(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】UV光源装置及びUV光源装置のUV光検出方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/26 20060101AFI20240417BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A61L2/26
A61L2/10
(21)【出願番号】P 2022132445
(22)【出願日】2022-08-23
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】永井 達哉
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2023-527565(JP,A)
【文献】実開平04-091794(JP,U)
【文献】特開2021-040982(JP,A)
【文献】特開2016-214842(JP,A)
【文献】特開2000-084545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/26
A61L 2/10
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の基材と、
UV光が出射される出射面を有し、前記基材に固定されたUV光源部と、
前記出射面と所定の交差角で交差し、対向配置された板状の反射面を有する反射部と、
前記出射面から出射されるUV光、及び前記反射面で反射されるUV光を検出するUVセンサと
を備え、
前記出射面及び前記反射面によって画定され、両端側に開口を有するU字状の内壁で挟まれる空間を照射対象物が前記開口を介して移動可能に配置され
、
前記対向配置された反射面のうちの一の反射面と平行な仮想平面に前記UVセンサを設けてある、
UV光源装置。
【請求項2】
一面が平面状であり、他面が凸面状である平凸レンズを、前記平凸レンズの光軸が前記UVセンサの受光面の中心を通るように設けてある、
請求項
1に記載のUV光源装置。
【請求項3】
前記平凸レンズを設けている場合、前記UVセンサの前記一の反射面からの距離を調整可能にしてある、
請求項
2に記載のUV光源装置。
【請求項4】
前記UV光源部、前記反射部、及び前記UVセンサを一体型にしてある、
請求項1に記載のUV光源装置。
【請求項5】
前記UVセンサで検出されたUV光量と所定の初期UV光量とに基づいて前記UV光源部の維持率を算出する算出部を備える、
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載されたUV光源装置。
【請求項6】
前記維持率を通知する維持率通知部を備える、
請求項
5に記載のUV光源装置。
【請求項7】
前記UV光源部の入力電流を検出する電流センサと、
前記電流センサが検出した入力電流に基づいて前記UV光源部の異常の有無を判定する判定部と
を備える、
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載されたUV光源装置。
【請求項8】
前記UV光源部の異常を通知する異常通知部を備える、
請求項
7に記載のUV光源装置。
【請求項9】
出射面からUV光を、矩形状の基材に固定されたUV光源部が出射し、
前記出射面と所定の交差角で交差し、対向配置された板状の反射面を有する反射部が前記反射面でUV光を反射し、
前記出射面から出射されるUV光、及び前記反射面で反射されるUV光をUVセンサが検出し、
前記出射面及び前記反射面によって画定され、両端側に開口を有するU字状の内壁で挟まれる空間に照射対象物を前記開口を介して移動可能に配置
し、
前記対向配置された反射面のうちの一の反射面と平行な仮想平面に前記UVセンサを設ける、
UV光源装置のUV光検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV光源装置及びUV光源装置のUV光検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線は100~400nm程度の可視光線よりも短い波長の電磁波であり、260nm付近のUV-C(短波長紫外線)を使った殺菌技術、あるいは200~400nm付近の幅広い紫外線を使ったUV硬化技術など様々な分野で利用されている。
【0003】
特許文献1には、建物内部の対象空間に紫外光を照射するUV光源を設け、人センサが人を検出した場合に、UV光源に紫外光を照射させて対象空間の清浄化を行う紫外線照射システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、UV光源の使用を継続すれば、UV光源が寿命に達して当初の機能(例えば、特許文献1の場合には、空間の清浄化)を果たすことができない。特許文献1のようなシステムでは、UV光源が照射するUV光をセンサで検出して寿命を推定することが考えられるが、センサを設けることでUV光の照射を妨げるおそれがある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、UV光の照射を妨げることなくUV光の光量を検出できるUV光源装置及びUV光源装置のUV光検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、UV光源装置は、UV光が出射される出射面を有するUV光源部と、前記出射面と交差する複数の反射面を有し、前記複数の反射面で挟まれる空間に照射対象物が配置される反射部と、前記出射面から出射されるUV光、及び前記反射面で反射されるUV光を検出するUVセンサとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、UV光の照射を妨げることなくUV光の光量を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態のUV光源装置の外観の第1例を示す図である。
【
図2】本実施形態のUV光源装置の正面を示す図である。
【
図3】UV光源装置によるUV光検出方法の一例を示す図である。
【
図4】凸レンズとUVセンサとの配置の一例を示す図である。
【
図5】レンズの形態とUVセンサで検出するUV光量との関係を示す図である。
【
図6】運用に応じたUV光源部の寿命末期を示す図である。
【
図7】UVセンサで検出するUV光量の推移の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態のUV光源装置の外観の第2例を示す図である。
【
図9】制御ユニットによる処理手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態のUV光源装置100の外観の第1例を示す図であり、
図2は本実施形態のUV光源装置100の正面を示す図である。UV光源装置100は、UV光源部10、反射部20、及びUVセンサユニット30、制御ユニット60を備える。UV光源装置100は、凸レンズ40を備えてもよい。UV光源装置100には、不図示の電源ユニットから所要の電力が供給される。
【0011】
UV光源部10、反射部20、及びUVセンサユニット30(UVセンサ31)は、第2基材52、及びねじ53によって一体的に固定されている。第2基材にUV光源部10、反射部20及びUVセンサユニット30を固定することで、UV光源部10、反射部20、及びUVセンサユニット30を一体型にしてある。第1基板51は、UV光源部10の配線出口の保護のために取り付けられている。なお、第1基板51は必須の構成ではない。また、
図1に示すように第2基材52に制御ユニット60を固定することで、制御ユニット60も一体型にすることができる。一体型とすることでUV光源装置100の取付作業が容易になる。UV光源部10と電源ユニットとの間の電路には、UV光源部10に対する入力電流を検出する電流センサを設けてある。制御ユニット60は、電流センサで検出した入力電流の電流値を取得できる。制御ユニット60は、ケーブル61によってUVセンサユニット30に接続されている。
【0012】
UV光源部10は、UV光が出射される出射面11を有する。出射面11の形状は、円形状、楕円状、矩形状など、UV光源装置100の用途などに応じて適宜の形状とすることができる。UV光源部10は、UV光源としてのLED(発光ダイオード)と、LEDを実装するための回路基板とを備える。UV光(紫外光)は、例えば、100~400nm程度の波長を有するが、UV光源装置100の用途に応じて適宜波長が異なっていてもよい。なお、
図1の例では、UV光源部10を2個併設する構成であるが、UV光源部10の数は2個に限定されるものではなく、1個又は3個等でもよい。UV光源部10それぞれの出射面11は、
図2に示すように、同一の仮想平面上に配置してもよく、あるいは図示していないが、出射面11同士が180度未満(例えば、170度、160度など)の交差角で交差してもよい。
【0013】
反射部20は、対向配置された複数の反射板21、22を備える。反射板21、22それぞれが対向する面は反射面をなす。本明細書では、反射面21、22とも記す。反射板21、22の反射面の材質はUV光を効率的に反射できる材料であればよい。反射板21、22の形状は矩形状をなすが、形状は矩形状に限定されない。
【0014】
反射板21、22は、それぞれ出射面11と交差するように配置されている。
図2の例では、反射板21、22の反射面は、それぞれ出射面11と90度の交差角をなして交差している。なお、反射板21、22と出射面11との交差角は90度に限定されない。照射対象物(以下、「対象物」ともいう)Pの形状に応じて交差角は適宜決定できる。
【0015】
対象物Pは、例えば、エスカレータのベルトであり、UV光源装置100は、当該ベルトの表面殺菌のためにUV光をベルト表面に照射する。本明細書では、エスカレータのベルトの表面殺菌に使用するUV光源装置100を例に挙げて説明するが、対象物P1は、エスカレータのベルトに限定されるものではない。UV光源装置100は、流水殺菌、空気殺菌、インキや接着剤などの樹脂のUV硬化などに用いることができる。また、UV光源装置100は、耐候製試験機などにも使用してもよい。
【0016】
UV光源装置100は、反射板21、22それぞれの反射面で挟まれる空間Sに対象物Pが配置されるように反射部20を設けている。より具体的には、反射板21、22それぞれの反射面、及び出射面11によって、略U字の内壁(反射面及び出射面11)で挟まれる空間Sに対象物Pが配置されるようにUV光源装置100が設置される。なお、対象物Pが帯状のベルトであるため、ベルト移動可能なように、両端に開口を有する略U字にしてある。
【0017】
一方の反射板22の適宜の箇所には、円形状の孔が形成され、当該孔には凸レンズ40が設けられている。反射板22の反射面と反対側の面には、UVセンサ31を有するUVセンサユニット30が固定されている。凸レンズ40の光軸がUVセンサ31の受光面の中心を通るように、凸レンズ40及びUVセンサ31を配置してある。
【0018】
UVセンサ31は、UV光(紫外線)を検出できるセンサであればよい。UVセンサ31は、例えば、紫外線シリコンフォトダイオードを備え、検出したUV光を電流に変換する。UVセンサ31は、検出するUV光の強度に応じて変換される電流値が変化し、当該電流値に応じてUV光量を検出できる。
【0019】
制御ユニット60は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)等が所要数組み込まれて構成されているコントローラ、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリで構成されたメモリ、通信ネットワークを介した通信機能を有する通信モジュール、UVセンサユニット30との間のインタフェース部などを備える。コンピュータプログラムをメモリに展開して、コントローラがコンピュータプログラムを実行することができる。なお、制御ユニット60は、ハードウエアで構成してもよく、ソフトウエアで実現する構成としてもよく、あるいはハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現してもよい。
【0020】
制御ユニット60は、UV光源部10の動作の制御、UVセンサユニット30とのインタフェース機能などを実現する。制御ユニット60は、UVセンサ31で検出したUV光量を取得できる。また、制御ユニット60は、算出部、判定部、維持率通知部、及び異常通知部としての機能を有する。
【0021】
図3はUV光源装置100によるUV光検出方法の一例を示す図である。図中、矢印が付された実線は、便宜上、UV光の進行を模式的に表したものである。凸レンズ40を通じてUVセンサ31(受光面)に進入するUV光(紫外線)は、主に4つのパターンに区分できる。パターン1(符号1)は、出射面11から出射されたUV光が直接UVセンサ31に進入する場合を示す。パターン2(符号2)は、出射面11から出射されたUV光が反射板で反射され、当該反射光がUVセンサ31に進入する場合を示す。パターン3(符号3)は、出射面11から出射されたUV光が対象物Pで反射され、当該反射光がUVセンサ31に進入する場合を示す。パターン4(符号4)は、出射面11から出射されたUV光が反射板で反射され、当該反射光が対象物Pで再度反射され、当該反射光がUVセンサ31に進入する場合を示す。なお、UVセンサ31に進入するUV光のパターンは、
図3に示す例に限定されるものではなく、対象物Pで反射した反射光が反射板で再度反射されてUVセンサ31に進入する場合、反射板で複数回反射される場合、対象物Pで複数回反射される場合なども含まれる。
【0022】
UV光源装置100は、UV光が出射される出射面11を有するUV光源部10と、出射面11と交差する複数の反射面を有し、複数の反射面で挟まれる空間Sに対象物Pが配置される反射部20と、出射面11から出射されるUV光、反射面で反射されるUV光、及び対象物Pで反射されるUV光を検出するUVセンサとを備える。
【0023】
上述の構成により、対象物Pが複数の反射面で挟まれる空間Sに配置されるので、対象物Pに向かって照射されるUV光の照射を妨げることなくUV光の光量を検出できる。
【0024】
より具体的には、複数の反射面(反射板)のうちの一の反射面(反射板)と平行な仮想平面にUVセンサ31を設けてある(
図2参照)ので、出射面11と対象物Pとの間にUV光を検出するセンサを設ける必要がなく、出射面11と対象物Pとの間にUV光の照射を妨げるものが存在しない。これにより、対象物Pに向かって照射されるUV光の照射を妨げることなくUV光の光量を検出できる。
【0025】
次に、凸レンズ40とUVセンサ31との配置について説明する。
【0026】
図4は凸レンズ40とUVセンサ31との配置の一例を示す図である。
図4AはUV光源装置100が凸レンズ40を備える場合を示し、
図4BはUV光源装置100が凸レンズ40を具備しない場合を示す。まず、
図4Aについて説明する。凸レンズ40は反射板22に孔に固定される。
図4Aに示すように、凸レンズ40は、一面が平面状であり、他面が凸面になっている平凸レンズである。凸面が空間Sの方に向くように凸レンズ40を配置している。反射板22の反射面と凸レンズ40の焦点との間の距離をd1とする。
【0027】
図4Aの上段は、凸レンズ40の焦点距離よりも遠方の一点から進入した光は、焦点よりも遠い一点(反射板22の反射面と距離がd2)に収束する様子を示す。また
図4Aの下段は、光軸に平行に進入した光は焦点(反射板22の反射面と距離がd1)に収束する様子を示す。距離d2とd1との差分をΔdとする。
【0028】
図4Aに示すように、凸レンズ40を備える場合には、UVセンサ31でUV光を効率良く受光するためには、例えば、UVセンサ31の反射板22の反射面からの距離を差分Δdの範囲で調整することができる。当該距離の調整は、対象物Pの形状や大きさ、UV光源装置100の反射板の形状や大きさ、出射面11と反射板との位置関係などに応じて、適宜決定すればよい。
【0029】
図4Bに示すように、凸レンズ40を具備しない場合には、反射板22の反射面と同一平面上に受光面が位置するようにUVセンサ31の配置を決定できる。
【0030】
図5はレンズの形態とUVセンサ31で検出するUV光量との関係を示す図である。レンズがない場合に、UVセンサ31で検出したUV光量(平均放射照度)を100%とする。受光面におけるUV光量はセンサ全体(受光面全体)に平均的に分布する。凹レンズ(平凹レンズ)の場合、UV光量は約90%となる。凹レンズによって進入したUV光が散乱するので、センサ全体に亘ってUV光量が減少する。凸レンズ(平凸レンズ)の場合、UV光量は約220%となる。凸レンズによって進入したUV光は受光面の一部に収束するのでUV光量分布は局所的分布であるが平均放射照度は最も大きくなる。
【0031】
上述のように、UV光源装置100は、一の反射板22(反射面)に凸レンズ(平凸レンズ)40を設けてもよい。また、UV光源装置100は、凸レンズ(平凸レンズ)40を設けなくてもよい。対象物Pの形状や大きさ等により、UVセンサ31で必要な量のUV光を受光できる場合には、凸レンズを設けなくてもよい。凸レンズ40を設けることにより、UVセンサ31で必要な量のUV光を受光できる。
【0032】
また、UV光源装置100は、一の反射板22(反射面)に凸レンズ(平凸レンズ)40を設けてあるか否かに応じて、UVセンサ31の一の反射板22(反射面)からの距離を異ならせてもよい。これにより、対象物Pの形状や大きさ等に関らず、受光できるUV光の量を最大限にすることができる。なお、当該距離は、予め対象物Pの種類毎にUV光を受光して、UVセンサ31の位置を調整してUV光量が最大となる距離を決定すればよい。
【0033】
次に、UV光源装置100の運用について説明する。
【0034】
UV光源装置100は、動作中に、対象物Pに対して、UV光を連続的に照射してもよく、あるいは断続的に照射(間欠的:すなわちUV光の照射と非照射とを交互に繰り返す)してもよい。連続的に照射するか、断続的に照射するかは、対象物Pに応じて適宜決定される。
【0035】
制御ユニット60は、電流センサで検出したUV光源部10の入力電流、UVセンサ31で検出したUV光量とともに、検出日時を含む検出データを取得し、取得した検出データをネットワーク上のクラウドサーバ(例えば、管理サーバなど)に保存することができる。検出データの取得頻度は運用条件などに応じて適宜決定すればよいが、例えば、1時間毎、数時間毎、1日毎、1週間毎などである。
【0036】
制御ユニット60は、UVセンサ31で検出されたUV光量と所定の初期UV光量とに基づいてUV光源部10の維持率を算出することができる。維持率は、初期のUV光量に対する現時点のUV光量の割合を示す。
【0037】
また、制御ユニット60は、算出した維持率を通知してもよい。維持率の通知先は、例えば、クラウドサーバ(例えば、管理サーバなど)でもよく、管理者の端末装置や携帯電話等でもよい。
【0038】
また、制御ユニット60は、算出した維持率と所定の閾値とを比較して、維持率が閾値以下になった場合、UV光源部10の機能(例えば、殺菌効果など)がスペックを下回ったとしてUV光源部10の寿命末期であることを通知してもよい。通知には、例えば、次回の保守点検時にUV光源部10を交換することを促す内容を含めてもよい。閾値は、制御ユニット60のメモリに記録しておけばよい。
【0039】
図6は運用に応じたUV光源部10の寿命末期を示す図である。
図6中、縦軸は維持率を示し、横軸は時間を示す。運用例として、2つのユースケースA、Bを考える。ユースケースAは、比較的、維持率の低下に厳しい運用条件が存在する場合であり、ユースケースBは、比較的、維持率の低下に緩い運用条件が存在する場合であるとする。ユースケースAでは、例えば、閾値が70%に設定され、ユースケースBでは、例えば、閾値が50%に設定される。ユースケースAでは、UV光量の維持率が70%以下になった時点でUV光源部10が寿命であることが通知される。一方、ユースケースBでは、UV光量の維持率が50%以下になった時点でUV光源部10が寿命であることが通知される。このように、UV光源装置100の運用に応じて、所定の閾値を異なる値に設定してもよい。
【0040】
種類の異なる対象物Pに対してUV光源装置100を共有してもよい。しかし、対象物Pが異なると、UV光源部10から同等のUV光を照射してもUVセンサ31で検出できるUV光量は異なる。そこで、制御ユニット60は、種類の異なる対象物毎に、UVセンサ31で検出されたUV光量と所定の初期UV光量とに基づいてUV光源部10の維持率を算出してもよい。
【0041】
図7はUVセンサ31で検出するUV光量の推移の一例を示す図である。
図7中、縦軸はUV光量を示し、横軸は時間を示す。
図7には対象物P1、P2に対するUV光量の推移を表している。対象物P1は、比較的、UV光が反射され易く、対象物P1を介した反射波が比較的多くUVセンサ31に進入する。一方、対象物P2は、比較的、UV光が反射されにくく、対象物P2を介した反射波がUVセンサ31に進入する割合が少ない。
【0042】
制御ユニット60は、対象物P1について、検出したUV光量が初期値V1より30%減少した時点でUV光源部10が寿命であることを通知する。制御ユニット60は、対象物P2についても、検出したUV光量が初期値V2より30%減少した時点でUV光源部10が寿命であることを通知する。対象物P1、P2でUV光量の推移が異なる場合、同じUV光源部10であっても、寿命の通知タイミングが異なる場合がある。
【0043】
制御ユニット60は、電流センサが検出したUV光源部10の入力電流に基づいてUV光源部10の異常の有無を判定することができる。UV光源部10の異常は、例えば、UV光源部10の入力側の回路の短絡故障又はオープン故障が含まれる。この場合、UV光源部10は、UV光を出射できない。また、UV光源部10の異常は、例えば、UV光源部10の入力側の素子の不良が含まれる。この場合、UV光源部10は、UV光を出射できない、あるいはUV光が点滅する、UV光の光量の異常低下などが生じる。
【0044】
制御ユニット60は、UV光源部10の異常があると判定した場合、UV光源部10の異常を通知してもよい。通知には、例えば、UV光源部10を直ちに交換することを促す内容を含めてもよい。
【0045】
図8は本実施形態のUV光源装置110の外観の第2例を示す図である。
図1に例示した第1例との相違点は、反射板21、22(反射面)の形状が異なる点である。他の構成は、第1例と同様である。
図8に示すように、対象物Pの形状や大きさ等によって、反射板21、22の形状は変更してもよい。
図8の第2例では、反射板21、22によって、対象物Pで反射したUV光をできるだけ反射板で再度反射させて、凸レンズ40(すなわちUVセンサ31)に進入するUV光の量を増加させることができる。
【0046】
上述のように、UV光源装置100のUV光検出方法は、出射面11からUV光をUV光源部10が出射し、出射面11と交差する複数の反射面を有し、当該複数の反射面で挟まれる空間Sに対象物Pが配置される反射部20が複数の反射面でUV光を反射し、出射面11から出射されるUV光、反射面で反射されるUV光、及び対象物Pで反射されるUV光をUVセンサ31が検出する。
【0047】
図9は制御ユニット60による処理手順の一例を示す図である。制御ユニット60は、日時、UV光源部10の入力電流、及びUVセンサ31で検出したUV光量を取得し(S11)、取得したUV光量に基づいて、UV光源部10のUV光量の維持率を算出する(S12)。制御ユニット60は、取得した入力電流は正常範囲内であるか否かを判定する(S13)。
【0048】
入力電流が正常範囲内である場合(S13でYES)、制御ユニット60は、取得した、日時、入力電流、UV光量、及び算出した維持率をクラウド(外部のクラウドサーバ)に保存する(S14)。制御ユニット60は、算出した維持率が閾値以下であるか否かを判定する(S15)。維持率が閾値以下である場合(S15でYES)、制御ユニット60は、UV光源部10の維持率とともに規定寿命であることを通知し(S16)、処理を終了する。
【0049】
維持率が閾値以下でない場合(S15でNO)、制御ユニット60は、UV光源部10の維持率を通知し(S17)、ステップS11以降の処理を続ける。入力電流が正常範囲内でない場合(S13でNO)、制御ユニット60は、UV光源部10又は電源ユニットの異常を通知し(S18)、処理を終了する。
【0050】
上述のように、本実施形態によれば、UV光源部と対象物との間にUV照度を検出するセンサを設ける必要がないので、UV光の照射を妨げることなくUV光の光量を検出できる。また、UV光の照射を妨げないので、UV光源部の動作中のモニタリングが可能となる。また、UV光源部の寿命の通知だけでなく故障等の異常も通知するので、UV光源装置全体の運用中のリスクを低減できる。
【0051】
(付記1)UV光源装置は、UV光が出射される出射面を有するUV光源部と、前記出射面と交差する複数の反射面を有し、前記複数の反射面で挟まれる空間に照射対象物が配置される反射部と、前記出射面から出射されるUV光、及び前記反射面で反射されるUV光を検出するUVセンサとを備える。
【0052】
(付記2)UV光源装置は、付記1において、前記複数の反射面のうちの一の反射面と平行な仮想平面に前記UVセンサを設けてある。
【0053】
(付記3)UV光源装置は、付記1又は付記2において、前記一の反射面に凸レンズを設けてある。
【0054】
(付記4)UV光源装置は、付記1から付記3のいずれか一つにおいて、前記一の反射面に凸レンズを設けてあるか否かに応じて、前記UVセンサの前記一の反射面からの距離を異ならせてある。
【0055】
(付記5)UV光源装置は、付記1から付記4のいずれか一つにおいて、前記UV光源部、前記反射部、及び前記UVセンサを一体型にしてある。
【0056】
(付記6)UV光源装置は、付記1から付記5のいずれか一つにおいて、前記UVセンサで検出されたUV光量と所定の初期UV光量とに基づいて前記UV光源部の維持率を算出する算出部を備える。
【0057】
(付記7)UV光源装置は、付記6において、前記維持率を通知する維持率通知部を備える。
【0058】
(付記8)UV光源装置は、付記1から付記7のいずれか一つにおいて、前記UV光源部の入力電流を検出する電流センサと、前記電流センサが検出した入力電流に基づいて前記UV光源部の異常の有無を判定する判定部とを備える。
【0059】
(付記9)UV光源装置は、付記8において、前記UV光源部の異常を通知する異常通知部を備える。
【0060】
(付記10)UV光源装置のUV光検出方法は、出射面からUV光をUV光源部が出射し、前記出射面と交差する複数の反射面を有し、前記複数の反射面で挟まれる空間に照射対象物が配置される反射部が前記複数の反射面でUV光を反射し、前記出射面から出射されるUV光、及び前記反射面で反射されるUV光をUVセンサが検出する。
【0061】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 UV光源部
11 出射面
20 反射部
21、22 反射板
30 UVセンサユニット
31 UVセンサ
40 凸レンズ
51 第1基材
52 第2基材
53 ねじ
60 制御ユニット
61 ケーブル
100、110 UV光源装置
P 対象物
S 空間