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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ウエハ搬送装置、およびウエハ搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240417BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022528412
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2020032560
(87)【国際公開番号】W WO2021245956
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2020098090
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591213232
【氏名又は名称】ローツェ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】尾坂 浩太
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-004839(JP,A)
【文献】特開2020-013814(JP,A)
【文献】特開2003-152055(JP,A)
【文献】特開2010-199478(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0294175(US,A1)
【文献】国際公開第2001/079091(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ台座上にウエハを保持して、前記ウエハの周縁部を検出するアライナと、
前記ウエハを保持して、ロードポート、前記アライナ、及び処理装置間で搬送する搬送ロボットを備えるウエハ搬送装置であって、
前記搬送ロボットは、
それぞれのアームの一端が互いに回転動作可能に接続された少なくとも2個のアームを備えるアーム体と、
前記アーム体の先端に回動可能に取り付けられ、一対のウエハ保持桿により前記ウエハを保持するフィンガと、
前記アーム体を動作させるアーム体駆動機構と、
前記フィンガを水平面内で回転駆動させるフィンガ駆動機構と、
前記アーム体を鉛直方向に移動させる昇降機構と、
を備え、
前記ウエハ台座は、ブラケットにより固定され水平に保持されたアライナ本体部に回転可能に支持されており、
前記フィンガがアクセスする領域における前記アライナ本体部の幅方向の寸法は、前記一対のウエハ保持桿の離間寸法よりも小さく、
前記昇降機構により、前記フィンガを下降させて前記フィンガで保持した前記ウエハを前記ウエハ台座に載置させた後、さらに前記アライナの本体部の下方の位置まで前記フィンガを下降させてから、前記フィンガを次の搬送動作に移行させることを特徴とするウエハ搬送装置。
【請求項2】
前記一対のウエハ保持桿の前記離間寸法と前記アライナ本体部の前記寸法との差は、前記ウエハの許容ずれ寸法よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のウエハ搬送装置。
【請求項3】
前記アライナは、前記アライナの内部の空気を外部に排出する排気手段を備えることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載のウエハ搬送装置。
【請求項4】
前記ウエハ台座は前記ウエハを吸着保持する吸着式ウエハ台座であり、前記フィンガは前記ウエハを吸着保持する吸着式フィンガであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のウエハ搬送装置。
【請求項5】
前記ウエハ台座は前記ウエハの周縁部を挟持するクランプ式ウエハ台座であり、前記フィンガは前記ウエハの周縁部を挟持するクランプ式フィンガであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のウエハ搬送装置。
【請求項6】
前記吸着式フィンガには前記ウエハを吸着するための一対のウエハ保持パッドとウエハ接触部とが配置されており、前記吸着式フィンガによって保持される前記ウエハの中心は、上面視して前記一対のウエハ保持パッドと前記ウエハ接触部とを結ぶ三角形の中に配置され、前記吸着式フィンガが前記吸着式ウエハ台座との間で前記ウエハを遣り取りする位置にあるときには、前記吸着式ウエハ台座の回転中心軸は、上面視して前記三角形の中に配置されることを特徴とする請求項4に記載のウエハ搬送装置。
【請求項7】
前記アライナは、前記吸着式ウエハ台座を水平面内で移動させる移動機構を備えることを特徴とする、請求項4に記載のウエハ搬送装置。
【請求項8】
ウエハ台座上にウエハを保持して、該ウエハの周縁部を検出するアライナと、
一対のウエハ保持桿を備えるフィンガとアーム体とを有しており、前記ウエハを前記フィンガ上に保持してロードポート、前記アライナ、及び処理装置間で搬送するウエハ搬送ロボットと、を備え、
前記アライナは、ブラケットにより水平に保持されて前記ウエハ台座を回転可能に支持するアライナ本体部であって、前記フィンガのアクセス領域において該アライナ本体部の幅が前記一対のウエハ保持桿の離間寸法よりも小さい寸法のアライナ本体部を有するウエハ搬送装置において、
前記ウエハ搬送ロボットと前記アライナ間における前記ウエハ搬送ロボットの前記ウエハの搬送方法であって、
前記フィンガ上に保持した前記ウエハを、前記アライナの上方から前記フィンガを下降させることにより、前記ウエハを前記ウエハ台座上に載置する載置ステップと、
前記ウエハ台座上に前記ウエハを載置した後も、前記フィンガを下降させて、前記フィンガを前記アライナ本体部の下方へ退避させた後、前記フィンガを次の搬送動作に移行させる退避ステップと、
を備えることを特徴とするウエハ搬送ロボットのウエハ搬送方法。
【請求項9】
請求項8に記載のウエハ搬送ロボットのウエハ搬送方法であって、
前記載置ステップ後に、前記アライナが前記ウエハ台座上に保持する前記ウエハの周縁部を検出して前記ウエハの位置ずれを検出する検出ステップと、
前記検出ステップの後に、前記退避ステップにより退避していた前記フィンガを、前記ウエハ台座よりも上方まで上昇させることで前記ウエハ台座上に載置されていた前記ウエハを保持する保持ステップと
をさらに有することを特徴とするウエハ搬送ロボットのウエハ搬送方法。
【請求項10】
前記アライナは、前記保持ステップの前に、前記アライナが検出した前記ウエハの回転ずれを打ち消す方向に前記フィンガを水平方向に移動させる回転ずれ補正ステップをさらに有することを特徴とする請求項9に記載のウエハ搬送ロボットのウエハ搬送方法。
【請求項11】
前記ウエハ搬送ロボットは、前記保持ステップの前に、前記アライナが検出した前記ウエハの位置ずれを打ち消す方向に前記フィンガを水平方向に移動させる位置ずれ補正ステップをさらに有することを特徴とする請求項9または10に記載のウエハ搬送ロボットのウエハ搬送方法。
【請求項12】
前記アライナは、前記保持ステップの前に、検出した前記ウエハの位置ずれを打ち消す方向に前記ウエハ台座を水平面内で移動させる位置ずれ補正ステップを有することを特徴とする請求項9または10に記載のウエハ搬送方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清浄環境下において、清浄容器や各種処理装置の相互間で半導体ウエハを移載するためのウエハ搬送装置に関するものであり、特にウエハ保持手段を備える搬送ロボットと半導体ウエハの位置決めを行うアライナとを備えるウエハ搬送装置及びウエハの搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、ウエハと称する)には、各種の処理設備によって表面にレジスト塗布、露光、現像等の各種の微細な処理が施される。それらの各種の処理のため、ウエハは、外部雰囲気を遮断した塵埃の浮遊量が少ないクリーンルームと呼ばれる清浄環境の中で密閉可能な清浄容器に収納され、各処理設備間を運搬される。各処理設備はウエハ搬送装置と処理装置とを備えている。処理設備へと運ばれてきた清浄容器の一つであるFOUP(Front Opening Unified Pod)は、処理設備の一部であるウエハ搬送装置のロードポートと呼ばれるFOUP開閉装置に載置される。ウエハ搬送装置内にはウエハ搬送ロボットが設けられており、ロードポートに載置されたFOUPと各処理装置との間でウエハの受渡しを行う。清浄環境を保った状態でFOUPの蓋が開放されると、FOUP内に収納されているウエハWは、ウエハ搬送装置の内部空間に配置されているウエハ搬送ロボットにより取り出されて、各種の処理を行う処理装置へと搬送される。ウエハ搬送装置は周囲を外部環境から遮断する壁で覆われていて、ウエハ搬送装置の上部には、高清浄な空気を下向きの層流としてウエハ搬送装置の内部空間に供給するFFU(Fan Filter Unit)が備えられている。この壁とFFUによって、ウエハ搬送装置内部のウエハが移動する空間である内部空間は高い清浄度に維持される。
【0003】
特許文献1には、搬送空間の処理装置側に配置される基台と、基台に対して旋回可能な下側ロボットアームと、下側ロボットアームに対して旋回可能な上側ロボットアームと、上側ロボットアームに対して旋回可能なロボットハンドとで構成されるウエハ搬送のための水平多関節ロボット(以下、「搬送ロボット」と称する)が開示されている。この水平多関節ロボットの上側と下側のロボットアームは、前後の壁によって形成される搬送空間の奥行寸法の1/2よりも長い寸法を有していて、各ロボットアームとロボットハンドは、個別のモータによって独立して動作可能に構成されている。このようにロボットアームを搬送空間の奥行寸法の1/2より長くすることにより、距離の離れているロードポートと搬送ロボットとの間で、搬送ロボットを左右方向に移動させる直動駆動機構を設けることなくウエハを遠くの位置まで搬送することを可能にしている。
【0004】
また、特許文献1のウエハ搬送装置にはウエハの載置位置を調整するアライナが備えられている。アライナは、搬送ロボットによって搬送されたウエハを保持手段によって保持して、保持したウエハを回転させることによってウエハの周縁部をセンサでスキャンして、ウエハの載置位置のずれ量(位置ずれ量)を検出する。また、ウエハの周縁部に形成されているノッチやオリフラといった切り欠き部分を検出した結果を基に、ウエハの回転方向の位置決め(回転位置決め)を行う。
アライナは、ウエハ搬送ロボットと同じ搬送空間内に配置されており、FOUPから取り出されたウエハは、ウエハ搬送ロボットによって処理装置に搬送される前に一旦アライナへと搬送されて、ロボットアームのウエハの保持位置が予め定められた所定の位置となるように位置決めされる。その後に、ウエハは、ウエハ搬送ロボットによってアライナから処理装置へと搬送される。また、処理装置での処理が終わったウエハをFOUPへ戻す際に、ウエハ搬送ロボットにより処理装置からアライナに搬送して、アライナの近傍に配置された検査装置によってウエハを検査した後に、FOUPへと搬送するということも行われている。
【0005】
特許文献1に記載のウエハ搬送ロボットでは、上側ロボットアームと下側ロボットアーム、それにロボットハンドとをそれぞれ個別に回転動作させることで、ウエハ搬送ロボットを左右方向に移動させるための直動駆動機構を設けることなく、ロードポート上のFOUPと処理装置とアライナとの間でウエハを所望の位置へと搬送することが出来る。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の水平多関節ロボットでは、アライナにウエハを搬送した後アライナがアライメント動作を終了するまでの間に、他のウエハの搬送動作を行う場合以下のような問題がある。アライナにウエハを搬送した後に他のウエハの搬送動作に移行するには、水平多関節ロボットは、アライナに載置されたウエハ及びウエハ保持手段に接触しないようにウエハハンドを後退移動させた後、次のウエハ搬送動作を開始しなければならない。特許文献1に記載された水平多関節ロボットのように、上下のロボットアームの長さを搬送空間の奥行寸法の1/2よりも長く設定している場合、上下のロボットアームのそれぞれの回転動作に関する動作範囲が制限される。その結果、ロボットアームの動作に時間がかかり、スループットが低下する。特に、クリーンルーム内の限られた空間を有効に利用するために、ウエハ搬送装置の占有面積は可能な限り削減されて搬送空間自体も狭く構成されている。そのため、結果としてロボットアームの動作範囲が狭くなり動きが制限されることから、ロボットアームは複雑な動作を行わなければならなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-28134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ウエハ搬送ロボットがアライナを経由してウエハを搬送する場合に、ロボットアームの長さにかかわらず、高い搬送スループットを達成することができるウエハ搬送装置を提供することを目的としている。また、ウエハ搬送ロボットを使用したウエハ搬送方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のウエハ搬送装置は、ウエハ台座上にウエハを保持して前記ウエハの周縁部を検出するアライナと、ロードポート、前記アライナ、及び処理装置間で、前記ウエハを保持して搬送する搬送ロボットとを備えるウエハ搬送装置であって、前記搬送ロボットは、それぞれのアームの一端が互いに回転動作可能に接続された少なくとも2個のアームを備えるアーム体と、前記アーム体の先端に回動可能に取り付けられ前記ウエハを保持する前記フィンガと、前記アーム体を動作させるアーム体駆動機構と、前記フィンガを水平面内で回転動作させるフィンガ駆動機構と、前記アーム体を鉛直方向に移動させる昇降機構とを備え、前記フィンガが備える一対のウエハ保持桿の離間寸法が該ウエハ保持桿の前記アライナの本体部へのアクセス領域において該アライナの本体部の幅方向の寸法よりも大きく、前記昇降機構は、前記フィンガを前記アライナの本体部よりも下方へ移動可能な動作範囲を有することを特徴としている。
【0010】
本発明のウエハ搬送装置において、前記一対のウエハ保持桿の前記離間寸法と前記本体部の前記幅方向の寸法との差は、前記ウエハの前記幅方向の許容ずれ寸法よりも大きいことが好ましい。また、本発明のウエハ搬送装置において、前記ウエハ台座は前記ウエハを吸着保持する吸着式ウエハ台座であっても良く、また前記フィンガは前記ウエハを吸着保持する吸着式フィンガであってもよい。
【0011】
さらに、前記吸着式フィンガには前記ウエハを吸着するための一対のウエハ保持パッドとウエハ接触部とが配置されており、前記吸着式フィンガによって保持される前記ウエハの中心は、上面視して前記一対のウエハ保持パッドと前記ウエハ接触部とを結ぶ三角形の中に配置され、前記吸着式フィンガが前記吸着式ウエハ台座との間で前記ウエハを遣り取りする位置にあるときには、前記吸着式ウエハ台座の回転中心軸は、上面視して前記三角形の中に配置されることが好ましい。また、前記吸着式アライナは、前記吸着式ウエハ台座を水平面内で移動させる移動機構を備える構成としてもよい。
【0012】
また、本発明のウエハ搬送装置において、前記ウエハ台座は前記ウエハの周縁部を挟持するクランプ式ウエハ台座であり、前記フィンガは前記ウエハの周縁部を挟持するクランプ式フィンガであってもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明のウエハ搬送方法は、ウエハ台座上にウエハを保持して、前記ウエハの周縁部を検出するアライナと、前記ウエハをフィンガ上に保持して搬送する搬送ロボットとの間で行われるウエハ受け渡し方法であって、前記搬送ロボットがアーム体を動作させるアーム体駆動機構と、前記フィンガを水平面内で回転させるフィンガ駆動機構と、前記アーム体を鉛直方向に移動させる昇降機構とを作動させて前記フィンガ上に保持した前記ウエハを前記アライナが備えるウエハ台座上に載置するステップと、前記ウエハ台座上に前記ウエハを載置した後も前記昇降機構の下降動作を継続させて、前記フィンガを前記アライナの下方へ下降させるステップと、前記アーム体駆動機構と前記フィンガ駆動機構とを作動させて前記フィンガを前記アライナから退避させるステップとを有することを特徴としている。
【0014】
また、本発明のウエハ搬送方法は、前記アライナがウエハ台座上に保持する前記ウエハの周縁部を検出して前記ウエハの位置ずれを検出するステップと、前記搬送ロボットがアーム体を動作させるアーム体駆動機構と、前記フィンガを水平面内で回転させるフィンガ駆動機構と、前記アーム体を鉛直方向に移動させる昇降機構とを作動させて、前記フィンガを前記アライナの下方に移動させるステップと、前記アライナの下方に移動した前記フィンガを、前記昇降機構の作動により前記ウエハ台座よりも上方まで上昇させることで前記ウエハ台座上に載置されていた前記ウエハを保持するステップを有することを特徴としている。また、前記搬送ロボットは、前記昇降機構を作動させて前記フィンガを上昇させる前に、前記アライナが検出した前記ウエハの位置ずれを打ち消す方向に前記フィンガを水平方向に移動させるステップをさらに有することとしてもよい。さらに、前記アライナは、前記搬送ロボットが前記昇降機構を作動させて前記フィンガを上昇させる前に、検出した前記ウエハの位置ずれを打ち消す方向に前記ウエハ台座を水平面内で移動させるステップを有することとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウエハ搬送ロボットがアライナを経由してウエハを搬送するウエハ搬送装置において、高い搬送スループットを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態であるウエハ搬送装置の構成を示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態であるウエハ搬送装置の構成を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態であるウエハ搬送ロボットを示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態である上下フィンガを示す図である。
図5】本発明の一実施形態であるアライナを示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態であるフィンガとアライナの位置を示す図である。
図7】本発明の一実施形態であるウエハ搬送ロボットのウエハ載置動作を示す図である。
図8】本発明の一実施形態であるウエハ搬送装置1の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
図9】従来のウエハ搬送ロボットが行う搬送動作を示す図である。
図10】本発明の一実施形態であるウエハ搬送ロボットが行う搬送動作を示す図である。
図11】本発明の一実施形態であるウエハ搬送ロボットが行う搬送動作を示す図である。
図12】本発明の一実施形態であるウエハ搬送ロボットが行う退避動作を示す図である。
図13】本発明の一実施形態である第1の移動機構を備えるアライナを示す図である。
図14】本発明の一実施形態である第1の移動機構と第2の移動機構を備えるアライナを示す図である。
図15】本発明の一実施形態であるクランプフィンガとクランプアライナを示す図である。
図16】本発明の一実施形態であるウエハ搬送ロボットが行う搬送動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態であるウエハ搬送装置1の構成を示す平面図であり、図2図1のウエハ搬送装置を左側側壁寄りの内側の位置で切り取った状態を示す左断面側面図である。図2ではウエハ処理装置3は省略している。また、図3図1に示すウエハ搬送装置1が備えるウエハ搬送ロボット7の一実施形態を示す断面図である。図1に示すウエハ搬送装置1は、清浄な環境を維持しつつ搬送空間4内において、FOUP2とウエハ処理装置3との間でウエハWを搬送するためのものである。ウエハ搬送装置1は、搬送空間4を形成するフレーム5と、フレーム5に固定され、ウエハWを収容するFOUP2を載置してFOUP2の蓋を開閉するロードポート6と呼ばれる蓋開閉装置と、搬送空間4内に配置されて、ウエハWをFOUP2と基板処理装置との間で搬送するウエハ搬送ロボット7と、ウエハWの位置決めを行うアライナ8とを備えている。また、搬送空間4の上方には、搬送空間4に清浄な空気を下向きの層流で供給するFFU9を備えている。なお、搬送空間4の底面フレーム5aには、所定の開口が形成された底板10が固定されており、FFU9から供給された空気は搬送空間4内から底板10の開口を介して搬送空間4の外部へと排出される。また、搬送空間4のロードポート6が配置される側の壁面には、搬送空間4と外部とを気密に閉鎖する正面壁11が固定されており、搬送空間4の正面壁11と対向する面には背面壁12が固定されている。また、背面壁12には搬送空間4とウエハ処理装置3との間でウエハWを受け渡しするための開口13が形成されている。
【0018】
さらに、本実施形態のウエハ搬送装置1の搬送空間4内には、高い清浄度が必要な基板搬送エリア14とその下方の低圧エリア15とを区画する差圧プレート16が配置されている。この差圧プレート16は搬送空間4内に水平方向に配置される板状の部材であり、基板搬送エリア14と低圧エリア15とをガス流通可能に区画する。また、この差圧プレート16は、ウエハ搬送ロボット7が備えるアーム体18が昇降機構19によって最も下方に移動した場合であってもアーム体18と接触しない位置であって、アーム体18よりも下方に配置される。なお、差圧プレート16は、所定の直径の貫通穴が所定の間隔で多数設けられたパンチングメタルにより形成されている。この差圧プレート16により、上方の基板搬送エリア14は下方の低圧エリア15に比べて高い気圧に維持されて、ウエハ搬送ロボット7の内部で発生して低圧エリア15に流出した塵埃は、上方の基板搬送エリア14に侵入しない。また、上方の基板搬送エリア14で発生した塵埃は、パンチングメタルの貫通穴を通過して下方の低圧エリア15に流出するので、基板搬送エリア14は高清浄な状態に維持される。
【0019】
本実施形態のウエハ搬送ロボット7は水平多関節型スカラロボットであり、少なくとも、ウエハWを保持するフィンガ17と、フィンガ17を回転可能に支持して水平面内の所定の位置まで移動させるアーム体18と、アーム体18を回転可能に支持した状態で鉛直方向に昇降移動させる昇降機構19と、昇降機構19が固定される基台20とを備えている。
【0020】
基台20は、搬送空間4を形成する床面フレーム5aの背面壁12寄りの位置に固定されている。基台20には、昇降機構19と昇降機構19を駆動する昇降駆動モータ21が取り付けられていて、昇降駆動モータ21の不図示の回転シャフトと昇降機構19のボールねじ機構とが互いに不図示のプーリとベルトを介して連結されている。したがって、この昇降駆動モータ21が作動することで、昇降機構19を構成するボールねじ機構と螺合した移動子が昇降移動する。移動子にはブラケット22を介して昇降プレート23が固定されている。昇降プレート23には、アーム体18を構成する第1アーム24の基端部が、図3に示す直線C1を回転中心として回転可能となるように、軸受けを介して取り付けられている。さらに昇降プレート23には第1アーム駆動モータ25が取り付けられている。この第1アーム駆動モータ25の回転シャフトに固定されたプーリと、直線C1を回転中心とする第1アーム24の基端部と同軸に固定されたプーリとがベルトを介して連結されている。この構成により、第1アーム駆動モータ25が作動することで第1アーム24は昇降プレート23に対して回転動作する。
【0021】
第1アーム24の先端部にはアーム体18を構成するもう一つのアームである第2アーム26の基端部が、軸受けを介して、鉛直方向に延在する直線C2を回転中心として回転可能に取り付けられている。第1アーム24は中空の箱状又は管状の構造になっていて、内部には第2アーム26を駆動する第2アーム駆動モータ27が固定されている。この第2アーム駆動モータ27の回転シャフトに同軸状に固定されたプーリと、直線C2を回転中心とする第2アーム26の基端部と同軸に固定されたプーリとがベルトを介して連結されている。この構成により、第2アーム駆動モータ27が作動することで第2アーム26は第1アーム24に対して回転動作する。
【0022】
第2アーム26の先端部にはウエハWを保持する上フィンガ17aおよび下フィンガ17bのそれぞれの基端部が、鉛直方向に延在する共通の直線C3(以下「回転軸C3」と称する)を回転中心として個別に回転できるように、軸受けを介してそれぞれ取り付けられている。第2アーム26は中空の箱状または管状の構造になっていて内部空間には上下フィンガ17a、17bをそれぞれ回転駆動する駆動機構29a、29bが配置されている。上フィンガ17aを回転駆動する駆動機構29aは、上フィンガ駆動モータ30と、上フィンガ17aに固定されたプーリと上フィンガ駆動モータ30の回転シャフトに固定されたプーリとを掛け渡すベルトで構成されている。また、下フィンガ17bを回転駆動する駆動機構29bは、下フィンガ駆動モータ31と、下フィンガ17bに固定されたプーリと下フィンガ駆動モータ31の回転シャフトに固定されたプーリとを掛け渡すベルトで構成されている。上フィンガ駆動モータ30と下フィンガ駆動モータ31は第2アーム26に固定されている。上フィンガ駆動モータ30と下フィンガ駆動モータ31の各回転シャフトには、それぞれプーリが固定されていて、上フィンガ17aの基端部と下フィンガ17bの基端部には、それぞれ回転軸C3を回転中心とするプーリが同軸上に固定されている。上フィンガ17aと下フィンガ17bに固定されたプーリは、下フィンガ17bに固定されたプーリが上方になるように互いに上下方向に位置をずらして配置されている。また、上フィンガ駆動モータ30のプーリと下フィンガ駆動モータ31のプーリも、下フィンガ駆動モータ31のプーリが上方になるように互いに上下方向に位置をずらして配置されている。これら対応する各プーリと各駆動モータの回転軸はそれぞれベルトを介して連結されている。この構成により、上フィンガ駆動モータ30が作動することで上フィンガ17aは第2アーム26に対して独立して回転動作し、下フィンガ駆動モータ31が作動することで下フィンガ17bは第2アーム26に対して独立して回転動作する。
【0023】
なお、本実施形態のウエハ搬送ロボット7に備えられる各モータは、制御装置による回転角度制御ができるモータであれば、サーボモータ、ステッピングモータ、ダイレクトドライブモータ等、公知のいずれのモータであってもよい。また、各モータにはそれぞれ回転シャフトの回転角度を検出するエンコーダを備えることが望ましい。また、本実施形態のウエハ搬送ロボット7に備えられる各モータには、モータ本体と減速機とが同一の筐体に配置される減速機一体型ギヤードモータが使用されているが、各モータに独立した減速機を備える構成としてもよい。また、減速機を設けない構成としてもよい。また、本実施形態にウエハ搬送ロボット7には、昇降機構19、第1アーム24、第2アーム26、上下フィンガ17a、17bの位置を検出する不図示の位置検出センサが備えることが好ましい。
【0024】
これら各位置検出センサや各エンコーダからの出力信号は、ウエハ搬送ロボット7が備えるロボット制御部32(図8)へと送信される。ロボット制御部32には、演算処理を行うCPUと各センサから出力される信号を受信する受信装置と、モータ等の電気部品に制御信号を送信する送信装置と、ロボットを動作させるためのプログラムと各種設定データや教示データを記憶させる記憶手段が備られている。ロボット制御部32は、予め記憶されたプログラムに基づいて各モ-タを作動させて上フィンガ17aおよび下フィンガ17b(以下、上下のフィンガ17a、17bを総称して、単に「フィンガ17」と称することもある)を所望の径路に沿って移動させる。また、ロボット制御部32にはウエハ搬送装置1を制御する制御PCとの間で各種信号の送受信を行う通信手段を備えており、制御PCからの動作指令に従って、ウエハ搬送ロボット7を動作させる。
【0025】
図4は本実施形態の上下の各フィンガ17a、17bの構成を説明するための平面図である。上フィンガ17aと下フィンガ17bは同様の構成であるので、図4では一つのフィンガのみを「フィンガ17」として示している。図4はフィンガ17と、このフィンガ17に保持されるウエハWの位置を示している。ウエハWは、上下フィンガ17a、17bのそれぞれの設計上決められた基準位置(2点鎖線で示されている)に保持される。本実施形態の上フィンガ17aと下フィンガ17bは、それぞれ、ウエハWを保持する保持部33と保持部33の基端を支持するリスト部34とで構成される。本実施形態のフィンガ17は、ウエハWを下から持ち上げた状態でフィンガ17の先端部近傍から真空引きすることによってウエハWをフィンガ17に固定するウエハ吸着式フィンガである。そのために、配管部材35を介してクリーンルームに備えられた不図示の真空源と接続されている。
【0026】
また、本実施形態では、保持部33は先端部が二股に分かれたY字状に形成された上部材36と下部材37とを貼り合わせて構成した例を示している。上部材36のY字状に二股に分かれたそれぞれの先端部分には、ウエハWの下面に接触してウエハWを吸着するためのウエハ保持パッド38a、38bが周辺よりも盛り上がった形状で形成されている。また、各ウエハ保持パッド38a、38bの頂部には長円形の窪みが形成されており、この窪みの底部には下部材37に形成される真空流路39と連通するための貫通孔40が形成されている。さらに、上部材36の上面の他の位置には、各ウエハ保持パッド38a、38bと同じ高さに形成されたウエハ接触部41が設けられていて、ウエハWはこれら各ウエハ保持パッド38a、38bとウエハ接触部41の3点で支持される。下部材37には真空流路39を形成するY字状の溝が開削されていて、この溝の基端部分には真空源と接続するための継手が連結されている。真空源から連通する配管部材35は、リスト部34内に配置される電磁弁42を経由して保持部33の継手に接続される。電磁弁42はロボット制御部32と電気的に接続されており、ロボット制御部32から送信される電磁弁42の開閉信号を受信することで、ウエハ搬送ロボット7はウエハWをフィンガ17上で保持するか、もしくは保持を解除することが出来る。
【0027】
Y字状に分岐した一対のウエハ保持桿43a、43bの各先端部には、それぞれウエハ保持パッド38a、38bが配置されている。本実施形態の上下フィンガ17a、17bは、上面視して、上下フィンガ17a、17bの回転軸C3と保持部33の長手方向中心線を結ぶ直線L1に関して水平面内において線対称となるように形成されていることが望ましい。また、ウエハWは、左右のウエハ保持パッド38a、38bとウエハ接触部41に当接することで下方から支持され、左右のウエハ保持パッド38a、38bを真空引きすることでウエハWは吸着保持される。これにより、ウエハWはウエハ搬送ロボット7の搬送動作により位置ずれすることなく上下フィンガ17a、17b上に保持される。なお、上下フィンガ17a、17bがウエハWを安定して保持できるようにするために、ウエハWは、ウエハ中心P1が左右のウエハ保持パッド38a、38bとウエハ接触部41とを結ぶ直線が形成する三角形T1の内側に位置するように支持されることが望ましい。これにより、ウエハ保持パッド38a、38bへの真空引きが中断されたとしてもウエハWは上下フィンガ17a、17b上の正規の位置に支持される。
【0028】
なお、本実施形態の上下フィンガ17a、17bは、ウエハWを左右のウエハ保持パッド38a、38bとウエハ接触部41の少なくとも3点で接触することでウエハWを鉛直方向に支持しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ウエハWを真空吸着するウエハ保持パッド38a、38bの数を1つにしてウエハ接触部41の数を2つ以上にしても良いし、ウエハ接触部41を無くして、ウエハ保持パッド38a、38bを3つ以上としてもよい。ただしその場合にも、ウエハWの中心P1は上下フィンガ17a、17b上に配置された保持パッド38とウエハ接触部41のうち、少なくとも3つの支持点を結ぶ直線が形成する三角形T1の内側に配置されることが望ましい。
【0029】
次に、本実施形態のウエハ搬送装置1が備えるアライナ8について説明する。図5は本実施形態のアライナ8の内部構造を簡略化して示す断面図である。本実施形態のアライナ8は、ベース部材44とベース部材44に回転可能に設けられてウエハWを吸着保持するウエハ台座45と、ベルト51を介して直線C4(以下、「回転軸C4」と称する)を回転中心としてウエハ台座45を回転駆動させるアライナモータ46と、ウエハ台座45上に保持されて回転するウエハWの周縁部を検出するウエハ検出センサ47と、アライナ制御部53(図8参照)とを有している。
【0030】
ウエハ台座45は、ベース部材44に軸受けを介して回転可能に取り付けられた円筒状のシャフト28の上部に固定されており、鉛直方向に延在する回転軸C4を回転中心としてシャフト28とともに回転するように構成されている。シャフト28の下端には、従動プーリ49が固定されている。アライナモータ46はベース部材44に固定されており、アライナモータ46の回転シャフト48の先端には駆動プーリ50が固定されている。駆動プーリ50と従動プーリ49にはベルト51が掛け渡されており、これにより、アライナモータ46が回転作動することでウエハ台座45は回転軸C4を回転中心として回転する。さらに、回転シャフト48には、回転シャフト48の回転角度を検出する不図示のエンコーダが備えられていて、このエンコーダの検出信号はアライナ制御部53へと送信される。なお、本実施形態のアライナ8が備えるアライナモータ46は、本体と減速機とが同一の筐体に配置される減速機一体型ギヤードモータを使用しているが、アライナモータ46に、独立した減速機を備える構成としてもよい。
【0031】
ウエハ台座45は中央部分に鉛直方向の貫通孔が設けられた円筒状の部材であり、樹脂材料で成形することができる。ウエハ台座45の上面であるウエハWを載置する面には、ウエハWを真空吸着するための流路が形成されている。ウエハ台座45の下方に固定されておりウエハ台座45とともに回転するシャフト28には、ロータリー継手が連結されている。このロータリー継手は、配管部材52を介して不図示の真空ポンプ等の真空源と接続されている。ロータリー継手は、配管部材52に接続される固定部とシャフト28に接続される回転部とで構成されており、固定部と可動部との間は軸受けとOリング等のシールで接続されている部材である。このロータリー継手がウエハ台座45およびシャフト28を回転支持するとともに、エアをリークさせることなく真空ポンプからの吸引力をウエハ台座45の内部に伝達する。
【0032】
配管部材52の途中には電磁弁55が配置されていて、この電磁弁55の作動によってウエハ台座45の真空引きおよび真空圧の解除が行われる。電磁弁55とウエハ台座45とを接続する配管部材52の途中には、配管部材52の内部の圧力を検出する圧力センサ56が備えられている。圧力センサ56により、配管部材52の内部の圧力を検出することで、ウエハ台座45上にウエハWが載置されているか否か、および載置が正常か否かを検知する。
【0033】
なお、ウエハ台座45は、加工が容易であり塵埃の発生が少なくウエハWにダメージを与えない材料であれば良く、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを用いて製造することができる。また、ポリテトラフルオロエチレン以外に、ポリエーテルエーテルケトン等の樹脂材料を使用することも可能である。
【0034】
ウエハ検出センサ47は、ウエハ台座45上に保持されて回転するウエハWの周縁部に形成されているノッチやオリフラを検知し、ウエハWの周縁部を検出することにより、ウエハWの中心P1とウエハ台座45の回転軸C4との位置ずれ量と位置ずれ方向を検知する。本実施形態のウエハ検出センサ47は、投光部から放射された検出光47aを検出部が検出する透過光式のセンサである。また、本実施形態のウエハ検出センサ47はラインセンサであり、直線上に配置された複数の投光器(投光部)から放射された検出光47aを、直線上に複数配置された光センサ(検出部)が検出する構成となっており、ウエハ台座45上に保持されたウエハWの周縁についてウエハWの半径方向の位置を測定する。なお、本実施形態のアライナ8が備えるウエハ検出センサ47の投光器と光センサは、上面視して、フィンガ17の回転軸C3とウエハ台座45の回転軸C4を通るアライナ8の長手方向(X方向)に延在する直線L2と一致するように配置されている。図6を参照。
【0035】
また、本実施形態のアライナ8にはアライナ制御部53が備えられており、アライナ制御部53とアライナモータ46、エンコーダ、電磁弁55、ウエハ検出センサ47とは電気的に接続されている。アライナ制御部53は、アライナモータ46の回転を制御して、ウエハ検出センサ47とエンコーダからの電気信号により、ウエハの位置情報やモータの回転角度情報を取得することでウエハWの位置ずれ量や位置ずれの方向、ノッチやオリフラの位置を算出する。また、アライナ制御部53は電磁弁55を制御して、ウエハWのウエハ台座45への吸着保持、及び吸着の解除を行う。
【0036】
本実施形態のアライナ制御部53には、演算処理を行うCPUと各センサから出力される信号を受信する受信装置と、アライナモータ46や電磁弁55に出力信号を送信する送信手段と、アライナモータ46を作動させるためのプログラムと各種設定データや教示データを記憶させる記憶手段が備えられており、アライナ制御部53は、予め与えられたプログラムに基づいて、ウエハWの位置決めや、ノッチやオリフラの検出を実行する。また、アライナ制御部53にはウエハ搬送装置1が備える制御PCとの間で信号の送受信を行う通信手段が備えられており、制御PCからの動作指令に従って、アライナ制御部53は、ウエハWの位置ずれ検出やノッチやオリフラの位置検出を行い、ウエハWの回転方向の位置合わせを行う。
【0037】
本実施形態のアライナ8は、鉛直方向に立設されたフレーム5bに、ブラケット54を介して固定されている。ウエハ搬送ロボット7は、各モータを作動させてFOUP2内に収容されているウエハWをFOUP2から取り出した後、ウエハWをウエハ台座45上に載置してウエハ台座から離れる。そして、アライナ8によるアライメント動作が終了すると、ウエハ搬送ロボット7はアライメントが終了したウエハWの位置ずれを解消する位置までフィンガ17を移動させてウエハWを保持し、アライナ8のウエハ台座45からウエハ処理装置3のウエハ受け渡し位置まで搬送する。
【0038】
次に、本実施形態のウエハ搬送ロボット7が備えるフィンガ17a、17bとアライナ8の関係について説明する。図6は、本実施形態のウエハ搬送ロボット7が“フィンガ17a、17b上の所定の位置”に保持しているウエハWを、“ウエハ台座45上の所定の位置”に載置しているところを示す図である。なお、“フィンガ17a、17b上の所定の位置”とは、フィンガ17a、17bがウエハWを保持する際に設計上予め決められた位置のことである。この所定の位置は、実際の稼働前に設置作業者が行う位置教示作業によって搬送ロボット7に教示される。ここで、設置作業者の位置教示作業によって得られた位置情報は、ウエハ搬送ロボット7が備えるロボット制御部32に記憶される。
【0039】
また、“ウエハ台座45上の所定の位置”も、同じように設置作業者が行う位置教示作業によって教示され、設置作業者の位置教示作業によって得られた位置情報は、ウエハ搬送ロボット7が備えるロボット制御部32に記憶される。本実施形態のウエハ搬送ロボット7では、ウエハWを保持する場合、左右対称に形成される保持部33の水平方向に延在する対称軸である中心線L1上にウエハWの中心P1が位置するように教示される。また、保持部33が保持しているウエハWをウエハ台座45上に載置する際には、ウエハWの中心P1がウエハ台座45の回転軸C4と一致するように教示される。
【0040】
ここで、本実施形態のアライナ8のウエハ台座45や従動プーリ49が配置される本体部61の幅寸法D1と、保持部33の先端部の左右に形成されるウエハ保持桿43a、43bの離間寸法D2の大きさは、D1がD2よりも小さくなるように構成されている。本実施形態のアライナ8では、ウエハWが載置される領域周辺に位置する本体部61にはアライナ8を構成する部品を配置することを極力抑え、できるだけ電装部60に配置するようにしている。
【0041】
幅寸法D1とは、上下フィンガ17a、17bがウエハ台座45上にウエハWを載置するときの姿勢、もしくはウエハ台座45上に載置されたウエハWを取りに行くときの姿勢にあるとき、中心線L2に対して直交する方向についての本体部61の寸法のことであり、離間寸法D2とは、この時の中心線L2に対して直交する方向に関するウエハ保持桿43a、43bの間隔のことである。
【0042】
なお本体の幅寸法D1は、アライナ本体の全体の幅寸法がすべてD1<D2である必要はなく、フィンガ17a、17bがアクセスする領域のアライナ本体の幅寸法がD1<D2であればよい。また、本実施形態のようにアライナ8が上面視して略長方形の形状を有しているときは、幅寸法D1とはこの略長方形の短手方向(Y方向)の寸法のことであり、上面視して、上下フィンガ17a、17bのウエハ保持桿43a、43bによって挟まれた位置であって、本体部61のウエハ保持桿43a、43bが互いに対向する方向に関する寸法のことである。
【0043】
このように、D1<D2とすることで、ウエハ搬送ロボット7は、アーム体18を動作させてフィンガ17a、17b上に保持したウエハWをウエハ台座45の真上まで移動させた後、昇降機構19を下降させてフィンガ17a、17bでウエハ台座45上にウエハWを載置し、載置位置で昇降機構19を停止させることなくフィンガ17a、17bをアライナ8の下方まで鉛直方向に移動させることができる。これにより、細かく正確なアーム体の動作が不要となり、素早く次の搬送動作に移行することが可能になる(図7(a)~(c)を参照)。
【0044】
また、ウエハ台座45上に載置されているウエハWを持ち上げる際には、ウエハ搬送ロボット7はフィンガ17a、17bをアライナ8の直下に移動させた後、フィンガ17を鉛直方向に上昇させることでウエハ台座45上ウエハWを持ち上げることが出来る。従来のウエハ搬送ロボット57においては、ウエハ台座45上にウエハWを載置したら、アーム体とウエハ等の干渉リスクを考慮して、フィンガをアライナ8に対して水平方向に後退させた後で次の搬送動作に移行していた。しかし、本実施形態のウエハ搬送ロボット7では、フィンガ17a、17bはウエハWを載置後そのままアライナ8の下方に移動するため、アーム体18を動作させることなく昇降機構19のみを動作させて、フィンガ17a、17bを下降移動させるだけで、アライナ8から退避させることが出来る。したがって、ウエハWを載置後すぐにアライナを動作させることでき、また、すぐにウエハ搬送ロボット7を他のウエハの搬送に使用することが可能となる。
【0045】
本実施形態では、ウエハWを回転移動させる駆動手段のみを備える単軸アライナ8であって、ウエハWの水平方向の位置ずれを補正する位置補正手段を備えていない例を示している。このようなアライナ8では、ウエハWの位置ずれは、位置ずれを補正するための補正値をウエハ搬送ロボット7がアライナ8から受信しておき、予め教示された位置でウエハWをウエハ台座45から受け取った後、例えばウエハ処理装置3のウエハステージ3a上に載置する際に補正される。
【0046】
ウエハ搬送ロボット7は、ウエハ台座45から受け取ったウエハWを、予め教示された位置データに補正値を加算したうえでウエハWをウエハステージ3a上に載置することで、ウエハWの位置ずれを補正して、ウエハWをウエハステージ3aの正確な位置に載置することが出来る。または、アライナ8上のウエハWを保持する際に、ウエハ搬送ロボット7が予め教示された位置から位置ずれを補正する方向へとフィンガ17a、17bを移動させて、その後ウエハ台座45上のウエハWをフィンガ17a、17bで保持することで位置ずれを補正することもできる。
【0047】
後者のような補正動作を行うためには、本実施形態のアライナ8の本体部61とフィンガ17a、17bのウエハ保持桿43a、43bとの間の水平面内での隙間((D2-D1)/2)は、FOUP2に収納されたウエハWの許容される位置ずれ量や、ウエハ処理装置3内で許容される位置ずれ量(最大許容補正量)よりも大きい寸法に設定されることが望ましい。例えば、FOUP2内でのウエハWの最大位置ずれ量がnミリメートルである場合、本体部61の左右両側面とウエハ保持桿43a、43bとの間の水平面内でのそれぞれの隙間寸法をnミリメートルよりも大きい寸法にしておけば、ウエハ搬送ロボット7がウエハWの位置ずれを補正する方向にフィンガ17を移動させたとしても、ウエハ保持桿43a、43bと本体部61とが接触することは無くなる。
【0048】
また、本実施形態のアライナ8は、ウエハ検出センサ47でウエハWに形成されているノッチの回転位置ずれとウエハWのX-Y方向の位置ずれ量を検出し、ノッチが予め教示された所定の回転位置に移動した場合のウエハWのX-Y方向の位置ずれ量と、このX-Y方向の位置ずれを補正する補正データを算出する。次にアライナ8はノッチがウエハWの周縁上の予め教示された所定の回転位置になるようにウエハWを回転させる。そして、ウエハWの位置ずれ量に対する補正データを受信したウエハ搬送ロボット7が、この位置ずれを打ち消す位置にフィンガ17を補正移動させた後、ウエハ台座45上のウエハWを持ち上げることで、ウエハWの回転方向の位置とXY平面内での位置ずれを補正している。
【0049】
本実施形態のアライナ8では、ウエハWをウエハ台座45上に載置する場合、ウエハ搬送ロボット7は、ウエハ台座45の上方であってウエハW中心が鉛直方向に延在するウエハ台座45の回転軸C4と一致する位置までフィンガ17を移動させた後、昇降機構19を作動させてウエハWをウエハ台座45に載置する。ここで、ウエハの保持位置にずれがない場合には、ウエハ中心P1とウエハ台座45の回転軸C4は一致し、さらに、フィンガ17a、17bは、回転軸C3とウエハ中心P1を結ぶ直線L1に関して水平面内で左右対称となっている。また、ウエハ中心P1は、上面視してフィンガ17a、17bに形成された2つのウエハ保持パッド38a、38bとウエハ接触部41とを結ぶ直線で囲まれる三角形T1の内側に位置するように構成されている。
【0050】
なお、アライナ8が作動すると、内部に配置されたモータ46やベルト51、軸受け等から塵埃が発生して、アライナ8の外へと放出される可能性がある。放出された塵埃は、搬送空間4内のダウンフローによってアライナ8の下方へと流され、この下方に流された塵埃がアライナ8の下方に移動したフィンガ17に付着してしまい、このフィンガ17に付着した塵埃がウエハWを保持した際にウエハWへと移動する可能性がある。このようなトラブルを回避するために、本実施形態のアライナ8は、アライナ8の電装部60や本体部61の内部空間を搬送空間4に対して陰圧に維持する手段を備える構成としてもよい。
【0051】
陰圧に維持する手段として、アライナ8内部の気体を吸引してアライナ8の外部へと排出するファンやポンプといった排気手段を備えることが好ましい。電装部60や本体部61も内部が陰圧となることで、モータやベルト51等から発生した塵埃は電装部60や本体部61から放出されることは無くなる。なお、ファンやポンプによって電装部60や本体部61の内部から排出された気体は、ダクト等を介して基板搬送エリア14よりも下方に配置される低圧エリア15に排気される構成とすることで、ウエハWに塵埃が付着することは無くなる。
【0052】
本実施形態のアライナ8は、ウエハ台座45を回転させるアライナモータ46やアライナ制御部53等は電装部60の内部に収容されているが、本発明はこれに限定されることは無い。例えば、電装部60を本体部61の下方に配置する構成としたとしても、第一の実施形態と同様に、ウエハWをウエハ台座45上に載置した後、フィンガ17a、17bがアライナ8の下方まで鉛直方向に移動することは十分可能である。
【0053】
さらに、電装部60をウエハWの載置される領域よりも上方に配置したり、本体部61と分離して配置したりすることも十分可能である。言い換えれば、ウエハ搬送ロボット7がアライナ8との間でウエハWを受け渡しする際に、予め教示された位置までフィンガ17a、17bを移動させた際、一対のウエハ保持桿43a、43bの離間寸法D2が、フィンガ17a、17bが鉛直方向に通過するアライナ8の本体部61の幅寸法D1よりも大きく設定されていれば、フィンガ17a、17bが下降する際にアライナ8と接触することはなくなる。さらに、ウエハ搬送ロボット7の昇降機構19を作動させてフィンガ17a、17bを昇降移動させる方法に代えて、アライナ8を昇降移動させる昇降機構を設け、フィンガ17a、17bに対してアライナ8を昇降移動させる構成としてもよい。
【0054】
本実施形態のウエハ搬送装置1の制御は、制御PCとこの制御PCの制御の下でロボット、アライナ、及びロードポート等を個別に制御する駆動制御部により行われる。図8にこれらの制御系の構成を概略的に示すブロック図として示す。ウエハ搬送装置1が備えるウエハ搬送ロボット7、アライナ8、ロードポート6には、それぞれが備える検出手段からの検出信号を受信して、予め記憶されたプログラムに沿って各駆動手段を制御するそれぞれの駆動制御部(ロボット制御部32、アライナ制御部53、ロードポート制御部81)を備えている。また、ウエハ搬送装置1は、制御PCを備えており、この制御PCが各駆動制御部32、53、81と通信を行い、各駆動制御部32、53、81の動作を制御する。制御PCは、演算を行うCPUと、各制御部との間で通信を行う通信手段と、動作プログラムや各種データを記憶させる記憶手段を少なくとも備えている。
【0055】
次に、本発明のウエハ搬送装置1が備えるウエハ搬送ロボット7と従来のウエハ搬送ロボット7のアライナ8上でのアーム体18を使ったウエハW1、W2の搬送動作の違いについて説明する。図9は、従来のウエハ搬送ロボット57が行う搬送動作を示す図であり、図10、11は、本発明の一実施形態のウエハ搬送ロボット7が行う搬送動作を示す図である。従来の搬送ロボットでは、ウエハ搬送ロボット57が備える上下フィンガ77a、77bの一対のウエハ保持桿43a、43bの左右方向の離間寸法D2が、アライナ58の本体の幅寸法D1よりも大きくなるように考慮されておらず、通常以下のような動作を行っている。
【0056】
まず、ロードポート6に載置されたFOUP2から上フィンガ17aで1枚目のウエハW1を取り出ししてアライナ8、58のウエハ台座45に載置する。その後、アライナ8、58が位置決めを行っている間に下フィンガ17bで2枚目のウエハW2を取り出して保持して待機し、ウエハW1の位置決め動作が終了したら上フィンガ17aでウエハ台座45上のウエハW1を取り出して、下フィンガ17bで保持している2枚目のウエハW2をウエハ台座45に載置する。なお、これらの動作は、ロボット制御部32が予め記憶していた動作プログラムに沿って実行される。
【0057】
図9を参照して、従来のウエハ搬送ロボット57の動作について説明する。まず、上フィンガ77aをFOUP2に正対する準備位置まで移動させた後、FOUP2に収容されている1枚目のウエハW1を上フィンガ77aで保持する(図9(a))。このときウエハ搬送ロボット57は、下フィンガ77bを上フィンガ77aの動作に干渉しない退避位置に回動させておく。次にウエハ搬送ロボット57は、アーム体18とフィンガ77aを動作させて、ウエハW1をFOUP2から取り出して従来のアライナ58の上方であって予め教示された所定の位置まで移動させる。その後ウエハ搬送ロボット57は、昇降機構19を下降動作させて上フィンガ77aで保持したウエハW1をアライナ58のウエハ台座45に載置する(図9(b))。
【0058】
従来のアライナ58がウエハW1を吸着保持してアライメント動作を開始すると、ウエハ搬送ロボット57は、アライナ58のウエハ台座45や本体部に接触しないようにアーム体18と上フィンガ77aを動作させて、上フィンガ77aをアライナ58に対して水平方向に後退移動させる(図9(c))。このとき、上フィンガ77aの上下方向の高さ位置は、ウエハW1よりも下方であり、アライナ66の本体部よりも上方の位置にある。次にウエハ搬送ロボット57は、退避位置にある下フィンガ77bをFOUP2に正対する準備位置まで回動させた後、各駆動部を作動させてFOUP2に収容される2枚目のウエハW2を下フィンガ77bで保持する(図9(d))。このときウエハ搬送ロボット57は、上フィンガ77aを下フィンガ77bの動作に干渉しない退避位置に回動させておく。次にウエハ搬送ロボット57は、アーム体18を動作させて、下フィンガ77bをFOUP2に対して後退させて、ウエハW2を取り出す(図9(e))。
【0059】
次にウエハ搬送ロボット57は、退避位置にある上フィンガ77aをアライナ58と正対する方向に回動させ、ウエハW2を保持する下フィンガ77bを退避位置まで回動させる(図9(f))。アライナ58の動作が終了すると、ウエハ搬送ロボット57はアーム体18を動作させて、上フィンガ77aを1枚目のウエハW1の直下の所定の位置まで前進移動させる(図9(g))。前進移動のときには、上フィンガ77aの上下方向の高さ位置は、ウエハW1よりも下方であり、さらに、アライナ58の本体部よりも上方の位置にある。その後ウエハ搬送ロボット57は、昇降機構19を上昇させてアライメントの終了した1枚目のウエハW1を上フィンガ77aで持ち上げて保持する。その後下フィンガ77bを、ウエハ台座45の上方であって予め教示された位置まで回動させ、上フィンガ77aを下フィンガ77bと干渉しない退避位置まで移動させる。
【0060】
そしてウエハ搬送ロボット57は、昇降機構19を作動させて下フィンガ77bで保持しているウエハW2をウエハ台座45に載置する(図9(h))。その後、ウエハ搬送ロボット57は、下フィンガ77bをアライナ58に対して水平面内で後退させた後、ウエハ搬送ロボット57の上フィンガ77a上に保持したウエハW1を所定のウエハ処理装置3へと搬送する。上述したように、従来のウエハ搬送ロボット57とアライナ58の場合、アライナ58上にウエハW1又はW2が保持されているときには、上下の各フィンガ77a及び77bはそれぞれ、ウエハW1又はW2とアライナ59との間を通過して後退しなければアライナ58から退避することができなかった。この動作の際、ウエハ搬送ロボット57は、上下フィンガ77a、77bをウエハ台座45に接触しないように移動させる必要があるため、アーム体18と上下フィンガ77a、77bの動作は精密で複雑なものとなっていた。
【0061】
次に、本実施形態のウエハ搬送ロボット7の搬送動作について説明する。従来のウエハ搬送ロボット57と同様に、ウエハ搬送ロボット7は上フィンガ17aをFOUP2に正対する準備位置に回動させた後、FOUP2内に収容されている1枚目のウエハW1を上フィンガ17aで保持する(図10(a))。この時ウエハ搬送ロボット7は、下フィンガ17bを上フィンガ17aの動作に干渉しない退避位置に回動させておく。次に、ウエハ搬送ロボット7はアーム体18とフィンガ17aを動作させて、ウエハW1をアライナ8のウエハ台座45の上方であって予め教示された所定の位置まで移動させる。このとき、図10に示すように、次に取り出すウエハがアライナ8に最も近いロードポート6´に載置されているFOUP2から次のウエハW2である場合には、ウエハ搬送ロボット7は、以下に説明するように、下フィンガ17bをFOUP2に正対する準備位置まで回動させておくのが望ましい。
【0062】
ここで、図16を参照して、本発明のウエハ搬送装置において、アライナ8に最も近いロードポート6´(本実施形態では一番右端のロードポート)からウエハW1を取り出して、アライナ8の上方の教示位置までウエハW1を移動するフィンガ17a及び17bの動きと、ウエハ搬送ロボット7の動作制御について説明する。なお、下フィンガ17bも、次の段落で説明する上フィンガ17aと同様の動きにより、ロードポートからウエハW2を取り出す。
【0063】
ウエハ搬送ロボット7がFOUP2に対してフィンガ17aを出し入れする場合、ウエハ搬送ロボット7は、フィンガ17aを正面壁11が延在する方向に対して直交する方向であってFOUP2に正対する位置から前進移動するよう教示されている。ここで、ウエハ搬送ロボット7がFOUP2内にフィンガ17aを移動したときに、FOUP2に正しく収容されている場合のウエハW1の中心P1´とフィンガ17aの回転軸C3を結ぶ水平面内の直線をL3が、正面壁11が延在する方向に対して垂直な直線となることが好ましい。次にウエハ搬送ロボット7は、フィンガ17aでFOUP2内のウエハW1を持ち上げ、アーム体18を動作させることにより、直線L3とウエハ台座45の回転軸C4を通る図6で示した直線L2との交点P2に、フィンガ17aの回転軸C3が位置するまで移動させる。その後、ウエハ搬送ロボット7はアーム体18を停止させた状態で上フィンガ駆動モータ30を作動させて、ウエハW1を保持する上フィンガ17aをウエハ台座45の上方の所定の位置まで回転移動させる。
【0064】
図10に戻り説明する。アライナ8の台座の上方までウエハW1を移動させると、ウエハ搬送ロボット7は、昇降機構19を下降動作させて上フィンガ17aで保持したウエハW1をアライナ8のウエハ台座45に載置する(図10(b))。昇降機構19を作動させて1枚目のウエハW1をウエハ台座45に載置した後も、ウエハ搬送ロボット7は昇降機構19の下降動作をそのまま継続させて、上フィンガ17aをアライナ8の下方であって、上フィンガ17aが回動動作してもアライナ8と接触しない位置まで移動させる。
【0065】
上フィンガ17aがアライナ8の下方の所定の位置まで下降移動したら、ウエハ搬送ロボット7は、上フィンガ17aを上面視して下フィンガ17bと一致する準備位置、または少なくとも上フィンガ17aを上昇させてもウエハ17aと干渉しない位置へ、回転軸C3を回転中心として回動させる(図10(c))。次にウエハ搬送ロボット7は、アーム体18と昇降機構19を作動させて、下フィンガ17bをFOUP2に収容される2枚目のウエハW2の下方の所定の位置まで移動させ、昇降機構19を作動させて2枚目のウエハW2を下フィンガ17bで保持する(図10(d))。この時、上フィンガ17aは下フィンガ17bの動作に干渉しない退避位置へ回転軸C3を回転中心として回動させる。
【0066】
次にウエハ搬送ロボット7は、アーム体18を作動させて、ウエハW2を保持する下フィンガ17bを準備位置まで後退移動させる(図11(e))。そしてウエハ搬送ロボット7は、昇降機構19を作動させて上フィンガ17aをアライナ8よりも下方に位置するまで下降動作させた後、上フィンガ17aを、予め教示されたウエハW1を保持する位置まで回転軸C3を回転中心として回動させる。アライナ8の動作が終了すると、さらに、ウエハ搬送ロボット7は、アライナ8が検出したウエハW1の位置ずれを打ち消す補正位置まで上フィンガ17aを移動させた後、昇降機構19を作動させて上フィンガ17aをウエハ台座45上方の所定の高さ位置まで上昇させ、アライメントの終了したウエハW1を上フィンガ17aで保持する(図11(f))。なお、2枚目のウエハW2を保持するフィンガ17bはアライナ8と干渉しない退避位置にあるので、上フィンガ17aの上昇移動によってウエハW2がアライナ8と衝突することはない。
【0067】
そしてウエハ搬送ロボット7は、下フィンガ17bをウエハ台座45の上方の予め教示された位置まで移動させ、上フィンガ17aを下フィンガ17bおよびアライナ8と干渉しない退避位置まで回動させる。その後、昇降機構19を作動させて下フィンガ17b上に保持されたウエハW2をウエハ台座45上に載置する。昇降機構19を作動させて2枚目のウエハW2をウエハ台座45上に載置した後、ウエハ搬送ロボット7は、昇降機構19の下降動作をそのまま継続させて、下フィンガ17bをアライナ8の下方であって、下フィンガ17bが回動動作してもアライナ8と接触しない所定の位置まで移動させる(図11(g))。そして、ウエハ搬送ロボット7は、上面視して上フィンガ17aと一致する位置まで下フィンガ17bを回転軸C3を回転中心として回動させる(図11(h))。さらにウエハ搬送ロボット7は、アーム体18と昇降機構19を動作させて、上フィンガ17a上に保持したウエハW1を所定のウエハ処理装置3へと搬送する。
【0068】
上記のように、従来のウエハ搬送ロボット57と本発明のウエハ搬送ロボット7では、ウエハW1、W2をウエハ台座45に載置した後に行うフィンガ17a、17b、77a、77bを退避させる動作に差異がある。ウエハ搬送ロボット57では、フィンガ77a、77bをアライナ58に対して水平方向に後退移動させる必要があるため、アーム体18を構成する各アームの長さが長くなるほど、フィンガ77a、77bを水平方向に退避させるアーム体18の動作にかかる時間が長くなる。特に、アーム体18を構成する各アーム24、26の長さが正面壁11と背面壁12の離間距離に近い長さの場合、各アーム24、26が正面壁11や背面壁12に接触しないように動作させるために各アーム24、26の動作範囲が限定される。
【0069】
そのため、各アーム体24、26の動作が制限され、動作に長い時間がかかってしまうのである。また、フィンガ77a、77bが後退動作を行っている最中に、フィンガ77a、77bがウエハ台座45と接触しないようにするために、アーム体18の動作と同期してフィンガ77a、77bの姿勢を維持させる必要があり、動作制御がさらに煩雑なものになってしまう。さらに、従来のウエハ搬送ロボット57では、退避動作のために、昇降機構19の下降動作が終了した後アーム体18の後退動作に切り替えなければならず、この昇降機構19からアーム体18への動作の切り替えがあることでタイムラグが生じて、結果としてスループットを低下させることになってしまうのである。
【0070】
本実施形態のウエハ搬送ロボット7の退避動作は、図12に示すように、フィンガ17a、17bをウエハ台座45上方の所定の位置に移動させた後(図12(a))、昇降機構19によりフィンガ17a,17bを下降させて、ウエハW1又はW2の載置した後も昇降機構19を停止させることなくそのままフィンガ17a又は、17bがアライナ8よりも下方に位置するまで下降させる(図12(b))。そしてその後、アライナ8やウエハW1,W2との干渉リスクがなくなってから、フィンガ17a、17bを回動させる(図12(c))。したがって、従来技術のように、ウエハW1,W2をアライナ8に載置した後、アライナ近接領域からウエハW1,W2やアライナ8との干渉を避けつつフィンガ17a、17bを退避させるというようなアーム体18(アーム24,26)を動作させる必要が無い。
【0071】
これにより、ウエハ搬送ロボット7の動作時間を短縮することができる。さらに、フィンガをアライナ本体の下に退避させる(図12(a)、(b))までの退避動作では、各アーム24,26やフィンガ17a、17bの煩雑な角変位動作も必要ないので、各アーム24,26やフィンガ17a、18bを背面壁12やウエハ台座45に接触させるトラブルも発生しない。なお、ここで角変位動作とは、第1アーム24の基台20に対する回転動作、第2アーム26の第1アーム24に対する回転動作、フィンガ17a、18bの第2アーム26に対する回転動作のことであり、この角変位動作を行うことによりウエハ搬送ロボット7は、フィンガ17a、18bやフィンガ17a、18bに保持されたウエハWを所定の位置まで移動させる。
【0072】
本実施形態のアライナ8では、ウエハ台座45を水平方向に移動させる機構を備えていない構成を例示している。しかし、ウエハ台座45をウエハWの中心P1とフィンガ17a、17bの回転中心を結ぶ直線L2に対して平行となる方向(図6のX方向)、またはこの直線L2に直交する方向(図6のY方向)に移動させる機構を備えるアライナとすることも可能である。さらに、直線L2に対して平行となる方向(同X方向)、および、この直線L2に直交する方向(同Y方向)の両方に移動させる機構を備える構成とすることも可能である。
【0073】
図13(a)は、ウエハ台座45を直線L2に対して平行となる方向に移動させる第1の移動機構63を備えるアライナ59aを示す平面図であり、図13(b)はその正面図である。なお、図13乃至図15では便宜的に、直線L2に対して平行となる方向をX方向とし、直線L1に直交する方向をY方向とし、X方向、及びY方向に直交する方向をZ方向(鉛直方向)として説明する。本実施形態のアライナ59aは、アライナ8と同様の機構を備えているが、アライナ制御部53やウエハ検出センサ47を収容する電装部60と、ウエハ台座45とアライナモータ46等の駆動機構を収容する本体部61とが分離されている。本体部61は、上面視して第1の実施形態のアライナ8と同じ幅寸法D1で構成されている。電装部60は鉛直フレーム5bに固定されるブラケット62の最上部に固定されていて、ブラケット62の最下部にはウエハ台座45を含む本体部61をX方向に移動させる第1の移動機構63が取り付けられている。
【0074】
第1の移動機構63はモータ64とボールねじ機構とで構成されており、モータ64が作動することでモータ64の回転シャフトと連結されたボールねじが回転して、ボールねじに螺合する移動子がX方向に進退移動する。この移動子には本体部固定台65の底面が固定されていて、本体部固定台65の頂面には本体部61が固定されている。なお、モータ64は駆動軸の角度制御可能なモータであり、モータ64の作動はアライナ制御部53により制御される。また、電装部60と本体部61は差圧プレート16よりも上方の基板搬送エリア14に配置されることが望ましい。さらに、第1の移動機構63が動作することで塵埃が発生する可能性があるので、第1の移動機構63は差圧プレート16よりも下方の低圧エリア15に配置されることが望ましい。これにより、第1の移動機構63で発生した塵埃がウエハWに付着するリスクが少なくなる。
【0075】
上記構成とすることで、ウエハ検出センサ47によってウエハWのノッチの回転ずれとウエハWの中心のX-Y方向の位置ずれ量を検出し、ノッチの位置が予め教示されて所定の回転位置移動した場合のウエハWのX-Y方向の位置ずれ量と、このX-Y方向の位置ずれを補正する補正データを算出する。次にアライナ59aはノッチがウエハWの周縁上の予め教示された所定の回転位置となるまでウエハWを回転させて回転ずれを修正し、さらに、ウエハWのX方向の位置ずれを、第1の移動機構63によってウエハ台座45とウエハWを移動させることでX方向の位置ずれを補正することができる。
【0076】
また、アライナ59aがウエハWをX方向に補正した後、フィンガ17a、17bが、Y方向の位置ずれを補正する位置に移動した後ウエハWを下から持ち上げることで、ウエハWのX方向及びY方向の位置ずれを補正した位置でウエハWを保持することが出来る。さらに、フィンガをY方向へ移動させる補正を行う場合にはY方向への最大許容補正量よりも隙間((D2-D1)/2)を大きくしておくことにより、ウエハWをウエハ台座45に載置したフィンガ17a、17bが水平方向の姿勢を変えることなく本体部61の下方まで移動することができるので、ウエハWの搬送スループットを向上させることが出来る。
【0077】
図14(a)は、第1の移動機構63の下方に、第1の駆動機構63をY方向に進退移動させる第2の移動機構67を備えるアライナ59bを示す図であり、図14(b)はその正面図である。第2の移動機構67は第1の移動機構63と同様の構成をしており、ブラケット62aの最下部に取り付けられている。第2の移動機構67はモータ66とボールねじ機構で構成されており、モータ66が作動することでモータの回転シャフト48と連結されたボールねじが回転して、ボールねじに螺合する移動子がY方向に進退移動する。この移動子に第1の駆動機構63が固定されていている。モータ66は角度制御可能なモータであり、モータ66の作動はアライナ制御部53により制御される。
【0078】
上記構成とすることで、ウエハ検出センサ47によってウエハWのノッチ位置とウエハWの中心のずれ量を検出し、ノッチの位置が予め教示されて所定の回転位置移動した場合のウエハWのX-Y方向の位置ずれ量と、このX-Y方向の位置ずれを補正する補正データを算出する。ウエハ台座45の回転によってノッチの位置を予め教示された所定の回転位置に位置決めして、さらに、ウエハWのX方向とY方向の位置ずれを第1の移動機構63と第2の移動機構67を作動させることで補正することができる。また、第1及び第2の実施形態のアライナ8、59aと同様に、ウエハWをウエハ台座45上に載置したフィンガ17a、17bが、水平方向の姿勢を変えることなく本体部61の下方まで移動することができるので、ウエハWの搬送スループットを向上させることが出来る。なお、第2の駆動機構67が動作することでウエハWに外を及ぼす塵埃が発生する可能性があるので、第2の駆動機構67は、第1の駆動機構63と同様に差圧プレート16よりも下方の低圧エリア15に配置されることが望ましい。
【0079】
さらに、電装部60と本体部61とを一体化させて、第1の移動機構63と第2の移動機構67で電装部60と本体部61とを一体的にX方向およびY方向に移動させるように構成してもよい。上記構成とすることで、第2の実施形態のアライナ59aや第3の実施形態のアライナ59bと同様の効果を奏することができる。ただし、ウエハWの位置ずれを補正するためにウエハ台座45を移動させる場合、次のウエハWをウエハ台座45上に載置するときには、第1の移動機構63と第2の移動機構67を作動させて、予め決められた所定の位置にウエハ台座45を移動させておく動作が必要となる。
【0080】
本実施形態のウエハ搬送ロボット7とアライナ8が行う搬送動作は、ウエハWを真空吸着力で保持する吸着式フィンガ17a、17bに限定されることはなく、ウエハWの周縁を把持することでウエハWを保持する所謂クランプ式のフィンガ68でも適用することが出来る。図15は本発明の他の実施形態であるクランプフィンガ68とクランプアライナ69を示す平面図である。本実施形態のクランプフィンガ68はウエハWを保持する保持部78と該保持部78の基端を支持するリスト部79とで構成される。リスト部79の基端は、第2アーム26の先端部に回転軸C3を回転中心として回動自在に取り付けられており、第2アーム26内に備えられるフィンガ駆動モータ30によって回動する。ウエハWを保持する保持部78は、平行に配置された一対のウエハ保持桿70、71と、バネの付勢力によってウエハWの周縁を保持桿70、71の先端の係止部75に押圧して機械的に把持するクランプ部材72とを備えている。
【0081】
また、本実施形態のクランプアライナ69は、ウエハWの周縁をバネ等の付勢力によって機械的に把持するクランプバー73a、73b、73cと、これらとともに図15の紙面の鉛直方向に延在する直線C5(以下。「回転軸C5」と称する)を回転中心として水平面内で回転するウエハ台座74とを備えている。ウエハ搬送ロボット7は、ウエハWをクランプアライナ69との間で受け渡す際、アーム体18を作動させて把持しているウエハWの中心P1がクランプアライナ69のウエハ台座74の回転軸C5と一致する位置までクランプフィンガ68を移動させる。
【0082】
クランプフィンガ68の保持部78が備える一対のウエハ保持桿70、71は、平面視してクランプフィンガ68の回転軸C3とウエハ台座74の回転軸C5とを結ぶ水平面内に延在する直線L4に関して互いに線対称となるようにリスト部79に固定されている。また、ウエハ保持桿70、71それぞれの先端には、クランプ部材72によって押されたウエハWの周縁部を係止する係止部材75が備えられている。クランプ部材72は、平面視して先端が二股に分かれたY字状をしており、この二股に分かれたそれぞれの先端にはウエハWの周縁部と接触するクランプパッド76が備えられている。クランプ部材72はリスト部79内に付勢部材と、クランプ部材72をウエハWに近づく方向または遠ざかる方向に駆動するアクチュエータを備えている。クランプ部材72はアクチュエータによりウエハに近づく方向に移動されたときに、不製部材の付勢力によってウエハWに向かって押し出されてウエハWを把持する。また、アクチュエータがクランプ部材72をウエハWから遠ざける方向に作動することで、クランプ部材72をウエハWに対して後退させてウエハWの把持を解除する。
【0083】
本実施形態のクランプアライナ69におけるウエハWを把持する機構、および把持したウエハWを回転させる機構については公知技術の機構を利用することができる。ウエハ台座74には長さの等しい3本のクランプバー73a、73b、73cが回転軸C5を起点にして放射状に配置されており、このクランプバー73a、73b、73cの各先端にはウエハWを係止する係止部材80が備えられている。また、クランプバー73a、73b、73cは伸縮自在な機構を有しており、クランプフィンガ68からウエハWを受け取る際には、各クランプバー73a、73b、73cは伸長動作して、ウエハWを把持する際には、3本のクランプバー73a、73b、73cがそれぞれ収縮動作することでウエハWの周縁部を各係止部材80で把持する。さらにクランプアライナ69はウエハ検出センサ47を備えており、把持したウエハWを水平面内で回転させてウエハ検出センサ47でウエハWの周縁部に形成されたノッチやオリフラの位置を検出する。なお、本実施形態のクランプアライナ69は、ウエハWの周縁部を3本のクランプバー73a、73b、73cによって均等な把持力で把持するように構成されているので、把持されたウエハWの教示位置における中心P1は、平面視して、ウエハ台座74の回転軸C5と一致する。
【0084】
本実施形態のクランプアライナ69は、クランプフィンガ68からウエハWを受け取るための待機位置にあるときには、第1のクランプバー73aの先端に固定された係止部材80が、クランプフィンガ68が備えるクランプ部材72の二股に分かれた先端部に配置される2つのクランプパッド76の間であって、2つのクランプパッド76に干渉しない位置となるように配置されている。また、第2のクランプバー73bと第3のクランプバー73cは、クランプフィンガ68の一対のウエハ保持桿70、71に接触しない位置に配置されていて、さらに直線L4に関して平面視して対称となるように配置されている。なお、本実施形態のクランプアライナ69が備える各クランプバー73a、73b、73cはそれぞれが均等な角度をもって配置されておらず、例えば、第1のクランプバー73aと第2のクランプバー73bとのなす角度は150°、第2のクランプバー73bと第3のクランプバー73cとのなす角度は60°、第3のクランプバー73cと第1のクランプバー73aとの角度は150°となるように配置されている。なお、各クランプバー73a、73b、73cのなす角度はこれに限定されることはない。また、クランプバー73a、73b、73cの数は3本に限定されることもない。例えば、クランプバー73a、73b、73cは3本以上であって良いし、クランプバー73a、73b、73cを2本にして、ウエハWを把持する係止部材80を3つ以上設ける形態としても良い。
【0085】
また、本実施形態のクランプフィンガ68が備える左右のウエハ保持桿70、71の互いの離間距離D4は、クランプアライナ69のウエハ台座74、及びクランプアライナ69本体の、直線L3に直交する方向である幅方向の寸法D3よりも大きくなるように形成されている。上記構成により、クランプフィンガ68は、クランプアライナ69にウエハWを受け渡した後に、このクランプアライナ69の下方まで鉛直方向に下降移動することが出来る。
【0086】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳しく説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、FOUP2からアライナ8を経由してウエハ処理装置3へとウエハWを搬送する場合について説明したが、ウエハ処理装置3からアライナ8を経由してFOUP2を搬送する場合にも適用可能である。さらに、アライナ8はウエハWの位置ずれ、及びノッチの検出を行う機能以外にも、例えばウエハW上に刻印されたウエハIDを読み取る機能等を種々の機能等、他の検査機能を備える構成としても良い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16