aよりもスライダ18から遠い前方側の平板部10bを第2平板部10bとして称する場合がある。
【0020】
モータ11は、たとえば、HB(Hybrid)モータやステッピングモータなどであり、第1平板部10aに取り付けられる。ギア群12は、直列に連結される複数のギアで構成され、第1平板部10aに回転可能に取り付けられる。ギア群12は、モータ11により発生された駆動力をリードスクリュー13に伝達する。なお、モータ11およびギア群12は、第2平板部10bに取り付けられてもよい。
【0021】
リードスクリュー13は、平板部10a、10bに回転可能に支持される。リードスクリュー13は、モータ11から、ギア群12を経由して駆動力が伝達されることにより、所定の回転方向に回転する。リードスクリュー13には、らせん溝(不図示)が形成されている。
【0022】
噛み合い部14は、シャフト17の内側シャフト17bに固定される。噛み合い部14は、
図4Aに示すように、リードスクリュー13と向かい合うハーフナット14aを備える。ハーフナット14aには、リードスクリュー13に形成されたらせん溝に噛み合い可能な歯形状を有する噛合面14bが形成される。
図4Aは、噛み合い部14がリードスクリュー13に噛み合う連結状態を示す断面図である。
【0023】
噛み合い部14は、モータ11からスライダ18への駆動力伝達状態を、モータ11からスライダ18へ駆動力が伝達される連結状態と、モータ11からスライダ18へ駆動力が伝達されない解放状態との間で変更する。
【0024】
噛み合い部14は、
図4Aに示す連結状態から、切替レバー19(
図3参照)が操作されると、内側シャフト17bとともに
図4Bに示すように回動する。これにより、噛合面14bが、らせん溝から離間し、噛合面14bと、らせん溝との噛み合いが解除され、駆動力伝達状態は、解放状態となる。
図4Bは、噛み合い部14がリードスクリュー13に噛み合わない解放状態を示す断面図である。
【0025】
駆動力伝達状態が連結状態となっており、リードスクリュー13を所定の回転方向に回転させると、噛み合い部14によって、回転運動が直線運動に変換されて、噛み合い部14が前進する。なお、駆動力伝達状態が解放状態となっている場合には、手動によってスライダ18(
図3参照)を容易に前後方向に移動させることができる。
【0026】
図3に戻り、受け部材15は、一対の壁部15a、15bを有し、噛み合い部14に隣接して設けられ、前後方向において噛み合い部14を挟持するように配置される。
【0027】
一対のガイドシャフト16は、ともに平板部10a、10bで支持され、前後方向に沿って延びる。一対のガイドシャフト16は、受け部材15を前後方向に移動可能となるように支持する。
【0028】
シャフト17は、円筒状の外側シャフト17aと、外側シャフト17aに挿通される内側シャフト17bとを備える。
【0029】
外側シャフト17aの後方の端部は、スライダ18に取り付けられ、前方の端部は、例えば、ケース2(
図1参照)に摺動可能に支持される。外側シャフト17aは、回転することはない。ケース2から突出する外側シャフト17aは、蛇腹25に覆われている。
【0030】
内側シャフト17bは、前方で噛み合い部14に固定され、後方で切替レバー19に連結されている。そのため、内側シャフト17bは、切替レバー19が操作されて回動した場合に、外側シャフト17aの中で回動する。
【0031】
スライダ18は、内側シャフト17bと一体となって、ケース2の凹部2C(
図1参照)を前後方向に移動する。スライダ18は、シリンジ100の押し子102に当接した状態で前方に移動することで、押し子102を押圧し、シリンジ100内の薬剤を送出させる。
【0032】
切替レバー19は、初期位置から回動することで、駆動力伝達状態を、連結状態から解放状態に切り替える。また、切替レバー19は、初期位置から回動することで、把持部20a、20bを回動させつつ、押出機構21によって把持部20a、20bを押し子102よりも前方に押し出すことができる。
【0033】
把持部20a、20bは、切替レバー19が初期位置から回動すると、互いに離間するように回動し、押出機構21によって前方に押し出される。これにより、把持部20a、20bは、押し子102の周縁の外側を通り、押し子102よりも前方に押し出される。その後、切替レバー19が初期位置に向けて回動すると、把持部20a、20bは、互いが近接するように回動するとともに、後退する。これにより、把持部20a、20bとスライダ18とにより押し子102が挟持され、把持される。
【0034】
次に、シリンジ検知ユニット4について、
図5を参照し説明する。
図5は、
図2のV-V断面図である。
【0035】
シリンジ検知ユニット4は、フランジホルダ30と、磁石31と、磁気センサ32と、検出装置33(
図6参照)とを備える。
【0036】
フランジホルダ30は、シャフト17(
図3参照)が突出する凹部2Cの面2Dに向かい合うように設けられる。フランジホルダ30は、凹部2Cを形成する奥側の面2Eに略L字状の板バネ35を介して取り付けられる。フランジホルダ30は、板バネ35を介してケース2に回動可能に支持される。なお、ここでは、板バネ35が取り付けられるフランジホルダ30の奥側を基端とし、手前側を先端とする。フランジホルダ30は、回動部を構成する。
【0037】
フランジホルダ30は、板バネ35によって凹部2Cの面2Dに向けて付勢されている。そのため、フランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間に、検出対象であるフランジ101aが挿入されていない場合には、フランジホルダ30は、凹部2Cの面2Dに当接している。そして、フランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間にフランジ101aが挿入されると、フランジホルダ30は、凹部2Cの面2Dから離間するように回動する。
【0038】
磁石31は、フランジホルダ30に形成された取付部30aに挿入され、フランジホルダ30に固定される。磁石31は、フランジホルダ30の先端側、例えば、フランジホルダ30の基端と先端との中間よりも先端側に設けられる。
【0039】
磁気センサ32は、ケース2内に設けられ、凹部2Cの面2Dの近傍に設けられる。磁気センサ32は、磁石31によって形成される磁界を検出する。例えば、磁気センサ32は、ホールICである。
【0040】
次に、検出装置33について、
図6を参照し説明する。
図6は、検出装置33のブロック図である。検出装置33は、ケース2に収容される。
【0041】
検出装置33は、通信部40と、記憶部41と、制御部42と備える。
【0042】
通信部40は、磁気センサ32から送信される磁界に関する信号を受信する。また、通信部40は、表示部50へ制御信号を送信する。
【0043】
表示部50は、例えば、液晶表示装置や、発光装置である。表示部50は、ケース2に設けられる。なお、表示部50は、音声出力装置を含んでもよい。
【0044】
記憶部41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、もしくはフラッシュメモリのような半導体メモリ素子、ハードディスクのような記憶デバイスである。
【0045】
制御部42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、制御部42は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0046】
制御部42は、ROMに記憶されたプログラム(図示略)をRAMを作業領域として使用して実行することにより機能する複数の処理部を備える。具体的には、制御部42は、検出部42aと、判定部42bと、生成部42cとを備える。制御部42は、複数の制御部によって構成されてもよく、各処理部は複数の処理部によって構成されてもよく、統合されて構成されてもよい。
【0047】
検出部42aは、磁気センサ32から送信される信号に基づいて磁界を検出する。
【0048】
判定部42bは、検出部42aによって検出された検出結果に基づいてフランジ101aがフランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間に挿入されたか否かを判定する。すなわち、判定部42bは、フランジ101aの挿入状態を検出する。具体的には、判定部42bは、検出値が予め設定された所定値よりも小さいか否かを判定する。
【0049】
フランジ101aがフランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間に挿入されると、フランジホルダ30が凹部2Cの面2Dから離間するため、磁気センサ32によって検出される磁界が小さくなる。
【0050】
判定部42bは、検出値が所定値よりも小さい場合に、フランジ101aがフランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間に挿入され、フランジ101aが挿入されたと判定する。
【0051】
生成部42cは、判定部42bによる判定結果に基づいて、表示部50への制御信号を生成する。生成部42cは、フランジ101aがフランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間に挿入された場合には、例えば、フランジ101aが挿入されたことを知らせる画像を表示部50に表示させる制御信号を生成する。
【0052】
生成部42cによって生成された制御信号が表示部50に送信されることで、表示部50にフランジ101aがフランジホルダ30と面2Dとの間に挿入されたことが表示される。
【0053】
次に、フランジ挿入判定制御について、
図7を参照し説明する。
図7は、フランジ挿入判定制御を説明するフローチャートである。
【0054】
検出装置33は、磁気センサ32を用いて磁石31で形成される磁界を検出する(S10)。検出装置33は、検出値が所定値よりも小さいか否かを判定する(S11)。
【0055】
検出装置33は、検出値が所定値よりも小さい場合には(S11:Yes)、フランジ挿入表示を行う(S12)。検出装置33は、フランジ101aがフランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間に挿入されたことを示す制御信号を生成し、制御信号を表示部50に送信する。これにより、表示部50にフランジ101aが挿入されたことが表示される。
【0056】
検出装置33は、検出値が所定値以上の場合には(S11:No)、今回の処理を終了する。なお、検出装置33は、フランジ101aがフランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間に挿入されていないことを示す制御信号を生成し、制御信号を表示部50に送信してもよい。
【0057】
シリンジポンプ1は、フランジホルダ30に設けられた磁石31により形成される磁界をケース2内に設けた磁気センサ32によって検出する。そして、シリンジポンプ1は、検出結果に基づいてフランジ101aが挿入されたか否かを判定する。
【0058】
これにより、ケース2にフランジ101aの挿入を検出するための孔を形成せずに、シリンジポンプ1は、凹部2Cの面2Dとフランジホルダ30との間にフランジ101aが挿入されたか否かを判定することができる。従って、シリンジポンプ1は、ケース2に水分や薬剤がかかった場合に、ケース2内に水分や薬剤が浸入することを抑制することができる。
【0059】
また、シリンジポンプ1は、磁石31と、磁気センサ32とによって磁界を検出することができ、部品点数を少なくすることができる。
【0060】
フランジホルダ30は、板バネ35によって、磁気センサ32側、すなわち凹部2Cの面2Dに向けて付勢される。これにより、フランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間にフランジ101aが挿入されていない場合には、フランジホルダ30は凹部2Cの面2Dに当接する。そのため、フランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間に隙間が生じている場合と比較して、シリンジポンプ1は、フランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間にフランジ101aが挿入された場合の磁界の変化を大きくすることができる。従って、シリンジポンプ1は、フランジ101aがフランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間に挿入されたか否かをより正確に判定することができる。
【0061】
なお、磁石31は、フランジホルダ30の先端に設けられてもよい。これにより、フランジホルダ30の回動に対する磁界の変化を大きくすることができる。すなわち、シリンジポンプ1は、フランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間にフランジ101aが挿入された場合の磁界の変化を大きくすることができる。そのため、シリンジポンプ1は、フランジ101aがフランジホルダ30と凹部2Cの面2Dとの間に挿入されたか否かをより正確に判定することができる。
【0062】
次に、第2実施形態に係るシリンジポンプ1について
図8~
図11を参照し説明する。ここでは、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明し、第1実施形態と同じ構成などについての説明は省略する。
図8は、第2実施形態に係るシリンジポンプ1のシリンジ検知ユニット4の周囲を拡大した概略斜視図である。
図9は、第2実施形態に係るシリンジポンプ1のシリンジ検知ユニット4の周囲を拡大した概略平面図である。
図10は、
図9のX-X断面図である。
図11は、
図9のXI-XI断面図である。
【0063】
なお、第2実施形態に係るシリンジポンプ1のケース60として、第1実施形態に係るシリンジポンプ1のケース2に対して凹部60Cが短縮された一例を示すが、これに限られることはなく、第1実施形態に係るシリンジポンプ1のケース2と同様の長さであってもよい。
【0064】
シリンジポンプ1のケース60の凹部60Cには、フランジホルダ70の一部が収容される収容部61が形成される。収容部61は、Z軸方向に並んで2つ形成される。収容部61は、Y軸正方向側、すなわち手前側が開口するように形成される。なお、ここでは、Z軸負方向側に形成される収容部61を第1収容部62と称し、第1収容部62よりもZ軸正方向側に形成される収容部61を第2収容部63と称する。
【0065】
第1収容部62と、第2収容部63との間には、シャフト17(
図1A参照)および蛇腹25が配置される。なお、第1収容部62と第2収容部63とは、一体に形成されてもよい。
【0066】
第1収容部62は、凹部60Cの面60Dと、後壁部62aと、一対の側壁部62bと、底部62cとによって形成される。後壁部62aは、フランジホルダ70に対してフランジ101a(
図5参照)が挿入される挿入位置とは反対側に形成される。すなわち、後壁部62aは、フランジホルダ70よりも後方に形成される。後壁部62aは、壁部を構成する。
【0067】
後壁部62aには、バネ81の第1突出部81aが挿入される孔62dが形成される。一対の側壁部62bは、後壁部62aと凹部60Cの面60Dとを接続し、Z軸方向において対向するように形成される。
【0068】
底部62cは、Y軸負方向側、すなわち奥側に形成される。底部62cには、フランジホルダ70を回動可能に支持する円弧状の支持面62eが形成される。
【0069】
第2収容部63は、凹部60Cの面60Dと、後壁部63aと、一対の側壁部63bと、底部63cとによって形成される。後壁部63aは、フランジホルダ70に対してフランジが挿入される箇所とは反対側に形成される。すなわち、後壁部63aは、フランジホルダ70よりも後方に形成される。
【0070】
一対の側壁部63bは、後壁部63aと凹部60Cの面60Dとを接続し、Z軸方向において対向するように形成される。なお、一対の側壁部63bのうち、Z軸正方向側の側壁部63bは、凹部60Cの面60Eを含んでもよい。一対の側壁部63bには、軸部80が挿入される孔(不図示)が形成される。すなわち、一対の側壁部63bには、軸部80が取り付けられる。
【0071】
フランジホルダ70には、第1挿入部71と、第2挿入部72とが形成される。第1挿入部71、および第2挿入部72は、Y軸負方向側、すなわち奥側に向けて延びるように形成される。
【0072】
第1挿入部71は、第1収容部62に挿入される。第1挿入部71の基端部71aは、第1収容部62の底部62cに形成された支持面62eに摺動可能となるように円弧状に形成される。すなわち、第1挿入部71は、第1収容部62の底部62cに回動可能に支持される。
【0073】
なお、フランジホルダ70には、第1収容部62の後壁部62aと向かい合う面、すなわち、後方側の面に凹部70aが形成される。凹部70aには、バネ81の一端が挿入される。また、Y軸正方向側、すなわち手前側の凹部70aには、バネ81の第2突出部81bが挿入される孔70bが形成される。
【0074】
第2挿入部72は、第2収容部63に挿入される。第2挿入部72の基端部72aには、軸部80が挿入される挿入孔72bが形成される。挿入孔72bは、Z軸方向に沿って形成される。なお、フランジホルダ70の先端側には、磁石31が取り付けられる取付部31aが形成される。
【0075】
フランジホルダ70は、軸部80を介してケース60に回動可能に支持される。具体的には、フランジホルダ70は、ケース60の第2収容部63を形成する一対の側壁部63bに取り付けられた軸部80に対して回動自在である。なお、軸部80がケース60に対して回動自在であり、フランジホルダ70が軸部80と一体となって回動してもよい。すなわち、軸部80は、フランジホルダ70を回動可能に支持する。一対の側壁部63bは、回動支持部を構成する。
【0076】
フランジホルダ70と第1収容部62の後壁部62aとの間には、略U字状に形成されたバネ81が配置される。バネ81は、樹脂製である。バネ81の後端に形成された第1突出部81aは、第1収容部62の後壁部62aに形成された孔62dに挿入される。また、バネ81の前端に形成された第2突出部81bは、フランジホルダ70の凹部70aに形成された孔70bに挿入される。バネ81は、第1収容部62の後壁部62aに支持され、フランジホルダ70を前方に向けて付勢する。すなわち、フランジホルダ70は、磁気センサ32(
図5参照)側となる凹部60Cの面60Dに向けて付勢される。なお、バネ81は、突出部81aを有することなく、後壁部62aと当接して保持されてもよい。また、この場合、後壁部62aには、孔62dが形成されなくてもよい。
【0077】
また、フランジホルダ70は、第1収容部62に収容される第1挿入部71の基端部71aに軸部80を設けてもよい。また、バネ81は、第2収容部63の後壁部63aと、フランジホルダ70との間に設けられてもよい。
【0078】
なお、第2実施形態に係るシリンジポンプ1におけるフランジ挿入判定制御は、第1実施形態に係るシリンジポンプ1におけるフランジ挿入判定制御と同じであり、説明は省略する。
【0079】
上記した第2実施形態に係るシリンジポンプ1の構成を有さないシリンジポンプでは、例えば、フランジホルダを付勢するバネがネジなどによってケースに取り付けられる。しかしながら、この場合、ネジとケースとの間に隙間が生じ易くなる。例えば、フランジホルダを回動する際にバネを介してネジに応力がかかり、ネジとケースとの間に隙間が生じるおそれがある。そのため、ケースに水分や薬剤がかかった場合に、ケース内に水分や薬剤が浸入するおそれがある。また、ネジや、例えば、金属製のバネが用いられると、ケース内の電気部品に対する絶縁性が低下するおそれがある。
【0080】
これに対し、第2実施形態に係るシリンジポンプ1では、フランジホルダ70の第2挿入部72の基端部72aを回動可能に支持する軸部80が取り付けられる側壁部63bがケース60に形成される。
【0081】
これにより、シリンジポンプ1は、例えば、ネジなどを用いずにフランジホルダ70を回動可能に支持することができる。そのため、シリンジポンプ1は、ケース60に水分や薬剤がかかった場合に、ケース60内に水分や薬剤が浸入することを抑制することができる。
【0082】
また、シリンジポンプ1では、フランジホルダ70が軸部80を介してケース60に回動可能に支持されており、フランジホルダ70を後方に回動させる場合に、フランジホルダ70の基端部71a、72aを凹部60Cの面60Dに当接させずに回動させることができる。そのため、フランジホルダ70の後方への回動が凹部60Cの面60Dによって妨げられることを抑制することができる。すなわち、シリンジポンプ1は、フランジホルダ70を後方へ容易に回動させることができ、フランジ101a(
図5参照)を容易に挿入することができ、また、フランジホルダ70の回動範囲を大きくすることができる。
【0083】
また、シリンジポンプ1は、第1収容部62を形成する後壁部62aとフランジホルダ70との間にバネ81を設ける。これにより、シリンジポンプ1は、例えば、金属製のネジを用いずにバネ81を保持することができる。そのため、シリンジポンプ1は、ケース60内の電気部品に対する絶縁性を向上させることができる。
【0084】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 シリンジポンプ、2 ケース、4 シリンジ検知ユニット、30 フランジホルダ、31 磁石、32 磁気センサ、33 検出装置、35 板バネ、42a 検出部、42b 判定部、42c 生成部、60 ケース、61 収容部、62 第1収容部、62a 後壁部、63 第2収容部、70 フランジホルダ、80 軸部、100 シリンジ、102 フランジ