(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】制振装置
(51)【国際特許分類】
E04B 9/18 20060101AFI20240418BHJP
E04B 1/98 20060101ALI20240418BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
E04B9/18 G
E04B1/98 E
F16F15/02 C
(21)【出願番号】P 2020044794
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】596066530
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149320
【氏名又は名称】井川 浩文
(74)【代理人】
【識別番号】240000235
【氏名又は名称】弁護士法人柴田・中川法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】松井 邦彰
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-155094(JP,A)
【文献】特開2016-148192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00 - 9/36
E04B 1/62 - 1/99
F16F 15/00 - 15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物構造体に使用される面材を支持する面材支持部に装着して該面材の振動を低減させるための制振装置であって、
前記面材支持部に装着可能な装着手段と、該装着手段に支持されて前記面材に当接可能な面材当接部と、該面材当接部に設置され、振動の伝達を受けて発振する発振手段とを備え、前記面材当接部は、前記装着手段が前記面材支持部に支持された状態において該面材支持部を境界として片方に位置する面材にのみ当接可能とするものであり、
前記装着手段と前記面材当接部とが同じ材料により連続した一体的構成となっており、
前記装着手段は、前記面材当接部から延出されて前記面材支持部の下面側に装着される下面用装着部材と、該面材当接部が部分的に折り曲げられて前記面材支持部の側面に当接する立ち上がり基部と、該立ち上がり基部とともに折り曲げられつつ延出されて前記面材支持部の上面側に装着される上面用装着部材とを備え、
前記
下面用装着部材および前記
上面用装着部材の先端には、それぞれ係止部が設けられ、前記立ち上がり基部ととともに前記面材支持部の側面に当接して、前記装着手段を該面材支持部に装着させるものであり、
前記面材当接部は、前記下面用装着部材の延出の起点となる延出基端縁と、前記立ち上がり基部が該面材当接部から折り曲げられる位置の下端縁部とが形成され、前記
下端縁部が前記延出基端縁に対して、前記
下面用装着部材の延出方向後ろ向きに所定
の間隔だけ逸れた位置とすることにより、該面材当接部が部分的に前記面材および前記面材支持部の双方に挟持される固定領域として、それ以外の非固定領域から区分されるものであり、
前記発振手段は、前記面材当接部の非固定領域に固着されている
ことを特徴とする制振装置。
【請求項2】
前記
下面用装着部材は、前記面材当接部の前記延出基端縁の両側から延出する2つの装着部材であり、
前記
上面用装着部材は、前記面材当接部の前記延出基端縁の中央付近に、該延出基端縁の一部を含む状態で折り曲げられつつ延出する装着部材である請求項1に記載の制振装置。
【請求項3】
前記発振手段は、前記面材当接部に固着される固着領域と、この固着領域に連続しつつ該面材当接部から所定間隔を有して振動自在な状態に形成される振動領域と、この振動領域に着脱可能に設けられるウエイトとを備えるものである請求項1または2に記載の制振装置。
【請求項4】
前記振動領域は、前記ウエイトを搭載するために、適宜面積を有する平面部を有し、前記ウエイトは、前記面材支持部の長手方向に直交する方向による前記平面部の中央線の両側に任意の重量バランスで設けられている請求項3に記載の制振装置。
【請求項5】
前記振動領域は、前記ウエイトを搭載するために、適宜面積を有する平面部を有し、前記ウエイトは、前記平面部の全面に対して偏った重量バランスで設けられている請求項3に記載の制振装置。
【請求項6】
前記ウエイトを除く各部材がいずれもバネ鋼によって構成されている請求項3~5のいずれかに記載の制振装置。
【請求項7】
前記固着領域と前記振動領域とが、断面形状を略U字状とする折り返し形状により連続されるものである請求項3~6のいずれかに記載の制振装置。
【請求項8】
前記振動領域は、さらに1以上の箇所で略U字状に折り返されている請求項7に記載の制振装置。
【請求項9】
前記装着手段は、前記面材当接部を部分的に延出させた帯状部材によって構成されるものである請求項1~8のいずれかに記載の制振装置。
【請求項10】
前記発振手段は、ゴム製ダンパまたはバネダンパによる弾性部材と、該弾性部材の一部に装着されたウエイトとを備えるものである請求項1または2に記載の制振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる生活騒音等により発生する建物構造体の振動を低減させるための制振装置に関し、特に壁面や天井等の支持に使用される面材支持部に装着することにより振動を低減させるための制振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般住宅において、特に、密集して建造される住宅地または集合住宅にあっては、近隣または隣室もしくは上階で生活する人々によって発生する騒音や振動がしばしば問題となり、近隣トラブルの原因にもなっている。これらの騒音や振動は、日常生活において発生する音(いわゆる生活騒音)によるものであるが、生活習慣によっては、テレビや楽器から発生する音や会話の声、さらには上階での足音など多岐の原因によって発生するものである。これらの生活騒音は、振動により近隣または隣室もしくは下階に伝達され、これが不快音となっていた。また、ドアの開閉や上階での歩行によって発生する振動についても隣室や下階等に伝達し、これが不快振動となっていた。
【0003】
そこで一般的な建物構造体においては、壁面や天井を衝撃吸収構造とし、または防音材などを用いることで解消しようとしてきた。しかしながら、これらは、振動の伝達系において、振動の伝播を中断させる(振幅を小さくする)ために設けられるものであり、音や振動の共振現象による増幅効果までも低減させるには至っていない。すなわち、建物(特に面状部分)は、その構造によって振動する際に固有の周波数を有しており、騒音等によって振動する場合、その振動の周波数が建物固有の周波数に接近すると、振幅が大きくなる。そのため、十分に振動の伝播を中断させない限りにおいては、共振現象による振動の増幅が生じるため、未だ十分な生活騒音等の解消には至っていないのが現状である。
【0004】
そこで、これらの共振現象による生活騒音や振動を低減させるために、振動対象部材に対して複数の振動可能なダンパウエイト(ゴム製ダンパに錘を装着したもの、以下同じ)を装着し、伝達される振動エネルギをウエイトに吸収させることにより、生活騒音等の振幅を打ち消すことで低減させていた(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-141600号公報
【文献】特開2006-77517号公報
【文献】特開2018-155094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1に開示される技術は、振動対象部材(壁や天井)に振動可能なダンパウエイトを直接的に装着するものであるため、十分な制振効果を得るためには、振動対象部材ごとに複数のダンパウエイトを装着しなければならず、その数が膨大とならざるを得なかった。また、上記特許文献2に開示される技術は、天井(振動対象物)を支持する野縁に複数のダンパウエイトを装着するものであり、振動対象物に対する直接的な装着ではないものの、野縁に沿って複数のダンパウエイトを装着することによって、振動対象物の全体の振動を吸収させることが提案されていた。しかしながら、野縁にのみダンパウエイトを設ける構成では、振動の伝達源である振動対象物の振動を十分に解消させことは容易でなかった。すなわち、野縁は振動対象物を支持するものであって、建物構造体の中では比較的強固な構造であり、振動対象物から伝播される振動を十分に伝達することができず、ダンパウエイトによって解消される振動は振動対象物の振動全体の僅かなものとなっていた。
【0007】
このように多数のウエイトを装着することは、振動に抗するウエイトを多数設けることにより、制振の効果を期待するものであるが、その装着の数が多くなり、設置には非常に手間が掛かるうえ、個別のウエイトにおける固有振動数の調整が容易でなく、調整不良の場合には、現実に機能できるダンパウエイトが限定されることとなり、大幅な振動低減効果が期待できないなどの問題点があった。
【0008】
そこで、本願の発明者らは、壁面に当接可能な面材当接面部に発振部材を備えた制振装置を開発した(特許文献3参照)。この制振装置は、面材当接部から伝達される振動を打ち消すように発振部材が振動することで、生活騒音を解消させるものである。この制振装置において生活騒音を解消させることができるものであるが、取り付け方法が若干複雑なものとなっていた。
【0009】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、さらに容易に装着でき、また、振動特性の調整が容易な構造による制振装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、建物構造体に使用される面材を支持する面材支持部に装着して該面材の振動を低減させるための制振装置であって、前記面材支持部に装着可能な装着手段と、該装着手段に支持されて前記面材に当接可能な面材当接部と、該面材当接部に設置され、振動の伝達を受けて発振する発振手段とを備え、前記装着手段と前記面材当接部とが一体的に構成されており、前記面材当接部は、部分的に前記面材および前記面材支持部の双方に挟持される固定領域とそれ以外の非固定領域とに区分されており、前記発振手段は、前記面材当接部の非固定領域に固着されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、面材支持部に装着される装着手段と面材当接部とが一体的に構成され、面材当接部は固定領域と非固定領域とに区分されていることから、装置全体は、面材支持部に固定された状態となり、面材当接部の非固定領域と発振手段とが振動可能な状態となる。これにより、面材当接部の非固定領域は僅かながら振動可能な状態となり、発振手段は、当該非固定領域に固着された状態で面材当接部とは別に振動することが可能となる。従って、生活騒音等によって生じる振動(振動エネルギ)は、面材および面材支持部を介して面材当接部に伝達され、発振手段が共振し、その振動(振動エネルギ)を吸収して打ち消すように作用する。このとき、面材当接部は発振手段を含めた状態で固有振動数を有し、発振手段はこれとは異なる固有振動数を有することとなることから、共振点が分散されて広い範囲の振動数による振動に対する制振を可能にすることとなる。
【0012】
ここで、面材とは、天井の場合は、天井板(天井材または天井仕上げ材など)であり、壁面の場合は、壁板(壁面材または壁面仕上げ材など)であって、石膏ボードなどが使用される。また、面材支持部とは、天井の場合は野縁などの下地桟であり、壁面の場合は間柱や胴縁などの下地桟であって、木製桟の場合もあれば軽量形鋼製の場合がある。このような下地桟は天井面および壁面に適宜間隔で配置されており、個々の下地桟に対して適度な数の制振装置を装着することができる。
【0013】
上記構成の発明において、前記面材当接部は、前記装着手段が前記面材支持部に支持された状態において該面材支持部を境界として片方に位置する面材にのみ当接可能とする構成とすることができる。
【0014】
面材は、面材支持部によって支持されることから、面材支持部を境界とする両側に位置する面材は、最終的には面材支持部に振動を伝達することとなる。そこで、上記のような構成の場合には、面材当接部の非固定領域が固定領域を介して面材または面材支持部の振動を伝達し得ることから、面材当接部を一方の面材にのみ当接可能とする状態であっても制振させることができるものとなる。
【0015】
上記各構成の発明において、前記発振手段は、前記面材当接部に固着される固着領域と、この固着領域に連続しつつ該面材当接部から所定間隔を有して振動自在な状態に形成される振動領域と、この振動領域に着脱可能に設けられるウエイトとを備える構成とすることができる。
【0016】
このような構成の場合には、発振手段は、面材当接部に固着されるべき領域(固着領域)のほかに、振動領域を備えることから、固着領域は面材当接部と一体化し、面材当接部が振動する際には同様に振動することとなる一方、振動領域は固着領域に連続して振動の伝達を受けることができるが、固着領域とは異なる固有振動数により振動することが可能となる。これにより、全体としての共振点を分散させることができる。
【0017】
上記構成の発明において、前記振動領域は、前記ウエイトを搭載するために、適宜面積を有する平面部を有し、前記ウエイトは、前記面材支持部の長手方向に直交する方向による前記平面部の中央線の両側に任意の重量バランスで設けられる構成とすることができる。また、前記振動領域は、前記ウエイトを搭載するために、適宜面積を有する平面部を有し、前記ウエイトは、前記平面部の全面に対して偏った重量バランスで設けられる構成とすることができる。ここで、平面部の全面に対して偏った重量バランスとは、平面部の中心点にウエイト全体の重心を一致させないことを意味するものである。この場合には、当該平面部も振動手段の振動領域を構成することから、重量バランスの調整により固有振動数を調整することができることとなる。なお、重量バランスを調整するためには、ウエイトが着脱可能であることが好ましい。
【0018】
さらに、ウエイトを備える構成とする各発明においては、当該ウエイトを除く各部材がいずれもバネ鋼によって構成されるものとすることができる。このような構成の場合には、発振手段のみならず面材当接部においても柔軟な振動を誘発させることとなり、これらのバネ鋼の肉厚を変化させることで固有振動数を変化させることも可能となる。
【0019】
なお、上記のような構成において、前記固着領域と前記振動領域とは、断面形状を略U字状とする折り返し形状により連続されるものとすることができ、さらに、振動領域は、1以上の箇所で略U字状に折り返されるものとすることができる。発振手段の振動領域を略U字状に折り返すことにより、振動領域は、折り返し部を中心とする振動を生じさせることとなり、最上面をウエイト搭載のための平面部として使用することができる。
【0020】
なお、上記各構成の発明については、前記装着手段が前記面材当接部を部分的に延出させた帯状部材によって構成されるものとすることができ、また、前記発振手段は、ゴム製ダンパまたはバネダンパによる弾性部材と、該弾性部材の一部に装着されたウエイトとを備える構成とすることができる。装着手段を面材当接部の一部である帯状部材によって構成する場合は、面材と面材支持部との間に形成される隙間に挿通させつつ、当該面材支持部に装着可能となり、ダンパを使用する構成においては、ダンパごとに設定される固有振動数を利用しつつ共振振動数による振動を生じさせることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、面材支持部に装着するための装着手段と面材当接部とが一体的に構成され、かつ発振手段は面材当接部の一部に固着されることから、装置ほぼ全体が単一の部材によって構成され、装着手段による装着によることで極めて容易に面材支持部に装着することができる。
【0022】
また、面材当接部は、その一部において非固定領域が形成されており、面材に当接可能でありながら、常に当接した状態が維持されるものではなく、従って、振動伝達時には僅かながら振動可能な状態となっている。そのため、面材当接部の固定領域と非固定領域との区分の程度により、発振手段を含む振動可能な部分全体の固有振動数が変化し、これによる振動特性の調整を容易にすることとなる。また、固有振動数は、面材当接部の非固定領域を含む場合と、発振手段のみによる場合との二種類を出現させることができ、生活騒音等による振動に共振できる広域に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】制振装置の第1の実施形態を示す説明図である。
【
図3】第1の実施形態の全体構造および設置状態の詳細を示す説明図である。
【
図4】第1の実施形態の作動態様を示す説明図である。
【
図5】第1の実施形態の変形例を示す説明図である。
【
図6】第1の実施形態の他の変形例を示す説明図である。
【
図7】制振装置の第2の実施形態を示す説明図である。
【
図8】制振装置の実施形態の使用態様を示す説明図である。
【
図10】実施形態の他の変形例を示す説明図である。
【
図11】実施形態の他の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<概要>
図1は、制振装置が装着される建物の構造を示す図である。図は、制振装置1が装着される一例であって、面材11を天井材とし、面材支持部12を野縁としたものを示している。図の面材支持部(野縁)12は、木製のものを示しているが、アルミ製または軽量鉄骨製などもある。天井材に代えて壁面材とし、また、野縁に代えて壁面用下地桟とすることにより、壁面についても同様に使用できるものであるが、代表的な例として天井構造を示している。なお、一般的な天井構造としては、図示のように、建物の梁等に設けられる吊りボルト13の下部に装着されるハンガ14によって野縁受け15が支持され、野縁(面材支持部12)は、この野縁受け15との間で連結金具(クリップ等)16によって支持される構成となっている。制振装置1は、野縁等の下地桟(面材支持部)12に支持されるものであり、天井や壁面の表面側ではなく、裏面側に設置されるものである。
【0025】
本実施形態の制振装置1は、前記の面材支持部(野縁等)12に装着されるものであり、制振装置1の一部が、面材(天井材等)11と面材支持部(野縁等)12との間に挟持される。一般的な建物構造に使用される面材(天井材等)11は、面材支持部(野縁等)12に対して、多数のビス等によって強固に固定されるものであり、最終的な挟持状態は強固なものとなり得る。
【0026】
<第1の実施形態の各部の構成>
ここで、第1の実施形態に係る制振装置1の詳細について説明する。
図2は本実施形態を示す分解斜視図である。この図に示しているように、本実施形態は、大別すると、面材当接部2と、発振手段3とで構成されている。前記面材支持部(野縁等)12に装着するための装着手段4は、面材当接部2から延出する帯状の装着部材41,42,43によって構成されている。
【0027】
面材当接部2は、全体として薄肉平板状に構成されており、その下面側(裏面側)に前記面材(天井材等)11が配置されることで当接可能な状態となるものである。この面材当接部2と同じ部材によって装着手段4が構成されている。この装着手段4(装着部材41,42,43)は、面材当接部2の延出基端縁21から両側に2つの装着部材41,42が延出され、また、この延出基端縁21の中央付近には、この基端縁21の一部を含む状態で折り曲げられつつ延出する装着部材43が構成されるものである。このような構成により、本実施形態の装着手段4は、面材当接部2と同じ材料による連続した一体的構成となっているものである。
【0028】
ここで、本実施形態の装着部材41,42,43は、両側に位置する2つ41,42が、前記面材支持部(野縁等)12の下面側(面材に当接する側)に配置され、中央の1つ43が、上面側に配置されるものであり、両者が面材支持部(野縁等)12を両側から把持することで装着可能とされている。それぞれの装着部材41,42,43の先端には係止部44,45,46が設けられ、中央の装着部材(上面用装着部材)43の立ち上がり基部47とともに面材支持部(野縁等)12の側面に当接して、装着状態を安定させるようになっている。
【0029】
中央に位置する上面用装着部材43の立ち上がり基部47は、面材当接部2の延出基端縁21を含む状態で折り曲げられて構成されていることから、その下端縁部48は、面材当接部2の延出基端縁21よりも延出方向後向きに所定の間隔Cだけ逸れた位置となっている。従って、装着手段4によって前記面材支持部(野縁等)12に装着される状態では、面材当接部2の表面(上面)のうち、延出基端縁21の位置から下端縁部48の位置までの範囲(所定間隔Cの範囲)が面材支持部(野縁等)12の下面に配置されることとなる。
【0030】
これにより、面材支持部(野縁等)12の下面側において前記面材(天井材等)11が固定されることにより、当該領域は、この両部材によって挟持されることとなる。そして、この領域は挟持によって固定されることから、固定領域20aとされるものである。なお、ここでは、両側の装着部材(下面用装着部材)41,42の一部を含めて固定領域20aとしている。
【0031】
また、面材当接2は、面材支持部(野縁等)12との装着に直接関与しない領域20bが形成されており、この領域20bは、面材支持部(野縁等)12によって固定されないため非固定領域となる。そして、この非固定領域20bの適宜位置には、発振手段3を固着するための固着予定領域22が形成されている。固着予定領域22は、格別な構造上の特徴を有するものではなく、発振手段5を固着し得る面積相当の領域が確保されているものである。
【0032】
本実施形態の発振手段3は、振動部材5とウエイト6とを備える構成としている。振動部材5は、全体が一枚の部材を2箇所で断面を弧状(略U字状)に湾曲させ、相互に適宜な間隔を有する下層51、中層52および上層53の三層による構造体として構成したものである。その下層51が面材当接部2の固着予定領域22に固着される部分である。その意味から、当該下層51が発振手段5の固着領域となるものである。この固着領域51が面材当接部2に固着されることにより、当該領域51は振動が制限されることとなるが、その上層(中層52および上層53)は振動可能となっているため、これらが振動領域となるものである。なお、振動領域における振動は、中層52および上層53そのものが振動するというよりも、専ら中層52の両側に位置する湾曲部54,55が、その曲率が変化することによって全体的に振動するものとなっている。
【0033】
また、上層53にウエイト6が設置されることによって発振手段3となるものであり、この上層53は、ウエイト6が搭載可能な平面部によって構成されるものである。この平面部には、ウエイト6との固定のため、かつ設置の状態を調整するため、複数(図は2つ)の長孔56,57が設けられている。
【0034】
他方のウエイト6は、重量調整のために同一に構成された複数のウエイト構成部60a,・・・,60dが一体化されており、その表面には貫設された複数(図は2個)の貫通孔61,62が設けられ、リベット63,64またはその他締着金具等によって、前述の振動部材5の上層53に設けられた長孔56,57を同時に挿通しつつ固定されるものである。
【0035】
<第1の実施形態の全体構成>
上記のように構成された各部材により、
図3(a)に示すように、本実施形態の制振装置1は、面材当接部2を中心として、その非固定領域20bに発振手段3が固着され、固定領域20aの一部を利用した装着手段4が形成されるものであり、全体が一体的に構成されたものとなっている。これらの各部材のうち、ウエイト6を除く他の部材を全てバネ鋼によって構成することにより、当該部材は振動させることが可能となる。また、面材当接部2を延出して形成された装着部材41,42,43は、同じバネ鋼によって構成されることとなるから、延出されている部分が比較的容易に弾性変形させる(湾曲させる)ことができ、この弾性変形により、面材支持部(野縁等)12に容易に装着できるものである。
【0036】
このように、装着部材41,42,43を弾性変形させながら面材支持部(野縁等)12に装着させた状態を
図3(b)に示す。この図に示されるように、装着部材41,42,43は、それぞれ面材支持部(野縁等)12の上面側および下面側に配置され、各先端に形成された係止部44,45,46が面材支持部(野縁等)12の側面を係止することとなる。これにより、係止部44,45,46と上面用装着部材43の立ち上がり基部47との間に、面材支持部(野縁等)12の側方が位置決めされ、全体として、面材支持部(野縁等)12を把持する状態となる。
【0037】
上記の装着状態により、面材当接部2の固定領域20aは、面材支持部(野縁等)12の下面側に配置され、さらに面材(天井材等)11を設置することにより、当該固定領域20aは、面材(天井材等)11によって挟持される状態となる。ウエイト6を除く他の部材はバネ鋼によって構成されることから、各部材は振動可能であるが、上記のように挟持される部分(固定領域)20aは、振動できない(または大きく制限される)状態となる。また、面材当接部2に固着される振動部材5の下層(固着領域)51は、面材当接部2の表面との固着により積層状態となるため、振動が制限される状態となっている。
【0038】
これに対し、面材当接部2の他の領域(発振手段3が固着されていない非固定領域20b)は、振動可能な状態であり、また、発振手段3を構成する振動部材5の下層51を除く部分、特に、中層52およびその両側の湾曲部54,55は、制限される部材との接触がないことから、当該部分は自在に振動できる状態となっている。なお、面材当接部2と振動部材5とは、異なる肉厚とする(例えば、振動部材5を厚肉とする)ことにより振動特性を変化させることができる。
【0039】
なお、面材当接部2の一部(固定領域20a)は、面材支持部(野縁等)12と面材(天井材等)11とで挟持されることから、両者間には、面材当接部2の肉厚程度の間隙を生じさせることとなる。この場合において、面材11として設置されるべき天井材または壁面材は、石膏ボード等であることから、前記の両部材間には0.6mm以下であれば格別異物とされることがない。そこで、本実施形態の面材当接部は、バネ鋼により0.3mm~0.6mmの範囲としている。バネ鋼を使用することにより、薄肉でありながら高度に復元力(弾性力)を有する構成とすることができる。
【0040】
このような制振装置1の装着方法が可能であることから、装着手段4を面材支持部(野縁等)12に装着させることのみによって、制振装置1の全体を容易に装着することができるものとなる。
【0041】
<作動態様および作動原理>
本実施形態は、上記のような状態で面材支持部(野縁等)12に装着され、固定領域20aが面材(天井材等)11と面材支持部(野縁等)12との間で挟持されることから、
図4(a)に示すように、面材当接部2が面材(天井材等)11に当接した状態を維持しつつ発振手段3を振動させることができる。この発振手段3の振動は、面材(天井材等)11が生活騒音等に基づいて振動する際の共振によるものである。すなわち、生活騒音等が面材(天井材等)11を振動させ、その振動は、面材(天井材等)11から面材当接部2を介して発振手段3に伝達される。このとき、伝達される振動の振動数が、発振手段全体が有する固有振動数と一致するとき発振手段が共振し、同じ振動数によって振動することとなる。この発振手段が振動することにより、面材(天井材等)11の振動エネルギは、発振手段に吸収されることとなり、面材(天井材等)11の振動エネルギが減衰され、制振効果を発揮する。その結果として、生活騒音等を消音させることができる。
【0042】
上記のように発振手段3が、その固有振動数により振動する場合は、面材当接部2は、面材(天井材等)11の振動を伝達するための伝達部材として機能するものである。これに対し、
図4(b)に示す状態は、面材当接部2が僅かながら振動する状態を示すものである。
【0043】
すなわち、
図4(b)に示されているように、面材(天井材等)11は、面材支持部(野縁等)12によって支持されるものであり、一般的には、石膏ボードなどがネジ等で鋲着されるものである。従って、面材(天井材等)11が、生活騒音等によって振動する場合、その振動は面材支持部(野縁等)12に伝達されるものである。ところが、面材支持部(野縁等)12は、大きく振動しないため、面材(天井材等)11のみが振幅を繰り返す状態となる。そこで、面材支持部(野縁等)12に伝達される振動は、面材当接部2の固定領域20aを介して面材当接部2に伝達される。面材(天井材等)11から直接伝達される状態でもあるが、ここでは面材支持部(野縁等)12から伝達する振動のみに着目する。そうすると、面材支持部(野縁等)12によって固定されている固定領域20aが振動を受けると、当然に非固定領域20bに伝達することとなり、面材当接部2のうちの非固定領域20bの全体(すなわち、面材当接部2の一部および発振手段3による部分)を振動させる。そして、非固定領域20bは、固定領域20aに対して僅かながらバネ鋼の弾性力の範囲において適度な撓み(例えば、図中の間隙Hの範囲での撓み)が可能となり、その範囲での振動が可能となる。このとき、非固定領域20bの全体による固有振動数は、発振手段3のみにおける固有振動数とは、異なることから、異なる振動数により共振させることが可能となる。
【0044】
また、前述のように(
図4(a)に示すように)、発振手段3が振動する際、その振動に伴って生ずる慣性力は面材当接部2に対して振動を誘発することとなる。他方、
図4(b)に示すような面材当接部2が振動する場合には、その慣性力は発振手段3の振動を誘発することとなる。従って、発振手段3のみによる固有振動数と、面材当接部2のうちの非固定領域20bの全体による固有振動数との範囲内にある振動数において共振できるものとなる。すなわち、いずれか一方が振動する場合のほか、双方が振動することにより、その中間的な振動数に応じて共振できるのである。
【0045】
上記のような面材当接部2の振動は、固定領域20aの固定状態が異なることにより、非固定領域20bの全体における固有振動数を異ならせることが実験上明らかとなった。これは、面材当接部2をバネ鋼で構成する場合であり、固定領域20aが強固に固定される場合には、振動する領域と振動しない領域との境界が明確となるが、緩やかな固定状態の場合にはその境界幅が大きくなり、振動数に影響を与えることによるものと想定される。
【0046】
そこで、
図5(a)は、上述した本実施形態における面材当接部2を示している。この場合、固定領域20aは、前述のとおり、面材当接部2の表面(上面)のうち、延出基端縁21の位置から立ち上がり基部47の下端縁部48の位置までの範囲(所定間隔Cの範囲)と、下面用装着部材41,42の一部とで構成される領域となる。装着手段4によって装着されるべき面材支持部(野縁等)12の構造・材質等によっても固定状況は異なるが、同じ面材支持部(野縁等)12に装着する場合には、固定領域20aの面積を変更することにより、固定状態を調整することが可能となる。
【0047】
<変形例>
そこで、本実施形態の変形例について説明する。上述のように、面材当接部2の振動の状態は、固定領域20aの固定状態によって調整できることから、その固定領域20aを変化させるものである。
【0048】
図5(b)は、実施形態における間隔C(延出基端縁21から下端縁部48までの間隔)が大きくなるように、延出基端縁21を装着部材41,42の先端寄りに移動させたものである。このように間隔Cを大きくすることにより固定領域20aの面積が広くなり、同じ面材支持部(野縁等)12の下面において挟持させた場合であっても、強固な固定状態となる。
【0049】
また、
図6(a)に示すように、延出基端縁21の長さを延長させた構成とすることもできる。この場合、上面用装着部材43の両側を均等な状態とするため、その両側の延出基端縁21a,21bを同じ長さL1a,L1bに延長させたものである。この場合には、面材当接部2の長さL2を全体的に延長させることとなる。
【0050】
上記2つの変形例は、下面用装着部材41,42が面材当接部2の両側に配置されたものであり、両側で延出する部分が挟持されるため固定状態が安定するものである。これに対し、
図6(b)に示すように、面材当接部2の中央に位置する装着部材43を下面用とし、両側に位置する装着部材41,42を上面用とする場合には、固定状態は前掲の変形例とは異なるものとなる。固定領域20aが面材当接部2の中央寄りに集中し、両側が固定されないため若干不安定な状態となるからである。
【0051】
そして、このような固定状態の変更により、非固定領域20bの全体における固有振動数を変化させることとなり、広い振動数によって伝達される振動を吸収させることとなる。特に、変形例の第2として示したように(
図6(a)参照)、面材当接部2の長さL2を長くするような変形例の場合には、非固定領域20bの面積も変更されることとなり、さらに異なる固有振動数を有する構成とすることができる。
【0052】
<第2の実施形態>
図7に第2の実施形態を示す。本実施形態は、基本的構成を第1の実施形態と同じにしつつ、発振手段3を構成する振動部材5を変更したものである。
図7(a)に示す実施形態では、下層151および上層153のみで構成された振動部材105を示すものであり、振動の中心が一箇所の湾曲部154となるものである。第1の実施形態では中層52も振動時には湾曲可能な状態であったが、本実施形態ではそのような中層を有しないことから、振動し難い構成となっている。
【0053】
また、他の実施形態は、
図7(b)に示すように、二つの中層252a,252bを備える構成とし、その結果、3つの湾曲部254a,254b,255が構成されるものである。本実施形態の場合には、振動時に湾曲および変形する部分が複数存在するため、振動し易い構成となっている。
【0054】
このように、発振手段103,203における振動の状態を変更することにより、当該発振手段103,203の固有振動数を変化させることができるものである。そして、生活騒音等により生じる面材(天井材等)11の振動に応じて適宜調整した形態を使用することができることとなる。
【0055】
なお、上記のいずれの形態においても、ウエイト6は、
図2(a)に示したように、複数のウエイト構成部60a,・・・,60dで構成されるものであるから、このウエイト構成部60a,・・・,60dの数を増減することにより、発振手段103,203の固有振動数をさらに変化させることができる。このような固有振動数の調整は、第1の実施形態においても同様に可能である。
【0056】
<使用態様>
次に、実施形態の使用態様について説明する。
図8(a)は、面材11として天井材を使用した場合の平面視における状態を示し、
図8(b)は、面材11が壁面材であることを想定した面材支持部12に装着した場合の背面視における状態を示している。
【0057】
天井材11の制振に使用する場合には、
図8(a)に示すように、面材支持部(野縁)12に装着手段4を装着させることにより、面材当接部2を天井材11の上面側に当接可能に装着するものである。天井材11は、制振装置1(1A,1B)の設置の装着後において、下方から設置・固定されるものであるが、装着手段4による面材支持部(野縁)12の装着により、制振装置1は仮止めされ、その位置が変動することはない。なお、面材当接部2は、前述のとおり、バネ鋼で構成されることから、装着手段4によって装着された状態では、非固定領域20b(
図3参照)は、発振手段3などの重量により、僅かながら湾曲した状態となる場合もあるが、天井材11の装着により、当該湾曲状態は解消されるものとなる。
【0058】
このように設置される制振装置1は、図示のように、天井材11のうち、面材支持部(野縁)12を境界として片方に位置する側の面にのみ当接可能となっている。そこで、面材支持部(野縁)12の両側の面を制振対象とする場合は、複数の制振装置(図は2個)1A,1Bを設置し、一方の制振装置1Aにおける面材当接部2を天井材11の一方(図中右側)の面に当接させ、他方の制振装置1Bにおける面材当接部2を他方(図中左側)の面に当接させるように配置することとなる。
【0059】
壁面材の制振に使用する場合には、
図8(b)に示すように、面材支持部(壁用下地桟)12は、軸線方向が鉛直となっているため、装着手段4による面材支持部(壁用下地桟)12への装着のみでは下向きに移動することとなる。そこで、装着手段4の一部(例えば上面用装着部材43)を貫通するネジ等49より鋲着することでその位置を固定させるのである。この場合においても、面材当接部2は、面材支持部(壁用下地桟)12を境界として片方に位置する側にのみ当接可能であるから、面材支持部(壁用下地桟)12の両側の面を制振対象とする場合は、複数の制振装置(図は2個)1A,1Bを設置することとなる。
【0060】
<その他の構成>
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、これらの実施形態および変形例は、本発明の一例を示すものであり、本発明がこれらの実施形態および変形例に限定する趣旨ではない。従って、上記に示した実施形態および変形例の各構成を変更し、他の部材を追加する構成とすることは可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態および変形例では、発振手段3の構成として振動部材5,105,205と、ウエイト6とで構成したものを例示したが、発振手段3としては、これらに限定されるものではなく、他の発振手段を使用することができる。この例示としては、
図9に示すようなダンパ7を用いることができる。ダンパ7の種類は問うものではなく、ゴム製ダンパであってもバネダンパであってもよい。既存のダンパ7を使用する場合は、予め固有振動数が調整されたものを選択して使用することができる。
【0062】
なお、
図9(a)に示す形態は、ダンパ7を1個設けたものであるが、
図9(b)に示すように、面材当接部2の中心線(面材支持部(野縁等)12の長手方向に直交する中央線)Xを軸とする線対称の位置に2個のダンパを配置してもよい。
【0063】
また、発振部材3,103,203は、それぞれ面材当接部2の非固定領域20bに固着するものであるが、その固着の方法としては、接着のほか溶接等によることができる。接着には、両面テープによるものであっても接着剤を塗布する方法でもよい。
【0064】
さらに、ウエイト6は、振動部材5の上層53の表面に設けられるものであるが、この表面における中心線(面材支持部(野縁等)12の長手方向に直交する中央線)の両側に任意の重量バランスで設ける構成でもよく、具体的には、
図10(a)に示すように、当該中心線Yの両側に異なるウエイト6a,6bを設けるものであり、その一方のウエイト6aと、他方のウエイト6bとが異なる重量とする構成である。また、当該平面の全面に対して偏った重量バランスで設ける構成でもよく、具体的には、
図10(b)に示すように、単一のウエイト6の中心線Zが、上層53の平面の中心線Yに対して有角状に設けられるような構成である。このような構成により、発振手段3の全体的な固有振動数を不安定なものとすることとなり、その不安定化により共振する振動数を広範なものとすることになり得るものである。
【0065】
また、上述の実施形態においては、発振手段3の構成として、単一の振動部材5に一塊のウエイト6を搭載させる構成を例示したが、この発振手段3を分割して複数の振動部材5とウエイト6とで構成してもよい。この場合、例えば、
図11(a)に示すように、面材当接部2の長さ方向L2に二分割した構成、すなわち長さ方向L2の二箇所に振動部材5a,5bを固着し、この振動部材5a,5bのそれぞれにウエイト6a,6bを搭載する構成とすることができる。これらの振動部材5a,5bおよびウエイト6a,6bは、相対的に相互に同一に構成するものであってもよく、いずれかの部材を変化させるものであってもよい。
【0066】
同一の構造である場合には、それぞれが同じ固有振動数となり得るが、面材当接部2の非固定領域全体における固有振動数は、上記のように二分割された双方の間隙の広狭により変化し得ることとなる。
【0067】
上記構成の場合において、二分割された双方の固有振動数を変更させる場合には、振動部材5a,5bの弾性力を相対的に変化させるものであってもよく、また、
図11(b)に示すようにウエイト6a,6bの重さ(積層する数)を相対的に相違させるものであってもよい。このような場合には、それぞれが異なる固有振動数を有することとなるため、全体として広範囲な振動に対する制振を可能とすることができる。
【0068】
また、上述のように(
図11(a)に示すように)、同じ構成の振動部材5a,5bに同じ重さのウエイト6a,6bを搭載する場合であっても、ウエイト6a,6bの設置状態を変更することにより、双方の固有振動数に差違を生じさせることも可能である。設置状態の変更とは、例えば、長さ方向L2に対して直交方向へ相対的に差違を設ける場合、または前述の
図10(b)のように向きを変化させる場合などがあり得る。
【0069】
なお、上記各構成における面材当接部2は、装着手段4と一体的に構成するために、同一部材(バネ鋼による平板状の部材)によって構成した。これは、装着手段4の一部である装着部材41,42,43を面材当接部2と兼用して構成したことによる。従って、装着手段4のみを別部材とする場合は、必ずしも同一部材で構成する必要はない。ただし、面材当接部2における固定領域20aと非固定領域20bとは同一部材で設ける必要がある。
【符号の説明】
【0070】
1 制振装置
2 面材当接部
3,103,203 発振手段
4 装着手段
5,105,205 振動部材
6,6a,6b ウエイト
7 ダンパ
11 面材(天井材等)
12 面材支持部(野縁等)
13 吊りボルト
14 ハンガ
15 野縁受け
16 連結金具(クリップ等)
20a 固定領域
20b 非固定領域
21 面材当接部の延出基端縁
22 固着予定領域
41,42 装着部材(下面用装着部材)
43 装着部材(上面用装着部材)
44,45,46 係止部
47 立ち上がり基部
48 立ち上がり基部の下端縁部
49 ネジ
51,151,251 振動部材の下層(固着領域)
52,252a,252b 振動部材の中層
53,153,253 振動部材の上層
54,55,154,254a,254b,255 湾曲部
56,57 長孔
60a,60b,60c,60d ウエイト構成部
61,62 貫通孔
63,64 リベット