(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】視力改善装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61H 5/00 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
A61H5/00 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022171635
(22)【出願日】2022-10-26
(62)【分割の表示】P 2019516539の分割
【原出願日】2017-10-02
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/KR2016/014739
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519099070
【氏名又は名称】エデンラックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、サン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ニョー、キュン-ヒュン
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-528956(JP,A)
【文献】特開2010-148738(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0303687(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ、ディスプレイ、および使用者の眼球に対応する接眼部を有するハウジングと、
(a)前記眼球が正視眼状態から非正視眼状態に移行したのか、前記非正視眼状態から前記正視眼状態に移行したのかを決定し、
(b)前記正視眼状態から前記非正視眼状態への前記眼球の移行か、前記非正視眼状態から前記正視眼状態への移行かの決定に応答して調節適応確認信号を生成する、
センサーモジュールと
、
(a)訓練区間内で、
前記ディスプレイ上のターゲットイメージと前記眼球の間
の焦点距離を変えるためにアクチュエータを制御し、
(
b)前記調節適応確認信号に基づいて、調節近点位置および調節遠点位置を設定し、
(
c)前記調節近点位置と前記調節遠点位置の間の範囲に該当する鮮明視域区間を設定し、
(
d)前記鮮明視域区間の複数の測定位置のそれぞれについて、前記複数の測定位置のそれぞれに前記ディスプレイとレンズとを配置してから前記複数の測定位置のそれぞれにおいて前記調節適応確認信号を入力するまでの調節適応時間を測定し、前記調節適応時間に基づいて、前記訓練区間内の追加の測定位置に移動させるための訓練速度を決定する、
制御部と、を備えており、
(a)前記訓練区間は前記鮮明視域区間の少なくとも一部を含み、
(b)前記調節近点位置は前記眼球が前記正視眼状態にある範囲の一端であり、前記調節遠点位置は前記眼球が前記正視眼状態にある範囲の他端である、
視力訓練装置。
【請求項2】
前記制御部が、
高調節適応区間と低調節適応区間を決定し、前記眼球は前記低調節適応区間よりも前記高調節適応区間においてより速く前記正視眼状態を達成し、
前記高調節
適応区間の少なくとも一部を含むように前記訓練区間を決定するように構成される、請求項1に記載の視力訓練装置。
【請求項3】
前記アクチュエータが、ピエゾアクチュエータ、VCMアクチュエータ、およびエンコーダアクチュエータのうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載の視力訓練装置。
【請求項4】
前記訓練速度が、前記高調節
適応区間において増加される、請求項2に記載の視力訓練装置。
【請求項5】
前記調節適応時間が減少すると前記訓練速度が増加し、前記調節適応時間が増加すると前記訓練速度が減少する、請求項1に記載の視力訓練装置。
【請求項6】
使用者入力部を有し、さらにレンズ、ディスプレイ、使用者の眼球に対応する接眼部を有するハウジングと、
(a)前記眼球が正視眼状態から非正視眼状態に移行した、または前記非正視眼状態から前記正視眼状態に移行したことを示す前記使用者入力部からの入力に応じて、調節適応確認信号を受信し
、
(b)訓練区間内で、
前記ディスプレイ上のターゲットイメージと前記眼球の間
の焦点距離を変えるためにアクチュエータを制御し、
(
c)前記調節適応確認信号に基づいて、調節近点位置および調節遠点位置を設定し、
(
d)前記調節近点位置と前記調節遠点位置の間の範囲に該当する鮮明視域区間を設定し、
(
e)前記鮮明視域区間の複数の測定位置のそれぞれについて、前記複数の測定位置のそれぞれに前記ディスプレイとレンズとを配置してから前記複数の測定位置のそれぞれにおいて前記調節適応確認信号を入力するまでの調節適応時間を測定し、前記調節適応時間に基づいて、前記訓練区間内の追加の測定位置に移動させるための訓練速度を決定する、
制御部と、を備えており、
(a)前記訓練区間は前記鮮明視域区間の少なくとも一部を含み、
(b)前記調節近点位置は前記眼球が前記正視眼状態にある範囲の一端であり、前記調節遠点位置は前記眼球が前記正視眼状態にある範囲の他端である、
視力訓練装置。
【請求項7】
前記制御部が、
高調節適応区間と低調節適応区間を決定し、前記眼球は前記低調節適応区間よりも前記高調節適応区間においてより速く前記正視眼状態を達成し、
前記高調節
適応区間の少なくとも一部を含むように前記訓練区間を決定するように構成される、請求項6に記載の視力訓練装置。
【請求項8】
前記アクチュエータが、ピエゾアクチュエータ、VCMアクチュエータ、およびエンコーダアクチュエータのうちの1つまたは複数を含む、請求項7に記載の視力訓練装置。
【請求項9】
前記訓練速度が前記高調節
適応区間において増加される、請求項7に記載の視力訓練装置。
【請求項10】
前記調節適応時間が減少すると前記訓練速度が増加し、前記調節適応時間が増加すると前記訓練速度が減少する、請求項6に記載の視力訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使用者の視力特性を基に眼球筋肉を訓練する視力訓練装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
視力は多様な眼球筋肉のうち毛様体筋と関連性が高い。それでこの毛様体筋を収縮または弛緩させる訓練を実施することによって視力を向上させたり、維持したりすることができる。ところがヒトの毛様体筋は個人別に互いに異なる能力を有しているのでヒト毎の視力に相応するカスタマイズされた視力訓練を実施することが効果的である。
【0003】
しかしながら、従来の視力訓練装置はヒト毎の視力特性を考慮せずに単純に使用者眼球の焦点距離を変化させて毛様体筋に対する訓練を実施した。それで使用者によっては訓練効率が低かったり、訓練適応が難しかったりする場合が多かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は毛様体筋に対する訓練の効率が比較的高い視力訓練装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
目的を達成するための本発明による視力訓練装置は使用者の眼球に対応する少なくとも一つの接眼部を有するハウジングと、使用者の視線方向の前方にターゲットイメージを表示するディスプレイ部と、接眼部とディスプレイ部の間に配置されるレンズと、ディスプレイ部及びレンズのうち少なくとも一つを視線方向に沿って移動させることができる移動部と、ディスプレイ部及びレンズの移動範囲内で少なくとも一つの訓練区間を設定して訓練区間内でディスプレイ部及びレンズのうち少なくとも一つが移動されるように移動部を制御する制御部とを含む。
【0006】
ここで、制御部は移動範囲内で所定の調節近点位置及び調節遠点位置の間に該当する鮮明視域区間を設定し、訓練区間は鮮明視域区間を含むことが好ましい。
【0007】
そして、使用者から使用者入力信号の入力を受ける使用者入力部をさらに含み、調節近点位置と調節遠点位置は使用者入力信号の入力を通じて設定されることが好ましい。
【0008】
また、使用者の眼球が正視眼状態から非正視眼状態に変化したり、非正視眼状態から正視眼状態に変化したりすることをチェックして視認度変更確認信号を生成するセンサーモジュールをさらに含み、制御部は視認度変更確認信号を基に調節近点位置と調節遠点位置を設定することが好ましい。
【0009】
そして、制御部は鮮明視域区間内で使用者入力部またはセンサーモジュールを通じた連続的または断続的調節適応速度の測定をし、測定された速度を反映してディスプレイ部及びレンズの訓練区間内の訓練速度を決定することが好ましい。
【0010】
また、制御部は鮮明視域区間内で所定の近接調節適応臨界位置及び遠隔調節適応臨界位置を設定し、訓練区間は近接調節適応臨界位置及び遠隔調節適応臨界位置の間に該当する高調節反応区間のうち少なくとも一部区間を含むことが好ましい。
【0011】
そして、視線方向に沿ってレンズとディスプレイ部の間またはレンズと接眼部の間に配置される少なくとも一つの第2レンズをさらに含むことが好ましい。
【0012】
また、移動部は第2レンズを移動させるための第2移動部を含み、第2移動部はピエゾアクチュエータ、VCMアクチュエータ、エンコーダアクチュエータのうちいずれか一つであることが好ましい。
【0013】
そして、移動部はレンズ及び第2レンズのうち少なくとも一つを選択的に移動することが好ましい。
【0014】
また、ターゲットイメージはディスプレイ部の位置によって像の大きさが変わることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明による視力訓練装置は使用者毎の視力特性を考慮して毛様体筋に対する訓練の効率が比較的高いので視力回復の効果に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による視力訓練装置を示した斜視図である。
【0017】
【
図2】本発明による視力訓練装置の制御ブロック図である。
【0018】
【
図3】本発明の視力訓練装置を利用した調節近点位置及び調節遠点位置を測定する多様な方法を示した説明図である。
【0019】
【
図4】本発明のディスプレイ移動方式による測定及び訓練過程を説明するための参考図であり、
【0020】
【
図5】
図3の(A)による調節近点位置及び調節遠点位置を測定する過程を示した順序図であり、
【0021】
【
図6】本発明の視力訓練装置を利用した訓練モード過程を示した順序図である。
【0022】
【
図7】本発明の他の実施例による視力訓練装置を利用した訓練モード過程を示した順序図である。
【0023】
【
図8】は
図7の実施例による訓練方法を説明するための参考図である。
【0024】
【
図9】レンズの移動による訓練過程を説明するための参考図である。
【0025】
【
図10】複数のレンズを備えた視力訓練装置を概略的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明による視力訓練装置を示した斜視図である。
図1から見ることができるように、本視力訓練装置は仮想線で表示されたハウジング(110)と、ハウジング(110)の内部に左右に並んで配置された一対の視力訓練ユニット(120)を有する。
ハウジング(110)は左眼及び右眼の視野を互いに遮断するために一対の視力訓練ユニット(120)の間に配置される仕切り板(122)を有する。ここでそれぞれの視力訓練ユニット(120)は個別ハウジング構造で仕切り板(122)を代替することができる。
【0027】
ハウジング(110)は使用者の両眼に対応してハウジング(110)の内部を見ることができるように貫通された接眼孔を有する一対の接眼部(124)を有する。ここで、一対の接眼部(124)は分離されずに相互連結されて一つの貫通孔の形態で備えられることもできる。ハウジング(110)の上面には使用者から信号の入力を受けることができる使用者入力部(160)が設置される。使用者は使用者入力部(160)を通じて必要な情報を入力したり、訓練条件、訓練モード等を選択したりすることができる。ハウジング(110)は使用者の顔に固定されることができるように助ける伸縮性のある材質のストラップあるいは頭固定装置を含むことができる。
【0028】
視力訓練ユニット(120)は視線方向に沿って相互対向するように配置されるディスプレイ(130)とレンズ(140)を有する。視力訓練ユニット(120)はレンズ(140)を支持するためのレンズホルダー(142)を有する。各レンズホルダー(142)は接眼部(124)に対応するように配置される。使用者はレンズホルダー(142)に支持されたレンズ(140)を通じてディスプレイ(130)を見ることができる。
【0029】
ディスプレイ(130)は視力訓練のためのターゲットイメージを表示する。ディスプレイ(130)はLCD、LED等、電子的なディスプレイ装置または紙、プラスチック板等のような単純表示板であり得る。ターゲットイメージは風景、図形、点、幾何学的形状等、静的なイメージまたは動画であり得る。
【0030】
レンズ(140)はレンズホルダー(142)に取り付けられて接眼部(124)とディスプレイ(130)の間に配置される。使用者は接眼部(124)とレンズ(140)を通じてディスプレイ(130)に表示されるターゲットイメージを見ることができる。ここで、レンズ(140)は凸レンズであることが好ましい。凸レンズは使用者の眼球とターゲットイメージの間の焦点距離を変更して使用者がイメージを実際距離より遠く位置するものと認識するようにしてイメージの遠近感を拡張させることができる。しかしながら、レンズ(140)は凸レンズに限定されずに偏光レンズ、カラーレンズ等のような多様な種類のレンズとして採択されることができる。偏光レンズまたはカラーレンズを採択する場合、使用者はターゲットイメージの一部をフィルタリングすることができる。
【0031】
ディスプレイ(130)とレンズホルダー(142)は移動部(150)によって相互連結される。移動部(150)はリードスクリュー(151)と移動体(152)及び駆動モータ部(153)を含む。ここで、移動体(152)はディスプレイ(130)側に結合されて駆動モータ部(153)はレンズホルダー(142)側に結合されるか逆の場合も可能である。リードスクリュー(151)は駆動モータ(153)と移動体(152)を連結する。
【0032】
このような構成により、駆動モータ(153)が駆動されるとリードスクリュー(151)が回転しながらディスプレイ(130)とレンズ(140)が視線方向に沿って互いに相対的な接近または離隔移動をする。即ち、ディスプレイ(130)がハウジング(110)に固定された状態で駆動モータ(153)を駆動するとレンズ(140)がディスプレイ(130)に対して相対的な移動をし、レンズホルダー(142)がハウジング(110)に固定された状態で駆動モータ(153)を駆動するとディスプレイ(130)がレンズ(140)に対して相対的な移動をする。一方、ディスプレイ(130)とレンズ(140)が同時に個別的な運動が可能なようにディスプレイ(130)とレンズホルダー(142)それぞれをハウジング(110)に対して移動させることができる構成を有することもできる。また使用者の操作による手動駆動方式を採択することもできる。
【0033】
図2は本発明に他の視力訓練装置の制御ブロック図である。
図2を
図1と共に参照してみると、本視力訓練装置は複数の使用者入力ボタン(161から166)を有する使用者入力部(160)で入力される情報を受領する制御部(190)を含む。使用者入力部(160)の各ボタンは電源ボタン、使用者選択ボタン、前方移動ボタン、後方移動ボタン、測定モードボタン及び訓練モードボタン等で備えられることができる。使用者入力部(160)は有線あるいは無線リモートコントローラーに代替されたり、音声認識方式あるいはジャイロセンサーや映像認識センサーを利用した視線追跡方式で具現されたりすることもできる。
【0034】
本視力訓練装置はスマートフォン、タブレット、PC、使用者サーバー等のような外部装置と有線または無線で通信することができるようにする通信部(170)を含む。通信部(170)は視力訓練装置から生成されたデータを外部装置に伝送したり、外部装置からデータの伝送を受けたりすることができる。
【0035】
本視力訓練装置は使用者情報、ジオプター換算データ、視力データ、訓練データ及び視力訓練装置の動作に必要な多様なデータを保存するメモリー部(180)を含む。ジオプター換算データはディスプレイ(130)とレンズ(140)の移動範囲内でディスプレイ(130)とレンズ(140)の各位置をジオプター値に換算したデータを意味する。
【0036】
制御部(190)は一対のディスプレイ(130)及びレンズ(140)のうち少なくとも一つを個別的に制御することができる。これによって、本発明による視力訓練装置は左眼、右眼または両眼に対する自由な選択による視力訓練が可能である。
【0037】
図3は本発明の視力訓練装置を利用した調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)を測定する多様な方法を示した説明図であり、
図4は本発明のディスプレイ移動方式による測定及び訓練過程を説明するための参考図であり、
図5は
図3の(A)による調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)を測定する過程を示した順序図である。
図5を
図3及び
図4と共に参照してみると、本発明による調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)は
図3の(A)のようにディスプレイ(130)またはレンズ(140)を遠隔位置(P2)から近接位置(P1)に移動させながら測定することができる。
【0038】
まず使用者は使用者入力部(160)の電源入力ボタンを押して電源を印加する。そして使用者は視力訓練装置を着用した後、使用者入力部(160)の測定モード選択ボタンを押して測定モードを選択する(S110)。
【0039】
使用者によって測定モードが選択されると、制御部(190)は駆動モータ(153)を制御してディスプレイ(130)またはレンズ(140)を遠隔位置(P2)に移動させる(S120)。遠隔位置(P2)はディスプレイ(130)またはレンズ(140)の移動範囲(MR)のうち接眼部(124)から最も遠く離れた位置であるが所定範囲内で調整されることができる。
【0040】
制御部(190)は駆動モータ(153)を制御してディスプレイ(130)またはレンズ(140)を遠隔位置(P2)から接眼部(124)に向かって連続的または断続的に接近移動させる(S130)。この時、連続的な場合移動速度、断続的な場合維持速度は設定された速度で調整が可能である。
【0041】
制御部(190)は使用者入力部(160)から調節適応確認入力があるか確認する(S140)。調節適応確認入力は使用者の眼球が非正視眼状態から正視眼状態に変更される場合、使用者によって使用者入力部(160)を通じて制御部(190)に伝送される信号である。使用者はディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が移動することによってターゲットイメージ(TI)がぼんやりした状態から鮮明に見える瞬間、即ち、使用者のターゲットイメージ(TI)に対する視認度が変わる瞬間に使用者入力部(160)の使用者選択ボタンを押すことによって調節適応確認信号が入力される。
【0042】
制御部(190)は使用者入力部(160)から調節適応確認信号の入力を受ける場合、調節適応確認信号が入力された時点におけるディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の臨界位置を調節遠点位置(P6)として保存する(S150)。
【0043】
以後、制御部(190)は駆動モータ(153)を制御してディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を接眼部(124)に向かって連続的または断続的に接近移動させる(S160)。この時、連続的な場合移動速度、断続的な場合停止状態における待機時間が調整が可能である。
【0044】
制御部(190)は使用者入力部(160)から調節適応確認入力があるか確認する(S170)。この時の調節適応確認入力は使用者の眼球が正視眼状態から非正視眼状態に変更される場合、使用者によって使用者入力部(160)を通じて制御部(190)に伝送される信号である。使用者はディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が移動することによってターゲットイメージ(TI)が鮮明な状態からぼんやり見える瞬間、即ち、使用者のターゲットイメージ(TI)に対する視認度が変わる瞬間に使用者入力部(160)の使用者選択ボタンを押すことによって調節適応確認信号が入力される。
【0045】
制御部(190)は使用者入力部(160)から調節適応確認信号の入力を受ける場合、調節適応確認入力信号が入力された時点におけるディスプレイ(130)またはレンズ(140)の臨界位置を調節近点位置(P5)として保存する(S180)。前述した調節遠点位置(P6)及び調節近点位置(P5)は個別的に測定可能である。
【0046】
本発明による調節遠点位置(P6)と調節近点位置(P5)は前述した遠隔位置(P2)から近接位置(P1)に対して接近移動する方式以外に多様な方式で測定されることができる。
【0047】
一方、本発明による調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)は
図3の(B)のようにディスプレイ(130)またはレンズ(140)を近接位置(P1)から遠隔位置(P2)に移動させながら測定することができる。
【0048】
制御部(190)は駆動モータ(153)を制御してディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を近接位置(P1)に移動させる。近接位置(P1)はディスプレイ(130)の移動範囲のうち接眼部(124)に最も近い位置であるかまたは接眼部(124)から所定距離離隔された位置であることが好ましい。
【0049】
制御部(190)はディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を近接位置(P1)に移動させた後、駆動モータ(153)を制御してディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を接眼部(124)から遠隔位置(P2)方向に連続的または断続的に離隔移動させる。この時、連続的な場合移動速度、断続的な場合待機時間は調整が可能である。
【0050】
制御部(190)は使用者入力部(160)から調節適応確認信号の入力があるか確認する。使用者はディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が移動することによってターゲットイメージ(TI)がぼんやりした状態から鮮明に見える瞬間、即ち、使用者のターゲットイメージ(TI)に対する視認度が変わる瞬間に使用者入力部(160)の使用者選択ボタンを押すことによって調節適応確認信号が入力される。制御部(190)は使用者入力部(160)から調節適応確認信号が入力された時点でディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の位置を調節近点位置(P5)として保存する。
【0051】
引き続き、制御部(190)は駆動モータ(153)を制御してディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を遠隔位置(P2)方向に連続的または断続的に離隔移動させる。この時、連続的な場合移動速度、断続的な場合待機時間の調整が可能である。
【0052】
制御部(190)は使用者入力部(160)から調節適応確認信号の入力があるか確認する。使用者はディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が移動することによってターゲットイメージ(TI)が鮮明な状態からぼんやり見える瞬間、即ち、使用者のターゲットイメージ(TI)に対する視認度が変わる瞬間に使用者入力部(160)の使用者選択ボタンを押すことによって調節適応確認信号が入力される。制御部(190)は使用者入力部(160)から調節適応確認信号の入力を受ける場合、この信号が入力された時点におけるディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の位置を調節遠点位置(P6)として保存する。調節近点位置(P5)または調節遠点位置(P6)は連続的測定ではなく二つのうちいずれか一つだけ測定することができる。
【0053】
本発明による調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)は
図3の(C)のようにディスプレイ(130)またはレンズ(140)を使用者合わせ位置を基準にディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を近接位置(P1)または遠隔位置(P2)に移動させながら測定することができる。
【0054】
使用者の年齢による統計学的に平均的な明視域範囲の中心点を任意に予め設定したり、設定された速度でディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を視線範囲内接近離隔時に使用者が最も安らかに感じる位置を使用者入力部(160)から入力を受けた使用者合わせ位置を基準に、ディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を接眼部(124)側に移動させながら正視眼状態から非正視眼状態に転移される時、使用者入力部で入力される信号を基に調節近点位置(P5)を決定したりするかその反対方向に移動させながら調節遠点位置(P6)を決定したりすることもできる。
【0055】
本発明による調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)は
図3の(D)のようにディスプレイ(130)またはレンズ(140)を遠隔位置(P2)から近接位置(P1)に移動させながら調節近点位置(P5)を決定し、連続的に近接位置(P1)から遠隔位置(P2)に移動させながら調節遠点位置(P6)を決定することができる。
【0056】
ディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が遠隔位置(P2)から近接位置(P1)に接近移動する場合、非正視眼状態から正視眼状態に転移及び正視眼状態から非正視眼状態に転移する現象が発生する。ここで
図3の(D)のような方式では正視眼状態から非正視眼状態に転移される時、使用者入力部で入力される信号を基に調節近点位置(P5)を決定する。
【0057】
そしてディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が近接位置(P1)から遠隔位置(P2)に離隔移動する場合も非正視眼状態から正視眼状態に転移及び正視眼状態から非正視眼状態に転移する現象が発生する。ここで
図3の(D)のような方式では正視眼状態から非正視眼状態に転移される時、使用者入力部で入力される信号を基に調節遠点位置(P6)を決定する。この時、ディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の移動速度をますます遅く繰り返し的に測定しながら、収斂する調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)を選択することが好ましい。
【0058】
本発明による調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)は前述した四つの方法以外に多様な方法で決定されることができる。例えば、ディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が遠隔位置(P2)から近接位置(P1)にまたは近接位置(P1)から遠隔位置(P2)に連続的に移動しながら測定することができる。ここで、ディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が移動する速度を異なるようにする場合、測定される調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)の位置が異なるように測定されることができる。ディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の移動速度が速いほど調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)の間の幅が狭く測定され、移動速度が遅いほど調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)の間の幅が広く測定される。
【0059】
そして前述したように多様な方法で測定された複数の調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)のうち適切なものを選択することができる。例えば、調節近点位置(P5)は
図3の(B)で説明した方法で決定されたものを選択し、調節遠点位置(P6)は
図3の(A)で説明した方法で決定されたものを選択することができる。
【0060】
図3の(A)から(D)で測定された各調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)は互いにその位置が少しずつ異なり得る。この時、調節近点位置(P5)は
図3の(B)で測定された調節近点位置(P5)が好ましく、調節遠点位置(P6)は
図3の(A)で測定された調節遠点位置(P6)が好ましいが、
図3の(C)または
図3の(D)で測定された調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)を選択することができる。
【0061】
信頼性のある調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)を決定するために、使用者は前述した測定過程を繰り返して行ってその結果を平均して調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)を決定することが好ましい。
【0062】
本発明の実施例による視力訓練装置は前述した調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)を測定する多様な方法で決定された情報を通じて使用者毎に固有の視認度臨界情報に換算することができる。視認度臨界情報は前述した調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)値に基づいて設定されるものであって、その位置値をそのまま設定したり、基準位置からディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の距離値で表現されたり、または該当位置におけるジオプター換算値で表現されたりすることができる。このような調節近点及び調節遠点位置情報は使用者の調節力と関連する要素であって使用者の視力を評価するための重要なパラメーターとして使用されることができる。また、このような測定モードを通じて使用者の視力特性を把握して把握された視力特性を考慮した使用者カスタマイズ型視力訓練を提供することによって、視力改善の効果が極大化されることができる。
【0063】
一方、本視力訓練装置は使用者の眼球に向かって赤外線あるいは光を出力して眼球から反射された赤外線あるいは光を受領して使用者の眼球が正視眼状態にあるかまたは非正視眼状態にあるかを判断するセンサーモジュールを含むことができる。センサーモジュールは設定された周期毎に繰り返し的に使用者の眼球の視認度が変わるかを確認する。即ち、使用者の眼球が正視眼状態から非正視眼状態に変わるかをチェックして非正視眼状態に変わったと判断される場合あるいは眼球が非正視眼状態から正視眼状態に変わるかをチェックして正視眼状態に変わったと判断される場合、制御部(190)に視認度変更確認信号を伝送することができる。制御部(190)は視認度変更確認信号を基に調節近点位置(P5)と調節遠点位置(P6)を設定する。
【0064】
センサーモジュールは自動屈折検査器の検査原理のようなメカニズムを利用することができる。即ち、センサーモジュールは赤外線あるいは光を使用者の眼球に向かって出力する光出力部と使用者の眼球から反射される反射光を探知する光探知部及び探知された反射光の焦点距離を計算してこれを利用して眼球に向かって出力された赤外線あるいは光が眼球で結ばれる位置を計算する屈折確認部を含む。
【0065】
制御部(190)は測定モードを通じて決定された調節近点位置(P5)と調節遠点位置(P6)に基づいて鮮明視域区間(AR)を設定する。鮮明視域区間(AR)は調節近点位置(P5)と調節遠点位置(P6)の間の領域に該当する。ディスプレイ(130)またはレンズ(140)の移動範囲(MR)内で鮮明視域区間(AR)を外れた区間(NAR1、NAR2)は不明視域区間である。
【0066】
図6は本発明の視力訓練装置を利用した訓練モード過程を示した順序図である。使用者は使用者入力部(160)の電源入力ボタンを押して視力訓練装置に電源を印加した後、視力訓練装置を着用して使用者入力部(160)の訓練モード選択ボタンを押すことによって訓練モードを選択する(S210)。
【0067】
使用者によって訓練モードが選択されると、制御部(190)はディスプレイ(130)の移動範囲(MR)内で少なくとも一つの訓練区間を設定する(S220)。訓練区間は鮮明視域区間(AR)を含むことが視力向上に効果的である。ここで、制御部(190)は移動範囲(MR)内で鮮明視域区間(AR)を含み、不明視域区間(NAR1、NAR2)のうち少なくとも一部区間をさらに含んで訓練区間に設定することができる。
【0068】
訓練区間内でディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)は設定された訓練区間を連続的に移動したり、または所定の離隔距離だけ移動したりした後、設定された待機時間の間に待機する断続的移動動作が繰り返して行われる(S230)。この時、ディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が移動する速度及び移動後待機する待機時間を個別使用者の視力特性を考慮して設定する場合、視力訓練を通じた視力改善がさらに効果的になされることができる。
【0069】
図7は本発明の他の実施例による視力訓練装置を利用した訓練モード過程を示した順序図であり、
図8は
図7の実施例による訓練方法を説明するための参考図である。これらの図面を参照してみると、使用者別視力特性を反映して連続的移動速度及び断続的待機時間を設定するために、まず、制御部(190)はディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を制御してディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を訓練区間内の複数の測定位置のうちいずれか一つの測定位置に位置させる(S310)。説明の便宜のためにディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が第1測定位置(MP1)から第2測定位置(MP2)に移動するものと仮定して説明する。
【0070】
制御部(190)は使用者入力部(160)またはセンサーモジュール(200)を通じて調節適応確認信号が入力されるかを確認する(S320)。調節適応確認入力は使用者が認識するターゲットイメージが鮮明になったことまたは使用者の眼球が正視眼状態になったことを示す信号である。
【0071】
使用者は第2測定位置(MP2)でターゲットイメージが鮮明になる瞬間、使用者入力部(160)を押すことによって調節適応確認入力信号が入力される。センサーモジュール(200)を通じて入力される場合、センサーモジュール(200)は設定された周期毎に繰り返し的に使用者の眼球の正視眼状態を確認し、使用者の眼球が正視眼状態である場合、制御部(190)に調節適応確認入力信号を伝送する。
【0072】
調節適応確認信号が入力された場合、制御部(190)は該当測定位置(MP2)に対する適応時間を保存する(S330)。ここで、調節適応時間とはディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が第2測定位置(MP2)に移動した後調節適応確認入力が入力されるまでの時間を意味する。このような調節適応時間は使用者の視力特性によって互いに異なる値を有する。本発明による視力訓練装置でディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の位置は所定のジオプター値に換算されることができ、ジオプター換算値として使用者に提供されることもできる。
【0073】
このような調節適応時間の測定は複数の測定位置(MP1からMP10)全てに対してそれぞれ行われることができる。各測定位置に対する調節適応時間の測定はディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の移動方向によって区分されて測定することが好ましい。これは同一の測定位置に対する調節適応時間でもターゲットイメージを認識する前に位置していたディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の位置によってその調節適応時間が異なり得るためである。
【0074】
複数の測定位置それぞれに対する調節適応時間が決定された場合、制御部(190)は決定された調節適応時間を反映して位置別ディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の断続的維持時間または連続的移動速度(V)のうちいずれか一つを設定する(S340)。断続的維持時間は該当位置でディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が留まる時間であり、連続的移動速度(V)は該当位置を通過するディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の速度を意味する。
【0075】
断続的維持時間または連続的移動速度(V)が決定された後、制御部(190)はディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が該当位置で設定された維持時間の間に留まったり、該当位置を設定された移動速度で通過したりするようにディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を制御する(S350)。
【0076】
前述したように、それぞれの測定位置に対する適応時間を考慮して視力訓練を行うことは使用者の該当位置における調節適応時間を考慮して視力訓練を行うものである。従って、視力訓練を効率的に行うと同時に視力訓練を通じた毛様体筋の強化をさらに効果的に行うことができる。
【0077】
調節適応時間が短い区間ではターゲットイメージ(T1)に適応する時間が短いので使用者の眼球の適応力が比較的高い。従って適応時間が短い領域では訓練区間の幅を比較的大きくし、適応時間が長くかかる領域では訓練区間の幅を比較的小さくして使用者が訓練中に過度な負荷がかからないながらも効果的な訓練効果を得ることができるようにすることができる。
【0078】
前述したように、各訓練区間内にディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)の連続的移動速度及び断続的維持時間と訓練区間の幅を使用者の適応時間を考慮して可変的に設定することによって、視力改善の効果をより極大化することができる。
【0079】
前述した情報を基に制御部(190)は効果的な訓練区間設定のために鮮明視域区間(AR)内に近接調節適応臨界位置(P3)と遠隔調節反応臨界位置(P4)を設定することができる。制御部(190)は鮮明視域区間(AR)の幅と使用者の年齢帯による特性を考慮した数値を組み合わせて近接調節適応臨界位置(P3)と遠隔調節反応臨界位置(P4)を設定することができる。例えば、鮮明視域区間(AR)の幅が広い場合、高調節適応区間(FAR)がさらに広く設定されることができ、年齢が高いほど高調節適応区間(FAR)の幅をさらに狭く設定することができる。近接調節適応臨界位置(P3)と遠隔調節反応臨界位置(P4)の間の区間を高調節適応区間(FAR)に設定し、鮮明視域区間(AR)内の高調節適応区間(FAR)以外の区間(SAR1、SAR2)を低調節適応区間に設定することができる。高調節適応区間(FAR)は測定された位置(MP1からMP10)のうち選択して設定することもできる。高調節適応区間(FAR)は使用者の眼球が調節反応を安らかにすることができる区間であって、訓練をするという認識をしない状態で調節訓練を通じた目の疲労度も下げる方法でVR(Vertual Reality)につなぎ合わせて使用可能である。
【0080】
さらに他の訓練区間の設定方法は制御部(190)はディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を調節近点位置(P5)または調節遠点位置(P6)のうちいずれか一つの位置に移動させる。以下で、説明の便宜のためにディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)が調節近点位置(P5)に移動したものと仮定して説明する。
【0081】
制御部(190)は調節近点位置(P5)に位置したディスプレイ(130)またはレンズ(140)を設定された離隔単位だけ遠隔位置(P2)の方向に離隔させた後、予め設定された待機時間の間にその位置を維持する測定動作を繰り返すように移動部(150)を制御する。使用者はレンズ(140)を通じて認識されるターゲットイメージ(TI)が設定された待機時間内に鮮明にならない場合、使用者入力部(160)を通じて調節適応確認信号を入力する。制御部(190)は使用者入力部(160)を通じて調節適応確認信号を受信すると、測定動作を停止させて調節適応確認信号を受信した時点におけるディスプレイ(130)及びレンズ(140)の位置を遠隔調節適応臨界位置(P4)に設定する。同様の方法で近接調節適応臨界位置(P3)も設定する。
【0082】
さらに、他の方法として制御部(190)は近接調節適応臨界位置(P3)及び遠隔調節適応臨界位置(P4)を自動に設定することもできる。制御部(190)は使用者の年齢による統計学的に平均的な明視域範囲の中心点を任意に予め設定したり、設定された速度でディスプレイ(130)あるいはレンズ(140)を視線範囲内接近離隔時に使用者が最も安らかに感じる位置を使用者入力部(160)から入力を受けた使用者合わせ位置を基準から予め設定された距離だけ離隔された位置である近接調節適応臨界位置(P3)及び遠隔調節適応臨界位置(P4)を決定したりすることができる。この時、近接調節適応臨界位置(P3)及び遠隔調節適応臨界位置(P4)は使用者の年齢を基にして設定されることができる。
【0083】
決定された近接調節適応臨界位置(P3)及び遠隔調節適応臨界位置(P4)によって近接低調節適応区間(SAR1)及び遠隔低調節適応区間(SAR2)が定められる。ここで、近接低調節適応区間(SAR1)は調節近点位置(P5)と近接調節適応臨界位置(P3)の間の領域に該当し、遠隔低調節適応区間(SAR2)は調節遠点位置(P6)と遠隔調節適応臨界位置(P4)の間の領域に該当する。各低調節適応区間(SAR1、SAR2)は使用者の眼球が有している調節余力(accommodation reserve power)の範囲を反映する区間である。このような低調節適応区間(SAR1、SAR2)で視力訓練を行う場合、使用者の調節余力及び調節力をより拡張して使用者の視力を改善することができる。
【0084】
制御部(190)は近接低調節適応区間(SAR1)及び遠隔低調節適応区間(SAR2)が設定された場合、近接低調節適応区間(SAR1)及び遠隔低調節適応区間(SAR2)のうち少なくとも一部区間を訓練区間に含まれるように設定することが好ましい。即ち、訓練区間は高調節適応区間(FAR)だけを含むことができるが、近接低調節適応区間(SAR1)及び遠隔低調節適応区間(SAR2)のうち少なくとも一つの一部区間を含むことが視力向上に効果的である。
【0085】
訓練区間は近接低調節適応区間(SAR1)から遠隔低調節適応区間(SAR2)に設定されたり、近接低調節適応区間(SAR1)から高調節適応区間(FAR)に設定されたり、遠隔低調節適応区間(SAR2)から高調節適応区間(FAR)に設定されたりすることができる。勿論、近接低調節適応区間(SAR1)または遠隔低調節適応区間(SAR2)だけを訓練区間に設定することもできる。使用者はこのような訓練区間のうちいずれか一つを選択したり、組合せたりすることができる。使用者の選択がない場合、制御部(190)が任意に訓練区間を設定して選択することもできる。
【0086】
訓練区間が設定されると、制御部(190)はディスプレイ(130)またはレンズ(140)を訓練区間内で移動するように制御する。制御部(190)はディスプレイ(130)またはレンズ(140)を連続的または断続的に移動させることができる。即ち、制御部(190)はディスプレイ(130)またはレンズ(140)を訓練区間内で連続的に往復移動させたり、設定された訓練区間内でディスプレイ(130)またはレンズ(140)を設定された離隔距離だけ移動させた後、設定された訓練時間の間に待機する動作を繰り返して行ったりすることができる。このようなディスプレイ(130)またはレンズ(140)の視線方向への移動はレンズ(140)のジオプター値を変更するような効果を起こす。即ち、屈折率を変化させるようになる。
【0087】
この時ターゲットイメージ(T1)は距離によってイメージ像の大きさが変化することができる。例えば、ディスプレイ(130)またはレンズ(140)が接眼部(124)に近く接近するほどイメージ像の大きさをますます小さくし、逆に遠隔位置(P2)に遠くなるほどイメージ像の大きさをますます大きく設定する。これを通じてさらに正確な調節力測定及び訓練が可能である。
【0088】
このような訓練によって、使用者の毛様体筋はディスプレイ(130)またはレンズ(140)の移動によって変化するターゲットイメージ(TI)との焦点距離の変化に適応するために収縮または弛緩し、これにより、毛様体筋が強化される。
【0089】
視力訓練が完了すると、視力訓練装置は訓練を終了して訓練データをメモリー(180)に保存する。訓練データは一つのサイクルの訓練が終了されるまでの時間情報、訓練モード、訓練条件等に対する情報を含む。訓練データは使用者別に保存され、保存された訓練データを分析して訓練による視力改善程度を確認することができる。これにより、使用者は視力改善程度を確認して今後の訓練計画及び訓練方向を効果的に設定することができる。
【0090】
このような本発明による視力訓練装置は使用者の現在視力に対応する調節近点位置(P5)及び調節遠点位置(P6)を測定し、これに基づいて訓練区間を設定するので視力改善効果が高い。
【0091】
図9はレンズ(140)の移動による訓練過程を説明するための参考図である。
図9から見ることができるように、本発明による視力訓練装置はディスプレイ(130)の移動及び/又はレンズ(140)を移動させることによってターゲットイメージ(TI)と眼球間の焦点距離を変化させて視力と関係となる毛様体筋を強化することができる。レンズ(140)の移動を通じた視力訓練も前述したディスプレイ(130)の移動による測定モード及び訓練モードについての説明内容と同様である。即ち、レンズ(140)を移動することによって、レンズ(140)の位置を近接調節適応臨界位置(P3)、遠隔調節適応臨界位置(P4)、調節近点位置(P5)、調節遠点位置(P6)を測定し、これを基にして高調節適応区間(FAR)と近接低調節適応区間(SAR1)及び遠隔低調節適応区間(SAR2)を設定して視力訓練を実施することができる。
【0092】
これはディスプレイ(130)またはレンズ(140)の移動の全てがターゲットイメージ(T1)と眼球間の焦点距離を変化させるとの同一の特性に起因したものである。勿論、ディスプレイ(130)とレンズ(140)を共に移動させることによってターゲットイメージ(TI)と眼球間の焦点距離を変化させて視力と関係となる毛様体筋を強化することもできる。
【0093】
図10は本発明の他の実施例による視力訓練装置を概略的に示した説明図である。
図10から見ることができるように、本視力訓練装置は視線方向に沿って複数のレンズを備えることができる。視力訓練装置は視線方向に沿って接眼部(124)とレンズ(140)の間に配置される第2レンズ(145)を含むことができる。このように複数のレンズを備えることによって、単一レンズである時よりさらに多様な屈折率変化を通じた視力訓練を実施することができる。第2レンズ(145)はレンズ(140)とディスプレイ(130)の間に配置されることもできる。第2レンズ(145)はその位置が固定されたり、移動したりすることができる。ここで、本発明による移動部(150)はレンズ(140)及び第2レンズ(145)のうち少なくとも一つを選択的に移動したり、共に移動したりすることができる。このために、移動部(150)はピエゾアクチュエータ、VCMアクチュエータ、エンコーダアクチュエータのうちいずれか一つとして採択されることができる。また、移動部(150)は第2レンズ(145)を移動させるための第2移動部を含むことができ、第2移動部はピエゾアクチュエータ、VCMアクチュエータ、エンコーダアクチュエータのうちいずれか一つを採択することができる。第2レンズ(145)に追加的に配置されて焦点距離の調節に追加的に影響を及ぼすことができる固定または移動可能な少なくとも一つのレンズが追加されることができる。
【0094】
本発明によるターゲットイメージ(TI)はディスプレイ(130)の位置によってイメージ像の大きさが相応するように変化することができる。例えば、ディスプレイ(130)またはレンズ(140)が接眼部(124)に接近するほどターゲットイメージ(TI)のイメージ像の大きさを小さくし、接眼部(124)から離隔されるほどターゲットイメージ(TI)のイメージの像を大きくすることが好ましい。これを通じて、正確な調節力測定及び訓練が可能である。
【0095】
本発明によるターゲットイメージは上下左右に移動されることができる。これを通じて多様な眼球筋肉を運動させることができる。
[項目1]
視力訓練装置において、
使用者の眼球に対応する少なくとも一つの接眼部を有するハウジングと、
上記使用者の視線方向の前方にターゲットイメージを表示するディスプレイ部と、
上記接眼部と上記ディスプレイ部の間に配置されるレンズと、
上記ディスプレイ部及び上記レンズのうち少なくとも一つを上記視線方向に沿って移動させることができる移動部と、
上記ディスプレイ部及び上記レンズの移動範囲内で少なくとも一つの訓練区間を設定して上記訓練区間内で上記ディスプレイ部及び上記レンズのうち少なくとも一つが移動されるように上記移動部を制御する制御部と、
を含む、視力訓練装置。
[項目2]
上記制御部は上記移動範囲内で所定の調節近点位置及び調節遠点位置の間に該当する鮮明視域区間を設定し、
上記訓練区間は上記鮮明視域区間を含む、項目1に記載の視力訓練装置。
[項目3]
使用者から使用者入力信号の入力を受ける使用者入力部をさらに含み、
上記調節近点位置と上記調節遠点位置は上記使用者入力信号の入力を通じて設定される、項目2に記載の視力訓練装置。
[項目4]
上記使用者の眼球が正視眼状態から非正視眼状態に変化したり、非正視眼状態から正視眼状態に変化したりすることをチェックして視認度変更確認信号を生成するセンサーモジュールをさらに含み、
上記制御部は上記視認度変更確認信号を基に上記調節近点位置と上記調節遠点位置を設定する、項目2または3に記載の視力訓練装置。
[項目5]
上記制御部は上記鮮明視域区間内で上記使用者入力部または上記センサーモジュールを通じた連続的または断続的調節適応速度の測定をし、
上記測定された速度を反映して上記ディスプレイ部及び上記レンズの上記訓練区間内の訓練速度を決定する、項目4に記載の視力訓練装置。
[項目6]
上記制御部は上記鮮明視域区間内で所定の近接調節適応臨界位置及び遠隔調節適応臨界位置を設定し、
上記訓練区間は上記近接調節適応臨界位置及び上記遠隔調節適応臨界位置の間に該当する高調節反応区間のうち少なくとも一部区間を含む、項目2から5のいずれか一項に記載の視力訓練装置。
[項目7]
上記視線方向に沿って上記レンズと上記ディスプレイ部の間または上記レンズと上記接眼部の間に配置される少なくとも一つの第2レンズをさらに含む、項目1から6のいずれか一項に記載の視力訓練装置。
[項目8]
上記移動部は上記レンズ及び上記第2レンズのうち少なくとも一つを選択的に移動する、項目7に記載の視力訓練装置。
[項目9]
上記移動部はピエゾアクチュエータ、VCMアクチュエータ、エンコーダアクチュエータのうちいずれか一つである、項目8に記載の視力訓練装置。
[項目10]
上記移動部は上記第2レンズを移動させるための第2移動部を含む、項目7から9のいずれか一項に記載の視力訓練装置。
[項目11]
上記ターゲットイメージは上記ディスプレイ部の位置によって像の大きさが変わる、項目1から10のいずれか一項に記載の視力訓練装置。