(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】油圧調整ユニット、ブレーキシステム、車両、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B60T 13/138 20060101AFI20240417BHJP
B60T 8/94 20060101ALI20240417BHJP
B60T 8/40 20060101ALI20240417BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B60T13/138 A
B60T8/94
B60T8/40 C
B60T8/17 B
(21)【出願番号】P 2023506039
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2020105346
(87)【国際公開番号】W WO2022021106
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ドーンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン,ウエイミヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ヨーンシュヨン
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-67233(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/100179(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/106846(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/138
B60T 8/94
B60T 8/40
B60T 8/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧調整ユニットであって、当該油圧調整ユニットは、
双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器(107)を含み、前記第1の油圧調整機器(107)は、第1の油圧キャビティ(25)及び第2の油圧キャビティ(27)を含み、前記第1の油圧キャビティ(25)は第1のブレーキ配管(110)と連通しており、前記第2の油圧キャビティ(27)は第2のブレーキ配管(120)と連通しており、前記第1のブレーキ配管(110)及び前記第2のブレーキ配管(120)は、第5のブレーキ配管(150)を使用して互いに連通しており、
前記第1のブレーキ配管(110)は第3のブレーキ配管(130)と連通しており、該第3のブレーキ配管(130)は前記第5のブレーキ配管(150)と連通しており、前記第2のブレーキ配管(120)は、前記第5のブレーキ配管(150)を使用して前記第3のブレーキ配管(130)と連通しており、前記第3のブレーキ配管(130)は、第1の車輪グループ(43,44)にブレーキ力を与えるように構成され、第1の制御弁(32)が、前記第3のブレーキ配管(130)の接続/遮断を制御するために前記第3のブレーキ配管(130)に設けられ、
前記第2のブレーキ配管(120)は第4のブレーキ配管(140)と連通しており、該第4のブレーキ配管(140)は前記第5のブレーキ配管(150)と連通しており、前記第1のブレーキ配管(110)は、前記第5のブレーキ配管(150)を使用して前記第4のブレーキ配管(140)と連通しており、該第4のブレーキ配管(140)は、第2の車輪グループ(45,46)にブレーキ力を与えるように構成され、第2の制御弁(34)が、前記第4のブレーキ配管(140)の接続/遮断を制御するために前記第4のブレーキ配管(140)に設けられる、
油圧調整ユニット。
【請求項2】
第3の制御弁(29)が前記第1のブレーキ配管(110)に設けられ、前記第3の制御弁(29)は、前記第1のブレーキ配管の接続/遮断を制御するように構成される、請求項1に記載の油圧調整ユニット。
【請求項3】
第1の一方向弁(28)が前記第1のブレーキ配管(110)にさらに設けられ、前記第1の一方向弁(28)は前記第3の制御弁(29)と並列に接続され、前記第1の一方向弁(28)によって、前記第1の油圧キャビティ(25)内のブレーキ液が前記第5のブレーキ配管(150)に流れ込むのを可能にし、前記第5のブレーキ配管(150)内のブレーキ液が前記第1の油圧キャビティ(25)に流れ込むのを阻止する、請求項2に記載の油圧調整ユニット。
【請求項4】
第4の制御弁(31)が前記第2のブレーキ配管(120)に設けられ、前記第4の制御弁(31)は、前記第2のブレーキ配管(120)の接続/遮断を制御するように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の油圧調整ユニット。
【請求項5】
第2の一方向弁(30)が前記第2のブレーキ配管(120)にさらに設けられ、前記第2の一方向弁(30)は前記第4の制御弁(31)と並列に接続され、前記第2の一方向弁(30)によって、前記第2の油圧キャビティ(27)内のブレーキ液が前記第5のブレーキ配管(150)に流れ込むのを可能にし、前記第5のブレーキ配管(150)内のブレーキ液が前記第2の油圧キャビティ(27)に流れ込むのを阻止する、請求項4に記載の油圧調整ユニット。
【請求項6】
圧力センサ(33)が、前記第5のブレーキ配管(150)内のブレーキ液の圧力を検出するために、前記第5のブレーキ配管(150)に設けられる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の油圧調整ユニット。
【請求項7】
当該油圧調整ユニットは第2の油圧調整機器(108)をさらに含み、該第2の油圧調整機器(108)は、前記第5のブレーキ配管(150)を使用して、前記第3のブレーキ配管(130)及び前記第4のブレーキ配管(140)と別個に連通して、前記第1の車輪グループ(43,44)及び前記第2の車輪グループ(45,46)にブレーキ力を与える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の油圧調整ユニット。
【請求項8】
ブレーキシステムであって、当該ブレーキシステムは、
第1の車輪グループ(43,44)にブレーキ力を与える第1のブレーキ車輪シリンダ・グループと、第2の車輪グループ(45,46)にブレーキ力を与える第2のブレーキ車輪シリンダ・グループと、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の油圧調整ユニットとを含み、該油圧調整ユニットは、前記第1のブレーキ車輪シリンダ・グループ及び/又は前記第2のブレーキ車輪シリンダ・グループ内のブレーキ液の圧力を調整する、
ブレーキシステム。
【請求項9】
車両であって、当該車両は、
第1の車輪グループ(43,44)、第2の車輪グループ(45,46)、及び請求項1乃至7のいずれか一項に記載の油圧調整ユニットを含み、
前記油圧調整ユニットは、前記第1の車輪グループ(43,44)及び/又は前記第2の車輪グループ(45,46)にブレーキ力を与える、
車両。
【請求項10】
ブレーキシステムの制御方法であって、
前記ブレーキシステムは双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器(107)を含み、該第1の油圧調整機器(107)は第1の油圧キャビティ(25)及び第2の油圧キャビティ(27)を含み、前記第1の油圧キャビティ(25)は第1のブレーキ配管(110)と連通しており、前記第2の油圧キャビティ(27)は第2のブレーキ配管(120)と連通しており、前記第1のブレーキ配管(110)及び前記第2のブレーキ配管(120)は、第5のブレーキ配管(150)を使用して互いに連通しており、
前記第1のブレーキ配管(110)は第3のブレーキ配管(130)と連通しており、該第3のブレーキ配管(130)は前記第5のブレーキ配管(150)と連通しており、前記第2のブレーキ配管(120)は、前記第5のブレーキ配管(150)を使用して前記第3のブレーキ配管(130)と連通しており、前記第3のブレーキ配管(130)は、第1の車輪グループ(43,44)にブレーキ力を与えるように構成され、第1の制御弁(32)が、前記第3のブレーキ配管(130)の接続/遮断を制御するために、前記第3のブレーキ配管(130)に設けられ、
前記第2のブレーキ配管(120)は第4のブレーキ配管(140)と連通しており、該第4のブレーキ配管(140)は前記第5のブレーキ配管(150)と連通しており、前記第1のブレーキ配管(110)は、前記第5のブレーキ配管(150)を使用して前記第4のブレーキ配管(140)と連通しており、前記第4のブレーキ配管(140)は、第2の車輪グループ(45,46)にブレーキ力を与えるように構成され、第2の制御弁(34)が、前記第4のブレーキ配管(140)の接続/遮断を制御するために、前記第4のブレーキ配管(140)に設けられ、
当該制御方法は、
コントローラが、制御命令を生成するステップであって、該制御命令は、前記第1の制御弁(32)及び/又は前記第2の制御弁(34)の開閉状態を制御するために使用される、ステップと、
前記コントローラが、前記制御命令を前記第1の制御弁(32)及び/又は前記第2の制御弁(34)に送信するステップと、を含む、
制御方法。
【請求項11】
コントローラが、制御命令を生成する前記ステップは、
前記コントローラが、前記制御命令を生成するステップであって、前記制御命令は、前記第1の制御弁(32)を閉じた状態に制御し、前記第2の制御弁(34)を開いた状態に制御するために使用され、それによって前記第1の油圧キャビティ(25)は、互いに連通する前記第1のブレーキ配管(110)及び前記第5のブレーキ配管(150)を使用してブレーキ液を前記第4のブレーキ配管(140)に押し込んで、前記第2の車輪グループ(45,46)にブレーキ力を与え、前記第2の油圧キャビティ(27)は、互いに連通する前記第2のブレーキ配管(120)及び前記第4のブレーキ配管(140)を使用して前記第2の車輪グループ(45,46)にブレーキ力を与える、請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
コントローラが、制御命令を生成する前記ステップは、
前記ブレーキシステム内にあり且つ前記第1の車輪グループ(43,44)にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、前記コントローラが、前記制御命令を生成するステップを含み、前記制御命令は、前記第1の制御弁を(32)を閉じた状態に制御し、前記第2の制御弁(34)を開いた状態に制御するために使用される、請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記ブレーキシステム内にあり且つ前記第1の車輪グループ(43,44)にブレーキ力を与える前記ブレーキ配管は、前記ブレーキシステム内の前記第1のブレーキ配管(110)以外のブレーキ配管を含み、
前記制御方法は、
前記コントローラが、駆動機器(23)を使用して、前記油圧調整機器(107)のピストン(26)を前記油圧調整機器(107)の油圧シリンダの内壁に沿って前進させて、前記第2の車輪グループ(45,46)にブレーキ力を与えるステップと、
前記コントローラが、前記駆動機器(23)を使用して、前記ピストン(26)を前記油圧シリンダの前記内壁に沿って後退させて、前記第2の車輪グループ(45,46)にブレーキ力を与えるステップと、をさらに含む、請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
制御機器であって、請求項10乃至
13のいずれか一項に記載の制御方法を行うための、処理ユニット及び送信ユニットを含む、制御機器。
【請求項15】
少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含むコントローラであって、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記メモリに結合され、前記メモリ内の命令を読み取って実行し、請求項10乃至
13のいずれか一項に記載の制御方法を行うように構成される、コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、車両分野に関し、より具体的には、油圧調整ユニット、ブレーキシステム、車両、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のブレーキシステムは、車両のホイール(wheel:車輪)にブレーキ力を加えて車両にある程度ブレーキをかけるシステムである。ブレーキシステムは、運転者又はコントローラの要求に基づいて走行中の車両を減速又はさらに停止させる、又は様々な道路状況(例えば、坂道)で停止した車両を安定化させる、又は下り坂を走行する車両の速度を安定化させるために使用される。
【0003】
一般的なブレーキシステムとして、電気油圧式ブレーキ(Electro-Hydraulic brake, EHB)システムは、一般に、デュアル・ループ・ブレーキシステム及び分散ブレーキシステムを含む。デュアル・ループ・ブレーキシステムの場合に、油圧調整機器は、第1のブレーキ配管(pipeline)を使用して第1の車輪グループにブレーキ力を与えるように構成され、油圧調整機器は、第2のブレーキ配管を使用して第2の車輪グループにブレーキ力を与える。現在、双方向加圧機能を有する油圧調整機器が、一般的に、上記デュアル・ループ・ブレーキシステムにおける油圧調整機器として使用される。
【0004】
従来のデュアル・ループ・ブレーキシステムでは、第1のブレーキ配管は第2のブレーキ配管と連通している。この場合に、双方向加圧機能を有する油圧調整機器の順方向加圧(forward pressurization)過程において、油圧調整機器の第2の油圧キャビティが、第2のブレーキ配管を使用して、ブレーキ液を、第2の車輪グループが位置するブレーキ配管に入力して、第2の車輪グループにブレーキ力を与える。第2のブレーキ配管が第1のブレーキ配管と連通しているため、第2のブレーキ配管内のブレーキ液も第1のブレーキ配管に流れ込み、ブレーキ液は、第1のブレーキ配管を使用して、第1の車輪グループが位置するブレーキループに流れ込み、第1の車輪グループにブレーキ力を与える。
【0005】
対応して、逆方向加圧(backward pressurization)過程において、油圧調整機器の第1の油圧キャビティは、第1のブレーキ配管を使用して、ブレーキ液を、第1の車輪グループが位置するブレーキループに流し込み、第1の車輪グループにブレーキ力を与える。第1のブレーキ配管が第2のブレーキ配管と連通しているため、第1のブレーキ配管内のブレーキ液は第2のブレーキ配管にも流れ込み、ブレーキ液は、第2のブレーキ配管を使用して、第2の車輪グループが位置するブレーキループに流れ込み、第2の車輪グループにブレーキ力を与える。
【0006】
しかしながら、上述のデュアル・ループ・ブレーキシステムでは、第1の車輪グループが位置するブレーキループ又は第2の車輪グループが位置するブレーキループのブレーキ液が漏れた後に、双方向加圧機能を有する油圧調整機器は、順方向加圧過程及び逆方向加圧過程を使用して、正常に(normally)動作し得るブレーキループにブレーキ力を与えることはできない。これは、正常に作動するブレーキループに対する双方向加圧機能を有する油圧調整機器の加圧効率を制限する。
【発明の概要】
【0007】
本願は、油圧調整ユニット、ブレーキシステム、車両、及び制御方法を提供し、これらは、デュアルブレーキループのいずれかのブレーキループを双方向加圧方法で独立して加圧し、正常に動作するブレーキループに対する双方向加圧機能を有する油圧調整機器の加圧効率を高めるのに役立つ。
【0008】
第1の態様によれば、双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器107を含む油圧調整ユニットが提供される。第1の油圧調整機器107は、第1の油圧キャビティ25及び第2の油圧キャビティ27を含み、第1の油圧キャビティ25は第1のブレーキ配管110と連通しており、第2の油圧キャビティ27は第2のブレーキ配管120と連通しており、第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120は、第5のブレーキ配管150を使用して互いに連通している。第1のブレーキ配管110は第3のブレーキ配管130と連通しており、第3のブレーキ配管130は第5のブレーキ配管150と連通しており、第2のブレーキ配管120は、第5のブレーキ配管150を使用して第3のブレーキ配管130と連通しており、第3のブレーキ配管130は第1の車輪グループ43、44(first group of wheels 43, 44)にブレーキ力を与え、第1の制御弁32が、第3のブレーキ配管130の接続/遮断を制御するために、第3のブレーキ配管130に設けられる。第2のブレーキ配管120は第4のブレーキ配管140と連通しており、第4のブレーキ配管140は第5のブレーキ配管150と連通しており、第1のブレーキ配管110は、第5のブレーキ配管150を使用して第4のブレーキ配管140と連通しており、第4のブレーキ配管140は第2の車輪グループ45、46(second group of wheels 45, 46)にブレーキ力を与え、第2の制御弁34が、第4のブレーキ配管140の接続/遮断を制御するために、第4のブレーキ配管140に設けられる。
【0009】
本願のこの実施形態では、第1の油圧キャビティ25は、第1のブレーキ配管110を使用して、第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140と別々に連通しており、第2の油圧キャビティ27は、第2のブレーキ配管120を使用して、第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140と別々に連通しており、第1の制御弁32及び第2の制御弁34が、第3のブレーキ配管120と第4のブレーキ配管140との間の接続/遮断を制御するために、第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140にそれぞれ設けられ、それによって第1の油圧調整機器107は、第3のブレーキ配管130を双方向加圧方法で使用して、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えることができる、又は第1の油圧調整機器107は、第4のブレーキ配管140を双方向加圧方法で使用して、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えることができる。
【0010】
さらに、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるように構成された第1のブレーキループ105が漏れた場合に、第1の制御弁32は閉じた状態に制御され得、第2の制御弁34は開いた状態に制御され得る。この場合に、第1の油圧調整機器107は、双方向加圧過程を使用して、第2の車輪グループ45、46に依然としてブレーキ力を与えることができる。対応して、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるように構成された第2のブレーキループ106が漏れた場合に、第2の制御弁34は閉じた状態に制御され得、第1の制御弁32は開いた状態に制御され得る。この場合に、第1の油圧調整機器107は、双方向加圧過程を使用して、第1の車輪グループ43、44に依然としてブレーキ力を与えることができる。従って、第1のブレーキループ105又は第2のブレーキループ106が漏れた場合に、第1の油圧調整機器107は、対応する車輪に双方向加圧方法でブレーキ力を与えて、ブレーキシステムの加圧効率を高めることが保証される。
【0011】
可能な実施態様では、第3の制御弁29が第1のブレーキ配管110に設けられ、第3の制御弁29は、第1のブレーキ配管110の接続/遮断を制御するように構成される。
【0012】
本願のこの実施形態では、第3の制御弁29が、第1のブレーキ配管110に設けられて、第1の油圧調整機器107と協働して逆方向加圧を実施する。
【0013】
可能な実施態様では、第1の一方向弁28が第1のブレーキ配管110にさらに設けられ、第1の一方向弁28は第3の制御弁29と並列に接続され、第1の一方向弁28によって、第1の油圧キャビティ25内のブレーキ液が第5のブレーキ配管150に流れ込むのを可能にし、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液が第1の油圧キャビティ25に流れ込むのを阻止する。
【0014】
本願のこの実施形態では、第3の制御弁29は、第1の一方向弁28の両端に並列に接続され、それによって一方向弁は、ブレーキシステムの冗長性能を高めるために、制御弁のバックアップとして使用される。
【0015】
可能な実施態様では、第4の制御弁31が第2のブレーキ配管120に設けられ、第4の制御弁31は、第2のブレーキ配管120の接続/遮断を制御するように構成される。
【0016】
本願のこの実施形態では、第4の制御弁31が、第2のブレーキ配管120に設けられて、第1の油圧調整機器107と協働して逆方向加圧を実施する。
【0017】
可能な実施態様では、第2の一方向弁30が第2のブレーキ配管120にさらに設けられ、第2の一方向弁30は第4の制御弁31と並列に接続され、第2の一方向弁30によって、第2の油圧キャビティ27内のブレーキ液が第5のブレーキ配管150に流れ込むのを可能にし、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液が第2の油圧キャビティ27に流れ込むのを阻止する。
【0018】
本願のこの実施形態では、第4の制御弁31は、第2の一方向弁30の両端と並列に接続され、それによって一方向弁は、ブレーキシステムの冗長性能を高めるために、制御弁のバックアップとして使用される。
【0019】
可能な実施態様では、圧力センサ33が、第5のブレーキ配管150に設けられて、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液の圧力を検出する。
【0020】
本願のこの実施形態では、圧力センサ33が、第5のブレーキ配管150に設けられて、圧力センサ33を使用して第5のブレーキ配管150内のブレーキ液の圧力を検出し、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液の圧力を検出することにより、第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120内のブレーキ液の圧力を検出し、ブレーキシステムの圧力センサの数量を減らし、ブレーキシステムのコストを削減する。
【0021】
可能な実施態様では、油圧調整ユニットは、第2の油圧調整機器108をさらに含み、第2の油圧調整機器108は、第5のブレーキ配管150を使用して、第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140と別々に連通して、第1の車輪グループ43、44及び第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0022】
本願のこの実施形態では、第2の油圧調整機器108は、第5のブレーキ配管150に設けられる。このようにして、第2の油圧調整機器108は、第5のブレーキ配管150、第3のブレーキ配管130、及び第4のブレーキ配管140を使用して、第1の車輪グループ43、44及び第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を別々に与える、すなわち、第1の油圧調整機器107内にあり且つ第1の車輪グループ43、44及び第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるブレーキ配管は再利用される。これは、第2の油圧調整機器108を使用してブレーキシステムの冗長性能を高めながら、ブレーキ配管の数量を簡素化するのに役立つ。
【0023】
第2の態様によれば、ブレーキシステムが提供され、このブレーキシステムは、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える第1のブレーキ車輪シリンダ・グループと、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える第2のブレーキ車輪シリンダ・グループと、第1の態様の可能な実施態様のいずれか1つの油圧調整ユニットとを含み、油圧調整ユニットは、第1のブレーキ車輪シリンダ・グループ及び/又は第2のブレーキ車輪シリンダ・グループのブレーキ液の圧力を調整する。
【0024】
第3の態様によれば、車両が提供され、この車両は、第1の車輪グループ43、44、第2の車輪グループ45、46、及び第1の態様による油圧調整ユニットを含み、油圧調整ユニットは、第1の車輪グループ43、44及び/又は第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0025】
第4の態様によれば、ブレーキシステムの制御方法が提供され、ブレーキシステムは、双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器107を含む。第1の油圧調整機器107は、第1の油圧キャビティ25及び第2の油圧キャビティ27を含み、第1の油圧キャビティ25は第1のブレーキ配管110と連通しており、第2の油圧キャビティ27は第2のブレーキ配管120と連通しており、第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120は、第5のブレーキ配管150を使用して互いに連通している。第1のブレーキ配管110は第3のブレーキ配管130と連通しており、第3のブレーキ配管130は第5のブレーキ配管150と連通しており、第2のブレーキ配管120は、第5のブレーキ配管150を使用して第3のブレーキ配管130と連通しており、第3のブレーキ配管130は第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与え、第1の制御弁32が、第3のブレーキ配管130の接続/遮断を制御するために、第3のブレーキ配管130に設けられる。第2のブレーキ配管120は第4のブレーキ配管140と連通しており、第4のブレーキ配管140は第5のブレーキ配管150と連通しており、第1のブレーキ配管110は、第5のブレーキ配管150を使用して第4のブレーキ配管140と連通しており、第4のブレーキ配管140は第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与え、第2の制御弁34が、第4のブレーキ配管140の接続/遮断を制御するために、第4のブレーキ配管140に設けられる。第2の油圧キャビティ27は、互いに連通する第2のブレーキ配管120及び第3のブレーキ配管130を使用して、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与え、第2の油圧キャビティ27は、互いに連通する第2のブレーキ配管120及び第4のブレーキ配管140を使用して、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。制御方法は、コントローラが、制御命令を生成するステップであって、制御命令は、第1の制御弁32及び/又は第2の制御弁34の開閉状態を制御するために使用される、ステップと、コントローラが、制御命令を第1の制御弁32及び/又は第2の制御弁34に送信するステップと、を含む。
【0026】
本願のこの実施形態では、第1の油圧キャビティ25は、第1のブレーキ配管110を使用して、第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140と別々に連通しており、第2の油圧キャビティ27は、第2のブレーキ配管120を使用して第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140と別々に連通しており、第1の制御弁32及び第2の制御弁34が、第3のブレーキ配管120と第4のブレーキ配管140との間の接続/遮断を制御するために、第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140にそれぞれ設けられ、それによって第1の油圧調整機器107は、第3のブレーキ配管130を双方向加圧方法で使用して、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えることができる、又は第1の油圧調整機器107は、第4のブレーキ配管140を双方向加圧方法で使用して、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えることができる。
【0027】
さらに、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるように構成された第1のブレーキループ105が漏れた場合に、第1の制御弁32は閉じた状態に制御され得、第2の制御弁34は開いた状態に制御され得る。この場合に、第1の油圧調整機器107は、双方向加圧過程を使用して、第2の車輪グループ45、46に依然としてブレーキ力を与えることができる。対応して、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるように構成された第2のブレーキループ106が漏れた場合に、第2の制御弁34は閉じた状態に制御され得、第1の制御弁32は開いた状態に制御され得る。この場合に、第1の油圧調整機器107は、双方向加圧過程を使用して、第1の車輪グループ43、44に依然としてブレーキ力を与えることができる。従って、第1のブレーキループ105又は第2のブレーキループ106が漏れた場合に、第1の油圧調整機器107が対応する車輪に双方向加圧方法でブレーキ力を与えて、ブレーキシステムの加圧効率を高めることが保証される。
【0028】
可能な実施態様では、コントローラが、制御命令を生成するステップは、
コントローラが、制御命令を生成するステップを含み、制御命令は、第1の制御弁32を閉じた状態に制御し、第2の制御弁34を開いた状態に制御するために使用され、それによって第1の油圧キャビティ25は、互いに連通する第1のブレーキ配管110及び第5のブレーキ配管150を使用してブレーキ液を第4のブレーキ配管140に押し込み、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与え、第2の油圧キャビティ27は、互いに連通する第2のブレーキ配管120及び第4のブレーキ配管140を使用して、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0029】
本願のこの実施形態では、第1の制御弁32は閉じた状態に制御され得、第2の制御弁34は開いた状態に制御され得る。この場合に、第1の油圧調整機器107は、双方向加圧過程を使用して第2の車輪グループ45、46に依然としてブレーキ力を与えて、ブレーキシステムの加圧効率を高めることができる。
【0030】
可能な実施態様では、コントローラが、制御命令を生成するステップは、
ブレーキシステム内にあり且つ第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、コントローラが、制御命令を生成するステップであって、制御命令は、第1の制御弁32を閉じた状態に制御し、第2の制御弁34を開いた状態に制御するために使用される、ステップを含む。
【0031】
本願のこの実施形態では、ブレーキシステム内にあり且つ第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、第1の制御弁32は閉じた状態に制御され得、第2の制御弁34は開いた状態に制御され得る。この場合に、第1の油圧調整機器107は、双方向加圧過程を使用して第2の車輪グループ45、46に依然としてブレーキ力を与えて、ブレーキシステムの加圧効率を高めることができる。
【0032】
可能な実施態様では、ブレーキシステム内にあり且つ第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるブレーキ配管は、ブレーキシステム内の第1のブレーキ配管110以外のブレーキ配管を含み、この方法は、コントローラが、駆動機器23使用して、第1の油圧調整機器107のピストン26を第1の油圧調整機器107の油圧シリンダの内壁に沿って前進させて、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるステップと、コントローラが、駆動機器23を使用して、ピストン26を油圧シリンダの内壁に沿って後退させて、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるステップと、を含む。
【0033】
本願のこの実施形態では、ブレーキシステム内にあり且つ第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるブレーキ配管が、ブレーキシステム内に第1のブレーキ配管110以外のブレーキ配管を含む場合に、ブレーキシステム内にあり且つ第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、駆動機器23は、ピストン26を制御して、油圧調整機器107の油圧シリンダの内壁に沿って前進又は後退させて、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与え、ブレーキシステムの加圧効率を高めることができる。
【0034】
可能な実施態様では、コントローラが、制御命令を生成するステップは、
コントローラが、制御命令を生成するステップを含み、制御命令は、第2の制御弁34を閉じた状態に制御し、第1の制御弁32を開いた状態に制御するために使用され、それによって第2の油圧キャビティ27は、互いに連通する第2のブレーキ配管120及び第5のブレーキ配管150を使用して、ブレーキ液を第3のブレーキ配管130に押し込んで、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与え、第1の油圧キャビティ25は、互いに連通する第1のブレーキ配管110及び第3のブレーキ配管130を使用して、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。
【0035】
本願のこの実施形態では、第1の制御弁32は開いた状態に制御され得、第2の制御弁34は閉じた状態に制御され得る。この場合に、第1の油圧調整機器107は、双方向加圧過程を使用して第1の車輪グループ43、44に依然としてブレーキ力を与えて、ブレーキシステムの加圧効率を高めることができる。
【0036】
可能な実施態様では、コントローラが、制御命令を生成するステップは、
ブレーキシステム内にあり且つ第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、コントローラが、制御命令を生成するステップを含み、制御命令は、第2の制御弁34を閉じた状態に制御し、第1の制御弁32を開いた状態に制御するために使用される。
【0037】
本願のこの実施形態では、ブレーキシステム内にあり且つ第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、第1の制御弁32が開いた状態に制御され得、第2の制御弁34が閉じた状態に制御され得る。この場合に、第1の油圧調整機器107は、双方向加圧過程を使用して第1の車輪グループ43、44に依然としてブレーキ力を与えて、ブレーキシステムの加圧効率を高めることができる。
【0038】
可能な実施態様では、ブレーキシステム内にあり且つ第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるブレーキ配管は、ブレーキシステム内の第2のブレーキ配管120以外のブレーキ配管を含み、この方法は、コントローラが、駆動機器23使用して、第1の油圧調整機器107のピストン26を第1の油圧調整機器107の油圧シリンダの内壁に沿って前進させて、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるステップと、コントローラが、駆動機器23を使用して、ピストン26を油圧シリンダの内壁に沿って後退させて、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるステップと、を含む。
【0039】
本願のこの実施形態では、ブレーキシステム内にあり且つ第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるブレーキ配管が、ブレーキシステム内の第2のブレーキ配管120以外のブレーキ配管を含む場合であって、ブレーキシステム内にあり且つ第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、駆動機器23は、ピストン26を制御して、油圧調整機器107の油圧シリンダの内壁に沿って前進又は後退させて、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えて、ブレーキシステムの加圧効率を高めることができる。
【0040】
可能な実施態様では、第3の制御弁29が第1のブレーキ配管110に設けられ、第3の制御弁29は、第1のブレーキ配管110の接続/遮断を制御するように構成される。この方法は、第1の車輪43、44及び/又は第2の車輪45、46を減圧する必要がある場合に、コントローラが、第3の制御弁29を開いた状態に制御するステップを含む。
【0041】
本願のこの実施形態では、第3の制御弁29は、第1のブレーキ配管110に設けられて、第1のブレーキ配管110の接続/遮断を制御し、第1のブレーキ配管110と協働して、油圧調整機器107を減圧する。
【0042】
可能な実施態様では、第4の制御弁31が第2のブレーキ配管120に設けられ、第4の制御弁31は、第2のブレーキ配管120の接続/遮断を制御するように構成される。この方法は、第1の車輪43、44及び/又は第2の車輪45、46を減圧する必要がある場合に、コントローラが、第4の制御弁31を開いた状態に制御するステップを含む。
【0043】
本願のこの実施形態では、第4の制御弁31は、第2のブレーキ配管120に設けられて、第4の制御弁31使用して第2のブレーキ配管120の接続/遮断を制御し、第1の油圧調整機器107と協働して、ブレーキシステムを減圧する。
【0044】
第5の態様によれば、制御機器が提供され、制御機器は処理ユニット及び送信ユニットを含み、送信ユニットは制御命令を送信するように構成され、処理ユニットは制御命令を生成するように構成され、それによって制御機器は、第3の態様の可能な実施態様のいずれか1つの制御方法を行う。
【0045】
オプションで、コントローラは、車両内の独立したコントローラであってもよく、又は車両内の制御機能を有するチップであってもよい。処理ユニットはプロセッサであってもよく、送信ユニットは通信インターフェイスであってもよい。
【0046】
オプションで、コントローラは記憶ユニットをさらに含んでもよく、記憶ユニットはコントローラ内のメモリであってもよく、メモリはチップ内の記憶ユニット(例えば、レジスタ又はキャッシュ)であってもよく、或いはチップの外部にあり且つ車両内にある記憶ユニット(例えば、読み取り専用メモリ又はランダムアクセスメモリ)であってもよい。
【0047】
コントローラ内のメモリは、プロセッサに結合されることに留意されたい。メモリがプロセッサに結合されるということは、メモリがプロセッサ内に配置される、又はメモリが、プロセッサ外に配置され、従ってプロセッサから独立しているように理解することができる。
【0048】
第6の態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータプログラム製品はコンピュータプログラムコードを含み、コンピュータプログラムコードがコンピュータ上で実行されると、コンピュータは前述の態様の方法を行うことができる。
【0049】
前述のコンピュータプログラムコードの全部又は一部は、第1の記憶媒体に記憶され得ることに留意されたい。第1の記憶媒体は、プロセッサと共にカプセル化してもよく、又はプロセッサとは別個にカプセル化してもよい。これは、本願のこの実施形態では特に限定されない。
【0050】
第7の態様によれば、コンピュータ可読媒体が提供され、コンピュータ可読媒体はプログラムコードを格納し、コンピュータプログラムコードがコンピュータ上で実行されると、コンピュータは前述の態様の方法を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】従来のデュアル・ループ・ブレーキシステム100の概略図である。
【
図2】本願の一実施形態による油圧調整ユニット200の概略図である。
【
図3】本願の一実施形態による油圧調整ユニット300の概略図である。
【
図4】本願の一実施形態による油圧調整ユニット400の概略図である。
【
図5】本願の一実施形態による、貯液機器1と第1の油圧調整機器107との間の接続方法の概略図である。
【
図6】本願の一実施形態によるブレーキシステムの概略図である。
【
図7】本願の一実施形態による制御方法の概略フローチャートである。
【
図8】本願の一実施形態による制御機器の概略図である。
【
図9】本願の別の実施形態によるコントローラの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下では、添付の図面を参照して本願の技術的解決策について説明する。
【0053】
図1は、従来のデュアル・ループ・ブレーキシステム100の概略図である。デュアル・ループ・ブレーキシステム100は、双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器107を含む。具体的には、第1の油圧調整機器107の油圧シリンダは、ピストン26によって第1の油圧キャビティ25及び第2の油圧キャビティ27に分離される。第1の油圧キャビティ25は第1のブレーキ配管110と連通しており、第1のブレーキ配管110は、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるために、第1のブレーキループ105と連通している。第2の油圧キャビティ27は第2のブレーキ配管120と連通しており、第2のブレーキ配管120は、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるために、第2のブレーキループ106と連通している。
【0054】
デュアル・ループ・ブレーキシステム100において、第1のブレーキ配管110は、制御弁1使用して第2のブレーキ配管120と連通している。制御弁1が開いた状態にあるときに、第1のブレーキ配管110は第2のブレーキ配管120と連通している。制御弁1が閉じた状態にあるときに、第1のブレーキ配管110は、第2のブレーキ配管120から遮断される。
【0055】
順方向加圧過程では、駆動機器23が、ピストン26を左方向に移動させて第2の油圧キャビティ27の空間を圧縮し、第2のブレーキ配管120を使用して第2の油圧キャビティ27内のブレーキ液を、第2の車輪グループ45、46が位置するブレーキループ106に押し込み、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。制御弁1が開いた状態にあるときに、第2のブレーキ配管120内のブレーキ液の一部も、第1のブレーキ配管110に流れ込み、第1のブレーキ配管110を使用して、第1の車輪グループ43、44が位置するブレーキループ105に流れ込み、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。
【0056】
逆方向加圧過程では、駆動機器23が、ピストン26を右方向に移動させて第1の油圧キャビティ25の空間を圧縮し、第1のブレーキ配管110使用して第1の油圧キャビティ25内のブレーキ液を、第1の車輪グループ43、44が位置するブレーキループ105に押し込み、第1の車輪グループにブレーキ力を与える。制御弁1が開いた状態にあるときに、第1のブレーキ配管110内のブレーキ液の一部も、第2のブレーキ配管120に流れ込み、第2のブレーキ配管120を使用して第2の車輪グループ45、46が位置するブレーキループ106に流れ込み、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0057】
しかしながら、前述のデュアル・ループ・ブレーキシステムでは、第1の車輪グループが位置するブレーキループ105又は第2の車輪グループが位置するブレーキループ106内のブレーキ液が漏れた後に、双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器は、双方向加圧過程を使用して、正常に作動し得るブレーキループにブレーキ力を与えることができない。これにより、正常に作動するブレーキループに対する双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器107の加圧効率が制限される。
【0058】
第1の車輪グループ43、44が位置するブレーキループ105内のブレーキ液が漏れ、第2の車輪グループ45、46が位置するブレーキループが正常に作動すると仮定する。第1の油圧調整機器107が第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えることができるのを保証するために、制御弁1は閉じた状態になるように制御され、駆動機器23は、ピストン26を左方向(つまり、順方向加圧)に動かして、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるように制御される。この場合に、第1の油圧調整機器107は、逆方向加圧過程を使用して、第2の車輪グループ45、46が位置するブレーキループを加圧することができない。
【0059】
第2の車輪グループ45、46が位置するブレーキループ106内のブレーキ液が漏れ、第1の車輪グループ43、44が位置するブレーキループが正常に作動すると仮定する。第1の油圧調整機器107が第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えることができるのを保証するために、制御弁1は閉じた状態になるように制御され、駆動機器23は、ピストン26を右方向(つまり、逆方向加圧)に動かして、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるように制御される。この場合に、第1の油圧調整機器107は、順方向加圧過程を使用して、第1の車輪グループ43、44が位置するブレーキループを加圧することができない。
【0060】
従って、前述の問題を回避するために、本願は、新しい油圧調整ユニットを提供する。第1の制御弁32が、第1のブレーキループ105上の第3のブレーキ配管130に設けられ、第3のブレーキ配管130の接続/遮断を制御する。さらに、第2の制御弁34が、第2のブレーキループ106上の第4のブレーキ配管140に設けられ、第4のブレーキ配管140の接続/遮断を制御する。第3のブレーキ配管130は、第1のブレーキループ105上にあり且つ第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120と連通するブレーキ配管であり、第4のブレーキ配管140は、第2のブレーキループ106上にあり且つ第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120と連通するブレーキ配管である。
【0061】
以下では、
図2を参照して、本願の実施形態における油圧調整ユニットの構造について説明する。
図2は、本願の一実施形態による油圧調整ユニット200の概略図である。
図2に示される油圧調整ユニット200内にあり且つブレーキシステム100の要素と同じ機能を有する要素は、同じ番号を付していることを理解すべきである。簡潔にするために、詳細については以下で再び説明しない。
【0062】
第1の油圧調整ユニット200は、双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器107、第1のブレーキ配管110、第2のブレーキ配管120、第3のブレーキ配管130、第4のブレーキ配管140、第1の制御弁32、及び第2の制御弁34を含む。双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器107は、第1の油圧キャビティ25及び第2の油圧キャビティ27を含む。第1の油圧キャビティ25は、第1のブレーキ配管110と連通している。第2の油圧キャビティ27は、第2のブレーキ配管120と連通している。第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120は、第5のブレーキ配管150を使用して互いに連通している。
【0063】
第1のブレーキ配管110は第3のブレーキ配管130と連通しており、第3のブレーキ配管130は第5のブレーキ配管150と連通しており、第2のブレーキ配管120は、第5のブレーキ配管150を使用して第3のブレーキ配管130と連通しており、第3のブレーキ配管130は第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与え、第1の制御弁32は、第3のブレーキ配管130に設けられて、第3のブレーキ配管130の接続/遮断を制御する。
【0064】
第2のブレーキ配管120は第4のブレーキ配管140と連通しており、第4のブレーキ配管140は第5のブレーキ配管150と連通しており、第1のブレーキ配管110は、第5のブレーキ配管150を使用して第4のブレーキ配管140と連通しており、第4のブレーキ配管140は第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与え、第2の制御弁34は、第4のブレーキ配管140に設けられて、第4のブレーキ配管140の接続/遮断を制御する。
【0065】
換言すれば、第1の制御弁32が閉じた状態にあるときに、第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120内のブレーキ液は、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるために、第3のブレーキ配管130を通って流れることができない。第2の制御弁34が閉じた状態にあるときに、第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120内のブレーキ液は、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるために、第4のブレーキ配管140を通って流れることができない。
【0066】
本願のこの実施形態では、第1の油圧キャビティ25は、第1のブレーキ配管110を使用して、第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140と別々に連通しており、第2の油圧キャビティ27は、第2のブレーキ配管120使用して、第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140と別々に連通しており、第1の制御弁32及び第2の制御弁34は、第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140にそれぞれ設けられて、第3のブレーキ配管120と第4のブレーキ配管140との間の接続/遮断を制御し、それによって第1の油圧調整機器107は、第3のブレーキ配管130を双方向加圧方法で使用して、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えることができる、又は第1の油圧調整機器107は、第4のブレーキ配管140を双方向加圧方法で使用して、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えることができる。
【0067】
第1のブレーキループ105に漏れがあり、第2のブレーキループ106が正常に作動することができると仮定する。第1の制御弁32を閉じた状態にするように制御してもよく、第2の制御弁34を開いた状態にするように制御してもよい。順方向加圧過程において、第2の油圧キャビティ27内のブレーキ液は、第2のブレーキ配管120を使用して第4のブレーキ配管140に流れ込み、第4のブレーキ配管140を使用して第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。逆方向加圧過程では、第1の油圧キャビティ25内のブレーキ液は、第1のブレーキ配管110を使用して第4のブレーキ配管140に流れ込み、第4のブレーキ配管140を使用して第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0068】
第2のブレーキループ106に漏れがあり、第1のブレーキループ105が正常に作動することができると仮定する。第2の制御弁34を閉じた状態にするように制御してもよく、第1の制御弁32を開いた状態にするように制御してもよい。順方向加圧過程では、第2の油圧キャビティ27内のブレーキ液は、第2のブレーキ配管120を使用して第3のブレーキ配管130に流れ込み、第3のブレーキ配管130を使用して第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。逆方向加圧過程では、第1の油圧キャビティ25内のブレーキ液は、第1のブレーキ配管110を使用して第3のブレーキ配管130に流れ込み、第3のブレーキ配管130を使用して第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。
【0069】
オプションで、第1の車輪グループ43、44は、車両の右前輪及び左前輪を含むことができ、第2の車輪グループ45、46は、車両の右後輪及び左後輪を含むことができる。この場合に、油圧調整ユニットは、車両内にH字型に配置されていると理解することができる。あるいはまた、第1の車輪グループ43、44は、車両の右前輪及び左後輪を含むことができ、第2の車輪グループ45、46は、車両の右後輪及び左前輪を含むことができる。この場合に、油圧調整ユニットは、車両内にX字状に配置されていると理解することができる。
【0070】
図2は、双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器の可能な構造のみを示していると理解すべきである。本願のこの実施形態では、双方向加圧機能を有する第1の油圧調整機器及び他の構造を使用することができる。これは、本願のこの実施形態では限定されない。
【0071】
第1の油圧調整機器107の加圧過程において、第1の油圧キャビティ25又は第2の油圧キャビティ27のいずれがブレーキ力を与えるかに関係なく、ピストンが動くときに存在する抵抗を減らすために、ブレーキ力を与える油圧キャビティが、ブレーキ液の一部を他方の油圧キャビティに押し込み、2つの油圧キャビティの間の圧力差を減らすために必要である。従って、第5のブレーキ配管150が第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120と連通しているので、2つの油圧キャビティの間の圧力差をさらに減らすことができる。
【0072】
確かに、ピストンが移動するときに存在する抵抗を減らす必要がない場合に、第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120は、2つの独立したブレーキ配管であってもよい。
図2を参照して、以下では、本願のこの実施形態における第1の油圧キャビティ25と第2の油圧キャビティ27との間の圧力差を減らす解決策について具体的に説明する。
【0073】
図2を参照すると、順方向加圧過程では、駆動機器23が、ピストン26を左方向に移動させて、第2の油圧キャビティ27の容積を圧縮し、第1の油圧キャビティ25の容積を増大させる。この場合に、第2の油圧キャビティ27内のブレーキ液が第2のブレーキ配管120内に押し込まれる。第2のブレーキ配管120内のブレーキ液の一部が、第4のブレーキ配管140に流れ込み、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。第2のブレーキ配管120内のブレーキ液の別の部分が、第5のブレーキ配管150に流れ込む。対応して、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液の一部が、第1のブレーキ配管110を使用して第1の油圧キャビティ25に流れ込み、第5のブレーキ配管内のブレーキ液の別の部分が、第3のブレーキ配管130に流れ込み、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。
【0074】
逆方向加圧過程では、駆動機器23が、ピストン26を右方向に移動させて、第1の油圧キャビティ25の容積を圧縮し、第2の油圧キャビティ27の容積を増大させる。この場合に、第1の油圧キャビティ25内のブレーキ液が、第1のブレーキ配管110内に押し込まれる。第1のブレーキ配管110内のブレーキ液の一部が、第3のブレーキ配管130に流れ込み、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。第1のブレーキ配管110内のブレーキ液の別の部分が、第5のブレーキ配管150に流れ込む。対応して、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液の一部が、第2のブレーキ配管120を使用して第2の油圧キャビティ27に流れ込み、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液の別の部分が、第4のブレーキ配管140に流れ込み、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0075】
漏れが第1のブレーキループ105又は第2のブレーキループ106で生じた場合に、第1の油圧キャビティ25と第2の油圧キャビティ27との圧力差を減らす方法は、上で説明した原理と同じであることに留意されたい。簡潔にするために、詳細については以下で再び説明しない。
【0076】
上述したように、第1の油圧キャビティ25又は第2の油圧キャビティ27のいずれがブレーキ力を与えるかに関係なく、油圧キャビティ内のブレーキ液は、第1の車輪グループ及び/又は第2の車輪グループに完全に流れ込むことはできず、2つの油圧キャビティの間の圧力差を補償するために使用されるブレーキ液の一部が常に存在する。この場合に、第1の油圧調整機器107によるブレーキ力の付与効率が低下する。従って、第1の油圧調整機器107の加圧効率を高めるために、第3の制御弁29が、第1のブレーキ配管に設けられて、第1のブレーキ配管110の接続/遮断を制御することができ、及び/又は第4の制御弁31が、第2のブレーキ配管120に設けられて、第2のブレーキ配管120の接続/遮断を制御することができる。
【0077】
一般に、第3の制御弁29の故障により第1のブレーキ配管110が遮断されるのを防止するために、第1の一方向弁28が、第3の制御弁29の両端に並列に接続され得る。第1の一方向弁28によって、第1の油圧キャビティ25内のブレーキ液が第5のブレーキ配管150に流れ込むのが可能になり、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液が第1の油圧キャビティ25に流れ込むのを阻止する。同様に、第4の制御弁31の故障により第2のブレーキ配管120が遮断されるのを防止するために、第2の一方向弁30が、第4の制御弁31の両端に並列に接続され得る。第2の一方向弁30によって、第2の油圧キャビティ27内のブレーキ液が第5のブレーキ配管150に流れ込むのが可能になり、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液が第2の油圧キャビティ27に流れ込むのを阻止する。
図3を参照して、2つの油圧キャビティの間の圧力差を補償するために油圧キャビティ内のブレーキ液が使用されない場合に、以下では、本願のこの実施形態における油圧調整ユニット300の加圧解決策について説明する。
【0078】
図3は、本願の一実施形態による油圧調整ユニット300の概略図である。油圧調整ユニット300内にあり且つ油圧調整ユニット200内の要素と同じ機能を有する要素は、同じ番号を付していることを理解すべきである。簡潔にするために、詳細については以下で再び説明しない。
【0079】
順方向加圧過程では、第4の制御弁31は閉じた状態になるように制御され、第3の制御弁29は閉じた状態になるように制御される。このようにして、駆動機器23は、ピストン26を左方向に移動させて、第2の油圧キャビティ27の容積を圧縮し、第1の油圧キャビティ25の容積を増大させる。この場合に、第2の油圧キャビティ27内のブレーキ液が、第2の一方向弁30を使用して第2のブレーキ配管120に押し込まれる。第2のブレーキ配管120内のブレーキ液の一部が、第4のブレーキ配管140に流れ込み、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。第2のブレーキ配管120内のブレーキ液の別の部分が、第5のブレーキ配管150に流れ込む。対応して、第3の制御弁29が閉じた状態にあるため、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液は、第1のブレーキ配管110を使用して第1の油圧キャビティ25に流れ込むことができない。従って、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液は、第3のブレーキ配管130に流れ込み、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。
【0080】
逆方向加圧過程では、第4の制御弁31は閉じた状態になるように制御され、第3の制御弁29は閉じた状態になるように制御される。このようにして、駆動機器23は、ピストン26を右方向に移動させて、第1の油圧キャビティ25の容積を圧縮し、第2の油圧キャビティ27の容積を増大させる。この場合に、第1の油圧キャビティ25内のブレーキ液が、第1の一方向弁28を使用して第1のブレーキ配管110に押し込まれる。第1のブレーキ配管110内のブレーキ液の一部が、第3のブレーキ配管130に流れ込み、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。第1のブレーキ配管110内のブレーキ液の別の部分が、第5のブレーキ配管150に流れ込む。対応して、第4の制御弁31が閉じた状態にあるため、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液は、第2のブレーキ配管120を使用して第2の油圧キャビティ27に流れ込むことができない。従って、第5のブレーキ配管150内の全てのブレーキ液は、第4のブレーキ配管140に流れ込み、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えることができる。
【0081】
2つの油圧キャビティ内のブレーキ液の間の圧力差を補償するために必要なブレーキ液は、ブレーキシステム内の貯液機器1によってさらに供給してもよいことに留意されたい。貯液機器1と油圧調整機器107との間の具体的な接続方法については、以下の
図5に示すブレーキシステムを参照されたい。
【0082】
一般に、ブレーキシステムの安全性を高めるために、コントローラは、第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120内のブレーキ液の圧力を取得して、第1の油圧調整機器107が正常に加圧を行うことができるかどうかを監視する必要がある。従って、圧力センサを、第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120のそれぞれに設ける必要がある。しかしながら、圧力センサを設ける方法では、油圧調整ユニット300のコストが高くなる。
【0083】
従って、油圧調整ユニット300のコストを削減するために、圧力センサ33(
図3を参照)を第5のブレーキ配管150に設けて、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液の圧力を検出することができる。第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120は、第5のブレーキ配管150を使用して互いに連通している。この場合に、第5のブレーキ配管150内のブレーキ液の圧力は、第1のブレーキ配管110及び第2のブレーキ配管120内のブレーキ液の圧力と同じである。従って、圧力センサ33は、第1のブレーキ配管110と第2のブレーキ配管120との両方におけるブレーキ液の圧力を監視することができる。
【0084】
油圧調整ユニットの冗長性能を向上させるために、第2の油圧調整機器108(
図4参照)を油圧調整ユニットにさらに設けることができる。第2の油圧調整機器108は、第5のブレーキ配管150を使用して第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140と別々に連通しており、第1の車輪グループ43、44及び第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0085】
以上では、
図2~
図4を参照して、本願のこの実施形態の油圧調整ユニットにおける第1の油圧調整機器107と2つのブレーキループ105、106との間の接続方法について説明した。以下では、
図5を参照して、第1の油圧調整機器107と貯液機器1との間の接続方法について説明する。前述の油圧調整ユニットのいずれもが、
図5に基づいて貯液機器1と連通することができることを理解されたい。ブレーキ液が油圧調整ユニットと貯液機器1との間に流れる方法も同様である。従って、簡潔にするために、油圧調整ユニット400を以下の説明の例として使用する。
【0086】
図5は、本願の一実施形態による貯液機器1と第1の油圧調整機器107との間の接続方法の概略図である。
図5に示すように、油圧調整ユニット500では、一方向弁22が液体入口配管510に設けられる。一方向弁22によって、液体入口配管内のブレーキ液が貯液機器1から第2の油圧キャビティ27に流れるのが可能になる。制御弁20が、第2の液体入口配管520に設けられて、ブレーキ配管520の接続/遮断を制御する。一方向弁21が制御弁20の両端に並列に接続される。一方向弁21によって、ブレーキ液が貯液機器1から第1の油圧キャビティ25に流れるのが可能になり、ブレーキ液が第1の油圧キャビティ25から貯液機器1に流れるのを阻止する。
【0087】
第1の油圧キャビティ25は、第2の液体入口配管520使用して貯液機器1と連通している。順方向加圧過程では、制御弁20が閉じた状態になるように制御され、それによって貯液機器1内のブレーキ液が、一方向弁21使用して第1の油圧キャビティ25に流れ込み、第1の油圧キャビティ25のブレーキ液と第2の油圧キャビティ27内のブレーキ液との間の圧力差をさらに減らすことができる。
【0088】
逆方向加圧過程では、制御弁20が閉じた状態になるように制御され、それによって貯液機器1内のブレーキ液が、一方向弁21使用して第1の油圧キャビティ25に流れ込み、第1の油圧キャビティ25を使用して、ブレーキ液をブレーキシステムのブレーキ車輪シリンダに押し込むことができる。
【0089】
オプションで、制御弁20が開いた状態にある場合に、第1の油圧調整機器107は、車輪43、44、45、及び46を減圧することができる。例えば、第3の制御弁29及び第4の制御弁31は、開いた状態になるように制御され、駆動機器23が、ピストン26を左方向に移動させて、第2の油圧キャビティ27の容積を圧縮し、第1の油圧キャビティ25の容積を増大させる。この場合に、第1の油圧キャビティ25内の圧力が低いため、車輪43、44、45、46に適用されたブレーキ液は、第1の油圧キャビティ25に流れ込み、制御弁20を使用して第1の油圧キャビティ25から流出する。
【0090】
第1の油圧調整機器107及び貯液機器1は、別の方法で接続してもよいことに留意されたい。例えば、油圧調整ユニット500に基づいて制御弁20を削除してもよい。別の例として、油圧調整ユニット500に基づいて一方向弁21を削除してもよい。これは、本願のこの実施形態では特に制限されない。
【0091】
以上では、
図2~
図5を参照して、本願のこの実施形態における油圧調整ユニットについて説明した。以下では、前述の油圧調整ユニットを含むブレーキシステムについて説明する。前述の油圧調整ユニットのいずれも、ブレーキシステムに別個に適用できることを理解されたい。ブレーキシステムの油圧調整ユニットの作動方法も同様である。従って、簡潔にするために、油圧調整ユニット500を含むブレーキシステムは、以下の説明のための例である。
【0092】
図6は、本願の一実施形態によるブレーキシステムの概略図である。
図6に示されるブレーキシステム600は、手動ブレーキモード、ブレーキ・バイ・ワイヤ・モード、及び自動運転モードの3つのブレーキモードをサポートすることができる。第1の油圧調整機器107は、ブレーキ・バイ・ワイヤ・モード及び自動運転モードに関与することができる。マスタシリンダ加圧調整ユニット610は、手動ブレーキモード及びブレーキ・バイ・ワイヤ・モードに関与することができる。運転者がブレーキペダル5を踏むと、制御弁17が位置するブレーキ配管を使用して、ブレーキマスタシリンダ101内のブレーキ液がペダルフィール(feel)シミュレータ15に流れ込むのが可能になる。
【0093】
手動ブレーキモードでは、液体入口弁35、36、37、及び38、制御弁18、及び制御弁19が開いた状態にあり、液体出口弁39、40、41、及び42、及び制御弁17は閉じた状態にある。ブレーキ液は、制御弁18が位置するブレーキ配管と制御弁19が位置するブレーキ配管と使用して、車輪43、44、45、46にブレーキ力を与える。
【0094】
ブレーキ・バイ・ワイヤ・モードでは、液体出口弁39、40、41、及び42、制御弁19、及び制御弁18が閉じた状態にあり、液体入口弁35、36、37、及び38、及び制御弁17が開いた状態にある。対応して、第1の油圧調整機器107は、ペダルストロークセンサによって検出したペダルストロークに基づいて、車輪43、44、45、及び46にブレーキ力を与える。
【0095】
自動運転モードでは、液体出口弁39、40、41、及び42、制御弁17、制御弁19、及び制御弁18が閉じた状態にあり、液体入口弁35、36、37、及び38が開いた状態にある。第1の油圧調整機器107は、コントローラの命令に基づいて、車輪43、44、45、及び46にブレーキ力を与える。
【0096】
前述の3つのモードにおいて、手動ブレーキモードにおけるブレーキシステムの作動方法は、従来のブレーキシステムの作動方法と同様である。ブレーキ・バイ・ワイヤ・モード及び自動運転モードにおける第1の油圧調整機器107の作動方法は、油圧調整ユニットの作動方法を上述した際に説明した。簡潔にするために、以下では、主に、ブレーキシステムに関するものであり且つ第1のブレーキループ105が漏れたときに存在する作動方法、ブレーキシステムに関するものであり且つ第2のブレーキループ106が漏れたときに存在する作動方法について説明し、第1の油圧調整機器107は、第1の油圧調整機器107が関与するブレーキモードで故障している場合について説明する。前述の3つの動作モードについて、詳細は説明しない。
【0097】
第1のブレーキループ105が漏れており、第2のブレーキループ106が正常に作動することができ、制御弁18、制御弁19、第1の制御弁32、及び液体出口弁39、40、41、及び42が閉じた状態にあり、第2の制御弁34、第3の制御弁29、第4の制御弁31、液体入口弁37、38が開いた状態にあると仮定する。この場合に、順方向加圧過程では、第2の油圧キャビティ27内のブレーキ液は、第2のブレーキ配管120使用して第4のブレーキ配管140に流れ込み、第4のブレーキ配管を使用して第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。逆方向加圧過程では、第1の油圧キャビティ25内のブレーキ液は、第1のブレーキ配管110を使用して第4のブレーキ配管140に流れ込み、第4のブレーキ配管140を使用して第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0098】
前述の場合に、制御弁17の開閉状態は、ブレーキシステムの作動モードに基づいて決定してもよいことに留意されたい。例えば、ブレーキ・バイ・ワイヤ・モードでは、制御弁17は、開いた状態にある。或いは、自動運転モードでは、制御弁17は閉じた状態にある。
【0099】
前述の場合に、液体入口弁35及び36の開閉状態は、ブレーキシステムの作動に影響を及ぼさないことにさらに留意されたい。これは、本願のこの実施形態では限定されない。
【0100】
第2のブレーキループ106が漏れており、第1のブレーキループ105が正常に作動することができ、制御弁18、制御弁19、第2の制御弁34、及び液体出口弁39、40、41、及び42が閉じた状態にあり、第2の制御弁34、第3の制御弁29、第4の制御弁31、液体入口弁35、36が開いた状態にあると仮定する。この場合に、順方向加圧過程では、第2の油圧キャビティ27内のブレーキ液は、第2のブレーキ配管120使用して第3のブレーキ配管130に流れ込み、第3のブレーキ配管130を使用して第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。逆方向加圧過程では、第1の油圧キャビティ25内のブレーキ液は、第1のブレーキ配管110を使用して第3のブレーキ配管130に流れ込み、第3のブレーキ配管130を使用して第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。
【0101】
前述の場合に、制御弁17の開閉状態は、ブレーキシステムの作動モードに基づいて決定してもよいことに留意されたい。例えば、ブレーキ・バイ・ワイヤ・モードでは、制御弁17は開いた状態にある。或いは、自動運転モードでは、制御弁17は閉じた状態にある。
【0102】
前述の場合に、液体入口弁37及び38の開閉状態は、ブレーキシステムの作動に影響を及ぼさないことにさらに留意されたい。これは、本願のこの実施形態では限定されない。
【0103】
第1の油圧調整機器107が故障しており、制御弁18、制御弁19、液体出口弁39、40、41、及び42、第3の制御弁29、及び第4の制御弁31が閉じた状態にあり、第1の制御弁32、第2の制御弁34、液体入口弁35、36、37、及び38が開いた状態にあると仮定する。この場合に、加圧過程において、第2の油圧調整機器108内のブレーキ液は、第5のブレーキ配管150を使用して第3のブレーキ配管130及び第4のブレーキ配管140に流れ込み、第3のブレーキ配管130を使用して第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与え、第4のブレーキ配管140を使用して第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0104】
オプションで、第1の油圧調整機器の故障は、圧力センサ33のフィードバックに基づいてコントローラによって決定してもよい。例えば、第1の油圧調整機器107がブレーキ力を与えるシナリオでは、第5のブレーキ配管内のブレーキ液に関するものであり且つ圧力センサ33によって検出した圧力が予め設定した圧力値未満である場合に、コントローラは、第1の油圧調整機器107が故障していると判定することができる。別の例として、第1の油圧調整機器107がブレーキ力を与えるシナリオでは、第5のブレーキ配管に関するものであり且つ圧力センサ33によって検出した加圧率(rate)が予め設定した加圧率未満である場合に、コントローラは、第1の油圧調整機器107が故障していると判定することができる。
【0105】
以上では、
図2~
図6を参照して、本願のこの実施形態における油圧調整ユニット及びブレーキシステムについて説明した。以下では、
図7を参照して、本願の一実施形態で提供する制御方法について説明する。本願のこの実施形態で提供する解決策は、前述の油圧調整ユニットのいずれか1つと組み合わせて使用することができ、又は本願のこの実施形態の制御方法は、前述の油圧調整ユニットのいずれか1つを含むブレーキシステムに適用することができることを理解されたい。
【0106】
図7は、本願の一実施形態による制御方法の概略フローチャートである。
図7に示す方法は、ステップ710及びステップ720を含む。
【0107】
710 コントローラは、制御命令を生成し、制御命令は、第1の制御弁32及び/又は第2の制御弁34の開閉状態を制御するために使用される。
【0108】
720 コントローラは、制御命令を第1の制御弁32及び/又は第2の制御弁34に送信する。
【0109】
オプションで、一実施形態では、前述のステップ710は、コントローラが、制御命令を生成するステップを含み、制御命令は、第1の制御弁32を閉じた状態に制御し、第2の制御弁34を開いた状態に制御するために使用され、それによって、第1の油圧キャビティ25は、互いに連通する第1のブレーキ配管110及び第5のブレーキ配管150を使用して、ブレーキ液を第4のブレーキ配管140に押し込み、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与え、第2の油圧キャビティ27は、互いに連通する第2のブレーキ配管120及び第4のブレーキ配管140を使用して、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0110】
オプションで、一実施形態では、前述のステップ710は、ブレーキシステム内にあり且つ第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、コントローラが、制御命令を生成するステップを含み、制御命令は、第1の制御弁32を閉じた状態に制御し、第2の制御弁34を開いた状態に制御するために使用される。
【0111】
オプションで、一実施形態では、ブレーキシステム内にあり且つ第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるブレーキ配管は、ブレーキシステム内の第1のブレーキ配管110以外のブレーキ配管を含み、この方法は、コントローラが、駆動機器23を使用して、油圧調整機器107のピストン26を油圧調整機器107の油圧シリンダの内壁に沿って前進させて、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるステップと、コントローラが、駆動機器23を使用して、ピストン26を油圧シリンダの内壁に沿って後退させて、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるステップと、をさらに含む。
【0112】
オプションで、一実施形態では、前述のステップ710は、コントローラが、制御命令を生成するステップを含み、制御命令は、第2の制御弁34を閉じた状態に制御し、第1の制御弁32を閉いた状態に制御するために使用され、それによって第2の油圧キャビティ27は、互いに連通する第2のブレーキ配管120及び第5のブレーキ配管150を使用してブレーキ液を第3のブレーキ配管130に押し込み、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与え、第1の油圧キャビティ25は、互いに連通する第1のブレーキ配管110及び第3のブレーキ配管130を使用して、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。
【0113】
オプションで、一実施形態では、前述のステップ710は、ブレーキシステム内にあり且つ第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、コントローラが、制御命令を生成するステップを含み、制御命令は、第2の制御弁34を閉じた状態に制御し、第1の制御弁32を開いた状態に制御するために使用される。
【0114】
オプションで、一実施形態では、ブレーキシステム内にあり且つ第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるブレーキ配管は、ブレーキシステム内の第2のブレーキ配管120以外のブレーキ配管を含み、この方法は、コントローラが、駆動機器23使用して、第1の油圧調整機器107のピストン26を第1の油圧調整機器107の油圧シリンダの内壁に沿って前進させて、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるステップと、コントローラが、駆動機器23を使用して、ピストン26を油圧シリンダの内壁に沿って後退させて、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるステップと、を含む。
【0115】
オプションで、一実施形態では、第3の制御弁29が第1のブレーキ配管110に設けられ、第3の制御弁29は、第1のブレーキ配管110の接続/遮断を制御するように構成される。この方法は、第1の車輪43、44及び/又は第2の車輪45、46を減圧する必要がある場合に、コントローラが、第3の制御弁29を開いた状態に制御するステップを含む。
【0116】
オプションで、一実施形態では、第4の制御弁31が第2のブレーキ配管120に設けられ、第4の制御弁31は、第2のブレーキ配管120の接続/遮断を制御するように構成される。この方法は、第1の車輪43、44及び/又は第2の車輪45、46を減圧する必要がある場合に、コントローラが、第4の制御弁31を開いた状態に制御するステップを含む。
【0117】
以上は、
図7を参照して、本願のこの実施形態における方法について説明した。以下では、
図8及び
図9を参照して、本願の上記制御方法を行うための制御機器について説明する。本願のこの実施形態の機器は、上述の制御方法の1つ又は複数のステップを実施するために、上述の油圧調整ユニット又はブレーキシステムのいずれかに適用できることに留意されたい。簡潔にするために、詳細についてここでは再び説明しない。
【0118】
図8は、本願の一実施形態による制御機器の概略図である。
図8に示される機器800は、処理ユニット810及び送信ユニット820を含む。
【0119】
処理ユニット810は、制御命令を生成するように構成され、制御命令は、第1の制御弁32及び/又は第2の制御弁34の開閉状態を制御するために使用される。
【0120】
送信ユニット820は、制御命令を第1の制御弁32及び/又は第2の制御弁34に送信するように構成される。
【0121】
オプションで、一実施形態では、処理ユニット810は、制御命令を生成するようにさらに構成され、制御命令は、第1の制御弁32を閉じた状態に制御し、第2の制御弁34を閉じた状態に制御するために使用され、それによって第1の油圧キャビティ25は、互いに連通する第1のブレーキ配管110及び第5のブレーキ配管150を使用して、ブレーキ液を第4のブレーキ配管140に押し込み、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与え、第2の油圧キャビティ27は、互いに連通する第2のブレーキ配管120及び第4のブレーキ配管140を使用して、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与える。
【0122】
オプションで、一実施形態では、ブレーキシステム内にあり且つ第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、処理ユニット810は、制御命令を生成するようにさらに構成され、制御命令は、第1の制御弁32を閉じた状態に制御し、第2の制御弁34を開いた状態に制御するために使用される。
【0123】
オプションで、一実施形態では、ブレーキシステム内にあり且つ第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるブレーキ配管は、ブレーキシステム内に第1のブレーキ配管110以外のブレーキ配管を含む。処理ユニット810は、駆動機器23を使用して、油圧調整機器107のピストン26を第1の油圧調整機器107の油圧シリンダの内壁に沿って前進させて、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるようにさらに構成される。処理ユニット810は、駆動機器23を使用して、ピストン26を油圧シリンダの内壁に沿って後退させて、第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるようにさらに構成される。
【0124】
オプションで、一実施形態では、処理ユニット810は、制御命令を生成するようにさらに構成され、制御命令は、第2の制御弁34を閉じた状態に制御し、第1の制御弁32を閉じた状態に制御するために使用され、それによって第2の油圧キャビティ27は、互いに連通する第2のブレーキ配管120及び第5のブレーキ配管150を使用して、ブレーキ液を第3のブレーキ配管130に押し込み、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。第1の油圧キャビティ25は、互いに連通する第1のブレーキ配管110及び第3のブレーキ配管130を使用して、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与える。
【0125】
オプションで、一実施形態では、ブレーキシステム内にあり且つ第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるブレーキ配管が漏れた場合に、処理ユニット810は、制御命令を生成するようにさらに構成され、制御命令は、第2の制御弁34を閉じた状態に制御し、第1の制御弁32を開いた状態に制御するために使用される。
【0126】
オプションで、一実施形態では、ブレーキシステム内にあり且つ第2の車輪グループ45、46にブレーキ力を与えるブレーキ配管は、ブレーキシステム内の第2のブレーキ配管120以外のブレーキ配管を含む。処理ユニット810は、駆動機器23を使用して、油圧調整機器107のピストン26を油圧調整機器107の油圧シリンダの内壁に沿って前進させて、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるようにさらに構成される。処理ユニット810は、駆動機器23を使用して、ピストン26を油圧シリンダの内壁に沿って後退させ、第1の車輪グループ43、44にブレーキ力を与えるようにさらに構成される。
【0127】
オプションで、一実施形態では、第3の制御弁29が第1のブレーキ配管110に設けられ、第3の制御弁29は、第1のブレーキ配管110の接続/遮断を制御するように構成される。第1の車輪43、44及び/又は第2の車輪45、46を減圧する必要がある場合に、処理ユニット810は、第3の制御弁29を開いた状態に制御するようにさらに構成される。
【0128】
オプションで、一実施形態では、第4の制御弁31が第2のブレーキ配管120に設けられ、第4の制御弁31は、第2のブレーキ配管120の接続/遮断を制御するように構成される。第1の車輪43、44及び/又は第2の車輪45、46を減圧する必要がある場合に、処理ユニット810は、第4の制御弁31を開いた状態に制御するようにさらに構成される。
【0129】
オプションの実施形態では、処理ユニット810はプロセッサ920であってもよく、送信ユニット820は通信インターフェイス930であってもよく、コントローラの特定の構造を
図9に示す。
【0130】
図9は、本願の別の実施形態によるコントローラの概略ブロック図である。
図9に示すコントローラ900は、メモリ910、プロセッサ920、及び通信インターフェイス930を含む。メモリ910、プロセッサ920、及び通信インターフェイス930は、内部接続経路を使用して互いに通信する。メモリ910は、命令を記憶するように構成される。プロセッサ920は、メモリ910に記憶した命令を実行し、通信インターフェイス930を制御して情報を送受信するように構成される。オプションで、メモリ910は、インターフェイスを使用してプロセッサ920に結合してもよく、又はプロセッサ920と統合してもよい。
【0131】
上述の通信インターフェイス930は、入出力インターフェイス(input/output interface)等の機器を使用して、コントローラ900と別の装置又は通信ネットワークとの間の通信を実施する。
【0132】
実施プロセスでは、前述の方法のステップは、プロセッサ920内のハードウェア集積論理回路を使用して、又はソフトウェアの形式の命令を使用して実施することができる。本願の実施形態を参照して開示した方法は、ハードウェアプロセッサによって直接実行してもよく、又はプロセッサ内のハードウェアとソフトウェアモジュールとの組合せを使用して実行してもよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ、プログラム可能な読取り専用メモリ、電気的に消去可能なプログラム可能なメモリ、又はレジスタ等の、当技術分野で成熟した記憶媒体に配置してもよい。記憶媒体はメモリ910内に配置され、プロセッサ920は、メモリ910内の情報を読み取り、プロセッサのハードウェアと組み合わせて前述の方法のステップを完了する。繰り返しを避けるために、詳細についてここでは再び説明しない。
【0133】
本願の実施形態におけるプロセッサは、中央処理装置(central processing unit, CPU)であってもよく、又は別の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor, DSP)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit, ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array, FPGA)又は別のプログラマブル論理装置、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理装置、又はディスクリートハードウェアコンポーネント等であってもよいことを理解されたい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよく、或いはプロセッサは任意の従来のプロセッサ等であってもよい。
【0134】
本願の実施形態では、メモリは、読取り専用メモリ及びランダムアクセスメモリを含み、プロセッサに命令及びデータを提供することも理解されたい。プロセッサの一部は、不揮発性ランダムアクセスメモリをさらに含んでもよい。例えば、プロセッサは、装置タイプの情報をさらに格納することができる。
【0135】
本願における「液体出口配管」及び「液体入口配管」は、異なるブレーキ配管に対応してもよく、又は同じブレーキ配管に対応してもよいことに留意されたい。「液体出口配管」及び「液体入口配管」は、ブレーキシステム内のブレーキ配管の機能のみに基づいて区別される。例えば、「液体出口配管」及び「液体入口配管」が同じブレーキ配管1に対応する場合に、車両の車輪を減圧する過程において、ブレーキシステム内のブレーキ配管1は、車輪内のブレーキ液を貯液機器に輸送するように構成される。この場合に、ブレーキ配管1を「液流出管路」と呼ばれ得る。車両の車輪を加圧する過程において、ブレーキ配管1は、車両の車輪にブレーキ力を与えるために、車両の車輪にブレーキ液を供給するように構成される。この場合に、ブレーキ配管1は、「液体入口管路」と呼ばれ得る。
【0136】
さらに、本願における「液体入口弁」、「液体出口弁」、及び「均圧弁」は、ブレーキシステムにおける制御弁の機能のみに基づいて区別される。液体入口配管の接続又は遮断を制御するように構成された制御弁は、「液体入口弁」又は「加圧弁」と呼ばれ得る。液体戻り配管の接続又は遮断を制御するように構成された制御弁は、「液体出口弁」又は「減圧弁」と呼ばれ得る。2つのレベルのブレーキサブシステムを分離するように構成された制御弁は、「分離弁」と呼ばれ得る。上述の制御弁は、既存のブレーキシステムで頻繁に使用される弁、例えば、電磁弁であり得る。これは、本願の実施形態では特に限定されない。
【0137】
さらに、制御弁がブレーキ配管と連通した後に、制御弁とブレーキ配管との間の接続ポートは、第1の端部及び第2の端部を使用して表すことができる。本願は、第1の端部と第2の端部との間のブレーキ液の流れ方向に制限を課さない。例えば、制御弁が開いた状態にあるときに、ブレーキ液は、制御弁の第1の端部から制御弁の第2の端部に流れることができる。或いは、制御弁が閉じた状態にあるときに、ブレーキ液は、制御弁の第2の端部から制御弁の第1の端部に流れることができる。
【0138】
さらに、本願における「第1のブレーキ配管110」、「第2のブレーキ配管120」、「第3のブレーキ配管130」、「第4のブレーキ配管140」、及び別のブレーキ配管は、機能を実現するブレーキ配管の1つ又は複数のセグメントとして理解され得る。例えば、第1のブレーキ配管110は、第1の油圧キャビティ25及び第1の制御弁32を接続するように構成されたブレーキ配管の複数のセグメントを含み得る。
【0139】
さらに、本願において、ブレーキシステム及び車両等のアーキテクチャについて添付の図面を参照して説明するときに、各制御弁によって実施され得る2つの作動状態(閉鎖又は開放)が添付の図に概略的に示されており、制御弁の現在の作動状態は図示の状態に限定されない。
【0140】
また、本願において、油圧調整ユニット、ブレーキシステム、車両等のアーキテクチャを、添付の図面を参照して説明するときに、各実施形態に対応する添付の図面において同一の機能を有する部分は同じ番号を付している。簡潔にするために、部分の機能は、各実施形態では説明していない。詳細について、本明細書の各部分の機能の説明を参照されたい。
【0141】
さらに、本願の油圧調整ユニットは、ブレーキシステム内にあり且つブレーキ液の圧力を調整するように構成されたユニットであり得、前述のブレーキ配管のセグメントのうちの1つ又は複数、及びブレーキ配管の制御弁及び一方向弁等の要素を含む。オプションで、前述の油圧調整ユニットは、油圧調整機器内の油圧シリンダ、ピストン、及びプッシュロッド等の要素をさらに含んでもよい。前述の油圧調整ユニットをブレーキシステムに取り付けた後に、ブレーキシステムは、ブレーキ車輪シリンダ、貯液機器、及びブレーキペダル内の1つ又は複数の要素をさらに含むことができる。
【0142】
当業者は、本明細書で開示する実施形態で説明する例と組み合わせて、ユニット及びアルゴリズムステップが、電子ハードウェア又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組合せによって実装され得ることを認識し得る。機能がハードウェアで実行されるか又はソフトウェアで実行されるかは、特定のアプリケーションと技術的解決策の設計上の制約条件とに依存する。当業者は、異なる方法を使用して、特定のアプリケーション毎に説明した機能を実現することができるが、その実施態様が本願の範囲を超えると考えるべきではない。
【0143】
便利で簡潔な説明のために、前述のシステム、機器、及びユニットの詳細な動作プロセスについて、前述の方法の実施形態における対応するプロセスを参照することは、当業者によって明確に理解され得る。詳細についてここでは再び説明しない。
【0144】
本願で提供するいくつかの実施形態では、開示したシステム、機器、及び方法が別の方法で実施され得ることを理解すべきである。例えば、説明した機器の実施形態は単なる例である。例えば、ユニットへの分割はあくまで論理的な機能分割であり、実際の実施態様では別の分割であってもよい。例えば、複数のユニット又は構成要素を別のシステムに結合又は統合してもよく、或いはいくつかの特徴を無視するか又は実行しなくてもよい。さらに、表示又は議論した相互結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかのインターフェイスを介して実施してもよい。機器又はユニットの間の間接結合又は通信接続は、電気的、機械的、又は別の形態で実施することができる。
【0145】
別個の部品として説明するユニットは、物理的に分離されていてもいなくてもよく、ユニットとして表示している部品は、物理的なユニットであってもなくてもよく、1つの位置に配置してもよく、又は複数のネットワークユニットに分散していてもよい。実施形態の解決策の目的を達成するための実際の要件に基づいて、ユニットの一部又は全てを選択してもよい。
【0146】
さらに、本願の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合してもよく、各ユニットは物理的に単独で存在してもよく、又は2つ以上のユニットを1つのユニットに統合してもよい。
【0147】
機能がソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、独立した製品として販売又は使用される場合に、機能はコンピュータ可読記憶媒体に記憶してもよい。このような理解に基づいて、本願の技術的解決策は本質的に、又は従来の技術に貢献する部分、又は技術的解決策の一部が、ソフトウェア製品の形態で実現される場合がある。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に格納され、コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク装置であってもよい)に、本願の実施形態で説明した方法のステップの全て又はいくつかを実行するように命令するためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体には、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、読取り専用メモリ(Read-Only Memory, ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory, RAM)、磁気ディスク、又は光ディスク等、プログラムコードを格納できる任意の媒体が含まれる。
【0148】
前述の説明は、本願の特定の実施態様に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願に開示した技術的範囲内で当業者によって容易に想起されるあらゆる変形又は置換は、本願の保護範囲内にあるものとする。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。