(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】多重特異性抗体とその作製及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240417BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240417BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240417BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240417BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20240417BHJP
C07K 16/32 20060101ALI20240417BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240417BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240417BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240417BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240417BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240417BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240417BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240417BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240417BHJP
A61K 39/44 20060101ALI20240417BHJP
A61K 31/7034 20060101ALI20240417BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240417BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240417BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240417BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/46
C12N15/62 Z
C07K16/28
C07K16/30
C07K16/32
C07K16/18
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K47/68
A61K45/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/395 Y
A61K39/44
A61K31/7034
A61K31/7088
A61P35/00
A61P43/00 121
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2020520430
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 US2018039157
(87)【国際公開番号】W WO2019005640
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-22
(32)【優先日】2017-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517218697
【氏名又は名称】システィミューン, インク.
【氏名又は名称原語表記】SYSTIMMUNE, INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】522263714
【氏名又は名称】バイリ-バイオ(チェンドゥ)ファーマスーティカル シーオー.,エルティーディー.
【住所又は居所原語表記】139 Baili Road, Wenjiang District, Chengdu, Sichuan 611130, the People’ s Republic of China.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ツー, イ
(72)【発明者】
【氏名】オルセン, オーレ
(72)【発明者】
【氏名】シア, ドン
(72)【発明者】
【氏名】ジェリーマン, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ブイコワ, カトリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ルソー, アン-マリー
(72)【発明者】
【氏名】ブレイディ, ビル
(72)【発明者】
【氏名】レンショー, ブレア
(72)【発明者】
【氏名】コヴァセヴィチ, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】リアン, ユー
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, ゼレン
【審査官】牧野 晃久
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525551(JP,A)
【文献】国際公開第2016/105450(WO,A2)
【文献】特表2017-511139(JP,A)
【文献】特表2002-512020(JP,A)
【文献】国際公開第2016/205277(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/059387(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00ー 15/90
C07K 16/00- 16/46
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N末端及びC末端を有する四重特異性抗体モノマーであって、
N末端からC末端まで直列に、
N末端に第一のscFvドメイン、
第二のscFvドメイン、
Fabドメイン、
Fcドメイン、及び
C末端に第三のscFv、
を含み、
前記第一のscFvドメインはCD19、第二のscFvドメインはCD3、Fabドメインは4-1BB、第三のscFvドメインはPD-L1に対して結合特異性を有し、
前記第一のscFvドメインは、配列番号26に示される3つの相補性決定領域(CDR)及び配列番号28に示される3つのCDRを含み、
前記第二のscFvドメインは、配列番号2に示される3つのCDR及び配列番号4に示される3つのCDRを含み、
前記Fabドメインは、配列番号14に示される3つのCDR及び配列番号16に示される3つのCDRを含み、
前記第三のscFvドメインは、配列番号10に示される3つのCDR及び配列番号12に示される3つのCDRを含む、四重特異性抗体モノマー。
【請求項2】
前記第一のscFvドメイン、第二のscFvドメイン、又は第三のscFvドメインがgly-gly-gly-gly-ser (G4S)
nリンカーを含み、前記nは2、3、又は4である、請求項1に記載の四重特異性抗体モノマー。
【請求項3】
請求項1に記載の四重特異性抗体モノマーを含む四重特異性抗体。
【請求項4】
配列番号38と98%以上の同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号40と98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の四重特異性抗体。
【請求項5】
請求項3に記載の四重特異性抗体のアミノ酸配列をコードする、単離された核酸分子。
【請求項6】
請求項5に記載の単離された核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項7】
宿主細胞であって、前記宿主細胞が原核細胞又は真核細胞である、請求項5記載の単離された核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項8】
請求項3に記載の四重特異性抗体又は請求項1に記載の四重特異性抗体モノマーの生産方法であって、
前記四重特異性抗体又は四重特異性抗体モノマーをコードするDNA配列が発現されるように、単離された
核酸を含む宿主細胞を培養する工程、及び
前記四重特異性抗体又は四重特異性抗体モノマーを精製する工程を含み、
前記単離された
核酸は、配列番号38と98%以上の同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号40と98%以上の同一性を有するアミノ酸配列
をコード
する、
生産方法。
【請求項9】
精製された請求項3に記載
の四重特異性抗体を含む、がんの治療又は予防用の医薬組成物。
【請求項10】
リンカーを介して請求項3に記載の四重特異性抗体に連結された細胞毒性剤又は造影剤を含み、
前記リンカーが、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ジスルフィド結合、イミド結合、スルホン結合、リン酸結合、リンエステル結合、ペプチド結合、疎水性ポリ(エチレングリコール)リンカー、又はそれらの組み合わせを含む、
免疫複合体。
【請求項11】
前記細胞毒性剤が、カリケアマイシン、有糸分裂阻害剤、毒素、放射性同位体、毒素、治療薬、又はそれらの組み合わせの一群から選ばれる、化学療法剤、増殖阻害剤、又は細胞毒性剤を含む、請求項10に記載の免疫複合体。
【請求項12】
薬学的に許容される担体と、請求項3に記載の四重特異性抗体、請求項10に記載の免疫複合体の1つ又はその両方とを含む、医薬組成物。
【請求項13】
放射性同位体、放射性核種、毒素、抗体、酵素、化学療法剤又はそれらの組み合わせから選択される治療薬をさらに含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
がんを有するヒト対象の治療用の医薬組成物であって、
有効量の請求項3に記載
の四重特異性抗体を含む、医薬組成物。
【請求項15】
前記治療が、有効量の治療薬を共投与する工程を含み、前記治療薬が、抗体、化学療法剤、酵素、抗エストロゲン剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、チェックポイント阻害剤、DNA、RNA又は、蛋白質合成阻害剤、RAS阻害剤、PD1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA4阻害剤、4-1BB阻害剤、OX40阻害剤、GITR阻害剤、ICOS阻害剤、LIGHT阻害剤、TIM3阻害剤、LAG3阻害剤、TIGIT阻害剤、CD40阻害剤、CD27阻害剤、HVEM阻害剤、BTLA阻害剤、VISTA阻害剤、B7H4阻害剤、CSF1R阻害剤、NKG2D阻害剤、CD73阻害剤、CD3阻害剤、CD19阻害剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
この出願は、2017年6月25日出願の米国仮特許出願第62524558号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本明細書の開示は、典型的には、生物学的治療の技術分野に関し、より具体的には、多重特異性抗体の作製及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
がん細胞は、免疫システムを回避するためのさまざまな戦略を実施する。免疫エスケープの根底にあるメカニズムの1つは、免疫系によるがん細胞の認識の低下である。がん特異的抗原の欠陥のある提示又はその欠如は、免疫寛容及びがんの進行をもたらす。効果的な免疫認識が存在する場合、腫瘍は他のメカニズムを使用して免疫系による排除を回避する。免疫能のある腫瘍は抑制性の微小環境を作り出し、免疫応答をダウンレギュレートする。腫瘍細胞、制御性T細胞、骨髄由来サプレッサー細胞、間質細胞、その他の細胞型など、抑制性の腫瘍微小環境の形成には複数のプレーヤーが関与している。免疫応答の抑制は、免疫抑制性サイトカインの分泌又は局所環境からの不可欠な生存因子の除去を介して、細胞接触依存型及び接触非依存型で実行され得る。細胞接触依存性抑制は、細胞表面に発現する分子(例えば、プログラムドデスリガンド1(PD-L1)、Tリンパ球関連蛋白質4(CTLA-4)、及び他の分子)に依存している(Dunn, et al., 2004, Immunity, 21(2): 137-48、Adachi & Tamada, 2015, Cancer Sci., 106(8): 945-50)。
【0004】
腫瘍が免疫系による認識を回避するメカニズムがよりよく理解され続けるにつれて、これらのメカニズムを標的とする新しい治療法が最近現れてきた。2011年3月25日に、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能又は転移性メラノーマの治療のためのイピリムマブ注射(ヤーボイ、ブリストル・マイヤーズスクイブ)を承認した。ヤーボイは、活性化T細胞に発現する細胞傷害性Tリンパ球関連蛋白質4(CTLA-4)に結合し、CTLA-4と抗原提示細胞のCD80/86との相互作用をブロックし、それにより、CTLA-4を介してT細胞に送達されるネガティブ又は阻害シグナルをブロックし、多くの患者で腫瘍の根絶につながる抗原特異的T細胞の再活性化をもたらす。数年後の2014年、FDAは進行性メラノーマの治療薬としてキイトルーダ(ペンブロリズマブ、メルク)とオプジーボ(ニボルマブ、ブリストルマイヤーズスクイブ)を承認した。これらのモノクローナル抗体は、活性化及び/又は疲弊T細胞で発現するPD-1に結合し、腫瘍で発現したPD-L1とPD-1の相互作用をブロックし、それにより、PD-1を介したT細胞への阻害シグナルが除去され、その結果、抗原特異的T細胞が再活性化され、多くの患者で再び腫瘍が根絶される。それ以降、進行性メラノーマの治療において、単一のモノクローナル抗体ヤーボイをモノクローナル抗体ヤーボイとオプジーボの組み合わせと比較する追加の臨床試験が実施され、抗体の組み合わせで治療された患者の全生存期間と無増悪生存期間の改善を示した(Hodi et al., 2016, Lancet Oncol. 17(11):1558-1568、Hellman et al., 2018, Cancer Cell 33(5):853-861)。但し、多くの臨床試験では、1つ以上の免疫チェックポイント分子に特異的なモノクローナル抗体でがん患者を治療することの大きな利点が示され、抗原特異的T細胞によって認識される新規T細胞エピトープを生成する高い変異負荷を有する患者のみが臨床反応を示すというデータが浮かび上がってきた(Snyder et al., 2014, NEJM 371:2189-2199)。腫瘍の変異負荷が低い患者は、目的の臨床反応をほとんど示さない(Snyder et al., 2014, NEJM 371:2189-2199、Hellman et al., 2018, Cancer Cell 33(5):853-861)。
【0005】
近年、他のグループは、T細胞を活性化する抗原提示細胞によるネオエピトープ提示の存在を必要としない代替アプローチを開発した。一例は、二重特異性抗体の開発である。ここで、腫瘍関連抗原(例えば、CD19)に特異的な抗体の結合ドメインが、T細胞上のCD3に特異的な抗体結合ドメインにリンクされ、従って、二重特異性T細胞エンゲージャー又はBiTe分子を生成する。2014年、FDAは、前駆体B細胞急性リンパ芽球性白血病の治療のためにブリナツムマブ(Blinatumumab)と呼ばれる二重特異性抗体を承認した。ブリナツムマブは、白血病細胞に発現するCD19に特異的なscFvとT細胞に発現するCD3に特異的なscFvをリンクする。但し、再発又は難治性のALL患者の初期応答率が50%を超えているにもかかわらず、多くの患者はブリナツムマブ療法又はブリナツムマブによる治療の成功後の再発に抵抗力がある。ブリナツムマブに対する耐性またはブリナツムマブ治療後の再発は、活性化T細胞に発現するPD-1を介して抑制シグナルを駆動するPD-L1などの腫瘍細胞に発現する免疫チェックポイント阻害分子の発現に起因するという証拠が現れてきている(Feucht et al., 2016, Oncotarget 7(47):76902-76919)。ブリナツムマブによる治療に抵抗性を示した患者の事例研究では、PD-1に特異的で、T細胞発現PD-1と腫瘍細胞発現PD-L1との相互作用をブロックするモノクローナル抗体(ペンブロリズマブ(キートルーダ、メルク))を追加してブリナツムマブ療法のセカンドラウンドが行われたが、1人の患者では、劇的な反応が起こり、骨髄の腫瘍細胞が45%から5%未満に減少した(Feucht et al., 2016, Oncotarget 7(47):76902-76919)。これらの結果は、二重特異性BiTe分子を1つ以上のモノクローナル抗体と組み合わせることにより、いずれかの薬剤単独と比較して臨床活性が顕著に向上し得ることを示す。
【発明の概要】
【0006】
本明細書の開示は、特に、四重特異性抗体モノマー、四重特異性モノマーを含む抗体、それらの抗原結合断片、多重特異性抗体、本明細書に開示の抗体、又はモノマーを含む免疫複合体、本明細書に開示のモノマー、抗原結合断片、及び抗体を作製する方法、並びにがんを治療するために本明細書に開示の分子を使用する方法を提供する。
【0007】
一態様では、本願は、四重特異性抗体モノマーを提供する。一実施形態において、四重特異性抗体モノマーは、N末端及びC末端を有し、N末端からC末端まで直列に、N末端の第一のscFvドメイン、第二のscFvドメイン、Fabドメイン、Fcドメイン、及びC末端の第三のscFvを含む。第一のscFvドメイン、Fabドメイン、第二のscFvドメイン、及び第三のscFvドメインは、異なる抗原に対して結合特異性をそれぞれ有する。
【0008】
一実施形態では、抗原には、腫瘍抗原、免疫シグナル伝達抗原、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、第一のscFvドメイン、Fabドメイン、第二のscFvドメイン、及び第三のscFvドメインは、腫瘍抗原又は免疫シグナル伝達抗原に対する結合特異性をそれぞれ有する。一実施形態では、第一のscFvドメインは、腫瘍抗原に対する結合特異性を有する。一実施形態において、第一のscFvドメインは、免疫シグナル伝達抗原に対する結合特異性を有する。一実施形態では、第二のscFvドメインは、腫瘍抗原に対する結合特異性を有する。一実施形態では、第二のscFvドメインは、免疫シグナル伝達抗原に対する結合特異性を有する。一実施形態では、Fabドメインは、腫瘍抗原に対して結合特異性を有する。一実施形態において、Fabドメインは、免疫シグナル伝達抗原に対する結合特異性を有する。一実施形態では、第三のscFvドメインは、腫瘍抗原に対する結合特異性を有する。一実施形態では、第三のscFvドメインは、腫瘍抗原に対する結合特異性を有する。
【0009】
一実施形態では、四重特異性単量体は、第一のscFvドメイン、第二のscFvドメイン、Fabドメイン、及び第三のscFvドメインを含み、それぞれ独立して、CD19、CD3、CD137、4-1BB、PD-L1、ROR1、CD28、41BB、CEA、HER2、EGFRvIII、EGFR、LMP1、LMP2A、メソセリン、PSMA、EpCAM、glypimay-3、gpA33、GD2、TROP2、NKG2D、BCMA、CD20、CD33、CD123、CD22、CD30、PD1、OX40、GITR、TIGIT、TIM-3、LAG-3、CTLA4、CD40、VISTA、ICOS、BTLA、LIGHT、HVEM、CSF1R、CD73、及びCD39から選択される抗原に対する結合特異性を有する。一実施形態では、scFvドメイン、第二のscFvドメイン、Fabドメイン、及び第三のscFvドメインは、それぞれ独立して、限定されないが、CD19、CD3、CD137、ROR1、CEA、HER2、EGFR、EGFRvIII、LMP1、LMP2A、メソセリン、PSMA、EpCAM、glypimay-3、gpA33、GD2、TROP2、BCMA、CD20、CD33、CD123、CD22、CD30を含む腫瘍特異的抗原、又は、限定されないが、PD-L1、PD1、OX40、4-1BB、GITR、TIGIT、TIM-3、LAG-3、CTLA4、CD40、VISTA、ICOS、BTLA、Light、HVEM、CD73、CD39などを含む免疫チェックポイントモジュレーターに対する結合特異性を有する。一実施形態では、scFvドメインの1つのセットは、免疫チェックポイントモジュレーター又は腫瘍抗原に特異的に結合してもよい。CD3成分に特異的なscFvは、重鎖又は軽鎖のC又はN末端のいずれかにあってもよい。
【0010】
一実施形態では、第一のscFvドメイン、第二のscFvドメイン、Fabドメイン、及び第三のscFvドメインは、それぞれ独立して、CD19、CD3、CD137M、PD-L1、及び4-1BBから選択される抗原に対する結合特異性を有する。一実施形態では、第一のscFvドメインはCD19に対する結合特異性を有する。一実施形態では、第二のscFvドメインはCD3に対する結合特異性を有する。一実施形態では、Fabドメインは4-1BB又はCD137に対して結合特異性を有する。一実施形態では、第三のscFvドメインは、PD-L1に対する結合特異性を有する。
【0011】
一実施形態では、第一のscFvドメインはCD19に対する結合特異性を有し、2番目のscFvドメインはCD3に対する結合特異性を有し、Fabドメインは4-1BBに対する結合特異性を有し、且つ第三のscFvドメインはPD-L1に対する結合特異性を有する。一実施形態では、第一のscFvドメインはCD19に対する結合特異性を有する。第二のscFvドメインはCD3に対する結合特異性を有し、FabドメインはCD137に対する結合特異性を有し、且つ第三のscFvドメインはPD-L1に対する結合特異性を有する。
【0012】
scFvドメインは、scFvドメインを抗体の重鎖又は軽鎖に連結するリンカーを含んでいてもよい。一実施形態では、リンカーは10個を超えるアミノ酸を含んでもよい。一実施形態では、リンカーは、15個を超えるアミノ酸長を含んでいてもよい。一実施形態では、リンカーは20個未満のアミノ酸を含んでもよい。
【0013】
一実施形態では、リンカーは、gly-gly-gly-gly-ser (G4S)nリンカーを含んでもよく、nは1~20の整数であってもよい。例えば、nは2、4、又は6である。一実施形態では、第一のscFvドメイン、第二のscFvドメイン、又は第三のscFvドメインは、gly-gly-gly-gly-ser (G4S)nリンカーを含んでいてもよく、ここで、nは2又は4である。
【0014】
Fcドメインはヒト化されていてもよい。一実施形態では、FcドメインはヒトIgG1 Fcである。
【0015】
一実施形態では、本願は、配列番号38及び39とパーセンテージ相同性を有するアミノ酸配列を有する四重特異性抗体モノマーを提供する。パーセンテージ相同性は、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%以上である。
【0016】
本願はさらに、抗原結合断片を提供する。一実施形態では、本願はscFvドメインを提供する。一実施形態では、scFvドメインは、配列番号2、4、6、8、10、12、26、28、30、32とパーセンテージ相同性を有するアミノ酸配列を有し、パーセンテージ相同性は70%、80%、90%、95%、98%、又は99%以上である。一実施形態では、本願はFabドメインを提供する。一実施形態では、Fabドメインは、配列番号1~12、26~32とパーセンテージ相同性を有するアミノ酸配列を有し、パーセンテージ相同性は70%、80%、90%、95%、98%、又は99%以上である。本明細書に開示の抗原結合断片は、四重特異性抗体モノマー又は多特異性抗体を構築するために使用され得る。
【0017】
一態様では、本願は多重特異性抗体を提供する。一実施形態では、多重特異性抗体は、四重特異性抗体モノマーを含む。一実施形態において、多重特異性抗体は、本明細書に開示の2つの四重特異性抗体モノマーを含む。各四重特異性抗体モノマーは4つの抗原結合ドメインを有するため、開示された多重特異性抗体は8つの抗原結合ドメインを含んでいてもよい。一実施形態では、このような多重特異性抗体の抗原結合ドメインは、それぞれ独立して、異なる抗原に対する結合特異性を有し、そのため八重特異性抗体を提供する。一実施形態では、多重特異性抗体は五重特異性抗体である。一実施形態では、多重特異性抗体は五重特異性抗体である。一実施形態において、多重特異性抗体は、五重特異性抗体又は六重特異性抗体である。一実施形態では、多重特異性抗体は、五重特異性抗体又は七重特異性抗体である。
【0018】
一実施形態において、多重特異性抗体は、四重特異性抗体モノマーのダイマーを含み、それにより四重特異性抗体を提供する。一実施形態において、本願は、単離、精製、又は非天然に存在する多重特異性抗体を提供する。一実施形態では、本願は、配列番号37~40とパーセンテージ相同性を有するアミノ酸配列を有する四重特異性抗体を提供する。パーセンテージ相同性は70%、80%、90%、95%、98%、又は99%以上である。
【0019】
本願はさらに、四重特異性抗体モノマー、多重特異性抗体、又はそれらの抗原結合断片をコードする単離された核酸配列を提供する。一実施形態では、核酸は、配列番号37、38を有する四重特異性抗体モノマーとパーセンテージ相同性を有するアミノ酸配列をコードする。パーセンテージ相同性は70%、80%、90%、95%、98%、又は99%以上である。
【0020】
本願は、本明細書に開示の核酸配列を含む発現ベクター及び宿主細胞をさらに提供する。一実施形態では、宿主細胞は発現ベクターを含む。宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり得る。
【0021】
本願はさらに免疫複合体を提供する。一実施形態では、免疫複合体は、リンカーを介して本明細書に開示の多重特異性抗体に連結された細胞毒性剤又は造影剤を含む。
【0022】
リンカーは、切断可能又は切断不可能であってもよい。一実施形態では、リンカーは、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ジスルフィド結合、イミド結合、スルホン結合、リン酸結合、リンエステル結合、ペプチド結合、又はそれらの組み合わせなどの共有結合を含んでもよい。一実施形態では、リンカーは疎水性ポリ(エチレングリコール)リンカーを含む。
【0023】
細胞毒性剤は、カリケアマイシン、抗有糸分裂剤、毒素、放射性同位体、治療薬、又はそれらの組み合わせの一群から選ばれる、化学療法剤、増殖阻害剤、又は細胞毒性剤が含まれてもよい。一実施形態では、細胞毒性剤は、カリケアマイシン、オゾガマイシン、モノメチルオーリスタチンE、エムタンシン、それらの誘導体又は組み合わせを含む。
【0024】
造影剤は、造影目的に有用な任意の化合物であり得る。一実施形態では、造影剤は、放射性核種、蛍光剤、量子ドット、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0025】
本願はさらに医薬組成物を提供する。一実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体及び本明細書に開示の四重特異性抗体モノマーを含む。一実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体及び本明細書に開示の多重特異性抗体を含む。一実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体及び本明細書に開示の抗原結合断片を含む。一実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体及び本明細書に開示の免疫複合体を含む。
【0026】
一実施形態では、医薬組成物は治療薬をさらに含む。治療薬の例は、限定されないが、放射性同位元素、放射性核種、毒素、化学療法薬、抗体、酵素、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、治療薬は、抗エストロゲン剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、DNA、RNA、又は蛋白質合成阻害剤、RAS阻害剤、又はそれらの組み合わせを含む。
【0027】
一実施形態では、治療薬はチェックポイント阻害剤を含む。一実施形態では、治療薬はPD1、PDL1、CTLA4、4-1BB、OX40、GITR、ICOS、LIGHT、TIM3、LAG3、TIGIT、CD40、CD27、HVEM、BTLA、VISTA、B7H4、CSF1R、NKG2D、CD73、それらの誘導体又は組み合わせの阻害剤を含む。
【0028】
さらなる態様では、本願は、四重特異性抗体モノマー、多特異性抗体、それらの抗原結合断片、及びそれらの免疫複合体の作製方法を提供する。一実施形態では、方法は、抗体をコードするDNA配列が発現されるように本明細書に開示の核酸配列を含む宿主細胞を培養する工程、及び抗体を精製する工程を含む。一実施形態では、抗体は四重特異性抗体である。
【0029】
さらなる態様において、本願は、がん治療のために、四重特異性抗体モノマー、多特異性抗体、それらの抗原結合断片、及びそれらの免疫複合体を使用する方法を提供する。一実施形態において、方法は、四重特異性抗体モノマー、多重特異性抗体、それらの抗原結合断片、及びそれらの免疫複合体、又はそれらの医薬組成物を、そのような治療を必要とする対象に投与する工程を含む。一実施形態では、方法は、対象に有効量の四重特異性抗体を投与する工程を含む。
【0030】
一実施形態では、方法は、有効量の多重特異性モノマー、多重特異性抗体、免疫複合体、それらの抗原結合断片を腫瘍部位に直接注入する工程を含む。
【0031】
さまざまながんが、予防又は治療され得る。一実施形態において、がんは、ROR1、CEA、HER2、EGFR、EGFRVIII、LMP1、LMP2A、メソセリン、PSMA、EpCAM、glypimay-3、gpA33、GD2、TROP2、NKG2D、BCMA、PD-L1、4-1BB、CD3、CD19、CD20、CD33、CD137、CD123、CD22、又はCD30を発現する細胞を有し得る。がんの例は、限定されないが、乳がん、大腸がん、肛門がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん、皮膚ガン、黒色腫、卵巣がん、前立腺がん、尿道がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、脳腫瘍、神経膠腫、神経芽細胞腫、食道がん、胃がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、眼がん、肉腫、骨がん、白血病、骨髄腫又はリンパ腫を含む。
【0032】
一実施形態では、方法は、有効量の治療薬を共投与することをさらに含んでいてもよい。一実施形態では、治療薬は、抗体、化学療法薬、酵素、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、治療薬は、抗エストロゲン剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、DNA、RNA、又は蛋白質合成阻害剤、RAS阻害剤、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。一実施形態では、治療薬はチェックポイント阻害剤を含んでもよい。一実施形態では、治療薬は、PD1、PD-L1、cd19、cd3、cd137、CTLA4、4-1BB、OX40、GITR、ICOS、LIGHT、TIM3、LAG3、TIGIT、CD40、CD27、HVEM、BTLA、VISTA、B7H4、CSF1R、NKG2D、CD73、それらの誘導体又は組み合わせの阻害剤を含んでもよい。
【0033】
一実施形態では、治療薬はカペシタビン、シスプラチン、シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ムスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾロン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン、エトポシド、エピルビシン、ペメトレキセド、フォリン酸、ゲミシタビン、オキサリプラチン、イリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、セタキセル、パクリタキセル、フルベストラント、タモキシフェン、レトロゾール、エキセメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、テストラクトン、ボロゾール、フォルメスタン、ファドロゾール、エルロチニブ、ラファチニブ、ダサチニブ、ゲフィチニブ、オシメルチニブ、ヴァンダータニブ、アファチニブ、イマチニブ、パゾピニブ、ラパチニブ、スニチニブ、ニロチニブ、ソラフェニブ、ナブ-パリタキセル、エベロリムス、テムシロリムス、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、トラメチニブ、ビンタフォリド、アパチニブ、クリゾチニブ、ペリフォルシン、オラパリブ、ボルテゾミブ、トファシチニブ、トラスツズマブ、それらの誘導体又は組み合わせを含んでもよい。
【0034】
対象はヒトであってもよい。一実施形態では、対象はがんを患っていてもよい。本願は、本明細書に開示の多重特異性抗体、モノマー、又は免疫複合体の有効濃度を含む溶液をさらに提供する。一実施形態では、溶液は対象の血漿である。
【0035】
本明細書の開示の目的及び利点は、添付の図面に関連して、その例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになり得る。さらに他の実施形態は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。ここで、考えられる最良のモードを説明する目的で実施形態を説明する。理解されるように、他の異なる実施形態が可能であり、実施形態のいくつかの詳細は、それらの精神及び範囲からすべて逸脱することなく、様々な明白な点で改変が可能である。従って、図面及び詳細な説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本明細書の開示の前述及び他の特徴は、添付の表及び図面と併せて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。図面は、本明細書の開示に従って用意されたいくつかの実施形態のみを示しており、従って、その範囲を限定するものと見なされるべきではなく、本明細書の開示は、添付の表及び図面の使用を通じてさらなる特異性及び詳細が説明され得る。
【0037】
【
図1】
図1は、ガイドナビゲーションコントロール(GNC)四重特異性抗体の典型的なフォーマットの図である。
【
図2】
図2は、エフェクターとしてPBMC(末梢血単核細胞)及び標的としてB-急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)細胞株カスミ-2を用いたリダイレクトT細胞細胞毒性(RTCC)アッセイを示す実験結果を示す。
【
図3】
図3は、四重特異性GNC抗体により誘導されたCD8+T細胞の増殖を示す実験結果を示す。
【
図4】
図4は、四重特異性GNC抗体により誘導されたCD4+T細胞の増殖を示す実験結果を示す。
【
図5】
図5は、四重特異性GNC抗体により誘導されたPBMCからのガンマインターフェロンの分泌を示す実験結果を示す。
【
図6】
図6は、四重特異性GNC抗体により誘導されたPBMCからのグランザイムBの分泌を示す実験結果を示す。
【
図7】
図7は、CD19腫瘍抗原認識ドメインを有す四重特異性抗体の例を示している。
【
図8】
図8は、本明細書に開示の例示的な四重特異性抗体のリストを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面を参照する。図面では、文脈からそうでないことが示されない限り、同様の記号は通常は、同様のコンポーネントを識別する。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、限定することを意図していない。本明細書に提示される主題の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を加えることがしてもよい。本明細書に一般的に記載され、図に示される本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ、分離、及び設計できることは容易に理解されよう。これらはすべて本明細書で明確に検討されている。
【0039】
本明細書の開示は、特に、単離された抗体、そのような抗体の作製方法、四重特異性又は多重特異性分子、そのような抗体又は抗原結合断片から構成される抗体-薬物複合体及び/又は免疫複合体、抗体、四重特異性又は多重特異性分子、抗体-薬物複合体及び/又は免疫複合体を含む医薬組成物、それらの生産方法、及び本明細書に開示の分子又は組成物をがんの治療に使用する方法を提供する。
【0040】
「抗体」という用語は最も広い意味で使用され、望ましい生物学的活性を示す限り、単一のモノクローナル抗体(アゴニスト及びアンタゴニスト抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、及び抗体断片(例えば、Fab、F(ab')2、及びFv)を具体的にカバーする。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ、単鎖、二重特異性又は二重有効性、サル化、ヒト及びヒト化抗体、並びにその活性断片であってもよい。既知の抗原に結合する分子の活性断片の例には、Fab、F(ab′)2、scFv及びFv断片が含まれ、Fab免疫グロブリン発現ライブラリーの産物、並びに上記の抗体及び断片のいずれかのエピトープ結合断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、即ち抗原に免疫特異的に結合する結合部位を含む分子を含んでいてもよい。免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(IgG、IgM、IgD、IgE、IgA、及びIgY)又はクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)又はサブクラスであり得る。一実施形態では、抗体は、抗体全体及び抗体全体由来の任意の抗原結合断片であってもよい。典型的な抗体は、典型的には2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖を有するヘテロテトラマー蛋白質を指す。各重鎖は、重鎖可変ドメイン(VHと略記)及び重鎖定常ドメインで構成される。各軽鎖は、軽鎖可変ドメイン(VLと略記)及び軽鎖定常ドメインで構成される。VH及びVL領域は、超可変相補性決定領域(CDR)のドメインと、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域にさらに細分化し得る。各可変ドメイン(VH又はVL)は典型的には、次の順序で配置された3つのCDRと4つのFRで構成される。アミノ末端からカルボキシ末端までがFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。軽鎖及び重鎖の可変領域内には、抗原と相互作用する結合領域がある。
【0041】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指す。即ち、集団を含む個々の抗体は、少量存在する可能性のある自然発生突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に向けられる。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成され、他の免疫グロブリンにコンタミネーションされていないという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られるという抗体の特性を示し、特定の方法による抗体の生産を必要とすると解釈されない。例えば、本明細書の開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler & Milstein, Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製されてもよく、又は組換えDNA法によって作製されてもよい(例えば、U.S. Pat. No. 4,816,567参照)。
【0042】
モノクローナル抗体は、特定の種に由来する、又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と重鎖及び/又は軽鎖の一部が同一又は相同であり、一方、鎖の残りの部分は、所望の生物活性を示す限り、別の種に由来する、又は別の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体、並びにそのような抗体の断片の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含んでいてもよい(U.S. Pat. No. 4,816,567、及び Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 [1984])。
【0043】
モノクローナル抗体は、マウスハイブリドーマ又はファージディスプレイ(レビューはSiegel. Transfus. Clin. Biol. 9:15-22 (2002)参照)を含むさまざまな方法を使用して、又は初代B細胞から直接抗体を分子クローニングすること(Tiller. New Biotechnol. 28:453-7 (2011)参照)で生産できる。本明細書の開示において、抗体は、ヒトPD-L1蛋白質及び細胞表面上でヒトPD-L1を一過性発現する細胞の両方でウサギを免疫することにより作製された。ウサギは、親和性、多様性、特異性の高い抗体を作成することが知られている(Weber et al. Exp. Mol. Med. 49:e305)。免疫動物のB細胞をin vitroで培養し、抗PD-L1抗体の生産についてスクリーニングした。抗体可変遺伝子は、組換えDNA技術を使用して単離され、得られた抗体は組換えで発現され、PD-1とPD-L1の結合を阻害する能力、非ヒト霊長類PD-L1に結合する能力、ヒトT細胞活性化を増強する能力などの所望の特徴についてさらにスクリーニングされた。この抗体発見の一般的な方法は、Seeber et al. PLOS One. 9:e86184 (2014)に記載されている方法と似ている。
【0044】
「抗原又はエピトープ結合部分もしくは断片」という用語は、抗原(この場合はPD-L1)に結合することができる抗体の断片を指す。これらの断片は、インタクト抗体の抗原結合機能及び追加機能の能力を有していてもよい。結合断片の例は、合成リンカーによって単一ポリペプチド鎖に接続された抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなる単鎖Fv断片(scFv)、又はVL、定常軽鎖(CL)、VH、及び定常重鎖1(CH1)ドメインからなる一価断片であるFab断片を含むが、これらに限定されない。抗体断片はさらに小さいサブ断片であり得、単一のCDRドメイン、特にVL及び/又はVHドメインのいずれかからのCDR3領域と同じくらい小さいドメインで構成し得る(例えば、Beiboer et al., J. Mol. Biol. 296:833-49 (2000)参照)。抗体断片は、当業者に知られている従来の方法を使用して生産される。抗体断片は、インタクト抗体で使用される同じ技術を使用して、有用性に関してスクリーニングできる。
【0045】
「抗原又はエピトープ結合断片」は、多くの当該技術分野で知られている技術により、本明細書の開示の抗体に由来し得る。例えば、精製モノクローナル抗体をペプシンなどの酵素で切断し、HPLCゲルろ過にかけることができる。次に、Fab断片を含む適切な画分を収集し、膜濾過などにより濃縮できる。抗体の活性断片の単離のための一般的な技術のさらなる説明については、例えば、Khaw, B. A. et al. J. Nucl. Med. 23:1011-1019 (1982)、Rousseaux et al. Methods Enzymology, 121:663-69, Academic Press, 1986を参照。
【0046】
抗体のパパイン消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を持つ「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、その名前が容易に結晶化する能力を反映する残りの「Fc」断片を生成する。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、抗原を架橋できるF(ab′)2断片が生成される。
【0047】
Fab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)を含んでいてもよい。Fab′断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端にいくつかの残基が追加されていることにより、Fab断片とは異なる。Fab′-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab 'の本明細書における呼称である。F(ab′)2抗体断片は元々、間にヒンジシステインを有するFab'断片のペアとして生成された。抗体断片の他の化学的結合も知られている。
【0048】
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインのダイマーで構成され、非共有結合で緊密に結合している。この構成では、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VLダイマーの表面に抗原結合部位を規定する。集合的に、6つのCDRは抗体に抗原結合特異性を付与する。但し、単一の可変ドメイン(又は、抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でも、結合部位全体よりも低い親和性でありながら、抗原を認識して結合してもよい。
【0049】
脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパとラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に異なるタイプのいずれかに割り当てることができる。
【0050】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには5つの主要なクラスがある。IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、及びこれらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG-1、IgG-2、IgG-3、IgG-4、IgA-1及びIgA-2にさらに分けられ得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、デルタ、イプシロン、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造と三次元配置はよく知られている。
【0051】
「ヒト化抗体」は、非ヒトドナー免疫グロブリンに由来するCDRを有し、分子の残りの免疫グロブリン由来部分が1つ(又はそれ以上)のヒト免疫グロブリンに由来する操作された抗体のタイプを指す。さらに、フレームワークサポート残基は、結合親和性を保持するために変更されてもよい。「ヒト化抗体」を得る方法は、当業者によく知られている。(例えば、Queen et al., Proc. Natl Acad Sci USA, 86:10029-10032 (1989), Hodgson et al., Bio/Technology, 9:421 (1991)参照)。一実施形態において、「ヒト化抗体」は、例えば、ウサギなどの大型動物における親和性成熟したヒト様ポリクローナル抗体の生産を可能にする遺伝子工学的アプローチにより得てもよい(U.S. Pat. No. 7,129,084参照)。
【0052】
本明細書で使用される「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「蛋白質」という用語は互換性があり、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸から構成される生体分子を意味すると定義される。
【0053】
本明細書で使用される「a」、「an」、及び「the」という用語は、「1つ以上」を意味すると定義され、文脈が不適切でない限り複数形を含む。
【0054】
「単離された」とは、それが自然に発生する成分の少なくともいくつかを含まない生体分子を意味する。「単離された」とは、本明細書に開示の様々なポリペプチドを説明するために使用される場合、発現元の細胞又は細胞培養物から同定及び分離及び/又は回収されたポリペプチドを意味する。典型的には、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程により調製されてもよい。「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。
【0055】
「組換え」とは、外因性宿主細胞で組換え核酸技術を使用して抗体が生成されることを意味する。
【0056】
「抗原」という用語は、生物、特に動物、より具体的にはヒトを含む哺乳動物において免疫応答を誘発することができる実体又はその断片を指す。この用語は、抗原性又は抗原決定基に関与する免疫原及びその領域を含む。
【0057】
また、本明細書で使用される「免疫原性」という用語は、免疫原性剤に対する抗体、T細胞又は他の反応性免疫細胞の生産を誘発又は増強し、ヒト又は動物の免疫応答に寄与する物質を指す。個体が治療される障害を緩和又は軽減するために、本明細書の開示の投与された免疫原性組成物に対して十分な抗体、T細胞及び他の反応性免疫細胞を生産すると、免疫応答が生じる。
【0058】
特定の抗原又はエピトープに対する「特異的結合」又は「特異的に結合する」又は「特異的」とは、非特異的相互作用とは明らかに異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、一般に結合活性を持たない同様の構造の分子である対照分子の結合と比較して、分子の結合を決定することにより測定できる。例えば、特異的結合は、標的に類似した制御分子との競合により決定できる。
【0059】
特定の抗原又はエピトープに対する特異的結合は、例えば、少なくとも約10-4M、少なくとも約10-5M、少なくとも約10-6M、少なくとも約10-7M、少なくとも約10-8M、少なくとも約10-9M、少なくとも約10-10M、少なくとも約10-11M、少なくとも約10-12M、又はそれ以上の抗原又はエピトープに対するKDを有する抗体によって示され得る。ここで、KDは特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指す。一実施形態では、抗原に特異的に結合する抗体は、抗原又はエピトープに対して対照分子の20~、50~、100~、500~、1000~、5000~、10000~倍、又はより大きいKDを有してもよい。
【0060】
また、特定の抗原又はエピトープに対する特異的結合は、例えば、対照に対するエピトープについて少なくとも20~、50~、100~、500~、1000~、5000~、10000~倍、又はより大きい抗原又はエピトープに対するKA又はKaを有する抗体により示され得る。ここで、KA又はKaは、特定の抗体-抗原相互作用の結合(association)速度を意味する。
【0061】
2つの配列間の「相同性」は、配列の同一性によって決定される。互いに比較される2つの配列の長さが異なる場合、配列同一性は、好ましくは、より長い配列のヌクレオチド残基と同一であるより短い配列のヌクレオチド残基の割合に関する。配列同一性は、コンピュータープログラムを使用して従来通りに決定できる。所定の配列と本明細書の開示の上記の配列との比較において現れる逸脱は、例えば、追加、欠失、置換、挿入又は組換えによって引き起こされてもよい。
【0062】
一態様では、本願は、四重特異性抗体モノマー、抗原結合断片、及び多重特異性抗体を提供する。一実施形態では、本願は、四重特異性抗体を提供する。
【0063】
一実施形態では、本明細書の開示は、4つの異なる抗原標的に対する結合特異性を有する四重特異性抗体を提供する。一実施形態では、抗原標的は、腫瘍特異的抗原、T細胞受容体CD3成分、又は免疫チェックポイント分子である。四重特異性抗体は、MHCによる抗原特異的T細胞受容体への腫瘍抗原提示とは独立して、体の内因性T細胞に直接関与して腫瘍細胞を死滅させることができる。さらに、四重特異性抗体の免疫チェックポイント調節成分は、免疫抑制性腫瘍微小環境を克服して、腫瘍微小環境内の疲弊したT細胞を完全に活性化し得る。
【0064】
一実施形態では、四重特異性抗体は、免疫チェックポイントを調整する、又はTreg又は他の抑制性免疫細胞を阻害する、又は腫瘍抗原に対する成分で腫瘍を標的とすると同時に、T細胞に直接関与するユニークな特性を有していてもよい。BiTE又はCAR-T治療が適切でない患者に有益であり得る。具体的には、四重特異性抗体は、抑制性腫瘍微小環境により課せられる制限のために、BiTE様技術又はCAR-T治療がまだ臨床的利益を示していない固形腫瘍において臨床的利益を示すことができる。
【0065】
一実施形態において、本明細書の開示は、4つの異なる結合ドメインを有する操作された抗体又は「四重特異性抗体」を提供する。第一の結合ドメインはT細胞上のCD3に特異的で、第二の結合ドメインは、限定されないが、ROR1、CEA、HER2、EGFR、EGFRvIII、LMP1、LMP2A、メソセリン、PSMA、EpCAM、グリピカン-3、gpA33、GD2、TROP2、BCMA、CD19、CD20、CD33、CD123、CD22、CD30を含む腫瘍関連抗原に特異的で、且つ、第三と第四の結合ドメインは、PD-L1、PD-1、OX40、4-1BB、GITR、TIGIT、TIM-3、LAG-3、CTLA4、CD40、VISTA、ICOS、BTLA、Light、HVEM、CD73、CD39などの2つの異なる免疫チェックポイントモジュレーターに特異的である。
【0066】
一実施形態では、四重特異性分子(
図1)は、ヒトCD19配列番号25~32の腫瘍関連抗原を標的とする。いくつかの実施形態において、これらの標的化四重特異性蛋白質は、抗ヒトPD-L1(配列番号9~12)、抗ヒト4-1BB(配列番号13~24)、抗ヒトCD3結合ドメイン(配列番号1~8)を運ぶ。四重特異性分子結合ドメインは、結合ドメインの配置がN末端からD1、scFv VLVH、D2、scFv VLVH、D3(このクラスの四重特異性蛋白質のFab位置にある)、続く、ヒトgG1 Fc、及びD4中のscFv、VHVLの順に進むように配列されている。
【0067】
一実施形態では、四重特異性蛋白質SI-38E34(配列番号37~40)は、抗ヒトCD19 21D4 scFv、抗ヒトCD3 284A10 scFv、抗ヒトCD137(Fab)、及び抗ヒトPD-L1クローンPL221G5 scFvから構成され、それぞれD1、D2、D3、及びD4の位置を占める。D1、D2、及びD3は、ヒトIgG1 Fc及びD4のC末端と同様に、10アミノ酸(G4S) x 2リンカーを介して遺伝的に連結し、上記の結合特異性を含む約150kDaの連続した重鎖モノマーペプチドが得られる。本明細書に記載の全てのscFv分子は、V領域の向き(LH又はHL)に関係なく、VHとVLを作動可能に連結する20アミノ酸のフレキシブルgly-gly-gly-gly-ser (G4S) X4リンカーを含む。四重特異性蛋白質のドメイン3(D3)の残りの位置は、IgG1重鎖VH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3で構成され、その対応する軽鎖VL-CLは、カッパ又はラムダ鎖のいずれかである。D1とD2は、10アミノ酸(G4S)x2リンカーを介して遺伝的にリンクされ、D2、D3、及びD4は、連続的な~150kDaの重鎖モノマーペプチドをもたらす。適切な軽鎖と共トランスフェクトした場合、最終の対称性の四重特異性ペプチドは、IgG1 Fcを通して精製でき(プロテインA/プロテインG)、機能活性を評価するためにアッセイできる。重鎖と軽鎖の遺伝子「カセット」は、制限酵素サイト(重鎖にはHindIII/NheI、軽鎖にはHindIII/BsiWI)、又はギブソンアセンブリー(SGI-DNA, La Jolla, CA)、インフュージョン(Takara Bio USA)、NEBuilder(NEB, Ipswich, MA)などの「制限フリークローニング」のいずれかを使用してV領域を簡単にクローニングできるように以前に構築された。後者は本明細書で使用された。
【0068】
一実施形態では、四重特異性蛋白質は、インタクト分子の設計、各ドメインのヌクレオチド配列の合成とクローニング、哺乳類細胞での発現、及び最終産物の精製を含むプロセスを通じて生産される。ヌクレオチド配列はGeneious 10.2.3ソフトウェアパッケージ(Biomatters, Auckland, NZ)を使用して構築され、遺伝子合成(Genewiz, South Plainsfield, NJ)のためにコンポーネントドメインに分割された。
【0069】
一実施形態では、SI-35E18(配列番号65及び67)はコンポーネントドメインに分割された。ここで、抗4-1BB scFv、VLVHはD1を占め、抗ヒトPD-L1クローンPL230C6はD2(Fab位置)を占め、抗ヒトROR1 Igドメイン特異的クローン323H7 VHVL scFvはD3を占め、及び抗ヒトCD3 scFv、VHVLはC末端D4を占める。抗ヒトPD-L1クローンPL230C6がD2(Fab位置)を占め、抗ヒトCD3クローン284A10 VHVL scFvがC末端D3を占める。NEBuilder Webベースツールを使用して、各ドメインが部位特異的組換えを管理する20~30ヌクレオチドによってそのフランキングドメインと重複するように、5'及び3'ヌクレオチドをより大きな蛋白質の位置に応じて各ドメインに付加し、それにより、1回の遺伝子アセンブリ工程で各ドメインを遺伝的に融合する。四重特異性ヌクレオチド配列には多数の相同領域があるため、N末端ドメイン1及び2は、C末端D3及びD4とは別に組み立てられる。次に、N末端とC末端のフラグメントを2回目のNEBuilder反応で組み立てた。小アリコートで大腸菌DH10b(Invitrogen, Carlsbad, CA)に形質転換し、TB+カルベニシリン100ug/mlプレート(Teknova, Hollister, CA)に播種し、37℃で一晩インキュベートした。得られたコロニーを選択し、2mlの一晩培養物をTB+カルベニシリンでインキュベーションした。DNAを一晩培養物から調製し(Thermo-Fisher, Carlsbad, CA)、続いて各ドメインに隣接するシークエンスプライマー(Sigma,St. Louis, MO)を使用して配列決定した(Genewiz, South Plainsfield, NJ)。Geneiousで全てのDNA配列を構築して分析した。
【0070】
別の態様において、本願は、四重特異性抗体モノマー、多重特異性抗体、抗原結合断片、及びそれらの免疫複合体を含む医薬組成物、及びがんの治療のために本明細書に開示の抗体又は医薬組成物を使用する方法を提供する。
【0071】
本明細書に開示の多重特異性抗体モノマー、多重特異性抗体、抗原結合断片、それらの免疫複合体及び組成物を使用した、現在存在する治療法を上回るがん治療の利点は、限定されないが、以下を含む。1)IgG Fcドメインを含めると、二重特異性BiTe分子と比較して血清中の半減期が長くなるという特徴がある、2)免疫チェックポイントモジュレーターに特異的な2つの結合ドメインを含めると、抑制経路を阻害すると同時に共刺激経路に関与し得る、及び3)T細胞上のCD3を腫瘍関連抗原と架橋することで、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)の場合と同様に、患者からT細胞を取り出し、腫瘍細胞に特異的になるように遺伝子改変してから患者にT細胞を再導入する必要なく、T細胞を「リダイレクト」して腫瘍を死滅させる。
【0072】
医薬組成物の製剤化は、当業者に知られている標準的な方法論に従って実施できる。
【0073】
一実施形態では、本明細書に開示の抗体及びモノマーは、生理学的に許容される製剤で調製してもよく、公知の技術を使用して薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤を含んでいてもよい。例えば、機能的に同等な抗体又はその機能的部分を含む本明細書に開示及び記載の抗体、特に、機能的に等価な抗体又はその機能的部分を含むモノクローナル抗体は、薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤と組み合わされて、治療組成物を形成する。本明細書の開示の医薬組成物の製剤化は、当業者に知られている標準的な方法論に従って実施できる。
【0074】
治療を必要とするヒト患者などの対象への投与に適した組成物の製剤に関して、本明細書に開示の抗体は、選択された投与経路に応じて、当技術分野で公知の薬学的に許容される担体と混合又は組み合わせることがしてもよい。本明細書に開示の抗体の適用様式に特定の制限はなく、適切な投与経路及び適切な組成物の選択は、過度の実験なしに当技術分野で知られている。
【0075】
適切な医薬担体、希釈剤及び/又は賦形剤は当技術分野でよく知られており、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョンを含む。
【0076】
「薬学的に許容される」とは、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、又はその他の問題や合併症を伴わずにヒト又は動物の組織と接触に使用するのに適した化合物、材料、組成物、及び剤形で、合理的な利益/リスク比に見合ったものを指す。
【0077】
一実施形態では、医薬組成物は、例えば、特にヒト起源の、血清アルブミン又は免疫グロブリンなどの蛋白質性担体を含んでもよい。目的の用途に応じて、本明細書に開示の医薬組成物中にさらなる生物学的に活性な薬剤が存在してもよい。一実施形態では、蛋白質性の薬学的活性物質は、1用量あたり1 ng~10 mgの量で存在してもよい。一般に、投与計画は、本明細書の開示の抗体の0.1μg~10mgの範囲、特に1.0μg~1.0mgの範囲、より具体的には1.0μg~100μgの範囲にすべきであり、これらの範囲内にある個々の数字もすべて開示の一部である。投与が連続注入により行われる場合、より適切な用量は、体重1キログラムあたり1時間あたり0.01μg~10mg単位の範囲であり、これらの範囲内にある個々の数値もすべて本明細書の開示の一部である。
【0078】
本明細書に開示の組成物は、適切な薬学的に有効な用量で、固体、液体又はエアロゾルの形態で対象に投与してもよい。固体組成物の例には、ピル、クリーム、及び移植可能な投与単位を含む。ピルは経口投与してもよい。治療用クリームは局所投与してもよい。移植可能な投与単位は、局所的に、例えば、腫瘍部位に投与されてもよく、又は治療組成物のシステマチックな放出のために、例えば、皮下に移植されてもよい。液体組成物の例には、筋肉内、皮下、静脈内、動脈内への注射に適した製剤、及び局所及び眼内投与用の製剤を含む。エアロゾル製剤の例には、肺への投与用の吸入製剤を含む。
【0079】
組成物の投与量は、例えば、治療されている状態、使用される特定の組成物、患者の体重、サイズ、性別、一般的な健康状態、体表面積などのその他の臨床的要因、投与される特定の化合物又は組成物、同時に投与される他の薬物、及び投与経路などの様々な要因に依存することが当業者に良く知られている。
【0080】
「治療有効量」という用語は、ヒト又は動物に投与されたときに、そのヒト又は動物で治療効果をもたらすのに十分な応答を誘発する抗体の量、例えば、対象の病気を改善する量を指す。有効量は、通常の手順に従って当業者により容易に決定される。疾患ががんである場合、有効量の薬は、限定するものではないが、がん細胞の成長、がん細胞の増殖、がん細胞の運動性、末梢器官へのがん細胞の浸潤、腫瘍転移及び腫瘍成長を含む1又は複数の特徴を阻害(例えば、ある程度遅延させる、阻害するか又は止める)してもよい。あるいは、疾患ががんの場合、有効量の薬は、対象に投与されると、腫瘍成長を遅延又は止めること、腫瘍サイズ(例えば、体積又は質量)を低下させること、がんと関連した1又は複数の症状をある程度緩和すること、無増悪生存期間を延長すること、(例えば、部分的反応又は完全反応を含む)客観的反応が得られること、全生存期間を長くすることの1又は複数を成し遂げることがしてもよい。薬は、存在しているがん細胞の成長を防止する及び/又は殺すことができる程度に、細胞増殖抑制性及び/又は細胞毒性である。
【0081】
当業者は、がんなどの状態を効果的に治療する本願に開示の抗体の有効量又は濃度を決定する能力を有する。当業者は、過度に実験することなく、医薬組成物の様々な成分の割合、投与量及び頻度などの他のパラメーターを得てもよい。例えば、注入に適切な溶液としては、限定するものではないが、約1~約20、約1~約10mg抗体/mlを含んでいてもよい。例示的な用量としては、限定するものではないが、約0.1~約20、約1~約5mg/Kg体重であってもよい。例示的な投与頻度としては、限定するものではないが、1日1回又は週3回であってもよい。
【0082】
組成物は、標準的な投与経路により投与されてもよい。典型的には、組成物は、局所、経口、直腸、鼻、皮内、腹腔内、又は非経口(例えば、静脈内、皮下、又は筋肉内)経路により投与されてもよい。さらに、組成物は、生分解性ポリマーなどの徐放性マトリックスに組み込まれてもよく、ポリマーは、送達が望まれる場所の近く、例えば、腫瘍の部位に移植される。この方法は、単回投与の投与、所定の時間間隔での反復投与の投与、及び所定の期間の持続投与を含む。
【0083】
多くの投与形態が可能であるが、例示的な投与形態は、特に静脈内又は動脈内注入に関する溶液注入である。典型的には、注入のための適切な医薬組成物としては、限定するものではないが、バッファー、界面活性剤、又は安定剤などの、医薬的に適切な担体又は賦形剤を含んでいてもよい。例示的なバッファーとしては、限定するものではないが、酢酸バッファー、リン酸バッファー又はクエン酸バッファーを含んでいてもよい。例示的な界面活性剤としては、限定するものではないが、ポリソルベートを含んでいてもよい。例示的な安定剤は、限定するものではないが、ヒトアルブミンを含んでいてもよい。
【0084】
一実施形態では、投与は非経口的(例えば、静脈内)であってもよい。非経口投与用の製剤には、無菌の水性又は非水性溶液、懸濁液及びエマルジョンを含む。非水性溶媒は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを含むが、これらに限定されない。水性溶媒は、水、アルコール/水溶液、生理食塩水及び緩衝媒体を含むエマルジョン又は懸濁液からなる群から選択されてもよい。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、又は固定油を含む。静脈内ビヒクルは、液体及び栄養補給剤、電解質補給剤(リンガーデキストロースに基づくものなど)などを含む。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどの防腐剤が存在してもよい。
【0085】
抗体モノマー、抗体、抗原結合断片、及びそれらの免疫複合体は、治療目的のために治療薬又は治療薬を含む組成物と組み合わせて使用されてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、有効量で1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて使用される。追加の治療薬には、抗体、化学療法薬、酵素、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、抗エストロゲン剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、DNA、RNA、又は蛋白質合成阻害剤、RAS阻害剤、又はそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、追加の治療薬はチェックポイント阻害剤であってもよい。いくつかの実施形態において、治療薬は、PD1、PDL1、CTLA4、4-1BB、OX40、GITR、ICOS、LIGHT、TIM3、LAG3、TIGIT、CD40、CD27、HVEM、BTLA、VISTA、B7H4、CSF1R、NKG2D、CD73、それらの誘導体又は組み合わせの阻害剤を含む。
【0087】
一実施形態では、治療薬は、カペシタビン、シスプラチン、トラスツズマブ、フルベストラント、タモキシフェン、レトロゾール、エキセメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、テストラクトン、ボロゾール、フォルメスタン、ファドロゾール、レトロゾール、エルロチニブ、ラファチニブ、ダサチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、パゾピニブ、ラパチニブ、スニチニブ、ニロチニブ、ソラフェニブ、ナブ-パリタキセル、それらの誘導体又は組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、治療薬はカペシタビン、シスプラチン、シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ムスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾロン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン、エトポシド、エピルビシン、ペメトレキセド、フォリン酸、ゲミシタビン、オキサリプラチン、イリノテマイ(irinotemay)、トポテマイ、カンプトテシン、ドセタキセル、パクリタキセル、フルベストラント、タモキシフェン、レトロゾール、エキセメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、テストラクトン、ボロゾール、フォルメスタン、ファドロゾール、レトロゾール、エルロチニブ、ラファチニブ、ダサチニブ、ゲフィチニブ、オシメルチニブ、ヴァンダータニブ、アファチニブ、イマチニブ、パゾピニブ、ラパチニブ、スニチニブ、ニロチニブ、ソラフェニブ、ナブ-パリタキセル、エベロリムス、テムシロリムス、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、トラメチニブ、ビンタフォリド、アパチニブ、クリゾチニブ、ペリフォルシン、オラパリブ、ボルテゾミブ、トファシチニブ、それらの誘導体又は組み合わせを含んでもよい。
【0088】
乳がん、大腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、メラノーマ、卵巣がん、前立腺がん、非小細胞肺がん、神経膠腫、食道がん、鼻咽頭がん、肛門がん、直腸がん、胃がん、膀胱がん、子宮頸がん、又は脳がんを含むがんは、がん関連遺伝子で発現してもよい。特定のモノクローナル抗体又は抗原結合断片によるがん関連活性の阻害は、がんに対する治療効果をもたらしてもよい。さらに、がん関連蛋白質に特異的なモノクローナル抗体又は抗原結合断片を含む治療有効量の組成物を投与すると、細胞毒性剤の効果により、がんの発生又は転移を治癒、予防、改善、及び遅延させ得る。
【0089】
本明細書の開示は、本明細書に含まれる特定の実施形態及び実施例の以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解されてもよい。本明細書の開示は、その特定の実施形態の特定の詳細を参照して説明されたが、そのような詳細な説明は、開示の範囲に対する限定とみなされるべきではない。
【実施例】
【0090】
実施例1:エフェクターとしてPBMC(末梢血単核細胞)及び標的としてB-急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)細胞株カスミ-2及びNALM-6を用いたリダイレクトT細胞細胞毒性(RTCC)アッセイ
表1及び2にリストされている四重特異性抗体について、エフェクターとしてヒトPBMCを使用して、B-ALL細胞株カスミ-2及びNalm-6に対するRTCC活性を試験した。カスミ-2及びNalm-6の両方の標的細胞には、事前に緑色蛍光蛋白質(GFP)をトランスフェクトし、FACSで選別して99%を超えるGFPを発現する細胞集団を作成した。GFP+カスミ-2及びGFP+Nalm-6細胞をカウントし、アッセイ培地中100,000細胞/mlの密度に設定した。ヒトPBMCをカウントし、100,000細胞/mlの密度に設定した。抗体を2X最終濃度で調製し、アッセイ培地の96ウェルプレートの6ウェルで1:10に滴定した。最終の96ウェルプレートで、50ulの標的細胞(5,000)、50ulのPBMC細胞(5,000)、及び100ulの各抗体希釈液をアッセイの各ウェルに加えることにより、標的細胞、PBMC、及び連続滴定抗体を組み合わせた。アッセイプレートを37℃で8日間インキュベートした後、100μlの上清を新しい96ウェルに移し、後の分析のために-80℃で凍結した。細胞をピペッティングにより再懸濁し、384ウェルプレートに移した。市販の抗体に直接結合した抗CD4及び抗CD8を含む抗体カクテルで細胞を染色した。ウェルに残っている細胞を洗浄し、市販の抗体に直接結合した抗CD4(biolegend Cat#317436)及び抗CD8(biolegend Cat#557746)に加え、7AADライブ/デッド染色及びカウントビーズを含むアッセイバッファーに再懸濁し、その後、BD LSRII Fortessaで分析した。ウェルあたりのCD4+、CD8+及びGFP+標的細胞の数を決定した。
図2に示すように、四重特異性抗体SI-38X34、35、及び36は、0.05pMの濃度でほとんどの標的NALM-6細胞のT細胞殺傷を誘導する。これは、二重特異性抗体SI-38X19及びHD37 x I2Cよりも約10倍強力である。二重特異性SI-38X19には、四重特異性抗体SI-38E34、35、及び36と同様に、21D4(CD19)及び284A10(CD3)結合ドメインがあるが、四重特異性抗体には、420H5、466F6、460C3(41BB)、PL221(PDL1)の追加ドメインを有する。これは、四重特異性抗体における追加の41BB及び/又はPDL1結合ドメインが、標的細胞のT細胞殺傷に対して増強効果を有することを示唆する。さらに、
図3に示すように、二重特異性抗体21D4 x 284A10は、CD8+T細胞の増殖を強く誘導する。二重特異性HD37 x I2Cは二重特異性21D4 x 284A10よりも10倍高い濃度である。しかし、四重特異性抗体SI-38E34、35、及び36は、同様の濃度でそれより非常に低いレベルのCD8+T細胞増殖を誘導する。
図2のRTCCデータと組み合わせたこれらのデータは、四重特異性抗体が二重特異性抗体よりもCD8+T細胞の最終的な細胞毒性T細胞への分化を誘導することを示唆している。
図4に示すように、試験した二重特異性抗体は、CD8+T細胞の増殖に対する効果と同様に、CD4+T細胞のより大きな増殖も誘導する。また、四重特異性抗体は、それより非常に低いレベルのCD4+T細胞増殖を誘導する。
【0091】
実施例2:CD19特異的GNC抗体を用いた8日目のRTCCからの培養上清中のガンマインターフェロン及びグランザイムBのELISA分析
-80で保存されたウェル上清を解凍し、R&Dシステムのg-IFN及びGrBキット(no.DY285B及びno.DY2906-05)を使用して、メーカーが推奨するプロトコルに従って、インターフェロンガンマ及びグランザイムBのレベルを分析した。QuantaRed
TM Enhanced Chemifluorescent HRP Substrate(ThermoFisher Scientific no.15159)をELISAプレートの各ウェルに加え、製造元の指示に従って使用した。
図6に示すように、二重特異性21D4 x 284A10は、50pMの抗体でPBMCから高レベルのガンマインターフェロン分泌を誘導した。それは四重特異性抗体SI-34E34とほぼ同一である一方、他の四重特異性抗体SI-34E35及び36、並びに二重特異性HD37 x I2Cは、PBMCからのガンマインターフェロン分泌を誘導したが、それより非常に低いレベルであった。
図6に示すように、二重特異性21D4 x 284A10は、50pMの抗体でPBMCから高レベルのグランザイムB分泌を誘導した。それは四重特異性抗体SI-34E34とほぼ同一である一方、他の四重特異性抗体SI-34E35及び36、並びに二重特異性HD37 x I2Cは、PBMCからグランザイムB分泌を誘導したが、それよりわずかに低いレベルであった。四重特異性抗体SI-38E34、35、及び36によって媒介される腫瘍細胞の死滅は、
図3に示すように非常に類似していた一方、PBMCから分泌されるグランザイムBの量は、四重特異性抗体SI-38E34で最も高く、これは他の2つの四重特異性抗体SI-38E35及び36と比較して、約2倍高いレベルである。
【0092】
本明細書の開示は、特定の実施形態又は実施例を参照して説明されたが、実施形態は例示であり、開示範囲はそのように限定されないことが理解されてもよい。本明細書の開示の代替の実施形態は、本明細書の開示が関係する当業者に明らかになり得る。そのような代替実施形態は、本明細書の開示の範囲内に包含されると見なされる。従って、本明細書の開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、前述の説明によってサポートされている。本明細書の開示において引用又は言及された全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
配列表
四重特異性配列リスト
アミノ酸配列中のCDRは下線
>配列番号01 抗CD3 284A10 VHv1 nt
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCATCAGTACCAATGCAATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATCGGAGTCATTACTGGTCGTGATATCACATACTACGCGAGCTGGGCGAAAGGCAGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTTCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGCGCGACGGTGGATCATCTGCTATTACTAGTAACAACATTTGGGGCCAAGGAACTCTGGTCACCGTTTCTTCA
>配列番号02 抗CD3 284A10 VHv1 aa
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTISTNAMSWVRQAPGKGLEWIGVITGRDITYYASWAKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDGGSSAITSNNIWGQGTLVTVSS
>配列番号03 抗CD3 284A10 VLv1 nt
GACGTCGTGATGACCCAGTCTCCTTCCACCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCAATTGCCAAGCCAGTGAGAGCATTAGCAGTTGGTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGAAGCATCCAAACTGGCATCTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAGTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGATGATTTTGCAACTTATTACTGCCAAGGCTATTTTTATTTTATTAGTCGTACTTATGTAAATTCTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAA
>配列番号04 抗CD3 284A10 VLv1 aa
DVVMTQSPSTLSASVGDRVTINCQASESISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYEASKLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQGYFYFISRTYVNSFGGGTKVEIK
>配列番号05 抗CD3 I2C VH nt
CAGGTGCAATTGGTGGAAAGCGGAGGGGGACTGGTGCAGCCCGGGGGAAGTCTGAAGCTGTCCTGTGCCGCCAGCGGCTTTACCTTCAACAAGTACGCCATGAATTGGGTCCGACAGGCCCCAGGGAAAGGCCTGGAATGGGTGGCACGGATTCGGTCCAAGTACAACAACTACGCCACCTACTACGCTGACTCCGTGAAGGACAGATTCACCATCAGCCGGGACGACTCTAAGAACACCGCCTATCTGCAGATGAACAACCTGAAAACCGAGGATACAGCTGTGTACTATTGTGTGCGGCACGGCAACTTCGGCAACTCCTACATCTCCTACTGGGCCTATTGGGGACAGGGAACACTGGTCACCGTGTCTAGC
>配列番号06 抗CD3 I2C VH aa
QVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFNKYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYADSVKDRFTISRDDSKNTAYLQMNNLKTEDTAVYYCVRHGNFGNSYISYWAYWGQGTLVTVSS
>配列番号07 抗CD3 I2C VL nt
CAGACCGTGGTCACCCAGGAACCTTCCCTGACCGTCTCCCCAGGCGGCACCGTGACCCTGACCTGTGGCTCCTCTACCGGCGCTGTGACCTCCGGCAACTACCCTAACTGGGTGCAGCAGAAACCCGGACAGGCTCCTAGAGGCCTGATCGGCGGCACCAAGTTTCTGGCCCCTGGCACCCCTGCCAGATTCTCCGGCTCCCTGCTGGGAGGCAAGGCCGCTCTGACCCTGTCTGGCGTGCAGCCTGAGGACGAGGCCGAGTACTACTGTGTGCTGTGGTACTCCAACAGATGGGTGTTCGGAGGCGGCACAAAGCTGACCGTGCTGTCCTCG
>配列番号08 抗CD3 I2C VL aa
QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCGSSTGAVTSGNYPNWVQQKPGQAPRGLIGGTKFLAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCVLWYSNRWVFGGGTKLTVLSS
>配列番号09 抗PD-L1 PL221G5 VHv1 nt
GAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCTCCTTCAGTAGCGGGTACGACATGTGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATCGCATGCATTGCTGCTGGTAGTGCTGGTATCACTTACGACGCGAACTGGGCGAAAGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAGATCGGCGTTTTCGTTCGACTACGCCATGGACCTCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCGAGC
>配列番号10 抗PD-L1 PL221G5 VHv1 aa
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSFSSGYDMCWVRQAPGKGLEWIACIAAGSAGITYDANWAKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARSAFSFDYAMDLWGQGTLVTVSS
>配列番号11 抗PD-L1 PL221G5 VLv1 nt
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCTTCCACCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCCAGTCAGAGCATTAGTTCCCACTTAAACTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATAAGGCATCCACTCTGGCATCTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTTACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGATGATTTTGCAACTTATTACTGCCAACAGGGTTATAGTTGGGGTAATGTTGATAATGTTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAA
>配列番号12 抗PD-L1 PL221G5 VLv1 aa
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCQASQSISSHLNWYQQKPGKAPKLLIYKASTLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQGYSWGNVDNVFGGGTKVEIK
>配列番号13 抗4-1BB 420H5 VHv3 nt
CAGTCGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCTCCTTCAGTAGCAACTACTGGATATGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATCGCATGCATTTATGTTGGTAGTAGTGGTGACACTTACTACGCGAGCTCCGCGAAAGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAGAGATAGTAGTAGTTATTATATGTTTAACTTGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCGAGC
>配列番号14 抗4-1BB 420H5 VHv3 aa
QSLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSFSSNYWICWVRQAPGKGLEWIACIYVGSSGDTYYASSAKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDSSSYYMFNLWGQGTLVTVSS
>配列番号15 抗4-1BB 420H5 VLv3 nt
GCCCTTGTGATGACCCAGTCTCCTTCCACCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCAATTGCCAGGCCAGTGAGGACATTGATACCTATTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTTTTATGCATCCGATCTGGCATCTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGATGATTTTGCAACTTATTACTGCCAAGGCGGTTACTATACTAGTAGTGCTGATACGAGGGGTGCTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAA
>配列番号16 抗4-1BB 420H5 VLv3 aa
ALVMTQSPSTLSASVGDRVTINCQASEDIDTYLAWYQQKPGKAPKLLIFYASDLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQGGYYTSSADTRGAFGGGTKVEIK
>配列番号17 抗4-1BB 466F6 VHv2 nt
CGGTCGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTACAGCCTCTGGATTCACCATCAGTAGCTACCACATGCAGTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTACATCGGAACCATTAGTAGTGGTGGTAATGTATACTACGCGAGCTCCGCGAGAGGCAGATTCACCATCTCCAGACCCTCGTCCAAGAACACGGTGGATCTTCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGAGACTCTGGTTATAGTGATCCTATGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCGAGC
>配列番号18 抗4-1BB 466F6 VHv2 aa
RSLVESGGGLVQPGGSLRLSCTASGFTISSYHMQWVRQAPGKGLEYIGTISSGGNVYYASSARGRFTISRPSSKNTVDLQMNSLRAEDTAVYYCARDSGYSDPMWGQGTLVTVSS
>配列番号19 抗4-1BB 466F6 VLv5 nt
GACGTTGTGATGACCCAGTCTCCATCTTCCGTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACCTGTCAGGCCAGTCAGAACATTAGGACTTACTTATCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCTGCAGCCAATCTGGCATCTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCGACCTGGAGCCTGGCGATGCTGCAACTTACTATTGTCAGTCTACCTATCTTGGTACTGATTATGTTGGCGGTGCTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAA
>配列番号20 抗4-1BB 466F6 VLv5 aa
DVVMTQSPSSVSASVGDRVTITCQASQNIRTYLSWYQQKPGKAPKLLIYAAANLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISDLEPGDAATYYCQSTYLGTDYVGGAFGGGTKVEIK
>配列番号21 抗4-1BB 460C3 VHv1 nt
GAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGAATCGACTTCAGTAGGAGATACTACATGTGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATCGCATGCATATATACTGGTAGCCGCGATACTCCTCACTACGCGAGCTCCGCGAAAGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAGAGAAGGTAGCCTGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCGAGC
>配列番号22 抗4-1BB 460C3 VHv1 aa
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGIDFSRRYYMCWVRQAPGKGLEWIACIYTGSRDTPHYASSAKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREGSLWGQGTLVTVSS
>配列番号23 抗4-1BB 460C3 VLv1 nt
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCTTCCACCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGTCCAGTCAGAGTGTTTATAGTAACTGGTTCTCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATTCTGCATCCACTCTGGCATCTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGATGATTTTGCAACTTATTACTGCGCAGGCGGTTACAATACTGTTATTGATACTTTTGCTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAA
>配列番号24 抗4-1BB 460C3 VLv1 aa
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCQSSQSVYSNWFSWYQQKPGKAPKLLIYSASTLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCAGGYNTVIDTFAFGGGTKVEIK
>配列番号25 抗CD19 21D4 VH nt
GAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCAGAGGTGAAGAAACCAGGAGAGTCTCTGAAGATCTCCTGTAAGGGTTCTGGATACAGCTTTAGCAGTTCATGGATCGGCTGGGTGCGCCAGGCACCTGGGAAAGGCCTGGAATGGATGGGGATCATCTATCCTGATGACTCTGATACCAGATACAGTCCATCCTTCCAAGGCCAGGTCACCATCTCAGCCGACAAGTCCATCAGGACTGCCTACCTGCAGTGGAGTAGCCTGAAGGCCTCGGACACCGCTATGTATTACTGTGCGAGACATGTTACTATGATTTGGGGAGTTATTATTGACTTCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA
>配列番号26 抗CD19 21D4 VH aa
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFSSSWIGWVRQAPGKGLEWMGIIYPDDSDTRYSPSFQGQVTISADKSIRTAYLQWSSLKASDTAMYYCARHVTMIWGVIIDFWGQGTLVTVSS
>配列番号27 抗CD19 21D4 VL nt
GCCATCCAGTTGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGCAGTGCTTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCTCCTAAGCTCCTGATCTATGATGCCTCCAGTTTGGAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCAACAGTTTAATAGTTACCCATTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAA
>配列番号28 抗CD19 21D4 VL aa
AIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSALAWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPFTFGPGTKVDIK
>配列番号29 抗CD19 HD37 VH nt
CAGGTCCAACTCCAGCAGTCTGGGGCTGAGCTGGTGAGGCCTGGGTCCTCAGTGAAGATTTCCTGCAAGGCTTCTGGCTATGCCTTCAGTAGCTACTGGATGAACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAGGGTCTTGAGTGGATTGGACAGATTTGGCCTGGAGATGGTGATACTAACTACAATGGAAAGTTCAAGGGGAAAGCCACTCTGACTGCAGACGAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAACTCAGCAGCCTAGCATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTTCTGTGCAAGACGGGAGACTACGACGGTAGGCCGTTATTACTATGCTATGGACTACTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCC
>配列番号30 抗CD19 HD37 VH aa
QVQLQQSGAELVRPGSSVKISCKASGYAFSSYWMNWVKQRPGQGLEWIGQIWPGDGDTNYNGKFKGKATLTADESSSTAYMQLSSLASEDSAVYFCARRETTTVGRYYYAMDYWGQGTTVTVSS
>配列番号31 抗CD19 HD37 VL nt
GATATCCAGCTGACCCAGTCTCCAGCTTCTTTGGCTGTGTCTCTAGGGCAGAGGGCCACCATCTCCTGCAAGGCCAGCCAAAGTGTTGATTATGATGGTGTGAGTTACTTGAACTGGTATCAACAGATTCCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATGATGCTTCCAATCTAGTTTCTGGGATCCCACCCAGGTTTAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACCCTCAACATCCATCCTGTGGAGAAGGTGGATGCTGCAACCTATCACTGTCAGCAAAGTACTGAGGATCCGTGGACGTTCGGTGGAGGGACCAAGCTCGAGATTAAA
>配列番号32 抗CD19 HD37 VL nt
DIQLTQSPASLAVSLGQRATISCKASQSVDYDGVSYLNWYQQIPGQPPKLLIYDASNLVSGIPPRFSGSGSGTDFTLNIHPVEKVDAATYHCQQSTEDPWTFGGGTKLEIK
>配列番号33 ヒトIgG1ヌル (ADCC/CDCヌル変異体を有するG1m-fa) nt
GCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAAGCCGCGGGGGCACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCGCGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGT
>配列番号34 ヒトIgG1ヌル (ADCC/CDCヌル変異体を有するG1m-fa) aa
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCAVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
>配列番号35 ヒトIgカッパnt
CGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
>配列番号36 ヒトIgカッパaa
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
>配列番号37 SI-38E34 (21D4-LH-scFv x 284A10-L1H1-scFv x 420H5-Fab x PL221G5-H1L1-scFv) 重鎖nt
GCCATCCAGTTGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGCAGTGCTTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCTCCTAAGCTCCTGATCTATGATGCCTCCAGTTTGGAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCAACAGTTTAATAGTTACCCATTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAAGGCGGTGGCGGTAGTGGGGGAGGCGGTTCTGGCGGCGGAGGGTCCGGCGGTGGAGGATCAGAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCAGAGGTGAAGAAACCAGGAGAGTCTCTGAAGATCTCCTGTAAGGGTTCTGGATACAGCTTTAGCAGTTCATGGATCGGCTGGGTGCGCCAGGCACCTGGGAAAGGCCTGGAATGGATGGGGATCATCTATCCTGATGACTCTGATACCAGATACAGTCCATCCTTCCAAGGCCAGGTCACCATCTCAGCCGACAAGTCCATCAGGACTGCCTACCTGCAGTGGAGTAGCCTGAAGGCCTCGGACACCGCTATGTATTACTGTGCGAGACATGTTACTATGATTTGGGGAGTTATTATTGACTTCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGGCGGTGGAGGGTCCGGCGGTGGTGGATCCGACGTCGTGATGACCCAGTCTCCTTCCACCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCAATTGCCAAGCCAGTGAGAGCATTAGCAGTTGGTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGAAGCATCCAAACTGGCATCTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAGTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGATGATTTTGCAACTTATTACTGCCAAGGCTATTTTTATTTTATTAGTCGTACTTATGTAAATTCTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAAGGCGGTGGCGGTAGTGGGGGAGGCGGTTCTGGCGGCGGAGGGTCCGGCGGTGGAGGATCAGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCATCAGTACCAATGCAATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATCGGAGTCATTACTGGTCGTGATATCACATACTACGCGAGCTGGGCGAAAGGCAGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTTCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGCGCGACGGTGGATCATCTGCTATTACTAGTAACAACATTTGGGGCCAAGGAACTCTGGTCACCGTTTCTTCAGGCGGTGGAGGGTCCGGAGGTGGTGGCTCCCAGTCGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCTCCTTCAGTAGCAACTACTGGATATGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATCGCATGCATTTATGTTGGTAGTAGTGGTGACACTTACTACGCGAGCTCCGCGAAAGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAGAGATAGTAGTAGTTATTATATGTTTAACTTGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCGAGCGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAAGCCGCGGGGGCACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCGCGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTATACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCTTAAGCCTGTCTCCGGGTGGCGGTGGAGGGTCCGGCGGTGGTGGATCCGAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCTCCTTCAGTAGCGGGTACGACATGTGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATCGCATGCATTGCTGCTGGTAGTGCTGGTATCACTTACGACGCGAACTGGGCGAAAGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAGATCGGCGTTTTCGTTCGACTACGCCATGGACCTCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCGAGCGGTGGAGGCGGATCTGGCGGAGGTGGTTCCGGCGGTGGCGGCTCCGGTGGAGGCGGCTCTGACATCCAGATGACCCAGTCTCCTTCCACCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCCAGTCAGAGCATTAGTTCCCACTTAAACTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATAAGGCATCCACTCTGGCATCTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTTACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGATGATTTTGCAACTTATTACTGCCAACAGGGTTATAGTTGGGGTAATGTTGATAATGTTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAA
>配列番号38 SI-38E34 (21D4-LH-scFv x 284A10-L1H1-scFv x 420H5-Fab x PL221G5-H1L1-scFv) 重鎖aa
AIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSALAWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPFTFGPGTKVDIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFSSSWIGWVRQAPGKGLEWMGIIYPDDSDTRYSPSFQGQVTISADKSIRTAYLQWSSLKASDTAMYYCARHVTMIWGVIIDFWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSDVVMTQSPSTLSASVGDRVTINCQASESISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYEASKLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQGYFYFISRTYVNSFGGGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTISTNAMSWVRQAPGKGLEWIGVITGRDITYYASWAKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDGGSSAITSNNIWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSQSLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSFSSNYWICWVRQAPGKGLEWIACIYVGSSGDTYYASSAKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDSSSYYMFNLWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCAVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGGGGGSGGGGSEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSFSSGYDMCWVRQAPGKGLEWIACIAAGSAGITYDANWAKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARSAFSFDYAMDLWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCQASQSISSHLNWYQQKPGKAPKLLIYKASTLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQGYSWGNVDNVFGGGTKVEIK
>配列番号39 SI-38E34 (21D4-LH-scFv x 284A10-L1H1-scFv x 420H5-Fab x PL221G5-H1L1-scFv) 軽鎖nt
GCCCTTGTGATGACCCAGTCTCCTTCCACCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCAATTGCCAGGCCAGTGAGGACATTGATACCTATTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTTTTATGCATCCGATCTGGCATCTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGATGATTTTGCAACTTATTACTGCCAAGGCGGTTACTATACTAGTAGTGCTGATACGAGGGGTGCTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
>配列番号40 SI-38E34 (21D4-LH-scFv x 284A10-L1H1-scFv x 420H5-Fab x PL221G5-H1L1-scFv) 軽鎖aa
ALVMTQSPSTLSASVGDRVTINCQASEDIDTYLAWYQQKPGKAPKLLIFYASDLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQGGYYTSSADTRGAFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【配列表】