IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 一般社団法人NAGOYAの特許一覧

<>
  • 特許-電子機器 図1
  • 特許-電子機器 図2
  • 特許-電子機器 図3A
  • 特許-電子機器 図3B
  • 特許-電子機器 図3C
  • 特許-電子機器 図3D
  • 特許-電子機器 図3E
  • 特許-電子機器 図3F
  • 特許-電子機器 図4
  • 特許-電子機器 図5
  • 特許-電子機器 図6
  • 特許-電子機器 図7
  • 特許-電子機器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/18 20110101AFI20240418BHJP
【FI】
A01M29/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024026088
(22)【出願日】2024-02-25
【審査請求日】2024-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522467563
【氏名又は名称】一般社団法人NAGOYA
(74)【代理人】
【識別番号】100177231
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨志田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】名古谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】鴨志田 伸一
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-166564(JP,A)
【文献】特開2016-111943(JP,A)
【文献】特開2014-171411(JP,A)
【文献】特開2013-247982(JP,A)
【文献】特開2004-357545(JP,A)
【文献】特開平10-282235(JP,A)
【文献】特開平10-150418(JP,A)
【文献】特開平08-105959(JP,A)
【文献】特開平08-094754(JP,A)
【文献】特開平06-342060(JP,A)
【文献】実開平03-065993(JP,U)
【文献】実開昭52-078677(JP,U)
【文献】特許第7356768(JP,B1)
【文献】特開平06-024387(JP,A)
【文献】特開昭49-024790(JP,A)
【文献】イルカ忌避装置(イルカ避け発信機)DDD03シリーズ設置・使用例,パンフレット,日本,有限会社 丸新商店,2024年03月25日,第1―3頁,https://marushin-tuna.co.jp/01ddd03haenawa.html
【文献】イルカ忌避装置(イルカ避け発信機)DDD03Hの紹介,パンフレット,日本,有限会社 丸新商店,2024年03月25日,第1―4頁,https://marushin-tuna.co.jp/ddd03.html
【文献】DDD03 Dolphin Dissuasive Device,パンフレット,イタリア,2013年,第1―3頁,https://www.stm-products.com/public/mat/prodotti_download_file_id50.pdf
【文献】令和3年度(2021) 環境省えりも地域ゼニガタアザラシ管理事業実施計画 ,日本,北海道地方環境事務所,2021年,第2ー10頁,https://hokkaido.env.go.jp/content/000066046.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/00-29/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水中で使用される電子機器において、
電源、変換部及び出力部を有し、前記電源から供給される直流電圧を前記変換部により交流電圧に変換して前記出力部により出力させる交流変換部と、
交流電圧が印加されると振動する少なくとも2枚の振動板であって、それぞれの表面に前記出力部により出力される交流電圧の出力電圧が通電され、かつ、それぞれの裏面に交流電圧の基準電圧が通電され、それぞれの表面が互いに異なる方向を向くように配置されている少なくとも2枚の振動板と、
前記交流変換部を制御して、前記少なくとも2枚の振動板の表面のそれぞれに異なる波形の出力電圧を通電させる制御部であって、前記出力電圧が(1)振幅が最大100V未満かつ周波数が0.01Hz以上100Hz以下に設定されている第1交流電圧に(2)振幅が最大10V未満かつ周波数が5kHz以上500kHz以下に設定されている第2交流電圧が重畳された交流電圧である制御部と、
その一端が前記出力電圧を出力する第1出力端子及び前記基準電圧を出力する第2出力端子の一方に接続され、海水中で弾性変形可能な電線と、
を備え、
前記少なくとも2枚の振動板のそれぞれから海水中に音波を発生させて海獣を追い返すとともに、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に交流電界を形成させてロレンチーニ器官を有する魚類を追い返す、
電子機器。
【請求項2】
さらに、筒体、
を備え、
前記少なくとも2枚の振動板は、一の振動板が前記筒体の一端側にその表面を向けた姿勢で前記一端側に配置され、かつ、他の振動板が前記筒体の他端側にその表面を向けた姿勢で前記他端側に配置され、
海水中で前記筒体がその軸方向の前記他端側を下側に向けた姿勢になるように、前記筒体に前記交流変換部、前記少なくとも2枚の振動板及び前記制御部を収容させている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記少なくとも2枚の振動板の表面のそれぞれに通電される異なる波形の各出力電圧は、14kHz以上20kHz以下の周波数で変化する出力電圧の部分、及び、94kHz以上134kHz以下の周波数で変化する出力電圧の部分が含まれる、
請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記交流変換部は、自身が出力する交流電圧の出力電圧の出力先を切り替えるスイッチ回路を含み、
前記制御部は、前記スイッチ回路を制御して前記出力部により出力される出力電圧の出力先を切り替えて前記少なくとも2枚の振動板の表面のそれぞれに異なるタイミングで出力電圧を通電させる、
請求項1又は2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
クジラやイルカなど海産哺乳類(海獣)を混獲する漁業によって漁獲された水産物及び水産加工品の米国への輸入を規制する、海産哺乳類保護法(MMPA:Marine Mammal Protection Act)の措置が2026年1月1日から施行されることが水産庁により公示されている(非特許文献1参照)。
MMPAが開始されると、すなわち、本願の出願から2年を経過前の時点では、我が国の漁業従事者は、例えばイルカを混獲して漁獲された水産物及び水産加工品を米国へ輸出することができなくなる。我が国の漁場には多くのイルカが生息していることから、2026年以降、我が国の漁業従事者にとってイルカの混獲は極めて深刻な問題である。
【0003】
この問題を解決するために、例えば、5kHz~500kHzの超音波をランダムに発生させ、イルカやクジラ類を忌避する装置(イルカ避け発信機 DDD03H)が販売されている(非特許文献2参照)。非特許文献2によれば、この装置は5kHz~500kHzのイルカやクジラ類が不快に思う周波数帯の超音波をランダムに発生させることによりイルカやクジラ類を船や漁具に近づけさせないことで、漁業被害の減少を期待できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国海産ほ乳類保護法に基づく水産物の輸入規制について、水産庁[online]、令和5年11月、[2024年2月17日検索]、インターネット<URL:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/attach/pdf/us_mmpa-3.pdf>
【文献】イルカ忌避装置(イルカ避け発信機)DDD03Hの紹介、有限会社丸新商店[online]、[2024年2月17日検索]、インターネット<URL:https://marushin-tuna.co.jp/ddd03.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者は、近い将来MMPAが開始された後に、我が国の漁業従事者が海獣の混獲によるダメージをなくせる又は低減できるように、海中で超音波を発生させる試験を行い、非特許文献2に開示されている装置の改良点を見つけ出し、更に、新たな装置の試作と試験とを繰り返し行ってきた。
具体的な発明の内容については後述するが、本願の発明者は、これまでの試験研究の結果、非特許文献2に開示されている装置よりも、高確率で海獣を追い返すことができる装置の発明を完成することができた。
【0006】
本発明は、簡単な構成で、近づいてきた海獣を高確率で追い返すことができる電子機器の提供を目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様の電子機器は、
海水中で使用される電子機器において、
電源、変換部及び出力部を有し、前記電源から供給される直流電圧を前記変換部により少なくとも5kHz以上500kHz以下の周波数で変化する交流電圧に変換して前記出力部により出力させる交流変換部と、
交流電圧が印加されると振動する少なくとも2枚の振動板であって、それぞれの表面に前記出力部により出力される交流電圧の出力電圧が通電され、かつ、それぞれの裏面に交流電圧の基準電圧が通電され、それぞれの表面が互いに異なる方向を向くように配置されている少なくとも2枚の振動板と、
前記交流変換部を制御して、前記少なくとも2枚の振動板の表面のそれぞれに異なる波形の出力電圧を通電させる制御部と、
を備え、
前記少なくとも2枚の振動板のそれぞれから海水中に音波を発生させて海獣を追い返す。
【0008】
第2態様の電子機器は、
第1態様の電子機器であって、
前記少なくとも2枚の振動板の表面のそれぞれに通電される異なる波形の各出力電圧は、14kHz以上20kHz以下の周波数で変化する出力電圧の部分、及び、94kHz以上134kHz以下の周波数で変化する出力電圧の部分が含まれる。
【0009】
第3態様の電子機器は、
第1態様又は第2態様の電子機器であって、
前記交流変換部は、自身が出力する交流電圧の出力電圧の出力先を切り替えるスイッチ回路を含み、
前記制御部は、前記スイッチ回路を制御して前記出力部により出力される出力電圧の出力先を切り替えて前記少なくとも2枚の振動板の表面のそれぞれに異なるタイミングで出力電圧を通電させる。
【0010】
第4態様の電子機器は、
第1態様~第3態様のいずれか一態様の電子機器であって、
前記交流変換部、前記少なくとも2枚の振動板及び前記制御部を収容している筒体、
を更に備え、
前記少なくとも2枚の振動板のうちの一の振動板は前記筒体の一端側にその表面を向けた姿勢で前記一端側に配置され、かつ、他の振動板は前記筒体の他端側にその表面を向けた姿勢で前記他端側に配置されており、
重心が前記筒体の軸方向の中心よりも前記一端側又は前記他端側にずれた位置に設定されている。
【0011】
第5態様の電子機器は、
第1態様~第4態様のいずれか一態様の電子機器であって、
前記出力部は、前記出力電圧を出力する第1出力端子及び前記基準電圧を出力する第2出力端子を含み、
その一端が前記第1出力端子及び前記第2出力端子の一方に接続され、海水中で弾性変形可能な電線、
を更に備え、
前記制御部が前記交流変換部を制御して前記少なくとも2枚の振動板の表面のいずれか一方に前記出力電圧を通電させると、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に交流電界を形成させて、ロレンチーニ器官を有する魚類を追い返す。
【発明の効果】
【0012】
第1態様の電子機器によれば、簡単な構成で、近づいてきた海獣を高確率で追い返すことができる。
【0013】
第2態様の電子機器によれば、振動板の表面のそれぞれに通電される異なる波形の各出力電圧に、14kHz以上20kHz以下の周波数で変化する出力電圧の部分が含まれていない場合に比べて、近づいてきたイルカを高確率で追い返すことができる。
【0014】
第3態様の電子機器によれば、各振動板の表面のそれぞれに別々の交流変換部から交流電圧を通電させる場合に比べて、低コスト化を実現することができる。
【0015】
第4態様の電子機器によれば、振動板が1枚のみで、かつ、当該振動板が海水中で下向きに超音波を出射する場合に比べて、近づいてきた海獣を高確率で追い返すことができる。
【0016】
第5態様の電子機器によれば、簡単な構成で、海獣に加え、近づいてきたロレンチーニ器官を有する魚類を追い返すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の電子機器の概略図である。
図2】第1実施形態の電子機器が備える回路基板のブロック図である。
図3A】第1実施形態の電子機器が出力する複数の交流電圧の基本波形パターンの一例である。
図3B】第1実施形態の電子機器が出力する複数の交流電圧の基本波形パターンの別の一例である。
図3C】第1実施形態の電子機器が出力する複数の交流電圧の基本波形パターンの別の一例である。
図3D】第1実施形態の電子機器が出力する複数の交流電圧の基本波形パターンの別の一例である。
図3E】第1実施形態の電子機器が出力する複数の交流電圧の基本波形パターンの別の一例である。
図3F】第1実施形態の電子機器が出力する複数の交流電圧の基本波形パターンの別の一例である。
図4】第1実施形態の電子機器を海釣り用に使用した場合の使用方法を説明するための図である。
図5】海獣の種類ごとの鳴音周波数帯の一例を示すグラフである。
図6】第2実施形態の電子機器の概略図である。
図7】第2実施形態の電子機器を海釣り用に使用した場合の使用方法を説明するための図である。
図8】第2実施形態の電子機器が出力する波形パターンの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、第1実施形態、第2実施形態及び複数の変形例について説明する。本明細書では、異なる実施形態等で参照する各図面において、同じような機能を有する構成要素に対して同じ符号又は同じような符号を付している点に留意されたい。
【0019】
≪第1実施形態≫
まず、第1実施形態の電子機器10について、機能及び構成、使用方法並びに効果について図1図2等を参照しながら説明する。
【0020】
<第1実施形態の電子機器の機能及び構成>
図1は、第1実施形態の電子機器10の概略図である。
電子機器10は、海水中SWで使用され、近づいてきたイルカDP(海獣の一例)を追い返す機能を有する(図5参照)。
電子機器10は、ハウジング20(筒体の一例)と、フック30と、回路基板40と、2枚の振動板50(振動板50A及び振動板50B)とを備えている。
【0021】
(ハウジング及びフック)
ハウジング20は、一例として、樹脂製の筒である。ハウジング20は、その内部に、回路基板40及び2枚の振動板50を収容している。
フック30は、一例として、ハウジング20の一端面(ハウジング20の軸方向の一端側の面)に固定されている。フック30は、開閉可能な開閉部32を有し、例えば、開閉部32から釣り糸FL(図5参照)を通して貫通させるように構成されている。
【0022】
(回路基板)
図2は、電子機器10を構成する回路基板40のブロック図である。
回路基板40は、プリント配線板41と、変換部42と、電源43と、制御部44と、記憶部45と、波形選択スイッチ46と、出力部47と、出力選択スイッチ48とを有しており、全体で電気回路を構成している。第1実施形態では、変換部42、電源43及び出力部47の組合せを、交流変換部40Aという。
【0023】
プリント配線板41には、図示しない回路パターンが印刷されている。プリント配線板41には、変換部42、電源43、制御部44、記憶部45、波形選択スイッチ46、出力部47及び出力選択スイッチ48(スイッチ回路の一例)が実装されている。
変換部42は、電源43及び出力部47に電気的に接続されており、電源43から供給される直流電圧を一例として振幅が100V未満で、かつ、5kHz以上500kHz以下の周波数で変化する交流電圧に変換する機能を有する。変換部42で変換された交流電圧は、出力部47から出力される。
【0024】
電源43は、一例として、プリント配線板41に着脱可能な電池である。ただし、変換部42に直流電圧を供給することができれば、着脱可能である必要はなく、着脱不可能に実装された電池であってもよい。
【0025】
制御部44は、変換部42及び記憶部45に電気的に接続されており、電源43から供給される直流電圧が記憶部45に記憶されている複数の波形パターン(図3A図3F参照)のうちのいずれかの波形パターンの交流電圧に変換されるように、変換部42を制御する。複数の波形パターンについては後述する。
また、制御部44は、交流変換部40Aを制御して、2枚の振動板50(振動板50A及び振動板50B)の表面のそれぞれに異なる波形の出力電圧を通電させる。
【0026】
記憶部45は、出力部47から出力させる交流電圧として、後述する、複数種の交流電圧の基本波形パターンを記憶している。また、記憶部45は、これらの基本波形パターンを組み合わせる方法(組合せの順番、出力時間等)を記憶している。
【0027】
波形選択スイッチ46は、記憶部45が記憶している波形の異なる複数種の交流波の交流電圧の波形パターンからいずれかの波形パターンを選択するためのスイッチである。波形選択スイッチ46は、ユーザーが波形パターンを選択する場合に使用される。
【0028】
出力部47は、交流電圧を出力する第1出力端子47Aと、基準電圧(0V)が印加される第2出力端子47Bとを有している。第1出力端子47A及び第2出力端子47Bには、それぞれ、2本の配線(図示省略)が接続されている。第1出力端子47Aに接続されている各配線は、それぞれ、振動板50A、振動板50Bの各表面に接続されている。これに対して、第2出力端子47Bに接続されている各配線は、それぞれ、振動板50A、振動板50Bの各裏面に接続されている。
【0029】
出力選択スイッチ48は、制御部44に制御されて、出力部47により出力される出力電圧の出力先を切り替える機能を有する。その結果、出力部47により出力される出力電圧、すなわち、第1出力端子47Aから出力される出力電圧は、後述する異なるタイミング(切り替えのタイミング)で出力されて、振動板50A、振動板50Bの表面のそれぞれに通電される。
【0030】
(2枚の振動板)
2枚の振動板50(振動板50A及び振動板50B)は、図1に示されるように、一例として、それぞれ円板である。2枚の振動板50は、一例として、それぞれ、圧電素子である。そのため、振動板50A及び振動板50Bは、それぞれ、交流電圧が印加されると振動する。
【0031】
振動板50Aは、図1に示されるように、ハウジング20の軸方向の一端側に配置されている。振動板50Aの表面はハウジング20の軸方向の一端側を向いており、裏面は他端側を向いている。すなわち、振動板50Aは、ハウジング20の一端側にその表面を向けた姿勢で、ハウジング20の一端側に配置されている。
これに対して、振動板50Bは、ハウジング20の軸方向の他端側に配置されている。振動板50Bの表面はハウジング20の軸方向の他端側を向いており、裏面は一端側を向いている。すなわち、振動板50Bは、ハウジング20の他端側にその表面を向けた姿勢で、ハウジング20の他端側に配置されている。
【0032】
以上のとおりであるから、振動板50A及び振動板50Bは、それぞれの表面が互いに異なる方向(図1の例の場合は、前者が一端側の方向、後者が他端側の方向)を向くように配置されている。
第1出力端子47A及び第2出力端子47Bのそれぞれに接続されている2本の配線(図示省略)は前述のとおりである。そのため、振動板50A及び振動板50Bの各表面には第1出力端子47Aから出力される交流電圧の出力電圧が通電され、各裏面には第2出力端子47Bから出力される基準電圧(一例として0V)が通電される。
【0033】
(複数種の交流電圧の波形パターン)
次に、記憶部45に記憶されている複数種の基本波形パターンについて、図3A図3Fを参照しながら説明する。図3A図3Fは、それぞれ、複数の交流電圧の基本波形パターンの一例である。
ここで、前述のとおり、制御部44は、交流変換部40Aを制御して、振動板50A及び振動板50Bの各表面に第1出力端子47Aから出力される交流電圧の出力電圧を波形パターンとして通電させる。この場合、制御部44は、後述する複数種の基本波形パターンのうちのいずれかをユーザーの設定により組み合わせて波形パターンとして、振動板50A及び振動板50Bに出力するように設定されている。
【0034】
「すべての基本波形パターンの共通点」
すべての基本波形パターンの共通点は、以下のとおりである。
各基本波形パターンは、基準電圧(0V)が印加されている第2出力端子47Bの電圧に対して、第1出力端子47Aに印加される交流電圧の波形(時間に対する出力電圧)を示している。
図3A図3Fに示されるように、各基本波形パターンは、周期的に極性を変更するパターンである。
各基本波形パターンの振幅APは、一例として、最大100V未満となるように設定されている。
各基本波形パターンの周波数fは、一例として、5kHz以上500kHz以下に設定されている。
【0035】
「各波形パターンの特異点」
各波形パターンの特異点は、以下のとおりである。
図3Aの基本波形パターンは、周期T(=1/f)のサイン波である。
図3Bの基本波形パターンは、周期T1(=1/f1)の第1サイン波と、周期T1よりも短い周期T2(=1/f2)の第2サイン波とが交互に出力されるパターンである。
図3Cの基本波形パターンは、振幅AP1かつ周期T1の第1サイン波と、振幅AP1よりも小さい振幅AP2かつ周期T1の第2サイン波とが交互に出力されるパターンである。
図3Dの基本波形パターンは、周期Tの矩形波である。この矩形波のデューティーは、一例として、正極性の出力時間が負極性の出力時間よりも長くなるように構成されている。
図3Eの基本波形パターンは、周期Tの三角波である。
図3Fの基本波形パターンは、周期T1のサイン波と、周期T1の三角波とが交互に出力されるパターンである。
【0036】
制御部44は、ユーザーによる設定(波形選択スイッチ46による選択)に従い、これらの基本波形パターンを組み合わせて出力する。ただし、記憶部45にプログラム(図示省略)を記憶しておいて、複数種の基本波形パターンを自動的に組み合わせて波形パターンを生成するようにしてもよい。
また、いずれの波形パターンであっても、一例として、(1)14kHz以上20kHz以下の周波数fで変化する出力電圧の部分、及び、(2)94kHz以上134kHz以下の周波数fで変化する出力電圧の部分が含まれるように設定されている(プログラムされている)ことが好ましい。
以上のとおり、第1実施形態では複数種の波形パターンの生成が可能であるが、具体的な波形パターンについては、後述する効果の説明とともに説明する。
【0037】
(補足)
次に、第1実施形態の電子機器10の機能及び構成について補足する。
図1に示されるように、電子機器10は、ハウジング20の内部に、回路基板40及び2枚の振動板50を収容している。そして、電子機器10の重心は、一例として、ハウジング20の軸方向における中心(中央)の位置よりも他端側にずれた位置となるように設定されている。具体的には、回路基板40を構成する、プリント配線板41及び複数の実装部品(変換部42、電源43、制御部44、記憶部45、波形選択スイッチ46、出力部47及び出力選択スイッチ48)の配置関係により上記のような重心の設定を実現している。
このように設定されていることにより、電子機器10が海水中SWに入れられると、電子機器10は、ハウジング20の軸方向の他端側を下側に向けた姿勢になる。その結果、海水中SWでは、電子機器10に作用する自重の影響により、振動板50Aがその表面を上側(海面SS側)に向け、かつ、振動板50Bがその表面を下側(海底側(海面SS側と反対側))に向け易くなっている(図4参照)。
【0038】
以上が、第1実施形態の電子機器10の機能及び構成についての説明である。
【0039】
<第1実施形態の電子機器の使用方法>
次に、第1実施形態の電子機器10の使用方法について、図4等を参照しながら説明する。
図4は、電子機器10を海釣り用に使用した場合の使用方法を説明するための図である。この場合、電子機器10を使用する者は、例えば、海釣りを行う者(釣り人(図示省略))である。
釣り人が使用する釣り竿FRに繋がっている釣り糸FLの針(図示省略)に魚(図示省略)がかかった場合、釣り人は電子機器10のフック30の開閉部32を開いて開閉部32に釣り糸FLを通過させ、開閉部32を閉じてフック30に釣り糸FLを貫通させる。
次いで、釣り人は電源43をオンにして電子機器10から手を放す。その結果、電子機器10はその自重により海水中SWに沈む。海水中SWに電子機器10が沈むと、波形選択スイッチ46により設定されている波形パターンの交流電圧が出力部47から出力される。出力部47から出力される交流電圧は、出力選択スイッチ48により定められたタイミングで出力先が変更される。その結果、例えば、振動板50Aが10s間、複数種の基本波形パターンを組み合わせたことによる超音波を発生させ、その後、振動板50Aの振動が停止されつつ振動板50Bが10s間、複数種の基本波形パターンを組み合わせたことによる超音波を発生させる。この動作は複数回(一例として30回、時間としては10分)繰り返される。
以上の動作の結果により、海水中SWにおける電子機器10の上側と下側とには交互に超音波が発生して海水中SWに超音波が伝搬される。そのため、電子機器10の近傍にいるイルカDPは、電子機器10から発生される超音波を受信することになる。
この状況において、釣り人がリール(図示省略)により釣り糸FLを巻き取りつつ、針に係った魚TNが海面に近づいて行く際に、例えば、イルカDPが魚TNを狙って近づいてくると、イルカDPは電子機器10によって魚TNの近傍で伝搬される超音波を検出する。そして、イルカDPは、検出する超音波の波形によってはそれが魚TNによる超音波ではないと判断して魚TNから離れていく。また、その結果、電子機器10によりイルカDPが追い返される。
以上が、第1実施形態の電子機器10の使用方法についての説明である。
【0040】
<第1実施形態の効果>
次に、第1実施形態の電子機器10の効果について図面を参照しながら説明する。
【0041】
(第1の効果)
第1実施形態の電子機器10は、交流変換部40Aと、2枚の振動板50(振動板50A及び振動板50B)と、制御部44とを備えている(図1及び図2参照)。
制御部44は、交流変換部40Aを制御して、振動板50A及び振動板50Bの表面のそれぞれに異なる波形の出力電圧を通電させる。振動板50A及び振動板50Bは、それぞれの表面に出力部47により出力される交流電圧(5kHz以上500kHz以下の周波数で変化する交流電圧)の出力電圧が通電され、かつ、それぞれの裏面に交流電圧の基準電圧(一例として0V)が通電され、それぞれの表面が互いに異なる方向を向くように配置されている。
超音波は、その波長が短いことから人間が聴くことができる音波に比べて、指向性が高いという性質があるが、第1実施形態の場合は、2枚、すなわち、複数の振動板50A、50Bが互いに異なる方向に向いて超音波を発生させる。
したがって、第1実施形態の電子機器10によれば、簡単な構成で(別言すると、前述の非特許文献2のイルカ忌避装置の構成に比べて)、近づいてきた海獣を高確率で追い返すことができる。
【0042】
(第2の効果)
第1実施形態の電子機器10が1回の動作の期間に発生させる超音波には、14kHz以上20kHz以下の周波数で変化する出力電圧の部分を含むように設定してもよい。
ここで、図5は、クジラ(イルカを含む)の種類ごとの鳴音周波数帯の一例を示すグラフである(引用元 URL:https://marushin-tuna.co.jp/ddd03.html)。このグラフによれば、14kHz以上20kHz以下の周波数帯は、イルカDPによって天敵であるシャチ(図示省略)の鳴音周波数帯に相当する。
本発明の発明者の試験研究によれば、イルカDPは、14kHz以上20kHz以下の周波数帯の音波を受信すると、その場から離れる(その周波数帯の音波の受信感度がより低減する場所に移動する)傾向があることが分かっている。これは、イルカDPが自身の近傍にシャチが存在していることを避けるため(シャチに襲われないようにするため)ではないかと考えられる。
そして、第1実施形態の電子機器10の場合、1回の動作の期間に発生させる超音波に14kHz以上20kHz以下の周波数で変化する出力電圧の部分が含まれるため、その周波数の超音波を受信したイルカDPは、電子機器10がシャチだと誤認して電子機器10から離れるように移動する。
したがって、第1実施形態の電子機器10によれば、振動板の表面のそれぞれに通電される異なる波形の各出力電圧に、14kHz以上20kHz以下の周波数で変化する出力電圧の部分が含まれていない場合に比べて、近づいてきたイルカDPを高確率で追い返すことができる。
【0043】
(第3の効果)
第1実施形態の電子機器10は、1つの回路基板40で構成される交流変換部40Aと、出力選択スイッチ48とを組み合わせて、2枚の振動板50A、50Bから超音波を発生させる。
したがって、第1実施形態の電子機器10によれば、各振動板50A、50Bの表面のそれぞれに別々の交流変換部から交流電圧を通電させる場合に比べて、低コスト化を実現することができる。
【0044】
(第4の効果)
第1実施形態の電子機器10は、出力選択スイッチ48により交流電圧の出力電圧の出力先を2枚の振動板50A、50Bに交互に切り替える。そのため、1回の動作において、超音波の出射方向が複数回変更されることになる。更に、再度同じ方向で出射される超音波の波形は前回のものと異なる波形に変更されている。その結果、ある場所で、一定の期間、方向及び波形が変更された超音波を受信したイルカDPは、不自然な超音波が発生しているとして電子機器10から離れていく。
したがって、第1実施形態の電子機器10によれば、互いに超音波の出射方向が異なる振動板50A、50Bに交互に超音波を発生させない場合に比べて、近づいてきた海獣を高確率で追い返すことができる。
【0045】
(第5の効果)
第1実施形態の電子機器10は、その重心が、一例として、ハウジング20の軸方向における中心(中央)の位置よりも他端側にずれた位置となるように設定されている(図4参照)。これにより、電子機器10が海水中SWに入れられると、電子機器10は、ハウジング20の軸方向の他端側を下側に向けた姿勢になる。その結果、電子機器10は、海水中SWにおいて、振動板50Aがその表面を上側(海面SS側)に向け、かつ、振動板50Bがその表面を下側(海底側(海面SS側と反対側))に向け易い。
ところで、イルカDPは、魚類ではなく哺乳類であることから、海水中SWで呼吸することができず海面SSに出て呼吸(肺呼吸)しなければならない。
第1実施形態の電子機器10は、上記のような重さの関係を有していることにより、電子機器10の下側にいるイルカDPに対しても上側(海面SS側)にいるイルカDPに対しても超音波を出射させることができる。
したがって、第1実施形態の電子機器10によれば、1枚の振動板のみで、かつ、当該振動板が海水中で下向きに超音波を出射する場合(一例として非特許文献2のイルカ忌避装置の構成)に比べて、近づいてきたイルカDPを高確率で追い返すことができる。
【0046】
以上が第1実施形態の電子機器10の効果についての説明である。また、以上が第1実施形態の電子機器10についての説明である。
【0047】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態の電子機器10Aについて、機能及び構成、使用方法並びに効果について図6を参照しながら説明する。第2実施形態については、第1実施形態の場合と異なる部分のみについて説明する。
【0048】
<第2実施形態の電子機器の機能及び構成>
図6は、第2実施形態の電子機器10Aの概略図である。
第2実施形態の電子機器10Aは、海水中SWで使用され、イルカDPに加えて、近づいてきたロレンチーニ器官を有する魚類を追い返す機能を有する(図7参照)。ここで、ロレンチーニ器官を有する魚類の一例は、サメSK(図7参照)である。また、サメSK以外にも、例えば、エイ(図示省略)がある。
第2実施形態の電子機器10Aは、(1)第1実施形態の電子機器10の構成に加えて、第1出力端子47A及び第2出力端子47Bのいずれか一方に接続されている電線60を備えている点(図6参照)と、(2)出力部47から出力する出力波形(図8参照)とが異なる。
【0049】
(電線)
電線60は、図6に示されるように、一例として、その一端60Aで第1出力端子47Aに接続されている。電線60の長さは、一例として、0.5m以上10m以下である。電線60の他端60Bには何も接続されていない。電線60は、一例として、海水中SWで弾性変形可能である。
【0050】
(出力波形)
出力波形、すなわち、第2実施形態の電子機器10Aの出力部47から出力される波形パターンは、一例として、図8に示されるように、全体として大きく変化する矩形波をベースとした波形パターンPP1である。ただし、その各部分を拡大してみると、当該矩形波よりも小さい振幅かつ超音波に相当する周波数で振動する波形パターンPP2である。
【0051】
ここで、波形パターンPP1の振幅APaは、一例として、最大100V未満となるように設定されている。また、波形パターンPP1の周波数faは、一例として、0.01Hz以上100Hz以下に設定されている。
これに対して、波形パターンPP2の振幅APbは、一例として、最大10V未満となるように設定されている。また、波形パターンPP2の周波数fbは、一例として、5kHz以上500kHz以下に設定されている。
【0052】
<第2実施形態の電子機器の使用方法>
第2実施形態の電子機器10Aの使用方法は、一例として、図8のような波形パターンが出力部47から出力される点のみが、第1実施形態の場合と異なる。
【0053】
<第2実施形態の効果>
海水中SWに電子機器10Aが沈んで、図8のような波形パターンの交流電圧が出力部47から出力されると、出力部47から出力される交流電圧は、出力選択スイッチ48により定められたタイミングで出力先が変更される。その結果、例えば、振動板50A及び振動板50Bは、交互に、波形パターンPP2によって振動して海水中SWに超音波を出射する。その結果、イルカDPは、受信する超音波によってはそれが魚TNによる反射ではないと判断して魚TNから離れていく。つまり、電子機器10Aにより魚TNに近づいてきたイルカDPが追い返される。
また、これと同時に、一端60Aで第1出力端子47Aに接続されている電線60の他端60Bと、第2出力端子47Bとの間には、波形パターンPP1によって交流電界が形成される。その結果、海水中SWにおける電線60の他端60Bと第2出力端子47Bとの間(針にかかった魚の近傍)には、振幅APが100V未満で周期Tが0.2s以上10.0s以下(周波数faが0.01Hz以上100Hz以下)の交流電界が形成される。
この状況において、釣り人がリール(図示省略)により釣り糸FLを巻き取りつつ、針に係った魚TNが海面に近づいて行く際に、サメSKが魚TNを狙って近づいてくると、サメSKは電子機器10Aによって魚TNの近傍に形成される交流電界をロレンチーニ器官により検出する。そして、サメSKは、検出する交流波形によってはそれが魚TNによる電界ではないと判断して魚TNから離れていく。つまり、電子機器10Aにより魚TNに近づいてきたサメSKが追い返される。
以上のとおりであるから、第2実施形態の電子機器10Aによれば、簡単な構成で(第1実施形態の構成に電線60を追加して、波形パターンを変更しただけで)、イルカDPに加え、近づいてきたロレンチーニ器官を有する魚類(一例としてサメSK)を追い返すことができる。
【0054】
以上が、第2実施形態の電子機器10Aについての説明である。
【0055】
≪複数の変形例≫
以上のとおり、本発明について前述の第1実施形態及び第2実施形態を例示して説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されない点に留意されたい。例えば、本発明には、後述する、複数の変形例も含まれる。
【0056】
例えば、第1実施形態では、記憶部45が記憶している交流電圧の波形パターンからいずれかの波形パターンを選択する波形選択スイッチ46がプリント配線板41に実装されているとした(図2参照)。しかしながら、波形選択スイッチ46は、外部の無線端末(図示省略)から送信される無線による選択信号を受信して複数の波形パターンからいずれかのパターンを選択できるようにしてもよい。
【0057】
また、例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、複数の振動板50の数量を2枚とした。しかしながら、振動板の数量は3つ以上でもよい。この場合、各振動板は互いに異なる向きに振動すればよい。
【0058】
また、例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、振動板50A及び振動板50Bは、出力選択スイッチ48により出力先を切り替えられることで交互に超音波を出力するとして説明した。しかしながら、出力選択スイッチ48をなくして同時に出力可能としてもよい。
【0059】
また、例えば、第2実施形態では、複数の振動板50の数量を2枚とした。しかしながら、振動板の数量は1つでもよい。この場合であっても、超音波によりイルカDPを、更に、電磁波によりサメSKを追い返すことができる点で有効である。
【0060】
また、例えば、第2実施形態では、波形パターンPP1が全体として大きく変化する矩形波をベースであるとした。しかしながら、波形パターンPP1の振幅APa及び周波数faが満たされれば、波形パターンPP1のベースの波形は矩形波でなくてもよい。例えば、サイン波、サイン波と矩形波との混合波その他の波でもよい。
【0061】
また、例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、各電子機器10、10Aは、いわゆる一本釣りを行うための釣り竿の糸に貫通させて利用されるとした。しかしながら、単に各電子機器10、10Aを糸(図示省略)に吊るして延縄漁、定置網漁等の漁を行うための網の近傍に配置して使用してもよい。また、漁の対象は、魚以外に、イカ等であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 電子機器
10A 電子機器
20 ハウジング(筒体の一例)
30 フック
32 開閉部
40 回路基板
40A 交流変換部
41 プリント配線板
42 変換部
43 電源
44 制御部
45 記憶部
46 波形選択スイッチ
47 出力部
47A 第1出力端子
47B 第2出力端子
48 出力選択スイッチ(スイッチ回路の一例)
50 2枚の振動板
50A 振動板
50B 振動板
60 電線
60A 一端
60B 他端
AP 振幅
DP イルカ
FL 釣り糸
FR 釣り竿
PP1 波形パターン
PP2 波形パターン
SK サメ
SS 海面
T 周期
f 周波数
fa 周波数
fb 周波数

【要約】
【課題】本発明は、簡単な構成で、近づいてきた海獣を高確率で追い返すことができる電子機器の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の電子機器10は、電源43から供給される直流電圧を変換部42により少なくとも5kHz以上500kHz以下の周波数で変化する交流電圧に変換して出力部47により出力させる交流変換部40Aと、2枚の振動板50であって、それぞれの表面に出力部47により出力される交流電圧の出力電圧が通電され、かつ、それぞれの裏面に交流電圧の基準電圧が通電され、それぞれの表面が互いに異なる方向を向くように配置されている2枚の振動板50と、交流変換部40Aを制御して、2枚の振動板50の表面のそれぞれに異なる波形の出力電圧を通電させる制御部44と、を備え、振動板50のそれぞれから海水中SWに音波を発生させてイルカDPを追い返す。
【選択図】図4

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6
図7
図8