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特許7474359骨の位置付けおよび調整ガイドシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】骨の位置付けおよび調整ガイドシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/90 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
A61B17/90
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023000500
(22)【出願日】2023-01-05
(62)【分割の表示】P 2021100993の分割
【原出願日】2016-08-12
(65)【公開番号】P2023036944
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】62/205,338
(32)【優先日】2015-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/981,335
(32)【優先日】2015-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517238835
【氏名又は名称】トリース メディカル コンセプツ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ディー.サントロック
(72)【発明者】
【氏名】ポール デイトン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジェイ.ハッチ
(72)【発明者】
【氏名】ダブリュ.ブレット スミス
(72)【発明者】
【氏名】エフ.バリー ベイズ
(72)【発明者】
【氏名】カルロス エドゥアルド ギル
(72)【発明者】
【氏名】ショーン エフ.スカンラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョー ウィリアム ファーガソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ティー.トリース
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-509143(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0077656(US,A1)
【文献】米国特許第05601565(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/15、17/68、17/88-17/90
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中足骨矯正システムであって、
本体を備える骨調整ガイドであって、前記本体は、骨の端部上に位置付けされるように構成されたガイド面を画定し、前記ガイド面は、前記骨の前記端部を切断するための組織除去器具をガイドするように構成され、前記骨は、第1中足骨及び内側楔状骨のうちの少なくとも一方である、骨調整ガイドと、
前記第1中足骨の内側上及び前記第1中足骨以外の中足骨の外側上に位置付け可能な骨位置付けガイドであって、前記第1中足骨と第2中足骨との間の中足骨間角度を閉じるために、前記第1中足骨を少なくとも横断面内において移動させるように作動可能な機構を備える、骨位置付けガイドと、
前記第1中足骨を前記内側楔状骨から分離する足根中足関節を横切るよう位置付け可能な少なくとも1つの固定デバイスであって、癒合のための前記内側楔状骨に対する前記第1中足骨の移動済み位置を固定するように構成されている、少なくとも1つの固定デバイスと、
を備える、中足骨矯正システム。
【請求項2】
前記機構は、ラチェット及びネジ付きシャフトのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の中足骨矯正システム。
【請求項3】
前記骨位置付けガイドは、前記第1中足骨の内側に位置付け可能な骨係合部材と、前記第1中足骨以外の中足骨の外側に位置付け可能な先端部と、を備え、前記機構は、前記骨係合部材と前先端部とを互いに向かって移動させるよう作動可能である、請求項1に記載の中足骨矯正システム。
【請求項4】
前記骨係合部材は、前記骨係合部材を前記第1中足骨に対し固定するために固定ワイヤを受け取るように構成された挿管を備える、請求項3に記載の中足骨矯正システム。
【請求項5】
前記第1中足骨以外の中足骨は、第2中足骨である、請求項1に記載の中足骨矯正システム。
【請求項6】
前記骨位置付けガイドは、前記第1中足骨の背側表面を横切りかつ前記第2中足骨の背側表面を横切る内側-外側方向に拡がるように構成されている、請求項5に記載の中足骨矯正システム。
【請求項7】
前記ガイド面は第1ガイド面及び第2ガイド面を備え、前記第1ガイド面は前記第1中足骨上に位置付けされるように構成され、前記第2ガイド面は前記内側楔状骨上に位置付けされるように構成され、前記第1ガイド面及び第2ガイド面は、前記足根中足関節を横切るように構成された距離だけ互いに離間される、請求項1に記載の中足骨矯正システム。
【請求項8】
前記本体は、前記第1中足骨上に位置付けされるように構成された第1端部から、前記内側楔状骨上に位置付けされるように構成された第2端部まで、延びるように構成され、前記本体は、前記本体を前記第1中足骨に固定するための固定ピンを受け取るように構成された第1固定開口部と、前記本体を前記内側楔状骨に固定するための固定ピンを受け取るように構成された第2固定開口部と、を含む、請求項1に記載の中足骨矯正システム。
【請求項9】
前記骨調整ガイドは、ガイドスロットを画定するために前記ガイド面から離間した対向面を更に備える、請求項1に記載の中足骨矯正システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの固定デバイスは、ピン、ネジ、プレート、及び、ステープルのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の中足骨矯正システム。
【請求項11】
少なくとも前記骨調整ガイド及び前記骨位置付けガイドを含む滅菌キットを更に備える、請求項1に記載の中足骨矯正システム。
【請求項12】
中足骨矯正システムであって、
第1中足骨の近位端及び内側楔状骨の遠位端のうちの少なくとも一方を切断するための組織除去器具をガイドするための手段であって、前記第1中足骨の近位端は、前記内側楔状骨の遠位端から足根中足関節によって分離されている、手段と、
前記第1中足骨と第2中足骨との間の中足骨間角度を閉じるために、前記第1中足骨を少なくとも横断面内において移動させるための手段と、
前記第1中足骨の前額面位置を調整するために、前記第1中足骨を少なくとも前額面内において移動させるための手段と、
前記内側楔状骨に対する前記第1中足骨の移動済み位置を固定するための手段と、
を備える、中足骨矯正システム。
【請求項13】
前記組織除去器具をガイドするための前記手段は、前記第1中足骨の近位端及び前記内側楔状骨の遠位端の両方を切断するための前記組織除去器具をガイドするための手段を備える、請求項12に記載の中足骨矯正システム。
【請求項14】
前記第1中足骨を少なくとも前記横断面内において移動させるための前記手段は、前記第1中足骨を少なくとも前記前額面内において移動させるための前記手段を備える、請求項12に記載の中足骨矯正システム。
【請求項15】
前記内側楔状骨に対する前記第1中足骨の移動済み位置を固定するための前記手段は、少なくともプレートを備える、請求項12に記載の中足骨矯正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月28日に出願された米国特許出願番号14/981,335の継続出願であり、2015年8月14日に出願された米国仮出願番号62/205,338の利益を主張しており、その内容は、参照により本出願に盛り込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、骨を位置付けし、および/または調整するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
足の骨などの骨は、解剖学的に位置がずれている可能性がある。ある状況では、患者の不快感を軽減し、患者の生活の質を改善するために、骨を正しく整列させるために外科的介入が必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、単数または複数の骨の向きを固定する方法を含む。一般に、骨を位置付けする方法は、骨を解剖学的に整列されていない位置から別の骨に対して解剖学的に整列された位置に移動させることと、骨の端部および別の骨の対向する端部を調整することとを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの骨端部が、骨が整列された位置に動かされた後に調整される。いくつかの実施形態では、骨は、移動する力に応答して骨が並進し、回転するように、2つ以上の平面に解剖学的に整列される。
【0005】
一実施形態は、外反母趾変形を矯正する方法を含む。この方法は、第1中足骨に、第1中足骨を動かして2つ以上の面での整列を矯正する力を加えることによって、第1中足骨を、第2中足骨に対し解剖学的に整列していない位置から第2中足骨に対し解剖学的に整列された位置に動かすことを有する。この方法はまた、第1中足骨の端部を調整し、癒合のために内側楔状骨の対向する端部を調整することを含むことができる。本発明の実施形態はまた、骨位置付け装置および骨調整ガイドと、そのようなガイドを使用する方法とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下の図面は、本発明の特定の実施形態の例示であり、したがって、決して本発明の範囲を限定するものではない。図面は、(特に明記しないかぎり)必ずしも一定の縮尺ではなく、以下の詳細な説明の説明と併せて使用することが意図されている。本発明の実施形態は、添付の図面に関して以下に説明され、同様の番号は同様の要素を示す。
図1図1は、本発明の一実施形態による骨位置付けガイドの側面斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による骨位置付けガイドの骨係合部材の側面斜視図である。
図3A図3Aは、本発明の一実施形態による骨位置付けガイドの先端部の側面斜視図である。
図3B-3C】図3Bは、本発明の一実施形態による直線状の先端部を有する骨位置付けガイドの側面図である。図3Cは、本発明の一実施形態による非直線状の先端部を有する骨位置付けガイドの側面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による骨位置付けガイドのアクチュエータの端面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による骨調節ガイドの上面図である。
図6A図6Aは、本発明の一実施形態による骨調節ガイド、スペーサ、および組織除去器具位置チェック部材の斜視図である。
図6B図6Bは、骨調節ガイドと係合する組織除去器具チェック位置部材の別の実施形態の斜視図である。
図7図7は、本発明の一実施形態によるスペーサと係合した骨調節ガイドの斜視図である。
図8図8は、本発明の一実施形態による組織切除器具位置チェック部材に係合する骨調節ガイドの斜視図である。
図9図9Aは、本発明の一実施形態による歪んだ足の骨位置付けガイドの正面図である。図9Bは、本発明の一実施形態による矯正された整列を有する足の骨位置付けガイドの正面図である。
図10図10Aは、本発明の一実施形態による歪んだ足の骨位置付けガイドの上面図である。図10Bは、本発明の一実施形態による矯正された整列を有する足の骨位置付けガイドの上面図である。
図11A図11Aは、本発明の一実施形態による第1、第2および第3の位置で足に骨位置付けガイドを使用する骨位置付け手術のシーケンスを示す。
図11B図11Bは、本発明の一実施形態による第1、第2および第3の位置で足に骨位置付けガイドを使用する骨位置付け手術のシーケンスを示す。
図11C】11Cは、本発明の一実施形態による第1、第2および第3の位置で足に骨位置付けガイドを使用する骨位置付け手術のシーケンスを示す。
図12図12Aは、正常な第1中足骨位置を有する足の正面図である。図12Bは、孤立した第1中足骨の回転外反母趾変形を伴う足の正面図である。
図13図13Aは、正常な第1中足骨位置を有する足の上面図である。図13Bは、孤立した第1中足骨の横断面外反母趾変形を有する足の上面図である。
図14図14Aは、正常な第1中足骨位置を有する足の側面図である。図14Bは、孤立した第1中足骨の矢状面外反母趾変形を有する足の側面図である。
図15A図15Aは、足の斜視図および拡大図である。
図15B図15Bは、第1中足骨の斜視図である。
図16図16は、関節に挿入された骨調整器具を示す足の側面斜視図である。
図17図17は、第1中足骨の整列前の足の骨位置付けガイドを示す足の斜視図である。
図18図18は、第1中足骨の整列後の足の骨位置付けガイドを示す足の斜視図である。
図19図19は、第1中足骨の整列とスペーサの関節腔内への挿入後の足の骨位置付けガイドを示す足の斜視図である。
図20図20は、第1中足骨の整列と骨調整ガイドの位置付け後の足の骨位置付けガイドを示す足の斜視図である。
図21A図21Aは、第1中足骨の整列およびピン付きの骨調整ガイドの位置付け後の足の骨位置付けガイドを示す足の斜視図である。
図21B図21Bは、第1中足骨の整列およびピン付きの骨調整ガイドの位置付け後の足の骨位置付けガイドを示す足の斜視図である。
図22図22は、骨調整ガイドのガイド面によってガイドされる足の骨を調整する骨調整器具を示す足の斜視図である。
図23図23は、足の骨位置付けガイドおよび骨調整ガイドの取り外しを示す足の斜視図である。
図24図24は、足の骨位置付けガイドおよびピンを示す足の斜視図である。
図25図25は、足の骨位置付けガイドおよび圧縮ピンを示す足の斜視図である。
図26A図26Aは、本発明の一実施形態による第1および第2の骨の間の関節を横切る骨プレートと圧縮ピンを示す足の側面斜視図である。
図26B図26Bは、本発明の一実施形態による第1および第2の骨の間の関節を横切る骨プレートと圧縮ピンを示す足の側面斜視図である。
図27図27は、本発明の一実施形態による第1および第2の骨の間の関節を横切る骨プレートを示す足の側面斜視図である。
図28図28Aおよび図28Bは、解剖学的に整列していない中足骨および本発明による方法および/または器具を使用して解剖学的に整列された中足骨の実施例を示す。
図29図29Aおよび図29Bは、解剖学的に整列していない中足骨および本発明による方法および/または器具を使用して解剖学的に整列された中足骨の実施例を示す。
図30図30Aは、第2中足骨に対して整列されていない第1中足骨によって引き起こされるバニオンを有する足の一部を示す。図30Bは、図30Aの足を解剖学的に整列した後に引き起こされ得る例としての基部圧縮を示す。
図31図31は、第1の骨と第2の骨との間の交点に支持台が位置付けられる例示的な骨位置付け手術を示す。
図32図32は、支持台の一例を示す斜視図である。
図33図33は、異なるサイズの支持台の例示的な体系を示す図である。
図34図34は本発明の一実施形態による別の骨位置付けガイドの斜視図である。
図35図35は、骨調整ガイドをスペーサの周りで回転させることができる関節スペーサの一構成例を示す。
図36図36Aは、円形の断面形状を有する開口部を有する骨位置付けガイドの一例示的な構成の斜視図である。図36Bは骨位置付けガイドに挿入された図35の関節スペーサと共に示される図36Aの例示的な骨位置付けガイドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明は本質的に例示的なものであり、決して本発明の範囲、適用性、または構成を限定するものではない。むしろ、以下の説明は、本発明の例示的な実施形態を実施するための実用的な例を提供する。構造、材料、および寸法の例は、選択された要素に提供され、他のすべての要素は、本発明の分野の当業者に知られている要素を使用する。当業者であればわかるように、注目される実施例の多くについて、様々な適当な代替物がある。
【0008】
本発明の実施形態は、医療処置において骨を位置付けする骨位置付けガイドと方法とを含む。例示的な用途では、骨位置付けガイドの実施形態は、骨の整列、骨切術、癒合処置、および/または1つまたは複数の骨を調整する他の処置(たとえば、軟骨または骨の除去および/または切断)などの、外科的な処置の際に有効であり得る。このような処置は、たとえば、骨が人間の解剖学的構造の他の部分の骨に比べて比較的小さい、足または手の骨(たとえば、関節によって分離された隣接する骨または単一の骨の異なる部分)で行うことができる。一実施例では、バニオン矯正手術の場合などのように、中足骨(たとえば、第1中足骨)と第2中足骨および/または楔状骨(たとえば、内側または第1楔状骨)との整列を矯正するために、骨位置付けガイドの実施形態を利用する処置を実行することができる。このような処置の一実施例としてラピダス法(第1足根部中足骨癒合としても知られている)がある。別の実施例では、処置は、中足骨(たとえば、第1中足骨)の整列を変更することによって実行され得る。このような処置の一実施例として、基底中足骨の骨切処置がある。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による骨位置付けガイド10の側面斜視図を示す。骨位置付けガイド10は、医療処置中に骨を位置付けする(たとえば、配向しおよび/または並進する)ために有用であり得る。いくつかの実施形態では、骨位置付けガイドは、骨係合部材と、先端部と、骨係合部材と先端部とを互いに向かって付勢する機構(たとえば、骨係合部材を先端部に向かって動かすか、先端部を骨係合部材に向かって移動させるか、または両方を同時に動かす)と、その機構を作動させるアクチュエータとを含む。その機構が作動すると、骨係合部材と係合した第1の骨を移動させて、先端部と接触する第2の骨に対して2つ以上の平面内で整列を矯正する。いくつかの実施形態では、2つ以上の平面における矯正は、前額面における軸周りの矯正を含む。
【0010】
図1の実施形態において、骨位置付けガイド10は、本体部材20とシャフト30とを含み、骨係合部材40はシャフトに接続され、先端部50は本体部材に接続される。一般に、本体部材20は、患者に配置された状態で、解剖学的構造または他の器具(たとえば、ピンおよびガイド)を飛び越えるような寸法および形状にすることができる。図1の実施形態において、本体部材20は、第1端部60と第2端部70とを有する略C字形の構成を含む。いくつかの実施形態では、本体は、人間の足の骨に係合するような寸法および構成を有する。さらに、骨位置付けガイド10は、本体部材20およびシャフト30の2つの構成要素から形成されているように図示されているが、ガイドは互いに接合されたより多くの構成要素(たとえば、3,4またはそれ以上)から組み立てられてガイドを形成することができる。
【0011】
シャフト30は、その第1端部60に近接して本体部材20に移動可能に接続することができる。いくつかの実施形態では、シャフト30は、シャフトの回転が本体部材に対してシャフトを並進させるように、本体部材20と係合するネジ山80を含む。他の実施形態では、シャフトは、本体部材内を摺動することができ、止めねじで所望の位置に固定することができる。さらに他の実施形態では、シャフトは、ラチェット機構によって本体に対して移動することができる。図示の実施形態では、シャフトは、先端部50と交差する軸に沿って移動する。別の実施形態では、図34に関して説明するように、シャフト30および/または骨係合部材40は、先端部50からオフセットされている。
【0012】
図2に示すように、骨位置付け装置の実施形態は、骨係合部材40を有することができる。いくつかの実施形態では、骨係合部材は、中足骨または楔状骨などの骨に接触するように構成された表面90を含む。図示の実施形態では、表面90は凹形状である。そのような表面は、中足骨のような、ほぼ円筒形の骨との表面接触を促進するように適合される。表面形状の他の実施形態は、平面およびV字形表面を含む。凹形状またはV字形の骨係合部材40を使用する場合、凹面またはV字形の溝の側壁は、対称または非対称であってもよい。対称的な構成では、凹部または溝の底部は、骨を受け入れるように構成された上方に延在する側壁の間の中心に置くことができる。各側壁は、同じ高さおよび/または同じ勾配で上方に延びることができる。非対称構成では、一方の側壁は、対向する側壁とは異なる構成を有することができる。たとえば、側壁の1つは、凹所または溝の底部から、対向する側壁よりも低い高さまで上方に延在することができる。別の実施例として、一方の側壁は、対向する側壁とは異なる角度で上方に延在することができる。非対称構成は、先端部50に向かって単に直線的ではなく横方向に付勢された力を加えるのに有用であり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、骨係合部材40は、ピンまたはクランプを含む。骨係合部材40がそのようなピンまたはクランプを含むかどうかに関わらず、骨係合部材は、隆起(たとえば、第1中足骨の内側稜)などの骨の解剖学的特徴に係合することができる。そのような実施形態では、係合は、一般に、骨係合部材に対する骨の回転運動を禁止する。他の実施形態では、骨を骨係合部材に対して回転させることができる。
【0014】
図示の実施形態では、骨係合部材40はシャフト30の端部に設けられている。ネジ山80を有して示されるシャフトの実施形態では、骨係合部材40は、シャフト30に回転可能に結合され得る。このような実施形態では、シャフトが本体部材に対して回転されると、骨係合部材40は、シャフト30と共に本体部材に対して並進し、シャフトに対して回転しているときでさえ、本体部材に対して回転しても回転しなくてもよい。骨係合部材は、シャフト30の周りを揺動することができるが、一般に、骨に接触した後は骨に対して回転しない。
【0015】
また、図3A図3Cは、骨位置付けガイド10の先端部50を示しており、これは、第1端部の反対側の本体部材の第2端部70にあってもよい。先端部50は、骨、一般的には、骨係合部材に接触する骨とは異なる骨を接触させるのに有用であり得る。たとえば、骨係合部材が第1中足骨に接触している場合、先端部は第1中足骨以外の中足骨(たとえば第2、第3、第4または第5中足骨)と接触することができる。いくつかの実施形態では、先端部は、経皮的挿入および骨との接触を容易にするために先細になっている。先端部は、先端部と骨との間の滑りを低減するために、鋸歯状、粗面化、クロスハッチング、ローレット加工などのテクスチャ加工された表面100を含むこともできる。示された実施形態では、先端部は、挿入の深さを制限するための止め具110をさらに含む。先端部の形状は、安定して骨に接触するように構成することができる。たとえば、図3Bは、ほぼ直線状の先端部50を有する骨位置付けガイドの側面図を示し、図3Cは、非直線状の先端部50(たとえば、傾斜した、または湾曲した先端部)を備えた骨位置付けガイドの側面図を示す。いくつかの実施形態では、先端部は、先端部と骨との間の並進運動を制限するが、先端部と骨との間の回転運動を可能にするように構成される。
【0016】
図4に示すように、骨位置付けガイド10はまた、この実施形態ではシャフトに関連する機構を作動させるアクチュエータ(たとえば、ノブまたはハンドル)120を含むことができる。図示された実施形態では、アクチュエータは、ユーザが本体部材20に対してシャフトを回転させるのに有用であり得る。また図4に示すように、アクチュエータ、シャフトおよび骨係合部材は、固定ワイヤ(たとえば、Kワイヤ)がこれらの構成要素の中をとおり、骨係合部材と係合する骨と接触するか、またはその中を通ることができる挿管130を含む。たとえば、固定ワイヤは、骨係合部材40と係合する骨内に配置されて、骨係合部材の位置を骨に対して固定することができる。別の実施例では、固定ワイヤは、骨係合部材に接触する骨を通して隣接する骨内に配置され、骨係合部材と接触する骨、および隣接する骨の骨位置を維持することができる。
【0017】
他の実施形態では、骨係合部材および先端部を互いに向かって付勢する機構は、支持鉤またはトング構造を含むことができる。そのような実施形態では、ガイドは、第2シャフトに旋回可能に接続された第1シャフトを含むことができる。各シャフトの第1端部は、ハンドルなどのアクチュエータを含むことができる。第1シャフトの第2端部は、上述のように、骨係合部材を含むことができる。また、第2シャフトの第2端部は、上述したように先端部を含むことができる。使用時には、アクチュエータを作動させて(たとえば、一緒に圧搾して)、骨係合部材と先端部を互いに近づけて骨を位置付けするように動かすことができる。このタイプの他の実施形態は、アクチュエータが作動したとき骨係合部材および先端部が互いに向かって並進するように、別の組のシャフトおよび別の旋回接続部を含むことができる。
【0018】
他の実施形態では、骨係合部材および先端部を互いに向かって付勢する機構は、ラックアンドピニオン構造を含むことができる。そのような実施形態では、ラックは、上述したような先端部を含むことができる。ピニオンは、上述したような骨係合部材と、アクチュエータ(たとえば、ノブ)とを含むことができる。使用時には、アクチュエータを作動させて(たとえば、移動方向にほぼ垂直な軸の周りを回転する)、骨係合部材と先端部を互いに近づけて骨を位置付けするように動かすことができる。
【0019】
骨位置付けガイドの実施形態は、任意の適切な材料を含むことができる。特定の実施形態では、骨位置付けガイドは、X線および他の形態の放射線によって比較的浸透性があるように、熱可塑性物質および炭素繊維材料などの放射線透過性材料から組み立てられる。このような材料は、骨位置付けガイドが骨に配置されているときに撮像装置を用いて骨の視覚化を妨げないために有用である。
【0020】
骨位置付けガイドの実施形態は、医療処置中に単数または複数の骨を位置付けするための手術において有用であり得る。骨の位置付けは、たとえば、骨の解剖学的不整列を矯正し、骨の整列および/または癒合処置などの解剖学的に整列された位置を維持するために有用であり得る。いくつかの実施形態では、骨位置付けガイドは、第1中足骨と第2中足骨との間の角度を10度以上(たとえば、約35度まで)から、約-5度の負の角度を含む、約10度以下(たとえば、約1~5度)まで減じることができる。いくつかの実施形態では、骨位置付けガイドは、4度を超える回転角から4度未満の回転角まで(たとえば、約0度から約2度まで)、内側楔状骨に対してその長軸の周りで第1中足骨を回転させることもできる。
【0021】
いくつかの実施形態では、骨の調整を容易にするために骨調整ガイドを提供することができる。骨調整ガイドには、骨位置付けガイドを設けることができ、またはいずれかのデバイスを独立して提供するか、または使用することができる。骨調整ガイド150の一実施例が図5に示されている。いくつかの実施形態では、骨調整ガイド150は、第1調整面を画定する第1ガイド面160および第2調整面を画定する第2ガイド面164を画定する本体154を含む。組織を除去する(たとえば、軟骨または骨を除去する、および/または骨を切る)ために、組織除去器具(たとえば、図示しない鋸、回転バー、骨切りのみなど)を表面と整列させることができる。第1および第2ガイド面160、164は、互いにある距離(たとえば、約2ミリメートル~約10ミリメートル、たとえば約4ミリメートル~約7ミリメートルの間の)だけ離間させることができる。示された実施形態では、第1および第2ガイド面は平行であり、ガイド面を使用して隣接する骨への切断がほぼ平行になる。
【0022】
いくつかの実施形態では、図5に示すように、第1対向面166は、第1ガイド面160に隣接して配置され、および/または第2対向面168は、第2ガイド面164に隣接して配置される。このような実施形態では、第1ガイド面と第1対向面との間の距離が第1ガイドスロットを画定し、第2ガイド面と第2対向面との間の距離が第2ガイドスロットを画定する。各スロットは、骨端部を調整するために組織除去器具を受け入れるような寸法にすることができる。第1および第2スロットは、平行であっても斜めであってもよい。図示された実施形態では、対向する表面はそれぞれ、ギャップを含み、その結果、表面は単一の連続的な表面ではない。他の実施形態では、対向面は、そのような隙間がない単一の連続面とすることができる。
【0023】
開口部170は、第1ガイド面と第2ガイド面との間の本体154によって画定することができる。開口部は、施術者が骨の調整中、骨への視覚経路を有し、および/または器具を受け入れることを可能にするために有用なガイド面間の領域であり得る。図示の実施形態では、開口部は本体を横切って延在し、第1対向面166の反対側の表面172から第2対向面168とは反対側の表面174までの距離をとる。
【0024】
示された実施形態はまた、本体154から第1の方向に延在する第1端部176と、本体から第2の方向に延びる第2端部178とを含む。第2の方向は、第1の方向と異なってもよい(たとえば、反対方向)。図示のように、第1端部および第2端部のそれぞれは、ガイドを骨に固定するための固定ピン(図5には図示せず)を受け入れるように構成された少なくとも1つの固定開口部180を含むことができる。図示されるように、このような開口は、ガイドの上面に対して垂直または傾斜した角度で端部を通って延在してもよい。
【0025】
骨調整ガイド150はまた、第1端部176と係合する第1調整可能安定化部材182を含むことができる。いくつかの実施形態では、骨調整ガイドは、第2端部178と係合する第2調整可能安定化部材184を含むことができる。部材の各々は、螺刻され、端部によって画定されたねじ孔に係合することができる。安定化部材を調整することによって、各端部の高さを骨に関して調整することができる。図示されるように、いくつかの実施形態では、安定化部材は、固定ピンを受け入れることができるように挿管される。
【0026】
図6Aおよび図7に示すように、骨調整ガイドはまた、本体154から下方に延在し、関節内に配置されるように構成されたスペーサ188を含むことができる。いくつかの実施形態では、スペーサ188は、本体と選択的に係合可能である。スペーサは、関節腔内に延在するように構成された第1部分190と、本体154と係合可能な第2部分192とを有することができる。図示された実施形態では、スペーサが第1ガイド面と第2ガイド面との間で本体から延在するように、スペーサを開口部170内に受け入れることができる。このようなスペーサは、本体を関節に対して所望の位置に位置付けし、2つ以上の平面(たとえば、前額面、横断面、および矢状面のうちの2つ以上から選択される3つの面)に切断される骨に関してガイドを適切に位置付けするのに有用であり得る。スペーサと第1ガイド面との間の距離は、第1の骨からの組織切除の長さ(たとえば、切断されるべき骨または軟骨)を画定することができ、スペーサと第2ガイド面との間の距離は、第2の骨からの組織切除の長さ(たとえば、切断されるべき骨または軟骨)を画定することができる。
【0027】
図6A/Bおよび図8に示すように、骨調整ガイドはまた、本体154と係合可能であり、第1の骨および第2の骨まで延在するように構成された組織切除位置チェック部材194を含むことができる。組織切除位置チェック部材は、第1および第2の骨と接触するように延在するように構成された第1部分196と、本体と係合可能な第2部分198とを有することができる。図6Aおよび図8に示す実施形態において、組織切除位置チェック部材は、第1および第2ガイド面の両方において本体から延在する。図6Bに示す実施形態のような他の実施形態では、別個の組織切除位置チェック部材が、ガイドのそれぞれのスロットに独立して挿入されるように設けられる。したがって、組織切除位置チェック部材の実施形態は、施術者が、その表面によってガイドされる組織除去器具が、調整すべき骨とどこで接触するかを見ることを可能にするために有用である。
【0028】
骨調整ガイドの実施形態は、標的の解剖学的構造における単数または複数の骨の調整をガイドするための手術において有用であり得る。骨の調整は、骨の整列および/または癒合処置などにおいて、関節によって分離された隣接する骨の前縁の接触、または骨折によって分離された単一の骨の異なる部分間の接触を容易にするのに有用であり得る。
【0029】
本発明の実施形態はまた、たとえば、単数または複数の骨の向きを永続的に固定する前に、またはこれと併せて、単数または複数の骨の向きを一時的に固定する方法を含む。一般に、骨を位置付けする方法は、骨を解剖学的に整列されていない位置から別の骨に対して解剖学的に整列された位置に移動させることと、移動した骨の端部および別の骨の対向する端部を調整することとを含む。いくつかの実施形態では、移動した骨および他方の骨の少なくとも1つの端部は、骨を整列された位置に動かした後に調整される。特定の実施形態では、骨は、単一の位置で1つの骨に力を加えることによって、別の骨に対して2つ以上の平面で解剖学的に整列されるので、骨は力に応答して骨が並進するとともに回転する。特定の実施形態では、本明細書に記載されているように、移動のステップは骨位置付け装置を用いて達成されてもよく、および/または調整することは、骨調整ガイドを用いて達成されてもよい。
【0030】
また、図9A図9Bは、第1中足骨210、内側楔状骨220、第2中足骨292、および第3中足骨294を有する足200上の骨位置付けガイド10の源泉の図を示す。図9Aは、矯正されていない外反母趾変形を有する足200を示す。図9Bは、骨位置付けガイド10によって整列位置合わせが矯正された足200を示す。実線L1は骨位置付けガイド10の開始位置を表し、点線L2は骨位置付けガイドの終了位置を表す。図示のように、骨位置付けガイド10が作動すると、骨位置付けガイド10は、第1中足骨210を横断面内で横方向に、矢状面内で足底に押し付けるように、前額面を通って延在する軸の周りで第1中足骨210と共に回転する。したがって、この実施例では、第1中足骨210の位置は、単一の骨位置付けガイド10を作動させて骨係合部材40を先端部50に向けて付勢することによって、第2中足骨292に対して概して3つの平面において矯正される。図10Aは、矯正されていない外反母趾変形を有する足200の上面図を示し、図10Bは、前額面における回転矯正および横断面における横方向矯正を強調して、骨位置付けガイド10によって整列が矯正された足200の上面図を示す。
【0031】
また、図11A図11Cは、第2中足骨292に対して第1中足骨210を位置付けする足200上の骨位置付けガイド10の3つの連続画像を示す。図11Aは処置の開始を示し、図11Bは途中を示し、図11Cは終了を示す。ピン270の向きは、各画像における第1中足骨210の回転量を視覚化するのに有用である。図11A図11Cを参照すると、骨位置付けガイド10の作動に応答して、骨位置付けガイド10および第1中足骨210が前額面で回転していることが分かる。さらに、第1中足骨210と第2中足骨292との間の角度は、図11Aの第1中足骨と第2中足骨との間に見られる空間が図11Cで縮小するにつれて、減少する。
【0032】
3つの潜在変形平面のそれぞれについて、ここでは孤立して説明する。図12Aおよび図12Bは、足200の前額面図を示す。図12Aでは、足200は正常であるが、図12Bでは、第1中足骨210の孤立した軸方向回転を示す矯正されていない外反母趾変形を伴う足が描かれている。実線L3は、第1中足骨210の地面に対する整列を示し、一方、図12Bの点線L4は前額面における軸回転の程度を示す。
【0033】
図13Aおよび図13Bは、足200の横断面図を示す。図13Aにおいて、足200は正常であり、図13Bでは、孤立した横断面の第1中足骨210のずれを示す未矯正の外反母趾変形を伴う足が描かれている。実線L5は、第2中足骨292の整列を示し、実線L6は、第2中足骨292に対する第1中足骨210の適切な整列を示す。これらの2つの線の間の角度は、中足骨間の角度(IMA)を形成する。図13Bの点線L7は横方向のずれの程度を示す。
【0034】
図14Aおよび図14Bは、足200の矢状面図を示す。図14Aでは、足200は正常であるが、図14Bでは、第1中足骨210の孤立した矢状方向のずれを示す矯正されていない外反母趾変形を伴う足が示されている。実線L8は、第1中足骨210の適切な整列を示し、一方、図14Bの点線L9は矢状方向のずれの程度を示す。
【0035】
本発明の一実施形態による方法の特定の実施形態は、骨係合部材を第1の骨に係合させることと、骨位置付けガイドの先端部を第1の骨とは異なる第2の骨に並置することと、2つ以上の平面において第2の骨に対して第1の骨の位置を変化させるために、先端部に関して骨係合部材を動かすこととを含む。いくつかの実施形態では、整列後、第1骨の端部および第3骨の対向端部の少なくとも一方(たとえば、第1の骨の端部だけ、または第1の骨の端部および第2の骨の端部の両方)が、必要に応じて調整ガイドを使用して調整される。
【0036】
いくつかの実施形態では、この方法は、矯正処置のために関節を動かすステップを含む。たとえば、関節への外科的アクセスを作成した後であって、骨を整列された位置に動かす前に、中足骨などの骨が自由に回転できるように組織を解放することができる。いくつかの実施形態では、前額面に対して比較的平坦な面を作成することによって自由回転をさらに促進するために、妨げとなる骨(たとえば、中足骨基部の背外側フレア、中足骨基部の足底フレア(時には足底顆と呼ばれる)、楔状骨に面する中足骨の端部の一部、または骨棘)を切開してもよい。足200の第1中足骨210上の背外側フレアFの一実施例を図15Aに示す。第1中足骨210上の足底フレアPFの一実施例を図15Bに示す。図15Bはまた、いくつかの実施形態では、骨位置付けガイドの骨係合部材によって係合され得る内側稜MRを示す。
【0037】
本発明による方法の実施形態はまた、骨の端部を調整した後に実行される手順を含むことができる。たとえば、骨の端部は、並置され、必要に応じて一緒に圧縮されてもよく、骨の位置は、関節への外科的アクセスを閉じる前に、1つまたは複数の骨固定デバイス(たとえば、圧縮骨スクリュー、骨プレート、骨ステープル、外部固定具、髄内インプラントまたは釘)を使用して、固定することができる。
【0038】
例示的な方法を、第1中足骨210、内側楔状骨220、および第2中足骨292を有する足200を示す図16~27を参照して説明する。特に明記しないかぎり、説明される手順は記載された順序で実行される必要はないことに留意されたい。
【0039】
従来の外科的調整およびアクセスの後に、軟組織を解放するため、および/または第1中足骨210の基部から足底フレアを切開するために、図16に示すように、骨調整器具296を関節(たとえば、第1足根骨・中足骨関節)に挿入することができる。足底フレアを切開することは、第1中足骨210から足底フレアを切断することを含む。故に、第1中足骨の面が略平面となる。このステップは、変形矯正を容易にするために関節を動かすのに役立つ。いくつかの実施形態では、第1中足骨の背側横方向フレアを切開して、変形矯正のための空間を(たとえば、第1中足骨の回転に関して)作ってもよい。特定の実施形態では、内側楔状骨に面する中足骨基部の一部は、この動作ステップに除去することができる。
【0040】
切開を行うことができ、骨位置付けガイド10の先端部50を、第1中足骨210以外の中足骨、たとえば第2中足骨292の側面に挿入することができる。図17に示すように、先端部は、第2中足骨292の基部および第3中足骨294の境界面に近位して配置することができる。骨係合部材40の表面は、第1中足骨210の近位部上に配置することができる。いくつかの実施形態では、骨係合部材は、第1中足骨210の内側稜に係合する。図示されるように、位置付けガイドの本体部材20は、第2中足骨292の長軸に対してほぼ垂直であり得る。
【0041】
図18に示すように、アクチュエータ120は、シャフト30を延伸させて角度(第1中足骨と第2中足骨との間の横断面角度)を減少させ、第1中足骨をその軸(前額面軸回転)の周りに回転させる。第1中足骨210は、骨係合部材40を先端部50に対して動かすことによって、内側楔状骨220に対して適切に配置することができる。いくつかの実施形態では、このような動きは、楔状骨に関して第1中足骨を同時に旋回させ、第1中足骨をその縦軸の周りに解剖学的に正しい位置に回転させて横断面の変形および前額面の変形を矯正する。特定の実施形態では、本体部材20は、このステップの間、ほぼ横方向に回転する。いくつかの実施形態では、固定用ピン(図18には図示せず)を位置付けステップに先立って骨に挿入することができ(たとえば、フリーハンドで、またはテンプレートとしてガイド内の開口を使用して)、もし望まれる場合、第1中足骨210に追加の力(横断面回転、矢状面、および/または前額面の回転)を付与するために使用することができる。骨位置付けガイド10は、第2中足骨292に対して第1中足骨210の所望の位置を保持することができる。所望の矯正が達成された後、固定ワイヤ298をシャフト30内に挿管により挿入し、第1中足骨210および第2中足骨292内に打ち込んで、矯正位置を保持することができる。
【0042】
図19に示すように、関節スペーサ188は、第1中足骨と内側楔状骨との間の関節内に配置することができる。
【0043】
図20に示すように、骨調整ガイド150を関節スペーサ188の上に配置し、関節スペーサと係合させて、関節に対する骨調整ガイドの位置および向きを設定することができる。図示されているように、骨調整ガイド150は、骨位置付けガイド10の近位に、第1中足骨210の長軸および概ね背側表面または背側・内側表面上の内側楔状骨220と長手方向に整列して配置することができる。他の実施形態では、スペーサ188は、ガイド150が骨に仮置きされた後に位置付けされる。さらに他の実施形態では、骨調整ガイド150および関節スペーサ188が同時に配置される。さらに他の実施形態では、位置付けの助けとなる関節スペーサ188を使用せずに骨調整ガイド150を骨に配置する。
【0044】
図21Aおよび図21Bに示すように、1つまたは複数の固定ピン270を骨調整ガイド150の開口に挿入して、ガイドを第1中足骨210および内側楔状骨220に固定することができる。図示されているように、いくつかのピン270は、ある角度または収束する向きで挿入されて、組織除去ステップ中の骨調整ガイド150の動きを防止するのを助けることができる。図示されているように、ピン270のうち2つ、つまり第1中足骨に1つと内側楔状骨に1つは、すべてのピンを取り外すことなく骨調整ガイド150を足から取り外すことができるよう平行である。ピン270を挿入した後、スペーサ188は、選択的に係合可能なスペーサ(たとえば、骨調整ガイド150から物理的に取り外し可能な関節スペーサ188)を有する実施形態において必要に応じて除去することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、組織除去器具と調整されるべき骨との交差部の位置は、骨の調整の前に確認される。一実施形態では、組織除去器具位置チェック部材を調整ガイドに係合させて、組織切除器具が骨と接触する場所を視覚的に確認することができる。別の実施形態では、組織切除器具を調整ガイドに係合させて、器具が骨と接触する場所を視覚的に確認することができる。どちらの実施形態においても、このような視覚的確認は、X線などの撮像装置の使用を含むことができる。調整ガイドの位置が正しい場合、追加の固定ピンを開口部(たとえば、角度の付いた開口部)を通して挿入して、第1中足骨および内側楔状骨に対する調整ガイドの位置をさらに固定することができる。いくつかの実施形態において、スペーサは、さらに骨を調整する手順の前に再装着される。
【0046】
いくつかの実施形態では、内側楔状骨220に面する第1中足骨210の端部は、骨調整ガイド150のガイド面によってガイドされる組織除去器具296(たとえば、第1ガイド面および第1対向面)で調整され得る。いくつかの実施形態では、第1中足骨210の端部を調整する前に骨位置付けガイド10を作動させるなどして、骨の整列後に第1中足骨210の端部調整を行う。他の実施形態では、骨位置付けガイド10を作動させる前に、第1中足骨210の端部を調整するなどして、骨の整列前に第1中足骨210の端部調整を行う。
【0047】
また、図22に示すように、第1中足骨210に面する内側楔状骨220の端部は、骨調整ガイド150のガイド面によってガイドされる組織除去器具296(たとえば、第2ガイド面および第2対向面で画定されるスロットに挿入される)で調整され得る。いくつかの実施形態では、内側楔状骨220端部の調整は、骨の整列の後に行われる。さらにその他の実施形態では、内側楔状骨220端部の調整は、骨の整列の前に行われる。骨または軟骨を切断することを含む実施形態において、楔状骨切断および中足骨切断は、平行であり、合致する切断であり得る。図22に示すように、鋸刃を第1スロットに挿入して楔状楔状部の一部を切断し、そして鋸刃を第2スロットに挿入して第1中足骨の一部を切断することができる(たとえば、いくつかの実施形態では、内側楔状骨を第1中足骨の前に切断することができる)。したがって、図示された実施形態では、第1中足骨が位置付けされた後に、第1中足骨および内側楔状骨の両方への切断が行われた。
【0048】
任意の傾斜/収束ピンを除去することができ、骨調整ガイド150を図23に示すように平行ピン270から持ち上げることができる。平行ピンは、第1中足骨210の矯正された整列が維持されることを確実にするために後の手順での基準として役立ち得る「基準ピン」と呼ぶことができる。関節スペーサは、骨調整ガイドの前、後、または同時に除去することもできる。いくつかの実施形態では、骨位置付けガイド10もまた足から取り外される。
【0049】
第1中足骨および内側楔状骨からの組織(たとえば、骨または軟骨スライス)は、関節部位から除去することができ、所望ならば、関節表面に開窓術を施すことができる。骨位置付けガイドが足から取り外された場合、それは、図24に示されるように、以下に説明する追加の手順の前に再び置くことができる。
【0050】
調整の後、2つの骨の端部は並置され、関節を仮に固定することによって、必要に応じて一緒に圧縮される。たとえば、2つの骨は、第1中足骨210の切断端部を内側楔状骨220の切断端部に当接させて配置することによって並置され得る。いくつかの実施例では、第1中足骨210の切断端部は、内側楔状骨220の切断端部に隣接して配置され、場合によってはそれと接触して配置される。
【0051】
図25に示すように、ネジを切ったオリーブピン300などの圧縮ピンは、第1中足骨210を通って内側楔状骨220に挿入されて、第1中足骨と内側楔状骨との間の圧縮および暫定的固定を提供することができる。追加の圧縮ピンを挿入して、さらなる安定性を提供することができる。図示されているように、このステップ中に平行基準ピンを整列させる必要がある。いくつかの実施形態では、施術者は、圧縮ピンの挿入前に平行基準ピンの整列をチェックし、整列されていない場合、所望の整列が達成されるまで第1中足骨位置を調整する。
【0052】
それらは所定の位置に残すことができるが、いくつかの実施形態では、平行基準ピンおよび骨位置付けガイドを除去することができ、骨固定デバイス(たとえば、図示のように異なる平面に配置された2つの骨プレート)は、関節を癒合するために安定させるよう適用することができる。図26Aは、第1中足骨髄および楔状骨髄後部の背側・内側に位置する第1骨プレート310と、第1中足骨および内側楔状骨の内側・足底側に位置する第2骨プレート320を示す。図26Bに示す実施形態のような他の実施形態では、第2骨プレート320は、楔状骨の内側から関節腔を横切って第1中足骨の足底側に配置された螺旋状の骨プレートであり得る。このプレートは、骨ネジの挿入とともに適用できる。
【0053】
図27に示すように、圧縮ピンを取り外し、切開を閉じることができる。
【0054】
図28A/Bおよび図29A/Bは、解剖学的に整列していない中足骨および本発明による方法および/または器具を使用して解剖学的に整列された中足骨の実施例を示す。図28Aは、左足の手術前および手術後を示し、図28Bは、右足の手術前および手術後を示す。術前画像と術後画像との比較からわかるように、患者の中足骨間の角度(IMA)は有意に減少した。図29Aおよび図29Bは、前額回転平面における軸回転の矯正を示す。図29Aは、右足の術前画像および術後画像を示す。中足骨210の図面も、回転を説明するために提供される。中足骨の回転は、手術後の図において第1中足骨210の下で回転されたものとして示されている、種子骨400の位置によって見ることができる。図29Bは、左足200および右足200の術前の図を示す。ここでも、地面、足の足底面、および/または楔状骨などの基準位置に対する種子骨400の位置を比較することにより、この患者の中足骨が回転して整列していないことがわかる。
【0055】
本発明の実施形態による方法は、単数または複数の骨を位置付けするために有用であり得る。骨の位置付けは、たとえば、骨の解剖学的不整列を矯正し、骨の整列および/または癒合処置などの解剖学的に整列された位置を維持するために有用であり得る。いくつかの実施形態では、「解剖学的に整列された位置」とは、第2中足骨の長軸に対する第1中足骨の長軸の角度が、横断面または矢状面において約10度以下であることを意味する。特定の実施形態では、解剖学的不整列は、横断面および前額面の両方において矯正することができる。横断面において、第1中足骨と第2中足骨との間の正常な中足骨間の角度(「IMA」)は、約9度未満である。約9度から約13度の間のIMAは、第1中足骨および第2中足骨の軽度の不整列と考えられる。約16度を超えるIMAは、第1中足骨および第2中足骨の重度の不整列と考えられる。いくつかの実施形態では、本発明による方法は、10度を超えるIMAを約10度以下(たとえば、約1~5度のIMAまで)に減少させることによって骨を解剖学的に整列させることができる。整列は、第1中足骨を第2中足骨に対して異なる角度に位置付けすることによって、約-5度の負の角度にすること、または第2中足骨と干渉することまでを含む。
【0056】
前額面に関しては、正常な第1中足骨は、その稜隆起が地面に対してほぼ垂直であり、かつ/またはその種子骨が地面にほぼ平行で中足骨の下に位置するように配置される。この位置は、中足骨回転が0度であるとして定義できる。不整列された第1中足骨では、中足骨は約4度から約30度またはそれ以上の間で軸方向に回転する。いくつかの実施形態では、本発明による方法は、中足骨を内側楔状骨に対し回転させることによって中足骨の回転を約4度以上から4度未満(たとえば、約0~2度)に減少させることによって中足骨を解剖学的に整列させることができる。
【0057】
骨の位置付けおよび調整ガイドシステムおよび方法の様々な実施形態が記載されているが、本開示の概念は、たとえば、臨床医のニーズ、骨の再位置付け処置を受けている患者、治療されている特定の解剖学的構造、および/または目標とする臨床結果に基づき、実際には、変更され得る。一実施例として、記載されたシステムおよび技術は、別の骨に対する1つの骨の回転および/または旋回が、骨位置付けガイド10を介して生じる支持台を利用するように矯正されてもよい。支持台は、骨係合部材40と骨位置付けガイド10の先端部50との間で圧縮されている隣接する骨の間の空間を確立および/または維持することができ、回転および旋回中の骨の横方向の移動または基部のずれを防止する。
【0058】
図30Aは、第2中足骨292に対して整列されていない第1中足骨210によって引き起こされるバニオンを有する足の一部を示す。図30Bは、骨位置付けガイド10を使用して不整列を矯正するために解剖学的に整列された後の図30Aの足を示す。図示されているように、第1中足骨210は、前額面で反時計回り(患者の視点から、前額面観察者の視点からだと時計回りに)に回転され、また横断面で旋回された(たとえば、第1中足骨210と第2中足骨292との間の角度350が減少するように)。第1中足骨210の回転および旋回により、第1中足骨210の基部352を内側楔状骨220に対してずらすことができる。一般に、第1中足骨210と内側楔状骨220との間のオフセット354Aは、回転および旋回後にゼロに低減される(たとえば、実質的にオフセットがないように)ことが望ましい。しかしながら、図30Bの図示された適用で見られるように、内側楔状骨220に当接する第1中足骨210の基部352は、第2中足骨292に向かってずれた。これにより、第1中足骨210が第2中足骨292に向かう横方向のオフセット354Bの結果となり、第1中足骨210と第2中足骨292との間の基部圧縮が生じる。
【0059】
図30Bに示される基部のずれおよびオフセット354Bを回避するのを助けるために、臨床医は、骨位置付けガイド10を作動させる前に、(たとえば、それぞれの楔状骨に隣接して)中足骨の基部で第1中足骨210と第2中足骨292との間の切り欠き内に支持台を挿入することができる。支持台は、第1中足骨210が第1中足骨と第2中足骨との間の基部圧縮を最小化するのを、またはそれを回避するのを助ける一方、第1中足骨210が回転および/または旋回できるポイントを提供することができる。さらに、支持台の使用により、第1中足骨210および内側楔状骨220は、骨調整ガイド150(一度設置されると)のガイドスロットに対してより良好に角度付けされ、ガイドスロットを介しより良好な切断角度を提供し、支持台の使用が不要となる。これにより、骨位置付けガイド10を除去した後に、第1中足骨210の望ましくないスプリングバック、つまり位置付けが戻るのを低減または排除するのに役立ち得る。
【0060】
図31は、第1の骨と第2の骨との間の交点に支持台356が位置付けられる例示的な骨位置付け手術を示し、第1の骨は第2の骨に対して再整列される。特に、図31は、第1中足骨210と第2中足骨292との間に位置する支持台356を示す。支持台356は、図31に示すように、第1中足骨210と第2中足骨292との間の骨調整ガイド150の遠位に配置してもよい。または、他の用途では、(たとえば、それぞれ内側楔状骨および中間楔状骨に当接する第1および第2中足骨の端部で)ガイドの近位に配置しても良い。
【0061】
支持台356を使用する場合、臨床医は、骨位置付けガイド10を作動させる前の任意の時点で、第1中足骨210と第2中足骨292(または中足骨の再整列を行わない場合、他の隣接する骨)の間に支持台356を挿入することができる。異なる実施形態では、関節スペーサ188を挿入する前または挿入した後に、および/または手術する関節上に骨調整ガイド150を配置する前または挿入した後に、支持台356を、第1中足骨210と第2中足骨292との間に挿入することができる。一実施形態では、臨床医は、上述のように、第1中足骨210の基部から軟組織を解放し、および/または足底フレアを切開するために手術する関節を調整する。たとえば第1中足骨210の内側稜に接触して位置付けされた骨係合部材40および第2中足骨292と接触して配置された先端部50を使用して、隣接する骨の上に骨位置付けガイド10を取り付ける前または後に、臨床医は、第1中足骨と第2中足骨との間の関節に支持台356を挿入する。臨床医は、その後、骨位置付けガイド10(たとえば、回転ノブ120)を作動させることができる。図31に示すように、左足の場合、骨位置付けガイド10を作動させると、第1中足骨210は(患者の視点から)前額面において反時計回りに回転し、また支持台を中心に横断面内で旋回する。右足の場合、作動させると、第1中足骨は(患者の視点から)前額面において時計回りに回転し、また支持台を中心に横断面内で旋回する。したがって、両足の場合、骨位置付けガイド10の作動は、前額面で第1中足骨を回外運動させ、支持台356の周りで横断面で第1中足骨を旋回させることができる。支持台356の使用により、手術する関節隣接する骨の間の基部圧縮を最小限に抑えるかまたは排除することができるが、上記の他の実施形態では、説明されたシステムおよび技術を支持台を使用することなく実施することができる。
【0062】
支持台356が使用される場合には、任意の適切な機械的な器具を支持台として使用することができる。図32は、支持台356として使用できる器具の一実施例の斜視図である。この実施形態では、支持台356は略長方形の形状を有し、後端358から先端360までの長さの少なくとも一部分に沿って厚さが細くなっている。支持台356は、作動する関節の骨調整ガイド150の配置の妨げとならないように、十分に小さい寸法にすることができる。いくつかの実施形態では、臨床医は、複数の異なる寸法の支持台を含むシステムが提供され、実行される特定の処置に望ましい特定の寸法の支持台を選択することができる。図33は、そのような実施形態において臨床家に提供され得る、例示的な「幅×厚さ」サイズでラベル付けされた異なる寸法の支持台の例示的なキットまたはシステムを示す。いくつかの実施例では、支持台356は5ミリメートルから15ミリメートル(たとえば、約6ミリメートルから約10ミリメートル)の範囲の幅、および1ミリメートルから12ミリメートル(たとえば、約2ミリメートルから約3ミリメートル)の範囲の厚さを有するが、異なる寸法の支持台を使用することができる。図32および図33は、支持台の1つの例示的なスタイルを示しており、支持台機能を提供する他の機械的器具が、本開示の範囲から逸脱することなく、使用され得る。たとえば、代替的な実施例として、外科用ピンまたはスクリュードライバヘッドを支持台356として使用することができる。
【0063】
上述のように、骨位置付けガイド10は、骨係合部材40が先端部50から横方向にオフセットされた構成を含む、様々な異なる構成を有することができる。図34は、骨係合部材40が先端部50から横方向にオフセットされた例示的な配置を示す骨位置付けガイド10の斜視図である。この実施形態では、本体部材20の第1端部60は、シャフト30および骨係合部材40の幾何学的中心を通って延在する軸362から横方向にオフセットされている。特に、図示された構成では、先端部50は、骨係合部材40に対して楔状骨の方向に横方向にオフセットしている。その結果、骨位置付けガイド10が、たとえばノブ120を回転させることによって作動されると、オフセット先端部によってモーメントが生成され得る。これにより、近位指骨に隣接する第1中足骨210の端部が、たとえば内側楔状骨に隣接する第1中足骨の反対端が第2中足骨から離れて旋回する間に、第2中足骨292に向って旋回し、角度350を閉じる。これはまた、第1および第2中足骨の間の基部圧縮を回避するのに役立ち得る。
【0064】
図19および図20に関して上述したように、関節スペーサ188は、関節スペーサ上に骨調整ガイド150を配置する前に、第1中足骨および内側楔状骨の間の関節内に配置することができる。骨調整ガイド150は、関節スペーサ188を受け入れる寸法の開口部170(図5)を有することができる。いくつかの実施例では、骨調整ガイド150の開口部170は、(一旦骨調整ガイド150が関節スペーサ188に置かれたら)ガイドとスペーサとの間の相対運動が実質的にないか、またはまったくないように、関節スペーサ188に連動して寸法および/または形状が決められる。この配置により、骨調整ガイド150が、関節スペーサ188によってガイドされる位置に正確に位置付けされることを確実にすることができる。
【0065】
実際には、骨調整ガイド150が関節スペーサ188上に配置されると、骨位置付けガイドのガイドスロットは、ガイドスロットを介して切断される骨の端部(たとえば、第1中足骨210および内側楔状骨220)と完全には整列されないことがある。したがって、他の構成では、骨調整ガイド150の開口部170は、関節スペーサ188に合うような寸法および/または形状および/または連動がなされなくてもよい。言い換えると、骨調整ガイド150の開口部170は、関節スペーサ188とは異なる断面寸法および/または形状を有することができる。これらの構成では、骨調整ガイド150は、関節スペーサ188の長さを通って延在する軸の周りで作動または回転することができる。結果として、臨床医が関節スペーサ188の上に骨調整ガイド150を配置した後、臨床医は骨調整ガイドのガイドスロットが切断される骨の端部(たとえば、第1中足骨210および内側楔状骨220)とよりよく整列されるまで、関節スペーサ188の周りで骨調整ガイド150を回転させてもよい。骨調整ガイド150の開口部170の形状および関節スペーサ188の形状に応じて、ガイドは関節スペーサ(たとえばシーカ)の周りに自由に(たとえば360度)、または限界角度範囲内(たとえば、正常位置からプラス20度からマイナス20度まで)で、回転してもよい。
【0066】
図35は、骨調整ガイド150をスペーサ(たとえばシーカ)の周りで回転させることができる関節スペーサ188の一構成例を示す。図示された実施例に示すように、関節スペーサ188は、円筒形の断面を有する近位部370と、長方形の断面を有する遠位部372とを有する。遠位部分372の前縁は、第1中足骨210と内側楔状骨220との間の関節に挿入可能である。骨調整ガイド150が関節スペーサ188の上に挿入されると、ガイドの本体154(図5)は、近位部370の周りに配置されてもよい。これにより、ガイドを近位部の周りに回転させることができる。
【0067】
他の構成では、骨調整ガイド150の開口部170は、関節スペーサ188の断面サイズおよび/または形状に連動するサイズおよび/または形状であってもよいが、依然として2つの構成要素の間に相対回転を提供する。たとえば、開口部170は、図35の関節スペーサ188の近位部370を受け入れるための寸法と形状の円形の断面を有することができる。このような実施形態では、骨調整ガイド150の開口部170と関節スペーサ188の近位部370の両方が円形の断面を有するので、2つの構成要素は互いに対して回転することができる。図36Aは、円形の断面形状を有する開口部170を有する骨調整ガイド150の一例示的な構成の斜視図である。図36Bは骨位置付けガイドに挿入された図35の関節スペーサ188と共に示される図36Aの例示的な骨位置付けガイドの斜視図である。
【0068】
骨調整ガイド150が関節スペーサ188に対して回転することができる実施形態では、骨位置付けガイドおよび/または関節スペーサは、骨スペーサに対して骨位置付けガイドの回転角度をロックするように係合可能なロック機構を含むことができる。たとえば、骨調整ガイド150は、回転させることができる親指ホイールを備えた止めねじを含み、止めねじの遠位端を関節スペーサ188に当接させるか、関節スペーサ188からはなれて後退させる。使用の際、臨床医は、骨調整ガイドのガイドスロットが切断される骨の端部(たとえば、第1中足骨210および内側楔状骨220)と最適に整列されるまで、関節スペーサ188の周りで骨調整ガイド150を回転させてもよい。次いで、臨床医は、処置のさらなる手順を実施する前に、関節スペーサ188に対する骨調整ガイド150のさらなる回転を防止するために、ロック機構に係合することができる。
【0069】
本発明の実施形態はまた、本明細書に記載の骨位置付けガイドおよび/または調整ガイドの実施形態を含む、使い捨ての滅菌キットを含む。滅菌キット内に含まれ得る他の構成要素には、骨固定デバイスが含まれる。
【0070】
したがって、本発明の実施形態が開示される。本発明は、開示された特定の実施形態を参照して説明されたが、開示された実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示され、本発明の他の実施形態も可能である。当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な変更、適合、および矯正を行うことができることを理解するであろう。
[構成1]
外反母趾変形を矯正する方法であって、
第1中足骨に力を加えることによって、第1中足骨を、第2中足骨に対し解剖学的に整列していない位置から前記第2中足骨に対し解剖学的に整列された位置に動かすステップであって、前記力は、第1中足骨を動かして2つ以上の平面での整列を矯正する、動かすステップと、
前記第1中足骨を解剖学的に整列された位置に移動させた後、前記第1中足骨の端部を調整し、癒合のために内側楔状骨の対向する端部を調整するステップとを含む、方法。
[構成2]
前記2つ以上の平面が、前額面、横断面、および矢状面のうちのいずれか2つ以上を含む、構成1に記載の方法。
[構成3]
前記第1中足骨が前記前額面内で回転する、構成1または2のいずれか1項に記載の方法。
[構成4]
前記第1中足骨を動かす前に、軟組織または妨げとなる骨を解放することによって足根骨中足骨関節部位を動かすステップをさらに含む、構成1~3のいずれか1項に記載の方法。
[構成5]
前記力が骨位置付け装置の骨係合部材によって加えられる、構成1~4のいずれか1項に記載の方法。
[構成6]
前記調整するステップが、組織除去器具をガイドの第1ガイド面に並置するステップを含む、構成1~5のいずれか1項に記載の方法。
[構成7]
前記内側楔状骨の前記調整された端部を前記第1中足骨の前記調整された端部と並置するステップをさらに含む、構成1~6のいずれか1項に記載の方法。
[構成8]
前記内側楔状骨と前記第1中足骨の前記併置して調整された端部の間の関節を横切って、または貫通して、少なくとも1つの骨固定デバイスを適用することにより、前記第1中足骨に対し前記内側楔状骨の位置を固定するステップをさらに含む、構成1~7のいずれか1項に記載の方法。
[構成9]
外反母趾変形を矯正する方法であって、
軟組織または妨げとなる骨を解放することにより、足根骨中足骨関節部位を動かすステップと、
第1中足骨に係合する骨係合部材と、前記第1中足骨以外の中足骨に接触する先端部とを有する骨位置付けガイドを使って、前記第1中足骨に力を加えることによって、前記第1中足骨を、第2中足骨に対し解剖学的に整列していない位置から前記第2中足骨に対し解剖学的に整列された位置に動かすステップであって、前記力は、前記第1中足骨を動かして、前額面の軸回りを含む2つ以上の平面での整列を矯正する、動かすステップと、
癒合のために前記第1中足骨の端部を調整するステップと、
癒合のために内側楔状骨の対向する端部を調整するステップと、
前記内側楔状骨と前記第1中足骨の前記併置して調整された端部の間の関節を仮に固定するステップと、
前記内側楔状骨と前記第1中足骨の前記併置して調整された端部の間の前記関節を横切って、または貫通して、少なくとも1つの骨固定デバイスを適用することにより、前記第1中足骨に対し前記内側楔状骨の位置を固定するステップとを含む、方法。
[構成10]
前記第1中足骨の前記端部は、前記第1中足骨が前記解剖学的に整列された位置に動かされる前に調整され、前記内側楔状骨の前記端部は、前記第1中足骨が前記解剖学的に整列された位置に動かされた後に調整される、構成9に記載の方法。
[構成11]
前記第1中足骨の前記端部は、前記第1中足骨が前記解剖学的に整列された位置に動かされた後に調整され、前記内側楔状骨の前記端部は、前記第1中足骨が前記解剖学的に整列された位置に動かされた後に調整される、構成9または10に記載の方法。
[構成12]
前記第1中足骨の前記端部は、前記第1中足骨が前記解剖学的に整列された位置に動かされる前に調整され、前記内側楔状骨の前記端部は、前記第1中足骨が前記解剖学的に整列された位置に動かされる前に調整される、構成9~11のいずれか1項に記載の方法。
[構成13]
前記第1中足骨の前記端部は、前記第1中足骨が前記解剖学的に整列された位置に動かされた後に調整され、前記内側楔状骨の前記端部は、前記第1中足骨が前記解剖学的に整列された位置に動かされる前に調整される、構成9~12のいずれか1項に記載の方法。
[構成14]
前記第1中足骨を動かす前に、前記第1中足骨と前記第2中足骨との間に支持台を挿入することをさらに含み、
前記第1中足骨を前記解剖学的に整列していない位置から前記解剖学的に整列された位置に移動させることは、前記第1中足骨を前記前額面内で回転させることと、前記第1中足骨を前記支持台の周りに横断面内で旋回させることとを含む、構成9~13のいずれか1項に記載の方法。
[構成15]
骨係合部材と、
先端部と、
前記骨係合部材および前記先端部を互いに向って付勢する機構と、
前記機構を作動させるアクチュエータであって、前記機構を作動させることにより、前記骨係合部材と係合した第1の骨を移動させて、前額面の軸回りを含む、前記先端部と接触する第2の骨に対して2つ以上の平面内で前記第1の骨の整列を矯正する、アクチュエータとを含む、骨位置付けガイド。
[構成16]
前記機構は、本体と、前記本体の第1端部に近接して前記本体に移動可能に接続されたシャフトとを含み、
前記骨係合部材は、前記シャフトに回転可能に連結され、前記先端部は、前記第1端部とは反対側の前記本体の第2端部にある、構成15に記載の骨位置付けガイド。
[構成17]
前記先端部がテクスチャ加工された表面を含む、構成15または16に記載の骨位置付けガイド。
[構成18]
前記先端部が先細になっている、構成15~17のいずれか1項に記載の骨位置付けガイド。
[構成19]
前記アクチュエータが、前記シャフトに結合されたノブである、構成15~18のいずれか1項に記載の骨位置付けガイド。
[構成20]
前記シャフトが螺刻されている、構成15~19のいずれか1項に記載の骨位置付けガイド。
[構成21]
前記シャフトが挿管を含む、構成15~20のいずれか1項に記載の骨位置付けガイド。
[構成22]
前記先端部が、挿入の深さを制限するストッパをさらに含む、構成15~21のいずれか1項に記載の骨位置付けガイド。
[構成23]
前記先端部が非直線である、構成15~22のいずれか1項に記載の骨位置付けガイド。
[構成24]
前記骨係合部材が表面を有し、前記表面が前記骨に係合するように構成され、凹形状である、構成15~23のいずれか1項に記載の骨位置付けガイド。
[構成25]
前記骨係合部材は、人間の足の第1中足骨の内側稜と係合するように構成される、構成15~24のいずれか1項に記載の骨位置付けガイド。
[構成26]
前記骨位置付けガイドは、放射線透過性材料で組み立てられる、構成15~25のいずれか1項に記載の骨位置付けガイド。
[構成27]
第1調整面を画定する第1ガイド面および第2調整面を画定する第2ガイド面であって、第1および第2ガイド面は互いにある距離で離間している、第1ガイド面および第2ガイド面と、前記第1ガイド面および前記第2ガイド面の間に配置された開口部とを有する本体と、
前記本体から第1の方向に延在する第1端部および前記本体から第2の方向に延在する第2端部であって、前記第2の方向は前記第1の方向とは異なり、第1端部および第2端部の各々は、固定ピンを受け入れるように構成された固定開口部を含むようにしてなる、第1端部および第2端部とを含む、骨調整ガイド。
[構成28]
前記本体から延在し、2つの対向する骨の間の関節腔内に配置されるように構成されたスペーサをさらに含む、構成27に記載の骨調整ガイド。
[構成29]
前記スペーサは、前記本体と選択的に係合可能である、構成28に記載の骨調整ガイド。
[構成30]
前記スペーサと前記本体とが互いに対して回転可能である、構成28または29に記載の骨調整ガイド。
[構成31]
前記本体と係合可能であり、第1の骨および/または第2の骨まで延在するように構成された組織除去器具位置チェック部材をさらに含む、構成27~30のいずれか1項に記載の骨調整ガイド。
[構成32]
前記第1端部または前記第2端部と係合する調整可能な安定化部材をさらに含む、構成27~31のいずれか1項に記載の骨調整ガイド。
[構成33]
前記調整可能な安定化部材は挿管される、構成32に記載の骨調整ガイド。
[構成34]
前記第2平面は、前記第1平面と平行である、構成27~33のいずれか1項に記載の骨調整ガイド。
[構成35]
前記第1ガイド面から離間して第1調整スロットを画定する第1対向面と、前記第2ガイド面から離間して第2調整スロットを画定する第2対向面とをさらに含む、構成27~34のいずれか1項に記載の骨調整ガイド。
図1
図2
図3A
図3B-3C】
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36