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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】イオン注入システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/317 20060101AFI20240417BHJP
   H01J 37/147 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
H01J37/317 A
H01J37/147 D
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021529313
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 US2019060084
(87)【国際公開番号】W WO2020123063
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】16/218,884
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アイズナー,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデンヴァーグ,ボ
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-039478(JP,A)
【文献】特表2013-529360(JP,A)
【文献】特開2016-225283(JP,A)
【文献】特表2016-538685(JP,A)
【文献】特表2017-539062(JP,A)
【文献】特表2018-516434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0108362(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0187450(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0351372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/317
H01J 37/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームを形成するイオン源と、
前記イオンビームを質量分析する質量分析器と、
走査波形を提供する電源と、
前記走査波形に基づいて、走査経路に沿って前記イオンビームを選択的に走査する磁気スキャナであって、当該磁気スキャナ内において複数のビームレットから構成される走査イオンビームを画定する、磁気スキャナと、
前記複数のビームレットを、ワークピースにわたりほぼ一定の入射角となるよう当該ワークピースに向けて方向付ける複数の磁極を備える磁場補正装置と、を含み、
前記磁場補正装置は、ポイントビームおよび公称三角波電流波形が前記イオンビームに用いられ、前記イオンビームが実質的に一定の走査速度でワークピース全体を前記走査経路に沿って完全に走査されると、前記ワークピースの中心から当該ワークピースの縁部に向かって、実質的に単調に増加するフラックスを有する不均一フラックスプロファイルを有する前記複数のビームレットを提供するように構成され
前記複数のビームレットの前記不均一フラックスプロファイルは、前記磁場補正装置の前記複数の磁極によって画定される、イオン注入システム。
【請求項2】
前記フラックスは前記ワークピースの中心から前記ワークピースの縁部に向かって10%から100%だけ増加する、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項3】
前記不均一フラックスプロファイルは、前記ワークピースの中央領域にかけてほぼ均一であり、かつ前記ワークピースの前記縁部では増加する前記フラックスを含み、前記中央領域は、前記ワークピースの長さの20%から80%の間に相当する、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項4】
前記不均一フラックスプロファイルは概ね放物線状である、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項5】
前記磁気スキャナおよび前記磁場補正装置のうちの1つ以上の制御を介して、前記不均一フラックスプロファイルを制御するコントローラをさらに備える、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項6】
前記磁場補正装置は、S字構造の一対の逆極性双極子磁石を含む、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項7】
イオンビームを形成するイオン源と、
前記イオンビームを質量分析する質量分析器と、
走査波形を提供するスキャナ電源と、
前記走査波形に基づいて、走査経路に沿って前記イオンビームを選択的に走査するスキャナであって、当該スキャナにおいて複数のビームレットから構成される走査イオンビームを画定するスキャナと、
前記複数のビームレットを、ワークピースにわたりほぼ一定の入射角となるよう当該ワークピースに向けて方向付ける複数の磁極を備える磁場補正装置と、を含み、
前記磁場補正装置は、ポイントビームおよび公称三角波電流波形が前記イオンビームに用いられ、前記イオンビームが実質的に一定の走査速度でワークピース全体を前記走査経路に沿って完全に走査されると、前記ワークピースの中心から当該ワークピースの縁部に向かって、実質的に単調に増加するフラックスを有する不均一フラックスプロファイルを有する前記複数のビームレットを提供するように構成され
前記複数のビームレットの前記不均一フラックスプロファイルは、前記磁場補正装置の前記複数の磁極によって画定される、イオン注入システム。
【請求項8】
前記スキャナおよび前記磁場補正装置のうちの1つ以上の制御を介して、前記不均一フラックスプロファイルを制御するコントローラをさらに備える、請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記スキャナ電源を制御するようにさらに構成され、これにより前記スキャナは、前記ワークピースにおいて前記複数のビームレットの前記不均一フラックスプロファイルを提供するようにさらに構成される、請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項10】
前記スキャナは磁気スキャナを含む、請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項11】
前記磁場補正装置は、S字構造の一対の逆極性双極子磁石を含む、請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項12】
前記フラックスは、前記ワークピースの中心から前記ワークピースの縁部に向かって10%~100%だけ増加する、請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項13】
前記不均一フラックスプロファイルは、概ね放物線状である、請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項14】
前記不均一フラックスプロファイルは、中央領域にかけて実質的に均一であり、前記ワークピースの縁部でのみで増加し、当該中央領域は、前記ワークピースの長さの20%から80%の間に相当する、請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項15】
走査リボンイオンビームの不均一フラックスを提供する方法であって、
オンビームを磁気スキャナへ供給する工程と、
時変電位を有する走査波形を前記磁気スキャナに提供し、当該磁気スキャナにおいて、走査経路を横切って前記イオンビームを走査して、複数のビームレットから構成される走査イオンビームを概ね画定する、工程と、
磁場補正装置を通して前記複数のビームレットを通過させる工程と、を含み、
前記磁場補正装置は、前記複数のビームレットを、ワークピースにわたりほぼ一定の入射角となるよう当該ワークピースに向けて方向付け
前記磁場補正装置は、ポイントビームおよび公称三角波電流波形が前記イオンビームに用いられ、前記イオンビームが実質的に一定の走査速度でワークピース全体を前記走査経路に沿って完全に走査されると、前記走査波形を変更することなく、前記ワークピースにおいて前記複数のビームレットの不均一フラックスプロファイルを有する前記複数のビームレットを提供する複数の磁極を備え、
前記不均一フラックスプロファイルは、前記ワークピースの中心から当該ワークピースの縁部に向かって、実質的に単調に増加するフラックスを含む、方法。
【請求項16】
前記時変電位は、時変電圧または時変磁界のうちの少なくとも1つに関連する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フラックスは前記ワークピースの中心から前記ワークピースの縁部に向かって10%~100%だけ増加する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、平成30年12月13日出願の米国特許出願第16/218,884号、発明の名称「ハイスループット走査ビーム注入装置のための走査及び補正磁石の設計」の利益を主張する。
【0002】
〔本発明の分野〕
本発明は、概してイオン注入システムに関し、より具体的には、走査イオンビームの所定の均一性および角度プロファイルを提供するための、改善されたシステムおよび方法に関する。
【0003】
〔本発明の背景〕
イオン注入装置は、従来、半導体ワークピースまたはウエハ内に特定量のドーパントまたは不純物を配置するために利用される。典型的なイオン注入システムでは、ドーパント材料がイオン化され、その中でイオンビームを生成する。イオンビームは、イオンをウエハに注入するために半導体ウエハの表面に向けられる。当該ウエハにおいて、イオンはウエハの表面を貫通し、ウエハ中に所望の導電率の領域を形成する。例えば、イオン注入は、半導体ワークピースにおけるトランジスタの製造において特に使用されている。典型的なイオン注入装置は、イオンビームを生成するためのイオン源と、イオンビーム内のイオンを方向付けおよび/またはフィルタリング(例えば、質量分解)するための質量分析装置を有するビームラインアセンブリと、処理される1つ以上のウエハまたはワークピースを含むターゲットチャンバと、を備える。
【0004】
さまざまなタイプのイオン注入装置は、ワークピース内で達成されるべき所望の特性に基づいて、注入されるべきイオンのドーズ量およびエネルギーをそれぞれ変化させることができる。例えば、高電流イオン注入装置は、典型的には低~中エネルギーでの高ドーズ注入に使用され、中電流~低電流イオン注入装置は、典型的には高エネルギーでの低ドーズ用途に使用される。
【0005】
装置の形状が縮小し続けるにつれて、奥行のない接合接触領域(junction contact region)は、イオンビームのエネルギーをより低くすることへの要求に形を変える。加えて、正確なドーパントの配置に対する要求により、ビーム内および基板表面全体にわたって、ビーム角度の変動を最小化することに対する要求がますます厳しいものとなっている。例えば、特定の用途では、300電子ボルトまで落としたエネルギーでの注入が望ましく、同時に、エネルギーコンタミネーションを最小限に抑え、イオンビーム内ならびにワークピース全体の角度変動の厳格な制御を維持し、さらに、ワークピース処理の高いスループットを提供することが望ましい。
【0006】
ハイブリッド走査ビームは、ハイスループットで非常に良好なドーズ均一性を提供することができる。これにより、イオンビームは、ワークピースに対して電気的または磁気的に走査される。そのために、ワークピースは走査イオンビームを通して機械的に平行移動される。しかしながら、低エネルギー注入の場合、システムを通るワークピースのスループットは、イオンビームによるワークピースの完全なオーバースキャンを提供するために利用される、イオンビームのサイズおよび大きな走査振幅によって制限される。
【0007】
〔本発明の概要〕
本開示は、イオン注入システムの効率が従来のシステムを超えて向上するシステムおよび方法を提供する。当該システムおよび方法では、走査磁石および補正磁石のうちの1つ以上の改善された設計が有利に提供される。以下では、本発明の一部の態様の基本を理解できるように、発明の概要を説明する。この概要は、本発明の広範な概観ではなく、本発明の鍵または重要な要素を特定することも、本発明の範囲を線引きすることも意図されていない。むしろ、本概要の目的は、後に示す詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【0008】
本開示は、走査イオンビーム(走査されたイオンビーム:scanned ion beam)の不均一フラックスプロファイルを提供するためのシステムおよび方法を提供する。本開示の1つの例示的な態様によれば、イオン注入システムが提供される。当該イオン注入システムでは、イオンビームは、ワークピースの表面にわたり(ワークピースの表面を横切って)、イオンビーム走査周波数で走査するように構成されており、走査イオンビーム(「走査リボン(走査されたリボン:scanned ribbon)」とも呼ばれる)を画定する。例えば、スポットイオンビームが形成されてスキャナに提供され、そして時変電位を有する走査波形が当該スキャナに印加される。イオンビームは、走査経路を横切ってスキャナによって走査され、複数のビームレットから構成される走査イオンビーム(走査されたイオンビーム:scanned ion beam)を概ね画定する。次に、前記走査ビームは、補正装置を通過する。当該補正装置は、前記走査イオンビームを、ワークピースにわたりほぼ一定の入射角となるよう当該ワークピースに向けて方向付けるように構成される。前記補正装置は、前記ワークピースにおいて前記走査イオンビームの不均一フラックスプロファイルを提供するように構成された複数の磁極をさらに備える。
【0009】
以下の説明および添付の図面は、本発明の特定の例示的な態様および実施を詳細に説明する。これらは、本発明の原理を使用することができる様々な方法のうちのほんの数例を示しているに過ぎない。
【0010】
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、本開示の様々な態様による、スキャナ、補正装置、および線量測定システムを有するイオン注入システムの一実施形態である。
【0011】
図1Bは、図1Aのスキャナおよび幾つかの走査イオンビームの一実施形態である。
【0012】
図1Cは、図1Aおよび図1Bのスキャナにおける三角形状の走査電流波形の一実施形態である。
【0013】
図1Dは、図1Aのシステムにおいて、いくつかの別々の時点でワークピースに衝突する、1つの走査イオンビームを示す斜視図である。
【0014】
図2は、従来の補正装置の磁極およびビームガイドの斜視図である。
【0015】
図3Aは、理想的なスキャナおよび補正装置を通過する理想的なイオンビームの模式図である。
【0016】
図3Bは、図3Aの理想的なスキャナおよび補正装置を用いた理想的なビームフラックスプロファイルを示すグラフである。
【0017】
図3Cは、均一でない三角波電流波形を用いて生成された、例示的なフラックスプロファイルを示すグラフである。
【0018】
図4は、本開示の様々な態様による補正装置の磁極およびビームガイドの斜視図である。
【0019】
図5Aは、本開示の様々な態様によるスキャナおよび補正装置を通過するイオンビームの模式図である。
【0020】
図5Bは、図5Aのスキャナおよび補正装置を用いた不均一なビームフラックスプロファイルを示すグラフである。
【0021】
図6Aは、本開示の様々な態様による、別のスキャナおよび別の補正装置を通過する走査イオンビームの模式図である。
【0022】
図6Bは、図6Aのスキャナおよび補正装置を用いた不均一なビームフラックスプロファイルを示すグラフである。
【0023】
図7は、本開示の様々な態様によるスキャナに印加される走査電流に走査角度を関連付ける第1の関数および第2の関数を示すチャートである。
【0024】
図8は、本開示の様々な態様による様々な磁極設計を示すチャートである。
【0025】
図9は、本開示の様々な態様による、ワークピースに不均一フラックスプロファイルを提供する方法を示すフロー図である。
【0026】
〔本発明の詳細な説明〕
本発明は図面を参照して説明される。図面において、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を参照するために使用される。また、図示された構造は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【0027】
図1Aは、端末機12と、ビームラインアセンブリ14と、エンドステーション16と、を備える例示的なイオン注入システム10を示している。当該イオン注入システムは、エンドステーションに配置されたワークピース18にイオンを注入するように構成される。端末機12は、例えば、高電圧電源22によって電力供給されるイオン源20を備える。当該イオン源は、イオンビーム24を生成し、ビームラインアセンブリ14に向かわせる。例えば、イオン源20内で生成されたイオンが引き出され、イオンビーム24を形成する。これにより、当該イオンビームは、ビームラインアセンブリ14内のビーム経路26に沿ってエンドステーション16に向かって導かれる。
【0028】
ビームラインアセンブリ14は、例えば、ビームガイド28と、質量分析器30と、分解開口34と、走査システム36と、補正装置38とを備える。質量分析器30内には双極子磁場が設置されており、適切な電荷-質量比のイオンのみが分解開口34を通過する。走査システム36は、例えば、静電走査システムまたは磁気走査システムを備えることができる。図1Aの例示的な実施形態において図示されている走査システム36は、スキャナコイル44に結合される電源42を有する磁気スキャナ40を示している。スキャナ40は、ビーム経路26に沿って配置されており、質量分析器30によって質量分析された後にイオンビーム24を受容する。ここで、図1Aのスキャナは、イオンビームを磁気的に走査して、走査イオンビーム46(例えば、「走査リボン」とも呼ばれる)を概ね画定する。補正装置38は、例えば、走査イオンビーム46がワークピース18に対して、ワークピース全体にかけてほぼ一定の入射角で衝突するように、走査イオンビーム46をエンドステーション16に向けて方向付ける。例えば、走査イオンビーム46を形成するためのイオンビーム24の走査は、制御システム48によって、制御される。例えば、制御システム48は、スキャナコイル44に供給される電力を制御する。これにより、イオンビーム24を、ワークピース18全体にかけて磁気的に走査させる。
【0029】
イオン注入システム10は、イオン源20と、エンドステーション16との間に延在する様々なビーム形成(フォーミング)構造およびビーム整形(シェイピング)構造(図示せず)をさらに備えていてもよい。当該形成構造および整形構造は、イオンビーム24がエンドステーション16内のワークピース18に輸送されるときに、イオンビーム24を維持および結合する。イオンビーム24が通過し、維持されるこの経路は、典型的には真空に保たれており、イオンが空気分子との衝突によってビーム経路26から偏向される可能性を低減している。
【0030】
イオン注入システム10は、異なるタイプのエンドステーション16を使用してもよい。例えば、「バッチ式」エンドステーションは、例えば回転支持構造上に複数のワークピース18を同時に支持することができる。バッチ式エンドステーションでは、ワークピースは、全てのワークピースへの注入が完了するまでイオンビームの経路を通過して回転される。一方、「連続式」のエンドステーションは、注入のためにビーム経路に沿って単一のワークピース18を支持する。連続式エンドステーションでは、複数のワークピースは連続様式で一度に1つずつイオン注入され、各ワークピースは、次のワークピースの注入が開始される前に注入が完了する。
【0031】
図示されたエンドステーション16は、注入のためにビーム経路に沿って単一のワークピース18(例えば、ビーム24からのイオンが注入される、半導体ウエハ、ディスプレイパネル、または他のワークピース)を支持する「連続式」のエンドステーションである。エンドステーション16において、線量測定システム50は、注入動作の前に校正測定をするために、ワークピースの近くに配置される。校正中、イオンビーム24は、線量測定システム50を通過する。線量測定システム50は、例えば、プロファイラ経路54を横切るように構成された1つ以上のプロファイラ52を備えており、これによりイオンビーム24(例えば、走査イオンビーム46)のプロファイルを測定する。補正装置38は、走査イオンビーム46を、当該走査ビームが線量測定システム50の1つ以上のプロファイラ52にほぼ一定の入射角で衝突するように、エンドステーション16に向けて方向付ける。
【0032】
プロファイラ経路54は、例えば、ワークピース18の表面56に関連する注入面に沿って配置される。1つ以上のプロファイラ52は、例えば、走査イオンビーム46の電流密度を測定するための電流密度センサ58(例えば、ファラデーカップ)を備える。電流密度センサ58は、走査イオンビーム46に対して略直交して移動し、走査経路の幅を横断する。線量測定システム50は、本明細書でさらに説明されるような本開示の校正方法の測定態様を実施するために、例えば、制御システム48にさらに操作可能に接続され、制御システム48からコマンド信号を受信し、制御システム48に測定値を提供する。
【0033】
1つの例示的な態様によれば、スキャナ36は、イオンビーム24を受容し、電源42によってスキャナコイル44に印加される電流波形は、イオンビーム24をX方向(例えば、走査方向)に前後に走査して、当該イオンビームを細長い「走査リボン(走査されたリボン)」ビーム(例えば、走査イオンビーム46)に広げるように動作する。この細長い「走査リボン」ビームは、対象とするワークピース18と少なくとも同じ幅またはそれよりも広い有効X方向幅を有している。次いで、走査イオンビーム46は、補正装置38を通過する。補正装置38は、走査イオンビーム46を、Z方向にほぼ平行(例えば、ワークピース18の表面56に対してほぼ垂直)に、エンドステーション16に向けて方向付ける。
【0034】
静電走査システム(図示せず)では、ビームの周囲に間隔を置いて配置された複数の電極に、電源(1つまたは複数)が接続される。当該電極間の電場は、イオンビームを走査するようにさらに調節される。本開示の目的では、すべての異なる種類の走査システム36が考慮され、図1Aの磁場システムは、このような走査システムの1つの例示的な例である。
【0035】
走査システム36の例示的な磁界バージョンは、図1Bにさらに示されている。図1Bにおいて、電源42は、図1Cの波形60に示されているように、コイル44に交流電流を提供する。時変波形60(例えば、三角波形)は、ビーム経路26を横切る時変磁界を生成する。この時変磁界により、イオンビーム24は、走査方向(例えば、図1A、1B、および2B~2FのX方向)に沿って曲げられるか、または偏向される(例えば、走査される)。
【0036】
図1Cの時間「e」および「g」のように、走査磁界がページ外に向かう方向にある場合、イオンビーム24の正に帯電したイオンはX軸負方向に横力を受ける。図1Cの時間「d」のように、電流Iがゼロである場合、ビーム24は変更されずにスキャナ40を通過する。磁場がページ内に向かう方向にある場合(例えば、図1Cの時間「a」および「c」)、イオンビーム24の正に帯電したイオンは、X軸正方向に横力を受ける。
【0037】
図1Bは、イオンビーム24が、図1Aの補正装置38に入る前の走査中に、スキャナ40を幾つかの不連続な点で通過するときに生じる、スキャナビーム46に関連する偏向を示す。図1Dは、図1Cに示す対応する時間「a」から「g」においてワークピース18に衝突する走査イオンビーム46(例えば、イオンビーム24a~24g)を示す。図1Dの走査平行化イオンビーム(走査され平行化されたイオンビーム)24aは、図1Cの時間「a」において印加された電極電圧または電流に対応する。続いて、イオンビーム24b~24gは、ワークピース18をX方向に横切る単一の略水平走査に関して、図1Cの対応する時間「b」から「g」における走査電圧または電流について図1Dに示されている。
【0038】
図1Aに示すように、平行移動装置62(例えば、機械的作動装置)は、スキャナ40によってイオンビーム24がX方向(例えば、高速走査方向)の前後に走査されるのと同時に、ワークピース18をY方向(例えば、低速走査方向)に平行移動させる。これにより、イオンビーム24は、ワークピース18の表面56上に付与される。
【0039】
本開示は、理想化された注入装置において、スキャナ40に印加される電圧または電流における三角波がビーム角において三角波を生成し、補正装置38の後に、均一な走査リボンビーム46(例えば、均一なフラックスプロファイル)を生成することを理解する。しかしながら、様々な理由により、このような理想的な注入装置を実現することは困難である。さらに、場合によっては、様々な結果を達成するために、ワークピース18上の線量プロファイルを変化させることが有益であり得る。
【0040】
特に、電源42からスキャナ40への電流波形は、ワークピース18上に所望の線量プロファイルを生成するように変更することができる。場合によっては、前記線量プロファイルが均一であることが望ましいが、他の不均一なプロファイルも時には望ましい。所望のフラックスプロファイルを生成する特定の電流波形は、例えば、イオンビーム24がワークピース18を横切って走査されるときにイオンビーム24のビーム電流および形状がどのように変化するかに一般的に依存する。最小サイズを有するイオンビーム24は、走査にわたって形状の変化がほとんどないか、または全くない場合がある。これにより当該イオンビーム24は最小振幅を有し、公称三角波からの変形または偏差が最小の波形を生成する。従って、このような最小サイズのイオンビーム24は、例えば、最も効率的であり、スキャナ40に対する要求が最も少ない。
【0041】
小さなサイズのイオンビーム24を維持し、空間電荷ブローアップを最小限に抑えるために、例えば、磁気スキャナおよび補正装置は、中電流注入装置で使用されるような低電流ビームラインで使用される静電スキャナおよび補正装置とは対照的に、高電流ビームラインで使用される。走査にわたってイオンビーム24形状を概ね一定に維持するために、例えば、S字型磁石を補正装置38内で利用してもよい。これにより、当該補正装置内の1回曲げ磁石(single-bend magnet)または静電平行化レンズの利用と比較して、イオンビームの経路長が、走査を縦断してより類似する。
【0042】
例えば、図2は、従来の補正装置75のそれぞれの入口72および出口74に関連する磁極70A、70Bの従来の構成を示している。簡単のために、図2には、磁石のヨークおよびコイルを示していない。なぜなら、これらは、一般に、ビーム軌道を画定するのにそれほど重要ではないからである。図3Aは、従来の補正装置75のさらなる図である。従来の補正装置75は、スキャナ40の下流に配置することができ、それによりイオンビーム24a~24gの様々な軌道の経路26は、スキャナを出るときに様々な走査角度θa-θgを有している。ここでこれらの走査角度θa-θgは、経時的に均一に離間している。「理想的な」イオンビーム(例えば、「ポイント(点)」イオンビーム)が三角波(図1Cに示されるような)を使用してワークピース全体を完全に走査される場合、図3Bに示されるように、ワークピース18を横切る全体にかけて、ほぼ均一なフラックスプロファイル76が生成される。例えば、図3Bのほぼ均一なフラックスプロファイル76は、実質的に均一な走査および従来の補正装置75から生じる平均フラックスΨを有している。しかしながら、実際には、上述の「理想的な」イオンビームとは対照的に、「実際の」イオンビームは、ビームが走査されるときに形状、大きさ、および電流が変化し、三角波電流波形で生成される実際のフラックスプロファイル77は、図3Cに示されるように、均一ではない。
【0043】
しかしながら、イオンビーム24のビーム電流を増加させると、イオンビームのサイズを小さく、特性を一定に維持することがさらに困難になる。例えば、より大きいビームサイズでは、イオンビームの形状がワークピース18のより大きな部分に作用する場合、走査にわたるイオンビーム24の形状の差異の関連性がより大きくなる。例えば、図1Cの公称三角波形60を使用した場合、ワークピース18の縁部78においてビームフラックスの減少が見られる。その結果、ワークピース18上に均一なフラックスプロファイルを提供しようとして、より高度に修正された波形が導入されるため、走査波形60による均一性補正(uniformity correction)がより困難になる。このような均一性補正は、図1Aのシステム10を通るワークピース18のスループットをさらに低下させ得る。なぜなら、イオンビーム24は、より小さな画分のワークピースに注入しているワークピースの縁部78において、より多くの時間を費やすからである。
【0044】
従って、本開示によれば、システム10を通るワークピース18のスループットの増大は、少なくとも部分的には、スキャナ40および/または補正装置38を、図1Cの公称三角波形60および理想的なポイントビームを使用した場合にワークピース18全体にわたって不均一フラックスプロファイルを生成しつつ、イオンビーム24における平行性を維持するように構成することによって、達成することができる。次に、不均一フラックスプロファイルは、例えば、スキャナ40に印加される波形を調整することにより、均一になるように補正されるか、または所定の不均一なプロファイルを有するように補正される。図5Aは、本開示の種々の態様に係る補正装置38の一例を示したものである。当該補正装置の磁極80A、80Bは、入口82および出口84を通るイオンビーム24の不均一フラックスプロファイルを提供するように構成されている。
【0045】
例えば、図5Aのスキャナ40に関連する補正装置38の磁極80A、80Bの種々の形状は、図5Bに例示されているように、不均一フラックスプロファイル86を有利に提供することができる。これにより、ワークピース18の中心88近傍よりも、縁部78の方に大量のビームフラックスが提供される。本開示は、補正装置38が単一の磁石を含むか、またはS字構造の複数の磁石を含むかにかかわらず、いかなる補正装置38に対しても適用され得ることに留意されたい。さらに、スキャナ40およびそれに関連する任意の磁石は、イオンビーム24が常に曲げられるように、(図示されるような)バイポーラであっても、ユニポーラであってもよいことに留意されたい。
【0046】
1つの例示的な態様によれば、再び理想的な点ビームを仮定すると、ワークピース18に提供されるビームフラックスは、ビーム24a~24gの軌道の間隔に反比例する。すなわち、ビーム24a-24b、24b-24c、24c-24dなどの間でスキャナ40によって与えられる、時間にわたる均一な間隔は、スキャナ40から出て、均一なフラックスを生成する。本実施例では、様々な走査角θa-θgは、任意の所与の走査時間tの整数倍である。しかしながら、図5Aの補正装置38の磁極80A、80Bの構成のために、ビーム24a-24b、24b-24c、24c-24dなどの間で変化する密度は、ビームの上述した均一な走査に対して変化するフラックスを生成する。当該変化するフラックスは、ビームが別のビームに対してより近いワークピース18の縁部78においてより多くのフラックスを有し、ビーム同士がより離れている中心88における密度はより少ない。したがって、図5Bの不均一フラックスプロファイル86が達成される一方で、不均一フラックスプロファイル86は、スキャナから出て、均一なフラックスプロファイルを提供し、これにより、図4Bの均一な走査から得られるものと同様の平均フラックスΨを提供する。
【0047】
別の例示的な態様に従って、図6Aに示すように、改良スキャナ90は、当該スキャナの磁石が、従来の補正磁石68と共に、駆動電流と走査角度との間に非線形関係を提供するように構成され得る。
【0048】
従って、改良スキャナ90は、理想的なポイントビームおよび三角波電流波形を仮定して、図5Bフラックスプロファイル86と概ね等価な図6Bフラックスプロファイル92を提供するように構成されてもよい。しかしながら、従来のスキャナは電流の均一な変化に対して走査角度の均一な変化をもたらすが、本開示のスキャナの磁極は、電流の均一な変化が走査角度の不均一な変化をもたらすように、所定のプロファイルを有するように成形されてもよい。
【0049】
したがって、図6Bフラックスプロファイル92は、走査の端部に関連する損失ビーム電流を実際のイオンビームで補うために、縁部78でより大きなフラックスを達成しつつ、スキャナ40への同じ入力を利用して達成され得る。従来、図5Aのスキャナ40は、縁部78に近接するイオンビーム24を、ワークピース18の残りの部分よりも長い時間保持することにより、縁部78において所望のフラックスを達成する。そのため、スキャナ40へのAC波形は高度に修正され、潜在的には帯域幅が制限され得る。本開示は、このような複雑で悪影響を及ぼすようなAC走査波形に対する解決策を提供する。これにより、スキャナおよび補正システムは、有利にはワークピースの縁部78に対してより多くの量のフラックスを提供する。
【0050】
例えば、ワークピース18の縁部(複数可)78におけるフラックスは、ワークピースの中心88におけるフラックスよりも10%~100%大きくてもよい。別の実施例において、図5Bおよび6Bのフラックスプロファイル86、92は、スキャナ40に印加された修正されていない走査波形を伴う概ね放物線状であってもよい。さらに別の実施例において、修正されない走査波形を有するフラックスプロファイル86、92は、図5Aおよび図6Aのワークピース18の中心88に関連する中央領域にわたって概ね均一であり、ワークピースの縁部78においてのみ、または主にワークピースの縁部78において増加する。ここで、前記中央領域は、ワークピースの全長または直径の20%から80%の間を表す。
【0051】
このように、ビーム24a-24b、24b-24c、24c-24dなどの間で変化する密度は、改良スキャナ90によるビームの不均一走査のための変化するフラックスを生成する。従って、ビームが別のビームよりも近接しているワークピース18の縁部78においてより多いフラックスが生成され、ビーム同士が更に離れている中心88においてはより密度が低いフラックスが生成される。本実施例では、様々な走査角θa-θgは、任意の所与の走査時間tに対して異なっていてもよい。従って、改良スキャナ90は、図1Cの三角電流波形60を用いて駆動される場合、得られるビーム24a-24gの軌跡は、図5Bフラックスプロファイル86と同様である図6Bフラックスプロファイル92を提供する。
【0052】
図7は、走査角θと、均一性補正が均一なフラックスを提供するように走査波形を補正した後の実際のビームによってスキャナに印加された走査電流Iとを関連付ける第1の関数wおよび第2の関数wを示す。第1の関数wは、図3Aの従来のスキャナおよび補正システムと共に使用される場合、均一性補正後に均一なフラックスプロファイル(例えば、図3Bの均一なフラックスプロファイル76と同様)を提供する。第1の関数wにおいて、勾配は、走査角度θの極値94でより小さく、図7の中間96でより大きくなっている。第2の関数wは、本開示の改良されたシステムについての均一性補正後の関数であり、走査角θは、走査電流Iのより線形な関数(一次関数)である。
【0053】
別の例示的な態様によれば、本開示は、図5Bおよび6Bの不均一フラックスプロファイル86、92が、図5Aの補正装置38と図6Aの改良スキャナ90との組み合わせによって達成され得ることを理解する。例えば、図5の補正装置38および/または図6Aの改良スキャナ90のいずれかに関連する物理的磁石および磁極80A、80Bの様々な設計が考えられる。そのため、様々な磁極形状を設計する際には、改良された光学系および技術を利用することができる。
【0054】
例えば、図8は、特定の所望のフラックスプロファイルを提供するように構成された第1磁極エッジ100および第2磁極エッジ102を示す。例えば、第1磁極エッジ100および第2磁極エッジ102は、図6Aの従来の補正装置68(例えば、標準的なS字型磁石)と関連付けられ得る。一方、図8の改良磁極エッジ104、106、108、110は、図5Aの補正装置38と関連付けられ得る。これにより、図5Bおよび図6Bの不均一フラックスプロファイル86、92は、それぞれ、ビーム24によって概ね画定される。図8の改良磁極エッジ104、106、108、110は、それに応じて、磁石の様々な所望の光学特性を達成するように構成されてもよい。例えば、極回転、極エッジ曲率、極面曲率などが、改良磁極エッジ104、106、108、110の構成に利用されてもよい。
【0055】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に記載されるイオン注入システムの一実施形態に関連し得るが、他の態様は、イオン注入システムを通るワークピースのスループットを増加させる方法に関する。これらの方法は、一連の動作または事象として図示および説明されているが、本発明はそのような動作または事象の図示された順序によって限定されないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの動作は、本明細書で図示および/または説明されるものとは別に、異なる順序で、および/または他の動作または事象と同時に起こり得る。さらに、本発明の1つ以上の態様または実施形態による方法を実施するために、図示されたすべての工程が必要とされるわけではない。さらに、本明細書に示される動作のうちの1つ以上は、1つ以上の別の動作および/またはフェーズで実行され得る。
【0056】
図9は、走査リボンビーム(例えば、走査スポットビーム)のフラックスプロファイルを制御するための例示的な方法200を示す。図9の動作202では、例えば、スポットイオンビームがスキャナに提供され、動作204では、時変電位を有する走査波形がスキャナに印加される。当該走査波形は、例えば、三角波を含んでもよい。動作206では、前記スポットイオンビームは、走査経路を横切って(走査経路にわたって)走査され、走査経路内に、複数のビームレットからなる走査イオンビームを概ね画定する。動作208では、当該走査イオンビームが補正装置を通過する。ここで、当該補正装置は、ワークピース全体にわたってほぼ一定の入射角となるよう、走査イオンビームを、ワークピースに向かって方向付けるように構成される。動作210において、前記スキャナおよび補正装置の複数の磁極は、前記ワークピース全体にわたって走査された理想的なポイントビームを用いて、不均一フラックスプロファイルを有する走査イオンビームをワークピースに提供する。
【0057】
したがって、本開示は、理想的な場合における均一性補正の前に、不均一フラックスプロファイルを提供する。例えば、本開示は、実質的に一定の走査速度でワークピース全体にわたって走査されるポイントビームの理想的な場合において、フラックスがワークピースの中心からワークピースの縁部まで実質的に単調に増加するように構成される、1つ以上のスキャナおよび補正装置を意図している。実際のビームによる均一性補正後、フラックスプロファイルは実質的に均一であるか、または所定の不均一性を有する。従来、ワークピースの縁部は、上述した種々の理由による電流の減少に直面し、従って、ワークピースの縁部付近でフラックスを減少させた概ね放物線状のフラックスプロファイルを提供する。縁部近傍のこのような減少したフラックスを補償する(account)ために、図7に示すようにフラックスを増加させ、均一性をより高めるために、イオンビームを長時間縁部に保持する、均一性補正ルーチンが従来行われ
てきた。しかしながら、このようにイオンビームを縁部に保持することは、ビーム電流を浪費する。これは、走査の端部にあるときにワークピースを越えて延びるイオンビームの幅の部分に少なくとも部分的に起因する。
【0058】
本開示は、スキャナおよび補正装置を有利に利用して、ワークピースの縁部におけるビームフラックスを増加させる。その結果、そのようなより低い電流が縁部に存在する場合には、正味のフラックスプロファイルはより平坦となり、走査システムおよび均一性補正は、縁部にイオンビームを保持する持続時間をより短く構成することができる。これにより、少ないビーム電流の浪費がより少なくなる。
【0059】
本開示は、補正装置および/またはスキャナに様々な磁場を提供することを企図し、それぞれの磁石に関連する磁極形状、磁極面回転、および曲率が、本明細書で説明される所望の不均一フラックスプロファイルを提供する。例えば、磁極の面を変化させることにより、リボンビームを横切る各ビームレットの、磁界を通る経路長を効果的に変化させることができる。磁界を通る経路長を変化させることは、つまり、ビームレットが曲がる程度を変化させることであり、つまりビームレットは同様に変化して、平行な態様で補正装置を出ることができる。しかしながら、本開示によれば、ワークピースの縁部に関連するビームレットは、ワークピースの中間部よりも互いに近い。したがって、ワークピースの縁部では中間部よりも多くのフラックスを提供する。
【0060】
本発明を、1つ以上の実施形態に関して図示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、図示した例に対して変更および/または修正を行うことができる。特に、上述の構成要素または構造(ブロック、ユニット、エンジン、アセンブリ、装置、回路、システムなど)によって実行される様々な機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は別段の指示がない限り、本明細書で例示された本発明の例示的な実施で機能を実行する開示された構造と構造的に同等ではないにもかかわらず、説明された構成要素の指定された機能を実行する任意の構成要素または構造(たとえば、機能的に同等である)に対応することが意図される。さらに、本発明の特定の特徴はいくつかの実装形態のうちの1つのみに関して開示されているが、そのような特徴は任意の所与のまたは特定のアプリケーションに対して所望され、有利であり得るように、他の実装形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。さらに、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「伴う(with)」またはその変形が詳細な説明および前
記のいずれかに使用される限り、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語に類似した方法で包含することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1A】本開示の様々な態様による、スキャナ、補正装置、および線量測定システムを有するイオン注入システムの一実施形態である。
図1B図1Aのスキャナおよび幾つかの走査イオンビームの一実施形態である。
図1C図1Aおよび図1Bのスキャナにおける三角形状の走査電流波形の一実施形態である。
図1D図1Aのシステムにおいて、いくつかの別々の時点でワークピースに衝突する、1つの走査イオンビームを示す斜視図である。
図2】従来の補正装置の磁極およびビームガイドの斜視図である。
図3A】理想的なスキャナおよび補正装置を通過する理想的なイオンビームの模式図である。
図3B図3Aの理想的なスキャナおよび補正装置を用いた理想的なビームフラックスプロファイルを示すグラフである。
図3C】均一でない三角波電流波形を用いて生成された、例示的なフラックスプロファイルを示すグラフである。
図4】本開示の様々な態様による補正装置の磁極およびビームガイドの斜視図である。
図5A】本開示の様々な態様によるスキャナおよび補正装置を通過するイオンビームの模式図である。
図5B図5Aのスキャナおよび補正装置を用いた不均一なビームフラックスプロファイルを示すグラフである。
図6A】本開示の様々な態様による、別のスキャナおよび別の補正装置を通過する走査イオンビームの模式図である。
図6B図6Aのスキャナおよび補正装置を用いた不均一なビームフラックスプロファイルを示すグラフである。
図7】本開示の様々な態様によるスキャナに印加される走査電流に走査角度を関連付ける第1の関数および第2の関数を示すチャートである。
図8】本開示の様々な態様による様々な磁極設計を示すチャートである。
図9】本開示の様々な態様による、ワークピースに不均一フラックスプロファイルを提供する方法を示すフロー図である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9