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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
B66C13/48 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024013365
(22)【出願日】2024-01-31
【審査請求日】2024-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】郡司 駿
(72)【発明者】
【氏名】岩下 信治
(72)【発明者】
【氏名】松本 慎治
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 稔彦
(72)【発明者】
【氏名】寺沢 良則
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-030777(JP,A)
【文献】特開平07-179293(JP,A)
【文献】国際公開第2023/248529(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/48
F23G 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピットに貯留されたゴミを焼却炉のホッパへ投入するための複数のクレーンを制御する制御装置であって、
動作決定対象の第1クレーンと干渉する可能性がある第2クレーンの動作と対応付けて、前記第1クレーンが行うべき動作を前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態に応じて、優先度順に並べたテーブルと、
前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態を示す状態信号を取得する取得部と、
前記第2クレーンの動作と前記状態信号に基づいて前記テーブルを参照し、前記第1クレーンが行うべき動作を前記優先度が高いものから順に選択し、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定し、干渉しない場合、前記選択した動作を前記第1クレーンの動作として決定する動作決定部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記動作決定部は、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉する場合、前記選択した動作の次に優先度が高い動作を前記テーブルから選択し、当該選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定し、干渉しない場合、当該選択した動作を前記第1クレーンの動作として決定し、干渉する場合、次に優先度の高い前記動作を前記テーブルから選択する、という処理を、前記第2クレーンと干渉しない前記選択した動作が見つかるまで実行する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記動作決定部は、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉する場合、前記テーブルに登録された、前記選択した動作を、ゴミを掴む位置まで移動してゴミを掴むまでの前半の動作と掴んだ前記ゴミを目的地まで搬送して目的の動作を行うまでの後半の動作に分割した分割動作を選択し、前記前半の動作を行った後に、その場所で前記第1クレーンを待機させることによって、前記第2クレーンとの干渉を回避できるかどうかを判定し、回避できる場合、前記選択した分割動作を前記第1クレーンの動作として決定する、
請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記動作決定部は、前記前半の動作を行った後に、前記第1クレーンを待機させても、前記第2クレーンとの干渉を回避できない場合、前記選択した分割動作の次に優先度が高い前記動作を前記テーブルから選択し、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
ピットに貯留されたゴミを焼却炉のホッパへ投入する複数のクレーンの制御方法であって、
前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態を示す状態信号を取得し、
動作決定対象の第1クレーンに干渉する可能性がある第2クレーンの動作および前記状態信号に基づいて、前記第1クレーンが行うべき動作を、前記第2クレーンの動作と対応付けて、前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態に応じて優先度順に並べたテーブルを参照し、
前記第1クレーンが行うべき動作を前記優先度が高いものから順に選択し、
前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定し、干渉しない場合、当該動作を前記第1クレーンの動作として決定する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クレーンの制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、同一レ-ル上にある複数台のクレーンについて、各クレ-ンの搬送命令デ-タに基づいて、クレーン同士の非干渉動作を実現しつつ、クレ-ンの待機時間が最小となるスケジュールを作成するクレーンの運行制御装置が開示されている。この技術を、ゴミ処理プラントにてゴミを焼却炉へ投入するための複数のクレーンの制御に適用すると、待機時間を最小化することにより、クレーンの稼働率を向上させることができる。しかし、クレーンの待機時間を最小化することだけを考えるならば、優先したい作業が後回しとなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-282968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
できるだけ作業の優先度が高い作業をクレーンに実行させつつ、クレーンの待機時間を低減することができるクレーンの制御方法を提供する。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することができる制御装置及び制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の制御装置は、ピットに貯留されたゴミを焼却炉のホッパへ投入するための複数のクレーンを制御する制御装置であって、動作決定対象の第1クレーンと干渉する可能性がある第2クレーンの動作と対応付けて、前記第1クレーンが行うべき動作を前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態に応じて、優先度順に並べたテーブルと、前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態を示す状態信号を取得する取得部と、前記第2クレーンの動作と前記状態信号に基づいて、前記テーブルを参照し、前記第1クレーンが行うべき動作を優先度が高いものから順に選択し、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定し、干渉しない場合、前記選択した動作を前記第1クレーンの動作として決定する動作決定部と、を備える。
【0007】
本開示の制御方法は、ピットに貯留されたゴミを焼却炉のホッパへ投入する複数のクレーンの制御方法であって、前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態を示す状態信号を取得し、動作決定対象の第1クレーンに干渉する可能性がある第2クレーンの動作および前記状態信号に基づいて、前記第1クレーンが行うべき動作を、前記第2クレーンの動作と対応付けて、前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態に応じて優先度順に並べたテーブルを参照し、前記第1クレーンが行うべき動作を前記優先度が高いものから順に選択し、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定し、干渉しない場合、当該動作を前記第1クレーンの動作として決定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の制御装置及び制御方法によれば、できるだけ作業の優先度が高い作業をクレーンに実行させつつ、クレーンの待機時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るゴミ処理プラントの概略図である。
図2】実施形態に係る動作決定テーブルの一例を示す図である。
図3】実施形態に係るクレーン動作の一例について説明する第1の図である。
図4】実施形態に係るクレーン動作の一例について説明する第2の図である。
図5】実施形態に係るクレーン動作の一例について説明する第3の図である。
図6】実施形態に係るクレーン動作の一例について説明する第4の図である。
図7】実施形態に係るクレーン動作の決定処理の一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態の制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、本開示のゴミ処理プラントのクレーンの制御方法について、図1図8を参照しながら説明する。
(構成)
図1は、実施形態に係るゴミ処理プラントの概略図である。
図1に示すようにゴミ処理プラント100は、クレーンシステム1と、ピット2と、ホッパ3と、制御装置10と、を備えている。ゴミ処理プラント100に運搬されてきたゴミは、ピット2へ投入され、ピット2にて貯留される。図1は、ピット2を上から見た場合の概略図である。クレーンシステム1には、ゴミの撹拌や搬送等の動作を行うクレーンC1、C2が設けられている。クレーンC1、C2はレールR1、R2上を移動可能に配置されており、クレーンC1がクレーンC2を追い越して紙面の右側へ移動したり、クレーンC2がクレーンC1よりも左側へ移動したり、といった動作を行うことはできない。クレーンシステム1の各種動作は、制御装置10により制御される。制御装置10は、クレーンC1、C2を紙面の左右方向および上下方向と、紙面の手前奥行方向に移動させ、次に示すような各種の動作を実行させることができる。クレーンC1、C2は、ゴミを掴むバケットを含み、バケットを用いてピット2のゴミを掴み上げて落下させることによりゴミを撹拌し、ゴミの質や状態を均質化する。撹拌によりゴミが焼却に適した状態となると、クレーンC1、C2は、バケットを用いてゴミを掴んでホッパ3a、3bまで搬送し、ホッパ3a、3bへ掴んだゴミを投入する。ホッパ3a、3bは、投入されたゴミを一時的に貯留し、不図示の焼却炉へ投入されたゴミを供給する。
【0011】
より詳細には、搬送車で運ばれてきたゴミは、ピット2の領域2cへ投入され、クレーンC1、C2によって、領域2aまたは領域2bへ運ばれる。領域2cの近くの壁面には、扉4a~4dが設けられており、扉4a~4dが開の場合のみ搬送車から領域2cへゴミを投入することができる。領域2aと領域2bは、例えば1日ごとにその役割を交代し、例えば、ある日には、領域2aは、ホッパ3a、3bへ投入されるゴミを供給する投入元となる役割を担い、領域2bは、搬送車から投入されたゴミを受け入れる役割を担う。翌日になると、領域2cへ投入されたゴミは領域2aへ運ばれ、領域2bからホッパ3a、3bへゴミが投入される。ホッパ3a、3bへゴミを投入する場合、クレーンC1、C2の干渉を防ぐため、クレーンC1はホッパ3aへゴミを投入し、クレーンC2はホッパ3bへゴミを投入するように定められている。クレーンC1とクレーンC2の干渉は、クレーンC1、C2の紙面横方向の距離で判断される。紙面の横方向を行、縦方向を列とする。例えば、ピット2をA~Hの8行、1~14の14列で区切った場合、クレーンC1の列とクレーンC2の列の間隔が2列となるまでは接近することができ、それ以上近づくと干渉すると判定する。制御装置10は、クレーンC1とクレーンC2の間隔が2列以上離れるようにクレーンC1、C2を制御する。なお、ピット2を8行、14列で区切った個々の領域をセルと呼ぶ。例えば、A行、1列目のセルをセル(A、1)のように記載する。図1に例示するピット2では、領域2aをA~E行、9~13列の5セル×5セル分の範囲とし、領域2bをA~E行、3~7列のセル×5セル分の範囲としているが、これらは一例であって、領域2a、2bの位置や範囲はユーザが任意に設定することができる。次にクレーンC1、C2の主な動作について説明する。
【0012】
(投入)
ホッパ3a、3bには、ホッパ内のゴミの貯留量を示すゴミの高さを計測するセンサが設けられている。ゴミ高さがあるレベル以下となると、不図示の焼却炉へ供給するゴミの量が不足することになる。このレベルをレベル1と呼ぶ。レベル1は、ゴミの投入が必須な状態を表す。例えば、ホッパ3aのゴミ高さがレベル1となると、制御装置10は、クレーンC1を制御して、ピット2のゴミをホッパ3aへ投入する。ホッパ3bについても同様である。ホッパ内のゴミ高さがあるレベル以上となると、それ以上のゴミの投入が不要になる。この高さをレベル3と呼ぶ。レベル3は、ゴミの投入が不要な状態を表す。例えば、ホッパ3a、3bのゴミ高さがレベル3となると、制御装置10は、ホッパ3a、3bへのゴミの投入は行わない。ホッパ内のゴミの高さがレベル1よりは高く、レベル3よりは低い、所定の高さ以下となると、ゴミの投入が可能になる。この高さをレベル2と呼ぶ。レベル2は、ゴミの投入が可能な状態を表す。例えば、ホッパ3aのゴミ高さがレベル2となると、制御装置10は、他に優先度の高い動作がなければ、ホッパ3aへのゴミの投入を行ってもよい。なお、領域2a等のどのセルのゴミをホッパ3a等へ投入するかについては、セルごとに計算されて管理されている総合評価点が所定の閾値よりも高いセルの中から、例えば、干渉が生じない、投入に要する時間が短い、総合評価点が最も高いなどの観点で選択され、選択されたセルのゴミがホッパ3a等へ投入される。
【0013】
(受入)
ピット2の各セルのゴミの高さは管理されている。例えば、各セルのゴミの高さを計測するセンサがピット2の壁面、天井、上方の空間などに設けられていて、このセンサによって計測してもよいし、クレーンC1、C2によって搬送されるゴミの量などから推定によって求めてもよい。領域2cのゴミの高さ(あるいは、領域2cのうちのH行のゴミの高さ)が所定の閾値以上となると、搬送車からのゴミの投入に影響する為、速やかにピット2内の他の場所に移動させる必要がある。例えば、セル(H、8)のゴミ高さが閾値以上となり、領域2bが搬送車から投入されたゴミの受け入れ先の役割を担う場合、制御装置10は、クレーンC1またはクレーンC2をセル(H、8)へ移動させて、セル(H、8)のゴミを領域2へ搬送する(ただし、扉4a~4dが閉である場合に限る。)。この動作を「受入」と呼ぶ。なお、扉4a~4dが開でゴミが投入され得る状況では、受入を行わないようにしているため、受入は、ゴミ高さが閾値以上となり、かつ扉4a~4dが閉の場合に限って実行される。受入の際には、例えば、制御装置10は、領域2bの各セルのゴミの高さから、領域2bの各列のゴミ高さの平均値を算出し、ゴミの高さの平均値が最も低い列を選択して、選択した列の全体にセル(H、8)から搬送したゴミを均等に落としていく。ゴミを落とした後の各セルのゴミの高さは計測や計算により求められ、管理される。また、ゴミを落とした後の各セルのゴミの撹拌状態を表す総合評価点が算出され、セルごとに総合評価点が管理される。総合評価点の計算方法には、任意の方法を適用することができる。例えば、撹拌の回数が多いほど高い総合評価点が付されるような計算式によって計算されてもよい。
【0014】
(撹拌)
領域2a、2bに貯留されるゴミは、各セルが均等に燃焼に適した状態となるように撹拌される。撹拌は、例えば、クレーンC1、C2によって、あるセルのゴミを掴み上げて、同じセルに落下させるか、又は、他のセルまで搬送して落下させることによって行う。撹拌のたびに当該セルの総合評価点が更新される。撹拌は、総合評価点が低いセルから優先して行われ、総合評価点がホッパ3a、3bへの投入が可能な状態であることを示す所定の閾値以上となっているセルに対しては行わない。また、上記の投入や受入と比較すると、撹拌は、比較的優先度が低い動作とみなされる場合が多い。制御装置10は、投入や受入の必要が無い場合、領域2a、2bから総合評価点が閾値未満のセルを探して撹拌を行う。
【0015】
制御装置10は、信号取得部11と、動作決定部12と、制御部13と、記憶部14と、を備える。信号取得部11は、ホッパ3a、3bのゴミ高さを含む信号、領域2cのゴミ高さを含む信号、ピット2の各セルのゴミ高さを含む信号を取得する。信号取得部11は、最新のゴミ高さを含む信号を時々刻々と受信し、受信した信号に含まれるゴミ高さの情報を記憶部14に記録する。動作決定部12は、クレーンC1とクレーンC2のそれぞれについて、クレーンに割り当てる動作(「投入」、「受入」、「撹拌」など)を決定する。動作決定部12は、クレーンC1、C2の干渉が生じることなく実行できる動作のうち、優先度が最も高い動作を決定する。また、動作決定部12は、各セルの総合評価点を所定の方法で計算し、計算結果を記憶部14に記録する。制御部13は、動作決定部12が決定した動作に基づいてクレーンC1、C2を制御する。記憶部14は、信号取得部11が取得した情報(ホッパ内のゴミ高さ、各セルのゴミ高さ)、各セルの総合評価点、次に説明する、動作の優先度と他クレーンとの干渉を考慮した「動作決定テーブル」等を記憶する。
【0016】
図2に動作決定テーブルの一例を示す。動作決定部12は、動作決定テーブル200を参照して、クレーンC1、C2の動作を決定する。図示するように、動作決定テーブル200は、「項番」、「他のクレーン動作」、「対象のクレーン動作の優先順位」、「条件」の各項目を有している。他のクレーンとは、動作を決定する対象のクレーン(対象クレーンと称する。)と干渉する可能性があるクレーンである。クレーンC1の動作を決定する場合、他のクレーンはクレーンC2であり、クレーンC2の動作を決定する場合、他のクレーンはクレーンC1である。条件とは、対象クレーンの動作を決定するための条件である。例えば、クレーンC1の動作を決定する場面で、クレーンC2が投入の動作を行っているとすると、項番1~5の動作、つまり、投入(一貫)、投入(分割)、受入(一貫)、受入(分割)、撹拌、がクレーンC1に割り当てる動作の候補となる。項番1~5の動作の優先度は、「対象のクレーン動作の優先順位」の左側の欄に設定された数値である。この例の場合であれば、投入(一貫)の優先度が最も高く、撹拌の優先度が最も低い。但し、そもそも「条件」にて設定された条件を満たさない状況であれば、どんなに優先度が高い動作であっても、その動作はクレーンC1の動作としては選択されない。例えば、現在、ホッパ3aのゴミ高さがレベル3であれば、項番1、2の投入(一貫)、投入(分割)は、クレーンC1に割り当てる動作の候補からは除外され、項番3~5の条件が成立していれば、項番3~5の中から優先順に沿ってクレーンC1に割り当てる動作が検討される。検討とは、具体的には、クレーンC2と干渉するか否かである。図3を参照してクレーンC1、C2の干渉について説明する。例えば、クレーンC2がセル(A、9)のゴミをホッパ3bに投入する動作を行っているとする。このとき、ホッパ3aのゴミ高さがレベル3で、セル(H、9)のゴミ高さが閾値以上かつ扉4a~4dが閉であれば、動作決定部12は、動作決定テーブル200を参照して、クレーンC1に受入の動作を割り当てようとする。しかし、クレーンC1をセル(H、9)まで移動させると、同じ9列に存在するクレーンC2とクレーンC1の間隔が2列未満となり干渉が生じる。この場合、動作決定部12は、項番3の受入(一貫)、項番4の受入(分割)を選択せず、総合評価点が閾値未満のセルが存在すれば、そのセルに対する撹拌をクレーンC1の動作として決定する。(そのようなセルが存在しない場合には、クレーンC1は動作しない。)
【0017】
投入や受入の一貫、分割とは、それらの動作を一貫して行うか、分割して行うかである。図4に投入(一貫)の動作の一例を示す。説明の便宜のため図4では、領域2aをA~E行、7~13列の範囲とし、領域2bをA~E行、3~5列の範囲としている。領域2aは投入を行う領域であり、領域2bは受入を行う領域である。クレーンC2がセル(H、2)のゴミを列4に運ぶ受入動作を行っているとする。この場合、クレーンC2の移動範囲は列2~列4である。一方、ホッパ3aのゴミ高さがレベル1となり、クレーンC2と干渉しない範囲で総合評価点が最も高いセル(E、7)が存在する場合、動作決定部12は、動作決定テーブル200を参照して、項番6-12の中から、まず、項番6の投入(一貫)をクレーンC1に割り当てる動作として選択し、クレーンC2との干渉の有無を検討する。現在のクレーンC1がセル(B、12)に存在するとする。セル(E、7)のゴミをホッパ3aに投入するためには、クレーンC1を列12から列7へ移動させてセル(E、7)のゴミを掴んで、ホッパ3aまで搬送しなければならないが、この間のクレーンC1の移動範囲は列7~列12であり、最もクレーンC2に近づく状態でも、クレーンC2との間は2列以上離れている。したがって、動作決定部12は、優先度の最も高い項番6の動作をクレーンC1に割り当てることを決定する。制御部13は、クレーンC1をセル(B、12)からセル(E、7)へ移動させ、セル(E、7)にてゴミを掴んでホッパ3aまで搬送し、掴んだゴミをホッパ3aに投入するまでの動作を一貫して行う。これが投入(一貫)である。受入(一貫)の場合も同様である。例えば、この例において、クレーンC2は、セル(A、4)からセル(H、2)へ移動してゴミを掴み、続いて、セル(E、4)までゴミを搬送して、セル(E、4)からセル(A、4)まで移動しながらゴミを均等に落としてゆくという動作を一貫して行う。この動作を受入(一貫)と呼ぶ。
【0018】
続いて図5を参照して受入(分割)について説明する。今度は、クレーンC1が投入の動作中であって、動作決定部12が、クレーンC2の動作を決定する場面であるとする。具体的には、クレーン1が、セル(B、12)からセル(E、7)に移動し、セル(E、7)のゴミを掴んでホッパ3aに投入し、元のセル(B、12)に戻る動作を行っているとする。この場合も、動作決定部12は、図2の動作決定テーブル200を参照して、クレーンC2の動作を決定する。この例では、他のクレーンはクレーンC1である。クレーンC1が投入動作中のため、動作決定部12は、項番1~5の中から優先順に従って、クレーンC2の動作を決定する。いま、ホッパ3bがレベル3であるとする。また、セル(H、2)のゴミ高さが閾値以上かつ扉4a~4dが閉で、領域2aがゴミの受け入れ先で、その中で列9のゴミ高さの平均値が相対的に他の列より低いとする。すると、動作決定部12は、セル(H、2)のゴミを列9にて受け入れる項番3の受入(一貫)をクレーン2の動作の候補として選択し、干渉の有無を判定する。図5に示すように、クレーン2が上記の受入動作を行うと、セル(H、2)のゴミを列9に搬送するとき、および列9にてゴミを落とすときにクレーン1と干渉することになる。したがって、動作決定部12は、項番3の受入(一貫)を諦め、次に優先度の高い項番4の受入(分割)の場合に干渉が生じるかどうかを判定する。ここで、分割とは、受入の場合も投入の場合も、今いる位置からゴミを掴むセルの位置まで移動し、そのセルでゴミを掴み上げるまでを動作の前半とし、掴み上げたゴミを目的地まで搬送して目的の動作を行う(例えば、ホッパ3a等に投入したり、受入先の列に撒いたりする)までを動作の後半とし、動作の前半と後半の間に待機時間を設けることにより、干渉を防ぐことをいう。図5の例の場合、クレーンC2をセル(A、4)からセル(H、2)へ移動させ、セル(H、2)のゴミを掴み上げた状態で待機させる(前半)。クレーンC1がホッパ3aへゴミを投入し、セル(B、12)に戻ると、クレーン2Cを列9へ移動させても、クレーンC1との間隔を2列分離すことができるため干渉とならない。したがって、動作決定部12は、クレーンC2の動作として受入(分割)を決定する。より具体的には、動作決定部12は、クレーンC2の動作として、セル(A、4)からセル(H、2)へ移動してゴミを掴み上げた状態で待機すること、クレーンC1がセル(B、12)に戻ってから、掴み上げたゴミを列4まで搬送し撒くという後半の動作を行うことをクレーン2の動作として決定する。
【0019】
投入(分割)の動作も同様である。図5のクレーンC1の投入動作を分割で行うことによって、クレーンC2との干渉が回避できる状況が発生したとする。この場合、クレーンC1は、セル(B、12)からセル(E、7)に移動し、ゴミを掴み上げて待機し、クレーンC2との干渉がなくなった状態で、セル(E、7)からホッパ3aへ移動してホッパ3aへゴミを投入する。分割により、トータルの作業時間は増加するが、完全に干渉がなくなるまで待機してその後に一貫で同じ動作を行う場合と比べると、動作の一部を先行して行うことによって、待機時間を低減し、受入や投入の作業を早く終わらせることができる。また、干渉を避けるため優先度の低い他の作業を行うのではなく、前半動作で待機することにより干渉を回避することができるのであれば、優先度の高い作業を優先して実行することができる。
【0020】
動作決定部12は、ゴミの投入にあたっては、不図示の燃焼炉に投入するゴミ質を均一化するため、ごみを掴むエリア(領域2aまたは領域2b、例えば日ごとに交代となる。)の一層全て取りきるまで、次の層のごみを取らないように投入元のセルを決定する。図6に、ゴミの投入方法の一例を示す。図6(a)は、領域2aのセル(A、9)~セル(A、13)を横から見た図である。例えば、セル(A、9)~セル(A、13)は、図示するように高さ方向に3層で構成され、一番上を1層目、下の層を2層目、・・・とする。ゴミが堆積するにつれ、ゴミの性質は、各層ごとに異なるものとなってゆく、層ごとにゴミを投入することで、焼却炉に供給されるゴミを均質化し、焼却炉でのゴミの燃焼を安定化することができる。動作決定部12は、総合評価点に基づいて、例えば、セル(A、13)の1層目(「(A、13)-1」)を投入元として選択する(図6(b))。動作決定部12は、セル(A、13)の2層目(「(A、13)-2」)の総合評価点が、1層目の他のセルよりも高い場合でも、図6(c)に示すように、セル(A、9)~セル(A、12)の1層目から次の投入元を選択する。図6(d)に示すように1層目のゴミがすべて投入されると、動作決定部12は、2層目の中から、例えば、総合評価点が最も高いセルを選択し、選択したセルのゴミをホッパ3a等へ投入すると決定する。なお、各セルの層については、動作決定部12が、信号取得部11が取得する各セルのゴミ高さの情報から算出する。
【0021】
(動作)
次に図7を用いて、制御装置10の動作について説明する。
図7は、実施形態に係るクレーン動作の決定処理の一例を示すフローチャートである。前提として、記憶部14には、動作決定テーブル200およびピット2の各セルの総合評価点が格納され、信号取得部11は、ホッパ3a、3bのゴミ高さ、ピット2の各セルのゴミ高さの情報を所定の時間間隔で取得している。また、動作決定対象のクレーンをクレーンC1、他のクレーンをクレーンC2とする。動作決定部12は、クレーンC2の動作を確認する(ステップS1)。例えば、動作決定部12は、1制御ステップ前に自らが決定したクレーンC2の動作を記憶部14から読みだす。次に動作決定部12は、ピット2やホッパ3a、3bのゴミの状態を確認する(ステップS2)。例えば、動作決定部12は、信号取得部11が取得した最新のホッパ3a、3bのゴミ高さ、領域2cのゴミ高さの情報を記憶部14から読みだす。また、動作決定部12は、記憶部14からピット2の各セルの総合評価点を読み出す。これらのゴミの状態を示す情報は、動作決定テーブル200を参照する際に用いられる。次に動作決定部12は、動作決定テーブル200を参照して、優先度順にクレーンC1の動作の候補を1つ選択する(ステップS3)。例えば、クレーンC2の動作が投入、ホッパ3aのゴミ高さがレベル2、領域2cの何れかのセルのゴミ高さが閾値以上かつ扉4a~4dが閉、領域2a、2bの何れかのセルの総合評価点が閾値未満であるとすると、図2の項番1~5がクレーンC1に割り当てる動作の候補となる。動作決定部12は、この中から最も優先度の高い、項番1の投入(一貫)を選択する。次に動作決定部12は、選択した動作がクレーン2の投入動作と干渉するかどうかを判定する(ステップS4)。例えば、動作決定部12は、ゴミの投入元となる領域2a又は領域2bのうち総合評価点が閾値以上のセルをすべて選択し、選択したセルからホッパ3aへゴミを投入する場合の移動範囲をそれぞれのセルについて算出する。動作決定部12は、クレーン1の移動範囲とクレーン2の移動範囲を比較して、クレーン1とクレーン2が最も近づいたときの列間の距離が2列未満となるかどうかを算出し、2列未満ならば干渉すると判定し、2列以上ならば干渉しないと判定する。例えば、動作決定部12は、総合評価点が閾値以上となるすべてのセルについて同様の判定を行い、すべてのセルの場合に2列未満となるならば干渉すると判定し、1つのセルでも2列以上となるセルが存在する場合には、干渉しないと判定し、次のステップS6にて、当該セルからホッパ3aへのゴミの投入をクレーン1に割り当ててもよい。
【0022】
干渉しない場合(ステップS4;なし)、動作決定部12は、ステップS3で選択した動作をクレーン1の動作として決定する(ステップS6)。例えば、動作決定部12は、ゴミ投入元のセルと、動作「投入(一貫)」を決定する。動作決定部12は、決定した動作を制御部13へ指示する(ステップS7)。制御部13は、決定された動作に基づいてクレーンC1を制御する。
【0023】
干渉する場合(ステップS4;あり)、動作決定部12は、候補となる動作を全件選択したかどうか(候補となる動作すべてについて、ステップS3で選択し終えたかどうか)を判定する(ステップS5)。全件選択した場合(ステップS5;Yes)、動作決定部12は、クレーンC1を動作させないことを決定する。この場合、図7のフローチャートを終了する。
【0024】
全件選択していない場合(ステップS5;No)、動作決定部12は、ステップS3からの処理を繰り返す。例えば、動作決定部12は、次に優先度の高い「投入(分割)」を選択し(ステップS3)、投入を前半の動作と後半の動作で分割し、前半の動作終了後にクレーンC1を移動させずに待機することによって、クレーンC2との干渉を回避することができるかどうかを判定する(ステップS4)。以下、同様にして、動作決定部12は、優先度順に項番6までの動作が可能かどうかを判定し、クレーンC2と干渉しない動作が見つかれば、当該動作でクレーンC1を動作させることを決定する(ステップS6)。具体的には、投入(分割)によって、干渉を回避できる場合、動作決定部12は、投入(分割)をクレーン1の動作として割り当てる。干渉を回避できない場合、動作決定部12は、受入(一貫)について干渉の有無を判定し、干渉が無い場合には、受入(一貫)をクレーン1の動作として割り当てる。干渉がある場合、動作決定部12は、受入(分割)について干渉の有無を判定し、干渉が無い場合には、受入(分割)をクレーン1の動作として割り当てる。受入(分割)でも干渉を回避できない場合、動作決定部12は、撹拌について干渉の有無を判定し、干渉が無い場合には、撹拌をクレーン1の動作として割り当て、干渉する場合、「動作無し」を決定する。
【0025】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、ピット2やホッパ3a、3bにおけるゴミの状態が示す対象クレーンが行うべき動作の候補を洗い出して、洗い出した動作の候補について、他のクレーンの動作と対応付けて動作を決定する対象である対象クレーンが行うべき動作を優先度順に設定した動作決定テーブル200を参照して優先順位をつける。そして優先順に他のクレーンとの干渉有無を判定し、干渉が無ければ、その動作を対象クレーンに割り当てる。これにより、他のクレーンとの干渉を回避できる動作の中で優先度の高い動作を対象クレーンに割り当てる。したがって、本実施形態によれば、できるだけ作業の優先度が高い作業をクレーンに実行させつつ、クレーンの待機時間を低減することができる。
【0026】
また、例えば、図3の例において、ホッパ3aのレベルが2で、セル(H、9)のゴミ高さが閾値以上かつ扉4a~4dが閉であるとすると、従来は、クレーンC1のセル(H、9)のゴミ受入が優先度の高い動作としてクレーンC1に割り当てられる。しかし、クレーンC2の投入との干渉が生じるため、クレーンC2の投入が終了するまで待機しなければならない。これに対し、本実施形態では、他のクレーンの投入時に、ホッパ3a等のゴミ高さがレベル2となっていれば、対象クレーンは投入を行うように設定されている(図2の項番1~2)。これにより、従来であれば、クレーンC1を待機させておくところ、クレーンC1を使って、セル(A、12)のゴミをホッパ3aに投入することができるようになる。ピットやホッパの状況からすると、レベル2のゴミ高さのホッパ3aへのゴミの投入動作の優先度は、必ずしもゴミ高さが閾値以上となった領域2cからのゴミの受け入れよりも高くない可能性があるが、ホッパ3aへゴミを投入することにより、クレーンC1の待機時間を低減し、クレーンC1の稼働率を向上することができる。また、この機会にホッパ3aへゴミを投入することにより、空いた時間に将来のゴミの投入動作を先取りして行うこととなり、将来におけるゴミ投入動作を削減することで、長期的な観点での作業効率の向上を期待することができる。
【0027】
なお、上記の実施形態ではクレーンが2台の場合の構成を例示したが、クレーンの台数は3台以上であってもよい。その場合、例えば、動作決定テーブル200の他のクレーン動作の欄に動作決定対象以外の2台のクレーンの動作の組み合わせを登録するように構成してもよい。
【0028】
図8は、制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。上述の制御装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0029】
なお、制御装置10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0030】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0031】
<付記>
実施形態に記載のクレーンの制御装置及び制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0032】
(1)第1の態様に係る制御装置は、ピットに貯留されたゴミを焼却炉のホッパへ投入する複数のクレーンを制御する制御装置であって、動作決定対象の第1クレーンと干渉する可能性がある第2クレーンの動作と対応付けて前記第1クレーンが行うべき動作を前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態に応じて優先度順に並べたテーブルと、前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態を示す状態信号を取得する取得部と、前記第2クレーンの動作と前記状態信号に基づいて、前記テーブルを参照し、前記第1クレーンが行うべき動作を優先度が高いものから順に選択し、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定し、干渉しない場合、当該動作を前記第1クレーンの動作として決定する動作決定部と、を備える。
これにより、できるだけ作業の優先度が高い作業をクレーンに実行させつつ、クレーンの待機時間を低減することができる。
【0033】
(2)第2の態様に係る制御装置は、(1)の制御装置であって、前記動作決定部は、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉する場合、前記選択した動作の次に優先度が高い前記動作を前記テーブルから選択し、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定し、干渉しない場合、前記選択した動作を前記第1クレーンの動作として決定し、干渉する場合、次に優先度の高い前記動作を前記テーブルから選択する、という処理を、前記第2クレーンと干渉しない前記第1クレーンの前記動作が見つかるまで実行する。
これにより、他のクレーンとの干渉を回避しつつ、できるだけ作業の優先度が高い作業をクレーンに実行させることができる。
【0034】
(3)第3の態様に係る制御装置は、(1)~(2)の制御装置であって、前記動作決定部は、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉する場合、前記選択した動作を、ゴミを掴むまでの前半の動作と、掴んだ前記ゴミを目的地まで搬送して目的の動作を行うまでの後半の動作に分割し、前記前半の動作を行った後に、その場所で前記第1クレーンを待機させることによって、前記第2クレーンとの干渉を回避できるかどうかを判定し、回避できる場合、前記選択した動作を前記前半の動作と前記後半の動作に分割して実行することを決定する。
分割により、一貫動作のために待機する場合と比べてクレーンの待機時間を低減することができる。
【0035】
(4)第4の態様に係る制御装置は、(3)の制御装置であって、前記動作決定部は、前記選択した動作を前記前半の動作と前記後半の動作に分割しても、前記第2クレーンとの干渉を回避できない場合、前記選択した動作の次に優先度が高い前記動作を前記テーブルから選択し、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定する。
これにより、他のクレーンとの干渉を回避しつつ、できるだけ作業の優先度が高い作業をクレーンに実行させることができる。
【0036】
(5)第5の態様に係る制御装置は、(1)~(4)の制御装置であって、前記動作決定部は、前記ピットに貯留されたゴミの高さ方向を所定数の層で区切った場合に、ある層のゴミをすべて前記ホッパに投入し終えた後に、前記ゴミを投入し終えた層の一つ下の前記層のゴミを前記ホッパに投入するように前記第1クレーンの動作を決定する。
これにより、ホッパに投入するゴミを均質化することができる。
【0037】
(6)第6の態様に係る制御方法は、ピットに貯留されたゴミを焼却炉のホッパへ投入する複数のクレーンの制御方法であって、前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態を示す状態信号を取得し、動作決定対象の第1クレーンに干渉する可能性がある第2クレーンの動作および前記状態信号に基づいて、前記第1クレーンが行うべき動作を、前記第2クレーンの動作と対応付けて、前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態に応じて優先度順に並べたテーブルを参照し、前記第1クレーンが行うべき動作を前記優先度が高いものから順に選択し、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定し、干渉しない場合、当該動作を前記第1クレーンの動作として決定する。
【0038】
(7)第7の態様に係るプログラムは、コンピュータに、ピットに貯留されたゴミを焼却炉のホッパへ投入するための複数のクレーンについてあるクレーンの動作を決定する処理であって、前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態を示す状態信号を取得し、動作決定対象の第1クレーンに干渉する可能性がある第2クレーンの動作および前記状態信号に基づいて、前記第1クレーンが行うべき動作を、前記第2クレーンの動作と対応付けて、前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態に応じて優先度順に並べたテーブルを参照し、前記第1クレーンが行うべき動作を前記優先度が高いものから順に選択し、前記選択した動作が前記第2クレーンと干渉するかどうかを判定し、干渉しない場合、当該動作を前記第1クレーンの動作として決定する処理を実行させる。
【符号の説明】
【0039】
10・・・制御装置
11・・・信号取得部
12・・・動作決定部
13・・・制御部
14・・・記憶部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
【要約】
【課題】優先度が高い作業をクレーンに実行させつつ待機時間を低減することができるクレーンの制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、ピットおよびホッパのゴミの状態を示す状態信号を取得し、第2クレーンの動作と状態信号に基づいて、動作決定対象の第1クレーンと干渉する可能性がある第2クレーンの動作と対応付けて第1クレーンが行うべき動作を、前記ピットおよび前記ホッパのゴミの状態に応じて優先度順に並べたテーブルを参照し、第1クレーンが行うべき動作を優先度が高いものから順に選択し、選択した動作が第2クレーンと干渉するかどうかを判定し、干渉しない場合、当該動作を第1クレーンの動作として決定する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8