(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 69/00 20060101AFI20240418BHJP
A01D 41/12 20060101ALI20240418BHJP
A01D 61/00 20060101ALI20240418BHJP
A01D 75/00 20060101ALI20240418BHJP
A01F 12/46 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A01D69/00 301
A01D41/12 B
A01D61/00 301Z
A01D75/00 A
A01F12/46
(21)【出願番号】P 2022205355
(22)【出願日】2022-12-22
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 宏真
(72)【発明者】
【氏名】板山 真
(72)【発明者】
【氏名】五島 一実
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】仙波 篤志
(72)【発明者】
【氏名】森本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】栗原 大器
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-104376(JP,A)
【文献】特開2019-187286(JP,A)
【文献】特開2005-151871(JP,A)
【文献】特開2021-185784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 67/00-69/12
A01D 41/12
A01D 61/00
A01D 75/00
A01F 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の下側に圃場を走行する走行装置(2)と、該機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈を脱穀する脱穀装置(4)と、前記刈取装置(3)の後方右側に作業者が搭乗する操縦部(5)と、該操縦部(5)の後側に脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)と、該グレンタンク(7)に貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取装置(3)の後部に設けられた搬送装置(10)で搬送される穀稈を、上方から撮影する第1カメラ(30)を設け、
前記脱穀装置(4)の上壁の前部に、前記第1カメラ(30)を支持する支持アーム(31)の基部を回動手段(32)を介して設け、
前記第1カメラ(30)で撮影された画像を、前記操縦部(5)の左右壁に設けられた左右出力ポート(38A,38B)に可撓性の支持部材(37)を介して接続された第1モニタ(36)に表示することを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記脱穀装置(4)の上壁の前部に替えて、前記刈取装置(3)の後部に、前記第1カメラ(30)を支持する支持アーム(31)の基部を回動手段(32)を介して設けた請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記操縦部(5)を囲繞するキャビン(9)を設け、
前記脱穀装置(4)の上壁の前部に替えて、前記キャビン(9)の左壁の後部に、前記第1カメラ(30)を支持する支持アーム(31)の基部を伸縮手段(33)を介して設けた請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
前記機体フレーム(1)の左部に、未刈穀稈を押圧するナローガイド(34)を設け、
前記操縦部(5)に、前記回動手段(32)と伸縮手段(33)を操作する操作スイッチ(23)を設け、
該操作スイッチ(23)を操作して、前記第1カメラ(30)を搬送装置(10)とナローガイド(34)の上方に移動可能な構成とした請求項1~3のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記排出オーガ(8)の先端部に、搬送装置の荷台に排出された穀粒を、上方から撮影する第2カメラ(40)を設け、
前記第1モニタ(36)に、前記第1モニタ(36)で撮影された画像に替えて、前記第2カメラ(40)で撮影された画像を表示する請求項1記載のコンバイン。
【請求項6】
前記画像に、搬送車の荷台の荷台画像(45)と、該荷台画像(45)内に、穀粒の排出ロスが生じない推奨移動領域(46)と、前記排出オーガ(8)の長さを最大長さにした状態で回動させた場合の最大移動ライン(47)と、前記排出オーガ(8)の長さを最小長さにした状態で回動させた場合の最小移動ライン(48)と、前記排出オーガ(8)の排出口の位置を投影した現在位置(49)を表示する請求項5記載のコンバイン。
【請求項7】
前記排出オーガ(8)を操作するコントローラ(41)に、前記第2カメラ(40)で撮影された画像を表示する第2モニタ(42)を設けた請求項5又は6記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置の搬送装置で搬送される穀稈の搬送状態を監視するカメラを備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
刈取装置の搬送装置に、搬送装置で搬送される穀稈の穂先位置を検出するセンサと、搬送される穀稈を搬送方向と直交する左右方向に移動させる駆動手段を備える技術が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、作業者が前方から刈取装置の搬送装置に視線を移動して搬送装置で搬送される穀稈の搬送量や穀稈の詰まりを確認する必要が有るので、走行安全性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、作業者が前方から視線を外すことなく、刈取装置の搬送装置で搬送される穀稈の搬送量や詰まり等の搬送状態を撮影した画像をモニタで確認することができる走行安全性が高いコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の下側に圃場を走行する走行装置(2)と、該機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈を脱穀する脱穀装置(4)と、前記刈取装置(3)の後方右側に作業者が搭乗する操縦部(5)と、該操縦部(5)の後側に脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)と、該グレンタンク(7)に貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取装置(3)の後部に設けられた搬送装置(10)で搬送される穀稈を、上方から撮影する第1カメラ(30)を設け、前記脱穀装置(4)の上壁の前部に、前記第1カメラ(30)を支持する支持アーム(31)の基部を回動手段(32)を介して設け、前記第1カメラ(30)で撮影された画像を、前記操縦部(5)の左右壁に設けられた左右出力ポート(38A,38B)に可撓性の支持部材(37)を介して接続された第1モニタ(36)に表示することを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記脱穀装置(4)の上壁の前部に替えて、前記刈取装置(3)の後部に、前記第1カメラ(30)を支持する支持アーム(31)の基部を回動手段(32)を介して設けた請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記操縦部(5)を囲繞するキャビン(9)を設け、前記脱穀装置(4)の上壁の前部に替えて、前記キャビン(9)の左壁の後部に、前記第1カメラ(30)を支持する支持アーム(31)の基部を伸縮手段(33)を介して設けた請求項1記載のコンバインである。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記機体フレーム(1)の左部に、未刈穀稈を押圧するナローガイド(34)を設け、前記操縦部(5)に、前記回動手段(32)と伸縮手段(33)を操作する操作スイッチ(23)を設け、該操作スイッチ(23)を操作して、前記第1カメラ(30)を搬送装置(10)とナローガイド(34)の上方に移動可能な構成とした請求項1~3のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記排出オーガ(8)の先端部に、搬送装置の荷台に排出された穀粒を、上方から撮影する第2カメラ(40)を設け、前記第1モニタ(36)に、前記第1モニタ(36)で撮影された画像に替えて、前記第2カメラ(40)で撮影された画像を表示する請求項1記載のコンバインである。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記画像に、搬送車の荷台の荷台画像(45)と、該荷台画像(45)内に、穀粒の排出ロスが生じない推奨移動領域(46)と、前記排出オーガ(8)の長さを最大長さにした状態で回動させた場合の最大移動ライン(47)と、前記排出オーガ(8)の長さを最小長さにした状態で回動させた場合の最小移動ライン(48)と、前記排出オーガ(8)の排出口の位置を投影した現在位置(49)を表示する請求項5記載のコンバインである。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記排出オーガ(8)を操作するコントローラ(41)に、前記第2カメラ(40)で撮影された画像を表示する第2モニタ(42)を設けた請求項5又は6記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、刈取装置(3)の後部に設けられた搬送装置(10)で搬送される穀稈を、上方から撮影する第1カメラ(30)を設け、脱穀装置(4)の上壁の前部に、第1カメラ(30)を支持する支持アーム(31)の基部を回動手段(32)を介して設け、第1カメラ(30)で撮影された画像を、操縦部(5)の左右壁に設けられた左右出力ポート(38A,38B)に可撓性の支持部材(37)を介して接続された第1モニタ(36)に表示するので、作業者が前方から視線を外すことなく、第1モニタ(36)の画面で搬送装置(10)で搬送される穀稈の搬送量や詰まり等の搬送状態を確認することができ走行安全性を高めることができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、脱穀装置(4)の上壁の前部に替えて、刈取装置(3)の後部に、第1カメラ(30)を支持する支持アーム(31)の基部を回動手段(32)を介して設けたので、第1カメラ(30)を搬送装置(10)の上方位置に容易に配置することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、操縦部(5)を囲繞するキャビン(9)を設け、脱穀装置(4)の上壁の前部に替えて、キャビン(9)の左壁の後部に、第1カメラ(30)を支持する支持アーム(31)の基部を伸縮手段(33)を介して設けたので、刈取作業中に発生する振動による第1カメラ(30)の揺れを抑制することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1~3のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、請求項3記載の発明による効果に加えて、機体フレーム(1)の左部に、未刈穀稈を押圧するナローガイド(34)を設け、操縦部(5)に、回動手段(32)と伸縮手段(33)を操作する操作スイッチ(23)を設け、操作スイッチ(23)を操作して、第1カメラ(30)を搬送装置(10)とナローガイド(34)の上方に移動可能な構成としたので、第1カメラ(30)をナローガイド(34)の上方に移動させて、作業者が前方から視線を外すことなく、第1モニタ(36)の画面でコンバインの進行方向の左方に植立する未刈穀稈の走行装置(2)への絡まりや倒伏状態を容易に確認することができ走行安全性をより高めることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、排出オーガ(8)の先端部に、搬送装置の荷台に排出された穀粒を、上方から撮影する第2カメラ(40)を設け、第1モニタ(36)に、第1モニタ(36)で撮影された画像に替えて、第2カメラ(40)で撮影された画像を表示するので、作業者が操縦部(5)から身を乗り出すことなく、搬送装置の荷台に排出された穀粒の排出状態を確認することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明による効果に加えて、画像に、搬送車の荷台の荷台画像(45)と、荷台画像(45)内に、穀粒の排出ロスが生じない推奨移動領域(46)と、排出オーガ(8)の長さを最大長さにした状態で回動させた場合の最大移動ライン(47)と、排出オーガ(8)の長さを最小長さにした状態で回動させた場合の最小移動ライン(48)と、排出オーガ(8)の排出口の位置を投影した現在位置(49)を表示するので、排出オーガ(8)を移動させて搬送車の荷台に穀粒を均一に排出することができ、また、排出ロスも削減することができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、請求項5又は6記載の発明による効果に加えて、排出オーガ(8)を操作するコントローラ(41)に、第2カメラ(40)で撮影された画像を表示する第2モニタ(42)を設けたので、操縦部(5)から降車した作業者が第2モニタ(42)の画像を見ながら容易に穀粒の排出作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】監視カメラの支持アームを脱穀装置の上部に装着した説明図である。
【
図6】監視カメラの支持アームを刈取装置の上部に装着した説明図である。
【
図7】監視カメラの支持アームをキャビンの左部に装着した説明図である。
【
図8】監視モニタの支持部材を操縦部の左部に装着した説明図である。
【
図9】監視モニタの支持部材を操縦部の右部に装着した説明図である。
【
図11】排出オーガから穀粒排出時の排出モニタの表示画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~3に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0022】
操縦部5の下側には、エンジンを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側には、穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部と前後方向に延在する横排出からなる排出オーガ8が設けられている。また、操縦部5は、キャビン9によって囲繞され、刈取装置3の後部には、刈取られた穀稈を脱穀装置4に搬送する搬送装置10が設けられている。
【0023】
図4に示すように、操縦部5の操縦席5Aの前側のフロントパネル20には、走行装置2の走行速度等を表示するタッチパネル式のモニタ21が設けられ、モニタ21の右側には、走行装置2を左右方向に旋回や刈取装置3を上下方向に昇降させる操作レバー22が設けられ、モニタ21の右側には、後述するモータ等の回動手段32やシリンダ等の伸縮手段33を駆動して支持アーム31を回動させるダイヤル式やオルタネート式等の操作スイッチ23が設けられている。なお、操作レバー22の姿勢は、操作レバー22の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定されている。
【0024】
操縦部5の操縦席5Aの左側のサイドパネル25には、エンジンの出力回転の増減速と回転方向の切替えを行う無段変速装置を操作する主変速レバー26が設けられ、主変速レバー26の後側には、無段変速装置の出力回転の増減速を行うトランスミッションを操作する副変速レバー27が設けられている。なお、主変速レバー26の姿勢は、主変速レバー26の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定され、副変速レバー27の姿勢は、副変速レバー27の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定されている。
【0025】
<監視カメラの配置方法>
図5に示すように、搬送装置10の上方には、搬送装置10で搬送される穀稈を監視する監視カメラ(請求項の「第1カメラ」)30が設けられ、脱穀装置4の上壁の前部には、監視カメラ30を支持する支持アーム31の基部が回動手段32を介して回動自在に固定されている。これにより、刈取作業中に発生する振動による監視カメラ30の揺れを抑制することができる。
【0026】
操縦部5のダイヤル式の操作スイッチ23を時計方向に回転させると回動手段32を介して支持アーム31が時計方向に回転し、操作スイッチ23を反時計方向に回転させると回動手段32を介して支持アーム31が反時計方向に回転する。これにより、平面視において、監視カメラ30を搬送装置10の上方に移動させて搬送装置10で搬送されている穀稈の詰まりや穀稈の穂先位置を監視することができる。また、監視カメラ30を機体の左方に張出したナローガイド34の上方に移動させて機体の左方の未刈穀稈の絡まりや倒伏状態を監視することができる。なお、監視カメラ30で撮影された画像はモニタ(請求項の「第1モニタ」)36に表示される。なお、ナローガイド34は、機体フレーム1の左部に設けられており、コンバインの左側に植立された未刈穀稈を左側に向かって押圧して未刈穀稈が走行装置2に絡み付くのを防止する装置である。
【0027】
<監視カメラの他の配置方法>
図6に示すように、搬送装置10の上方には、搬送装置10で搬送される穀稈を監視する監視カメラ30が設けられ、刈取装置3のフレームの後部には、監視カメラ30を支持する支持アーム31の基部が回動手段32を介して回動自在に固定されている。これにより、監視カメラ30を搬送装置10の上方に容易に位置合わせすることができる。
【0028】
操縦部5のダイヤル式の操作スイッチ23を時計方向に回転させると回動手段32を介して支持アーム31が反時計方向に回転し、操作スイッチ23を反時計方向に回転させると回動手段32を介して支持アーム31が時計方向に回転する。これにより、平面視において、監視カメラ30を搬送装置10の上方に移動させて搬送装置10で搬送されている穀稈の詰まりや穀稈の穂先位置を監視することができる。また、監視カメラ30を機体の左方に張出したナローガイド34の上方に移動させて機体の左方の未刈穀稈の絡まりや倒伏状態を監視することができる。
【0029】
<監視カメラのさらに他の配置方法>
図7に示すように、搬送装置10の上方には、搬送装置10で搬送される穀稈を監視する監視カメラ30が設けられ、キャビン9の左壁の後部には、監視カメラ30を支持する支持アーム31の基部が伸縮手段33を介して左右方向に移動可能に固定されている。これにより、刈取作業中に発生する振動による監視カメラ30の揺れを抑制することができる。
【0030】
操縦部5のオルタネート式の操作スイッチ23を押下させると伸縮手段33の伸縮部材が縮まって支持アーム31が右方向に移動し、操作スイッチ23を再度押下させると伸縮手段33の伸縮部材が突出して支持アーム31が左方向に移動する。これにより、平面視において、監視カメラ30を搬送装置10の上方に移動させて搬送装置10で搬送されている穀稈の詰まりや穀稈の穂先位置を監視することができる。また、監視カメラ30を機体の左方に張出したナローガイド34の上方に移動させて機体の左方の未刈穀稈の絡まりや倒伏状態を監視することができる。
【0031】
<モニタの配置方法>
図8に示すように、操縦席6Aの前方には、監視カメラ30で撮影された画像を表示するモニタ36が設けられ、モニタ36を支持する内部に導線等が内装されている可撓性の支持部材37の基部は、操縦部5の左壁に設けられた監視カメラ30や排出オーガ8の排出口の近傍に設けられた監視カメラ(請求項の「第2カメラ」)40で撮影された画像を出力する左出力ポート38Aに接続されている。これにより、作業者が、モニタ21の表示画面の切替えをすることなく、操縦席6Aの前方にモニタ36を引出して、モニタ36の表示画面を見て搬送装置10で搬送される穀稈の詰まりや穀稈の穂先位置を容易に視認することができる。
【0032】
操縦部5の右壁にも監視カメラ30や監視カメラ40で撮影された画像を出力する右出力ポート38Bを設けられている。これにより、
図9に示すように、排出オーガ8を駆動してグレンタンク7に貯留された穀粒をトラック等の搬送車の荷台に排出する場合には、支持部材37の基部を右出力ポート38Bに接続してモニタ36を右壁に近づけて、監視カメラ40で撮影された画像を見ながら後述するコントローラ41を容易に操作することができる。なお、本明細書では、左出力ポート38Aと右出力ポート38Bを総称して出力ポート38という。
【0033】
図10に示すように、排出オーガ8を操作するコントローラ41の上部には、監視カメラ40で撮影された画像を表示するモニタ(請求項の「第2モニタ」)42が設けられ、コントローラ41の中間部には、排出オーガ8の先端を左方向に移動させる左スイッチ43Aと、右方向に移動させる右スイッチ43Bと、上方向に移動させる上スイッチ43Cと、下方向に移動させる下スイッチ43Dがそれぞれ対向して設けられている。また、コントローラ41の下部には、排出オーガ8の排出口を左方向に揺動させる左スイッチ44Aと、右方向に揺動させる右スイッチ44Bと、排出オーガ8を軸方向に伸ばす伸スイッチ44Cと、縮める縮スイッチ44Dがそれぞれ対向して設けられている。これにより、コンバインから降車した作業者がモニタ42の表示画面を見ながら左スイッチ43Aや右スイッチ43Bを操作して荷台に均一に穀粒を排出することができる。
【0034】
<モニタの画面>
図11に示すように、モニタ36,42には、監視カメラ40で撮影された搬送車の荷台画像45と、荷台画像45の内側に穀粒の排出ロスが生じない推奨移動領域46と、推奨移動領域46に排出された穀粒の排出量を濃淡が示されている。これにより、作業者は、モニタ36,42の表示画面を見ながら濃淡が均一になる様に左スイッチ43Aや右スイッチ43Bを操作して荷台に均一に穀粒を排出することができる。なお、
図11では、推奨移動領域46における左側が淡色で図示され穀粒の排出量が少ないことを示し、推奨移動領域46における右側が濃色で図示され穀粒の排出量が多いことが示している。
【0035】
<モニタの他の画面>
図12に示すように、モニタ36,42には、監視カメラ40で撮影された搬送車の荷台画像45と、荷台画像45の内側に穀粒の排出ロスが生じない推奨移動領域46と、推奨移動領域46に排出された穀粒の排出量を濃淡が示されると共に、排出オーガ8の長さを最大長さにした状態で左右に移動させた最大移動ライン47と、排出オーガ8の長さを最小長さにした状態で左右に移動させた最小移動ライン48と、現在の排出オーガ8の先端部に形成された排出口の現在位置49が表示されている。また、最大移動ライン47と最小移動ライン48上には左スイッチ43Aを押下して排出オーガ8の先端を左方向に移動させた代表的な移動位置を示す左ドット50Aが図示され、最大移動ライン47と最小移動ライン48上には右スイッチ43Bを押下して排出オーガ8の先端を左方向に移動させた代表的な移動位置を示す右ドット50Bが図示されている。これにより、作業者は、モニタ36,42の表示画面を見ながら左スイッチ43Aや右スイッチ43Bを操作して荷台に均一に穀粒を排出し、排出ロスを削減するができる。
【0036】
最大移動ライン47と伸スイッチ44Cの色彩を同一色、例えば赤色にし、最小移動ライン48と縮スイッチ44Dの色彩を同一色、例えば青色にし、左ドット50Aと左スイッチ43Aの色彩を同一色、例えば緑色にし、右ドット50Bと右スイッチ43Bの色彩を同一色、例えば黄色にするのが好ましい。これにより、作業者は、モニタ36,42の表示画面を見ながら左スイッチ43Aや右スイッチ43Bを操作して荷台により容易に均一に穀粒を排出し、排出ロスをより容易に削減するができる。なお、本明細書では、左ドット50Aと右ドット50Bを総称してドット50という。
【0037】
図13に示すように、刈取装置3の後部に設けられた左右方向に延在する回転軸を内装する伝動筒(図示省略)を着脱自在に支持する支持装置60は、上下方向に延在する左柱61と、上下方向に延在する右柱62と、左柱61と右柱62の上部を連結する丸鋼から形成された連結部材63から形成されている。
【0038】
左柱61の上部には、伝動筒の左部を支持する前部が上下方向に開閉可能な左支持部61Aが設けられている。また、右柱62の上部には、伝動筒の右部を支持する前部が上下方向に開閉可能な右支持部62Aが設けられている。これにより、刈取装置3の保守点検作業時には、刈取装置3を支持装置60から容易に取外すことができる。
【0039】
左柱61の後部における上下方向の中間部には、後下がり傾斜に形成された補強部材64が設けられ、補強部材64の後後部は機体フレーム1に連結される。これにより、支持装置60の左柱61の剛性を高めて刈取装置3の着脱時に左柱51の変形を抑制することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 機体フレーム
2 走行装置
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 操縦部
7 グレンタンク
8 排出オーガ
9 キャビン
10 搬送装置
23 操作スイッチ
30 監視カメラ(第1カメラ)
31 支持アーム
32 回動手段
33 伸縮手段
34 ナローガイド
36 モニタ(第1モニタ)
37 支持部材
38A 左出力ポート
38B 右出力ポート
40 監視カメラ(第2カメラ)
41 コントローラ
42 モニタ(第2モニタ)
45 荷台画像
46 推奨移動領域
47 最大移動ライン
48 最小移動ライン
49 現在位置
【要約】
【課題】作業者が前方から視線を外すことなく、刈取装置の搬送装置で搬送される穀稈の搬送量や詰まり等の搬送状態を撮影した画像をモニタで確認することができる走行安全性が高いコンバインを提供する。
【解決手段】刈取装置(3)の後部に設けられた搬送装置(10)で搬送される穀稈を、上方から撮影する第1カメラ(30)を設け、脱穀装置(4)の上壁の前部に、第1カメラ(30)を支持する支持アーム(31)の基部を回動手段(32)を介して設け、第1カメラ(30)で撮影された画像を、操縦部(5)の左右壁に設けられた左右出力ポート(38A,38B)に可撓性の支持部材(37)を介して接続された第1モニタ(36)に表示する。
【選択図】
図5