IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特許7474230回収支援装置、回収支援システム及びプログラム
<>
  • 特許-回収支援装置、回収支援システム及びプログラム 図1
  • 特許-回収支援装置、回収支援システム及びプログラム 図2
  • 特許-回収支援装置、回収支援システム及びプログラム 図3
  • 特許-回収支援装置、回収支援システム及びプログラム 図4
  • 特許-回収支援装置、回収支援システム及びプログラム 図5
  • 特許-回収支援装置、回収支援システム及びプログラム 図6
  • 特許-回収支援装置、回収支援システム及びプログラム 図7
  • 特許-回収支援装置、回収支援システム及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】回収支援装置、回収支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/00 20060101AFI20240417BHJP
   B63C 11/48 20060101ALI20240417BHJP
   B63G 8/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B63C11/00 C
B63C11/48 D
B63G8/00 L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021160885
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050664
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】西谷 明彦
(72)【発明者】
【氏名】川田 亮一
(72)【発明者】
【氏名】小島 淳一
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-051470(JP,A)
【文献】特開2018-075869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/00 - 11/48
B63G 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中を潜航する水中潜航体と、水面に存在する水面航行体とを連結しているケーブルが弛んでいるか否かを検出する弛み検出部と、
前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、
前記ケーブルが弛んでいることが検出された場合に、前記水中潜航体の位置と前記水面航行体の位置とを通る第1直線に垂直であり、かつ前記水中潜航体の位置を含む平面から見て前記水面航行体と反対側の領域に目標水中位置を特定し、特定した前記目標水中位置に向かうように前記水中潜航体を潜航させる移動制御部と、
を有する回収支援装置。
【請求項2】
水中を潜航する水中潜航体と、水面に存在する水面航行体とを連結しているケーブルが弛んでいるか否かを検出する弛み検出部と、
前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、
前記ケーブルが弛んでいることが検出された場合に、前記水中潜航体及び前記水面航行体の少なくとも一方を、前記水中潜航体と前記水面航行体との距離が大きくなるように移動させる移動制御部と、
を有し、
前記移動制御部は、前記水中潜航体の位置と前記水面航行体の位置とを通る第1直線上において、前記水中潜航体と前記水面航行体との距離に対する、前記水面航行体より送り出された前記ケーブルの長さと当該距離との差の割合が所定割合以下になる目標水中位置を特定し、特定した前記目標水中位置に向かうように前記水中潜航体を潜航させる回収支援装置。
【請求項3】
水中を潜航する水中潜航体と、水面に存在する水面航行体とを連結しているケーブルが弛んでいるか否かを検出する弛み検出部と、
前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、
前記ケーブルが弛んでいることが検出された場合に、前記水中潜航体及び前記水面航行体の少なくとも一方を、前記水中潜航体と前記水面航行体との距離が大きくなるように移動させる移動制御部と、
を有し、
前記移動制御部は、前記水中潜航体の位置から水面に下した垂線の足と前記水面航行体の位置とを通る第2直線上において、前記水面航行体が前記水中潜航体から遠ざかる向きに前記水面航行体を航行させる回収支援装置。
【請求項4】
水中を潜航する水中潜航体と、水面に存在する水面航行体とを連結しているケーブルが弛んでいるか否かを検出する弛み検出部と、
前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、
前記ケーブルが弛んでいることが検出された場合に、前記水中潜航体及び前記水面航行体の少なくとも一方を、前記水中潜航体と前記水面航行体との距離が大きくなるように移動させる移動制御部と、
を有し、
前記水面航行体は、
前記ケーブルに通した一以上の錘と、
前記錘を把持する把持部と、を備え、
前記移動制御部は、前記把持部に前記錘を解放させることにより、前記錘を水中に投下させて前記水中潜航体を前記水面航行体の下方に移動させる回収支援装置。
【請求項5】
前記弛み検出部は、前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置により定まる前記水中潜航体と前記水面航行体との距離よりも、前記水面航行体より送り出された前記ケーブルの長さが所定割合以上長い場合、前記ケーブルが弛んでいることを検出する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の回収支援装置。
【請求項6】
前記弛み検出部は、前記ケーブルにかかっている張力が所定値未満である場合に、前記ケーブルが弛んでいることを検出する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の回収支援装置。
【請求項7】
前記水面航行体は、前記ケーブルに通した複数の前記錘を備え、
前記弛み検出部は、前記移動制御部が一の前記錘を水中に投下させてから所定時間経過後に、前記ケーブルが弛んでいるか否かを検出し、
前記移動制御部は、前記錘を投下させてから前記所定時間経過後に前記ケーブルが弛んでいた場合、再度前記錘を投下させる、
請求項4に記載の回収支援装置。
【請求項8】
前記水面航行体、前記水中潜航体を操作するための端末、又は前記水面航行体及び前記端末と通信可能な情報処理装置のいずれかに搭載されている、
請求項1からのいずれか一項に記載の回収支援装置。
【請求項9】
水中を潜航する水中潜航体と、
前記水中潜航体と通信する水面航行体と、
前記水中潜航体を操作するための、前記水面航行体と通信する端末と、を有し、
前記端末は、
前記水中潜航体と前記水面航行体とを連結しているケーブルが弛んでいるか否かを検出する弛み検出部と、
前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、
前記ケーブルが弛んでいることが検出された場合に、前記水中潜航体及び前記水面航行体の少なくとも一方を、前記水中潜航体と前記水面航行体との距離が大きくなるように移動させる移動制御部と、
を有し、
前記移動制御部は、前記水中潜航体の位置と前記水面航行体の位置とを通る第1直線に垂直であり、かつ前記水中潜航体の位置を含む平面から見て前記水面航行体と反対側の領域に目標水中位置を特定し、特定した前記目標水中位置に向かうように前記水中潜航体を潜航させる、回収支援システム。
【請求項10】
水中を潜航する水中潜航体を操作するためのコンピュータに、
前記水中潜航体と、水面に存在する水面航行体とを連結しているケーブルが弛んでいるか否かを検出する弛み検出部、
前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部、及び
前記ケーブルが弛んでいることが検出された場合に、前記水中潜航体及び前記水面航行体の少なくとも一方を、前記水中潜航体と前記水面航行体との距離が大きくなるように移動させ、前記水中潜航体の位置と前記水面航行体の位置とを通る第1直線に垂直であり、かつ前記水中潜航体の位置を含む平面から見て前記水面航行体と反対側の領域に目標水中位置を特定し、特定した前記目標水中位置に向かうように前記水中潜航体を潜航させる移動制御部、
としての機能を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中潜航体の回収を支援する回収支援装置、回収支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水中を潜航する水中潜航体を回収する技術が知られている。特許文献1には、水面に設置した巻き上げ装置と水中潜航体を連結するケーブルを巻き上げることで、水中潜航体を回収する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-89422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水中潜航体を回収する際にケーブルが弛んでいると、巻き上げ装置や水面下の機器、水中の障害物、あるいは水中潜航体に搭載された機器などにケーブルが絡まり、水中潜航体を回収できなくなるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、水中潜航体を回収しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、水中を潜航する水中潜航体と、水面に存在する水面航行体とを連結しているケーブルが弛んでいるか否かを検出する弛み検出部と、前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、前記ケーブルが弛んでいることが検出された場合に、前記水中潜航体及び前記水面航行体の少なくとも一方を、前記水中潜航体と前記水面航行体との距離が大きくなるように移動させる移動制御部と、を有する回収支援装置を提供する。
【0007】
前記弛み検出部は、前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置により定まる前記水中潜航体と前記水面航行体との距離よりも、前記水面航行体より送り出された前記ケーブルの長さが所定割合以上長い場合、前記ケーブルが弛んでいることを検出してもよい。
【0008】
前記弛み検出部は、前記ケーブルにかかっている張力が所定値未満である場合に、前記ケーブルが弛んでいることを検出してもよい。
【0009】
前記移動制御部は、前記水中潜航体の位置と前記水面航行体の位置とを通る第1直線上において、前記水中潜航体が前記水面航行体から遠ざかる向きに前記水中潜航体を潜航させてもよい。
【0010】
前記移動制御部は、前記水中潜航体と前記水面航行体との距離に対する、前記水面航行体より送り出された前記ケーブルの長さと当該距離との差の割合が所定割合以下になる目標水中位置を前記第1直線上に特定し、特定した前記目標水中位置に向かうように前記水中潜航体を潜航させてもよい。
【0011】
前記移動制御部は、前記水中潜航体の位置から水面に下した垂線の足と前記水面航行体の位置とを通る第2直線上において、前記水面航行体が前記水中潜航体から遠ざかる向きに前記水面航行体を航行させてもよい。
【0012】
前記水面航行体は、前記ケーブルに通した一以上の錘と、前記錘を把持する把持部と、を備え、前記移動制御部は、前記把持部に前記錘を解放させることにより、前記錘を水中に投下させて前記水中潜航体を前記水面航行体の下方に移動させてもよい。
【0013】
前記水面航行体は、前記ケーブルに通した複数の前記錘を備え、前記弛み検出部は、前記移動制御部が一の前記錘を水中に投下させてから所定時間経過後に、前記ケーブルが弛んでいるか否かを検出し、前記移動制御部は、前記錘を投下させてから前記所定時間経過後に前記ケーブルが弛んでいた場合、再度前記錘を投下させてもよい。
【0014】
前記回収支援装置は、前記水面航行体、前記水中潜航体を操作するための端末、又は前記水面航行体及び前記端末と通信可能な情報処理装置のいずれかに搭載されていてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、水中を潜航する水中潜航体と、前記水中潜航体と通信する水面航行体と、前記水中潜航体を操作するための、前記水面航行体と通信する端末と、を有し、前記端末は、前記水中潜航体と前記水面航行体とを連結しているケーブルが弛んでいるか否かを検出する弛み検出部と、前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、前記ケーブルが弛んでいることが検出された場合に、前記水中潜航体及び前記水面航行体の少なくとも一方を、前記水中潜航体と前記水面航行体との距離が大きくなるように移動させる移動制御部と、を有する回収支援システムを提供する。
【0016】
本発明の第3の態様においては、水中を潜航する水中潜航体を操作するためのコンピュータに、前記水中潜航体と、水面に存在する水面航行体とを連結しているケーブルが弛んでいるか否かを検出する弛み検出部、前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部、及び前記ケーブルが弛んでいることが検出された場合に、前記水中潜航体及び前記水面航行体の少なくとも一方を、前記水中潜航体と前記水面航行体との距離が大きくなるように移動させる移動制御部、としての機能を実現させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、水中潜航体を回収しやすくできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】回収支援システムの概要を説明するための図である。
図2】回収支援システムの各装置の構成を説明するための図である。
図3】水中潜航体が潜航可能な範囲を説明するための図である。
図4】通信ケーブルの弛みを検出する処理を説明するための図である。
図5】水中潜航体を潜航させる処理を説明するための図である。
図6】水中潜航体を移動させる処理を説明するための図である。
図7】水面航行体を移動させる処理を説明するための模式図である。
図8】通信ケーブルの弛みを解消する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[回収支援システムS]
図1は、回収支援システムSの概要を説明するための図である。回収支援システムSは、回収支援装置4、端末3、水面航行体2及び水中潜航体1を有する。
【0020】
水中潜航体1は、水中を潜航可能な無人機である。水中潜航体1は、水中を潜航しながら、例えば水中の様子を撮像したり水中で測定したりする。水面航行体2は、水面を航行する無人機である。水中潜航体1と水面航行体2は、通信ケーブル5を介して通信可能に接続されている。水中潜航体1が撮像した画像又は水中潜航体1が測定したデータは、水面航行体2及びネットワークNを介して端末3に送信される。
【0021】
ユーザUは、湖、河川、ダム、及び養殖場などにおいて水中の様子を監視する監視員である。水中潜航体1を操作するための端末3は、ユーザUが使用するコンピュータであり、例えば、水面航行体2から受信した画像を表示する。ユーザUは、表示された画像を確認しながら、端末3を介して水中潜航体1を遠隔操作する。端末3は、水面航行体2から受信した水中潜航体1の位置を示す画像を表示し、ユーザUは、表示された位置を確認しながら水中潜航体1を遠隔操作してもよい。
【0022】
回収支援装置4は、ユーザUが行う水中潜航体1の遠隔操作を支援する情報処理装置(サーバ)である。回収支援装置4は、ユーザUが端末3に入力した指示を取得して、取得した指示を水面航行体2に送信する。
【0023】
ところで、水中潜航体1を回収する際に通信ケーブル5が弛んでいると、通信ケーブル5を巻き上げる巻き上げ装置や水面航行体2の下部に搭載された水面下に存在する機器、水中の障害物、及び水中潜航体1に搭載された機器などに通信ケーブル5が絡まることがある。通信ケーブル5が絡まると通信ケーブル5を巻き上げることができなくなるので、水中潜航体1を回収できなくなるおそれがあった。
【0024】
そこで、回収支援装置4は、通信ケーブル5が弛んでいる場合、水中潜航体1及び水面航行体2の少なくとも一方を、水中潜航体1と水面航行体2の距離が大きくなるように移動させる。このようにすることで、回収支援装置4は、通信ケーブル5の弛みを解消することができるので、通信ケーブル5が絡まることを抑制でき、水中潜航体1を回収しやすくできる。
【0025】
以下、図2を参照しながら、回収支援システムSの各装置の構成を具体的に説明する。図2は、回収支援システムSの各装置の構成を説明するための図である。
【0026】
[水中潜航体1の構成]
水中潜航体1は、水中を撮像するためのカメラ、及び水面航行体2と通信するための通信モジュールを備える。水中潜航体1は、ユーザUの操作に従って水中を潜航しながら水中を撮像する。水中潜航体1は、水面航行体2と通信ケーブル5を用いて通信可能に接続されている。通信ケーブル5の長さは、10メートルから数百メールである。本実施形態の通信ケーブル5の長さは、20メートルである。
【0027】
水中潜航体1は、音響測位を用いて基準点に対する水中潜航体1の相対位置を取得する。音響測位は、例えば、Long Base Line方式、Short Base Line方式、及びUSBL(Ultra Short Base Line)方式もしくはSSBL(Super Short Base Line)方式の少なくともいずれかを用いることができる。本実施形態の水中潜航体1は、USBL方式を用いている。USBL方式の音響測位は、音波の波長と同程度の間隔で設置された各受信器が受信した音波の位相差と、各受信器で受信した信号の時間差から求められる距離に基づいて、基準点に対する相対位置を計測する方法である。基準点は、例えば水面航行体2の位置である。なお、水中潜航体1は、上記に限らず、水中潜航体1にかかる加速度を用いた慣性航法により水中潜航体1の相対位置を取得してもよい。
【0028】
[水面航行体2の構成]
水面航行体2は、水面を航行する無人機である。水面航行体2は、空中を飛行することができてもよい。水面航行体2は、水中潜航体1を搭載して、ユーザUが監視する対象である目標水域まで飛行する。水面航行体2は、目標水域に着水した後、通信ケーブル5で接続された水中潜航体1を発進させる。水面航行体2は、通信ケーブル5を巻き上げるための巻き揚げ装置を有する。
【0029】
水面航行体2は、無線通信部21と、水中通信部22と、制御部23と、把持部24と、一以上の錘25とを備える。本実施形態の水面航行体2は、複数の錘25を備える。
【0030】
無線通信部21は、回収支援装置4と通信するための無線通信モジュールである。無線通信部21は、例えばネットワークNを介して回収支援装置4と情報を送受信する。また、無線通信部21は、回収支援装置4を介して、端末3からの各種指示を受信したり、水中潜航体1が撮像した画像を端末3に送信したりする。
【0031】
水中通信部22は、水中潜航体1と通信するための水中通信モジュールである。水中通信部22は、例えば通信ケーブル5を介して水中潜航体1と情報を送受信する。
【0032】
制御部23は、水面航行体2の各構成部を制御する、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部23は、端末3に入力されたユーザUの指示に従って水面航行体2及び水中潜航体1を制御する。
【0033】
また、水面航行体2は、図示しないGPS(Global Positioning System)受信機を備え、GPS受信機が受信した電波に基づいて水面航行体2の位置を取得する。GPS受信機は、GPSの衛星から送信される電波を受信し、水面航行体2の位置を示す2次元上の座標を特定する。水面航行体2は、特定した水面航行体2の位置を回収支援装置4に送信する。
【0034】
水面航行体2の制御部23は、音響測位を用いて基準点である水面航行体2に対する水中潜航体1の相対位置を算出する。水面航行体2は、水中潜航体1の相対位置及び水面航行体2の位置に基づいて水中潜航体1の絶対位置を算出する。水中潜航体1の絶対位置は、緯度、経度及び水深を示す3次元上の座標である。水面航行体2は、算出した絶対位置を水中潜航体1及び回収支援装置4に送信する。
【0035】
把持部24は、通信ケーブル5に通した一以上の錘25を把持する。把持部24は、例えば錘25を把持するための開閉可能な爪を有していて、爪を閉じた状態で錘25を把持し、爪を開くことで錘25を解放する。把持部24は、錘25を解放することにより錘25を水中に投下する。把持部24は、水中潜航体1が複数の錘25を有している場合、各錘25を把持するための複数の爪を有し、各爪を個別に解放することで、複数の錘25を一つずつ開放することができる。
【0036】
[回収支援装置4の構成]
回収支援装置4は、通信部41と、記憶部42と、制御部43とを有する。
【0037】
通信部41は、端末3及び水面航行体2と通信するための通信モジュールである。通信部41は、ネットワークNを介して端末3及び水面航行体2と情報を送受信する。通信部41は、ユーザUが端末3に入力した指示を水面航行体2に送信する。また、通信部41は、水中潜航体1が撮像した画像を端末3に送信する。
【0038】
記憶部42は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部42は、制御部43が実行するプログラムを記憶する。
【0039】
制御部43は、例えばCPU等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部43は、記憶部42に記憶されたプログラムを実行することにより、位置取得部431、弛み検出部432、移動制御部433及び制御指示部434としての機能を実現する。
【0040】
位置取得部431は、水中潜航体1の位置及び水面航行体2の位置を水面航行体2から取得する。図3は、水中潜航体1が潜航可能な範囲を説明するための図である。破線rは、通信ケーブル5の最大送出長を示す。水中潜航体1は、水面航行体2の位置を中心とし、通信ケーブル5の最大送出長を半径とする半球A内を潜航することができる。
【0041】
弛み検出部432は、水中潜航体1と水面航行体2を連結している通信ケーブル5が弛んでいるか否かを検出する。例えば、弛み検出部432は、水中潜航体1を回収する指示を端末3から取得すると、通信ケーブル5が弛んでいるか否かを検出する。また、弛み検出部432は、所定時間が経過する毎に通信ケーブル5が弛んでいるか否かを検出する。所定時間は、例えば1秒である。
【0042】
弛み検出部432は、例えば、水中潜航体1の位置及び水面航行体2の位置により定まる装置間距離及び通信ケーブル5の送出長さに基づいて、通信ケーブル5が弛んでいることを検出する。図4は、通信ケーブル5の弛みを検出する処理を説明するための図である。
【0043】
弛み検出部432は、まず、装置間距離Dを算出する。弛み検出部432は、例えば水中潜航体1の位置及び水面航行体2の位置を長方形の対角線の頂点として、当該対角線の長さを算出することにより装置間距離Dを算出する。
【0044】
弛み検出部432は、送出長さKが、装置間距離Dよりも弛み割合以上長い場合、通信ケーブル5が弛んでいることを検出する。弛み割合は、例えば通信ケーブル5が絡まることなく巻き上げられる値として、通信ケーブル5の太さ、材質及び硬さ等に応じて適宜定められる。弛み割合の具体的な値は例えば30パーセントである。一例を挙げると、弛み検出部432は、装置間距離Dが10メートルの場合、送出長さKが装置間距離Dの1.3倍である13メートル以上であるときに通信ケーブル5が弛んでいることを検出する。
【0045】
弛み検出部432は、通信ケーブル5にかかっている張力に基づいて弛みを検出してもよい。この場合、水面航行体2は、通信ケーブル5にかかっている張力を検出する張力検出器を有する。張力検出器は、例えば差動トランス方式の平行バネ式張力検出器であるが、これに限定するものではない。以下、張力検出器が検出した張力を「検出張力」と言う。弛み検出部432は、検出張力が所定の弛み閾値未満である場合に、通信ケーブル5が弛んでいることを検出する。弛み閾値は、例えば通信ケーブル5が絡まることなく巻き上げられる値として、通信ケーブル5の太さ、材質及び硬さ等に応じて適宜定められる。
【0046】
移動制御部433は、通信ケーブル5が弛んでいることが検出された場合に、通信ケーブル5の弛みを解消するように水中潜航体1及び水面航行体2の少なくとも一方を移動させる。例えば、移動制御部433は、装置間距離Dが大きくなるように水中潜航体1を潜航させる。
【0047】
図5は、水中潜航体1を潜航させる処理を説明するための図である。図5(a)は、装置間距離D1よりも送出長さKが弛み割合以上長く、通信ケーブル5が弛んでいる状態の模式図である。図5の通信ケーブル5の送出長さKは、19.5メートルであるとする。装置間距離D1は、10メートルであるとする。
【0048】
まず、移動制御部433は、水中潜航体1の位置と水面航行体2の位置とを通る第1直線B1を特定する。次に、移動制御部433は、送出長さKと装置間距離Dとの差の、装置間距離Dに対する割合が弛み割合以下になる目標水中位置Pを第1直線B1上に特定する(図5(a)を参照)。具体的には、移動制御部433は、装置間距離Dが、1と弛み割合の和で送出長さKを除算した値以上になる目標水中位置Pを第1直線B1上に特定する。一例を挙げると、移動制御部433は、新たな装置間距離Dが、19.5メートルを1.3で除算した15メートル以上になる目標水中位置Pを特定する。なお、目標水中位置Pを特定する位置は、第1直線B1上に限らない。例えば、移動制御部433は、第1直線B1に垂直であり、かつ水中潜航体1の位置を含む平面を挟んで水面航行体2と反対側の領域に目標水中位置Pを特定する。
【0049】
そして、移動制御部433は、第1直線B1上において、水中潜航体1が水面航行体2から遠ざかる向きに水中潜航体1を潜航させる。具体的には、移動制御部433は、通信ケーブル5を送出させないで、目標水中位置Pに向かうように水中潜航体1を潜航させる。
【0050】
図5(b)は、水中潜航体1が目標水中位置Pに潜航した状態の模式図である。水中潜航体1が目標水中位置Pに潜航したことにより、潜航後の装置間距離D2は、潜航前の装置間距離D1よりも大きくなっている。一方、送出長さKは、通信ケーブル5が新たに送り出されていないので、水中潜航体1の潜航前後で変化していない。このように、移動制御部433は、通信ケーブル5の送出長Kを長くすることなく、装置間距離Dを大きくすることができる。その結果、移動制御部433は、送出長さKと装置間距離Dとの差の装置間距離Dに対する割合を弛み割合以下にして通信ケーブル5の弛みを解消できる。
【0051】
移動制御部433は、水中潜航体1が移動できない場合に、水面航行体2に錘25を投下させることにより水中潜航体1を移動させる。図6は、水中潜航体1を移動させる処理を説明するための図である。図6(a)は、装置間距離D1よりも送出長さKが弛み割合以上長く、通信ケーブル5が弛んでいる状態の模式図である。図6(a)の錘25は、把持部24により把持されている。
【0052】
移動制御部433は、把持部24に錘25を解放させる指示を水面航行体2に送信する。水面航行体2は、移動制御部433の指示に従って把持部24を解放して錘25を水中に投下する。投下された錘25は、水中潜航体1に接触して、錘25自身の重みにより水中潜航体1を水面航行体2の下方に移動させる。
【0053】
図6(b)は、錘25が水中に投下された後の状態の模式図である。通信ケーブル5は、錘25が投下されたことにより水面航行体2の鉛直方向に沿った状態になっている。水中潜航体1は、通信ケーブル5の変化に応じて位置が変化し、錘25の投下前よりも水深が深く、水面航行体2の下方の位置に移動している。錘25の投下後の装置間距離D3は、錘25の投下前の装置間距離D1よりも長くなっている。このように、移動制御部433は、水中潜航体1が潜航できなくても、装置間距離Dを大きくできるから、通信ケーブル5の弛みを解消できる。
【0054】
移動制御部433は、錘25を投下させた後に、通信ケーブル5に弛みがあれば再度錘25を投下させる。具体的には、まず、弛み検出部432は、一の錘25が水中に投下されてから所定の降下時間が経過した後に、通信ケーブル5が弛んでいるか否かを検出する。降下時間は、錘25が十分に降下する時間として定めればよく、例えば送出長さKが長いほど長くする。移動制御部433は、把持部24に錘25を投下させてから降下時間が経過した後に通信ケーブル5が弛んでいた場合、再度把持部24に錘25を投下させる。このように、移動制御部433は、通信ケーブル5の弛みが解消するまで錘25を投下させる。
【0055】
移動制御部433は、通信ケーブル5が弛んでいることが検出された場合に、水中潜航体1から遠ざかる向きに水面航行体2を移動させてもよい。図7は、水面航行体2を移動させる処理を説明するための模式図である。図7(a)は、装置間距離D1よりも送出長さKが弛み割合以上長く、通信ケーブル5が弛んでいる状態の模式図である。
【0056】
移動制御部433は、水中潜航体1の位置から水面に下した垂線Tの足Vと水面航行体2の位置とを通る第2直線B2を特定する。次に、移動制御部433は、送出長さと当該距離との差の装置間距離に対する割合が所定割合以下になる目標水面位置Qを第2直線B2上に特定する。なお、目標水面位置Qを特定する位置は、第2直線B2上に限らない。例えば、移動制御部433は、第2直線B2に垂直であり、かつ水面航行体2の位置を含む平面を挟んで水中潜航体1と反対側の水面上に目標水面位置Qを特定する。
【0057】
移動制御部433は、第2直線B2上において、水面航行体2が水中潜航体1から遠ざかる向きに水面航行体2を航行させる。具体的には、移動制御部433は、通信ケーブル5を送出させずに、水面航行体2に水面を航行させて、水面航行体2を目標水面位置Qに移動させる。また、移動制御部433は、飛行可能な水面航行体2に空中を飛行させて、水面航行体2を目標水面位置Qにおいて着水させてもよい。
【0058】
図7(b)は、水面航行体2が目標水面位置Qに移動した状態の模式図である。水面航行体2が目標水面位置Qに航行したことにより、航行後の装置間距離D4は、航行前の装置間距離D1よりも大きくなっている。一方、送出長さKは、通信ケーブル5が新たに送り出されていないので、水面航行体2の航行前後で変化していない。このように、移動制御部433は、水中潜航体1が移動できなくとも、送出長さKを長くすることなく装置間距離Dを大きくすることができるので、通信ケーブル5の弛みを解消できる。
【0059】
制御指示部434は、端末3から水中潜航体1の回収指示を受信した場合、水面航行体2に水中潜航体1を回収する指示を送信する。具体的には、制御指示部434は、通信ケーブル5が弛んでいない場合に通信ケーブル5を巻き上げる指示を水面航行体2に送信する。制御指示部434は、通信ケーブル5が弛んでいる場合、通信ケーブル5の弛みが解消されるまで水面航行体2に水中潜航体1を回収する指示を送信しない。この場合、制御指示部434は、移動制御部433が水中潜航体1及び水面航行体2の少なくともいずれかを移動させ、通信ケーブル5の弛みが解消された後、通信ケーブル5を巻き上げる指示を水面航行体2に送信する。
【0060】
[通信ケーブル5の弛みを解消する処理]
図8は、通信ケーブル5の弛みを解消する処理の一例を示すフローチャートである。図8のフローチャートは、水中潜航体1を回収する指示が端末3に入力されると実行される。
【0061】
まず、位置取得部431は、水面航行体2及び水中潜航体1の位置を、ネットワークNを介して水面航行体2から取得する(ステップS1)。具体的には、位置取得部431は、GPS受信機が受信した電波に基づく水面航行体2の位置を取得し、水面航行体2の位置と、水面航行体2に対する水中潜航体1の相対位置に基づく水中潜航体1の絶対位置を取得する。
【0062】
次に、弛み検出部432は、水中潜航体1と水面航行体2を連結している通信ケーブル5が弛んでいるか否かを検出する(ステップS2)。例えば、弛み検出部432は、通信ケーブル5の送出長さKが、装置間距離Dよりも弛み割合以上長い場合、通信ケーブル5が弛んでいることを検出する。
【0063】
移動制御部433は、通信ケーブル5の弛みが検出されたか否かに基づいて、通信ケーブル5が弛んでいるか否かを判定する(ステップS3)。通信ケーブル5が弛んでいない場合(ステップS3でNo)、制御指示部434は、水面航行体2に水中潜航体1を回収する指示を送信する(ステップS9)。具体的には、制御指示部434は、通信ケーブル5を巻き上げる指示を水面航行体2に送信する。
【0064】
移動制御部433は、通信ケーブル5が弛んでいる場合(ステップS3でYes)、水中潜航体1を水面航行体2から遠ざかる向きに移動させる(ステップS4)。具体的には、まず、移動制御部433は、水中潜航体1と水面航行体2を通る第1直線上に、送出長さKと装置間距離Dとの差の装置間距離Dに対する割合が弛み割合以下になる目標水中位置Pを特定する。そして、移動制御部433は、通信ケーブル5を送出させないで、目標水中位置Pに向かうように水中潜航体1を潜航させる。
【0065】
移動制御部433は、水中潜航体1が目標水中位置Pに移動したか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、移動制御部433は、水中潜航体1の位置が目標水中位置Pを含む所定範囲内に含まれるか否かを判定することにより、水中潜航体1が移動したか否かを判定する。目標水中位置Pを含む所定範囲は、音響測位の誤差が大きいほど大きい。所定範囲の具体的な値は、例えば半径2メートルの球である。制御指示部434は、水中潜航体1が目標水中位置Pに移動した場合(ステップS5でYes)、水面航行体2に水中潜航体1を回収する指示を送信する(ステップS9)。
【0066】
移動制御部433は、水中潜航体1が目標水中位置Pに移動していない場合(ステップS5でNo)、水中潜航体1が移動できないと判定し、水面航行体2に錘25を水中に投下させる(ステップS6)。具体的には、移動制御部433は、水面航行体2が搭載している複数の錘25のうちの、一の錘25を水中に投下させる指示を水面航行体2に送信することにより、当該一の錘25を水中に投下させる。このようにすることで、水中潜航体1が水面航行体2の下方に移動するから、水中潜航体1と水面航行体2の装置間距離Dが大きくなる。
【0067】
弛み検出部432は、錘25が投下された後、通信ケーブル5の弛みを検出する(ステップS7)。移動制御部433は、錘25の投下後に、再度通信ケーブル5が弛んでいるか否かを判定する(ステップS8)。通信ケーブル5が弛んでいない場合(ステップS8でNo)、制御指示部434は、水面航行体2に水中潜航体1を回収する指示を送信する(ステップS9)。
【0068】
移動制御部433は、ステップS8で通信ケーブル5が弛んでいると判定した場合(ステップS8でYes)、ステップS6に戻り、再度錘25を水中に投下させる。移動制御部433は、通信ケーブル5の弛みが検出されなくなるまで、ステップS6からステップS8までの処理を繰り返す。
【0069】
なお、移動制御部433は、水面航行体2に搭載されたすべての錘25を水中に投下した後に通信ケーブル5の弛みが検出された場合、水中潜航体1が移動できないこと及び通信ケーブル5の弛みが解消できないことの少なくともいずれかを通知する。このようにすることで、ユーザUは、水中潜航体1が回収できない状況にあることを把握できる。
【0070】
移動制御部433は、水中潜航体1が移動できない場合、移動できない水中潜航体1から遠ざかる向きに水面航行体2を移動させる。具体的には、移動制御部433は、水中潜航体1が目標水中位置Pに移動していない場合(ステップS5でNo)、及びすべての錘25を水中に投下した後に通信ケーブル5の弛みが検出された場合の少なくともいずれかで、水中潜航体1から遠ざかる向きに水面航行体2を移動させる。このようにすることで、移動制御部433は、水中潜航体1が移動できなくても、水中潜航体1と水面航行体2の装置間距離Dを大きくできるから、通信ケーブル5の弛みを解消できる。
【0071】
また、移動制御部433は、通信ケーブル5が弛んでいる場合に水中潜航体1に替えて水面航行体2を移動させてもよい。例えば、移動制御部433は、ステップS4において、水中潜航体1に替えて水面航行体2を移動させる。ステップS4において水面航行体2を移動させる場合、ステップS6の錘25を投下させる処理を実行しなくてもよいので水面航行体2は錘25を搭載しなくてよくなる。その結果、錘25を搭載する場合よりも水面航行体2の重量を小さくできる。
【0072】
(変形例1)
上記の実施形態においては、水中潜航体1は、水面航行体2と通信ケーブル5を用いて通信可能に接続されているが、これに限らず、通信ケーブル5を用いずに、水中無線通信を用いて通信可能に接続されていてもよい。水中無線通信は、例えば可視光通信及び、音波通信、及び低周波電波通信の少なくともいずれかである。水中無線通信を用いて通信可能な範囲は、例えば10メートルから数百メートルである。水中無線通信を用いて通信可能に接続される場合、水中潜航体1と水面航行体2は、水中潜航体1を回収するためのワイヤー及びロープ等を用いて接続されている。
【0073】
(変形例2)
通信ケーブル5の弛みが小さすぎる場合、例えば水中潜航体1が急な水流に流されたときに水面航行体2がひっぱられて沈没するおそれがある。そこで、制御指示部434は、通信ケーブル5の弛みが、弛み割合よりも小さい緊張割合未満になったら、送出長Kが装置間距離Dよりも緊張割合以上長くなるまで通信ケーブル5を送出させる。緊張割合の具体的な値は例えば10パーセントである。一例を挙げると、制御指示部434は、送出長Kが11メートル未満の場合に装置間距離Dが10メートルになったら、送出長Kが11メートルになるまで通信ケーブル5を送出させる指示を水面航行体2に送信する。
【0074】
また、制御指示部434は、検出張力が、所定の緊張閾値以上になったら、検出張力が緊張閾値未満になるまで通信ケーブル5を送出させる。緊張閾値は、弛み閾値よりも大きい。この場合、制御指示部434は、通信ケーブル5を所定長さ送出させる毎に、検出張力が緊張閾値未満か否かを判定し、検出張力が緊張閾値未満になるまで順次通信ケーブル5を送出させる。所定長さの具体的な値は、例えば50センチメートルである。
【0075】
(変形例3)
上記の実施形態に限らず、水面航行体2である船舶が、水中潜航体1を搭載して目標水域まで水上を航行してもよい。船舶は回収支援装置4及び端末3を搭載し、船舶上でユーザUが端末3を介して水中潜航体1を操作してもよい。
【0076】
(変形例4)
水面航行体2は、航行及び飛行しなくてもよく、例えば端末3と通信可能なブイでもよい。ブイである水面航行体2は、例えば太陽光発電システム等の発電システムを有し、外部からの電力供給がなくとも機能するのが望ましい。
【0077】
(変形例5)
回収支援装置4は、サーバでなくともよく、例えば端末3又は水面航行体2に搭載されていてもよい。また、端末3又は水面航行体2が回収支援装置4と同様の機能を実現するためのプログラムを実行することにより、端末3又は水面航行体2が回収支援装置4として機能してもよい。
【0078】
[水中潜航体1の効果]
以上説明したとおり、回収支援装置4は、水中潜航体1と水面航行体2を連結している通信ケーブル5が弛んでいる場合に、水中潜航体1及び水面航行体2の少なくとも一方を、水中潜航体1と水面航行体2の距離が大きくなるように移動させる。このようにすることで、回収支援装置4は、水中潜航体1と水面航行体2の装置間距離Dを大きくすることができるので、通信ケーブル5の弛みを解消することができる。その結果、回収支援装置4は、通信ケーブル5が絡まることを抑制でき、水中潜航体1を回収しやすくできる。
【0079】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0080】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0081】
S 回収支援システム
1 水中潜航体
2 水面航行体
21 無線通信部
22 水中通信部
23 制御部
24 把持部
25 錘
3 端末
4 回収支援装置
41 通信部
42 記憶部
43 制御部
431 位置取得部
432 弛み検出部
433 移動制御部
434 制御指示部
5 通信ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8