(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/24 20110101AFI20240417BHJP
F24F 1/46 20110101ALI20240417BHJP
【FI】
F24F1/24
F24F1/46
(21)【出願番号】P 2022547325
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(86)【国際出願番号】 JP2020034502
(87)【国際公開番号】W WO2022054233
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】半田 雄一
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/016064(WO,A1)
【文献】特開2010-145054(JP,A)
【文献】特開2013-194959(JP,A)
【文献】特開2008-121966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/20-1/24
F24F 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品箱と、
前記電気部品箱を覆う防水カバーと、
前記電気部品箱を冷却する冷媒冷却ヒートシンクと、を備え、
前記冷媒冷却ヒートシンクは、
前記電気部品箱に接触する本体部と、冷媒が流れる冷媒配管とを有しており、前記本体部の下方から延びている前記冷媒配管が取り付け部材によって前記防水カバーに取り付けられるとともに、前記本体部の上方で折り曲げられている部位で前記冷媒配管が仮止め部材によって仮止めされた状態で前記防水カバーの内面に取り付けられており、
前記電気部品箱は、前記防水カバーに対して所定の位置に取り付けられることによって、前記冷媒冷却ヒートシンクとの相対的な位置が位置決めされている空気調和機の室外機。
【請求項2】
前記電気部品箱は、前記冷媒冷却ヒートシンクが接触する側に、前記冷媒冷却ヒートシンクが接触する接触面と、前記接触面の端部から立ち上がっているとともに前記接触面に向かって傾斜している傾斜面とを有するガイド部が設けられている請求項1記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
前記冷媒冷却ヒートシンクの前記本体部は、直接的には前記防水カバーに固定されていない
請求項1または2記載の空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機の室外機は、電気部品を収容する電気部品箱を備えている。この電気部品箱は、収容されている電気部品が運転時に発熱することから、例えば特許文献1のように、電気部品箱を冷却する冷却器として、冷媒によって冷却する冷媒冷却ヒートシンクを用いることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電気部品箱は、筐体内部への雨水の侵入を防ぐために基本的に上面や側面が塞がれたているとともに、筐体内部にアクセスするための開口が例えば正面に設けられている。そして、電気部品箱は、開口が形成されていない例えば背面を冷媒冷却ヒートシンクと接触させることによって、接触面積を確保して効率的な冷却が行われるように配置される。
【0005】
しかしながら、冷媒冷却ヒートシンクを予め固定した状態で電気部品箱を取り付ける場合には、電気部品箱の位置がずれると冷媒冷却ヒートシンクの固定を一旦外して位置を調整してから付け直す必要があり、作業効率が低下するおそれがある。また、冷媒冷却ヒートシンクを目視可能な場所に設置しなければならなくなり、他の部品も含めて配置が制限されるおそれがある。
そこで、電気部品箱と冷媒冷却ヒートシンクとの位置合わせを容易に行うことができる空気調和機の室外機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の空気調和機の室外機は、電気部品箱と、電気部品箱を覆う防水カバーと、電気部品箱を冷却する冷媒冷却ヒートシンクと、を備え、冷媒冷却ヒートシンクは、電気部品箱に接触する本体部と、冷媒が流れる冷媒配管とを有しており、本体部の下方から延びている冷媒配管が取り付け部材によって防水カバーに取り付けられるとともに、本体部の上方で折り曲げられている部位で冷媒配管が仮止め部材によって仮止めされた状態で防水カバーの内面に取り付けられており、電気部品箱は、防水カバーに対して所定の位置に取り付けられることによって、冷媒冷却ヒートシンクとの相対的な位置が位置決めされている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態における室外機の構成を模式的に示す図
【
図2】電気部品箱と防水カバーの構成を模式的に示す図
【
図3】電気部品箱を防水カバーに収容した状態を模式的に示す図
【
図4】冷媒冷却ヒートシンクの取り付け状態を模式的に示す図
【
図5】電気部品箱と冷媒冷却ヒートシンクとの位置合わせ模式的に示す図
【
図6】第2実施形態における防水カバーの構成を模式的に示す図
【
図8】電気部品箱の上端側の取り付け状態を模式的に示す図
【
図9】第3実施形態における電気部品箱の構成を模式的に示す図
【
図10】能力が異なる場合の電気部品の実装態様を模式的に示す図
【
図11】電気部品箱の組み付け態様を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。また、説明の簡略化のために、各実施形態において共通する部位には同一符号を付すものとする。また、各実施形態は、室内の温度を調整するいわゆる空調に限らず、機器の冷却やショーケースにおける物品の冷却用などの冷凍機のような冷凍サイクル装置が対応可能な用途にも適用することができる。
(第1実施形態)
【0009】
以下、第1実施形態について説明する。
図1に正面図として示すように、本実施形態の空気調和機の室外機1は、その外形が概ね縦長の直方体状に形成されており、電気部品箱2、電気部品箱2を覆っている防水カバー3、冷凍サイクルを構成する各種の配管や部品などがその内部に配置されている。これらの部品は、冷凍サイクルを構成する圧縮機や熱交換器、受液器、アキュムレータ、オイルセパレータ、ファン装置などであり、室外機1の梁や柱あるいは床面などの構造物を利用して配置されている。
【0010】
また、
図1にA-A線での断面視を示す横断下面図として示すように、電気部品箱2および防水カバー3の側面側や背面側には他の部品や配管が配置された状態になっている。つまり、電気部品箱2や防水カバー3は、その周囲に利用可能なスペースが比較的少ない状態で配置されている。なお、
図1では室外機1の内部や電気部品箱2の内部が見える状態で示しているが、運転時には室外機1の正面側および電気部品箱2の正面側は、それぞれパネルによって塞がれている。
【0011】
電気部品箱2は、
図2および
図3に示すように、板金で概ね箱状に形成されている筐体4を有しており、その内部に制御回路や駆動回路などを構成する各種の電気部品が収容されている。本実施形態の場合、電気部品箱2は、正面視における右側が縦方向に相対的に短く、左側が縦方向に相対的に長くなっているとともに、右側の奥行が相対的に長く、左側の奥行が相対的に短い異形の箱状に形成されている。また、本実施形態の電気部品箱2は、下面が開口した状態に形成されている。
【0012】
また、電気部品箱2は、室外機1への組み付け時に利用され、後方に向かって折れ曲がっている爪部5が設けられている。この爪部5は、詳細は後述する第2実施形態で説明するが、室外機1側に設けられている取り付け用の構造部である爪係合孔6に引掛けられることで、電気部品箱2を仮止め状態で吊り下げて支持する。また、爪部5の先端には爪部5と逆方向に屈曲したかえし部7が形成されており、電気部品箱2が前後に揺れた際に引掛けた爪部5が外れるおそれを低減している。
【0013】
また、電気部品箱2の左方側の背面は、伝熱性を有するサブヒートシンク8によって塞がれた状態になっている。このサブヒートシンク8は、詳細は後述する第3実施形態で説明するが、室外機1の能力に応じて取り換えて可能に構成されている。そのため、サブヒートシンク8は、その全体が筐体4に着脱可能であり、室外機1の能力に応じて種類や数が異なる電気部品が配置された状態になっている。
【0014】
また、電気部品箱2は、下端側が解放されていて空気の取入れ口となっているとともに、上端側に空気の吐出口9が設けられている。そのため、運転中に電気部品が発熱した場合には、電気部品箱2内の温められた空気が自然対流によって上方に向かって流れて外部に吐き出される。本実施形態では、電気部品箱2の上面および右側面の上端側に吐出口9が設けられている。
【0015】
そして、電気部品箱2は、その上面、側面および背面が、板金で形成された防水カバー3によって覆われた状態で配置される。本実施形態の場合、防水カバー3は、電気部品箱2の高さよりも長く形成されており、電気部品箱2の上面、側面および背面の全体を覆っているとともに、上面、側面および背面の少なくとも一面において、電気部品箱2との間に隙間が存在した状態で配置されている。
【0016】
このため、もし防水カバー3の内面側に水が侵入したとしても、電気部品箱2に付着したり電気部品箱2内に侵入したりすることが抑制されている。また、防水カバー3には、電気部品箱2内で温められた空気を外部に排出するための排気口10が、例えば右側の背面に設けられている。また、防水カバー3には、
図4に示すように、防水カバー3を室外機1に固定するための複数の固定用取付孔11と、電気部品箱2を取り付ける際に利用される複数の部品箱用取付孔12とが設けられている。なお、
図4に示す固定用取付孔11および部品箱用取付孔12の配置や数は一例である。
【0017】
そして、電気部品箱2は、部品箱用取付孔12を利用して、防水カバー3に対して所定の位置関係で取り付けられる。換言すると、電気部品箱2は、防水カバー3に覆われた状態であって、且つ、防水カバー3との相対位置が位置決めされた状態で、最終的に組み立てられた状態で室外機1の所定の位置に固定される。
【0018】
また、防水カバー3には、電気部品箱2が配置される側となる内面に、サブヒートシンク8と接触可能な位置関係で冷媒冷却ヒートシンク13が取り付けられている。そのため後述するように、電気部品箱2を防水カバー3に対して取り付けることによって、電気部品箱2と冷媒冷却ヒートシンク13との相対的な位置も最終的に位置決めされる。
【0019】
冷媒冷却ヒートシンク13は、
図4に示すように、板状に形成されている本体部13aと、冷媒が流れる冷媒配管13bとにより構成されており、本体部13aが縦長になった状態で防水カバー3に取り付けられている。冷媒配管13bは、本体部13aを縦向きに配置した状態において、本体部13aの下方から本体部13aの裏面を通って本体部13aの上端から突出した後、U字状に折り曲げられて再び本体部13aの背面を通って本体部13aの下方まで延びた状態に配設されている。
【0020】
そして、冷媒冷却ヒートシンク13は、本体部13aの下方から延びている冷媒配管13bを取り付け部材14aによって防水カバー3に取り付けられるとともに、本体部13aの上方で折り曲げられている部位で冷媒配管13bを樹脂製の結束バンドである仮止め部材14bによって仮止めされた状態で防水カバー3に取り付けられている。冷媒冷却ヒートシンク13の下方に位置する取り付け部材14aは、冷媒配管13bを保持するゴム製の保持部材14a1と保持部材の外周に巻き付けられる金属製の結束バンド14a2により構成され、結束バンドがねじ14a3で防水カバー3に取り付けられている。一方、冷媒冷却ヒートシンク13の上方に位置する仮止め部材14bは、防水カバー3に設けられた取り付け部14cと冷媒配管13bとを一緒に結束している。そのため、本体部13aは、防水カバー3に取り付けられている状態では、冷媒配管13bや取り付け部材14aのゴムの弾性の範囲内で若干の傾きや移動が許容されている。
【0021】
この本体部13aには、長手方向に沿って幅方向の中央部分に複数のねじ穴13cが設けられている。そして、本体部13aは、電気部品箱2を防水カバー3に取り付けた際、電気部品箱2の内部からサブヒートシンク8を通してねじ止めされることによって電気部品箱2に対して固定される。換言すると、冷媒冷却ヒートシンク13の本体部13aは、防水カバー3には直接的には固定されていない状態となっている。
【0022】
また、本体部13aは、
図5に示すように、サブヒートシンク8と接触する平坦な平坦部13dが設けられているとともに、その平坦部13dの幅方向の両端に、平坦部13dから電気部品箱2側とは逆側に傾斜する面取り部13eが設けられている。なお、冷媒配管13bは、平坦部13dとは逆側において長手方向に設けられた溝13fに嵌め込まれることで本体部13aに固定されている。この本体部13aは、
図5に示すように、電気部品箱2を組み付けた際には、サブヒートシンク8に設けられているガイド部15と接触する。
【0023】
ガイド部15は、本実施形態ではサブヒートシンク8の背面に設けられており、冷媒冷却ヒートシンク13が接触する接触面15aと、接触面15aの端部から立ち上がっているとともに接触面15aに向かって傾斜している傾斜面15bとを有している。この傾斜面15bは、冷媒冷却ヒートシンク13の面取り部13eと所定の精度範囲内で傾斜角が一致する形状に形成されており、平坦部13dが接触面15aに接触した状態において、面取り部13eも傾斜面15bに接触した状態になる。これにより、冷媒冷却ヒートシンク13との接触面積をより多く確保することができる。
【0024】
ところで、電気部品箱2は、上記したように冷媒冷却ヒートシンク13と接触する背面側がサブヒートシンク8によって塞がれた状態になっている。そのため、電気部品箱2を防水カバー3に取り付ける際には、正面側から冷媒冷却ヒートシンク13を目視することが難しい。そして、冷媒冷却ヒートシンク13との位置関係が適切に位置決めされなければ、サブヒートシンク8との接触面積を確保できずに冷却効率が低下するおそれがある。
【0025】
しかし、現実的な面から言えば、室外機1は比較的大型であることから、電気部品箱2の筐体4や防水カバー3をいわゆる遊びを設けなくても位置決めできる精度を確保することは容易ではない。そのため、単に電気部品箱2を組み付けることによってそれらの位置関係を精度よく位置決めすることは困難である。その一方で、冷媒冷却ヒートシンク13を予め固定した状態とし、それに対して電気部品箱2を位置決めしながら取り付けるようとすると、電気部品箱2がずれた場合には冷媒冷却ヒートシンク13の固定を一旦外し、位置を調整してから付け直すことなどが必要となって作業効率が低下してしまうおそれがある。
【0026】
さらに、冷媒冷却ヒートシンク13を固定しない構造で電気部品箱2を取り付けるようとすると、上記したように冷媒冷却ヒートシンク13を目視することが難しく、取り付けに手間取るなど作業効率が低下するおそれがある。また、冷媒冷却ヒートシンク13を目視可能にしたり後から固定可能にしたりするためのスペースが必要となり、他の部品の配置が制限されるおそれがある。
【0027】
そこで、本実施形態では、冷媒冷却ヒートシンク13の本体部13aに面取り部13eを設けるとともに、電気部品箱2の背面つまりは本体部13aと接触する部位にガイド部15を設けている。これにより、
図5に取り付け前状態および取り付け後状態として示すように、電気部品箱2を取り付ける前の状態において、仮想線CL1として示す冷媒冷却ヒートシンク13の中心位置と、仮想線CL2として示すガイド部15の中心位置とが図示左右方向に若干ずれていたとしても、仮想線CL3として示すように部品箱用取付孔12に合わせて電気部品箱2を取り付けることによって、本体部13aは、傾斜面15bを傾斜して接触面15a側に案内される。
【0028】
そして、本体部13aは、下端側から順番にねじ止めしていくことによって、その傾きが矯正されつつ、接触面15aに密に接触した状態でガイド部15と所定の位置関係で固定される。これにより、本体部13aとガイド部15との位置関係、つまりは、電気部品箱2と冷媒冷却ヒートシンク13との相対位置が位置決めされる。この場合、サブヒートシンク8に設けられるねじを通すための孔を縦長の長孔あるいはねじよりも大きい径とすることにより、本体部13aとの高さ方向のずれを吸収することができる。
【0029】
このように、電気部品箱2を防水カバー3に取り付けることによって電気部品箱2と冷媒冷却ヒートシンク13とが位置決めされ、冷媒冷却ヒートシンク13の本体部13aをねじ止めすることによって電気部品箱2と冷媒冷却ヒートシンク13とが厳密に位置決めされる。つまり、防水カバー3を設け、その防水カバー3に冷媒冷却ヒートシンク13を取り付けることによって、冷媒冷却ヒートシンク13と電気部品箱2との位置関係を位置決めすることができる。
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0030】
実施形態の空気調和機の室外機1は、箱状に形成されている電気部品箱2と、電気部品箱2を覆う防水カバー3と、電気部品箱2の背面と接触する冷媒冷却ヒートシンク13とを備えている。そして、冷媒冷却ヒートシンク13は、防水カバー3の内面に取り付けられており、電気部品箱2は、防水カバー3に対して所定の位置に取り付けられることによって、冷媒冷却ヒートシンク13との相対的な位置が位置決めされている。
【0031】
このように、冷媒冷却ヒートシンク13を防水カバー3に取り付け、その防水カバー3に電気部品箱2を取り付けることにより、冷媒冷却ヒートシンク13が直接的には目視することが困難な場合に設けられていたとしても、電気部品箱2と冷媒冷却ヒートシンク13との相対的な位置を位置決めすることができる。
【0032】
また、電気部品箱2は、冷媒冷却ヒートシンク13が接触する側に、冷媒冷却ヒートシンク13が接触する接触面15aと、接触面15aの端部から立ち上がっているとともに接触面15aに向かって傾斜している傾斜面15bとを有するガイド部15が設けられている。
【0033】
これにより、電気部品箱2を防水カバー3に取り付ける際、ガイド部15によって冷媒冷却ヒートシンク13が接触面15a側に案内され、適切な位置つまりは接触面15aで接触するようになり、冷却効率を確保することができる。
【0034】
また、本実施形態の冷媒冷却ヒートシンク13は、板状に形成されていて、接触面15aと接触する平坦部13dと、平坦部13dの幅方向の両端に設けられている面取り部13eとを有している。これにより、本体部13aがガイド部15によって案内されやすくなる。このとき、面取り部13eの傾斜をガイド部15の傾斜面15bと概ね一致させていることから、面取り部13eと傾斜面15bとにおいても接触することになり、冷却効率を向上させることができる。
【0035】
また、冷媒冷却ヒートシンク13は、電気部品箱2に接触する本体部13aと、冷媒が流れる冷媒配管13bとを有している。そして、取り付け部材14aによって冷媒配管13bを防水カバー3に固定することによって取り付けられている。これにより、冷媒冷却ヒートシンク13を防水カバー3の所定の位置に取り付けることができ、電気部品箱2との位置関係を適切なものとすることができる。
【0036】
このとき、本実施形態のように本体部13aにねじ穴を設けて電気部品箱2の内部からねじ止めすることにより、本体部13aの位置が若干ずれていたり、本体部13aが若干傾いていたりする場合であっても、本体部13aの位置ずれや傾きを矯正しながら適切な位置に配置することができる。
【0037】
また、冷媒冷却ヒートシンク13の本体部13aは、直接的には防水カバー3に固定されていない構造となっている。これにより、運転時における圧縮機等からの振動が電気部品箱2に伝達されることを抑制することができる。
【0038】
また、電気部品箱2は、防水カバー3の内面との間に隙間が存在する状態で覆われている。これにより、仮に防水カバー3の内面に水が侵入した場合であっても、電気部品箱2に侵入することを抑制することができる。
(第2実施形態)
【0039】
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、防水カバー3の構造の詳細について説明する。防水カバー3は、第1実施形態で説明したように、箱状に形成されている電気部品箱2の上面、側面および背面を覆うことにより、電気部品箱2を水の侵入から保護している。
【0040】
このとき、電気部品箱2や防水カバー3の周囲には、第1実施形態で説明したようにその側面側や背面側に他の部品や配管が配置されている。そして、電気部品箱2は冷媒冷却ヒートシンク13と接触する状態で配置する必要があることから、防水カバー3を配置する場合には、防水カバー3を、冷媒冷却ヒートシンク13と他の部品や配管との間に設置する必要がある。
【0041】
しかし、防水カバー3は、
図2に示したように、正面側が開口しているものの電気部品箱2を収容可能な形状に形成されていることから、その形状のままでは、冷媒冷却ヒートシンク13と他の部品との間に配置することが困難である。また、防水カバー3が電気部品箱2を収容可能な形状になっている場合、冷媒冷却ヒートシンク13の上方、左方および右方を遮っているため、防水カバー3を設置した後に冷媒冷却ヒートシンク13を取り付けることも困難である。
【0042】
そこで、本実施形態の防水カバー3は、
図6に組み立て前状態として示すように、電気部品箱2の上面を覆う天板3aと、電気部品箱2の左側面から背面の一部までを覆う左側板3bと、電気部品箱2の右側面から背面の一部までを覆う右側板3cとにより構成されている。すなわち、防水カバー3は、分割して組み立て可能になっている。このとき、各板は、いずれも板金により形成されている。
【0043】
そして、防水カバー3を室外機1に組み付ける際には、まず天板3aと左側板3bとを予め組み立てた状態、つまりは、防水カバー3の右側部分が解放されている状態で、
図7に左側組み立て状態として示すように、左側板3bを冷媒冷却ヒートシンク13と他の部品との間に差し込みながら取り付けて固定する。その後、
図7に右側組み立て状態として示すように、右側板3cを天板3aと左側板3bに固定する。これにより、冷媒冷却ヒートシンク13と他の部品との間に左側板3bを配置した状態で、防水カバー3を容易に組み立てることができる。
【0044】
さて、防水カバー3は、天板3aの側面側および背面側の端部が下方に折り曲げられており、左側板3bおよび右側板3cを組み付けた状態において、左側板3bおよび右側板3cの上端が天板3aによって外から覆われた状態になる。また、天板3aは、背面に向かって傾斜しており、天板3aに滴下した水が背面側に流れるようになっている。これにより、水が天板3aに滴下したとしても、開口が設けられている正面側に流下することが抑制されている。
【0045】
また、本実施形態では右側板3cの上端側に排気口10が設けられているが、その排気口10は、
図8に断面視にて示すように、天板3aの背面側の端部を排気口10から離間した位置で下方に折り曲げることにより、排気口10との間に隙間を介した状態で外側から覆われている。これにより、防水カバー3内からの排気を可能にしつつ、排気口10から水が侵入することを抑制している。
【0046】
また、防水カバー3を室外機1に固定するための固定用取付孔11、および、左側板3bと右側板3cとを固定するための左右取付孔は、いずれも正面側からねじ止め可能な位置に設けられている。これにより、防水カバー3を室外機1に固定するとき、および、分割した状態で組み込んだ後に右側板3cを固定するときには、正面側からねじ止め作業をすることができ、作業性を大きく高めることができる。
【0047】
この場合、固定用取付孔11は、取り付ける位置や部位に応じて、ねじを通すための穴とすることができるし、ねじ溝が形成されたいわゆるねじ穴とすることもできる。例えば本実施形態の場合であれば、天板3aを固定するための固定用取付孔11はねじ穴で形成されており、左側板3bおよび右側板3cを固定するための固定用取付孔11はねじを通すための穴で形成されている。
【0048】
そして、固定用取付孔11は、天板3a、左側板3bおよび右側板3cについて、それぞれの前端をフランジ状に折り曲げて形成したシール構造部位に設けられている。例えば、天板3aであれば、
図8に示すように、天板3aの前端が上方に折り曲げられてシール構造部位となり、その部位で構造物としての梁16に取り付けられているアングル部材17に裏面側から固定されている。なお、固定そのものは正面側から行うことができる。このようにシール構造部位に固定用取付孔11を設けたことにより、各板の表面と裏面に貫通した固定用取付孔11を設けた場合であっても、水が防水カバー3の内面に侵入することを抑制できる。
【0049】
同様に、左側板3bおよび右側板3cもシール構造部位において室外機1の構造物に固定されている。さらに、左側板3bおよび右側板3cについては、背面側において互いの端部が重なる状態で組み立てられ、互いに重なり合っている部分でねじ止めされる。これにより、左側板3bおよび右側板3cとの間から水が侵入することを抑制できる。つまり、左側板3bおよび右側板3cが互いに重なり合っている部位がシール構造部位となって水の侵入を抑制している。
【0050】
ところで、本実施形態では、作業性を高めるために、電気部品箱2も正面側からねじ止め固定可能になっている。その場合、ねじを通す孔部やねじ穴に水がしみ込むおそれがある。そこで、電気部品箱2は、電気部品箱2の上面と天板3aとの間に形成されるダクト部18に上端側を固定するための孔部が設けられて例えばねじやボルトのような固定具25によって固定されている。このダクト部18は、電気部品箱2の吐出口9から吐き出された空気が防水カバー3の排気口10まで流れる部位である。
【0051】
このとき、ダクト部18の天井を形成する天板3aは、その前端が上方に折り曲げられてシール構造部位となっているとともに、背面に向かって傾斜して設けられている。そのため、仮に天板3aに水が滴下したとしても、水が正面側に流れることが抑制されている。このように、電気部品箱2の上端側を固定する位置を、電気部品箱2の外側であって、且つ、その上方が天板3aによって覆われている位置としたことにより、電気部品箱2内への水の侵入を抑制することができる。
【0052】
また、電気部品箱2の上面に設けられている吐出口9は、上面から上方に突出した態様で設けられていることから、電気部品箱2の上面に万が一水が侵入したとしても吐出口9から電気部品箱2内に侵入することが抑制されている。また、防水カバー3に設けられている排気口10は、その外側から、且つ、離間して隙間が存在する状態で、天板3aの背面側の端部を下方に折り曲げた庇部によって覆われている。これにより、電気部品の発熱によって温められた空気が防水カバー3内に滞留してしまうことを抑制できるとともに、排気口10から水が侵入することも抑制できる。
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0053】
室外機1は、箱状に形成されている電気部品箱2と、電気部品箱2覆う防水カバー3と、を備えている。そして、防水カバー3は、電気部品箱2の上面を覆う天板3aと、電気部品箱2の左側面から背面の一部までを覆う左側板3bと、電気部品箱2の右側面から背面の一部までを覆う右側板3cとにより構成されており、分割して組み立て可能になっている。
【0054】
これにより、電気部品箱2を覆う態様で配置される防水カバー3を設ける場合において、防水カバー3を各板に分解して組み付けることが可能となり、周囲に例えば冷凍サイクルを構成する他の部品が配置されているような場所であっても、防水カバー3を容易に組み付けることができる。
【0055】
また、防水カバー3の天板3a、左側板3bおよび右側板3cは、個別に室外機1に取り付け可能である。これにより、防水カバー3を取り付ける際に利用できるスペースなどに鑑みて、また、作業性に鑑みて適切な組み立て手順を採用することができる。例えば、実施形態で例示したように天板3aと左側板3bとを予め組み立てた後に室外機1に取り付けることができるし、天板3aを先に取り付けて、その後に左側板3bや右側板3cを取り付けるなど、作業しやすい手順で取り付けおよび組み立てをすることができる。
【0056】
また、防水カバー3の左側板3bおよび右側板3cは、背面側において互いの端部が重なる状態で組み立てられる。防水カバー3は、分割構造としたことによって、一体構成の場合とは異なり各板の間に隙間が生じるものの、互いの端部が重なる状態に組み立て可能としたことにより、左側板3bと右側板3cとの間をシールすることができ、防水カバー3の内側に水が侵入することを抑制できる。このとき、実施形態のように天板3aの端部を折り曲げて左側板3bと右側板3cの上端を覆うことにより、上方からの水の侵入を抑制することもできる。
【0057】
また、電気部品箱2と防水カバー3との間には、電気部品箱2から吐き出された空気が流れるダクト部18が形成されており、防水カバー3を室外機1に取り付けるためのねじ位置をダクト部18内に設定している。これにより、電気部品箱2を正面側からねじ止めする構造を採用した場合であっても、電気部品箱2内への水の侵入を抑制することができるとともに、正面側からねじ止め可能であることから組み付けの作業性を大きく向上させることができる。
【0058】
また、左側板3bまたは右側板3cのうち少なくとも一方には、上端側に排気口10が設けられており、その排気口10は、天板3aの端部を下方に折り曲げて形成されている庇部によって、隙間を介した状態で外側から覆われている。防水カバー3内の排熱と、排気口10からの水の侵入とを抑制することができる。
(第3実施形態)
【0059】
以下、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、電気部品箱2の詳細について説明する。室外機1は、例えば同一外形で冷房能力が異なっている場合、内部の部品を交換した一連の製品群としてシリーズ化されていることがある。その場合、要求される能力や、その能力において必要とされるファン装置の数などに応じて、電気部品箱2に収容される電気部品の数や種類が異なることになる。また、要求される能力やその能力で必要とされるファン装置の数などに応じて、電気部品が実装される位置も異なることがある。
【0060】
そのため、従来では、水の侵入を抑制するために不要な孔部を設けないようにする必要があることから、シリーズ化されている場合であっても、その都度必要とされる電気部品だけを実装した個別設計となっていた。その結果、シリーズ化された製品であっても部品点数や板金用の金型などの増加を招いていた。そして、製品ラインナップを充実させようとするほど、その状況が顕著になっていた。
【0061】
その一方で、電気部品箱2に、部品を取り付けるための部品取付孔を予め多数設けた共通設計とすることは望ましくない。これは、実装される電気部品にはある程度の重量を有するものがあったり、電気部品を確実に固定するためには貫通孔とする必要があったりするため、共通設計にすると製品によっては必要ない穴が形成されて水が侵入し易くなってしまうためである。
【0062】
つまり、電気部品箱2の部品や金型の共用化を図るためには、空気調和機の能力に応じて異なる部品取付孔が必要になるという、共用設計とは相反する問題を解決する必要がある。そこで、本実施形態では、以下のようにして、同一外形の製品群としてシリーズ化されている室外機1において、電気部品箱2に必要になる部品や金型の共用化を図っている。
【0063】
室外機1の場合、その機械的な構造については共通化されていると考えることができる。つまり、室外機1には、最大能力時に必要とされる電気部品を収容可能な電気部品箱2を配置できるだけのスペースが確保されていると考えることができる。換言すると、電気部品箱2の筐体4の大きさは、能力にかかわらず同じサイズとすることができると考えられる。
【0064】
また、電気部品箱2に収容される電気部品には、空気調和機の能力にかかわらず共通する共通部品と、空気調和機の能力に応じて異なる固有部品とが存在すると考えられる。例えば、制御回路やノイズフィルタ回路、外部インターフェース回路、サーミスタ回路、マグネットスイッチ回路あるいはそれらを実装した基板は、空気調和機の能力にかかわらず共通して利用されると考えられる。
【0065】
一方、例えばファン装置の駆動回路やコンプレッサの駆動回路、レクチファイア回路あるいはそれらを実装した基板は、空気調和機の能力に応じて種類や数が異なるものが利用されると考えられる。そのため、空気調和機の能力に応じて固有部品を取り換え可能にすることができれば、筐体4の共通化を図ることができると考えられる。
【0066】
そこで、本実施形態では、電気部品箱2の筐体4を、
図9に分解斜視図として示すように、板金によって形成されていて、電気部品箱2の上面を形成する上面板4a、電気部品箱2の左側面から背面の一部までを形成する左側面板4b、および、電気部品箱2の右側面から背面の一部までを形成する右側面板4cにより形成している。以下、便宜的に、電気部品箱2の内部空間において、左側面板4bに囲まれている空間を左側の内部空間、右側面板4cに囲まれている空間を右側の内部空間と称する。
【0067】
上面板4aは、
図3における電気部品箱2の上面の全域を覆う大きさに形成されている外板4a1と、その外板4a1の内側に配置され、
図3における概ね図示下半分程度を覆う大きさに形成されている内板4a2とにより形成された二重構造となっている。外板4a1には、幅方向の概ね中央に位置して上面から上方に突出した態様で外側開口4a3が設けられており、内板4a2には、外側開口4a3からずれた位置であって、左側の内部空間の上方と、右側の内部空間の上方にそれぞれ位置して上面から上方に突出した態様で2つの内側開口4a4が設けられている。これら外側開口4a3および内側開口4a4は、電気部品箱2の内部からの空気が吐き出される吐出口9を形成している。
【0068】
また、本実施形態の場合、右側の内部空間の内側開口4a4は、内部空間を前後に仕切る態様の基板取付板19よりも前方に位置して設けられており、その基板取付板19よりも後方側においては、側面側に吐出口9が設けられている。これにより、右側の内部空間を仕切るように基板取付板19を設けた場合であっても、内部空間の空気を全体的に、且つ、効率的に吐き出すことができる。
【0069】
右側面板4cは、相対的に奥行が大きい右側の内部空間を囲いながら、背面側において左側面板4bまで到達する形状に形成されており、本実施形態では右側面の上端側に吐出口9が設けられている。また、右側面板4cの前端側は外側に折り曲げられたシール構造部位となっており、そのシール構造部位に部品箱取付孔4eが形成されている。そのため、シール構造部位を貫通する部品箱取付孔4eを設けたとしても、電気部品箱2の側面に水滴が付着した際に前方に回り込んで電気部品箱2内に侵入することが抑制されている。なお、図示は省略するが、左側面板4bも同様の構造となっている。
【0070】
左側面板4bは、左側の内部空間を囲いながら右側面板4cまで到達する形状に形成されており、背面側において右側面板4cに接続される。このとき、左側面板4bは、右側面板4cの左側面板4b側の前端を外側に折り曲げたシール構造部位で接続される。そのため、左側面板4bと右側面板4cとの接続箇所から雨水が電気部品箱2内に侵入することが抑制されている。
【0071】
また、左側面板4bは、その背面側が、大きな開口部分20を有する枠状に形成されており、その枠部分に、開口部分20を塞ぐ態様でサブヒートシンク8が着脱可能に固定されている。このサブヒートシンク8は、板状に形成されており、左側面板4bに固定するための複数の固定用孔部21と、空気調和機の能力に応じて異なる電気部品を取り付けるための複数の実装用孔部22とが設けられている。なお、図示している固定用孔部21および実装用孔部22の位置や数は一例である。
【0072】
このとき、左側面板4bの固定用孔部21は、空気調和機の能力にかかわらず共通する位置に設けられている。つまり、左側面板4bは、筐体4の大きさを変えることなく、異なる電気部品が実装された他のサブヒートシンク8を取り付け可能となっている。これにより、電気部品箱2は、空気調和機の能力に応じたサブヒートシンク8を選択して取り付け可能となり、筐体4の共通化が可能になる。
【0073】
また、サブヒートシンク8には、空気調和機の能力に応じて必要になる電気部品を実装する位置に実装用孔部22が設けられている。換言すると、サブヒートシンク8は、ある能力で必要とされる電気部品を実装するための実装用孔部22がそれぞれ固有の位置に形成されているとともに、その能力において不要な孔部は設けられていない構造となっている。
【0074】
そして、上記した固有部品をサブヒートシンク8に実装することにより、
図10に高出力側型および中出力型として示すように、筐体4の大きさや構造は共通化しつつ、サブヒートシンク8ごと電気部品や回路基板を取り換えることによって、空気調和機の能力に応じた電気部品を配置することができる。なお、高出力型あるいは中出力型とは、シリーズ化されているものにおいて相対的機に出力が高いものと相対的に出力が低いものを意味している。
【0075】
また、サブヒートシンク8は、主として固有部品が実装されるものの、共通部品を実装することもできる。つまり、サブヒートシンク8は、必ずしも固有部品だけが実装されるとは限らない。例えば、
図10の例であれば、高出力型の室外機1にはファン装置が2つ設けられるため2つの駆動回路基板が実装されている一方、低出力型のものであればファン装置が1つの場合があり、その場合には1つの駆動回路基板が実装される。そのため、1つのファン装置は能力にかかわらず利用されるため共通部品と言えるものの、本実施形態ではそれをサブヒートシンク8に実装している。
【0076】
本実施形態では、サブヒートシンク8の背面に前述したガイド部15が設けられており、電気部品箱2が収容された状態において、冷媒冷却ヒートシンク13と接触する。そのため、サブヒートシンク8に実装される電気部品のうち、相対的に発熱量が大きい部品は、冷媒冷却ヒートシンク13に沿って縦に並んで配置されている。これにより、電気部品を効率的に冷却することが可能となり、電気部品箱2内の温度上昇を抑制することができる。
【0077】
なお、空気調和機の能力に応じて異なる種類のものはサブヒートシンク8に実装したり、例えば発熱量が大きい電気部品は冷媒冷却ヒートシンク13によって冷却可能なサブヒートシンク8に実装したりするなど、共通部品と固有部品をいずれに実装するかは適宜設計することができる。
【0078】
このように、本実施形態の電気部品箱2は、空気調和機の能力に応じたサブヒートシンク8をその都度取りつければよく、筐体4の共通化が可能になるとともに、不要な孔部を設けることなく異なる種類や数の電気部品を収容することができるようになる。
【0079】
ところで、このような電気部品箱2は、防水カバー3によって覆われる状態に配置される。その場合、電気部品箱2は、
図11に示すように、爪部5を爪係合孔6に引掛けて上端側で吊り下げた状態にして、下端側を後方に押し込むことにより、室外機1に組み付けられる。このとき、電気部品箱2は、上記したように冷媒冷却ヒートシンク13や防水カバー3との位置合わせを行う必要があるものの、上端側を吊り下げた状態では、かえし部7によって外れてしまうおそれが低減されているとしても、電気部品箱2が前後に揺れて作業性が悪化したり作業者の安全性が低下したりするおそれがある。
【0080】
そこで、本実施形態の電気部品箱2には、その側面に、上下方向に延びて形成されていて、側面から外向きに突出している箱側凸部23が設けられているとともに、防水カバー3には、上下方向に延びて形成されていて内面から内向き、つまりは、電気部品箱2側に突出しているカバー側凸部24が設けられている。各凸部は、板金で形成されている電気部品箱2の左側面板4bや防水カバー3の左側板3bを絞り加工することにより、追加部品を必要とすることなく設けられている。
【0081】
また、各凸部は、電気部品箱2や防水カバー3の上端および下端までは伸びておらず、また、前端および後端にも繋がらない状態で配置されている。つまり、各凸部は、それぞれが形成されている面の縁から離間した位置に設けられている。これにより、各凸部、より厳密に言えば、各凸部が設けられている面が、以下に説明する様に電気部品箱2を押し込む際に撓みが生じるようになる。
【0082】
そして、
図12に押し込み前および押し込み後として示すように、電気部品箱2を防水カバー3に押し込む際に箱側凸部23がカバー側凸部24を乗り越えることによって、電気部品箱2は、前方への移動が抑制される。そして、この状態で仮固定することにより、電気部品箱2が前後に揺れることが抑制され、作業性が悪化したり作業者の安全性が低下したりするおそれを低減することができる。なお、第1実施形態や第2実施形態の構成において箱側凸部23やカバー側凸部24を設ける構成とすることができる。
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0083】
室外機1は、電気部品箱2と、電気部品箱2を冷却する冷媒冷却ヒートシンク13とを備えている。そして、電気部品箱2は、筐体4と、空気調和機の能力にかかわらず共通する共通部品と、空気調和機の能力に応じて異なる固有部品と、板状に形成されていて固有部品が配置されるサブヒートシンク8とを有している。
【0084】
このサブヒートシンク8は、筐体4に取り付けるための孔部が空気調和機能力の能力にかかわらず共通する位置に形成されている一方、固有部品を配置するための孔部が空気調和機能力の能力に応じて固有の位置に形成され、空気調和機の能力に応じて変更されるものであり、筐体4は、その一面に開口部分20が形成されていて、サブヒートシンク8を取り付けることによって開口部分20が塞がれるとともに固有部品が電気部品箱2の内部に位置した状態になり、空気調和機能力の能力にかかわらず共用可能になっている。
【0085】
これにより、筐体4そのものは変更することなく、空気調和機の能力に応じた電気部品を実装したサブヒートシンク8をその都度取りかえればよいことになり、筐体4の共通化が可能になるとともに、不要な孔部を設けることなく異なる種類や数の電気部品を収容することができる。
【0086】
また、サブヒートシンク8は、冷媒冷却ヒートシンク13と接触する状態に設けられており、電気部品のうち相対的に発熱量が大きい部品が冷媒冷却ヒートシンク13に沿って配置されている。これにより、電気部品を効率的に冷却することが可能となり、電気部品箱2内の温度上昇を抑制することができる。
【0087】
また、室外機1は、電気部品箱2と、電気部品箱2の上面、側面および背面を覆う態様で当該電気部品箱2を収容する防水カバー3とを備えている。この電気部品箱2は、その上端側に、室外機1の構造部に引掛ける爪部5が設けられているとともに、その側面に、上下方向に延びて形成されていて側面から外向きに突出している箱側凸部23が設けられている。また、防水カバー3は、その側面に、上下方向に延びて形成されていて側面から内向きに突出しているカバー側凸部24を有している。
【0088】
そして、電気部品箱2は、爪部5を室外機1の構造部に引掛けた状態で正面側から防水カバー3内に配置されており、防水カバー3内に配置される際、箱側凸部23がカバー側凸部24を乗り越えることによって前後方向への移動が抑制された状態で仮固定される。
【0089】
これにより、電気部品箱2を防水カバー3に押し込む際、箱側凸部23がカバー側凸部24を乗り越えることによって、電気部品箱2は、前方への移動が抑制され、その状態で仮固定することにより、電気部品箱2が前後に揺れることが抑制され、作業性が悪化したり作業者の安全性が低下したりするおそれを低減することができる。
【0090】
また、箱側凸部23、および、カバー側凸部24は、側面を形成する部材を絞り加工することによりそれぞれ形成されている。これにより、追加部品を必要とすることなく、電気部品箱2の仮止め構造を設けられている。この場合、各凸部を、それぞれが形成されている面の縁から離間した位置に設けることにより、各凸部、より厳密に言えば、各凸部が設けられている面に撓みが生じることで、過度に力を加えなくても容易に電気部品箱2を仮止め位置に配置することができる。
【0091】
以上、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、各実施形態で例示した構成は、適宜組み合わせることができる。