IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イリスコミュニケーション株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社NiCOの特許一覧

特許7474433電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法
<>
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図1
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図2
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図3
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図4
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図5
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図6
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図7
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図8
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図9
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図10
  • 特許-電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240418BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J13/00 301A
H02J3/14 130
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019075783
(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公開番号】P2020174476
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】515109779
【氏名又は名称】イリスコミュニケーション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519078857
【氏名又は名称】株式会社NiCO
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(72)【発明者】
【氏名】矢野 雅文
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-011100(JP,A)
【文献】特開2001-069691(JP,A)
【文献】特開2015-029382(JP,A)
【文献】特開2014-124350(JP,A)
【文献】特開平10-282161(JP,A)
【文献】特開2010-075015(JP,A)
【文献】特開2013-192419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02J13/00
H04Q9/00-9/16
F24F11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の評価値を設定する評価値設定部と、
前記評価値を記憶する評価値記憶部と、
前記評価値記憶部に記憶された前記評価値を外部装置に送信し、且つ、前記外部装置から該外部装置に記憶された外部評価値を受信する通信部と、
前記評価値および前記外部装置から受信した前記外部評価値に基づいて、前記電気機器および前記外部装置のそれぞれの目標電力を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された前記電気機器の前記目標電力に基づいて、前記電気機器の使用電力を制御する制御部と、
を備える電力制御装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記外部評価値に対する前記評価値が大きいほど前記電気機器の使用電力が大きくなるように、該電気機器の使用電力を制御する、
請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記電気機器の使用電力を計測する電力計測部を更に備え、
前記通信部が、
前記評価値と前記電力計測部によって計測された前記使用電力を示す使用電力情報とを含む状態情報を外部装置に送信し、
前記外部装置から、前記外部評価値と該外部装置に接続された外部機器の使用電力を示す外部使用電力情報とを含む外部状態情報を受信し、
前記制御部が、前記評価値と前記外部評価値の大小関係、及び、前記使用電力情報が示す使用電力と前記外部使用電力が示す使用電力との和に基づいて、前記電気機器の使用電力の大きさを変更する、
請求項1又は請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記評価値が、前記電気機器の使用電力に対する評価関数によって表され、
前記外部評価値が、前記外部装置の使用電力に対する評価関数によって表され、
前記制御部が、前記評価値と前記外部評価値との和が最大となるように前記電気機器の使用電力を制御する、
請求項3に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記使用電力情報が示す使用電力と前記外部使用電力情報が示す使用電力との和が所定の上限値以下になるように、前記電気機器の使用電力を制御する、
請求項4に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記電気機器の使用電力に対する評価関数、及び、前記外部装置の使用電力に対する評価関数が、凸関数又は凹関数である、
請求項4又は請求項5に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記電気機器に電力を送電可能に接続され、該電気機器に電力を供給する電力供給部を更に備え、
前記制御部が、前記電力供給部が前記電気機器に供給する電力量を制御する、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記制御部が、前記電気機器の動作を制御することによって該電気機器の使用電力を制御する、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の電力制御装置。
【請求項9】
使用者の操作を受け付ける受付部を更に備え、
前記評価値設定部が、前記受付部が受け付けた前記使用者の操作に基づいて前記評価値を設定する、
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の電力制御装置。
【請求項10】
外部から前記電気機器周辺の環境の状態を示す環境情報を受信する受信部を更に備え、
前記評価値設定部が、前記環境情報に基づいて前記評価値を設定する、
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の電力制御装置。
【請求項11】
前記外部装置に、該外部装置によって使用電力が制御される外部電気機器が接続され、
前記評価値が、前記電気機器の前記外部電気機器に対する使用者にとっての優先度を表す、
請求項1から請求項10の何れか一項に記載の電力制御装置。
【請求項12】
前記通信部は、
前記評価値記憶部に記憶された前記評価値を複数の外部装置に送信し、且つ、前記複数の外部装置のそれぞれから該複数の外部装置のそれぞれに記憶された外部評価値を受信する、
請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項13】
前記通信部は、
前記電気機器の使用電力を示す情報を前記外部装置に送信し、且つ、前記外部装置から該外部装置の使用電力を示す情報を受信し、
前記設定部は、
前記評価値、前記電気機器の使用電力、前記外部装置から受信した前記外部評価値、および、前記外部装置の使用電力に基づいて、前記電気機器および前記外部装置のそれぞれの目標電力を設定する、
請求項1または請求項12に記載の電力制御装置。
【請求項14】
前記設定部は、
前記電気機器の使用電力および前記外部装置の使用電力の総和が、所定の上限値以下となる条件において、前記評価値および前記外部評価値の和が極値となるように、前記電気機器および前記外部装置のそれぞれの目標電力を設定する、
請求項13に記載の電力制御装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14の何れか一項に記載の電力制御装置を複数備え、
前記複数の電力制御装置のそれぞれが、
電気機器の評価値を設定する評価値設定部と、
前記評価値を記憶する評価値記憶部と、
前記評価値記憶部に記憶された前記評価値を、他の前記電力制御装置に送信し、且つ、前記他の電力制御装置から、該他の電力制御装置に記憶された外部評価値を受信する通信部と、
前記評価値と前記外部評価値の大小関係に応じて前記電気機器の使用電力を制御する制御部と、を備える、
電力制御システム。
【請求項16】
前記複数の電力制御装置と通信可能に接続された情報管理装置を更に備え、
該情報管理装置が、前記複数の電力制御装置のそれぞれから前記評価値を受信して記憶する、
請求項15に記載の電力制御システム。
【請求項17】
請求項1から請求項14の何れか一項に記載の電力制御装置を用いて実行される電力制御方法であって、
前記電力制御装置に接続される電気機器の評価値を設定し、
前記評価値を記憶し、
前記記憶された評価値を外部装置に送信し、
前記外部装置から該外部装置に記憶された外部評価値を受信し、
前記評価値と前記外部評価値の大小関係に応じて前記電気機器の使用電力の大きさを制御する、
ことを含む、電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭やビルなどの建屋内における電力使用量を監視し、建屋内の電気機器の制御を行うシステムとして、HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)などのEMS(Energy Management System)が知られている。EMSは、複数の電気機器や蓄電池などに接続される中央管理システムを有している。中央管理システムは、接続されている各機器から使用電力や蓄電量などの情報を収集する。収集された情報は、電気機器のON/OFF制御や動作の制御に使用される。これにより、建屋全体の消費電力の低減が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-142753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムは、制御対象である複数の電気機器に接続されるコントローラを有している。このコントーラには、複数の電気機器と通信する機能や、各電気機器から収集した情報に基づいて電気機器を制御する機能を持たせる必要がある。また、各電気機器もコントーラによる制御が可能となるように構成されている必要がある。特許文献1に記載のシステムを建屋内の電力制御システムとして導入する場合、コントーラの費用、複数の電気機器をコントーラによって制御可能に接続するための費用や手間が発生する。そのため、特許文献1に記載のシステムは、初期投資費用が高く、建屋に電力制御システムを導入するためのハードルが高いという問題がある。更に、一つのコントローラが複数の電気機器を制御する構成では、コントーラの動作に不具合が発生した場合に、全ての電気機器が正常に動作しなくなるという脆弱性の問題が生じ得る。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、初期費用が抑えられ、脆弱性の問題が生じにくく、電気機器の消費電力を制御可能な電力制御装置、電力制御システム及び電力制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態にかかる電力制御装置は、電気機器の評価値を設定する評価値設定部と、評価値を記憶する評価値記憶部と、評価値記憶部に記憶された評価値を外部装置に送信し、且つ、外部装置から外部装置に記憶された外部評価値を受信する通信部と、評価値と外部評価値の大小関係に応じて電気機器の使用電力を制御する制御部と、を備える。
【0007】
また、制御部が、外部評価値に対する評価値が大きいほど電気機器の使用電力が大きくなるように、電気機器の使用電力を制御してもよい。
【0008】
また、電力制御装置が、電気機器の使用電力を計測する電力計測部を更に備えてもよい。この場合、通信部が、評価値と電力計測部によって計測された使用電力を示す使用電力情報とを含む状態情報を外部装置に送信し、外部装置から、外部評価値と外部装置に接続された外部機器の使用電力を示す外部使用電力情報とを含む外部状態情報を受信する。また、制御部が、評価値と外部評価値の大小関係、及び、使用電力情報が示す使用電力と外部使用電力が示す使用電力との和に基づいて、電気機器の使用電力の大きさを変更する。
【0009】
また、評価値が、電気機器の使用電力に対する評価関数によって表され、外部評価値が、外部装置の使用電力に対する評価関数によって表され、制御部が、評価値と外部評価値との和が最大となるように電気機器の使用電力を制御してもよい。
【0010】
また、制御部が、使用電力情報が示す使用電力と外部使用電力情報が示す使用電力との和が所定の上限値以下になるように、電気機器の使用電力を制御してもよい。
【0011】
また、電気機器の使用電力に対する評価関数、及び、外部装置の使用電力に対する評価関数が凸関数又は凹関数であってもよい。
【0012】
また、電力制御装置が、電気機器に電力を送電可能に接続され、電気機器に電力を供給する電力供給部を更に備え、制御部が、電力供給部が電気機器に供給する電力量を制御してもよい。
【0013】
また、制御部が、電気機器の動作を制御することによって電気機器の使用電力を制御してもよい。
【0014】
また、電力制御装置が、使用者の操作を受け付ける受付部を更に備え、評価値設定部が、受付部が受け付けた使用者の操作に基づいて評価値を設定してもよい。
【0015】
また、電力制御装置が、外部から電気機器周辺の環境の状態を示す環境情報を受信する受信部を更に備え、評価値設定部が、環境情報に基づいて評価値を設定してもよい。
【0016】
また、外部装置に、外部装置によって使用電力が制御される外部電気機器が接続され、評価値が、電気機器の外部電気機器に対する使用者にとっての優先度を表してもよい。
【0017】
本発明の一実施形態にかかる電力制御システムは、複数の電力制御装置を複数備え、複数の電力制御装置のそれぞれが、電気機器の評価値を設定する評価値設定部と、評価値を記憶する評価値記憶部と、評価値記憶部に記憶された評価値を、他の電力制御装置に送信し、且つ、他の電力制御装置から、他の電力制御装置に記憶された外部評価値を受信する通信部と、評価値と外部評価値の大小関係に応じて電気機器の使用電力を制御する制御部と、を備える。
【0018】
また、電力制御システムが、複数の電力制御装置と通信可能に接続された情報管理装置を更に備え、情報管理装置が、複数の電力制御装置のそれぞれから評価値を受信して記憶してもよい。
【0019】
本発明の一実施形態に係る電力制御方法は、電力制御装置を用いて実行される電力制御方法であって、電力制御装置に接続される電気機器の評価値を設定し、評価値を記憶し、記憶された評価値を外部装置に送信し、部装置から外部装置に記憶された外部評価値を受信し、評価値と外部評価値の大小関係に応じて電気機器の使用電力の大きさを制御する、ことを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態によれば、各電気機器の使用電力は、電気機器ごとに設けられた電力制御装置によって制御される。そのため、複数の電気機器を同時に制御する中央制御システムが不要であり、複数の電気機器の制御を行うための初期投資を抑えることができる。また、中央制御システムが存在しないため、中央制御システムの不具合によって複数の電気機器の動作に不具合が生じるという脆弱性の問題の発生を防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1実施形態にかかる電力制御システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態にかかる電力制御装置のコントローラの動作を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の第1実施形態にかかる電気機器への供給電力と電気機器を使用している使用者が感じる快適度との相関を示すグラフである。
図4図4は、本発明の第1実施形態にかかる経過時間と複数の電気機器の総使用電力との関係を示す図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態にかかる電力制御システムの構成を示す図である。
図6図6は、本発明の第1実施形態にかかる電気機器への供給電力と電気機器を使用している使用者が感じる快適度との相関を示すグラフである。
図7図7は、本発明の第1実施形態にかかる経過時間と複数の電気機器の総使用電力との関係を示す図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態にかかる電力制御システムの構成を示す図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態にかかる電力制御装置のコントローラの動作を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明の第3実施形態にかかる電力制御システムの構成を示す図である。
図11図11は、本発明の第4実施形態にかかる電力制御システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
(第1実施形態)
[電力制御システムの構成]
図1は、本発明の第1実施形態における電力制御システム1の構成を示す図である。電力制御システム1は、2つ以上の複数の電力制御装置100A~100Cと、各電力制御装置100A~100Cに接続された電気機器200A~200Cを備える。
【0024】
電力制御装置100Aは、建屋の壁面、発電機、蓄電池などに設けられたコンセントジャック(アウトレット)300と電気機器200Aとの間に配置される。コンセントジャック300から供給された電力は、電力制御装置100Aを介して電気機器200Aに供給される。電気機器100Aは、例えば、AV機器、IT機器、家電製品などであり、その種類は限定されない。
【0025】
電力制御装置100Aは、コントローラ101、メモリ102、通信インタフェース103、ユーザインタフェース104、表示部105、コンセントプラグ(差込接続器)106、コンセントジャック(プラグ受、アウトレット)107、電力計測部108、電力制御部109を備えている。メモリ102には、電力制御装置100Aを動作させるプログラムが記憶されている。
【0026】
コントローラ101は、メモリ102に記憶されているプログラムを実行する。メモリ102は、電力制御装置100Aを動作させるプログラムに加え、後述する電気機器200Aの評価値(評価関数)を記憶している。通信インタフェース103は、他の電力制御装置100B、100Cとの無線通信に使用される。
【0027】
ユーザインタフェース104は、使用者によって操作可能であり、評価値の設定や変更などのために使用される。なお、ユーザインタフェース104は、使用者によって操作可能なものであればよく、スイッチやボタン、タッチパネルなどであってもよい。表示部105は、電力制御装置100Aが駆動しているか否か、及び、設定されている評価値を示す情報を表示する。表示部105は、例えば、液晶パネルやランプである。なお、ユーザインタフェース104の一部及び表示部105の機能の一部は、電力制御装置100Aの本体の外部に設けられていてもよい。例えば、電力制御装置100Aは外部の携帯端末装置(不図示)と通信可能であり、携帯端末装置がユーザインタフェース104及び表示部105の機能を有していてもよい。
【0028】
電力制御装置100Aのコンセントプラグ106は、建屋の壁面などに設けられた外部のコンセントジャック300に接続される。外部のコンセントジャック300から供給された電力は、コンセントプラグ106を介してコンセントジャック107に伝送される。コンセントジャック107には、電気機器200Aのコンセントプラグ(不図示)が接続される。これにより、電気機器200Aに、コンセントジャック107を介して電力が供給される。
【0029】
電力計測部108は、電力制御装置100Aに接続された電気機器200Aが使用している電力(電気機器200Aに供給されている電力)を計測する。なお、家庭用の系統電力は、例えば、100Vや200Vなどの値で一定であるため、電力計測部108は、コンセントプラグ106とコンセントジャック107とを繋ぐ配線に流れる電流値を計測し、計測された電流値と一定の電圧値とに基づいて使用電力を算出してもよい。
【0030】
電力制御部109は、コンセントプラグ106とコンセントジャック107との間に配置されている。電力制御部109は、コントローラ101からの指示に従い、コンセントプラグ107を介して電気機器200Aに供給される電力を制御する。電力制御部109は、供給電力の大きさを変える制御と、電力の供給のON/OFF制御の両方を実行できる。
【0031】
他の電力制御装置100B、100Cも、電力制御装置100Aと同じ構成を有する。他の電力制御装置100B、100Cにはそれぞれ、他の電気機器200B、200Cが接続されている。各電力制御装置100B、100Cに接続される電気機器200B、200Cは、同じ種類の機器でなくてもよい。例えば、電気機器200A~200Cは、互いに異なる種類の機器であってもよい。
【0032】
コントローラ101は、電力制御装置100Aに接続されている電気機器200Aの評価値と使用電力、及び、他の電力制御装置100B、100Cから通信インタフェース103を介して受信した評価値と使用電力に基づき、電気機器200Aへの供給電力を制御する。
【0033】
[電力制御装置の動作]
次に、電力制御装置100Aの動作の一例を説明する。図2は、電力制御装置100Aのコントローラ101の動作を示すフローチャートである。図2に示される動作は、電力制御装置100Aに接続された電気機器200Aが駆動することによって開始される。電気機器200Aの電源がOFFになっている、或いは、電気機器200Aが待機状態になっているなど、電気機器200Aが駆動していない場合は、図2に示される動作は実行されない。また、図2に示される動作は、電気機器200Aの使用電力が所定値以上になった場合に開始されてもよい。
【0034】
コントローラ101は、図2に示される動作を開始すると、通信インタフェース103によって無線通信可能な他の電力制御装置を探索する(S101)。通信インタフェース103の無線通信規格は、例えば、無線LANやBluetooth(登録商標)などである。
【0035】
無線通信可能な電力制御装置が見つからなかった場合(S102:NO)、コントローラ101は、電気機器200Aに供給する電力を維持する(S103)。言い換えると、コントローラ101は、電気機器200Aへの供給電力の制御を行わない。その後、S101に戻り、コントローラ101は、他の電力制御装置の探索を繰り返し実行する。
【0036】
無線通信可能な電力制御装置100B、100Cが見つかった場合(S102:YES)、コントローラ101は、見つかった他の電力制御装置100B、100Cとの無線通信を確立する(S104)。なお、無線通信可能な電力制御装置100B、100Cが複数見つかった場合、コントローラ101は、見つかった複数の電力制御装置100B、100Cとの無線通信を確立する。
【0037】
S105では、コントローラ101は、電力計測部108を用いて電気機器200Aの使用電力を計測する。計測された使用電力を示す使用電力情報は、メモリ102に記憶される。
【0038】
S106では、コントローラ101は、電気機器200Aの状態情報を、無線通信が確立している他の電力制御装置100Aに送信する。状態情報は、メモリ102に記憶されている評価値と使用電力情報を含む。電力制御装置100Aが複数の他の電力制御装置100B、100Cとの無線通信を確立している場合、状態情報は、複数の電力制御装置100B、100Cの全てに送信される。
【0039】
S107では、コントローラ101は、無線通信が確立している他の電力制御装置100B、100Cから状態情報を受信する。この状態情報は、他の電力制御装置100B、100Cに記憶されている評価値と当該電力制御装置100B、100Cに接続されている電気機器200B、200Cの使用電力情報を含む。
【0040】
S108では、コントローラ101は、自身の状態情報と他の電力制御装置100B、100Cから受信した状態情報とに基づき、電気機器200Aの使用電力の目標値PTargetを設定する。目標値PTargetは、電力制御装置100Aを介して電気機器200Aへ供給する電力の目標となる値である。
【0041】
S109では、コントローラ101は、電力制御装置100Aに接続された電気機器200Aの使用電力、及び、他の電力制御装置100B、100Cから受信した状態情報に基づき、電気機器200A~200Cの総使用電力が制御開始値PS以上であるかを判定する。ここで、総使用電力は、互いに通信が確立している複数の電力制御装置100A~100Cのそれぞれに接続された電気機器200A~200Cの使用電力の総和である。総使用電力が制御開始値PS未満であると判定された場合(S109:NO)、S110へ進む。総使用電力が制御開始値PS以上であると判定された場合(S109:YES)、S111へ進む。
【0042】
S110では、コントローラ101は、電気機器200Aに供給する電力を維持する(S103)。言い換えると、コントローラ101は、電気機器200Aへの供給電力の制御を行わない。その後、S101に戻り、コントローラ101は、他の電力制御装置の探索を繰り返し実行する。
【0043】
S111では、コントローラ101は、電気機器200Aへの供給電力が目標値PTargetになるように、電力制御部109を制御する。コントローラ101は、S111で供給電力を制御した後、S101に戻り、図2に示される処理を繰り返し実行する。
【0044】
[目標値の設定方法]
次に、S108における目標値PTargetの設定方法の一例を説明する。
【0045】
目標値PTargetは、例えば、使用者(例えば、建屋の住人)が、各電力制御装置100A~100Cに接続された電気機器200A~200Cを快適に使用可能で、且つ、複数の電気機器200A~200Cの総使用電力が抑えられるように設定される。目標値PTargetは、状態情報に含まれる評価値と使用電力情報に基づいて設定される。
【0046】
評価値は、例えば、電気機器200A~200Cへの供給電力と使用者が感じる快適さとの関係を表す評価関数である。電気機器200A~200Cは、供給される電力に応じて動作状態が変化する。そのため、電気機器200A~200Cへの供給電力とその電気機器200A~200Cを使用している使用者が感じる快適さとの間には相関がある。
【0047】
図3は、電気機器200A~200Cへの供給電力Pと電気機器200A~200Cを使用している使用者が感じる快適度fとの相関(すなわち、評価関数)を示すグラフである。グラフの横軸は電気機器200A~200Cへの供給電力Pを示し、縦軸は快適度fを示す。図3には、3つの電気機器200A~200Cの快適度f1~f3の例が示されている。各快適度f1~f3は、供給電力Pに対する凸関数(例えば、二次関数)で表される。各快適度f1~f3はそれぞれ、供給電力P1Opt~P3Optのときに極大値を有する。
【0048】
例えば、電気機器200A~200Cが供給電力に応じて明るさが変化する照明器具である場合、照明が暗すぎる、或いは、明るすぎると、使用者は不便さを感じたり、不快に感じたりする。そのため、照明器具の快適度は、使用者が丁度よいと感じる明るさに相当する極大値を有する。また、電気機器200A~200Cが供給電力に応じて温度や風量が変化するドライヤーである場合、使用者は、ドライヤーによって生じる風の温度が低すぎる又は熱すぎると不快に感じる。また、使用者は、ドライヤーの風量が弱すぎる又は強すぎると不快に感じる。そのため、ドライヤーの快適度も極大値を有する。
【0049】
各電力制御装置100A~100Cに記憶されている評価関数を用いると、各電気機器200A~200Cに対してユーザが感じる快適度の総和fは、以下の数式1で表される。
【数1】
ここで、Nは、電力制御システム1に含まれる電力制御装置100A~100Cの数を示す。図1にされる例では、Nは3である。Piはi番目の電力制御装置100A~100Cに接続された電気機器200A~200Cへの供給電力を示す。fi(Pi)はi番目の電力制御装置100A~100Cに記憶されている評価関数である。各評価関数fi(Pi)は、凸関数である。
【0050】
もし、全ての電気機器200A~200Cが、快適度が最大となるように制御されると、消費電力Piの総和が大きくなる。電力制御システム1が家庭内の電気機器200A~200Cを制御するシステムである場合、消費電力Piの総和が家庭の契約電力を超過してブレーカが落ちるという問題や、電力コストが増加するという問題が生じる可能性がある。そのため、各電気機器200A~200Cに供給される電力には、以下の数式2で示される束縛条件が設けられる。
【数2】
ここで、PLimitは、N個の電気機器200A~200Cに対する供給電力の総和の上限値である。
【0051】
上限値PLimitは、例えば、電力計測部108によって計測された使用電力を示す使用電力情報、及び、他の電力制御装置100B、100Cから受信した使用電力情報に基づいて決定される。例えば、上限値PLimitは、N個の電気機器200A~200Cの使用電力の総和であってもよい。また、供給電力に余裕を持たせるために、或いは、電力コストを抑えるために、上限値PLimitは、使用電力の総和よりも小さく設定されてもよい。各電力制御装置100A~100Cは、使用電力情報に基づいて上限値PLimitを決定し、メモリ102に記憶する。
【0052】
各電力制御装置100A~100Cが、一戸の一般家庭内に設けられている場合、上限値PLimitは、例えば、当該家庭の契約電力であってもよい。或いは、上限値PLimitは、当該家庭で実際に使用されている電力の平均値や最大値に基づいて決定されてもよい。また、電力に余裕を持たせる、或いは、電力コストを抑えるために、上限値PLimitは、契約電力や家庭内の使用電力よりも小さく設定されてもよい。上限値PLimitを契約電力又は家庭内の使用電力に基づいて決定する場合、使用者は、ユーザインタフェース104を介して契約電力又は家庭内の使用電力を各電力制御装置100A~100Cに入力する。各電力制御装置100A~100Cは、入力された電力に基づいて上限値PLimitを決定し、それぞれのメモリ102に記憶する。
【0053】
式2で示される束縛条件を満たし、式1で示される評価関数が最大となる条件は、ラグランジュの未定乗数法を利用して求めることができる。この場合、ラグランジュ乗数をλとした場合のラグランジュ関数は次の数式3で表される。
【数3】
また、総和fが最大となるとき、次の数式4が成り立つ。
【数4】
この連立方程式を解くことにより、式2の束縛条件を満たしつつ、評価関数の総和fが最大となる場合の各供給電力Piを求めることができる。この求められた供給電力Piが、各電気機器200A~200Cへの供給電力の目標値PiTargetとして設定される。
【0054】
なお、目標値PiTargetは、図2に示される処理が繰返し実行される毎に変化する。図2に示される処理において、S111では電気機器200Aへの供給電力が制御されるため、S111の処理の実行前後において、電力計測部108によって計測される使用電力が変化する。同様に、他の電力制御装置100B、100Cにおいても、S111において接続されている電気機器200B、200Cに供給される電力が制御される。そのため、図2に示される処理が繰返し実行される毎に、他の電力制御装置100B、100Cとの間で送受信する状態情報が変化する。これに伴い、状態情報に基づいて設定される目標値PiTargetが変化し、S111では、各電気機器200A~200Cへの供給電力が、変化した目標値PiTargetとなるように制御される。
【0055】
また、電力制御装置100Aと無線通信可能な他の電力制御装置100B、100Cの数に増減があった場合も、S107で受信する状態情報の数が変化するため、目標値PTargetが変化する。
【0056】
[経過時間と総使用電力との関係]
図4は、経過時間tとN個の電気機器200A~200Cの総使用電力との関係を示す図である。図4の横軸は、経過時間tを示し、縦軸はN個の電気機器200A~200Cの総使用電力を示す。図4(a)は、各電気機器200A~200Cの使用電力が電力制御装置100A~100Cによって制御されていない場合の総使用電力を示す。図4(b)は、電力制御装置100A~100Cにより、各電気機器200A~200Cへの供給電力の大きさが目標値PiTargetとなるように連続的に(アナログ的に)制御されている場合の総使用電力を示す。
【0057】
図4(a)では、複数の電気機器200A~200Cが同時に使用されている場合の例を示している。各電気機器200A~200Cはその駆動状態に応じて使用電力が変化するため、総使用電力は時間経過と共に変化する。時刻t1から時刻t2までの間は、総使用電力が上限値PLimitを上回っている。仮に、上限値PLimitが家庭の契約電力と同じ値に設定されている場合、時刻t1と時刻t2の間に家庭内のブレーカが落ちる可能性がある。
【0058】
一方、図4(b)に示す例では、総使用電力が制御開始値PS以上になると、複数の電気機器200A~200Cの使用電力が、それぞれの目標値PiTargetとなるように制御される。仮に、総使用電力が上限値PLimitを上回った後に供給電力の制御が開始されると、家庭のブレーカが落ちてしまう可能性がある。一方、図4(b)に示す例では、総使用電力が上限値PLimitよりも小さい制御開始値PS以上となったタイミングで供給電力の制御が実行されるため、総使用電力が上限値PLimitを上回ってしまうことが抑制される。
【0059】
総使用電力が制御開始値PS未満である場合、供給可能な電力には余裕がある。この場合は、電気機器200A~200Cへの供給電力の制御(S110)を実行しないことにより、電気機器200A~200Cへの供給電力が変化し、電気機器200A~200Cの駆動状態が変化してしまうことが防止される。
【0060】
また、総使用電力が制御開始値PS未満であったとしても、使用中の電気機器200A~200Cへの供給電力が目標値PiTargetになるように制御されてもよい。例えば、電気機器200A~200Cの使用電力Piが目標値PiTargetよりも小さい場合、電気機器200A~200Cへの供給電力を目標値PiTargetまで増やすことにより、使用者にとっての快適度を高めることができる。
【0061】
[本実施形態による効果]
本実施形態では、電力制御装置100A~100C同士が無線通信によって状態情報を交換する。そして、電気機器200A~200Cへの供給電力が、状態情報に基づいて設定された目標値PiTargetになるように制御される。これにより、複数の電気機器200A~200Cの総使用電力を所定の値(上限値PLimit)以下に抑えることができる。また、電気機器200A~200Cへの供給電力の目標値PiTargetは、使用者の快適度が大きくなるように設定される。そのため、総使用電力を所定の値以下に抑えつつ、使用者が各電気機器200A~200Cを快適に使用可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、各電気機器200A~200Cとコンセントジャック300との間に電力制御装置100A~100Cを配置することにより、複数の電気機器200A~200Cを含む電力制御システム1を構築することができる。そのため、従来のシステムにおける複数の電気機器を制御可能な中央制御システムが不要となり、電力制御システム1を構築するための費用や、電力制御システム1の構築に要する手間を省くことができる。
【0063】
更に、従来のシステムでは、一つの中央制御システムが複数の電気機器の制御を行っているため、中管制御システムの動作に不具合が発生すると、複数の電気機器の全てが正常に動作しなくなるおそれがある。これに対し、本実施形態では、各電力制御装置100A~100Cは、自身に接続されている電気機器200A~200Cへの供給電力の制御を行うが、他の電力制御装置に接続されている電気機器の制御は行わない。そのため、何れか一つの電力制御装置100A~100Cの動作に不具合が発生したとしても、全ての電気機器200A~200Cの動作に不具合が発生するおそれがない。
【0064】
[電力制御システムの変形例]
図5は、本実施形態における、別の電力制御システム1Aの構成を示す図である。この電力制御システムは、7つの電力制御装置111~117を含んでいる。3つの電力制御装置111~113は互いに無線通信可能である。電力制御装置114は、電力制御装置112とのみ無線通信可能である。4つの電力制御装置113、115~117は互いに無線通信可能である。言い換えると、この電力制御システム1Aは、電力制御装置111~113を有する第1電力制御システム、電力制御装置112、114を有する第2電力制御システム、電力制御装置113、115~117を有する第3電力制御システムを含んでいる。
【0065】
電力制御装置111~117の夫々には不図示の電気機器が接続されている。各電力制御装置111~117は、互いに独立して図2に示す処理フローを繰り返し実行する。例えば、第1電力制御システムの3つの電力制御装置111~113は、互いの状態情報を交換し(S106、S107)、接続されている電気機器への供給電力を制御する(S110)。供給電力が制御されると、各電気機器の使用電力が変化するため、状態情報も変化する。
【0066】
次いで、第2電力制御システムの電力制御装置112は電力制御装置114と状態情報を交換し、第3電力制御システムの電力制御装置113は電力制御装置115~117と状態情報を交換する。このとき、電力制御装置112、113が送信する状態情報は、第1電力制御システムにおいて変化した後の状態情報である。そして、電力制御装置114及び電力制御装置115~117は交換した状態情報を用いて、それぞれに接続されている電気機器への供給電力を制御する。これにより、電力制御装置114及び電力制御装置115~117は、直接通信可能に接続されていない第1電力システムの電力制御装置111の状態に基づいて電気機器への供給電力を制御することができる。
【0067】
また、各電力制御装置111~117が、図2に示される処理フローを繰り返し実行することにより、電力制御装置111は、直接通信可能に接続されていない電力制御装置114及び電力制御装置115~117の状態に応じて供給電力を制御することができる。
【0068】
このように、本実施形態では、全ての電力制御装置111~117が互いに直接通信可能に接続されていなくとも、電力制御システム1Aに含まれる全ての電力制御装置111~117の状態情報を直接的又は間接的に供給電力の制御に使用可能である。
【0069】
また、本実施形態では、電力制御システム1Aに新たに電力制御装置を追加する場合に、新たに追加される電力制御装置は、電力制御システム1Aに含まれている電力制御装置のうち少なくとも一つの電力制御装置と通信可能であればよい。これに対し、従来のシステムでは、全ての電気機器が中央制御システムと通信可能である必要がある。そのため、従来のシステムでは、新たに追加したい電気機器と中央制御システムとが離れて配置されている場合に、新たな電気機器をシステムに組み込むことが難しかった。これに対し、本実施形態では、新たな電力制御装置の追加が容易であり、従来技術に比べて電力制御システム1Aのスケーラビリティが優れている。
【0070】
なお、本実施形態では、電力制御システム1Aは少なくとも2つの電力制御装置を含んでいればよく、含まれる電力制御装置の数は限定されない。また、電力制御システム1Aは、各電力制御装置をノードとしたグラフ構造を有しており、メッシュ状やツリー状など様々なグラフ構造を取り得る。そのため、使用者は、電気機器111~117の配置に応じて、電力制御システム1Aの構造を自由に変更できる。
【0071】
[目標値の設定方法の変形例]
上述の本実施形態の説明では、目標値PiTargetを式4に基づいて求める場合を説明したが、本実施形態における目標値の決定方法はこれに限定されない。各電気機器200A~200Cへの供給電力の目標値PiTargetは、複数の電力制御装置100A~100Cのうち、いずれか1つの電力制御装置100A~100Cを基準に決定されてもよい。例えば、複数の(N個の)評価関数のうち、極大値が最も大きい評価関数を記憶している電力制御装置に対し、供給電力の目標値が設定されてもよい。ここで、極大値が最も大きい評価関数を記憶している電力制御装置は、言い換えると、使用者にとって最も相対的な優先度の高い電気機器が接続された電力制御装置である。
【0072】
図6は、N個の電力制御装置のうちM番目の電力制御装置における、電気機器への供給電力PMと電気機器を使用している使用者が感じる快適度fMとの相関を示すグラフである。例えば、M番目の電力制御装置に供給電力の目標値PMTargetが設定された場合、評価関数fMと目標値PMTargetから、供給電力がPMのときの評価関数fMの傾き(微分)λMが求められる。他の電力制御装置においては、それぞれの評価関数fiの傾きλiが傾きλMと等しくなるときの供給電力Piが目標値PiTargetに設定される。
【0073】
なお、基準となるM番目の電力制御装置の目標値PMTargetは、評価関数fMが極大値を取る時の電力(最適電力)PMOptよりも小さくなるように設定される。仮に、目標値PMTargetが最適電力PMOptと等しい場合(言い換えると、傾きλMが0である場合)、他の全ての電力制御装置においても、各電気機器に供給される電力Piが、評価関数fiが極大値を取るように設定される。この場合、電力制御による総使用電力の削減効果がなくなってしまい、ブレーカが落ちるなどの問題が発生し得る。
【0074】
目標値PMTargetが最適電力PMOptよりも小さい値に設定されると、各電力制御装置の使用電力が、それぞれの最適電力PiOptよりも低い値に抑えられ、総使用電力を削減することができる。また、目標値PMTargetを最適電力PMOptに近い値に設定することにより、使用者は、総使用電力を抑えつつ、優先度の高い電気機器を快適に使用することが可能となる。
【0075】
また、電気機器の仕様によっては、供給電力が所定値を下回ると電気機器が正常に動作しなくなる場合が生じ得る。そのため、電力制御装置は、接続されている電気機器が駆動している場合(例えば、電気機器の電源が切られていない場合、又は、電気機器が待機状態ではない場合)、電気機器の供給電力が所定値を下回らないように、目標値PiTargetに下限値を設定してもよい。この下限値は、使用者により手動で電力制御装置に入力されてもよい。或いは、電力制御装置は、電気機器への供給電力を下げた場合に、電気機器の動作に不具合が生じたとき(例えば、電気機器の電源が切れてしまったとき)の供給電力を記憶し、その記憶された供給電力に基づいて下限値を設定してもよい。
【0076】
また、上述の本実施形態の説明では、目標値PiTargetを式4に基づいて求める場合を説明したが、本実施形態は、全ての電気機器200A~200Cに目標値PiTargetが設定されていなくてもよい。例えば、電力制御装置100Aに比較的高い評価値が設定されている場合、この電力制御装置100Aに接続されている電気機器200Aへの供給電力は制御されなくてもよい。この場合、電力制御装置100Aの評価値よりも低い評価値が設定されている電力制御装置100B、100Cにおいて、それぞれの電気機器200B、200Cへの供給電力が抑えられる。これにより、総使用電力を抑えると共に、使用者が優先度の高い電気機器100Aを快適に使用できる。
【0077】
また、目標値PiTargetは、評価値の大きさ(優先度の高さ)に応じた割合に基づいて設定されてもよい。例えば、評価値が大きいほど、供給電力が制御されていない状態における電気機器の使用電力に対する目標値PiTargetの割合が高くなるように設定される。総使用電力が上限値PLimitを越えそうになった場合に、評価値の大きい電力制御装置に接続された電気機器への供給電力の小さく抑えられる。一方、評価値の小さい電力制御装置に接続された電気機器への供給電力は大きく低下する。これにより、総使用電力を抑えると共に、使用者が優先度の高い電気機器を快適に使用できる。
【0078】
[供給電力の制御の変形例]
図2のS109及びS110では、総使用電力が制御開始値PS以上となった場合に、電気機器100Aへの供給電力が目標値PiTargetとなるように制御されるが、本実施形態の処理はこれに限定されない。例えば、上限値PLimitが契約電力よりも小さく設定されている場合は、総使用電力が上限値PLimitに到達した時点でS110の制御が行われてもよい。
【0079】
また、供給電力を目標値PiTargetとするような制御において、供給電力の制御はアナログ的な制御に限定されない。例えば、供給電力は、所定単位毎に(例えば、数Wずつ)段階的に変更されてもよい。
【0080】
また、電力制御装置100Aは、複数の電気機器200A~200Cの総使用電力が閾値PTH以上になった場合に、総使用電力が上限値PLimitを越えないように特定の電気機器への電力供給を停止してもよい。ここで、閾値PTHは、上限値PLimit以下に設定されている。また、電力供給が停止される電気機器は、評価関数の大きさによって決定されてもよい。例えば、複数の電力制御装置100A~100Cのうち、評価関数の極大値が最も小さい電力制御装置に接続された電気機器への電力供給が停止されてもよい。
【0081】
図7は、総使用電力が上限値PLimitを越えないように、特定の電気機器への電力供給が停止される場合の総使用電力を示す図である。図7の横軸は、経過時間tを示し、縦軸はN個の電気機器の総使用電力を示す。図7に示される例では、電気機器への供給電力は、アナログ的に電力量が制御されるのではなく、ON/OFF制御される。そのため、図4(b)に示される例とは異なり、使用電力の総和がPLimitと一致するような制御は行われない。図7に示されるように、電気機器への供給電力をON/OFF制御することによっても、総使用電力が上限値PLimitを越えないように制御することが可能である。
【0082】
[評価関数の変更]
評価関数の極大値の大きさは、使用者にとって電力制御装置100Aに接続された電気機器200Aの優先度を表している。供給電力の目標値の設定に使用される評価関数は、使用者による手動又は自動で変更可能である。極大値の大きさは、連続的に変更可能であってもよく、段階的に(例えば、高、中、低の3段階で)変更可能であってもよい。極大値の大きさは、評価関数を所定倍することによって変更されてもよく、評価関数をオフセットすることによって変更されてもよい。
【0083】
極大値の大きさは、電気機器200Aの種類や仕様、設置場所、使用者の好みや優先度等に応じて変更されるが、何に基づいて変更するかは限定されない。例えば、使用者は、一時的に優先的に使用したい電気機器が接続されている電力制御装置の評価関数の極大値を大きな値に設定(又は変更)する。極大値が大きく設定されるほど、式4を満たす供給電力Pi(目標値PiTarget)が大きくなり、当該電気機器に優先的に電力が投入されることになる。
【0084】
例えば、髪を乾かすドライヤーや調理に使用する電子レンジやオーブン等は、使用時間は比較的短いが、評価値を大きく設定することが望ましい。なぜなら、これらの電気機器への供給電力が抑えられると、髪を乾かす時間が長くなってしまう、或いは、調理ができなくなってしまうなどの不便さが増し、使用者が感じる快適度が下がるためである。一方、エアコンや冷蔵庫などは、使用時間は比較的長いが、一時的に電力供給が抑えられたとしても、使用者が不便さを感じにくい。そのため、これらの電気機器の評価値は比較的低めに設定される。
【0085】
評価関数が極大値を持つときの最適電力POptは、電気機器200Aの仕様や使用者の好みに応じて変更可能である。最適電力POptは、例えば、当該電気機器200Aの定格消費電力に近い値、或いは、電力制御が行われていない状態における当該電気機器200Aの実際の使用電力に近い値に設定される。使用者が、電力制御装置100Aに対し、電気機器200Aの定格消費電力を入力し、コントローラ101は、入力された定格消費電力を最適電力POptに設定してもよい。また、コントローラ101は、電力制御装置100Aによって供給電力の制御が行われていない状態において電力計測部108によって計測された電力を最適電力POptに設定してもよい。
【0086】
[評価値の変形例]
上述の実施形態では、各電力制御装置100A~100Cが記憶する評価関数は、極大値を有する凸関数以外の関数であってもよい。例えば、評価関数は、電気機器200A~200Cへの供給電力と、その電気機器200A~200Cを使用している使用者が感じる不快さとの相関を示す関数であってもよい。この場合、評価関数は、例えば、供給電力Pに対する凹関数(下に凸の関数)で表される。また、目標値PTargetは、式1に示される快適度の総和が最大となる条件ではなく、不快さの総和が最小となる条件に従って求められる。
【0087】
なお、評価関数は評価値の一例であり、評価値の大きさは使用者にとっての電気機器の優先度に対応する。従って、評価関数が供給電力と不快さとの相関を示す凹関数である場合、不快さが大きいほど(例えば、凹関数の極小値が小さいほど)、電気機器が、使用者が感じる快適さ及び不快さに与える影響が大きい。すなわち、凹関数の極小値が小さいほど、その凹関数が記憶されている電力制御装置に接続された電気機器の評価値(優先度)が高いこと意味する。そのため、不快さの総和が最小となる条件は、評価値の総和が最大となる条件のことである。
【0088】
また、上述の実施形態では、各電力制御装置100A~100Cが記憶する評価値は、電気機器200A~200Cへの供給電力Pに対する評価関数であるが、本実施形態の評価値はこれに限定されない。例えば、評価値は、供給電力Pに依存しない固定値であってもよい。固定値の大きさは、使用者にとっての各電気機器200A~200Cの相対的な優先度の高さに対応する。この場合、図2のS108では、各電力制御装置100A~100Cは、電力制御装置100A~100Cの間の固定値(優先度)の大小関係に応じて、目標値PiTargetを設定する。例えば、固定値が大きいほど、目標値PiTargetは、制御される前の使用電力に近い値に設定される。これにより、使用者にとって優先度の高い電気機器200A~200Cへの供給電力が下がり過ぎることを抑制しつつ、総使用電力を低減できる。
【0089】
[状態情報の変形例]
電力制御装置100A~100Cの間で送受される状態情報は、電力制御装置100A~100Cに接続されている電気機器200A~200Cが使用されているか否かを示す使用情報を含んでいてもよい。例えば、電気機器200A~200Cには、使用されていない状態(待機状態)においても待機電力を消費しているものがある。待機状態の電気機器200A~200Cに対し、目標値PiTargetの供給電力を供給すると、使用者の意図に反して電気機器200A~200Cが動作を開始してしまう場合が生じ得る。そのため、電力制御装置100A~100Cが、互いに使用状態を送受し、使用されていない電気機器への供給電力の制御を行わないことにより、使用されていない電気機器200A~200Cが動作してしまうことが防止される。
【0090】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の電力制御システム2について説明する。電力制御システム2は、2つ以上の複数の電力制御装置120A~120Cと、各電力制御装置120A~120Cに接続された電気機器220A~220Cを備える。
【0091】
第2実施形態の電力制御システム2では、電力制御装置120A~120Cがそれぞれ、電気機器220A~220Cと通信可能に接続されている。第1実施形態では、電力制御装置100A~100Cはそれぞれ、電気機器200A~200Cへの供給電力を制御したが、第2実施形態では、電力制御装置120A~120Cはそれぞれ、電気機器220A~220Cの駆動状態を変更することによって、電気機器220A~220Cの使用電力を制御する。
【0092】
図8は、第2実施形態における電力制御システム2の構成を示す図である。電力制御装置2は、コントローラ121、メモリ122、通信インタフェース123、ユーザインタフェース124、表示部125、電気機器コントローラ126を備えている。コントローラ121、メモリ122、通信インタフェース123、ユーザインタフェース124、表示部125は、第1実施形態におけるコントローラ101、メモリ102、通信インタフェース103、ユーザインタフェース104、表示部105と同じである。
【0093】
電気機器コントローラ126は、電気機器220Aと通信可能に接続されている。電気機器コントローラ126と電気機器220Aとは、例えば、赤外線通信によって通信可能である。電気機器コントーラ126は、電気機器220Aの動作を制御するリモートコントローラである。電気機器コントローラ126は、制御対象の電気機器220Aを変更可能な学習リモコン(プログラマブルリモコン)であってもよい。或いは、電気機器コントローラ126には、制御可能な機器として複数の電気機器が予め登録されていてもよい。この場合、電力制御装置120Aは、ユーザインタフェース124を介し、予め登録されている複数の電気機器の中から制御対象の電気機器220Aを選択する操作を受け付ける。これにより、電気機器コントローラ126は、選択された制御対象の電気機器220Aの駆動状態を制御可能となる。
【0094】
電気機器220Aが照明器具である場合、電気機器コントローラ126は、照明器具の点灯と消灯の切り替え、又は明るさの調整を行うことによって駆動状態を制御する。また、電気機器220Aがエアコンである場合、電気機器コントローラ126は、エアコンの起動と停止の切り替え、エアコンの温度や風量の設定、又は冷房や暖房などの動作モードの切り替えを行うことによって駆動状態を制御する。
【0095】
他の電力制御装置120B、120Cも、電力制御装置120Aと同じ構成を有する。他の電力制御装置120B、120Cにはそれぞれ、他の電気機器220B、220Cが接続されている。各電力制御装置120A~120Cに接続される電気機器220A~220Cは、同じ種類の機器でなくてもよい。例えば、電気機器220A~220Cは、互いに異なる種類の機器であってもよい。
【0096】
図9は、電力制御装置120Aのコントローラ121の動作を示すフローチャートである。第2実施形態の電力制御装置120Aの動作は、電気機器220Aの制御の仕方が異なること以外は、第1実施形態の電力制御装置100Aの動作と同じである。詳しくは、第2実施形態の電力制御装置120Aの動作は、S303、S308、S310、S311の処理以外は、図2に示すフローチャートと同じである。そのため、以下では、S303、S308、S310、S311の処理を説明し、それ以外の処理の説明を省略する。
【0097】
図9に示される動作は、電力制御装置120Aに接続されている電気機器220Aが駆動することによって開始される。
【0098】
図9のS303は、電力制御装置120Aが無線通信可能な他の電力制御装置を探索し(S101)、他の電力制御装置が見つからない場合(S102:NO)に実行される。S303において、コントローラ121は電気機器220Aの駆動状態を維持する。言い換えると、コントローラ121は、電気機器220Aの駆動状態の制御を行わない。電気機器220Aの駆動状態は、例えば、電気機器220Aが照明器具である場合、S303では、照明器具の明るさが維持される。電気機器220Aがエアコンである場合、設定温度や風量等の動作設定が維持される。その後、S101に戻り、コントローラ121は、他の電力制御装置の探索を定期的に実行する。
【0099】
S308では、コントローラ121は、評価値と使用電力量に基づき、電気機器220Aの目標駆動状態を設定する。目標駆動状態は、使用電力が目標値PTargetとなるような電気機器220Aの駆動状態である。使用電力の目標値PTargetの設定方法は、第1実施形態における目標値PTargetの設定方法と同じである。
【0100】
S310では、コントローラ121は電気機器220Aの駆動状態を維持する。その後、S101に戻り、コントローラ121は、他の電力制御装置120Aの探索を定期的に実行する。
【0101】
S311では、コントローラ121は、電気機器220Aを目標駆動状態で駆動する。例えば、電気機器220Aが照明器具である場合、S309で照明器具の明るさが制御される。また、電気機器220Aがエアコンである場合、S309で設定温度や風量が制御される。電気機器220Aの駆動状態が制御されることにより、電気機器220Aの使用電力が目標値PTargetになるように変化する。
【0102】
コントローラ121は、S311で電気機器220Aの駆動状態を制御した後、S101に戻り、図9に示す処理を繰り返し実行する。
【0103】
本実施形態では、電気機器220Aへの供給電力が直接制御される代わりに、電気機器220Aの駆動状態が制御されることにより、供給電力が間接的に制御される。例えば、電気機器220Aの仕様によっては、供給電力が所定値を下回ると電気機器220Aが正常に動作しなくなる場合が生じ得る。そのため、供給電力を直接制御する代わりに、駆動状態を制御することにより、電気機器220Aの動作に不具合が生じることを抑制することができる。
【0104】
なお、電力制御システム2は、電気機器コントローラ126を有する電力制御装置120A~120Cのみを備えているが、本実施形態における電力制御システムはこの構成に限定されない。例えば、電力制御システム2は、第1実施形態の説明に記載の電力制御装置100A~100Cと、第2実施形態の説明に記載の電力制御装置120A~120Cとの両方の種類の電力制御装置を含んでいていてもよい。
【0105】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態の電力制御システム3について説明する。図10は、第3実施形態における電力制御システム3の構成を示す図である。電力制御システム3の構成は、情報管理サーバ400を備えること以外は、第1実施形態の電力制御システム1と同じである。電力制御装置100A~100C及び電気機器200A~200Cの構成は、第1実施形態の電力制御装置100A~100C及び電気機器200A~200Cと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0106】
情報処理サーバ400は、例えば、パソコンやサーバ等の汎用の情報処理装置、又は、電力制御システムのための専用の装置である。或いは、情報処理サーバは、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末装置であってもよい。
【0107】
情報管理サーバ400は、CPU401、RAM402、ROM403、プログラム404、通信インタフェース405、ストレージ406を備えている。CPU401は、ROM403に記憶されているプログラム404を実行する。RAM402は、CPU401がプログラム404を実行する際に、一時的なデータの記憶領域として使用される。プログラム404は、情報処理サーバ400を制御するためのアプリケーションや、OS等を含んでいる。通信インタフェース405は、複数の電力制御装置100A~100Cとの無線通信に使用される。ストレージ406は、各種情報を記憶するために使用される。
【0108】
情報処理サーバ400は、電力制御装置100A~100Cとの無線通信を確立すると、電力制御装置100A~100Cから評価値や使用電力量を含む状態情報を受信してストレージ406に記憶する。情報管理サーバ400は、電力制御装置100Aから定期的に状態情報を受信してもよく、使用者が指定するタイミングで受信してもよい。受信した状態情報は、電力制御装置100Aを識別する情報と関連付けられ、ログとしてストレージ406に記憶される。
【0109】
使用者は、ストレージ406に記憶されたログを見ることにより、各電力制御装置100A~100Cに設定されている評価値や使用電力が適切か否かを判断することができる。詳しくは、使用者は、各電力制御装置100A~100Cに設定されている評価値の大きさの関係が、使用者にとっての各電気機器200A~200Cの優先度の高さと整合しているかを判断できる。
【0110】
仮に、使用者が、電力制御装置100A~100Cに設定されている評価値が適切ではないと判断した場合、使用者は、情報管理サーバ400に記憶されている評価値を変更し、変更された評価値を、情報管理サーバ400を介して電力制御装置100A~100Cに送信することができる。電力制御装置100A~100Cは、変更された評価値を受信すると、その評価値を新たな評価値として記憶する。これにより、電力制御装置100A~100Cのそれぞれに接続された電気機器200A~200Cを、使用者の優先度に合わせて制御することが可能となる。
【0111】
また、情報管理サーバ400は、受信した評価値と使用電力から、各電力制御装置100A~100Cに設定される目標値PiTargetを求めてもよい。求められた目標値PiTargetは対応する電力制御装置100A~100Cに送信され、各電気機器200A~200Cへの供給電力の制御に使用される。これにより、各電力制御装置100A~100Cが目標値を求める処理を行う必要がなくなり、電力制御装置100A~100Cの処理負荷を下げることができる。
【0112】
なお、情報管理サーバ400に記憶されている評価値を変更可能であるのは、特定の一人の使用者に限定されない。例えば、情報管理サーバ400にアクセス可能な複数の使用者のそれぞれが、評価値を指定可能であってもよい。情報管理サーバ400は、複数の使用者によって指定された評価値に基づき、各電力制御装置100A~100Cの評価値を設定する。また、一つの電力制御装置に対し、複数の使用者により互いに異なる複数の評価値が指定された場合、情報管理サーバ400は、指定された複数の評価値の代表値(例えば、平均値、代表値、最頻値など)を求め、その代表値を当該電力制御装置の評価値に設定してもよい。
【0113】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態の電力制御システム4について説明する。図11は、第4実施形態における電力制御システム4の構成を示す図である。電力制御システム4の構成は、センサ500を備えること以外は、第1実施形態の電力制御システム1と同じである。電力制御装置100A~100C及び電気機器200A~200Cの構成は、第1実施形態の電力制御装置100A~100C及び電気機器200A~200Cと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0114】
本実施形態の電力制御装置100Aは、センサ500と接続されている。センサ500は、電力制御装置100A又は電気機器200Aの周囲の環境の状態を測定し、測定結果をコントローラ101に送信する。環境の状態は、例えば、明るさ(照度)、温度、又は湿度である。
【0115】
コントローラ101は、センサ500から受信した測定結果に基づき、評価関数を変更する。例えば、センサ500が明るさを測定するものである場合、センサ500による測定結果は太陽光の有無や照明の明るさに応じて測定結果が変化する。電気機器200Aが照明器具である場合、コントローラ101は、周囲が明るいとき(例えば、昼間)は照明器具の評価関数の極大値(すなわち、優先度)を下げることで、照明器具に供給される電力を抑えることができる。一方、周囲が暗いとき(例えば、夜)は、コントローラ101は照明器具の評価関数の極大値を上げることにより、照明器具に供給される電力を増やし、使用者にとっての快適度を上げることができる。
【0116】
また、電気機器200Aがエアコンであり、センサ500が周囲の温度や湿度を測定するものである場合、コントローラ101は、測定された温度や湿度に応じて評価関数を変更することにより、エアコンの使用電力を下げる、又は、使用者にとっての快適度を上げることができる。
【0117】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
1~4 電力制御システム
100A~100C 電力制御装置
101 コントローラ
102 メモリ
103 通信インタフェース
104 ユーザインタフェース
105 表示部
106 コンセントプラグ
107 コンセントジャック
108 電力計測部
109 電力制御部
200A~200C 電気機器
300 コンセントジャック
400 情報管理サーバ
401 CPU
402 RAM
403 ROM
404 プログラム
405 通信インタフェース
406 ストレージ
500 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11