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特許7474272キャリアからぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】キャリアからぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 17/06 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
A22C17/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021563618
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2020062202
(87)【国際公開番号】W WO2020225153
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】2023064
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】516063290
【氏名又は名称】マレル・ミート・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Marel Meat B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】メールディンク,ヤン ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ステーン,フランシスクス テオドルス ヘンリクス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】エーベルヘン,アドリアーン
(72)【発明者】
【氏名】クラーネンバルフ,ローナルト
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-031916(JP,A)
【文献】国際公開第2012/056793(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0034201(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 17/00-17/16
A22B 5/00- 5/20
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理する方法であって、前記キャリアが前記半分の豚枝肉部分の後脚部分と係合する前記方法であって、
前記半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を検出し、
骨、背骨(第7腰椎などの仙椎に隣接する腰椎)、及び寛骨(腸骨)の位置を識別し、識別された位置に基づいて、
切断装置によって前記寛骨と前記背骨との間の半分の豚枝肉部分の部分を通じて切断し、切断によって前記半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させる、ことを有する、
方法。
【請求項2】
前記切断は、結合部を通じて行われる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記切断は、前記寛骨と前記仙椎との間で行われる、及び/又は、前記切断は、前記仙椎と前記背骨との間で行われる、
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記切断は、仙と腸骨との結合部を通じて行われる、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
脊椎を通じて更なる切断を行うことをさらに有する、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記尾骨と前記寛骨との間の位置を識別し、
前記尾骨と前記寛骨との間に更なる切断を行う、ことをさらに有する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記更なる切断は、結合部を通じて行われる、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記方法はさらに、
前記切断装置によって、ハム部品とは対照的に前記中央部分にできるだけ多くの肉を分離させるために、ハム肉片を規定する筋肉に沿う曲線に沿って前記半分の豚枝肉部分の中央部分との間の前記半分の豚枝肉部分の結合部を分離し、前記半分の豚枝肉部分のハム部分は前記キャリアにぶら下がったままにさせる、ステップを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を検出することは、検出装置によって行われる、
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記検出装置は、
走査して前記半分の豚枝肉部分の一方側及び/又は両側の三次元画像データを生成するレーザスキャナ、
前記半分の豚枝肉部分の一方側及び/又は両側の三次元画像データを取り込むデジタル画像装置、及び、
前記半分の豚枝肉部分の肋骨の位置を含む前記半分の豚枝肉部分の内側骨構造を示すX線データを取り込むX線装置、の1つ又は複数を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
検出されたデータを前記検出装置に接続された制御処理ユニットを使用して処理し、前記尾骨、前記背骨(第7腰椎などの仙椎に隣接する腰椎)、及び前記寛骨(腸骨)の位置を決定する、ことをさらに有する、
請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理する装置であって、前記キャリアが前記半分の豚枝肉部分の後脚部分と係合する前記装置であって、
前記半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を検出する検出装置、
骨、背骨(第7腰椎などの仙椎に隣接する腰椎)、及び寛骨(腸骨)の位置を識別する識別装置、及び、識別された位置に基づいて、
前記寛骨と前記背骨との間の半分の豚枝肉部分の部分を通じて切断する切断装置であって、切断によって前記半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させる切断装置、
を有する装置。
【請求項13】
前記切断装置は、結合部を通じて切断するように構成される、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記装置はさらに、
前記尾骨と前記寛骨との間の位置を識別するように構成される前記識別装置を有し、この位置情報を使用して、前記切断装置は、前記尾骨と前記寛骨との間に更なる切断を行うように構成される
求項12に記載の装置。
【請求項15】
キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理するための、請求項12から請求項14の何れか1項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア(carrier)から少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分(half pig carcass part)を処理するための方法及び装置であって、キャリアが半分の豚枝肉部分の後脚部分と係合する前記方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリアからぶら下がって吊るされる屠殺動物の枝肉部分を搬送することが知られており、キャリアは、枝肉部分の脚部にある穴に係合している。枝肉部分は、内臓を取り出してきれいにされた半分の枝肉であり得る。使用されるキャリアは、互いに離れた方向を向いてクロスバーとともに結合される2つの反対側にあるキャリア端部を有するガンブレルタイプ(gambrel type)であり得る。クロスバーは、頭上搬送コンベアシステムと協働する吊り配置(hanging arrangement)を有する。別のタイプのキャリアは、先のとがった端部とフィッシングキャリアのような形状をしたキャリア部分とを有するユーロフック(Euro Hook)の変形であってもよい。ユーロフックはまた、ガンブレルのために使用されるものと同様の頭上搬送コンベアシステムと協働する吊り配置を有する。シングルキャリアは、DIN5047(肉及び他の食物用キャリア:管状トラックスライドキャリア)に適合し得る。
【0003】
伝統的に、豚の半分の枝肉は、更なる骨抜き及び他の処理の前に前部、中央部分及び後部(又はハム)に分割される。3つの部分への分割は、半分の枝肉部分が水平に横たわる処理テーブルにおいて行われてもよく、あるいは半分の枝肉が固定又は可動のいずれかでまだぶら下がっているときに行われてもよい。切断自体は、鋸タイプの回転ブレードを使用して行われる。これは、いくつかの認識される欠点を有する。第一に、過剰な量の肉及び骨のくずが発生し、生成される製品の品質を低下させる。第二に、肋骨部分を横切る切断は、肋骨を通じて切断し、肩甲骨を横切る切断は、肩甲骨の一部を切り離し、消費者の受け入れを損なう鋭い骨端を残す。第三に、ハムと中央部分との間の切断は、鋸タイプの回転ブレードによって行われる真っ直ぐな切断のため、中央部分に大量の高品質の肉を残す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は好ましくは、前記の欠点の1つ又は複数を単独又は任意の組合せで軽減、緩和、又は排除することを求める。特に、本発明の実施形態の目的として、キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理するための方法であって、前記キャリアが前記半分の豚枝肉部分の後脚部分と係合する前記方法を提供することを見ることができる。前記半分の枝肉部分は、前部部分を含み得るが、ほとんどの場合、前部は、本発明による方法を使用する場合、半分の豚枝肉部分からすでに取り除かれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理する方法であって、前記キャリアが前記半分の豚枝肉部分の後脚部分と係合する前記方法であって、
・前記半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を検出し、
・尾骨(tail bone)(第1尾椎から第4尾椎などの第1尾椎)、背骨(chine bone)(第7腰椎などの仙椎に隣接する腰椎)、及び寛骨(hip bone)(腸骨)の位置を識別し、識別された位置に基づいて、
・切断装置によって前記寛骨と前記背骨との間の半分の豚枝肉部分の部分を通って切断し、切断によって前記半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させる、ことを有する、
前記方法が提供される。
【0006】
本発明は、半分の豚枝肉部分の中央部分を残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離し、この目的のために重力を利用することを可能にする方法を提供するのに有利であり得る。さらに、骨の位置を検出し、いくつかの骨の位置を識別し、識別された位置に基づいて切断することは、有利な方法で切断することを可能にするために、例えば、骨よりも1つ又は複数の結合部(joint)を通じて切断することを可能にするために、及び/又は、結果として生じる2つの部分のある1つの部分により多くの量の肉を有するように切断するために、有益であり得ることが利点として見ることができる。
【0007】
「尾骨」については、第1尾椎から第4尾椎と理解することができる。
【0008】
「背骨」については、尾側(しっぽ側)方向における最後の腰椎など、仙椎に隣接する腰椎である椎骨と理解される。豚は、(5つから7つなど)可変数の腰椎を有する可能性があり、背骨は、例えば5つの腰椎を有する豚では「第5腰椎」、7つの腰椎を有する豚では「第7腰椎」など、(頭部から尾部への方向に数えて)最高数を有する腰椎であると理解される。
【0009】
「寛骨」については、「腸骨」と理解することができる。
【0010】
「寛骨と背骨との間」については、(仙腸関節を通じてなど、寛骨と仙椎との間の結合部を通じてなど)寛骨と仙椎との間、(仙骨を通じてなど)仙椎の部分を通じて又は仙椎の部分の間、(腰仙脊椎接合部(lumbosacral vertebral junction)における腰仙関節を通じてなど、仙椎と背骨との間の結合部の間など)仙椎と背骨との間、の1つ又は複数若しくはすべてと理解することができる。
【0011】
代替の第1の態様によれば、
・前記半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を含む前記半分の豚枝肉部分の少なくとも1つの特徴的特性を検出し、
・尾骨(第1尾椎から第4尾椎)、背骨(第7腰椎)、及び寛骨(腸骨)の位置を識別し、識別された位置に基づいて、
・切断装置によって前記寛骨と前記背骨(脊柱(backbone))との間の半分の豚枝肉部分の部分を通じて切断し、切断によって前記半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させる、ことを有する、
方法が提供される。
【0012】
一実施形態によれば、前記切断は、腰仙脊椎接合部における腰仙関節又は仙腸関節などの結合部を通じて行われる。この可能な利点は、(2つの隣接する骨の間の結合部など)結合部を通じた切断は、骨を通じて切断することの必要の手間を省くことを可能にし、それは次に、資源要求の厳しい切断を少なくする、結果として生じる骨くずを少なくする、結果として生じる鋭い骨端を少なくすることの1つ又は複数を可能にし得ることであり得る。
【0013】
結合部を通じて切断することについては、骨の外側の排他的空間などの空間において切断することと理解され得る。結合部を通じて切断することは、骨を通じて切断することではないと理解することができる。
【0014】
一実施形態によれば、前記切断は、寛骨と仙椎との間で行われる、及び/又は、前記切断は、仙椎と背骨との間で行われる。これらの2つの位置の一方又は両方において切断することによって、前記切断は、骨を通じて切断する必要なしに、前記半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させることを可能にするなど、寛骨を背骨から分離させることができる。
【0015】
一実施形態によれば、前記切断は、仙骨と腸骨との結合部を通じて行われる。
【0016】
「仙骨と腸骨との結合部」については、仙腸関節、及び/又は、一方側の寛骨(腸骨)と他方側の仙椎又は仙骨との間の結合部と理解することができる。この可能な利点は、(ハム部分に対してなど)前記半分の豚枝肉部分の中央部分に比較的大量の肉を残すことを可能にすることであり得る。別の可能な利点は、重力を介して自然の分離が尾骨と寛骨との間に生じ得ることであり得る。別の可能な利点は、尾骨がハム部分から切り離され(随意的にまだ前記中央部分の一部であるように脊椎(spine)に取り付けられ)ることであり得る。
【0017】
更なる実施形態によれば、前記方法はさらに、背骨と仙椎との間の更なる切断を行うことなど、脊椎を通じて更なる切断を行うことを有している。
【0018】
「脊椎」については、このような関係において、腰椎、仙椎、及び第1尾椎から第4尾椎などの尾椎を有する骨と理解することができる。更なる脊椎を通じた切断は、ハム部分及び/又は尾部から前記半分の豚枝肉部分の中央部分を部分的に又は完全に断ち切るように行うことができる。
【0019】
一実施形態によれば、前記更なる切断は、背骨と腰椎との間で行うことができる。この可能な利点は、尾骨が従って、前記中央部分だけでなくハム部分とも断ち切ることができることであり得る。背骨と腰椎との間の更なる切断は、ハム部分及び/又は尾部から前記半分の豚枝肉部分の中央部分を部分的に又は完全に断ち切るように行うことができる。
【0020】
一実施形態では、前記方法はさらに、
・尾骨と寛骨との間の位置を識別し、
・尾骨と寛骨との間に更なる切断を行う、
ステップを有する。
【0021】
この可能な利点は、尾骨がハム部分から切り離すことができることであり得る。前記更なる切断は、前述した切断に関して異なることを理解することができる。従って、前記切断及び前記更なる切断のための可能な位置は、オーバーラップし得るものの、前記切断及び前記更なる切断は、本質的に異なり得る。
【0022】
「尾骨と寛骨との間」については、(尾骨と仙椎との間の結合部を通じてなど)尾骨と仙椎との間、(仙椎を通じてなど)仙椎の部分の間、(仙椎と背骨との間の結合部を通じてなど)仙椎と背骨との間の1つ又は複数若しくはすべてと理解することができる。
【0023】
更なる実施形態によれば、前記更なる切断は、結合部を通じて行われる。この可能な利点は、(2つの隣接する骨の間の結合部など)結合部を通じた切断は、骨を通じて切断することの必要の手間を省くことを可能にし、それは次に、資源要求の厳しい切断を少なくする、結果として生ずる骨くずを少なくする、結果として生じる鋭い骨端を少なくすることの1つ又は複数を可能にし得ることであり得る。
【0024】
別の更なる実施形態によれば、一般に理解することができるように、前記更なる切断は、前記切断に関して異なっている。この可能な利点は、前記半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させることに加えて、尾骨がハム部分から切り離すことができることなど、前記更なる切断によって、更なる効果が達成することができることであり得る。
【0025】
別の更なる実施形態によれば、前記更なる切断は、寛骨と仙椎との間の切断である、及び/又は、前記更なる切断は、仙椎と尾骨との間の切断である。これらの2つの位置の一方又は両方において切断することによって、前記切断は、骨を通じて切断する必要なしに、寛骨を尾骨から分離させることができる。
【0026】
一実施形態では、前記方法はさらに、
前記切断装置によって、ハム部品とは対照的に前記中央部分にできるだけ多くの肉を分離させるために、ハム肉片(ham cut)を規定する筋肉に沿う曲線に沿って前記半分の豚枝肉部分の中央部分との間の前記半分の豚枝肉部分の結合部を分離し、前記半分の豚枝肉部分のハム部分は前記キャリアにぶら下がったままにさせる、
ステップを有する。
【0027】
この可能な利点は、この実施形態は、前記ハム部分に比べて前記中央部分により多くの量の肉を有することを可能し、それは次に、前記中央部分に多くの(又はより多くの)量の高品質の肉を残すのに有利であることであり得る。これは、例えば、(前記中央部分及び前記ハム部分など)結果として生じる部分の(有用性及び/又はコストに関して)価値を増加させるために有益であり得る。
【0028】
前記半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を検出するステップは、検出装置によって行うことができる。
【0029】
半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を含む半分の豚枝肉部分の少なくとも1つの特徴的特性を検出するステップは、検出装置によって行うことができる。
【0030】
一実施形態では、前記検出装置は、
・走査して前記半分の豚枝肉部分の一方側及び/又は両側の三次元画像データを生成するレーザスキャナ、
・前記半分の豚枝肉部分の一方側及び/又は両側の三次元画像データを取り込むデジタル画像装置、及び、
・前記半分の豚枝肉部分の肋骨の位置を含む前記半分の豚枝肉部分の内側骨構造を示すX線データを取り込むX線装置、
の1つ又は複数を含み得る。
【0031】
前記方法はさらに、検出されたデータを前記検出装置に接続された制御処理ユニットを使用して処理し、尾骨(第1尾椎から第4尾椎)、背骨(7つの腰椎を有する豚の場合には第7腰椎)、及び寛骨(腸骨)の位置を決定することを有し得る。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理する装置であって、前記キャリアが前記半分の豚枝肉部分の後脚部分と係合する前記装置であって、
・前記半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を検出する検出装置、
・尾骨(第1尾椎から第4尾椎などの第1尾椎)、背骨(第7腰椎などの仙椎に隣接する腰椎)、及び寛骨(腸骨)の位置を識別する識別装置、及び、識別された位置に基づいて、
・前記寛骨と前記背骨との間の半分の豚枝肉部分の部分を通じて切断する切断装置であって、切断によって前記半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させる切断装置、を有する
前記装置が提供される。
【0033】
別の態様によれば、キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理する装置であって、前記キャリアが前記半分の豚枝肉部分の後脚部分と係合する前記装置であって、
・前記半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を含む前記半分の豚枝肉部分の少なくとも1つの特徴的特性を検出する検出装置、
・尾骨(第1尾椎から第4尾椎などの第1尾椎)、背骨(第7腰椎などの仙椎に隣接する腰椎)、及び寛骨(腸骨)の位置を識別する識別装置、及び、識別された位置に基づいて、
・前記寛骨と前記背骨(脊柱)との間の半分の豚枝肉部分の部分を通って切断する切断装置であって、切断によって前記半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させる切断装置、を有する
前記装置が提供される。
【0034】
一実施形態によれば、前記切断装置は、結合部を通じて切断するように構成される。
【0035】
前記装置はさらに、
前記尾骨と前記寛骨との間の位置を識別するように構成される前記識別装置を有することができ、この位置情報を使用して、前記切断装置は、前記尾骨と前記寛骨との間に更なる切断を行うように構成される。
【0036】
第3の態様によれば、第1の態様に従ったあらゆる方法による方法を実行するためなど、キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理するため、第2の態様による装置の使用が提示される。
【0037】
従って、特にぶら下がる半分の枝肉を前部、中央部分、及びハムに分離させる自動化を可能にする方法及び装置並びに装置の使用が提供される。更に、各部分の産出は、筋肉の外形及び骨の構造に沿って正確な切断を可能にすることによって最適化される。
【0038】
本発明の実施形態は、一例としてのみ、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態に係る頭上搬送システムからぶら下がる半分の枝肉を示す概略側面図である。
図2A】尾骨と寛骨との間に第1切断が行われた後の半分の枝肉を示す概略側面図である。
図2B】尾骨と寛骨との間及び寛骨と背骨との間に第1切断が行われた後の半分の枝肉を示す概略側面図である。
図3】第1切断後及び第2切断の第1部分後の半分の枝肉を示す概略側面図である。
図4】第2切断の第2部分が行われた後に前記中央部分が残りの枝肉から分離されることとなる半分の枝肉を示す概略側面図である。
図5】豚の下からの骨格の骨部分を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1を参照すると、有利には内臓を取り出してきれいにされた豚の半分の枝肉10が、頭上搬送システム20のキャリア15からぶら下がっている。前記搬送システムは、単純なシングルフックコンベヤシステムとして示されているが、あらゆるタイプの好適なキャリアを利用して、豚の半分の枝肉を支えて搬送するのに好適なあらゆるタイプの頭上搬送システムであってもよい。使用することができるとともに当業者によく知られたいくつかの好適な既知の搬送システムが存在する。
【0041】
半分の枝肉10は、枝肉の後脚25の孔又は開口部18を介してキャリア15からぶら下がっている。半分の枝肉は、脊椎部分35を有し、脊椎部分は、前の作業(図示せず)における脊椎に沿った枝肉全体の分割後に見ることができる。更に、多数の骨が枝肉の後部に見ることができ、尾骨40(第1尾椎から第4尾椎)、背骨55(示された豚が7つの腰椎を有する場合は第7腰椎)、及び寛骨45(腸骨)を見ることができる。
【0042】
半分の豚枝肉部分の処理を開始するために、半分の豚枝肉部分の尾骨40、背骨55、及び寛骨55の位置を含む、半分の豚枝肉10の少なくとも1つの特徴的特性が、検出装置50を使用して検出される。検出装置50は、
・走査して半分の豚枝肉10の一方側及び/又は両側の三次元画像データを生成するレーザスキャナ、
・半分の豚枝肉10の一方側及び/又は両側の三次元画像データを取り込むデジタル画像装置、及び、
・半分の豚枝肉の骨の位置を含む半分の豚枝肉10の内側骨構造を示すX線データを取り込むX線装置、
の1つ又は複数を含み得る。
【0043】
結果として生じるデータ、例えばX線データは、検出装置50に接続された制御処理ユニット60を使用して処理し、骨の位置を決定する。決定された位置に基づいて、基準点A(尾骨と寛骨との間の結合部)及び基準点B(寛骨と背骨との間の結合部)を決定され得る。このデータは全て、特に基準点A及び基準点Bは次に、制御処理ユニット60のメモリに記憶され得る。前記位置は、豚枝肉に直接にマークを付けられ得る。マークを付けることは、第1切断をどこで開始するべきかについて、例えばオペレータ又は自動切断装置に知らせるために、可視光ビーム(図示せず)又は食用色素(又はあらゆる他の表示形式)を使用して行われ得る。「第1切断」は、第1切断の第1部分及び第1切断の第2部分など、いくつかの(第1)切断を有する処理に言及することができることが理解され得る。
【0044】
骨上に第1切断が行われる前に、少なくともテンダーロインの頭部(頂部)(図示せず)を切り離すべきであり、随意的にテンダーロイン全体が、このステップにおいて取り除かれ得る。
【0045】
一実施形態では、第1切断は、切断ブレード75を有する切断装置70によって行われ、前記切断は、基準点A及び基準点Bによってマークが付された結合部を通じて行われ、例えば、第1切断の第1部分が基準点A(寛骨(腸骨)と仙椎の間など、尾骨と寛骨との間など)によってマークが付された結合部を通じた切断であり、第1切断の第2部分が基準点B(仙椎と背骨の間など、寛骨と背骨の間など)によってマークが付された結合部を通じた切断である。基準点Bによってマークが付された結合部は、結合部が(現在の側面図において観察者に対して)腸骨の後ろにあることを示す破線でマークが付されていることに注意すべきである。第1切断の第1部分など、第1切断などの切断によって、半分の豚枝肉部分10の中央部分80を重力によって半分の豚枝肉10の残りのハムから部分的に分離させる。第1切断は、例えば切断ブレードを支えるロボットアームを使用して自動的に行うことができ、あるいはオペレータが切断ブレードを使用して切断を行う手動で行うことができる。図2aは、(図2aでは寛骨(腸骨)と仙椎との間の結合部を通じて行われる)第1切断の第1部分(のみ)など、第1切断が行われた後の状態を示し、重力によって尾骨40と(寛骨全体など)寛骨45との間に自然の分離が起こる。図2aはまた、仙骨90(仙椎)を示し、仙骨90は、図1では寛骨45の下に隠されていた。尾骨は従って、ハム部分から切り離され、まだ前記中央部分の一部であるように脊椎35に取り付けられている。更なる実施形態では、図2bは、第1切断の第1部分及び第1切断の第2部分などの第1切断が行われた後の状態を示し、重力によって尾骨40と寛骨45との間、及び寛骨45と背骨55との間に自然の分離が起こる。尾骨は次に、前記切断装置によって背骨から分離される。従って、ここでは尾骨は、前記中央部分だけでなくハム部分とも断ち切られる。
【0046】
代替実施形態によれば、第1切断の第1部分と第1切断の第2部分との順序は入れ替えることができることに注意すべきである。
【0047】
他の代替実施形態によれば、第1切断は、切断装置によって寛骨と背骨との間の半分の豚枝肉部分の部分を通じて切断することを有し、切断によって半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させる。この第1切断は、図2A図2Bを参照して前述したように第1切断の第1部分と第1切断の第2部分との一方又は両方に対応し得る。(この他の実施形態に対して)更なる実施形態によれば、前記方法はさらに、尾骨と寛骨との間に更なる切断を行うことを有している。
【0048】
その後に、図3に示すように、第2切断の第1部分65は、半分の豚枝肉部分のハム部分と半分の枝肉部分の後部(back)との間の枝肉の結合部を分離するために、切断ブレード75によって行われ得る。前記切断は、肉の最大限の産出が前記中央部分にとどまるように経路が定められる。
【0049】
同様に、図4に示すように、第2切断の第2部分66は、前記中央部分80を残りの半分の豚枝肉部分10から十分に分離させて半分の豚枝肉部分のハム部分をキャリアにぶら下がったままにさせるために、ハムを規定する筋肉に沿う曲線に沿って行われ得る。前記切断は、肉の最大限の産出が前記中央部分にとどまるように経路が定められる。この部分は、ハム部分を切り離して前記中央部分に残され、脇腹として一般に呼ばれる。前記中央部分80は、更なる処理のために収集装置(図示せず)に落下する。
【0050】
図3及び図4におけるステップの順序は入れ替えることができることに注意すべきである。更に、前述した脇腹の切断は、尾骨の切断の前に行われ得る。
【0051】
図5は、寛骨(腸骨)45(図面では、仙骨及び尾椎の尾側部分を覆わないように下部が省略される)の一部、(尾側方向における)最後の4つの腰椎92及び背骨55、仙骨90(仙椎)、及び第1尾椎から第4尾椎を含む、(明確にするために両側が含まれる)豚の下からの骨格の骨部分の底面図を示す。図面は更に、寛骨(腸骨)45と仙椎90との間の結合部A及び仙椎90と背骨55との間の結合部Bなど、(図1のような)基準点A及び基準点Bによってマークが付された結合部を示す。
【0052】
本発明の可能な実施形態の前記説明は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。コスト、機械的安定性及び構成要素の重量などの要因は、それぞれの場合にどの解決法が選択されるかを決定づけるであろう。
【0053】
[条項]
さらに、以下の条項に従って、キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理する方法、及び、キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理する装置が提示され、前記条項は、あらゆる前請求項及び/又はあらゆる添付請求項と組み合わせることができる。

1.キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理する方法であって、前記キャリアが前記半分の豚枝肉部分の後脚部分と係合する前記方法であって、
・前記半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を含む前記半分の豚枝肉部分の少なくとも1つの特徴的特性を検出し、
・尾骨(第1尾椎から第4尾椎)、背骨(第7腰椎)、及び寛骨(腸骨)の位置を識別し、識別された位置に基づいて、
・切断装置によって前記寛骨と前記背骨(脊柱)との間の半分の豚枝肉部分の部分を通じて切断し、切断によって前記半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させる、ことを有する方法。

2.前記方法はさらに、
・前記尾骨と前記寛骨との間の位置を識別し、
・前記尾骨と前記寛骨との間に更なる切断を行う、ことを有する、
前項1に記載の方法。

3.前記方法はさらに、
・前記切断装置によって、ハム部品とは対照的に前記中央部分にできるだけ多くの肉を分離させるために、ハム肉片を規定する筋肉に沿う曲線に沿って前記半分の豚枝肉部分の中央部分との間の前記半分の豚枝肉部分の結合部を分離し、前記半分の豚枝肉部分のハム部分は前記キャリアにぶら下がったままにさせる、ステップを有する、
前項1に記載の方法。

4.半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を含む半分の豚枝肉部分の少なくとも1つの特徴的特性を検出することは、検出装置によって行われる、
前項1から前項3の何れか1項に記載の方法。

5.前記検出装置は、
・走査して前記半分の豚枝肉部分の一方側及び/又は両側の三次元画像データを生成するレーザスキャナ、
・前記半分の豚枝肉部分の一方側及び/又は両側の三次元画像データを取り込むデジタル画像装置、及び、
・前記半分の豚枝肉部分の肋骨の位置を含む前記半分の豚枝肉部分の内側骨構造を示すX線データを取り込むX線装置、の1つ又は複数を含む、
前項4に記載の方法。

6.前記方法はさらに、
検出されたデータを前記検出装置に接続された制御処理ユニットを使用して処理し、前記尾骨(第1尾椎から第4尾椎)、前記背骨(第7腰椎)、及び前記寛骨(腸骨)の位置を決定する、ことを有する、
前項4又は前項5に記載の方法。

7.キャリアから少なくとも部分的に自由にぶら下がる半分の豚枝肉部分を処理する装置であって、前記キャリアが前記半分の豚枝肉部分の後脚部分と係合する前記装置であって、
・前記半分の豚枝肉部分の後部の骨の位置を含む前記半分の豚枝肉部分の少なくとも1つの特徴的特性を検出する検出装置、
・尾骨(第1尾椎から第4尾椎)、背骨(第7腰椎)、及び寛骨(腸骨)の位置を識別する識別装置、及び、識別された位置に基づいて、
・前記寛骨と前記背骨(脊柱)との間の半分の豚枝肉部分の部分を通じて切断する切断装置であって、切断によって前記半分の豚枝肉部分の中央部分を重力によって残りの半分の豚枝肉部分から部分的に分離させる切断装置、
を有する装置。

8.前記装置はさらに、
前記尾骨と前記寛骨との間の位置を識別するように構成される前記識別装置を有し、この位置情報を使用して、前記切断装置は、前記尾骨と前記寛骨との間に更なる切断を行うように構成される、
前項7に記載の装置。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5