(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ピロー包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/067 20120101AFI20240418BHJP
【FI】
B65B9/067
(21)【出願番号】P 2019156912
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 守
(72)【発明者】
【氏名】染谷 智史
(72)【発明者】
【氏名】岩田 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】伊村 友貴
(72)【発明者】
【氏名】高田 大輔
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04170863(US,A)
【文献】実公昭55-044724(JP,Y2)
【文献】特開2011-131918(JP,A)
【文献】特開2005-289461(JP,A)
【文献】実開昭52-156663(JP,U)
【文献】実開昭53-022771(JP,U)
【文献】実開昭51-022964(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して供給される帯状の包装フィルムを筒状に製袋する製袋器と、
その製袋器にて筒状に製袋されて前記包装フィルムの両側縁部の重ね合わされたフィルム部位をシールするセンターシール手段と、
そのセンターシール手段の下流側に配置され、前記フィルム部位がシールされた前記包装フィルムを搬送方向に対して交差する方向にシールするトップシール手段と、
前記筒状に製袋された前記包装フィルムの内部空間内に不活性ガスを供給するガス供給手段と、を備えたピロー包装機であって、
前記ガス供給手段を構成する前記不活性ガスを噴射するノズルの先端の噴射口の全体を、前記製袋器を通過後の前記包装フィルムの搬送面より下げた位置に配置し、
前記不活性ガスを供給していない状態では、前記ノズルの先端の上方に位置している前記包装フィルムの
前記両側縁部
が、接触して閉じた状態になり、前記噴射口から前記不活性ガスを下流側に向かって噴射
した際には前記包装フィルムの前記両側縁部の間が開き、噴射された前記不活性ガスが前記包装フィルム内に充填するように構成したことを特徴とするピロー包装機。
【請求項2】
前記製袋器の内周面に形成される搬送面を含む仮想平面が、前記製袋器を通過後の前記包装フィルムの搬送面よりも高くしたことを特徴とする請求項1に記載のピロー包装機。
【請求項3】
前記ノズルは、上下方向に延びるように配置する本体管部と、その本体管部の上端に設けられ、前記下流側に向かって延びるように構成される噴射管部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のピロー包装機。
【請求項4】
前記センターシール手段は、前記両側縁部を挟み込んで搬送力を与えるピンチローラと、そのピンチローラの下流側に配置され、前記両側縁部を挟み込んで加熱するシーラを備え、
前記ノズルの先端の噴射口を、前記ピンチローラと前記シーラの間に配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のピロー包装機。
【請求項5】
前記センターシール手段は、前記包装フィルムの搬送面を構成する左右一対の上板と、その上板の下方に配置された前記シーラとを備え、
前記両側縁部は、前記左右一対の上板の対向面間に形成される隙間から下方に突出し、
前記シーラは、その下方に突出した前記両側縁部を挟み込んで加熱するようにし、
前記ノズルの先端の噴射口は、前記上板の下方に配置したことを特徴とする請求項4に記載のピロー包装機。
【請求項6】
前記センターシール手段は、前記包装フィルムの搬送面を構成する左右一対の上板と、その上板の下方に配置されたシーラとを備え、
前記両側縁部は、前記左右一対の上板の対向面間に形成される隙間から下方に突出し、
前記シーラは、その下方に突出した前記両側縁部を挟み込んで加熱するようにし、
前記ノズルの先端の噴射口は、前記上板の下方に配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のピロー包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロー包装機に関するもので、より具体的には、不活性ガス等を包装体内に充填する機能を備えたピロー包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ピロー包装機は、包装機本体と、その包装機本体に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置と、包装機本体の上流側に配置され、その包装機本体に対して製品を所定間隔毎に供給する製品供給装置等を備える。包装機本体は、連続して供給される包装フィルムを筒状に製袋する製袋器と、製袋器にて筒状に製袋されて包装フィルムの両側縁が重ね合わされたフィルム重合端をシールするセンターシール装置と、包装フィルムを所定間隔毎に横方向に横断するようにシール・カットするトップシール装置等を備える。
【0003】
ところで包装される製品が、例えば食料品の場合には、その製品の日持ちを良くするために、包装体内に不活性ガス等を充填することがある。係る不活性ガスを充填する構成の一例として、特許文献1に開示されたガス噴射装置がある。このガス噴射装置は、製袋器にて筒状に製袋される包装フィルムの内部にガスを噴射するノズルの先端を、筒状に製袋されるフィルム内に挿入配置し、ノズルの後端をガス発生装置に接続する。そして、ガス発生装置により発生した不活性ガスを、ノズルを介して筒状の包装フィルム内に噴射し供給する。これにより、包装フィルム内に存在する空気が、噴射・供給された不活性ガスに置換される。特許文献1に開示されたガス噴射装置は、ノズルを製袋器(フォーマ)の上部に位置させ、そのノズルの先端を製袋器内で筒状に製袋される包装フィルムの内部に突出する状態で位置させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたガス噴射装置は、ノズルの先端を製袋器内に位置する包装フィルムの内部に配置し、製袋器で筒状に製袋される包装フィルム内に不活性ガスを噴射供給するようにしたが、製袋器は、上流側が開口していることもあり、ノズルの先端が挿入された筒状の包装フィルムの直近の上流側は、帯状の包装フィルムから筒状に変位している部位であり大きく開放した形態となる。よって、ノズルから噴射された不活性ガスの一部は、製袋器の上流側の開口部側から外部に放出してしまうおそれがあり、充填・置換効率が悪い。また、ノズルの構造が複雑である。
【0006】
また、係る課題を解決するために、本出願人はノズルの先端の挿入位置を、より下流側にすべく、製袋器とセンターシール装置の間に配置することを試みた。この検証は、特許文献1に開示されたガス噴射装置は、フィルム重合端が筒状に製袋されて包装フィルムの上面側に位置するいわゆる逆ピロー包装機に適用しているが、フィルム重合端が包装フィルムすなわち搬送面の下側に位置する通常のピロー包装機について行った。そして、特許文献1と同様に、ノズルの先端が包装フィルムの内部空間内に突出した状態にすると製品と干渉してしまうため、ノズルの先端は、筒状の包装フィルムの内周面に開口するように位置させ、不活性ガスをしっかり供給するようにした。しかし、係る装置としても、最終的に製造される包装体の残留酸素密度を低くするのに限界があり、例えば、製品が餅などの場合、個々の包装体ごとに脱酸素剤を同封する必要があるものもある。
【0007】
残留酸素密度は、不活性ガスの供給量を多くしてもそれに比例して低下するものではなく、ある一定の流量を超えると、残留酸素密度がさほど変わらないことが確認できた。それは、仮に大量の不活性ガスを充填供給しても、その一部はそのままいずれかの経路を通って筒状に製袋された包装フィルムの外に漏れ出てしまうためと予想される。
【0008】
このように、従来の装置では、不活性ガスを多く供給しても、その不活性ガスはガス置換に効率よく使用されずに排出されることが多い。そのため、置換率を高め、不活性ガスの供給量を低く抑えたいという要求もある。
【0009】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明のピロー包装機は、(1)連続して供給される帯状の包装フィルムを筒状に製袋する製袋器と、その製袋器にて筒状に製袋されて前記包装フィルムの両側縁部の重ね合わされたフィルム部位をシールするセンターシール手段と、そのセンターシール手段の下流側に配置され、前記フィルム部位がシールされた前記包装フィルムを搬送方向に対して交差する方向にシールするトップシール手段と、前記筒状に製袋された前記包装フィルムの内部空間内に不活性ガスを供給するガス供給手段と、を備えたピロー包装機であって、前記ガス供給手段を構成する前記不活性ガスを噴射するノズルの先端の噴射口の全体を、前記製袋器を通過後の前記包装フィルムの搬送面より下げた位置に配置し、前記不活性ガスを供給していない状態では、前記ノズルの先端の上方に位置している前記包装フィルムの前記両側縁部が、接触して閉じた状態になり、前記噴射口から前記不活性ガスを下流側に向かって噴射した際には前記包装フィルムの前記両側縁部の間が開き、噴射された前記不活性ガスが前記包装フィルム内に充填するように構成した。
【0011】
このようにすると、ノズルから噴射される不活性ガスは、包装フィルム内において下流側に向けて供給されるため、供給された不活性ガスは、製品の移動に伴い引っ張られて包装フィルム内に充満する。また、ノズルの先端が、搬送面より下方に位置することから、ノズルの先端の上方に位置している包装フィルムの両側縁部は、接触或いは近接して閉じた状態となる。よって、包装フィルム内に供給した不活性ガスが、ノズルの外周囲付近から漏れ出ることを可及的に抑制し、効率よくガス置換して残留酸素濃度を高くすることができる。
【0012】
(2)前記製袋器の内周面に形成される搬送面を含む仮想平面が、前記製袋器を通過後の前記包装フィルムの搬送面よりも高くするとよい。このようにすると、製袋器の搬送面と製袋器を通過後の前記包装フィルムの搬送面を等しくした場合に比べ、例えば、最終的な包装体における残存酸素濃度を高くすることができ、また、例えば、不活性ガスの供給量を抑えることができる。
【0013】
(3)前記ノズルは、上下方向に延びるように配置する本体管部と、その本体管部の上端に設けられ、前記下流側に向かって延びるように構成される噴射管部とを備えるとよい。このようにすると、水平平面内におけるノズルの専有面積を少なくしつつ、勢いよく不活性ガスを下流側に向けて噴射することができる。
【0014】
(4)前記センターシール手段は、前記両側縁部を挟み込んで搬送力を与えるピンチローラと、そのピンチローラの下流側に配置され、前記両側縁部を挟み込んで加熱する左右一対のシーラを備え、前記ノズルの先端の噴射口を、前記ピンチローラと前記シーラの間に配置するとよい。ノズルの噴射口の上方に位置する包装フィルムの両側縁部は、その前後が一対のピンチローラと一対のシーラでそれぞれ挟まれているため、当該噴射口の上方に位置する包装フィルムの両側縁部はピンと張った状態となり、隙間が空きにくくなる。
【0015】
(5)(4)の構成において前記センターシール手段は、前記包装フィルムの搬送面を構成する左右一対の上板と、その上板の下方に配置された前記シーラとを備え、前記両側縁部は、前記左右一対の上板の対向面間に形成される隙間から下方に突出し、前記シーラは、その下方に突出した前記両側縁部を挟み込んで加熱するようにし、前記ノズルの先端の噴射口は、前記上板の下方に配置するとよい。
【0016】
(6)(1)~(3)のいずれかの構成において前記センターシール手段は、前記包装フィルムの搬送面を構成する左右一対の上板と、その上板の下方に配置された左右一対のシーラとを備え、前記両側縁部は、前記左右一対の上板の対向面間に形成される隙間から下方に突出し、前記シーラは、その下方に突出した前記両側縁部を挟み込んで加熱するようにし、前記ノズルの先端の噴射口は、前記上板の下方に配置するとよい。
【0017】
(5),(6)のようにすると、筒状に製袋された包装フィルムの両側縁部は、左右一対の上板の隙間から下方に突出するため、上板の部分で製品が収納される筒状の内部空間が絞り込まれて両側端縁が接触・近接した状態となる。よって、上板の下方に配置された噴射口の上方に位置する包装フィルムの両側縁部は、閉じた状態となり、包装フィルム内に充填した不活性ガスが、重ね合わされた両側端縁部の隙間から外部に漏れ出るのを可及的に抑制できる。
【0018】
連続して供給される帯状の包装フィルムを筒状に製袋する製袋器と、その製袋器にて筒状に製袋されて前記包装フィルムの両側縁部の重ね合わされたフィルム部位をシールするセンターシール手段と、そのセンターシール手段の下流側に配置され、前記フィルム部位がシールされた前記包装フィルムを搬送方向に対して交差する方向にシールするトップシール手段と、前記筒状に製袋された前記包装フィルムの内部空間内に不活性ガスを供給するガス供給手段と、を備えたピロー包装機であって、前記製袋器の内周面に形成される搬送面を含む仮想平面が、前記製袋器を通過後の前記包装フィルムの搬送面よりも高くするようにしてもよい。
【0019】
このようにすると、製袋器の搬送面と製袋器を通過後の前記包装フィルムの搬送面を等しくした場合に比べ、例えば、最終的な包装体における残存酸素濃度を高くすることができ、また、例えば、不活性ガスの供給量を抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、効率よく不活性ガスを包装フィルム内に供給し、製造される包装体の残留酸素密度を低くしたり、及びまたはガス流量を少なくしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係るピロー包装機の好適な一実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0023】
図1は、本発明に係る包装機の好適な一実施形態であるピロー包装機の一例を示している。ピロー包装機10は、上流側から製品搬送供給装置11,包装機本体12の順に配置し、それらの上方にフィルム供給装置14を備えて構成される。
【0024】
製品搬送供給装置11は、製品13を一定間隔毎に搬送するとともに、次段の包装機本体12に順次供給するフィンガーコンベア装置から形成されている。すなわち、前後に配置されたスプロケット7(図では、下流側のみ示す)間に掛け渡されたエンドレスチェーン8に対し、一定間隔で押送フィンガー9を取り付けて構成される。そして、前後の押送フィンガー9間に製品13を供給することにより、その製品13を押送フィンガー9のフィンガーピッチで搬送する。
【0025】
フィルム供給装置14は、製品13を包み込む包装フィルムとなる帯状の包装フィルム16を連続して包装機本体12に供給するためのものである。このフィルム供給装置14は、帯状の包装フィルム16をロール状に巻き取った原反ロール15の支持手段を備える。フィルム供給装置14は、原反ロールから連続して引き出された帯状の包装フィルム16を所定の搬送経路で搬送し、包装機本体12の搬入部位に導くためのローラ17(図では、代表して1個表示する)を備える。このローラ17は、帯状の包装フィルム16に対して駆動を掛ける駆動ローラや、テンションを掛けるテンションローラや、帯状の包装フィルム16の搬送方向を変更したり搬送をガイドしたりするフリーローラなどがある。
【0026】
包装機本体12は、搬入側に製袋器22を備える。製袋器22は、フィルム供給装置14から連続して供給される帯状の包装フィルム16を筒状に製袋する。ここでは、製袋器22を包装フィルム16が通過することで、その包装フィルム16の両側縁部16aが重ね合わされるとともに、その両側縁部16aが製袋器22,搬送面の下方に突出した状態となる。
【0027】
すなわち、製袋器22は、縦断面が矩形状の枠体からなる本体22aを備え、本体22aの底面は、その幅方向中央部が分離して、搬送方向に延びる隙間が形成される。これにより、製袋器22に供給された帯状の包装フィルム16は、本体22aの内周面に沿って筒状に製袋され、その両側縁部16aがともに本体22aの底面に形成された隙間を介して下方に突出し、重ね合わされた状態となる。
【0028】
さらに製袋器22は、
図2,
図3に示すように、その下流側・搬出側に突出するガイド板部22bを備える。ガイド板部22bは、本体22aの底面と同一面上に位置し、底面に形成される隙間の延長線上には、同様の隙間が形成され、本体22aを通過して筒状に製袋された包装フィルム16の両側縁部16aが、ガイド板部22bの形成領域においてもその隙間から下方に突出した状態で搬送される。また、本体22aの底面上並びにガイド板部22bの上面は搬送面となり、製品13が内装された筒状の包装フィルム16がその搬送面上を移動する。さらに、ガイド板部22bの下流側部位は、先端が先細り状で、左右両側の側縁が徐々に中央に寄っていく傾斜辺となる。
【0029】
一方、製品搬送供給装置11から順次搬出される製品13は、製袋器22内に供給される。これにより、筒状に製袋される包装フィルム16内に製品13が所定間隔ごとに供給されることになり、以後、その製品13は筒状に製袋された包装フィルム16内に内包された状態のまま、当該フィルムと共に搬送される。
【0030】
さらに包装機本体12は、製袋器22の下流側に、センターシール装置23を備える。センターシール装置23は、製袋器22を通過して製袋された筒状の包装フィルム16の両側縁部16aを重ね合わせた部位をシールするものである。このセンターシール装置23は、搬送面を構成する左右一対の上板23aの下方所定位置に、上流側から順に入口側ピンチローラ23b,バーシーラ23c,出口側ピンチローラ23dを配置した構成を採る。
【0031】
図2,
図3に示すように、左右一対の上板23aは、その対向面同士を所定距離おき、その上面を同一水平平面内に配置する。対向面同士の間に形成される隙間内に、製袋器22で重ね合わされた包装フィルム16の両側縁部16aが、その重ね合わされた状態で進入し、当該両側縁部16aは上板23aの下方に垂下・突出した状態となる。
【0032】
また、左右一対の上板23aの対向面の上流端側部位は、上流側に行くにつれて徐々に離反距離が長くなる傾斜辺となる。これにより、左右一対の上板23aの上流側の搬入口には、略三角形状の空間が形成され、
図2に示すように平面視でその空間内に製袋器22のガイド板部22bが配置される。そして、ガイド板部22bに設けた前後方向に延びる隙間の延長線上に、左右一対の上板23aの対向面間に形成される隙間が位置するように配置する。このようにするとで、製袋器22で筒状に製袋された包装フィルム16の両側縁部16aは、重ね合わされた状態でガイド板部22bの幅方向中央の隙間を通って移動し、そのまま左右一対の上板23aの対向面間の隙間に進入し、その隙間に沿って上板23aの下方に突出した状態のまま前進移動する。
【0033】
左右一対の入口側ピンチローラ23bは、上板23aの下方に突出する包装フィルム16の両側縁部16aを重ね合わせた部位を左右から挟み込んで搬送力を与える。さらに本実施形態では、入口側ピンチローラ23bは、製袋器22のガイド板部22bの下流側先端部位と、上板23aの上流端側部位が入り込んだ領域に配置する。これにより、本形態では、入口側ピンチローラ23bは、ガイド板部22bの隙間から下方に突出している包装フィルム16の両側縁部16aを挟み込み、搬送力を与えるようになる。
【0034】
左右一対のバーシーラ23cは、例えばヒータを内蔵し、その重ね合わせさた両側縁部16aを両側から挟み込んで加熱する。左右一対の出口側ピンチローラ23dは、バーシーラ23cで加熱された両側縁部16aを両側から挟み込んで搬送力を与える。さらに、この搬送力を与えるべく、所定の圧力で両側から挟むため、当該加熱して溶融したフィルム部位を加圧すると共に冷却して熱シールを完了する。この出口側ピンチローラ23dは、プレスローラとも称される。またセンターシール装置23は、本実施形態ではバーシーラ23cを用いたが、一対の回転ローラで構成するものもあり、各種の構造をとれる。
【0035】
製袋器22で筒状に製袋された包装フィルム16の両側縁部16aは、センターシール装置23でシールされ、その包装フィルム16はフィルム搬送方向に対して直交するフィルムの周回方向が閉じた形態となる。
【0036】
包装機本体12は、センターシール装置23の下流側に、下部ベルトコンベア装置26と上部抑えベルト装置28を備える。下部ベルトコンベア装置26は、製品13を内包する包装フィルム16の搬送路を構成する。上部抑えベルト装置28は、下部ベルトコンベア装置26の上方所定位置に配置される。上部抑えベルト装置28は、前後に所定の間隔をおいて配置した駆動プーリ32,従動プーリ33と、それらプーリ間に掛け渡されるエンドレスベルト34を備える。エンドレスベルト34は、プーリとともに昇降移動可能となっており、製品13を内包する包装フィルム16に接触或いは近接する位置に来るように調整する。駆動プーリ32は、図示省略の駆動モータに連係され、当該駆動モータの回転力を受けて回転する。これに伴い、エンドレスベルト34も回転する。また、エンドレスベルト34の水平移動する区間の移動速度は、包装フィルム16の移動速度と等しくなるように制御する。これにより上部抑えベルト装置28は、製品13が上方に浮き上がるのを抑制する。
【0037】
さらに包装機本体12は、下部ベルトコンベア装置26,上部抑えベルト装置28の下流側にトップシール装置30を備える。トップシール装置30は、包装フィルム16に対し、搬送方向に対して直交する方向、つまり、横断する方向にシールするとともにカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の製品13の間の所定位置である。このトップシール装置30は、包装フィルム16を挟んでその上下に上側トップシーラ30aと下側トップシーラ30bを備える。上側トップシーラ30aと下側トップシーラ30bは、ヒータが内蔵され、互いの先端のシール面が所定の温度に加熱される。さらに、上側トップシーラ30aのシール面の前後方向の中央部には、カッター刃が内蔵される。また、下側トップシーラ30bのシール面の前後方向の中央部には受け刃が内蔵される。
【0038】
本形態では、上側トップシーラ30aと下側トップシーラ30bは、シール面が対向した状態のまま所定の軌跡で移動して接近離反し、接近時に上下のシール面が包装フィルム16を挟み込んで加熱し、カッター刃と受け刃で挟み込んでカットする。よって、トップシール装置30は、センターシールされた包装フィルム16の所定位置(製品の存在しない部分)を横方向にシール・カットする。これにより、包装フィルム16の先端部分(先頭の製品13を内包する部分)は、後続の包装フィルム16から分離され、包装体29が製造される。そして、この包装体29が搬出コンベア装置35上を搬送される。
【0039】
さらに、ピロー包装機10は、最終的な包装体29内に不活性ガスを充填するため、筒状に製袋された包装フィルム16内に所定のガスを供給するガス供給装置40を備える。ガス供給装置40は、ガス噴射用のノズル41と、図示省略するガスボンベ及びガスボンベの出力部とノズル41を接続する配管等を備える。ガスボンベは、例えばN2ガスやCO2ガス等の不活性ガスが充填されており、噴射制御手段により、充填された不活性ガスを設定された流量で、連続或いは不連続のいずれかで出力する。そして、本実施形態では、少ない流量を連続して出力しており、このようにすると特によい。この出力された不活性ガスは、配管を通してノズル41に至り、ノズル41の先端の噴射口から噴射される。
【0040】
図4等に拡大して示すように、ノズル41は、扁平矩形状でストレートの直管からなる本体管部41aと、本体管部41aの先端側に配置される噴射管部41bと、本体管部41aの他端の側面に設けられた取付管部41cを備える。本体管部41aは、上下方向に延びるように搬送面に対して直交するように配置する。本体管部41aの上端は噴射管部41bに連続しており、本体管部41aの下端は閉塞し、側面に設けた取付管部41cと空間的に連続して繋がっている。
【0041】
噴射管部41bは、本体管部41aの長手方向に対して所定角度傾斜し、装置に取り付けた状態で下流側に向けて延びる形状とする。噴射管部41bの上端の噴射口は、搬送面と平行になるように形成する。
【0042】
また取付管部41cの一端は、上述したように本体管部41aの側面に開口し、他端は配管が接続される。これにより、ノズル41はガスボンベに繋がり、ガスボンベから出力される不活性ガスが、配管を通ってノズル41に至り、ノズル41の先端の噴射管部41bの上端開口部から噴射される。
【0043】
そして、本実施形態では、この噴射管部41bの上端の噴射口を、入口側ピンチローラ23bと、バーシーラ23cとの間の領域であって、包装フィルム16の搬送面よりも所定距離低い位置に配置する。本形態では、噴射管部41bの上端の噴射口は、上板23aの下方に位置し、搬送面より例えば2mm程度下げた位置に設置する。
【0044】
このようにすると、ピロー包装機10の運転中は、ノズル41の噴射管部41bは、製袋器22を通過した包装フィルム16の両側縁部16aの間に入り込んだ状態となり、両側縁部16aのフィルム部位のうち、噴射管部41bに接触しているフィルム部位は離れるものの、噴射管部41bの上端が上板23aよりも低く位置に設定しているため、噴射管部41bの上方に位置する両側縁部16aのフィルム部位は、互いに接近して接触或いは近接した状態となる。これは、例えばノズル41の前後で一対の入口側ピンチローラ23bが両側縁部16aを加圧状態で挟み込むとともに、一対のバーシーラ23cが接触した状態で挟み込み、さらには、両側縁部16aの基端側が製袋器22のガイド板部22bに設けた隙間並びに一対の上板23a間の隙間によって接触或いは極めて近接した状態にされていることも相まって生じる。よって本形態では、筒状の製袋された包装フィルム16は、噴射管部41bを設けた領域であっても、搬送方向に対して直交する断面で閉じた状態となる。また、噴射管部41bの上方に位置する両側縁部16aは、仮に完全に閉じなくても非常に狭くなり、ノズル41の先端の開口部の形状に沿った形状となり、ノズル41の先端の外周囲・外側に対向する領域に開口しない。
【0045】
上述した構成を採ることで、ノズル41の先端の噴射管部41bが、ノズル41の本体管部41aの長手方向に対してフィルム搬送方向の前方・下流側に対して傾斜しているため、噴射管部41bの上端から噴射される不活性ガスの噴射方向も、当該斜め・下流側に向く。このように、不活性ガスの噴射方向を製品13の移動方向にあわせたため、供給された不活性ガスは製品13の移動に引っ張られて下流側に進み、筒状の包装フィルム16内に効率よく充填される。
【0046】
そして、本形態では、不活性ガスを供給していない状態では、ノズル41の上方を含め、筒状に製袋された包装フィルム16の両側縁部16aは接触して閉じているため、包装フィルム16内に充填供給された不活性ガスは、例えばノズル41の外周囲付近から外に漏れ出ることが無いか可及的に抑制できる。よって、噴射した不活性ガスを無駄に捨てること無く効率よくフィルム内に充填させたままにすることができる。
【0047】
そのように無駄にフィルムの外に漏れ出てしまう不活性ガスを可及的に抑制できるので、単位時間あたりに噴射するガス量も例えば毎分20乃至30リットルと抑制できる。その結果、例えば、当該少ない流量の不活性ガスを連続してノズル41の噴射管部41bから上方の斜め前方に向けて噴射しても、その不活性ガスが通過する両側縁部16a間は小さく開き、噴射された不活性ガスが筒状の包装フィルム16内に充填され、当該包装フィルム16内で下流側に向かって進む。これにより、元々包装フィルム16内に存在していた空気は、包装フィルム16内を上流側に向かって進んで排出され、ガス置換がなされる。そして、不活性ガスの供給中は、両側縁部16a間は少し広がる程度であるので、包装フィルム16内に供給された不活性ガスが、その両側縁部16a間から外部に漏れ出ることを可及的に抑制できる。
【0048】
また本実施形態では、ノズル41の先端の位置が搬送面・包装フィルムの内周面より下方にあるため、ノズル41の先端の開口部の上方を製品13が通過中であっても、ノズル開口部は製品13により塞がれることがなく、隙間が形成されるのでガス充填することができる。
【0049】
さらにノズルの位置が搬送面よも下方にあるため、両側縁部16a間は、ノズル41の先端の開口部のフィルム搬送方向に対する直交方向の長さ・幅よりも小さい。
【0050】
さらに本形態では、
図3に示すように、製袋器22のガイド板部22bの上面、すなわち製袋器22内における搬送面は、上板23aの上面、すなわちセンターシール装置23における搬送面よりも一段高くしている。このように一段高くすることで、最終的に製造される包装体の残留酸素濃度は、0.5%以下ひいては0.1%以下にすることができた。
【0051】
これは、製袋器22の底面の位置をあげることで、製袋器22側からノズル41が配置される上板側に移る区間で包装フィルム16・両側縁部16aが下方に引っ張られて両側縁部16aの接触状態がより良好になるためと予測できる。そして本形態では、段差は、例えば1mm程度としている。
【0052】
また、製袋器22の底面の高さと、上板23aの高さを同じにした場合でも、最終的に製造される包装体の残留酸素濃度は1%以下にすることができる。このように、残留酸素濃度が1%以下にすることで、個々の包装体に脱酸素剤を封入しなくても、品質を長期に保つことができる。
【0053】
さらに上述した実施形態では、
図2に示すように、左右一対の上板23aの対向面の形状として、ノズル41の噴射管部41bの上方に対向する部位に切欠き部23a′を設け、平面視で上板23aと上板23aが重ならないようにしたが、切欠き部を設けずにストレートに形成し、平面視で重なるようにしても良い。噴射管部41bの上端を上板23aの下方に位置させるため、上述したように平面視で重なる構成をとることができる。
【0054】
また、上述した実施形態では、本体管部41aは上下に延びるように形成し、噴射管部41bを斜めに延びるように形成したが、例えば全体的に直管から構成し、全体を斜めに配置することで、不活性ガスを搬送方向に対して斜め前方に向けて噴射・供給するようにしてもよい。但し、実施形態のように、本体管部41aは上下方向に延び、先端側の噴射管部41bを傾斜させる構成にすると、平面視での専有面積を小さくすることができるとともに、本体管部41a内を上昇移動する不活性ガスが、噴射管部41bで移動方向を曲げられるため、勢いよく噴射されるので良い。
【0055】
また、上述したガス噴射装置は、所定の不活性ガスが充填されたガスボンベを用い、そのガスボンベから出力される不活性ガスをノズル41から噴射するようにしたが、ガスボンベの設置数は任意であり、例えば複数のガスボンベを設けた場合、異なる種類のガスのガスボンベとし、それらのガスボンベを、ガス混合機を介してノズル41と接続するようにすると良い。係る構成を採ると、複数種類のガスボンベから出力される異なる複数のガスを混合して生成した混合ガスを噴射したり、いずれか1つのガスボンベのみを出力したりすることができる。
【0056】
上述した実施形態等では、いずれもノズル41の先端位置を筒状に製袋した包装フィルム16の搬送面よりも下方に下げた構成について説明したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、ノズル41の先端の位置を搬送面よりも下げずに筒状に製袋した包装フィルム16の内周面に位置させる構成において、製袋器22の搬送面を、製袋器22を通過後の包装フィルム16の搬送面よりも高くするようにしても良い。係る構成をとっても、ガス置換率が向上し、最終的に製造される包装体の残留酸素濃度を低くできることを確認した。
【0057】
そして、両方の特徴すなわち、ノズル41の先端位置を下げる構成と、製袋器22の搬送面を高くする構成を同時に備えるようにすると、それらの効果が相乗的に作用するのでより好ましい。
【0058】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0059】
10 :ピロー包装機
11 :製品搬送供給装置
12 :包装機本体
13 :製品
14 :フィルム供給装置
16 :包装フィルム
16a :側縁部
22 :製袋器
23 :センターシール装置
23a :上板
23a′ :切欠き部
23b :入口側ピンチローラ
23c :バーシーラ
23d :出口側ピンチローラ
29 :包装体
30 :トップシール装置
40 :ガス供給装置
41 :ノズル
41a :本体管部
41b :噴射管部