(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】トイレシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0285 20060101AFI20240418BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240418BHJP
A47K 13/30 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A61B5/0285 H
A61B5/0245 100B
A47K13/30 Z
(21)【出願番号】P 2023026896
(22)【出願日】2023-02-24
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2022059283
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】内田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】家守 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 諒太
(72)【発明者】
【氏名】西島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 稔
(72)【発明者】
【氏名】諸富 洋
(72)【発明者】
【氏名】山崎 恒太
(72)【発明者】
【氏名】松浦 貴志
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-187232(JP,A)
【文献】特開2009-034366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/398
A47K 13/00-17/02
E03D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記便座を加熱するヒータと、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、
前記健康指標算出部によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力部と、
前記
便座の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定部と、
前記温度判定部によって前記
便座の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合に、前記健康指標算出部の動作内容及び/または前記健康指標出力部の動作内容を変更する動作変更指令部と、
を備えたことを特徴とするトイレシステム。
【請求項2】
前記温度判定部は、前記
便座の温度状態が所定の第1閾値以下であるか否かを判定するようになっており、
前記動作変更指令部は、前記温度判定部によって前記
便座の温度状態が前記第1閾値以下であると判断された場合に、前記健康指標出力部の出力動作を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項3】
前記温度判定部は、前記
便座の温度状態が所定の第2閾値以下であるか否かを判定するようになっており、
前記動作変更指令部は、前記温度判定部によって前記
便座の温度状態が前記第2閾値以下であると判断された場合に、前記健康指標出力部をしてエラー情報を出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項4】
前記温度判定部は、前記
便座の温度状態が所定の第3範囲内であるか否かを判定するようになっており、
前記動作変更指令部は、前記温度判定部によって前記
便座の温度状態が前記第3範囲内であると判断された場合に、前記健康指標算出部の算出動作を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項5】
前記
便座の温度を測定する温度センサ
を更に備え、
前記温度判定部は、前記温度センサの測定結果に基づいて、前記
便座の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトイレシステム。
【請求項6】
前記温度判定部は、前記ヒータの動作状態に基づいて、前記
便座の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載のトイレシステム。
【請求項7】
前記使用者が前記
便座に着座している時間を計測するタイマー
を更に備え、
前記温度判定部は、前記タイマーの計測結果に基づいて、前記
便座の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載のトイレシステム。
【請求項8】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、
前記健康指標算出部によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力部と、
前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定部と、
前記着座面を加熱するヒータと、
前記使用者が健康指標出力を希望しているか否かの情報を記憶する記憶部と、
前記温度判定部によって前記着座面の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、前記使用者が健康指標出力を希望している旨を前記記憶部が記憶している場合に、前記ヒータの駆動態様を変更するヒータ制御部と、
を備えたことを特徴とするトイレシステム。
【請求項9】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、
前記健康指標算出部によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力部と、
前記
便座の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定部と、
前記
便座を加熱するヒータと、
前記使用者が健康指標出力を希望しているか否かの情報を記憶する記憶部と、
前記温度判定部によって前記
便座の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、前記使用者が健康指標出力を希望している旨を前記記憶部が記憶している場合に、前記ヒータの駆動態様を変更するヒータ制御部と、
を備えたことを特徴とするトイレシステム。
【請求項10】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記便座を加熱するヒータと、
を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供する方法であって、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、
前記健康指標算出工程によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力工程と、
前記
便座の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、
前記温度判定工程によって前記
便座の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合に、前記健康指標算出工程の動作内容及び/または前記健康指標出力
工程の動作内容を変更する動作変更指令工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項11】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記便座を加熱するヒータと、
を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、
当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、
前記健康指標算出工程によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力工程と、
前記
便座の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、
前記温度判定工程によって前記
便座の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合に、前記健康指標算出工程の動作内容及び/または前記健康指標出力
工程の動作内容を変更する動作変更指令工程と、
を実施可能であることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記使用者が健康指標出力を希望しているか否かの情報を記憶する記憶部と、
前記着座面を加熱するヒータと、
を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供する方法であって、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、
前記健康指標算出工程によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力工程と、
前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、
前記温度判定工程によって前記着座面の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、前記使用者が健康指標出力を希望している旨を前記記憶部が記憶している場合に、前記ヒータの駆動態様を変更するヒータ制御工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項13】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記使用者が健康指標出力を希望しているか否かの情報を記憶する記憶部と、
前記着座面を加熱するヒータと、
を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供する方法であって、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、
前記健康指標算出工程によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力工程と、
前記
便座の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、
前記温度判定工程によって前記
便座の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、前記使用者が健康指標出力を希望している旨を前記記憶部が記憶している場合に、前記ヒータの駆動態様を変更するヒータ制御工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項14】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記使用者が健康指標出力を希望しているか否かの情報を記憶する記憶部と、
前記着座面を加熱するヒータと、
を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、
当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、
前記健康指標算出工程によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力工程と、
前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、
前記温度判定工程によって前記着座面の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、前記使用者が健康指標出力を希望している旨を前記記憶部が記憶している場合に、前記ヒータの駆動態様を変更するヒータ制御工程と、
を実施可能であることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記使用者が健康指標出力を希望しているか否かの情報を記憶する記憶部と、
前記着座面を加熱するヒータと、
を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、
当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、
前記健康指標算出工程によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力工程と、
前記
便座の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、
前記温度判定工程によって前記
便座の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、前記使用者が健康指標出力を希望している旨を前記記憶部が記憶している場合に、前記ヒータの駆動態様を変更するヒータ制御工程と、
を実施可能であることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の健康指標を提供することができるトイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、便座に着座したトイレの使用者の血流情報を測定し、当該測定結果に基づいて健康指標を算出して出力する(例えば表示端末に表示させる)システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件発明者は、便座の温度状態によって、当該便座に着座したトイレの使用者の血流状態が大きく左右され得ることを知見した。
【0005】
例えば、動的光散乱法(Dynamic Light Scattering)に基づいて、使用者の太腿部裏側の皮膚内の血流状態を測定できるレーザセンサを便座に取り付け、当該レーザセンサの出力信号にフーリエ変換等を施すことによって、脈波、血流量、心拍数、等の健康指標を算出することができる。
【0006】
ここで、本件発明者は、例えば冬の寒い時期に冷たい便座に着座した際に、当該便座に着座した使用者の血流が悪くなってしまい、そのような血流状態に基づいて算出される健康指標が実際の健康状態を正しく反映しない場合があることを知見した。すなわち、温度が低下している便座において血流状態を測定することに起因して健康指標の算出精度が低下すると、日常的な健康管理をトイレで行う上で、例えば使用者の健康状態に変化はなくとも健康指標の出力結果にバラつきが発生する等して、使用者に無用な混乱や動揺を与え得る。このことは、健康指標提供システムとしての信頼性を損ない得る。
また、便座の温度を短時間で大きく上昇させた場合などは、便座に着座した使用者の血流に便座の温度が大きく影響を与えてしまい、使用者の血流状態に大きな変化(勾配)が生じてしまう場合がある。このような状態で測定される血流状態は、使用者の日常的な血流状態を正しく反映しない可能性があり、そのような血流状態に基づいて算出される健康指標は、実際の健康状態を正しく反映しない可能性がある。
【0007】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、使用者の健康指標を提供することができるトイレシステムにおいて、使用者の実際の健康状態を正しく反映しない健康指標が正しく反映するものとして出力されることを抑制できるトイレシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、前記健康指標算出部によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力部と、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定部と、前記温度判定部によって前記着座面の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合に、前記健康指標算出部の動作内容及び/または前記健康指標出力部の動作内容を変更する動作変更指令部と、を備えたことを特徴とするトイレシステムである。
【0009】
本発明によれば、温度判定部によって着座面の温度状態が所定条件に該当すると判断された場合に、健康指標算出部の動作内容及び/または健康指標出力部の動作内容が変更される。具体的には、例えば冬の寒い時期に着座面の温度が20℃以下であると判断される場合、健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標の出力が停止されたり、健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標の出力と併せて(あるいは当該健康指標の出力の代わりに)その旨を示すエラー情報の出力がなされたり、あるいは、着座面の温度状態に応じて健康指標算出部の算出動作が補正される。これにより、例えば冬の寒い時期に冷たい便座に着座した場合等において、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0010】
具体的には、例えば、前記温度判定部は、前記着座面の温度状態が所定の第1閾値以下(例えば10℃以下)であるか否かを判定するようになっており、前記動作変更指令部は、前記温度判定部によって前記着座面の温度状態が前記第1閾値以下であると判断された場合に、前記健康指標出力部の出力動作を停止するようになっていることが好ましい。
【0011】
これによれば、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が出力されないため、当該トイレシステムによって得られる健康指標を用いて例えば日常的な健康管理を行う使用者に、無用な混乱や動揺を与えることが効果的に抑制される。
【0012】
あるいは、例えば、前記温度判定部は、前記着座面の温度状態が所定の第2閾値以下(例えば10℃以下)であるか否かを判定するようになっており、前記動作変更指令部は、前記温度判定部によって前記着座面の温度状態が前記第2閾値以下であると判断された場合に、前記健康指標出力部をしてエラー情報を出力させるようになっていることが好ましい。
【0013】
これによれば、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標と併せて(あるいは当該健康指標の代わりに)エラー情報が出力されるため、当該トイレシステムによって得られる健康指標を用いて例えば日常的な健康管理を行う使用者に、無用な混乱や動揺を与えることが効果的に抑制される。
【0014】
あるいは、例えば、前記温度判定部は、前記着座面の温度状態が所定の第3範囲(例えば0℃~20℃)内であるか否かを判定するようになっており、前記動作変更指令部は、前記温度判定部によって前記着座面の温度状態が前記第3範囲内であると判断された場合に、前記健康指標算出部の算出動作を補正する(例えば、健康指標算出プログラムを切り替える)ようになっていることが好ましい。
【0015】
これによれば、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が算出されることが防止されるため、当該トイレシステムによって得られる健康指標を用いて例えば日常的な健康管理を行う使用者に、無用な混乱や動揺を与えることが効果的に抑制される。
【0016】
温度判定部が判定の根拠に用いる情報は、例えば、着座面の温度を測定する温度センサの測定結果である。すなわち、本発明のトイレシステムは、好適な一態様において、前記着座面の温度を測定する温度センサを更に備え、前記温度判定部は、前記温度センサの測定結果に基づいて、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定するようになっている。
【0017】
これによれば、着座面の温度を直接的に測定(把握)することができるため、温度判定部による判定精度が良い。
【0018】
あるいは、温度判定部が判定の根拠に用いる情報は、例えば、着座面の周囲温度を測定する室温センサの測定結果である。すなわち、本発明のトイレシステムは、好適な一態様において、前記着座面の周囲温度を測定する室温センサを更に備え、前記温度判定部は、前記室温センサの測定結果に基づいて、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定するようになっている。
【0019】
この場合も、着座面の温度をある程度正確に把握することができる。
【0020】
あるいは、温度判定部が判定の根拠に用いる情報は、例えば、当該トイレシステムが設置された家ないし施設を含む地域の気象情報(特に気温情報)である。すなわち、好適な一態様において、前記温度判定部は、そのような気象情報に基づいて、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定するようになっている。気象情報は、インタネット等を介して当該トイレシステムに受信され得て、適宜のタイミングで更新され得る。
【0021】
この場合も、着座面の温度をある程度正確に把握することができる。
【0022】
あるいは、温度判定部が判定の根拠に用いる情報は、例えば、着座面を加熱するヒータの動作状態である。具体的には、ヒータがONになっている場合には、当該ヒータの設定仕様温度(複数段階の温度設定が可能である場合には、設定されている段階の設定仕様温度)を着座面の温度状態として本発明に利用することができる。すなわち、本発明のトイレシステムは、好適な一態様において、前記着座面を加熱するヒータを更に備え、前記温度判定部は、前記ヒータの動作状態に基づいて、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定するようになっている。
【0023】
ヒータがOFFになっている場合には、例えばヒータがOFFにされてからの経過時間に応じて、当該ヒータの設定仕様温度から予測される推移温度曲線に基づいて着座面の温度状態を推測して利用することができる。ヒータがOFFにされてから十分な時間が経過した後には、前述の他の情報(温度センサによる測定結果、室温センサの測定結果、気象情報)が判定の根拠に用いられ得る。
【0024】
あるいは、温度判定部が判定の根拠に用いる情報は、例えば、使用者が着座面に着座している時間を計測するタイマーの計測結果である。具体的には、例えば使用者の着座時間が10秒を超えた場合には、36℃(平均的な体温)を着座面の温度状態として本発明に利用することができる(冬の冷たい着座面も使用者の体温で温められる)。すなわち、本発明のトイレシステムは、好適な一態様において、前記使用者が前記着座面に着座している時間を計測するタイマーを更に備え、前記温度判定部は、前記タイマーの計測結果に基づいて、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定するようになっている。
【0025】
また、本発明は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、前記健康指標算出部によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力部と、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定部と、前記着座面を加熱するヒータと、前記使用者が健康指標出力を希望しているか否かの情報を記憶する記憶部と、前記温度判定部によって前記着座面の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、前記使用者が健康指標出力を希望している旨を前記記憶部が記憶している場合に、前記ヒータの駆動態様を変更するヒータ制御部と、を備えたことを特徴とするトイレシステムである。
【0026】
本発明によれば、温度判定部によって着座面の温度状態が所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、使用者が健康指標出力を希望している旨を記憶部が記憶している場合に、ヒータの駆動態様が変更される。具体的には、例えば冬の寒い時期に着座面の温度が20℃以下であると判断される場合であって且つ使用者が健康指標出力を希望している場合に、ヒータがOFFであったならばこれがONにされ、あるいは、ONであったヒータの設定温度または設定温度段階が不十分であったならばこれが上昇(UP)される。これにより、例えば冬の寒い時期に冷たい便座に着座した場合等において、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0027】
また、本発明は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供する方法であって、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記健康指標算出工程によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力工程と、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、前記温度判定工程によって前記着座面の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合に、前記健康指標算出工程の動作内容または前記健康指標出力部の動作内容を変更する動作変更指令工程と、を備えたことを特徴とする方法である。
【0028】
また、本発明は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記健康指標算出工程によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力工程と、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、前記温度判定工程によって前記着座面の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合に、前記健康指標算出工程の動作内容または前記健康指標出力部の動作内容を変更する動作変更指令工程と、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
【0029】
また、本発明は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、前記使用者が健康指標出力を希望しているか否かの情報を記憶する記憶部と、前記着座面を加熱するヒータと、を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供する方法であって、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記健康指標算出工程によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力工程と、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、前記温度判定工程によって前記着座面の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、前記使用者が健康指標出力を希望している旨を前記記憶部が記憶している場合に、前記ヒータの駆動態様を変更するヒータ制御工程と、を備えたことを特徴とする方法である。
【0030】
また、本発明は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、前記使用者が健康指標出力を希望しているか否かの情報を記憶する記憶部と、前記着座面を加熱するヒータと、を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記健康指標算出工程によって算出された前記使用者の前記健康指標を出力する健康指標出力工程と、前記着座面の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、前記温度判定工程によって前記着座面の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、前記使用者が健康指標出力を希望している旨を前記記憶部が記憶している場合に、前記ヒータの駆動態様を変更するヒータ制御工程と、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
また、本発明は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、前記着座面を加熱するヒータと、前記センサによる前記物理量の測定中に前記ヒータの駆動を制御するヒータ制御部と、を備えたことを特徴とするトイレシステムである。
本発明によれば、センサによる測定中、ヒータ制御部がヒータの駆動を制御することにより、使用者が着座する着座面の温度状態を、例えばより高精度に所望の温度範囲内に近づける乃至維持させることができる。
具体的には、例えばトイレ室の室温に対して、ヒータの駆動が過小であれば(例えば省エネモード設定時に起こり得る)、便座に着座した使用者の血流状態は、体温(人肌温度)よりも低いであろう着座面によって影響されてしまう(変化を生じてしまう)し、逆に、ヒータの駆動が過大であれば(例えば急速温めモード設定時に起こり得る)、便座に着座した使用者の血流状態は、一時的に体温(人肌温度)よりも高くなり得るであろう着座面によって影響されてしまう(変化を生じてしまう)。
更には、便座に着座した使用者に不快感を与えないために着座面が満たすべき温度範囲と比較して、使用者の日常的な血流状態を正しく測定するために着座面が満たすべき温度範囲の方が、より厳しい場合が想定される。そのような場合には、着座面が後者の温度範囲を満たすべく(例えば、より体温(人肌温度)に近い温度範囲となるように)、センサによる測定中にヒータ制御部がヒータの駆動を制御することが非常に有効である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様によれば、温度判定部によって着座面の温度状態が所定条件に該当すると判断された場合に、健康指標算出部の動作内容及び/または健康指標出力部の動作内容が変更される。具体的には、例えば冬の寒い時期に着座面の温度が20℃以下であると判断される場合、健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標の出力が停止されたり、健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標の出力と併せて(あるいは当該健康指標の出力の代わりに)その旨を示すエラー情報の出力がなされたり、あるいは、着座面の温度状態に応じて健康指標算出部の算出動作が補正される。これにより、例えば冬の寒い時期に冷たい便座に着座した場合等において、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0032】
あるいは、本発明の別の一態様によれば、温度判定部によって着座面の温度状態が所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、使用者が健康指標出力を希望している旨を記憶部が記憶している場合に、ヒータの駆動態様が変更される。具体的には、例えば冬の寒い時期に着座面の温度が20℃以下であると判断される場合であって且つ使用者が健康指標出力を希望している場合に、ヒータがOFFであったならばこれがONにされ、あるいは、ONであったヒータの設定温度または設定温度段階が不十分であったならばこれが上昇(UP)される。これにより、例えば冬の寒い時期に冷たい便座に着座した場合等において、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
あるいは、本発明の別の一態様によれば、センサによる測定中、ヒータ制御部がヒータの駆動を制御することにより、使用者が着座する着座面の温度状態を、例えばより高精度に所望の温度範囲内に近づける乃至維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトイレシステムの概略斜視図である。
【
図2】
図1のトイレシステムの便座の分解斜視図である。
【
図3】
図1のトイレシステムの要部を示す概略ブロック図である。
【
図4】
図1のトイレシステムのレーザセンサの構成を概略的に示す図である。
【
図5】
図4のレーザセンサの測定結果に基づく各種の健康指標算出プロセスを示す概略図である。
【
図6】
図1のトイレシステムの第1動作例を示すフローチャートである。
【
図7】
図1のトイレシステムの第2動作例を示すフローチャートである。
【
図8】
図1のトイレシステムの第3動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図1のトイレシステムの第3動作例の更なる変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(構成)
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトイレシステム10の概略斜視図であり、
図2は、
図1のトイレシステム10の便座20の分解斜視図であり、
図3は、
図1のトイレシステム10の要部を示す概略ブロック図である。
【0035】
本実施形態のトイレシステム10は、
図1乃至
図3に示すように、便座20と、本体部12と、便蓋14と、を備えている。便座20と便蓋14とは、それぞれ、本体部12に対して回動可能に軸支されている。
【0036】
便座20には、使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサとして、レーザセンサ40が設けられ、着座センサとして、静電式センサ50が設けられている。また、便座20には、レーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の健康指標を算出する健康指標算出部60(具体的には例えばマイクロプロセッサ)が設けられている。更に、本実施形態の便座20には、便座20の温度を測定する温度サーミスタ65(温度センサの一例)が設けられている。
【0037】
便座20は、開口部20aを有する。本実施形態では、便座20の中央部にO字型の開口部20aが形成されている。便座20の開口部は、O字型に限ることなく、U字型などでもよい。便座20の外縁は、便器4の外形形状に沿って湾曲して形成されている。便座20は、一般的に、不透明な樹脂材料(例えば、ポリプロピレン)によって形成され、使用者が着座する着座面21と、着座面21とは反対側の底面25と、を有している。
【0038】
着座面21は、便座20が便器4の上面4bに載置された状態で上向きに露出する面であり、使用者が着座する面である。底面25は、便座20を下げた状態で便器4の上面4bと対面する面である。また、便座20は、ほぼ全体が厚く形成された厚肉部22からなっており、レーザセンサ40に対応する位置において局所的に、厚肉部22よりも薄く薄肉部23が形成されている。
【0039】
図2に示されるように、便座20の内部に、着座面21を加熱ないし保温するヒータ線30(ヒータの一例)及び断熱材32が設けられている。ヒータ線30は、本体部12内に設けられた便座暖房ユニット12bによって制御されるようになっており、レーザセンサ40、静電式センサ50、健康指標算出部60、及び、温度サーミスタ65と干渉しないように、便座20の内部に張り巡らされている。断熱材32は、ヒータ線30、レーザセンサ40、静電式センサ50、健康指標算出部60、及び、温度サーミスタ65の下方側に配置されている。
【0040】
薄肉部23は、レーザセンサ40から照射される照射光と、着座面21に着座した使用者から反射される反射光と、が透過可能な厚さとなっている。薄肉部23の厚さは、レーザセンサ40の照射光及び反射光の強度、並びに、便座20の耐久性等により設定され、例えば0.5mm~1.0mm程度である。
【0041】
本明細書において、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左側」及び「右側」とは、それぞれ、開いた便蓋14に背を向けて便座20に座った使用者から見た方向を示している。
【0042】
図2に示すように、薄肉部23は、便座20の開口部20aの前後方向の長さの中央よりも前方の左側に形成されて、便座20に着座した使用者の重心位置よりも前方左側に位置するようになっている。これにより、薄肉部23は、便座20に着座した使用者の左太腿の裏側に対面(当接)するようになっている。
【0043】
薄肉部23は、レーザセンサ40が便座20に着座した使用者の血流情報を検知できる範囲で、可及的に小さく形成されており、例えば直径12mm以下(好ましくは、8mm以下)の円形となっている。
【0044】
レーザセンサ40は、便座20の内部において、薄肉部23の裏面側に配設されている。レーザセンサ40は、使用者の左太腿の裏側に向けて赤外照射光を照射し、皮膚下血管内の血流状態に応じて反射される反射光(赤血球によるドップラシフトを生じた散乱光)を検知する反射型のセンサである。
図4は、レーザセンサ40の構成を概略的に示す図である。
【0045】
一方、
図1及び
図2に示すように、静電式センサ50が、便座20の開口部20aの前後方向の長さの中央よりも前方の右側に形成されて、便座20に着座した使用者の重心位置よりも前方右側に位置するようになっている。これにより、静電式センサ50は、便座20に着座した使用者の右太腿の裏側に対面(当接)した際に、当該着座状態を検知できるようになっている。
【0046】
健康指標算出部60は、本実施形態では便座20の前方端の近傍位置(レーザセンサ40に比較的近い位置)に配置されており、レーザセンサ40の出力信号を処理して比較的ノイズに強い信号に変換するようになっている。具体的には、健康指標算出部60は、レーザセンサ40の測定結果に基づいて、便座20に着座した使用者の健康指標(具体的には、例えば、脈拍数、脈拍変動、血流量など)を算出し、当該算出結果に対応する信号を制御部70を介して通信部75に送信するようになっている。
図5は、レーザセンサ40の測定結果に基づく各種の健康指標算出プロセスを示す概略図である。
【0047】
制御部70及び通信部75は、本体部12内に設けられている。健康指標算出部60も、便座20内の代わりに、本体部12内に設けられてもよい。健康指標算出部60が本体部12内に設けられる場合、制御部70とは別個に設けられてもよいし、あるいは、制御部70の一部として一体化されて設けられてもよい。
【0048】
更に、健康指標算出部60及び制御部70は、本体部12内ではなく、通信部75を介して通信される外部機器内や外部ネットワーク内(例えばクラウド内)に設けられても(構築されても)よい。
【0049】
図1に戻って、本体部12は、便器4のボウル部よりも後方に位置して、便器4の上面4bに取付けられている。本体部12の内部に、便座20と便蓋14との開閉作動を制御する開閉ユニット12a、便座20の温度を制御する便座暖房ユニット12b、人体局部の洗浄を行う洗浄ユニット12c、及び、臭気成分を低減する脱臭ユニット12d、が内蔵されている。各ユニット12a~12dは、制御部70によって統括的に制御されるようになっている。本実施形態の制御部70は、静電式センサ50及び温度サーミスタ65の各々にも接続されている。
【0050】
そして、本実施形態の制御部70は、健康指標算出部60によって算出された使用者の健康指標を出力するための通信部75(健康指標出力部の一例)に接続されている。通信部75は、算出された使用者の健康指標を、例えばトイレ室のリモコン80や使用者の携帯端末85に送信するようになっている。そして、便座20に着座した使用者は、リモコン80の表示部80aや携帯端末85の表示部85aにより、各種の健康指標(脈拍数などのバイタルサイン等)を確認することができるようになっている。
【0051】
ここで、前述した通り、本件発明者の知見によれば、例えば冬の寒い時期に冷たい便座20に着座した際に、当該便座20に着座した使用者の血流が悪くなってしまい、そのような血流状態に基づいて算出される健康指標が実際の健康状態を正しく反映しない場合がある。
【0052】
この問題に対処するべく、本実施形態のトイレシステム10の制御部70は、着座面21の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定するようになっており(温度判定部として機能するようになっており)、且つ、当該温度判定によって着座面21の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合に健康指標算出部60の動作内容及び/または通信部75(健康指標出力部)の動作内容を変更するようになっている(動作変更指令部として機能するようになっている)。
【0053】
その他、本実施形態のトイレシステム10は、静電式センサ50と連動して使用者の着座状態の継続時間を測定するタイマー95を有している。タイマー95も制御部70に接続されている。
【0054】
(第1動作例:構成の詳細)
以上のような構成からなるトイレシステム10について、
図6を用いて第1動作例を説明する。
【0055】
第1動作例では、制御部70は、着座判定部として、静電式センサ50(着座センサの一例)の測定結果に基づいて、使用者が着座面21に座っているか否かを判定するようになっている。
【0056】
更に、第1動作例では、制御部70は、着座時間判定部として、タイマー95の測定結果に基づいて、使用者が着座面21に座ってからの経過時間が10秒以上となったか否かを判定するようになっている。
【0057】
一方、第1動作例では、制御部70は、温度判定部として、温度サーミスタ65(温度センサの一例)の測定結果に基づいて、着座面21の温度状態が20℃(第1閾値及び第2閾値の一例)以下であるか否かを判定するようになっている。
【0058】
更に、第1動作例では、制御部70は、動作変更指令部として、着座面21の温度状態が20℃以下であると判定された場合において、通信部75(健康指標出力部)をしてエラー情報を出力させたり、及び/または、通信部75(健康指標出力部)の出力動作を停止するようになっている。
【0059】
なお、出力動作の停止とは、新たに得られた血流情報からの健康指標に関する出力動作の停止を意味し、例えば、前回に使用者が着座面21に座ることにより出力された健康指標は出力が継続されてもよい。すなわち、出力動作の停止とは、健康指標が新たに更新されないという動作状態をも含む。
【0060】
(第1動作例:作用)
図6を参照して、制御部70は、まず、使用者が着座面21に座っているか否かを判定する(STEP11)。使用者が未だ着座面21に座っていないと判定されれば(STEP11でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0061】
使用者が着座面21に座っていると判定されれば(STEP11でYES)、制御部70は引き続いて、着座面21の温度状態が20℃(第2閾値の一例)以下であるか否かを判定する(STEP12)。また、並行して、レーザセンサ40の測定結果に基づく健康指標算出部60による使用者の健康指標の算出プロセスが開始される。
【0062】
着座面21の温度状態が20℃以下でなければ(STEP12でNO)、通常通りの動作が実施される。すなわち、通信部75が、健康指標算出部60によって算出された使用者の健康指標を、例えばトイレ室のリモコン80や使用者の携帯端末85に送信する(STEP13)。
【0063】
着座面21の温度状態が20℃以下であれば(STEP12でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をしてエラー情報を出力させる(STEP14)。
【0064】
その後、制御部70は、使用者が着座面21に座ってからの経過時間が10秒以上となったか否かを判定する(STEP15)。
【0065】
当該経過時間が10秒以上となる前に(STEP15でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合(STEP16でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)の出力動作を停止する(STEP18)。
【0066】
当該経過時間が10秒以上となる前に(STEP15でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP16でNO)、当該経過時間が10秒以上となるのを待つ(STEP16でNO)。
【0067】
当該経過時間が10秒以上となった場合(STEP15でYES)、本実施形態では再び、温度サーミスタ65(温度センサの一例)の測定結果に基づいて、着座面21の温度状態が20℃(第1閾値の一例)以下であるか否かを判定する(STEP17)。
【0068】
着座面21の温度状態が20℃以下でなければ(STEP17でNO)、通常通りの動作が実施される。すなわち、通信部75が、健康指標算出部60によって算出された使用者の健康指標を、例えばトイレ室のリモコン80や使用者の携帯端末85に送信する(STEP13)。
【0069】
着座面21の温度状態が20℃以下であれば(STEP17でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)の出力動作を停止する(STEP18)。
【0070】
(第1動作例:効果)
以上のような第1動作例によれば、例えば冬の寒い時期に着座面の温度が20℃以下である場合において、使用者の着座中は通信部75からエラー情報が出力され、使用者の離座後は通信部75からの健康指標の出力が停止される。これにより、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0071】
特に、使用者の離座後、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が出力されないため、当該トイレシステム10によって得られる健康指標を用いて例えば日常的な健康管理を行う使用者に、無用な混乱や動揺を与えることが効果的に抑制される。
【0072】
更に、第1動作例では、使用者の着座中、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標と併せて(あるいは当該健康指標の代わりに)エラー情報が出力されるため、当該トイレシステム10によって得られる健康指標を用いて例えば日常的な健康管理を行う使用者に、無用な混乱や動揺を与えることが効果的に抑制される。
【0073】
また、第1動作例では、着座面21の温度が温度サーミスタ65によって直接的に測定(把握)されるため、温度判定の際の判定精度が良い。
【0074】
(第1動作例:変形例)
温度判定の根拠に用いる情報は、温度サーミスタ65の測定結果に限定されない。例えば、トイレ室の温度(着座面21の周囲温度)を測定する室温センサを設けておいて、着座面21を加熱するヒータ(具体的には、本実施形態ではヒータ線30)がOFFになっている場合には、当該室温センサの測定結果に基づいて、着座面21の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定(推定)するようになっていてもよい。
【0075】
あるいは、温度判定の根拠に用いる情報は、当該トイレシステム10が設置された家ないし施設を含む地域の気象情報(特に気温情報)とヒータの動作状態の組合せであってもよい。当該気象情報は、適宜のIOT技術によってインタネット等を介して当該トイレシステム10の制御部70に受信され得て、適宜のタイミングで更新され得る。
【0076】
あるいは、温度判定の根拠に用いる情報は、着座面21を加熱するヒータ(具体的には、本実施形態ではヒータ線30)の動作状態であってもよい。具体的には、ヒータがONになっている場合、当該ヒータの設定仕様温度(複数段階の温度設定が可能である場合には、設定されている段階の設定仕様温度)を着座面21の温度状態として判定に用いることができる。更に、ヒータがOFFになっている場合でも、例えばヒータがOFFにされてからの経過時間に応じて、当該ヒータの設定仕様温度から予測される推移温度曲線に基づいて着座面の温度状態を推測して判定に用いることができる。この場合、ヒータがOFFにされてから十分な時間が経過した後には、前述の他の情報(温度センサによる測定結果、室温センサの測定結果、気象情報)が判定の根拠に用いられ得る。
【0077】
あるいは、温度判定に用いる情報は、使用者が着座面21に着座している時間を計測するタイマー95の計測結果であってもよい。具体的には、例えば使用者の着座時間が10秒を超えた場合には、36℃(平均的な体温)を着座面21の温度状態として判定に用いることができる(冬の冷たい着座面21も使用者の体温で温められる)。すなわち、
図5の第1動作例において、STEP15がYESであるならば、STEP17は自動的にYESと判定するようになっていてもよい。
【0078】
(第2動作例:構成の詳細)
前述のトイレシステム10について、
図7を用いて第2動作例を説明する。
【0079】
第2動作例でも、制御部70は、着座判定部として、静電式センサ50(着座センサの一例)の測定結果に基づいて、使用者が着座面21に座っているか否かを判定するようになっている。
【0080】
また、第2動作例では、制御部70は、温度判定部として、温度サーミスタ65(温度センサの一例)の測定結果に基づいて、着座面21の温度状態が0℃~10℃の範囲(第3範囲の一例)であるか、10℃~20℃の範囲(第3温度範囲の他の一例)であるか、それらの温度範囲でない(すなわち、20℃以上である)か、を判定するようになっている。
【0081】
そして、第2動作例では、制御部70は、動作変更指令部として、着座面21の温度状態が0℃~10℃の範囲である、あるいは、10℃~20℃の範囲である、と判定された場合において、健康指標算出部60の動作内容を変更するようになっている。具体的には、健康指標算出部60において、レーザセンサ40の出力信号から健康指標を算出する算出プロセス(
図5参照)において用いられる算定式が、通常のもの(20℃以上の場合)から、低温用の算定式(10℃~20℃の場合)または極低温用の算定式(0℃~10℃の場合)に切り替えられるようになっている。(低温用の算定式及び極低温用の算定式は、健康指標算出部60において、予め切替可能に準備されている。)
【0082】
(第2動作例:作用)
図7を参照して、制御部70は、まず、使用者が着座面21に座っているか否かを判定する(STEP21)。使用者が未だ着座面21に座っていないと判定されれば(STEP21でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0083】
使用者が着座面21に座っていると判定されれば(STEP21でYES)、制御部70は引き続いて、着座面21の温度状態が0℃~10℃の範囲(第3範囲の一例)であるか、あるいは、10℃~20℃の範囲(第3閾値の他の一例)であるか、あるいは、それらの温度範囲でない(すなわち、20℃以上である)か、を判定する(STEP22)。また、並行して、レーザセンサ40の測定結果に基づく健康指標算出部60による使用者の健康指標の算出プロセスが開始される。
【0084】
着座面21の温度状態が設定された温度範囲でない(すなわち、20℃以上である)場合(STEP22でNO)、通常通りの動作が実施される。すなわち、通信部75が、健康指標算出部60によって算出された使用者の健康指標を、例えばトイレ室のリモコン80や使用者の携帯端末85に送信する(STEP23)。
【0085】
着座面21の温度状態が0℃~10℃の範囲である、あるいは、10℃~20℃の範囲である、と判定された場合(STEP22でYES)、制御部70は、健康指標算出部60を制御して、健康指標算出部60の動作内容を変更する(STEP24)。具体的には、健康指標算出部60において、レーザセンサ40の出力信号から健康指標を算出する算出プロセス(
図5参照)において用いられる算定式が、通常のもの(20℃以上の場合)から、低温用の算定式(10℃~20℃の場合)または極低温用の算定式(0℃~10℃の場合)に切り替えられる。
【0086】
その後、算定式切替後の健康指標算出部60によって、使用者の健康指標の算出プロセスが再度実施(演算)される(必要に応じて一度リセットされ得る)。そして、制御部70は、算出された健康指標が算定式切替後(動作内容変更後)に算出された健康指標であることを確認する(STEP25)。
【0087】
当該確認結果がYESとならない間は(STEP25でNO)、当該確認結果がYESとなるのを待つ(STEP25でNO)。
【0088】
当該確認結果がYESとなった後(STEP25でYES)、通信部75が、算定式切替後(動作内容変更後)の健康指標算出部60によって算出された使用者の健康指標を、例えばトイレ室のリモコン80や使用者の携帯端末85に送信する(STEP26)。
【0089】
(第2動作例:効果)
以上のような第2動作例によれば、例えば冬の寒い時期に着座面の温度が0℃~10℃の範囲である、あるいは、10℃~20℃の範囲である場合において、レーザセンサ40の出力信号から健康指標を算出する算出プロセス(
図5参照)において用いられる算定式が、通常のもの(20℃以上の場合)から、低温用の算定式(10℃~20℃の場合)または極低温用の算定式(0℃~10℃の場合)に切り替えられる。これにより、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0090】
また、第2動作例でも、着座面21の温度が温度サーミスタ65によって直接的に測定(把握)されるため、温度判定の際の判定精度が良い。
【0091】
(第2動作例:変形例)
第2動作例においても、温度判定の根拠に用いる情報は、温度サーミスタ65の測定結果に限定されない。例えば、トイレ室の温度(着座面21の周囲温度)を測定する室温センサを設けておいて、着座面21を加熱するヒータ(具体的には、本実施形態ではヒータ線30)がOFFになっている場合には、当該室温センサの測定結果に基づいて、着座面21の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定(推定)するようになっていてもよい。
【0092】
あるいは、温度判定の根拠に用いる情報は、当該トイレシステム10が設置された家ないし施設を含む地域の気象情報(特に気温情報)とヒータの動作状態の組合せであってもよい。当該気象情報は、適宜のIOT技術によってインタネット等を介して当該トイレシステム10に受信され得て、適宜のタイミングで更新され得る。
【0093】
あるいは、温度判定の根拠に用いる情報は、着座面21を加熱するヒータ(具体的には、本実施形態ではヒータ線30)の動作状態であってもよい。具体的には、ヒータがONになっている場合、当該ヒータの設定仕様温度(複数段階の温度設定が可能である場合には、設定されている段階の設定仕様温度)を着座面21の温度状態として判定に用いることができる。更に、ヒータがOFFになっている場合でも、例えばヒータがOFFにされてからの経過時間に応じて、当該ヒータの設定仕様温度から予測される推移温度曲線に基づいて着座面の温度状態を推測して判定に用いることができる。この場合、ヒータがOFFにされてから十分な時間が経過した後には、前述の他の情報(温度センサによる測定結果、室温センサの測定結果、気象情報)が判定の根拠に用いられ得る。
【0094】
あるいは、温度判定に用いる情報は、使用者が着座面21に着座している時間を計測するタイマーの計測結果であってもよい。具体的には、例えば使用者の着座時間が10秒を超えた場合には、36℃(平均的な体温)を着座面21の温度状態として判定に用いることができる(冬の冷たい着座面21も使用者の体温で温められる)。
【0095】
(第3動作例:構成の詳細)
前述のトイレシステム10について、
図8を用いて第3動作例を説明する。
【0096】
第3動作例でも、制御部70は、着座判定部として、静電式センサ50(着座センサの一例)の測定結果に基づいて、使用者が着座面21に座っているか否かを判定するようになっている。
【0097】
また、第3動作例でも、制御部70は、温度判定部として、温度サーミスタ65(温度センサの一例)の測定結果に基づいて、着座面21の温度状態が20℃(第1閾値及び第2閾値の一例)以下であるか否かを判定するようになっている。
【0098】
更に、第3動作例でも、制御部70は、動作変更指令部として、着座面21の温度状態が20℃以下であると判定された場合において、通信部75(健康指標出力部)をしてエラー情報を出力させたり、及び/または、通信部75(健康指標出力部)の出力動作を停止するようになっている。
【0099】
一方、第3動作例では、制御部70は、動作変更指令部として、着座面21の温度状態が20℃以下であると判定された場合であって、且つ、使用者が健康指標出力を希望している旨を記憶部97(本体部12内に設けられてもよいし(
図3参照)、通信部75を介して接続されるリモコン80や外部機器(使用者の携帯端末等)内の記憶部であってもよい)が記憶している場合には、ヒータ線30(ヒータの一例)を強制的に駆動する及び/または設定温度を上げるようになっている(ヒータ制御部として機能するようになっている)。
【0100】
(第3動作例:作用)
図8を参照して、制御部70は、まず、使用者が着座面21に座っているか否かを判定する(STEP31)。使用者が未だ着座面21に座っていないと判定されれば(STEP31でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0101】
使用者が着座面21に座っていると判定されれば(STEP31でYES)、制御部70は引き続いて、着座面21の温度状態が20℃(第2閾値の一例)以下であるか否かを判定する(STEP32)。また、並行して、レーザセンサ40の測定結果に基づく健康指標算出部60による使用者の健康指標の算出プロセスが開始される。
【0102】
着座面21の温度状態が20℃以下でなければ(STEP32でNO)、通常通りの動作が実施される。すなわち、通信部75が、健康指標算出部60によって算出された使用者の健康指標を、例えばトイレ室のリモコン80や使用者の携帯端末85に送信する(STEP33)。
【0103】
着座面21の温度状態が20℃以下であれば(STEP32でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をしてエラー情報を出力させる(STEP34)。
【0104】
その後、制御部70は、使用者が健康指標出力を希望している旨を記憶部97が記憶しているか否かを判定する(STEP35)。
【0105】
使用者が健康指標出力を希望している旨が確認されない場合(STEP35でNO)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)の出力動作を停止する(STEP36)。
【0106】
一方、使用者が健康指標出力を希望している旨が確認された場合(STEP35でYES)、制御部70は、便座暖房ユニット12bを介して、ヒータ線30(ヒータの一例)を強制的に駆動し、及び/または、設定温度を上げる(STEP37)。その後、当該制御プロセスは、STEP32に戻る。
【0107】
なお、着座面21の温度状態が20℃以下でない場合(STEP32でNO)、少なくともレーザセンサ40による測定が終了するまで当該条件が継続されるように、温度サーミスタ65(温度センサの一例)の出力が制御部70によって監視されることが好ましく、当該監視結果に基づいて必要に応じて着座面21を加熱するヒータ(具体的には、本実施形態ではヒータ線30)が制御部70によって制御される(ONにされる、UPされる(設定温度段階が上げられる)、DOWNされる(設定温度段階が下げられる)、OFFにされる、等が適宜に組み合わされる)ことが好ましい。
【0108】
(第3動作例:効果)
以上のような第3動作例によれば、例えば冬の寒い時期に着座面の温度が20℃以下である場合であって、且つ、使用者が健康指標出力を希望している場合に、ヒータ線30がOFFであったならばこれがONにされ、あるいは、ONであったヒータ線30の設定温度または設定温度段階が不十分であったならばこれが上昇(UP)される。これにより、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0109】
一方、例えば冬の寒い時期に着座面の温度が20℃以下である場合であって、且つ、使用者が健康指標出力を希望していない場合には、健康指標が出力されないため、当該トイレシステム10によって得られる健康指標を用いて例えば日常的な健康管理を行う使用者に、無用な混乱や動揺を与えることが効果的に抑制される。
【0110】
また、第3動作例でも、着座面21の温度が温度サーミスタ65によって直接的に測定(把握)されるため、温度判定の際の判定精度が良い。
【0111】
(第3動作例:変形例 )
第3動作例においても、温度判定の根拠に用いる情報は、温度サーミスタ65の測定結果に限定されない。例えば、トイレ室の温度(着座面21の周囲温度)を測定する室温センサを設けておいて、着座面21を加熱するヒータ(具体的には、本実施形態ではヒータ線30)がOFFになっている場合には、当該室温センサの測定結果に基づいて、着座面21の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定(推定)するようになっていてもよい。
【0112】
あるいは、温度判定の根拠に用いる情報は、当該トイレシステム10が設置された家ないし施設を含む地域の気象情報(特に気温情報)とヒータの動作状態の組合せであってもよい。当該気象情報は、適宜のIOT技術によってインタネット等を介して当該トイレシステム10に受信され得て、適宜のタイミングで更新され得る。
【0113】
あるいは、温度判定の根拠に用いる情報は、着座面21を加熱するヒータ(具体的には、本実施形態ではヒータ線30)の動作状態であってもよい。具体的には、ヒータがONになっている場合、当該ヒータの設定仕様温度(複数段階の温度設定が可能である場合には、設定されている段階の設定仕様温度)を着座面21の温度状態として判定に用いることができる。更に、ヒータがOFFになっている場合でも、例えばヒータがOFFにされてからの経過時間に応じて、当該ヒータの設定仕様温度から予測される推移温度曲線に基づいて着座面の温度状態を推測して判定に用いることができる。この場合、ヒータがOFFにされてから十分な時間が経過した後には、前述の他の情報(温度センサによる測定結果、室温センサの測定結果、気象情報)が判定の根拠に用いられ得る。
【0114】
(第3動作例:更なる変形例)
第3動作例では、STEP32と並行して、レーザセンサ40の測定結果に基づく健康指標算出部60による使用者の健康指標の算出プロセスが開始される。そして、着座面21の温度状態が20℃以下でない場合(STEP32でNO)、少なくともレーザセンサ40による測定が終了するまで当該条件が継続されるように、温度サーミスタ65の出力が制御部70によって監視されることが好ましく、当該監視結果に基づいて必要に応じて着座面21を加熱するヒータが制御部70によって制御されることが好ましい。
【0115】
これに対して、
図9に示す第3動作例の更なる変形例では、着座面21の温度状態が20℃以下でない場合(STEP32でNO)、温度サーミスタ65の出力が体温(人肌温度)近傍の温度範囲(具体的には34℃~38℃程度)に近づけられる乃至維持されるように、着座面21を加熱するヒータ(具体的には、本実施形態ではヒータ線30)が制御部70によって制御される(ONにされる、UPされる(設定温度段階が上げられる)、DOWNされる(設定温度段階が下げられる)、OFFにされる、等が適宜に組み合わされる)。そして、このような体温近傍の温度範囲へのヒータ駆動制御が実現されている間に、レーザセンサ40による測定が実施され、レーザセンサ40の測定結果に基づく健康指標算出部60による使用者の健康指標の算出プロセスが開始されるようになっている。
【0116】
以上のような第3動作例の更なる変形例によれば、レーザセンサ40による測定中、制御部70がヒータの駆動を制御して、使用者が着座する着座面21の温度状態が体温近傍の温度範囲に近づけられ乃至維持される。
【0117】
これにより、例えばトイレ室の室温に対してヒータの駆動が過小な場合に起こり得る、便座に着座した使用者の血流状態が体温(人肌温度)よりも低いであろう着座面によって影響されてしまう(変化を生じてしまう)ことや、逆に、例えばトイレ室の室温に対してヒータの駆動が過大な場合に起こり得る、便座に着座した使用者の血流状態が一時的に体温(人肌温度)よりも高くなり得るであろう着座面によって影響されてしまう(変化を生じてしまう)ことが、効果的に防止できる。
【0118】
なお、前述のような体温近傍の温度範囲へのヒータ駆動制御が実施されている間は、トイレ室のリモコン80や使用者の携帯端末85において手動でヒータの温度設定等を変更できる機能が設けられている場合であっても、当該機能の提供が中断する(例えば、手動入力を受け付けない)ようになっていることが好ましい。
【0119】
(プログラムについての補足)
健康指標算出部60、制御部70及び通信部75の各種機能は、対応するプログラムを実行するマイクロコンピュータ等によって実現され得る。当該プログラム、及び、当該プログラムを記憶する記憶媒体も、本願の保護対象である。
【0120】
例えば、本発明によるプログラムは、使用者が着座する着座面21を有する便座20と、便座20に設けられ、使用者の血流情報を反映する物理量を測定するレーザセンサ40と、を備えたトイレシステム10を用いて健康指標を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、レーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記健康指標算出工程によって算出された使用者の健康指標を出力する健康指標出力工程と、着座面21の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、前記温度判定工程によって着座面21の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合に、前記健康指標算出工程の動作内容または前記健康指標出力部の動作内容を変更する動作変更指令工程と、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
【0121】
あるいは、本発明によるプログラムは、使用者が着座する着座面21を有する便座20と、便座20に設けられ、使用者の血流情報を反映する物理量を測定するレーザセンサ40と、着座面21を加熱するヒータ線30と、を備えたトイレシステム10を用いて健康指標を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、レーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記健康指標算出工程によって算出された使用者の健康指標を出力する健康指標出力工程と、着座面21の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、前記温度判定工程によって着座面21の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合に、ヒータ線30の駆動態様を変更するヒータ制御工程と、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
【0122】
あるいは、本発明によるプログラムは、使用者が着座する着座面21を有する便座20と、便座20に設けられ、使用者の血流情報を反映する物理量を測定するレーザセンサ40と、使用者が健康指標出力を希望しているか否かの情報を記憶する記憶部97と、着座面21を加熱するヒータ線30と、を備えたトイレシステム10を用いて健康指標を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、レーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記健康指標算出工程によって算出された使用者の健康指標を出力する健康指標出力工程と、着座面21の温度状態が所定条件に該当するか否かを判定する温度判定工程と、前記温度判定工程によって着座面21の温度状態が前記所定条件に該当すると判断された場合であって、且つ、使用者が健康指標出力を希望している旨を記憶部97が記憶している場合に、ヒータ線30の駆動態様を変更するヒータ制御工程と、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0123】
4 便器
4b 上面
10 トイレシステム
12 本体部
12a 開閉ユニット
12b 便座暖房ユニット
12c 洗浄ユニット
12d 脱臭ユニット
14 便蓋
20 便座
20a 開口部
21 着座面
22 厚肉部
23 薄肉部
25 底面
30 ヒータ線
32 断熱材
40 レーザセンサ
50 静電式センサ
60 健康指標算出部
65 温度サーミスタ
70 制御部
75 通信部
80 リモコン
80a 表示部
85 外部端末(携帯電話等)
85a 表示部
95 タイマー
97 記憶部