(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
A63F5/04 620
(21)【出願番号】P 2020071008
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 孝司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 慎
(72)【発明者】
【氏名】古屋 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴信
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 完
【審査官】鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第6592764(JP,B1)
【文献】特開2017-217198(JP,A)
【文献】特開2016-189962(JP,A)
【文献】特開2016-052380(JP,A)
【文献】特開2004-290403(JP,A)
【文献】特開2004-049460(JP,A)
【文献】特開2020-054456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定条件の成立に基づいて、遊技結果の抽選を実行可能な抽選手段と、
遊技者が操作可能な操作手段と、
前記抽選手段による抽選結果と、遊技者による前記操作手段への操作態様と、に基づいて、変動表示している識別情報を停止表示可能な表示手段と、
前記表示手段に停止表示された識別情報の態様に応じた遊技価値を付与可能な付与手段と、
第1遊技状態と、第2遊技状態と、第3遊技状態と、
第4遊技状態と、を含む複数の遊技状態のうち、何れかの遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段と、
停止操作に関する情報である特定情報を報知可能な報知手段と、
前記特定情報を報知不能な通常区間と、前記特定情報を報知可能な有利区間と、を含む複数の区間のうち、何れかの区間に制御可能な区間制御手段と、
前記有利区間において、前記抽選手段による抽選結果が特定抽選結果である場合、特定値を計数可能な計数手段と、
前記第3遊技状態において、前記第4遊技状態へ移行させるかを判定可能な判定手段と、
を備え、
前記表示手段は、
前記抽選手段による抽選結果が前記特定抽選結果であり、且つ、遊技者による前記操作手段への操作態様が特定操作態様である場合、変動表示している識別情報を第1停止態様で停止表示可能であり、
前記抽選手段による抽選結果が前記特定抽選結果であり、且つ、遊技者による前記操作手段への操作態様が非特定操作態様である場合、変動表示している識別情報を第2停止態様で停止表示可能であり、
前記付与手段は、
前記表示手段において、前記第1停止態様で識別情報が停止表示される方が、前記第2停止態様で識別情報が停止表示されるよりも大きな遊技価値を付与可能であり、
前記区間制御手段は、
前記第1遊技状態において、前記通常区間に制御し、
前記第2遊技状態及び前記第3遊技状態
及び前記第4遊技状態において、前記有利区間に制御し、
前記報知手段は、
前記第3遊技状態において、前記特定情報を報知可能であり、
前記第4遊技状態において、前記第3遊技状態よりも高い確率で前記特定情報を報知可能であり、
前記計数手段は、
前記第2遊技状態において、前記第2停止態様で識別情報が停止表示される方が、前記第1停止態様で識別情報が停止表示されるよりも大きな値を計数可能であり、
前記第3遊技状態は、
特定第3遊技状態と、
前記特定第3遊技状態よりも
、前記判定手段により前記第4遊技状態へ移行すると判定される確率が高い特別第3遊技状態と、
を含み、
前記遊技状態制御手段は、
前記第1遊技状態において、第1条件が成立した場合、遊技状態を前記第2遊技状態に制御することが可能であり、
前記第2遊技状態において、第2条件が成立した場合、前記計数手段による計数結果が、第1特定値である場合よりも当該第1特定値よりも大きな値である第2特定値の場合の方が、高い確率で前記特別第3遊技状態に制御可能であ
り、
前記第3遊技状態において、
前記判定手段により前記第4遊技状態へ移行すると判定された場合、遊技状態を前記第4遊技状態に制御することが可能である
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第4遊技状態は、
特定第4遊技状態と、
前記特定第4遊技状態よりも有利な特別第4遊技状態と、
を含み、
前記判定手段は、
前記特定第3遊技状態において、前記特定第4遊技状態へ移行させるかを判定可能であり、
前記特別第3遊技状態において、前記特別第4遊技状態へ移行させるかを判定可能であり、
前記遊技状態制御手段は、
前記特定第3遊技状態において、前記判定手段により前記特定第4遊技状態へ移行すると判定された場合、遊技状態を前記特定第4遊技状態に制御することが可能であり、
前記特別第3遊技状態において、前記判定手段により前記特別第4遊技状態へ移行すると判定された場合、遊技状態を前記特別第4遊技状態に制御することが可能である
ことを特徴とする
請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第4遊技状態において、前記抽選手段による抽選結果が特別抽選結果である場合、前記第4遊技状態を延長させるための特典を付与するかを判定可能な特典判定手段を備え、
前記特典判定手段は、
前記特定第4遊技状態において、前記抽選手段による抽選結果が前記特別抽選結果である場合よりも、前記特別第4遊技状態において、前記抽選手段による抽選結果が前記特別抽選結果である場合の方が、高い確率で特典を付与すると判定可能である
ことを特徴とする請求
項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第3遊技状態は、
前記特別第3遊技状態よりも、前記判定手段により前記第4遊技状態へ移行すると判定される確率が高い特殊第3遊技状態を含み、
前記遊技状態制御手段は、
前記第2遊技状態において、前記第2条件が成立した場合、前記計数手段による計数結果が、前記第2特定値である場合よりも当該第2特定値よりも大きな値である第3特定値の場合の方が、高い確率で前記特殊第3遊技状態に制御可能である
ことを特徴とする請求項
1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、例えば、スロットマシンがあり、スロットマシンでは、遊技者に有利な遊技状態として、リプレイ役の当選確率を高めたRT(リプレイタイム)、小役やリプレイ役等の入賞をアシストするAT(アシストタイム)、RTとATとを組み合わせることにより、リプレイ役の当選確率を高めた上で、小役やリプレイ役等の入賞をアシストするART(アシストリプレイタイム)、などと称される遊技状態を有するものがある。
このようなスロットマシンにおいては、遊技者に有利な遊技状態である場合には有利区間に制御し、有利区間の終了条件が成立すると、遊技者に不利な遊技状態である通常区間に制御するものも知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の遊技機には、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の遊技機は、所定条件の成立に基づいて、遊技結果の抽選を実行可能な抽選手段と、遊技者が操作可能な操作手段と、前記抽選手段による抽選結果と、遊技者による前記操作手段への操作態様と、に基づいて、変動表示している識別情報を停止表示可能な表示手段と、前記表示手段に停止表示された識別情報の態様に応じた遊技価値を付与可能な付与手段と、第1遊技状態と、第2遊技状態と、第3遊技状態と、第4遊技状態と、を含む複数の遊技状態のうち、何れかの遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段と、停止操作に関する情報である特定情報を報知可能な報知手段と、前記特定情報を報知不能な通常区間と、前記特定情報を報知可能な有利区間と、を含む複数の区間のうち、何れかの区間に制御可能な区間制御手段と、前記有利区間において、前記抽選手段による抽選結果が特定抽選結果である場合、特定値を計数可能な計数手段と、前記第3遊技状態において、前記第4遊技状態へ移行させるかを判定可能な判定手段と、を備え、前記表示手段は、前記抽選手段による抽選結果が前記特定抽選結果であり、且つ、遊技者による前記操作手段への操作態様が特定操作態様である場合、変動表示している識別情報を第1停止態様で停止表示可能であり、前記抽選手段による抽選結果が前記特定抽選結果であり、且つ、遊技者による前記操作手段への操作態様が非特定操作態様である場合、変動表示している識別情報を第2停止態様で停止表示可能であり、前記付与手段は、前記表示手段において、前記第1停止態様で識別情報が停止表示される方が、前記第2停止態様で識別情報が停止表示されるよりも大きな遊技価値を付与可能であり、前記区間制御手段は、前記第1遊技状態において、前記通常区間に制御し、前記第2遊技状態及び前記第3遊技状態及び前記第4遊技状態において、前記有利区間に制御し、前記報知手段は、前記第3遊技状態において、前記特定情報を報知可能であり、前記第4遊技状態において、前記第3遊技状態よりも高い確率で前記特定情報を報知可能であり、前記計数手段は、前記第2遊技状態において、前記第2停止態様で識別情報が停止表示される方が、前記第1停止態様で識別情報が停止表示されるよりも大きな値を計数可能であり、前記第3遊技状態は、特定第3遊技状態と、前記特定第3遊技状態よりも、前記判定手段により前記第4遊技状態へ移行すると判定される確率が高い特別第3遊技状態と、を含み、前記遊技状態制御手段は、前記第1遊技状態において、第1条件が成立した場合、遊技状態を前記第2遊技状態に制御することが可能であり、前記第2遊技状態において、第2条件が成立した場合、前記計数手段による計数結果が、第1特定値である場合よりも当該第1特定値よりも大きな値である第2特定値の場合の方が、高い確率で前記特別第3遊技状態に制御可能であり、前記第3遊技状態において、前記判定手段により前記第4遊技状態へ移行すると判定された場合、遊技状態を前記第4遊技状態に制御することが可能である構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る遊技機の外観を示す概略正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る遊技機の内部構成を示す概略斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る遊技機の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係るリール図柄の配列と特殊役の構成を示す図表である。
【
図5】第1実施形態に係る配当テーブルを示す図表である。
【
図6】第1実施形態に係る内部抽選テーブルを示す図表である。
【
図7】第1実施形態に係るRT状態の状態遷移図である。
【
図8】第1実施形態に係る遊技状態の状態遷移図である。
【
図9】第1実施形態に係る天井ゲーム数抽選テーブルを示す図表である。
【
図10】第1実施形態に係るATモード決定用ポイント抽選テーブルを示す図表である。
【
図11】第1実施形態に係るATモード抽選テーブルを示す図表である。
【
図12】第1実施形態に係る上乗せゲーム数抽選テーブルを示す図表である。
【
図13】第2実施形態に係る配当テーブルを示す図表である。
【
図14】第2実施形態に係る内部抽選テーブルを示す図表である。
【
図15】第2実施形態に係る差枚数初期値抽選テーブルを示す図表である。
【
図16】第2実施形態に係る背景変化抽選テーブルを示す図表である。
【
図17】第2実施形態に係るATモード抽選テーブルを示す図表である。
【
図18】第2実施形態に係る上乗せゲーム数抽選テーブルを示す図表である。
【
図19】第2実施形態の変形例に係る減算差枚数抽選テーブルを示す図表である。
【
図20】第2実施形態の変形例に係る加算天井ゲーム数抽選テーブルを示す図表である。
【
図21】第2実施形態の変形例に係るAT移行抽選テーブルを示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1~
図12を参照して、第1実施形態について説明する。
【0008】
まず、スロットマシン1の全体構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
スロットマシン1は、本発明に係る遊技機の一実施形態であり、通常のスロットマシンと同様、前面に開口部を有する筐体1bと、開口部を開閉可能に覆う前扉1aとを備えている。
【0009】
前扉1aの中央部には、後方を視認可能な表示窓6が形成されており、この表示窓6を透して、リール41に表された図柄を視認することができる。
また、表示窓6の下方には、前側に突出する段部が形成されており、この段部の上面には、操作手段として動作する、メダルを投入するメダル投入口2と、遊技の開始に際して遊技者の押圧操作によりベット数を設定するベットボタン2aと、遊技者の操作により表示器8で表示されている演出等に変化を与えるための演出ボタン2cとを備えている。
また、段部の前面には、操作手段として動作する、遊技者が遊技を開始する際に操作するスタートレバー3と、遊技者がリール41を停止する際に押圧操作する停止ボタン5を備えている。
【0010】
また、表示窓6の上方には、遊技者に停止ボタン5の操作順序をナビゲートするナビランプ12を備えている。また、表示窓6の下方には、遊技者にとって有利な状態である旨を報知する有利区間ランプ13を備えている。なお、有利区間ランプ13に代えて、例えば、メダルの払出数を表示する払出数表示部等を構成する7セグメントディスプレイ(「7セグ」ともいう)の「ドット」部分等を、点灯するようにしてもよい。
【0011】
前扉1aの上部には、報知手段として動作する表示器8を備えている。
表示器8は、例えば、液晶表示器から構成されており、画像による各種演出、遊技における各種情報の表示等を行う。
なお、表示器8は、
図1に示すように、1つ設ける構成としているが、これに限らず、複数設けてもよい。例えば、2つの表示器(主表示器と副表示器)を設け、2つ並んだ状態で配置することで、主表示器と副表示器とを合わせて一つの表示部のように機能させてもよい。また、スロットマシン1の下方に配置される大型の表示部である下パネル表示器に表示器を設けてもよい。
【0012】
表示器8の上方には、報知手段として動作する、音による演出や報知を行うスピーカ9、各役の入賞時の光や、表示器8で表示される演出に対応する光の演出や報知を行うランプ11を備えている。
また、前扉1aの下部には、メダルが払い出されるメダル払出口7bを備えている。
【0013】
筐体1bの上部には、遊技を統括的に制御する主制御部10を備えており、前扉1aの上部には、主制御部10の制御下で遊技の演出等に関する制御を行う副制御部20を備えている。
また、筐体1bの中央部には、リール41を回転駆動させるドラムユニット4を備えている。ドラムユニット4は、水平方向に並設されるリール41a、リール41b、リール41cを備え、これらリール41a~41cが、ステッピングモータ(図示省略)の駆動によりそれぞれ回転可能に構成されている。また、各リール41a~41cの外周面には、所定の配列に従って複数の図柄(識別情報)が表され、リール41の停止状態において、各リール41a~41cについて、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が表示窓6を透して視認可能となっている。
また、筐体1bの下部には、メダルの払い出しを行うメダル払出装置7、メダルを貯留するホッパー7aを備えており、メダル払出装置7から払い出されたメダルは、メダル払出口7bを介して遊技者に払い出される。
【0014】
筐体1bの下部には、電源装置14を備えている。
電源装置14は、主制御部10及び副制御部20を含む各装置に電力を供給するための装置であり、スロットマシン1の外部から入力される電源の電圧又は周波数を監視し、それらの電圧又は周波数が所定値以下に低下したことにより、スロットマシン1への電力供給が停止されたことを示す電断信号を主制御部10及び副制御部20に出力する。
さらに、電源装置14は、電源復帰により、所定値を超える電圧又は周波数を示す電力の供給を検出すると、スロットマシン1への電力供給が開始されたことを示す電源復帰信号を、主制御部10及び副制御部20に出力する。
【0015】
図3は、スロットマシン1の制御系の構成を示している。なお、
図1及び
図2で説明した構成要素と同一もしくは相当する構成要素には同一の符号を付している。
主制御部10には、各種演算処理等を行うCPU(図示省略)と、遊技に関する制御プログラムや小役等の抽選を行うための抽選テーブル等が格納されたROM(図示省略)と、各種データを一時記憶する記憶領域やCPUの作業領域等を備えたRAM(図示省略)等が備えられている。
また、主制御部10には、ベットボタン2a、メダルセレクタ2b、スタートレバー3、停止ボタン5(停止ボタン5a~5c)が接続され、各機器に内蔵されたセンサからの信号を入力可能に構成されている。
また、主制御部10は、スタートレバー3からの信号に基づいて遊技の開始処理や、乱数発生器(図示省略)からの乱数をサンプリングする処理等を行う。そして、主制御部10は、サンプリングされた乱数に基づき、複数の当選役の中から今回ゲームの当選役を抽選により決定する内部抽選処理を行い、内部抽選処理の当選結果に応じた図柄の組合せで停止するようにリール41の停止制御を行う。
また、主制御部10は、ROMに記憶された制御プログラム等を適宜読み出して実行することにより、後述する実施形態の各種機能を実現している。
すなわち、主制御部10は、遊技価値(メダル)の付与に関する抽選を実行可能な抽選手段として機能する。
【0016】
このほか、主制御部10は、所定の遊技タイミング(例えば、スタートレバー操作、停止ボタン5a~5cの操作、遊技状態の移行など)で、所定の信号やコマンド(制御情報)を副制御部20に出力する。
例えば、主制御部10は、スタートレバー3が操作された場合には、スタートレバー操作があったことを示す信号を副制御部20に出力する。
また、主制御部10は、各停止ボタン5a~5cが操作された場合には、どの停止ボタン5がどの順番で操作されたのかを識別可能な信号を副制御部20に出力する。
また、主制御部10は、停止ボタン5の操作により各リール41a~41cが停止された場合、どのリール41がどの順番で停止したのか、上段・中段・下段の図柄などを識別可能な情報を副制御部20に出力する。
また、主制御部10は、スロットマシン1が有する遊技状態が移行する場合には、どの遊技状態に移行したのかを識別可能な情報を副制御部20に出力する。
【0017】
また、主制御部10は、電源装置14から電断信号と電源復帰信号を入力可能に構成されている。
主制御部10は、電断信号を入力すると、その入力時における遊技情報をRAMに記憶(退避)する電源断処理を実行する。この遊技情報には、例えば、そのときの遊技状態、当選役、リール41の停止態様、ベット数等の情報が含まれている。
また、主制御部10は、電源復帰信号を入力すると、RAMに記憶(退避)した遊技情報をロードして遊技を再開する電源復帰処理を実行する。すなわち、主制御部10は、電源復帰信号を入力すると、ロードした遊技情報に基づいて電源断直前の状態に復帰させる。
また、主制御部10は、電源復帰処理において、遊技情報を副制御部20に送信する。これにより、副制御部20では、電源断直前の遊技状態に基づいて演出を再開することができる。
【0018】
また、主制御部10には、ドラムユニット4、メダル払出装置7、有利区間ランプ13、副制御部20が接続され、各機器に対して信号を出力可能に構成されている。
具体的には、主制御部10は、スタートレバー3や停止ボタン5からの信号に基づき、ドラムユニット4を駆動させてリール41a~41cを回転・停止させる処理、メダル払出装置7を駆動させてメダルを払い出す処理、遊技者にとって有利な遊技状態が発生した場合に有利区間ランプ13を点灯させる処理等を行う。
【0019】
副制御部20には、演出に関するプログラム、演出用画像データ、音声データ等の各種情報等を格納するROM(図示省略)と、各種データを一時記憶する記憶領域やCPUの作業領域等を備えたRAM(図示省略)等が備えられている。
また、副制御部20には、演出ボタン2cが接続され、機器に内蔵されたセンサからの信号を入力可能に構成されているとともに、表示器8、スピーカ9、ランプ11、ナビランプ12が接続され、各機器に対して信号を出力可能に構成されている。例えば、副制御部20は、演出ボタン2cからの信号に基づき、各演出の切替タイミングを制御可能となっている。
また、副制御部20は、演出制御手段として動作し、主制御部10からの一方向のみのコマンド(制御情報)に応じて、表示器8において所定の演出の画像処理や、スピーカ9において各種演出や報知を行う音声出力処置や、LED等で構成されたランプ11やナビランプ12の点灯処理等を行う。
【0020】
また、副制御部20は、電源装置14から電断信号と電源復帰信号を入力可能に構成されている。
副制御部20は、電断信号を入力すると、その入力時に実行中の演出内容を特定する演出情報をRAMに記憶(退避)する。この演出情報には、例えば、表示器8において表示されている各種情報等が含まれている。
また、副制御部20は、電源復帰信号を入力すると、主制御部10から受信した遊技情報とRAMに記憶(退避)した演出情報に基づいて、演出を再開する。
【0021】
このようなスロットマシン1は、主制御部10による制御により、以下のようなスロットマシン遊技を実行可能に構成されている。
遊技の開始にあたり、メダル(クレジットメダルも含む)を用いてベット数の設定を行う。
ベット数の設定は、メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法と、ベットボタン2aを押圧操作して設定する方法とがある。
【0022】
メダル投入口2からメダルを投入してベット数を設定する方法では、投入されたメダルが前扉1a裏面に設けられたメダルセレクタ2bによって検知されることにより、投入分のメダル枚数に対応するベット数(ただし、メダル3枚に対応する3ベットが上限)が設定されることになる。
なお、ベット数の上限は、「1」、「2」又は「4」以上でもよい。
【0023】
ベットボタン2aが押圧操作されると、内部的にデータとして記憶されたクレジットメダルから、1回の遊技に使用するメダル枚数として所定数(例えば、3枚)のメダル枚数が減算され、減算された分が3ベットとして設定されることになる。
なお、ベットボタンとして、2枚に対応するメダル枚数を設定する2ベットボタンを設けることで、2ベットボタンを1回押すことで2ベットを設定してもよい。
また、ベットボタンとして、1枚に対応するメダル枚数を設定する1ベットボタンを設けることで、1ベットボタンを2回押すことで2ベットを設定してもよく、1ベットボタンを3回押すことで3ベットを設定してもよい。
また、クレジットメダルは、メダル投入口2からのメダル投入や入賞により加算され、例えば、メダル50枚までクレジット(記憶)することができる。
【0024】
このように、メダル投入口2からの直接投入や、ベットボタン2aの押圧操作により設定されたベット数は、主制御部10に備えるRAMなどの記憶手段に記憶される。
そして、1回の遊技を実行可能なベット数になったときに、1回の遊技を開始可能な状態となる。
この遊技開始可能な状態では、スタートレバー3の操作が有効な状態となる。この有効な状態において、スタートレバー3が傾動操作されると、ゲームが開始され、複数の図柄の表されたリール41a~41cが変動を開始するとともに、リプレイ役、小役などの複数の当選役(ハズレを含む)の中から、今回ゲームの当選役をリール41の停止前に事前に決定する内部抽選処理が実行される。
【0025】
各リール41a~41cは、表示手段の一例であり、各リール41a~41cの周面には、識別情報となる複数(例えば、20個)の図柄を有している。例えば、
図4(a)に示すように、「リプレイ」、「ベル」、「赤7」、「青7」、「白7」、「バー」等の図柄が表されており、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する。
このような定常回転に達すると、各リール41a~41cに対応して設けられた停止ボタン5a~5cが押圧操作可能な状態となる。
また、リール41a~41cの形態は、これに限定されず、例えば、周面の図柄の個数は、20個以外でもよい。
【0026】
リール41a~41cが正回転すると、表示窓6内を通じて、図柄が上から下へ向かうように変動表示がされ、リール41a~41cが逆回転すると、表示窓6内を通じて、図柄が下から上へ向かうように変動表示がされる。
正回転の場合には、
図4(a)に示す図柄番号の大きい数字から小さい数字に向かって図柄が変動し、逆回転の場合には、図柄番号の小さい数字から大きい数字に向かって図柄が変動する。
なお、
図4(a)に示す図柄番号は、リール41a~41cの外周面に物理的に付されているものではなく、各図柄の停止を制御するためのプログラムで特定の図柄を指定するための仮想的な番号である。
【0027】
停止ボタン5a~5cは、リール41の停止操作を行うための操作手段の一例であり、例えば、停止ボタン5a~5cに内蔵されたLED等の発光手段が点灯することにより押圧操作可能な状態となり、このような状態において各停止ボタン5が押圧操作されると、その操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果とにより許容される図柄の組合せで停止するように、各リール41a~41cが停止制御される。
【0028】
リール41の停止制御では、停止ボタン5の操作タイミングに基づき、内部抽選処理の当選結果に応じた図柄の組合せで停止するように制御が行われる。
また、当選した役に対応する図柄が入賞ラインに到達する前に押圧操作が行われた場合には、リール41a~41cを停止させるタイミングを遅らせて当該図柄を入賞ライン上に停止させる、所謂引込停止制御が行われる。
具体的には、操作されたタイミングからリール41の回転をさらに進めることができるスベリコマ数(例えば、0~4図柄)の範囲内に、当選した役に対応する図柄があるか否かを判定しつつ、スベリコマ数の範囲内に当選対象に対応する図柄がある場合には、その図柄を入賞ライン上に引き込むように制御が行われる。
【0029】
本実施形態では、「ベル」図柄と「リプレイ」図柄は、すべてのリール41a~41cにおいて、連続する5コマ以内に配置されているので、4コマの引込停止制御により必ず入賞ライン上に停止させることができる。
一方、「ベル」図柄と「リプレイ」図柄以外は、連続する5コマ以内に必ずしも配置されていないので、4コマの引込停止制御を行っても入賞ライン上に停止できずに、当選役を取りこぼしてしまう場合がある。つまり、これらの図柄を入賞ライン上に停止させるためには、所望の図柄を狙って停止ボタン5a~5cを押圧操作(所謂目押し操作)する必要がある。
【0030】
そして、主制御部10は、付与手段として機能することで、第3リール停止操作後に、入賞ライン上に停止(以下、「停止表示」ともいう)した識別情報(図柄)の停止態様に基づいて入賞を判定し、停止態様に応じた遊技価値(メダル)を付与する。
なお、第3リールとは、3つのリール41a~41cの停止操作が各1回ずつ計3回された場合において、その最後である3操作目に停止操作をされたリールをいう。また、第3リール停止操作後とは、遊技者が第3リールを停止するために停止操作した停止ボタン5から指等を離した時点後のことをいう。
同様に、第1リールは、停止操作の最初である1操作目に停止操作がされたリールを示し、第2リールは、2操作目に停止操作がされたリールを示す。
【0031】
例えば、本実施形態では、入賞の判定は、上・中・下段のライン、右下がりのライン、右上がりのラインの計5ラインのうち、右上がりのライン上のみに停止した図柄の組合せに基づいて入賞の有無が判定されるようになっている。なお、入賞を判定する入賞ラインの本数は、1ラインに限らず、図柄の配置構成、図柄の種類、当選役に対応する図柄の組合せなどの関係により、適宜変更することができる。
以上のように、スロットマシン遊技が実行される。
【0032】
スロットマシン1には、主制御部10(抽選手段)において抽選される役のうち特定の役(例えば、ボーナス役や小役)の当選確率等を、ボタン等による外部操作(手動)により設定変更可能な確率設定手段(設定手段)が設けられている。
例えば、特定の役の当選確率を、低い当選確率から高い当選確率までの6段階に区分けし、各段階を設定1~6にそれぞれ対応させることにより、特定の役の当選確率を各設定値に応じた当選確率に変更することができる。
この場合、設定1が設定されているよりも、設定6が設定されている方が、特定の役に当選する確率が高く設定されており、その結果、設定1が設定されているよりも、設定6が設定されている方が、スロットマシン遊技が有利に進行するように制御される。
主制御部10は、確率設定手段において設定値の変更が行われた場合には、スロットマシン1のシステムリセットが行われた場合と同様に、RAMの全記憶情報(ボーナス役の当選状態の情報等)を初期化する処理を行う。
なお、設定値を6段階に設定可能としたが、これに限らず、例えば、4段階(設定1、2、5、6)や3段階(設定1、設定3、設定6)としてもよい。
【0033】
(当選役と対応する図柄の組合せ)
次に、各当選役と各当選役に対応する図柄の組合せについて説明する。
当選役には、例えば、小役、リプレイ役、ボーナス役がある。
さらに、小役には、例えば、ベル役、スイカ役、チェリー役、チャンス役、特殊役がある。
なお、以下の説明において、チェリー役、スイカ役、チャンス役を、纏めて「レア役」ともいう。
【0034】
ベル役には、「押し順ベル」が設けられている。
「押し順ベル」は、停止ボタン5a~5cに対する操作順序(以下、押し順ともいう)に従うことにより図柄の組合せが揃う当選役であり、6つの「押し順ベル1~6」が設けられている。なお、以下の説明において、「押し順ベル1~6」を、単に「押し順ベル」ともいう。
「押し順ベル1~6」は、6通りある押し順のうち、1通り(1/6)の押し順(正解押し順)によって停止ボタン5a~5cが操作されることで、対応する図柄の組合せが停止表示され、一方、他の5通り(5/6)の押し順(不正解押し順)によって停止ボタン5が操作された場合には、対応する図柄の組合せが停止表示されないようになっている。
例えば、「押し順ベル1」に当選した場合には、「左→中→右」の押し順(正解押し順)で停止ボタン5a~5cが操作されると、入賞ライン上に「ベル・ベル・ベル」が停止表示し、それ以外の押し順(不正解押し順)で停止ボタン5a~5cが操作された場合には、他の図柄の組合せ(以下、「押し順ベルこぼし目」という)が停止表示される。
【0035】
なお、「押し順ベル」に当選した場合に、2操作目、3操作目に操作する停止ボタン5を問わず、1操作目に操作する停止ボタン5のみが正解押し順に従っていれば、「押し順ベル」に対応する図柄の組合せが停止するようにリール41の停止制御を行うこともできる。この場合、「押し順ベル」は、6通りに限らず、3通りの「押し順ベル1~3」としてもよい。
また、第1リール停止操作時に停止した図柄の種類も組み合わせに加えることで、12通り以上になるようにしてもよい。
【0036】
スイカ役(「スイカ」)は、入賞ライン上に「ベル・スイカ・ベル」の図柄の組合せが停止表示する。
チャンス役(「チャンス目」)は、入賞ライン上に「ベル・スイカ・リプレイ」の図柄の組合せが停止表示する。
チェリー役には、「弱チェリー」と「強チェリー」が設けられている。
「弱チェリー」は、入賞ライン上に「チェリー・チェリー・ベル」などの図柄の組合せが停止可能であり、「強チェリー」は、入賞ライン上に「チェリー・チェリー・チェリー」などの図柄の組合せが停止可能である。
リプレイ役(「通常リプレイ」)は、押し順に関係なく図柄の組合せが揃い、入賞ライン上に「リプレイ・リプレイ・リプレイ」の図柄の組合せが停止表示する。
【0037】
「特殊役」は、
図4(b)に示すように、「押し順ベル」の正解押し順に対応した図柄の組合せ(「ベル・ベル・ベル」:第1停止態様)が停止可能な「特殊役A」と、リール41aの停止図柄が「白7」図柄又は「バー」図柄からなる図柄の組合せ(「白7・ベル・リプレイ」、「白7・ベル・ベル」、「バー・ベル・リプレイ」、「バー・ベル・ベル」:第2停止態様)が停止可能な「特殊役B」によって構成される。
すなわち、内部抽選処理の抽選結果が「特殊役」(特定抽選結果)の場合には、上記1通りの図柄の組合せに対応した特殊役Aと、上記4通りの図柄の組合せに対応した特殊役Bに重複当選し、これら5通りの図柄の組合せが停止表示可能な状態となる。
【0038】
また、「特殊役」は、停止ボタン5a~5cの押し順や目押し操作に応じて停止表示する図柄の組合せが異なる当選役である。
具体的には、第1リール停止操作時の停止ボタン5の押し順に応じて停止表示される図柄の組合せが異なるようになっている。
例えば、第1リール停止操作時において、停止ボタン5b又は5cが操作された場合には、第3リール停止操作後、「特殊役A」に対応する図柄の組合せ(「ベル・ベル・ベル」)が入賞ライン上に停止表示する(
図4(c)参照)。
【0039】
また、第1リール停止操作時において、停止ボタン5aが操作された場合には、第3リール停止操作後、「特殊役B」に対応する図柄の組合せ(「白7・ベル・リプレイ」、「バー・ベル・リプレイ」等)が入賞ライン上に停止表示可能である(
図4(c)参照)。
この「特殊役B」に対応する図柄の組合せが停止表示する条件としては、第1リール停止操作時の押し順に加えて、特定のタイミングで目押し操作がされた場合に、停止表示がされる。
具体的には、第1リール停止操作時において、図柄番号11~20のうち何れかの図柄が、リール41aの入賞ライン上に引き込み可能なタイミングで停止ボタン5aが操作された場合には、「特殊役B」に対応する図柄が入賞ライン上に停止する。
【0040】
より具体的には、図柄番号16~20のうち何れかの図柄が、リール41aの入賞ライン上に引き込み可能なタイミングで停止ボタン5aが操作された場合には、図柄番号16の「バー」図柄が入賞ライン上に停止する。そのため、第3リール停止操作後には、「バー・ベル・リプレイ」又は「バー・ベル・ベル」の図柄の組合せが停止表示することになる。
また、図柄番号11~15のうち何れかの図柄が、リール41aの入賞ライン上に引き込み可能なタイミングで停止ボタン5aが操作された場合には、図柄番号11の「白7」図柄が入賞ライン上に停止する。そのため、第3リール停止操作後には、「白7・ベル・リプレイ」又は「白7・ベル・ベル」の図柄の組合せが停止表示することになる。
一方、図柄番号11~20以外(図柄番号1~10)の図柄が、リール41aの入賞ライン上に引き込み可能なタイミングで停止ボタン5aが操作された場合には、「ベル」図柄が入賞ライン上に停止し、第3リール停止操作後には、「特殊役A」に対応する「ベル・ベル・ベル」の図柄の組合せが停止表示することになる。
【0041】
このようなリール41の制御は、本実施形態に係るスロットマシン1が、停止可能な図柄の組合せ数が多い図柄を優先して引き込むリール制御(以下、「組合せ数優先制御」という)と、メダルの払出数が多い図柄の組合せを優先して引き込むリール制御(以下、「枚数優先制御」という)を採用することにより実現することができる。
「組合せ数優先制御」は、第1リール停止操作時において、停止ボタン5aが操作された場合に、主制御部10によってリール41aの制御が行われる。
例えば、内部抽選処理において「特殊役」に当選した場合、第1リール停止操作時に、図柄番号11~20のうち何れかの図柄が、入賞ライン上に引き込み可能なタイミングで停止ボタン5aが操作された場合には、「特殊役A」に対応する図柄の組合せ(「ベル・ベル・ベル」)と、「特殊役B」に対応する図柄の組合せ(「白7・ベル・リプレイ」、「白7・ベル・ベル」、「バー・ベル・リプレイ」、「バー・ベル・ベル」)の5通りの図柄の組合せが停止可能である。
この場合、「組合せ数優先制御」によって、リール41aにおいて停止可能な図柄の組合せ数が相対的に多い(組合せ数が2通り)「バー」図柄や「白7」図柄を、停止可能な図柄の組合せ数が相対的に少ない(組合せ数が1通り)「ベル」図柄よりも優先的に引き込むように制御することができる。
【0042】
「枚数優先制御」は、第1リール停止操作時において、停止ボタン5b又は停止ボタン5cが操作された場合に、主制御部10によってリール41b又はリール41cの制御が行われるようになっている。
例えば、内部抽選処理において「特殊役」に当選した場合、
図5に示すように、「特殊役A」に対応する図柄の組合せ(「ベル・ベル・ベル」)が停止した場合には、10枚のメダルが払い出され、「特殊役B」に対応する図柄の組合せ(「白7・ベル・リプレイ」、「白7・ベル・ベル」、「バー・ベル・リプレイ」、「バー・ベル・ベル」)が停止した場合には、1枚のメダルが払い出されるようになっている。
この場合、「枚数優先制御」により、メダルの払出数が相対的に多い(払出数が「10枚」)「特殊役A」に対応する図柄の組合せを構成する「ベル」図柄を、メダルの払出数が相対的に少ない(払出数が「1枚」)「特殊役B」に対応する図柄の組合せを構成する他の図柄(「白7」図柄、「バー」図柄)よりも優先的に引き込むように制御することができる。
【0043】
このように、本実施形態に係るスロットマシン1では、「組合せ数優先制御」を採用することで、非AT状態中に、第1リール停止操作時において、リール41aについて図柄番号11~20のうち何れかの図柄を下段に狙って遊技を進行することで、「特殊役」に当選した場合には、メダルの払出数が相対的に少ない「特殊役B」に対応する図柄の組合せを停止表示することができる。
一方、リール41aについて図柄番号1~10のうち何れかの図柄を下段に狙って遊技を進行することで、「特殊役」に当選した場合には、メダルの払出数が相対的に多い「特殊役A」に対応する図柄の組合せを停止表示することができる。
【0044】
このように、「特殊役」に当選した場合には、遊技者の操作によって、「特殊役A」と「特殊役B」の何れかに入賞させるかを選択することができるため、その結果、非AT状態中に遊技者が獲得可能なメダルの枚数が変化するようになっている。
すなわち、非AT状態中では、「特殊役B」を入賞させるための停止操作を選択した場合よりも、「特殊役A」を入賞させるための停止操作を選択した場合の方が、メダルの消費を抑制した状態(所謂コイン持ちが高い状態)で遊技が進行可能な遊技性を有している。
【0045】
また、本実施形態に係るスロットマシン1では、「枚数優先制御」を採用することで、AT状態中に「特殊役」に当選した場合には、第1リール停止操作時において、停止ボタン5b又は停止ボタン5cを操作することで、リール41a(左リール)について図柄番号1~10の図柄の目押し操作をすることなく、「特殊役A」に対応する図柄の組合せを停止表示することができる。
そのため、遊技者は、AT状態中に「特殊役」に当選する度に、リール41aにおける目押し操作をすることなく、メダルの払出数が相対的に多い「特殊役A」を入賞させることができ、快適に遊技を実行することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、「組合せ数優先制御」は、第1リール停止操作時において、停止ボタン5aが操作された場合にのみ、主制御部10によってリール41aの制御が行われる場合を想定しているが、これに限らず、第1リール停止操作時において、停止ボタン5b又は停止ボタン5cが操作された場合についても、同様の制御を行ってもよい。
これにより、「特殊役」の当選時に、誤って、停止ボタン5b又は停止ボタン5cを操作した場合でも、「特殊役B」を入賞させることが可能になる。
また、本実施形態では、非AT状態中に「特殊役」に当選した場合には、「特殊役」に当選した旨の報知を行わないことを想定しているが、これに限らず、「特殊役」に当選した旨の報知を行ってもよい。例えば、第1リール停止操作前に、リール41aについて、「特殊役A」を入賞可能な操作タイミング(図柄番号1~10の図柄の目押し操作)と、「特殊役B」を入賞可能な操作タイミング(図柄番号11~20の図柄の目押し操作)を表示器8等で報知してもよい。
なお、「特殊役」に当選した旨を報知する場合は、後述する有利区間中のみ報知することが好ましいが、通常区間中においても報知してもよい。
【0047】
ボーナス役には、対応する図柄の組合せが「赤7・赤7・赤7」である「ボーナス」が設けられている。
「ボーナス」は、後述するRT状態のうちRT0滞在中に抽選対象となる当選役であり、当選したゲームでのみ、入賞させることができ、入賞すると、ボーナス状態(RT2)に移行する。
また、「ボーナス」は、3ベットが設定されたゲーム(3ベットゲーム)でのみ当選し、他の小役と当選が重複せずに単独で当選する。なお、これに限らず、他の小役(例えば、チャンス役やチェリー役)に当選した場合の一部で、重複当選するようにしてもよい。
【0048】
また、ボーナス役は、主制御部10により、当選したゲーム及び当該ゲーム以降のゲームにおいても対応する図柄の組合せが停止しない限り、「ボーナス」に当選した権利を持ち越すことが可能な持越し制御の対象役である。
このため、「ボーナス」に対応する図柄の組合せが停止表示するまでの期間は、「ボーナス」当選の権利を持ち越している持越し状態となる。
一方、「ボーナス」に対応する図柄の組合せが停止表示する(「ボーナス」が入賞する)と、ボーナス状態に移行し、当該ボーナス状態の終了後に「ボーナス」当選の権利を持ち越していない非持越し状態となる。
すなわち、持越し状態では、ボーナス役に当選しているが、未だボーナス役に対応する図柄の組合せが停止していない状態(以下、この状態をボーナス当選状態という)を示し、非持越し状態では、ボーナス役に当選していない状態(以下、この状態をボーナス非当選状態という)を示している。
【0049】
また、主制御部10は、ボーナス当選状態において、異なる役が重複した場合に、一方の役に対応する図柄の組合せを優先的にリール41に停止させる優先停止制御を行うように動作し、ボーナス役に対応する図柄の組合せは、最も優先順位の低い役に設定されている。
したがって、ボーナス当選状態のゲームにおいて、ボーナス役が当選している状態であっても、当該ゲームにおいて、例えばリプレイ役に当選した場合には、ボーナス役に対応する図柄の組合せはリール41に停止させることはできず、リプレイ役に対応する図柄の組合せがリール41に停止することとなり、ボーナス役に当選した状態が以降のゲームにおいて持ち越されることとなる。
【0050】
以上説明したような図柄の組合せに基づいて、小役、リプレイ役、ボーナス役の入賞の有無がそれぞれ判定され、判定の結果、入賞と判定した場合には、
図5に示す「配当テーブル」に基づいて遊技価値が付与される(メダルが払い出される)。
図5に示すように、「特殊役」の当選時に、「特殊役A」に対応する図柄の組合せが停止した場合には、10枚のメダルが払い出され、「特殊役B」に対応する図柄の組合せが停止した場合には、1枚のメダルが払い出される。
また、「押し順ベル1~6」の当選時に、正解押し順で停止ボタン5a~5cが操作された場合には、「特殊役A」と同様の図柄の組合せが停止し、10枚のメダルが払い出される。
一方、「押し順ベル1~6」の当選時に、不正解押し順で停止ボタン5a~5cが操作された場合には、対応する図柄の組合せが停止されず、押し順ベルこぼし目が停止し、規定枚数のメダルは払い出されず、1枚のメダルが払い出される。
なお、本実施形態では、「特殊役A」に対応する図柄の組合せが、「押し順ベル1~6」の当選時に正解押し順で停止ボタン5a~5cが操作された場合の図柄の組合せと同一とし、メダルの払い出し数も同数としているが、これに限らず、異なる図柄の組合せとしてもよく、メダルの払い出し数も異ならせてもよい。
【0051】
また、「チャンス目」に対応する図柄の組合せが停止した場合には、3枚のメダルが払い出される。
また、「スイカ」に対応する図柄の組合せが停止した場合には、3枚のメダルが払い出される。
また、「通常リプレイ」に対応する図柄の組合せの停止表示により、次ゲームにおいてメダルの投入を行うことなく、再遊技が可能な状態となる。
また、「弱チェリー」、「強チェリー」に対応する図柄の組合せが停止した場合には、1枚のメダルが払い出される。
なお、本実施形態では、ベット数に関わらずメダルの払い出し数を同数としているが、ベット数に応じてメダルの払い出し数を異ならせてもよい。
また、各役に対応する図柄の組合せが停止表示した場合に払い出されるメダルの数は、上記した枚数以外でもよい。
【0052】
(各当選役の当選確率)
次に、
図6を参照して、各役の当選確率について説明する。
図6は、ボーナス役に関わる各状態(ボーナス非当選状態、ボーナス当選状態、ボーナス状態)でのゲーム実行時において、各役の抽選に用いられる内部抽選テーブルを示している。
内部抽選テーブルは、主制御部10による内部抽選処理において取得する乱数値の取得範囲(個数)を65536個とし、そのうちの当たり値(当選)の個数を各々示している。
また、
図6に示す内部抽選テーブルは、3ベットゲームにおける各当選役の当選確率を示しており、確率設定手段により設定された設定値が設定1~6において、全設定値共通の場合を示している。
【0053】
図6に示すように、3ベットゲームにおける各当選役の当選確率は、次の通りである。
「押し順ベル1~6」の各々は、ボーナス非当選状態及びボーナス当選状態において、当選確率が7610/65536で設定されている。
「特殊役」は、ボーナス非当選状態及びボーナス当選状態において、当選確率が2957/65536で設定されている。
「チャンス目」は、ボーナス非当選状態及びボーナス当選状態において、当選確率が256/65536で設定されている。また、ボーナス状態において、当選確率が65536/65536で設定されている。すなわち、ボーナス中は、「チャンス目」のみが当選する。
「スイカ」は、ボーナス非当選状態及びボーナス当選状態において、当選確率が900/65536で設定されている。「弱チェリー」は、ボーナス非当選状態及びボーナス当選状態において、当選確率が1000/65536で設定されている。「強チェリー」は、ボーナス非当選状態及びボーナス当選状態において、当選確率が80/65536で設定されている。
【0054】
「ボーナス」は、ボーナス非当選状態において当選確率が3077/65536で設定されている。
「通常リプレイ」は、ボーナス非当選状態において当選確率が9170/65536、ボーナス当選状態において当選確率が14683/65536で設定されている。
また、「ハズレ」は、ボーナス非当選状態において当選確率が2436/65536で設定されている。
【0055】
なお、
図6に示す「内部抽選テーブル」では、全設定値共通の場合を示しているが、これに限らず、設定値に応じて当選確率が変動する当選役と、設定値に応じて当選確率が変動しない当選役を設けてもよい。
例えば、設定値に応じて当選確率が変動する当選役として、「チャンス目」、「スイカ」、「弱チェリー」、「強チェリー」、「通常リプレイ」を設定し、「通常リプレイ」は、高設定である程、当選確率が低くなるように設定し、「通常リプレイ」以外の当選役は、高設定である程、当選確率が高くなるように設定してもよい。
また、一部のレア役のみ高設定である程、当選確率が高くなるように設定してもよく、又は、低設定である程、レア役の当選確率が高くなるようにしてもよい。
また、「押し順ベル」等のレア役以外の当選役についても、高設定である程、当選確率が高くなるように設定してもよく、又は、低くなるように設定してもよい。
【0056】
本実施形態に係るスロットマシン1は、このような構成に加えて、以下に示すような遊技状態と、この遊技状態に基づく特徴的なゲーム性を備えている。
各遊技状態は、主制御部10が遊技状態制御手段として動作することにより、それぞれの遊技状態に制御(以下、移行ともいう)される。
【0057】
(RT状態)
まず、
図7を参照して、本実施形態に係るスロットマシン1が有するRT状態(以下、単にRTともいう)について説明する。
本実施形態に係るスロットマシン1は、RT状態として、RT0、RT1、RT2を有している。なお、本実施形態のRT状態は、3つであるが、2つ以下又は3つ以上であってもよい。
【0058】
RT0は、スロットマシン1のシステムリセット、設定値の変更(同じ設定値を設定し直した場合(設定値の打ち直し)も含む)及びRT2の終了を契機として突入する。
また、RT0は、3ベットゲーム中のボーナスの当選を契機として終了し、RT1に移行する(
図7の矢印a)。
このように、RT0は、予め遊技期間の定められた有限の遊技状態ではなく、ボーナスに当選しない限り、他の遊技状態に移行しない無限の遊技状態(無限RT)となっている。
【0059】
RT1は、ボーナスに対応した図柄の組合せが停止表示する(ボーナスに入賞する)ことで終了し、RT2に移行する(
図7の矢印b)。
すなわち、RT1は、ボーナスに当選してからボーナスが入賞するまで継続するようになっており、RT1では、ボーナス当選状態で遊技が進行される。
このように、RT1は、予め遊技期間の定められた有限の遊技状態ではなく、ボーナス役が入賞しない限り、他の遊技状態に移行しない無限の遊技状態(無限RT)となっている。
RT2は、ボーナス状態であり、3ベットでゲームが行われ、
図6に示すように「チャンス目」のみが当選可能な状態である。すなわち、RT2(ボーナス状態)では、実際に増加するメダルの純増枚数は「0枚」であり、遊技者は、メダルの増加を期待することができないようになっている。
そして、RT2は、メダルの払い出し数が所定数(例えば、60枚)に達すると終了し、RT0に移行する。
なお、RT2では、「チャンス目」のみが当選するようにしたが、それ以外の役が当選するようにしてもよい。例えば、「押し順ベル1~6」は、RT1と同一の確率で当選するようにし(夫々7610/65536の確率で当選するようにし)、「チャンス目」が19876/65536で当選するようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態のRT状態では、RT1からRT2へは、基本的に、移行しないように制御される。これは、次の理由によるものである。
RT0において「ボーナス」に当選した場合には、このボーナス当選ゲームでのみ、ボーナスに入賞可能ではあるものの、「ボーナス」に当選したことが報知されないため、遊技者は、基本的に、ボーナスに対応する図柄の組合せを停止表示させることが困難である。
そのため、ボーナス当選ゲームの次ゲームから、「ボーナス」当選の権利を持ち越した状態で、RT1(ボーナス当選状態)へ移行することになる。
また、RT1中は、
図6に示すように、ボーナスの入賞が可能なタイミングである「ハズレ」に当選しないため、ボーナスには入賞しないようになっている。
このようなことから、本実施形態に係るスロットマシン1は、基本的に、RT1からRT2へ移行することはなく、一旦、RT0からRT1に移行した場合には、スロットマシン1のシステムリセットが行われない限り、RT1に制御された状態で遊技が進行するようになっている。
なお、これに限らず、RT1中に、「ハズレ」に所定の確率(例えば、1/200の確率)で当選可能とし、「ハズレ」の当選を契機に、RT1中にボーナスに入賞可能にしてもよい。
【0061】
また、本実施形態のスロットマシン1は、「押し順ベル1~6」に関する遊技状態として、AT(アシストタイム)に制御可能となっている。
ATは、内部抽選処理によって「押し順ベル1~6」に当選すると、副制御部20が表示器8等を制御することにより、特定情報(停止ボタン5に対する押し順や目押しの目安となる図柄等)を報知する制御を行うことで、対応する図柄の組合せを停止可能に報知する遊技状態である。このため、AT中は、非AT中に比べて出玉スピードが速くなる。
本実施形態では、ATで制御されている期間をAT状態としている(
図8参照)。
【0062】
例えば,押し順の報知は、「押し順ベル1」に当選した場合には、「1」、「2」、「3」の文字情報からなる押し順を、左から順に表示器8に表示し、「左」、「中」、「右」の音声をスピーカ9から出力し、ナビランプ12を、12a(左)、12b(中)、12c(右)の順で点灯することにより、停止ボタン5の押し順を報知する。
なお、本実施形態では、表示器8、ナビランプ12、スピーカ9等の報知手段によって押し順がナビゲートされることを「押し順ナビ」ともいう。
非AT状態では、内部抽選処理の当選結果が「押し順ベル1~6」であっても、停止ボタン5の押し順が報知されない。このため、遊技者は、操作した停止ボタン5の操作順序が、偶然に当選した「押し順ベル1~6」に対応する押し順と一致しない限り、基本的に、当選した「押し順ベル1~6」に対応する図柄の組合せを、停止表示させることができない。詳細は後述するが、本実施形態では、準備状態と通常遊技状態が、非AT状態に制御される遊技状態である。
このため、スロットマシン1の遊技性は、遊技者がAT状態に長時間滞在するような遊技を行うことにより、出玉を増やすといったものになる。
【0063】
(通常区間、有利区間)
本実施形態に係るスロットマシン1の遊技は、遊技区間として通常区間と有利区間を有する。
具体的には、通常区間は押し順ナビ(特定情報)を報知不能な遊技区間であり、有利区間は押し順ナビ(特定情報)を報知可能な遊技区間である。
そして、主制御部10が区間制御手段として動作することにより、通常区間と有利区間との移行の制御を行うようになっている。
【0064】
通常区間は、スロットマシン1におけるシステムリセットが実行された場合や、設定値が変更(設定値の打ち直しも含む)された場合に滞在する。
また、後述する「有利区間から通常区間への移行条件」が成立した場合には、有利区間から通常区間に突入する。
また、通常区間は、常に、非AT状態に制御されており、本実施形態では、遊技状態のうち準備状態が通常区間に区分される。
【0065】
通常区間は、内部抽選処理によりベル役又はレア役(以下、これらを有利区間移行役ともいう)に当選するまで継続し、通常区間中に有利区間移行役に当選すると、当該当選ゲームの第3リール停止操作後に、有利区間に移行する(
図8の矢印a)。
なお、有利区間移行役は、ベル役及びレア役以外の当選役としてもよい。
また、その他の条件(所定の当選役に対応する図柄の組合せの停止表示、所定の当選役に対応しない図柄の組合せの停止表示(押し順ベルこぼし目など))の成立を契機に通常区間から有利区間に移行するようにしてもよい。
有利区間は、非AT状態とAT状態に区分されており、本実施形態では、非AT状態として遊技状態のうち通常遊技状態が区分される。
【0066】
(有利区間から通常区間への移行条件)
有利区間から通常区間への移行は、例えば、次に示す条件の成立によって移行する。
・AT状態中にATゲーム数を消化した場合
有利区間中に、AT状態中に付与されるATゲーム数が「0」に到達した場合には、有利区間が終了して通常区間に移行する(
図8の矢印d)。
・有利区間リミッタに到達した場合
有利区間中に、有利区間リミッタに到達した場合には、有利区間が終了して通常区間に移行する(
図8の矢印c)。
「有利区間リミッタ」とは、「有利区間中に実行されたゲーム回数が、リミッタ値に到達したこと」、又は、「有利区間中の獲得枚数(差枚数)が、リミッタ値に到達したこと」の何れかの条件を満たすことである。
具体的には、後述するカウンタA又はカウンタBの示す値が、リミッタ値に到達した場合である。
【0067】
なお、上記の「有利区間から通常区間への移行条件」は、一例であり、これに限らず、例えば、「少なくとも1回の押し順ベルの報知がされたこと」、「ボーナス役に対応した図柄の組合せが停止表示されたこと」等を含めてもよい。
また、有利区間中に所定の当選役(通常区間移行役)に当選したことを契機に、通常区間に移行するようにしてもよい。例えば、押し順に応じて停止表示される図柄の組合せが異なる当選役である「押し順リプレイ」を設け、この押し順リプレイの当選を契機に、正解押し順に従って停止ボタン5a~5cが操作された場合には、有利区間が終了して通常区間に移行するようにしてもよい。
【0068】
また、有利区間に滞在中は、基本的に、有利区間ランプ13が点灯される。
なお、興趣の低下を防止するために、実際にメダルの増加が見込める状態中のみ点灯させるようにしてもよい。例えば、通常遊技状態中は、有利区間ランプ13を点灯しないようにしてもよい。
【0069】
(遊技に関するカウンタ)
有利区間中は、主制御部10が計数手段として動作することにより、以下に示すカウンタに関する情報をRAMに記憶する。
・カウンタA…有利区間中のゲーム回数の計数値
・カウンタB…有利区間中の獲得枚数(差枚数)の計数値
・カウンタC…AT状態中のゲーム回数の計数値
・カウンタD…AT状態中の獲得枚数(差枚数)の計数値
・カウンタE…天井ゲーム数の計数値
・カウンタF…ATモード決定用ポイントの計数値
【0070】
カウンタA及びカウンタBは、有利区間リミッタに関するカウンタである。
具体的には、主制御部10は、通常区間から有利区間に移行すると、有利区間中に実行したゲーム回数の計数(カウンタA)と、有利区間中に獲得したメダル枚数の計数(カウンタB)を開始し、カウンタAの示す値がリミッタ値(1500ゲーム)に到達した場合、又は、カウンタBの示す値がリミッタ値(2400枚)に到達した場合に、有利区間を強制的に終了する。
【0071】
カウンタBは、差枚数で管理されるため、今回ゲームにおいてベット数よりも払出枚数が多い当選役に入賞した場合には、カウンタBの値は増加し、ベット数よりも払出枚数が少ない当選役に入賞した場合は、カウンタBの値は減少する。
例えば、カウンタBの値が「100」の時点で、3ベット遊技が実行されて払出枚数10枚の押し順ベル(ベット数よりも払出枚数が多い当選役)に対応する図柄の組合せが停止表示された場合には、差枚数である「7」(=10-3)がカウンタBの値に加算されて、カウンタBの値が「107」となる。
一方、3ベット遊技が実行されて払出枚数1枚のチェリー役(ベット数よりも払出枚数が少ない当選役)に対応する図柄の組合せが停止表示された場合には、差枚数である「2」(=3-1)がカウンタBの値から減算されて、カウンタBの値が「98」となる。
また、カウンタBの値がマイナスの値となった場合には、カウンタBの値を「0」に(初期化)するようになっている。例えば、カウンタBの値が「0」の時点で、3ベット遊技が実行されて「ハズレ」に当選した場合には、差枚数である「3」(=3-0)がカウンタBの値から減算されるものの、カウンタBの値が「0」に補正される。
【0072】
カウンタCは、AT状態中に実行したゲーム回数を計数するカウンタであり、主制御部10は、非AT状態からAT状態に移行すると計数を開始する。
カウンタDは、AT状態中に獲得したメダル枚数を計数するカウンタであり、主制御部10は、非AT状態からAT状態に移行すると計数を開始する。
カウンタCとカウンタDは、AT状態の開始時に、初期値として、例えば「0」がセットされる。また、カウンタCの値やカウンタDの値は、AT状態中に表示器8において、「残りAT差枚数」や「残りゲーム数」として表示される。
【0073】
カウンタEは、通常遊技状態リミッタ(通常遊技状態の上限遊技回数)に関するカウンタである。
具体的には、主制御部10は、後述する天井ゲーム数抽選において決定した天井ゲーム数をカウンタEにセットし、このカウンタEを毎ゲーム、1減算して、計数する。
そして、主制御部10は、カウンタEの示す値が「0」に到達した場合(以下、天井ゲーム数に到達した場合、ともいう)、通常遊技状態からAT状態に移行する。
【0074】
カウンタFは、ATモード決定用ポイントに関するカウンタである。
具体的には、主制御部10は、後述するATモード決定用ポイント抽選において決定したATモード決定用ポイントを、カウンタFの値に加算(計数)する。
すなわち、カウンタFは、内部抽選処理において特殊役に当選するごとに加算(計数)され、累積して記憶されたカウンタFの値が、後述するATモード抽選において参照されるようになっている。
なお、各カウンタの値は、有利区間の終了を契機に消去される(初期化される)。
【0075】
(各遊技状態の詳細)
次に、
図8を参照して、本実施形態に係るスロットマシン1の各遊技状態と、各遊技状態の遷移及び各遊技状態に基づくゲーム性について説明する。
なお、主制御部10は、通常区間及び有利区間の移行制御と、RT0~RT2間の移行制御と、
図8に示す各遊技状態間の移行制御とを、独立して行うことができる。ただし、前述したように、本実施形態の遊技は、基本的にRT1で行われるため、各遊技状態の遊技は、基本的に、RT1に滞在した状態で行われる。
以下、特に説明がない場合には、各遊技状態から他の遊技状態への移行タイミングは、基本的に、移行条件が成立した遊技の第3リール停止操作後(若しくは、メダルの払い出し終了後)である。なお、これに限定されず、移行条件の成立後、次ゲームから移行してもよい。
【0076】
図8に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、遊技状態として、準備状態(第1遊技状態)、通常遊技状態(第2遊技状態)及びAT状態(第3遊技状態)を含む複数の遊技状態を有しており、所定の移行条件が成立することに基づいて、遊技状態間を移行するようになっている。
【0077】
(準備状態)
準備状態は、通常区間に区分されるため、スロットマシン1におけるシステムリセットが実行された場合、設定値が変更(設定値の打ち直しも含む)された場合に滞在する。
また、上述した「有利区間から通常区間への移行条件」が成立した場合、準備状態に突入する(
図8の矢印c、d)。
準備状態の終了は、内部抽選処理により有利区間移行役に当選(有利区間移行条件が成立)した場合に、通常遊技状態へ移行することで終了する(
図8の矢印a)。
このように、主制御部10は、準備状態中に有利区間移行条件(第1条件)が成立したと判断した場合には、有利区間(通常遊技状態)に移行するように制御し、有利区間移行条件(第1条件)が成立していないと判断した場合には、通常区間(準備状態)を維持するように制御する。
すなわち、準備状態の滞在期間は極めて短く、遊技中は、ほぼ準備状態以外の遊技状態に滞在することになる。
なお、準備状態から通常遊技状態へ移行においては、通常前兆状態を経由して移行してもよい。例えば、有利区間移行役の当選を契機に、所定ゲーム数(例えば、5ゲーム)の通常前兆演出を表示器8において実行してもよい。
【0078】
準備状態では、有利区間移行役の当選を契機に「天井ゲーム数抽選」が実行される。
具体的には、主制御部10は、
図9に示す「天井ゲーム数抽選テーブル」を参照することで、確率設定手段により設定される設定値に基づいて天井ゲーム数を決定する。
「天井ゲーム数」とは、有利区間の開始後、AT状態へ移行するまでの期間に変化を与えるものであり、通常遊技状態に移行してからAT状態へ移行するまでのゲーム数を示している。
主制御部10は、有利区間中に、天井ゲーム数に到達したと判断すると(カウンタEの示す値が「0」に到達すると)、有利区間を継続させ、遊技状態をAT状態に移行するように制御する(
図8の矢印b)。
【0079】
例えば、設定1が設定されている場合には、32/256の確率で天井ゲーム数として「100ゲーム」が選択され、16/256の確率で「200ゲーム」が選択され、48/256の確率で「300ゲーム」が選択され、128/256の確率で「500ゲーム」が選択され、32/256の確率で「700ゲーム」が選択されるように設定されている。
また、設定6が設定されている場合には、64/256の確率で天井ゲーム数として「100ゲーム」が選択され、128/256の確率で「200ゲーム」が選択され、32/256の確率で「300ゲーム」が選択され、24/256の確率で「500ゲーム」が選択され、8/256の確率で「700ゲーム」が選択されるように設定されている。
また、天井ゲーム数抽選において決定された天井ゲーム数は、カウンタEにセットされる。
【0080】
このように、全体的な傾向として、確率設定手段により高い設定値が設定される場合の方が、小さい数の天井ゲーム数が選択される確率が高くなるように設定されている。
また、確率設定手段における設定値が偶数値の場合と奇数値の場合とで、決定される天井ゲーム数に特徴が出るような振り分け値となっているので、設定値に応じてAT状態に移行するまでの期間の長さが変化することとなり、遊技内容を多彩化でき、興趣性を向上させることが可能となる。
また、遊技者は、決定された天井ゲーム数によって設定値をある程度推測することも可能となるので、遊技の興趣性も向上させることが可能である。
【0081】
なお、これに限らず、確率設定手段により低い設定値が設定される場合の方が、小さい数の天井ゲーム数が選択される確率が高くなるようにしてもよい。また、全ての設定値において共通の天井ゲーム数を決定してもよい。
また、今回ゲームの当選役に基づいて天井ゲーム数を決定してもよい。例えば、レア役以外の当選役に当選した場合よりも、レア役に当選した方が、小さい数の天井ゲーム数が選択される確率が高くなるようにしてもよい。
【0082】
(通常遊技状態)
通常遊技状態は、非AT状態に制御され、準備状態の終了後に突入し(
図8の矢印a)、天井ゲーム数に到達するまで継続する遊技状態である。
通常遊技状態中に、遊技の進行により天井ゲーム数に到達すると、AT状態に移行する(
図8の矢印b)。
そのため、通常遊技状態は、遊技を続けることで、遊技者の手持ちのメダルが漸次減少する遊技者にとって不利な遊技状態であり、遊技者は、一刻も早く天井ゲーム数に到達して、AT状態に移行することを望みながら遊技を行うことになる。
なお、通常遊技状態からAT状態への移行においては、AT状態への当選の期待感を高めるためのAT前兆状態又はATガセ前兆状態を経由して移行してもよい。
例えば、天井ゲーム数に到達する所定ゲーム数(例えば、10ゲーム)前から表示器8において前兆演出を開始し、天井ゲーム数に到達したゲーム(前兆演出の最終ゲーム)でAT状態に移行することを報知してもよい。
【0083】
通常遊技状態中は、停止ボタン5a~5cの操作態様に応じて、メダルの消費が少なくなるように又はメダルの消費が多くなるように、遊技者が選択して遊技を進めることができる。
具体的には、上述した「特殊役A」を入賞させるための停止操作(特定操作態様による停止操作)を行って遊技を進行することで、「特殊役」が当選した場合には、「特殊役A」を確実に入賞させて差枚数「7枚」を獲得することが可能である。
一方、上述した「特殊役B」を入賞させるための停止操作(非特定操作態様による停止操作)を行って遊技を進行することで、「特殊役」が当選した場合には、「特殊役A」の入賞を回避して、差枚数「2枚」を消費(-2枚獲得)することが可能である。
このように、本実施形態では、通常遊技状態中に、高ベースとなる停止操作(特定操作態様による停止操作)を行うか、低ベースとなる停止操作(非特定操作態様による停止操作)を行うかを遊技者が選択できるため、「特殊役A」を入賞させて遊技を進めるか否かを遊技者が選択することが可能になっている。
【0084】
また、通常遊技状態では、内部抽選処理において特殊役に当選した場合、遊技者に付与するポイントを決定するATモード決定用ポイント抽選が実行される。
具体的には、主制御部10が本発明に係る決定手段として動作することにより、特殊役に対応する図柄の停止態様に基づいて、複数のポイント値の中から付与するポイント(以下、ATモード決定用ポイント:特定値)を決定する。
例えば、主制御部10は、
図10に示す「ATモード決定用ポイント抽選テーブル」を参照することで、入賞役に基づいて付与するATモード決定用ポイントを抽選により決定する。
例えば、「特殊役A」が入賞(第1停止態様で図柄の組合せが停止表示)した場合には、256/256の確率で「1」が選択され、「2」以上は選択されないように設定されている。
また、「特殊役B」が入賞(第2停止態様で図柄の組合せが停止表示)した場合には、56/256の確率で「2」が選択され、50/256の確率で「3」が選択され、50/256の確率で「4」が選択され、50/256の確率で「5」が選択され、50/256の確率で「6」が選択され、「1」は選択されないように設定されている。
そして、ATモード決定用ポイント抽選において決定されたATモード決定用ポイントは、決定されるごとに計数(加算)されて、累積して記憶される(カウンタFの値)。
【0085】
このように、特殊役に当選した場合には、「特殊役B」が入賞した方が、「特殊役A」が入賞するよりも大きなATモード決定用ポイントが決定され易いようになっている。
そのため、遊技者は、通常遊技状態中に「特殊役B」を入賞させるための停止操作(非特定操作態様による停止操作)を行って遊技を進行することで、ATモード決定用ポイントを貯め易く、一方、「特殊役A」を入賞させるための停止操作(特定操作態様による停止操作)を行って遊技を進行することで、ATモード決定用ポイントを貯め難くすることができる。
そして、通常遊技状態中に貯めたATモード決定用ポイントの合計数は、後述するATモード決定抽選において参照されるようになっている。
【0086】
なお、特殊役に対応する図柄の停止態様に基づいて、ATモード決定用ポイントを決定する場合で説明したが、これに限らず、例えば、特殊役の当選時におけるメダルの払出数や差枚数に基づいて、ATモード決定用ポイントを決定してもよい。
例えば、特殊役当選時に「1枚」の払い出しがされた場合には、大きなATモード決定用ポイントが決定され易く、特殊役当選時に「10枚」の払い出しがされた場合には、小さなATモード決定用ポイントが決定され易いようにしてもよい。
あるいは、「2枚」差枚数が減少した場合には、大きなATモード決定用ポイントが決定され易く、「7枚」差枚数が増加した場合には、小さなATモード決定用ポイントが決定され易いようにしてもよい。
【0087】
また、ATモード決定用ポイント抽選では、プラスの値のポイントが付与される場合で説明したが、これに限らず、マイナスの値や「0」のポイントが付与されるように設定してもよい。また、所定数のポイントを一律で付与するようにしてもよい。
また、ATモード決定用ポイント抽選において決定されたATモード決定用ポイントと、その合計値については、遊技者に対して非報知とすることを想定しているが、これに限らず、表示器8等で報知又は示唆してもよい。例えば、通常遊技状態において、ATモード決定用ポイントが決定されたタイミングでATモード決定用ポイントを報知してもよく、また、天井ゲーム数に到達したタイミングでATモード決定用ポイントの合計値を報知してもよい。
また、通常遊技状態において、通常確率状態と高確率状態を備えることで、滞在中の確率状態に応じてATモード決定用ポイント抽選において決定されるポイント数が異なるようにしてもよい。例えば、通常確率状態に制御されているよりも高確率状態に制御されているほうが、大きいポイントが決定され易いようにしてもよい。
【0088】
なお、通常遊技状態中は、天井ゲーム数が、毎ゲーム、1ゲーム減算されることを想定しているが、これに限らず、2ゲーム以上減算されるようにしてもよい。
例えば、今回ゲームの当選役に応じて天井ゲーム数を減算するための減算ゲーム数を、抽選により決定してもよい。
具体的には、主制御部10は、長さの異なる複数の期間(0、10、30、50ゲーム)のうち何れかの減算ゲーム数を抽選により決定してもよい。この場合、例えば、レア役以外の当選役に当選するよりも、レア役に当選した方が、より大きい減算ゲーム数が決定されるように設定してもよい。
これにより、レア役に当選した場合には、天井ゲーム数に到達するまでの期間が大幅に短縮される。特に、比較的当選確率が低いレア役(例えば、強チェリー)ほど、大きい減算ゲーム数が決定され易いので、遊技の興趣性を向上させることが可能となる。
なお、決定した減算ゲーム数が、天井ゲーム数を上回った場合には、この上回った分のゲーム数を持ち越してもよい。これにより、レア役の当選を契機に、多い減算ゲーム数が決定された際に減算ゲーム数が無駄になってしまうことを防ぐことができる。
【0089】
(AT状態)
AT状態は、当選した「押し順ベル1~6」の正解押し順が報知されるため、この正解押し順に従って遊技者が操作することで、遊技者の手持ちのメダルが一定の増加量で増加する遊技者にとって有利な遊技状態である。そのため、遊技者は、少しでも長い期間、AT状態に滞在することを望みながら遊技を行うことになる。
【0090】
AT状態は、通常遊技状態において天井ゲーム数に到達した場合に突入する(
図8の矢印b)。
本実施形態のAT状態は、ゲーム数管理型のATであり、ゲーム数(ATゲーム数)によって管理されて遊技が進行し、ATゲーム数を消化した場合に、有利区間の終了とともにAT状態が終了する。
AT状態中は、主制御部10から副制御部20に対して、AT状態に関する制御情報が送信され、副制御部20の制御により、表示器8において、AT状態中の各種演出画像や文字画像等の表示が行われる。例えば、表示器8において、AT状態中の獲得枚数(差枚数)、AT状態中の総ゲーム数等が表示される。
【0091】
また、AT状態は、複数のモード(ATモード)で管理されている。
例えば、ATモードA(特定第3遊技状態)、ATモードB(特定第3遊技状態又は特別第3遊技状態)、ATモードC(特別第3遊技状態)の3種類が設けられており、ATモードA<ATモードB<ATモードCの関係性に基づいて、AT状態中のメダル獲得の期待度が高くなるように設定されている。
【0092】
AT状態開始時のATゲーム数(初期ATゲーム数)は、ATモードに応じて付与されるようになっている。例えば、ATモードAが選択されている場合は「50ゲーム」、ATモードBが選択されている場合は「70ゲーム」、ATモードCが選択されている場合は「100ゲーム」が付与される。
なお、これに限らず、同一のゲーム数を付与してもよく、また、複数のゲーム数の中から抽選により初期ATゲーム数を決定してもよい。
【0093】
ATモードは、例えば、天井ゲーム数到達時に決定される。
具体的には、主制御部10は、
図11に示す「ATモード抽選テーブル」を参照することで、天井ゲーム数到達時のATモード決定用ポイントの合計値に基づいてATモードを抽選により決定する。
例えば、ATモード決定用ポイントの合計値が「40以上」の場合には、56/256の確率で「ATモードB」が選択され、200/256の確率で「ATモードC」が選択され、「ATモードA」は選択されないように設定されている。
また、ATモード決定用ポイントの合計値が「16~20」の場合には、128/256の確率で「ATモードA」が選択され、96/256の確率で「ATモードB」が選択され、32/256の確率で「ATモードC」が選択されるように設定されている。
また、ATモード決定用ポイントの合計値が「0~4」の場合には、253/256の確率で「ATモードA」が選択され、2/256の確率で「ATモードB」が選択され、1/256の確率で「ATモードC」が選択されるように設定されている。
【0094】
このように、通常遊技状態において、天井ゲーム数に到達した場合、ATモード決定用ポイントの合計値が小さい(第1特定値)場合よりも、天井ゲーム数到達時ATモード決定用ポイントの合計値が大きい(第2特定値)場合の方が、高い確率で、次回移行するAT状態を通常のAT状態よりも遊技者にとって有利な状態に制御可能である。
つまり、天井ゲーム数到達時のATモード決定用ポイントの合計値が大きいほど、出玉の期待度が高いATモードが選択される確率が高くなるように設定されている。
【0095】
したがって、通常遊技状態中に、特定操作態様による停止操作を選択して遊技を行うことで「特殊役A」を確実に入賞させて、メダルの消費を抑制した状態(所謂コイン持ちが高い状態)で遊技を進行する場合には、その後移行するAT状態では、メダル獲得期待度の低いAT状態に滞在する確率が高くなる。
一方、通常遊技状態中に、非特定操作態様による停止操作を選択して遊技を行うことで、「特殊役A」の入賞を回避して、メダルを多く消費する状態(所謂コイン持ちが低い状態)で遊技を進行する場合には、その後移行するAT状態では、メダル獲得期待度の高いAT状態に滞在する確率が高くなる。
つまり、通常遊技状態中にメダルを消費するほど、その後のAT状態中の出玉を期待することができる。
【0096】
そのため、遊技者は、出玉の波が緩やかな遊技性で遊技を楽しみたい場合には、通常遊技状態中に特定操作態様による停止操作によって「特殊役A」を入賞させて遊技を進行すればよく、その結果、メダルの消費を抑えた状態でAT状態(ATモード)に移行することができる。
一方、遊技者は、出玉の波が激しい遊技性で遊技を楽しみたい場合には、通常遊技状態中に非特定操作態様による停止操作によって「特殊役A」を入賞させずに、遊技を進行すればよく、その結果、多くの出玉が期待できるAT状態(ATモード)に移行することができる。
これにより、出玉の波を遊技者自ら選択することができるため、遊技者のニーズに応えることができる。
【0097】
なお、
図11に示す「ATモード抽選テーブル」では、全設定値共通の場合を示しているが、これに限らず、ATモードの決定を、確率設定手段により設定されている設定値に基づいて決定してもよい。例えば、設定されている設定値が高いほど、期待度の高いATモードが決定されるようにしてもよい。また、一部のATモードは、一部の設定値のみで決定されるようにしてもよい。
また、確率設定手段における設定値が偶数値の場合と奇数値の場合とで、決定されるATモードに特徴が出るような振り分け値としてもよい。例えば、奇数値であればATモードAの当選確率を高くし、偶数値であればATモードCの当選確率を高くしてもよい。
また、ATモード決定用ポイントに基づいてATモードを決定することに限らず、例えば、天井ゲーム数到達時における有利区間中の差枚数(カウンタBの値)や有利区間中のメダルの払出数に基づいてATモードを決定してもよい。
また、全てのATモードにおいてAT性能(初期ATゲーム数、上乗せ当選確率)を同一にし、AT状態中に獲得可能なメダル上限枚数をATモードごとに異ならせてもよい。例えば、ATモードAの場合は「200枚」、ATモードBの場合は「500枚」、ATモードCの場合は「1000枚」のように設定してもよい。
また、ATモードは、2つ以下又は4つ以上設けてもよい。
【0098】
次に、ATゲーム数の上乗せ抽選について説明する。
AT状態中は、所定の当選役に当選した場合、ATゲーム数に所定数のゲームが上乗せされる上乗せゲーム数抽選が行われる。
上乗せゲーム数抽選では、今回ゲームの当選役の種類と、滞在しているATモードに基づいて、上乗せがされるか否か及び上乗せするゲーム数(上乗せゲーム数)の抽選が行われる。
【0099】
具体的には、主制御部10は、
図12に示す「上乗せゲーム数抽選テーブル」を参照することで、上乗せゲーム数を抽選により決定する。
例えば、ATモードAに滞在している場合には、
図12(a)に示すように、「チャンス目」に当選した場合には、50/256の確率で「10ゲーム」が選択され、152/256の確率で「30ゲーム」が選択され、32/256の確率で「60ゲーム」が選択され、32/256の確率で「90ゲーム」が選択され、「0ゲーム」は選択されないように設定されている。
また、「スイカ」に当選した場合には、180/256の確率で「0ゲーム」が選択され、30/256の確率で「30ゲーム」が選択され、10/256の確率で「60ゲーム」が選択され、36/256の確率で「90ゲーム」が選択されるように設定されている。なお、「0ゲーム」が選択された場合には、上乗せが行われないことを示している。
また、「強チェリー」に当選した場合には、200/256の確率で「30ゲーム」が選択され、36/256の確率で「60ゲーム」が選択され、20/256の確率で「90ゲーム」が選択され、「0ゲーム」と「10ゲーム」は選択されないように設定されている。
【0100】
ATモードBに滞在している場合には、
図12(b)に示すように、ATモードAに滞在している場合よりも上乗せがされる確率が高く設定されており、且つ、大きい上乗せゲーム数が選択される確率が高くなるように設定されている。
また、ATモードCに滞在している場合には、
図12(c)に示すように、必ず上乗せがされるようになっており、ATモードA及びATモードBに滞在している場合よりも上乗せがされる確率が高く設定されており、且つ、大きい上乗せゲーム数が選択される確率が高くなるように設定されている。
【0101】
このように、当選役の種類に応じて、上乗せがされるか否か及び上乗せするゲーム数の抽選が行われる結果、種々の当選結果が導出されることとなり、多彩な遊技が実行されて、遊技の興趣性を向上させることが可能となる。
また、比較的当選確率が低いレア役ほど、上乗せ抽選に当選する確率が高くなっており、さらに、上乗せされる差枚数が大きくなっているので、遊技者の期待感をより高めることが可能となる。
また、滞在するATモードに基づいて上乗せに対する期待度が異なるので(ATモードA<ATモードB<ATモードCの関係性)、遊技者の期待感をより高めることが可能となる。
【0102】
なお、
図12に示す「上乗せゲーム数抽選テーブル」では、全設定値共通の場合を想定しているが、これに限らず、確率設定手段により設定されている設定値に基づいて上乗せゲーム数抽選を行ってもよい。例えば、設定値ごとの上乗せゲーム数抽選テーブルを設けることで、設定されている設定値が高いほど、上乗せ抽選に当選する確率が高く、大きい数の上乗せゲーム数が決定され易いようにしてもよい。
また、AT状態中に、レア役等に当選した場合には、上乗せゲーム数抽選に代えて、特定期間(例えば、10ゲーム)、上乗せに関する条件を容易にした特化ゾーンを発生可能としてもよい。例えば、特化ゾーン中は、他の遊技状態よりも、上乗せ当選確率を高めたり、多数のゲーム数を上乗せしたり等の制御が行われるようにしてもよい。
また、上乗せゲーム数抽選の契機は、「共通ベル」等のレア役以外の当選役の当選を契機にしてもよく、上乗せゲーム数も任意に設定することができる。
また、上乗せゲーム数としてプラスの値としたが、マイナスの値としてもよい。
また、ゲーム数の上乗せに代えて、セット数(例えば、50枚/1セット)の上乗せを行うようにしてもよい。
【0103】
以上のように、本実施形態に係るスロットマシン1は、遊技者が、通常遊技状態中に、「特殊役A」を入賞させないための停止操作(非特定操作態様による停止操作)を行って遊技を進行する方が、「特殊役A」を入賞させるための停止操作(特定操作態様による停止操作)を行って遊技を進行するよりも、ATモード決定用ポイントが貯まり易くなるように制御することができる。
そして、天井ゲーム数到達時に、通常遊技状態中に貯めたATモード決定用ポイントの合計数が大きいほど、その後移行するAT状態では多くの出玉が期待できるAT状態に滞在可能であり、一方、ATモード決定用ポイントの合計数が小さいほど、その後移行するAT状態では出玉が控えめなAT状態に滞在可能な遊技性を有している。
これにより、通常遊技状態中に、メダルを多く消費して遊技を進行するほど、つまり、「特殊役A」の入賞を回避するほど、その後のAT状態中に多くの出玉を期待できるので、遊技の興趣が低下してしまうことを防止できる。
また、通常遊技状態中に、メダルの消費を抑えて遊技を進めた場合でも、多くの出玉は期待できないものの確実にAT状態に移行することができる。
このように、本実施形態に係るスロットマシン1によれば、出玉の波を遊技者自ら選択することができるため、遊技者のニーズに応えることができる。
【0104】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
第1実施形態に係るスロットマシン1は、以下に示すような変形例とすることもできる。
【0105】
前述の実施形態では、特殊役に当選した場合、「特殊役B」が入賞した方が、「特殊役A」が入賞するよりも大きなATモード決定用ポイントが決定され易い場合で説明したが、これに限らず、「特殊役B」が入賞した方が、「特殊役A」が入賞するよりも小さなATモード決定用ポイントが決定され易いように設定してもよい。
この場合、ATモード抽選では、ATモード決定用ポイントの合計数が少ないほど、期待度の高いATモードに移行する確率が高くなるようにしてもよい。
【0106】
また、前述の実施形態では、「特殊役A」の入賞を回避した場合には、「特殊役B」が入賞する場合で説明したが、これに限らず、ボーナスに入賞するように制御してもよい。
例えば、特殊役の当選ゲームにおいて、特定のタイミングで目押し操作がされた場合、ボーナスに入賞可能な図柄の組合せが停止表示して、ボーナスに入賞可能としてもよい。この場合、ボーナス中は、通常遊技状態中に「特殊役A」の入賞を回避して遊技を進めるよりも、さらにメダルの消費量が多くなるような遊技状態とすることで、コイン持ちが極めて低い状態を実現することができる。
このように、ボーナスに入賞することで、その後移行するAT状態では、メダル獲得期待度の高いAT状態に滞在する確率を極めて高くすることができる。
【0107】
また、前述の実施形態では、特定値としてポイント値(ATモード決定用ポイント)を用いる場合を例示したが、これに代えて又は加えて、特定値として特殊役の入賞回数とすることもできる。
例えば、主制御部10(計数手段)は、通常遊技状態中に、「特殊役A」が入賞した回数(第1停止態様で図柄の組合せが停止表示した回数)と、「特殊役B」が入賞した回数(第2停止態様で図柄の組合せが停止表示した回数)を計数する。
そして、天井ゲーム数到達時に、第2停止態様で図柄の組合せが停止表示した回数が多いほど、当該回数を第2特定値として計数し、その後移行するAT状態を通常のAT状態よりも多くの出玉が期待できる有利な状態に制御可能である。
また、天井ゲーム数到達時に、第1停止態様で図柄の組合せが停止表示した回数が少ないほど、当該回数を第2特定値として計数し、その後移行するAT状態を通常のAT状態よりも多くの出玉が期待できる有利な状態に制御可能である。
すなわち、天井ゲーム数到達時までに、「特殊役B」が入賞した回数が多いほど、多くの出玉が期待できるATモード(特別第3遊技状態)に滞在可能であり、一方、「特殊役A」が入賞した回数が多いほど、出玉が控えめなATモード(特定第3遊技状態)に滞在可能にすることができる。
【0108】
また、特定値を、特殊役当選時の払出数や特殊役当選時の差枚数とすることもできる。
この場合、主制御部10(計数手段)は、通常遊技状態において、「特殊役A」の入賞に係る払出枚数や差枚数、「特殊役B」の入賞に係る払出枚数や差枚数を計数することで、天井ゲーム数到達時に、払出枚数の合計値が少ないほど、又は、差枚数の合計値が少ないほど、その後移行するAT状態を通常のAT状態よりも多くの出玉が期待できる有利な状態に制御可能である。
【0109】
また、前述の実施形態では、非AT状態中(準備状態、通常遊技状態)に、AT移行抽選を実行しないことを想定しているため、天井ゲーム数の到達を契機に、必ず、通常遊技状態からAT状態に移行するようになっているが、これに限らず、非AT状態中にAT移行抽選を実行し、当該抽選結果に基づいてAT状態への移行の可否を決定してもよい。
例えば、有利区間移行役の当選を契機に、確率設定手段により設定される設定値に基づいてAT移行抽選を実行し、高い設定値が設定される場合の方がAT当選の期待度を高くすることができる。
そして、天井ゲーム数の到達時に、AT移行抽選において非当選である場合には、遊技状態を準備状態(通常区間)に移行するように制御し、AT移行抽選において当選している場合には、遊技状態をAT状態に移行するように制御してもよい。
【0110】
また、AT移行抽選の結果としてAT状態への当選可否の他に、「準備状態」に当選するようにしてもよい。例えば、レア役の当選を契機に、所定の確率で「準備状態」に当選してもよく、又は、特定役の当選を契機に、必ず「準備状態」に当選するようにしてもよい。
このように、有利区間移行役の当選を契機に(通常区間から有利区間への移行を契機に)、AT移行抽選を実行することで、有利区間から通常区間へ移行すると、その都度、AT移行抽選が実行されることとなる。そのため、有利区間(通常遊技状態)に滞在しているよりも通常区間(準備状態)に移行した方が有利な場合があり、従来の遊技機と比較すると特異な遊技性を有し、意外性を有するゲームを提供することができる。
【0111】
また、AT移行抽選の当選結果に基づいて、天井ゲーム数を決定してもよい。
例えば、AT移行抽選において非当選の場合には、少ない数の天井ゲーム数が選択され易くし、AT移行抽選において当選している場合には、大きい数の天井ゲーム数が選択され易くしてもよい。
これにより、AT移行抽選において非当選の場合には、有利区間の開始後、短い遊技期間で準備状態に移行することができ、その後有利区間に移行する際に、AT状態の抽選がより早く実行されることになる。
また、AT移行抽選において当選している場合には、有利区間の開始後、AT状態に移行するまでの遊技期間が長くなる、所謂「ハマリゾーン」に滞在する可能性が高くなる。その結果、有利区間中にAT状態に移行するまでの遊技期間(通常遊技状態の滞在期間)が長くなる可能性が高いため、遊技者の利益が著しく大きくなってしまうことを防止することができる。
【0112】
また、前述の実施形態では、天井ゲーム数の到達を契機に、通常遊技状態からAT状態に移行する場合で説明したが、これに限らず、チャンスゾーン(以下、CZ)に移行させるようにしてもよい。
CZは、非AT状態であり、例えば、所定回数(例えば、10回)の遊技が実行されるまで継続し、滞在中はAT状態への移行抽選を実行する。
また、CZは、例えば、CZモードA(特定第3遊技状態)、モードB(特定第3遊技状態又は特別第3遊技状態)、CZモードC(特別第3遊技状態)等の複数のモードで管理されており、CZモードA<CZモードB<CZモードCの関係性に基づいて、AT状態の当選期待度が高くなるように設定されている。
天井ゲーム数到達時に、通常遊技状態中に貯めたATモード決定用ポイントの合計数が大きいほど、AT状態への移行期待度が高いCZ(CZモード)に滞在可能であり、一方、ATモード決定用ポイントの合計数が小さいほど、AT状態への移行期待度が低いCZ(CZモード)に滞在可能に制御することができる。
なお、CZ終了後に移行するAT状態は、一律のATモード(例えば、ATモードB)に移行してもよく、または、CZモードAはATモードAに移行し、CZモードBはATモードBに移行し、CZモードCはATモードCに移行するようにしてもよい。
なお、CZ中においては、押し順ベルに当選した場合の所定の確率(例えば、60%)で押し順ナビを実行するAT状態としてもよい。
【0113】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図13~
図18を参照して説明する。
第2実施形態に係るスロットマシン1は、前述の第1実施形態に係るスロットマシン1と基本的な構成(
図1~4)や遊技状態(
図7~8)に関しては同様である。
そのため、前述の第1実施形態と異なる点について、以下に説明する。
【0114】
第2実施形態に係るスロットマシン1の当選役は、
図13に示すように、ベル役には「共通ベル」が設けられている点で第1実施形態と異なる。
「共通ベル」は、押し順に関係なく対応する図柄の組合せが揃う当選役であり、入賞ライン上に「ベル・リプレイ・ベル」が停止表示し、停止表示した場合には、10枚のメダルが払い出される(
図13参照)。
また、「共通ベル」は、ボーナス非当選状態及びボーナス当選状態において、当選確率が2937/65536で設定されている。
【0115】
また、本実施形態では、「押し順ベル1~6」の当選確率が、第1実施形態と異なるように設定されている。
図14に示すように、「押し順ベル1」と「押し順ベル2」は、ボーナス非当選状態及びボーナス当選状態において、当選確率が1080/65536で設定されており、「押し順ベル3~6」は、ボーナス非当選状態及びボーナス当選状態において、当選確率が10880/65536で設定されている。
このように、本実施形態では、「押し順ベル1~6」のうち、左リールが最初の正解押し順となる「押し順ベル1」及び「押し順ベル2」の当選確率が、左リール以外が最初の正解押し順となる「押し順ベル3~6」の当選確率と比べて極めて低く設定されている。
【0116】
このような構成により、本実施形態に係るスロットマシン1では、通常遊技状態中の第1リール停止操作時に、停止ボタン5b又は停止ボタン5cが停止操作(特定操作態様による停止操作)されて遊技が進行することで、極めて高い確率で「押し順ベル3~6」が入賞する。
一方、通常遊技状態中の第1リール停止操作時に、停止ボタン5aが停止操作(非特定操作態様による停止操作)されて遊技が進行することで、「押し順ベル3~6」が入賞することなく、極めて低い確率で「押し順ベル1~2」が入賞する。
すなわち、本実施形態では、通常遊技状態中に、高ベースとなる停止操作(特定操作態様による停止操作)を選択して遊技を行う方が、低ベースとなる停止操作(非特定操作態様による停止操作)を選択して遊技を行うよりも、メダルの消費を抑制した状態(所謂コイン持ちが高い状態)で遊技を進行可能な遊技性を有している。
【0117】
このように、遊技者による停止ボタン5の操作態様によって、入賞させる押し順ベルの種類を選択することができ、通常遊技状態(非AT状態)中に遊技者が獲得可能なメダル枚数が変化するようになっている。
そして、このような通常遊技状態中に行われる停止操作の違いによって、その後移行するAT状態中の出玉の期待度が異なるようになっている。
なお、
図14に示す「内部抽選テーブル」の当選確率は、前述した値に限らず、任意に設定変更することができる。例えば、「押し順ベル1」及び「押し順ベル2」の当選確率を0/65536としてもよい。また、「押し順ベル1」及び「押し順ベル2」の当選確率を極めて高くし、「押し順ベル3~6」の当選確率を極めて低くしてもよい。
【0118】
(準備状態)
準備状態では、有利区間移行役の当選を契機に「差枚数初期値抽選」が実行される。
具体的には、主制御部10は、
図15に示す「差枚数初期値抽選テーブル」を参照することで、今回ゲームの当選役と、確率設定手段により設定される設定値とに基づいて差枚数初期値を決定する。
「初期差枚数」とは、有利区間開始時における有利区間中の差枚数の初期値(カウンタFの初期値)であり、本実施形態では「0」以下の数値が決定されるようになっている。
すなわち、前述の第1実施形態では、初期差枚数を「0枚」とした場合を想定しているが、本実施形態においては、初期差枚数を抽選により決定し、且つ、マイナス値が決定される場合がある。
【0119】
例えば、
図15(a)に示すように、今回ゲームにおいてレア役以外の当選役に当選し、且つ、設定1が設定されている場合には、224/256の確率で「0枚」が選択され、16/256の確率で「-100枚」が選択され、8/256の確率で「-300枚」が選択され、8/256の確率で「-500枚」が選択されるように設定されている。
設定6が設定されている場合には、216/256の確率で「0枚」が選択され、32/256の確率で「-100枚」が選択され、8/256の確率で「-300枚」が選択され、「-500枚」は選択されないように設定されている。
【0120】
また、
図15(b)に示すように、今回ゲームにおいてレア役に当選し、且つ、設定1が設定されている場合には、192/256の確率で「0枚」が選択され、32/256の確率で「-100枚」が選択され、16/256の確率で「-300枚」が選択され、16/256の確率で「-500枚」が選択されるように設定されている。
設定6が設定されている場合には、160/256の確率で「0枚」が選択され、64/256の確率で「-100枚」が選択され、16/256の確率で「-300枚」が選択され、16/256の確率で「-500枚」が選択されるように設定されている。
【0121】
このように、偶数値、奇数値ごとに、高い設定値が設定される場合の方が、小さい数の初期差枚数が選択される確率が高くなるように設定されている。
また、レア役以外の当選役に当選するよりも、レア役に当選した方が、小さい数の初期差枚数が選択される確率が高くなるように設定されている。
そのため、差枚数初期値抽選においてマイナス値の初期差枚数が決定された場合には、その後の遊技の進行により、天井ゲーム数に到達した際には、有利区間の差枚数(カウンタFの値)は、さらに減少した値となる。
【0122】
なお、差枚数初期値抽選では、レア役に当選した場合よりも、レア役以外の当選役に当選した場合の方が、小さい数の初期差枚数が選択される確率が高くなるようにしてもよい。
また、今回ゲームの当選役の種類に応じて初期差枚数の抽選を行ってもよい。例えば、レア役のうち、比較的当選確率が低いレア役(例えば、強チェリー)ほど、小さい数の初期差枚数が決定され易くしてもよい。
また、今回ゲームの当選役と確率設定手段により設定される設定値の何れかに基づいて初期差枚数を決定してもよい。
また、今回ゲームの当選役と確率設定手段により設定される設定値に関わらず、所定の確率で初期差枚数を決定してもよい。
また、初期差枚数として「1」以上の数値(プラス値)を決定してもよい。
【0123】
(通常遊技状態)
通常遊技状態は、第1実施形態と同様に、天井ゲーム数に到達するまで継続し、天井ゲーム数に到達すると、必ずAT状態に移行するように制御される。
また、通常遊技状態中は、停止ボタン5a~5cの操作態様に応じて、メダルの消費が少なくなるように又はメダルの消費が多くなるように、遊技者が選択して遊技を進めることができる。
具体的には、第1リール停止操作時に停止ボタン5b又は停止ボタン5cを操作する停止態様(特定操作態様による停止操作)によって遊技を進行することで、確実に「押し順ベル3~6」を入賞させて、高い確率で「10枚」を払い出すことができる。
一方、第1リール停止操作時に停止ボタン5aを操作する停止態様(非特定操作態様による停止操作)によって遊技を進行することで、「押し順ベル3~6」を入賞させずに、遊技を進行することができる。
このように、通常遊技状態では、「押し順ベル3~6」を確実に入賞させて遊技を進めるか否かを遊技者が選択することが可能になっている。
【0124】
また、通常遊技状態では、次回移行するAT状態中の期待度を遊技者に対して識別可能に報知するようになっている。
例えば、表示器8において表示される背景画像によって期待度を報知し、朝背景画像、昼背景画像、夕方背景画像、夜背景画像、天国背景画像を表示することで、「朝」<「昼」<「夕方」<「夜」<「天国」の関係性に基づいて期待度が高いことを示唆する。
これにより、通常遊技状態中の背景画像に遊技者が注目することになり、興趣を高めることができる。
【0125】
また、背景画像は、通常遊技状態中の所定のタイミングで変化する場合がある。
具体的には、副制御部20は、
図16に示す「背景変化抽選テーブル」を参照することで、有利区間中の差枚数(カウンタFの示す値)が所定数に到達したことを契機に、背景画像を変化させるか否か及び変化させる背景画像を決定するための背景画像変化抽選を実行する。
なお、副制御部20は、主制御部10から有利区間中の差枚数(カウンタFの値)を、所定のタイミングで受信することで、有利区間中の差枚数を認識することができるようになっている。
【0126】
例えば、有利区間中の差枚数が「-100枚」又は「-200枚」に到達した場合には、200/256の確率で朝背景画像が選択され、40/256の確率で昼背景画像が選択され、16/256の確率で夕方背景画像が選択されるように設定されている。
また、有利区間中の差枚数が「-900枚」に到達した場合には、64/256の確率で昼背景画像が選択され、128/256の確率で夕方背景画像が選択され、64/256の確率で夜背景画像が選択されるように設定されている。
また、有利区間中の差枚数が「-1300枚」に到達した場合には、256/256の確率で天国背景画像が選択されるように設定されている。
このように、有利区間中の差枚数が小さいほど(通常遊技状態中のメダルの消費量が多いほど)、次回移行するAT状態の期待度が高いことを示唆する背景画像が選択される確率が高くなる。一方、有利区間中の差枚数が大きいほど(通常遊技状態中のメダルの消費量が少ないほど)、次回移行するAT状態の期待度が低いことを示唆する背景画像が選択される確率が高くなる。
【0127】
抽選の結果、決定された背景画像は、現在表示されている背景画像に代えて表示がされる。
ただし、抽選の結果が、現在表示されている背景画像と同じ場合、又は、現在表示されている背景画像よりも期待度が低い場合には、背景画像の表示は変化しないようになっている。なお、これに限らず、現在表示されている背景画像と同じ場合、又は、現在表示されている背景画像よりも期待度が低い場合であっても、背景画像の表示を変化させてもよい。
【0128】
なお、有利区間中の差枚数が100枚減算するごとに、背景画像変化抽選を実行する場合で説明したが、これに限らず、任意のタイミングで当該抽選を実行してもよい。
また、有利区間中の差枚数が、当該抽選が実行される契機となる所定数に一度到達した後に、再度、当該所定数に到達した場合は、当該抽選を行わないことを想定しているが、これに限らず、再度、所定数に到達した場合でも、当該抽選を行うようにしてもよい。
また、AT状態の期待度を報知するための報知態様は背景画像に限らず、報知態様が期待度に関連付けてあれば、任意の報知態様を用いることができる。例えば、ランプ11による点灯やスピーカ9による効果音の出力等でもよい。
【0129】
(AT状態)
本実施形態のAT状態は、第1実施形態と同様に、ゲーム数管理型のATであり、複数のモード(ATモード)で管理され、ATモードは、例えば、天井ゲーム数到達時に決定される。
【0130】
主制御部10は、
図17に示す「ATモード抽選テーブル」を参照することで、天井ゲーム数到達時の有利区間中の差枚数に基づいてATモードを抽選により決定する。
例えば、差枚数が「-299枚以上」の場合には、253/256の確率で「ATモードA」が選択され、2/256の確率で「ATモードB」が選択され、1/256の確率で「ATモードC」が選択されるように設定されている。
また、差枚数が「-1100枚以下」の場合には、56/256の確率で「ATモードB」が選択され、200/256の確率で「ATモードC」が選択されるように設定され、「ATモードA」は選択されないように設定されている。
このように、天井ゲーム数到達時における有利区間の差枚数が小さい方が、期待度の高いATモードが選択される確率が高く、有利区間の差枚数が大きい方が、期待度の低いATモードが選択される確率が高くなるように設定されている。
【0131】
したがって、通常遊技状態中に、特定操作態様による停止操作を選択して遊技を行うことで、メダルの消費を抑えて、有利区間中の差枚数の減少を抑えるほど、その後移行するAT状態では、メダル獲得期待度の低いATモードに滞在する確率が高くなる。
一方、非特定操作態様による停止操作を選択して遊技を行うことで、メダルを多く消費して、有利区間中の差枚数が減少するほど、その後移行するAT状態では、メダル獲得期待度の高いATモードに滞在する確率が高くなる。
したがって、遊技者は、出玉の波が緩やかな遊技性で遊技を楽しみたい場合には、通常遊技状態中に特定操作態様による停止操作によって「押し順ベル3~6」を入賞させて遊技を進行すればよく、その結果、メダルの消費を抑えた状態でAT状態(ATモード)に移行することができる。
一方、遊技者は、出玉の波が激しい遊技性で遊技を楽しみたい場合には、通常遊技状態中に非特定操作態様による停止操作によって「押し順ベル3~6」を入賞させずに、遊技を進行すればよく、その結果、多くの出玉が期待できるAT状態(ATモード)に移行することができる。
これにより、出玉の波を遊技者自ら選択することができるため、遊技者のニーズに応えることができる。
【0132】
AT状態中は、第1実施形態と同様に、上乗せゲーム数抽選が行われる。
具体的には、主制御部10は、
図18に示す「上乗せゲーム数抽選テーブル」を参照することで、上乗せゲーム数を抽選により決定する。
例えば、ATモードAに滞在している場合には、
図18(a)に示すように、「共通ベル」に当選した場合には、232/256の確率で「0ゲーム」が選択され、24/256の確率で「10ゲーム」が選択されるように設定されている。なお、「0ゲーム」が選択された場合には、上乗せが行われないことを示している。
また、「スイカ」に当選した場合には、180/256の確率で「0ゲーム」が選択され、30/256の確率で「30ゲーム」が選択され、10/256の確率で「60ゲーム」が選択され、36/256の確率で「90ゲーム」が選択されるように設定されている。
また、「強チェリー」に当選した場合には、200/256の確率で「30ゲーム」が選択され、36/256の確率で「60ゲーム」が選択され、20/256の確率で「90ゲーム」が選択されるように設定されている。
【0133】
また、ATモードBに滞在している場合には、
図18(b)に示すように、ATモードAに滞在している場合よりも上乗せがされる確率が高く設定されており、且つ、大きい上乗せゲーム数が選択される確率が高くなるように設定されている。
また、ATモードCに滞在している場合には、
図18(c)に示すように、ATモードA及びATモードBに滞在している場合よりも上乗せがされる確率が高く設定されており、且つ、大きい上乗せゲーム数が選択される確率が高くなるように設定されている。レア役に当選した場合には、必ず上乗せがされるようになっている。
このように、比較的当選確率が低いレア役ほど、上乗せ抽選に当選する確率が高くなっており、さらに、上乗せされる差枚数が大きくなっている。
【0134】
以上のように、第2実施形態に係るスロットマシン1は、有利区間中の差枚数が小さいほど、その後移行するAT状態では多くの出玉が期待できるAT状態(ATモード)に滞在可能であり、一方、有利区間中の差枚数が大きいほど、その後移行するAT状態では出玉が控えめなAT状態(ATモード)に滞在可能な遊技性を有している。
これにより、通常遊技状態中にメダルを多く消費するほど、その後多くの出玉を期待できるので、遊技の興趣が低下してしまうことを防止できる。また、通常遊技状態中にメダルの消費を抑えて遊技を進めた場合でも、AT状態に移行することができる。
このように、出玉の波を遊技者自ら選択することができるため、遊技者のニーズに応えることができる。
【0135】
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例について、
図19~
図21を参照して説明する。
第2実施形態に係るスロットマシン1は、以下に示すような変形例とすることもできる。
【0136】
本変形例では、通常遊技状態中に、所定の当選役に当選した場合、有利区間の差枚数(カウンタFの値)を減算するか否か及び減算する差枚数(減算差枚数)の抽選が行われる。
具体的には、主制御部10は、
図19に示す「減算差枚数抽選テーブル」を参照することで、今回ゲームの当選役に基づいて減算差枚数を抽選により決定する。
例えば、「チャンス目」又は「強チェリー」に当選した場合には、必ず、差枚数の減算がされるように設定されており、「通常リプレイ」、「共通ベル」、「スイカ」、「弱チェリー」に当選した場合には、所定の確率で差枚数の減算がされるように設定されている。
例えば、「チャンス目」に当選した場合には、240/256の確率で「10枚」が選択され、12/256の確率で「30枚」が選択され、4/256の確率で「50枚」が選択されるように設定されている。
また、「共通ベル」に当選した場合には、250/256の確率で「0枚」が選択され、5/256の確率で「10枚」が選択され、1/256の確率で「30枚」が選択されるように設定されている。なお、「0枚」が決定された場合には、差枚数の減算が行われないことを示している。
抽選の結果、決定された減算差枚数分が、有利区間の差枚数(カウンタFの値)から減算される。
【0137】
このように、レア役以外の当選役に当選するよりも、レア役に当選した方が、当該抽選に当選する確率が高く設定されており、また、レア役に当選した方が、より多くの減算差枚数が決定されるように設定されている。特に、比較的当選確率が低いレア役(例えば、強チェリー)ほど、減算差枚数が大きくなり易いので、遊技の興趣性を向上させることが可能となる。
【0138】
このように、減算差枚数抽選に当選することで、有利区間の差枚数(カウンタFの値)が大幅に減少するため、天井ゲーム数到達時の有利区間の差枚数も大幅に減少することになる。
その結果、前述したATモード抽選において、遊技者にとって有利となるAT状態(ATモード)が選択される確率が高くなり、遊技の興趣を高めることができる。
【0139】
また、本変形例では、通常遊技状態中に、天井ゲーム数を加算するか否か及び加算するゲーム数(加算ゲーム数)の抽選が行われる。
具体的には、主制御部10は、
図20に示す「加算天井ゲーム数抽選テーブル」を参照することで、今回ゲームの当選役に基づいて加算ゲーム数を抽選により決定する。
例えば、「通常リプレイ」に当選した場合には、253/256の確率で「0ゲーム」が選択され、1/256の確率で「10ゲーム」が選択され、1/256の確率で「20ゲーム」が選択され、1/256の確率で「30ゲーム」が選択されるように設定されている。
また、「押し順ベル」に当選した場合には、254/256の確率で「0ゲーム」が選択され、1/256の確率で「10ゲーム」が選択され、1/256の確率で「20ゲーム」が選択されるように設定されている。なお、「0ゲーム」が決定された場合には、天井ゲーム数の加算が行われないことを示している。
そして、抽選の結果、決定された加算ゲーム数が、天井ゲーム数に加算される。
【0140】
このように、加算天井ゲーム数抽選に当選することで、天井ゲーム数が大幅に増加するため、通常遊技状態からAT状態に移行するまでの遊技期間が延長されることになる。
その結果、例えば、出玉の波が激しい遊技性で遊技を楽しみたい遊技者の場合には、天井ゲーム数に到達するまでの期間、さらにメダルを消費することで有利区間中の差枚数を減少させて、次回移行するAT状態が遊技者にとって有利なATモードが選択され易くすることができる。
【0141】
なお、これに限らず、
図20に示す「加算天井ゲーム数抽選テーブル」を参照して、天井ゲーム数を減算するか否か及び減算するゲーム数(減算ゲーム数)の抽選を行ってもよい。
これにより、出玉の波が緩やかな遊技性で遊技を楽しみたい遊技者の場合には、天井ゲーム数に到達するまでの期間が短縮されるため、メダルの消費を大幅に抑えることができる。
【0142】
また、前述の第2実施形態では、通常遊技状態中に、AT移行抽選が実行されないことを想定しているが、これに限らず、AT移行抽選を行ってもよい。
具体的には、主制御部10は、
図21に示す「AT移行抽選テーブル」を参照することで、AT状態への移行抽選を行う。
例えば、「チャンス目」に当選した場合には、24/256の確率で当選し、「スイカ」に当選した場合には、16/256の確率で当選し、「弱チェリー」に当選した場合には、6/256の確率で当選し、「強チェリー」に当選した場合には、64/256の確率で当選するように設定されている。
【0143】
以上説明したように、本発明においては、所定条件の成立に基づいて、遊技結果の抽選を実行可能な抽選手段(主制御部10)と、遊技者が操作可能な操作手段(停止ボタン5等)と、抽選手段による抽選結果と遊技者による操作手段への操作態様とに基づいて、変動表示している識別情報(図柄)を停止表示可能な表示手段(リール41)と、表示手段に停止表示された識別情報の態様に応じた遊技価値を付与可能な付与手段(主制御部10)と、第1遊技状態(準備状態)と、第2遊技状態(通常遊技状態)と、第3遊技状態(AT状態)と、を含む複数の遊技状態のうち、何れかの遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段(主制御部10)と、停止操作に関する情報である特定情報(押し順ナビ)を報知可能な報知手段(表示器8等)と、特定情報を報知不能な通常区間と特定情報を報知可能な有利区間とを含む複数の区間のうち、何れかの区間に制御可能な区間制御手段(主制御部10)と、有利区間において、抽選手段による抽選結果が特定抽選結果(特殊役に当選)である場合、特定値(ATモード決定用ポイント等)を計数可能な計数手段(主制御部10)とを備え、表示手段は、抽選手段による抽選結果が特定抽選結果であり、且つ、遊技者による操作手段への操作態様が特定操作態様である場合、変動表示している識別情報を第1停止態様(ベル・ベル・ベル等)で停止表示可能であり、抽選手段による抽選結果が特定抽選結果であり、且つ、遊技者による操作手段への操作態様が非特定操作態様である場合、変動表示している識別情報を第2停止態様(白7・ベル・ベル等)で停止表示可能であり、付与手段は、表示手段において、第1停止態様で識別情報が停止表示される方が、第2停止態様で識別情報が停止表示されるよりも大きな遊技価値を付与可能であり、区間制御手段は、第1遊技状態において通常区間に制御し、第2遊技状態及び前記第3遊技状態において有利区間に制御し、報知手段は、第3遊技状態において特定情報を報知可能であり、計数手段は、第2遊技状態において第2停止態様で識別情報が停止表示される方が、第1停止態様で識別情報が停止表示されるよりも大きな値を計数可能であり、第3遊技状態は、特定第3遊技状態(ATモードA等)と、特定第3遊技状態よりも有利な特別第3遊技状態(ATモードC等)と、を含み、遊技状態制御手段は、第1遊技状態において、第1条件(有利区間移行役の当選等)が成立した場合、遊技状態を第2遊技状態に制御することが可能であり、第2遊技状態において、第2条件(天井ゲーム数に到達等)が成立した場合、計数手段による計数結果が、第1特定値である場合よりも当該第1特定値よりも大きな値である第2特定値の場合の方が、高い確率で特別第3遊技状態に制御可能な構成とした。
【0144】
このように、本発明に係るスロットマシン1は、通常遊技状態において、遊技者が特定操作態様による停止操作(「特殊役A」を入賞させるための停止操作)と、非特定操作態様による停止操作(「特殊役A」の入賞を回避するための停止操作)の何れかを選択して遊技を進めることで、その後に移行するAT状態中の出玉の期待度が異なるように制御することができる。
例えば、非特定操作態様による停止操作を選択して遊技を進めることで、通常遊技状態中にATモード決定用ポイント(特定値)が貯まり易くすることができ、天井ゲーム数到達時にATモード決定用ポイントの合計数が大きくなること(第2特定値)で、その後移行するAT状態では多くの出玉が期待できるAT状態(ATモード)に制御することができる。
これにより、通常遊技状態中に、「特殊役A」の入賞を回避して、メダルを多く消費して遊技を進行するほど、その後に移行するAT状態中に多くの出玉を期待できるので、遊技の興趣が低下してしまうことを防止できる。
また、特定操作態様による停止操作を選択して遊技を進めることで、メダルの消費を抑えて遊技を進めた場合には、多くの出玉は期待できないものの確実にAT状態に移行することができる。
これにより、遊技者が出玉の波を自ら選択することができるため、様々な遊技者のニーズに応えることができる。
【0145】
一方、特許文献1には、有利区間移行条件の成立に基づいて有利区間に移行し、当該有利区間中にAT移行条件が成立したことに基づいて、遊技者に有利なAT状態に移行させる遊技機が開示されている。また、有利区間中、且つ、非AT状態中において、AT状態に移行するまでの遊技期間が短いほど、遊技者に有利になるといった遊技性を有している。
この遊技機においては、有利区間、且つ、非AT状態中において、遊技者がメダルを多く消費するとともに、有利区間、且つ、非AT状態中が長く継続しても、限りある有利区間を無駄に消費するだけでなく、その後移行するAT状態では出玉の獲得期待度が向上するような遊技性を有してないため、遊技の興趣が低下してしまう虞があった。
また、近年の遊技機には遊技者から様々な遊技性が求められている。
具体的には、AT状態中の出玉数が少なくても構わないので、AT状態に移行するまでのメダルの消費を少なくしたいという遊技者(所謂「出玉の波が緩やかな遊技性」を好む遊技者)が存在する一方で、AT状態に移行するまでにメダルをいくら消費しても構わないので、AT状態中に多い出玉数を獲得したいという遊技者(所謂「出玉の波が激しい遊技性」を好む遊技者)が存在する。
上記特許文献に記載された遊技機では、これらの遊技者のニーズの双方に応えられるものではなかった。
このように、本実施形態に係るスロットマシン1によれば、従来の遊技機が改善すべき、このような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0146】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述の第1実施形態の遊技性と上述の第2実施形態の遊技性を、有利区間当選時に選択可能にしてもよい。
例えば、通常区間(準備状態)において、有利区間移行役の当選を契機に、これらの遊技性(遊技モード)を抽選により決定してもよく、例えば、25%の確率で前者の遊技モードが当選し、75%の確率で後者の遊技モードが当選するように設定してもよい。
【0147】
また、上述の実施形態では、ATを管理可能な値としてゲーム数を用いているが、これに限らず、例えば、差枚数、押し順ナビの発生回数、小役当選回数、メダルの獲得枚数、メダルの払出数等の少なくとも1つで管理するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、AT状態中は、ゲーム数減算方式を適用する場合で説明したが、これに限らず、1ゲームごとに加算されるゲーム数が上限数に到達した場合にAT状態が終了するゲーム数加算方式としてもよい。
【0148】
また、AT状態の当選により、遊技者に付与されるATの移行権利の数は、1つに限らず、複数付与するようにしてもよい。また、AT状態への移行契機となった当選役の種類に応じて、付与するATの移行権利の数を異ならせてもよく、抽選によって付与するATの移行権利の数を決定してもよい。
【0149】
また、上述の実施形態では、通常遊技状態に継続して制御される遊技期間として天井ゲーム数を用いることで、通常遊技状態からAT状態への移行を制御しているが、これに代えて、次のようにすることもできる。
例えば、通常遊技状態中の今回ゲームで当選した当選役に基づいて、遊技者に付与するポイント数を抽選により決定し、このポイント数の累積値が上限値に到達した場合には、通常遊技状態から移行するようにしてもよい。
また、これに限らず、例えば、小役当選回数、メダルの獲得枚数、メダルの払出数、メダルの差枚数等の少なくとも1つを用いることで、これらの値が通常遊技状態中に上限値に到達した場合には、通常遊技状態から移行するようにしてもよい。
【0150】
また、各種処理において参照するテーブルは、一例であり、前述したテーブルにのみ限定されるものではない。
また、各種テーブルに係る当選確率は、前述した値に限らず、任意に設定変更することができる。例えば、上述の実施形態における、「ATモード決定用ポイント抽選テーブル」のATモード決定用ポイントや、「天井ゲーム数抽選テーブル」の天井ゲーム数は、前述した値に限らず、任意に設定変更することができる。
【0151】
また、上述の実施形態では、遊技者が操作を行う操作手段として演出ボタン2cを備えているが、表示器8の表示面に、遊技者の接触を検出可能なタッチセンサを設けるとともに、表示器8にタッチする位置を促すタッチ画像を表示することで操作演出を実行し、副制御部20は、タッチ画像への遊技者の接触に応じて操作(タッチ操作)を受け付けて、表示器8に演出を実行するようにしてもよい。
【0152】
また、演出ボタン2cにモータ等の作動により振動する振動手段を内蔵して、遊技者が操作する際に振動手段を作動させるようにしてもよい。この際、例えば、相対的に期待度の高い演出が行われた場合に、振動手段を作動させることが好ましい。このようにすれば、さらに遊技者の期待感を高めることが可能となる。
【0153】
また、前扉1aにモータやスピーカ等の作動により当該前扉1aを振動させる振動手段を設けて、相対的に期待度の高い演出が行われた場合に、振動手段を作動させることで、遊技者の期待感を高めるようにしてもよい。
また、前扉1aに遊技者に向けて風を吹き付ける送風手段を設けて、相対的に期待度の高い演出が行われた場合に、送風手段を作動させることで、遊技者の期待感を高めるようにしてもよい。
【0154】
また、本実施形態では、遊技状態制御手段などの各種手段としての動作を主制御部10が行ったが、副制御部20がその一部又は全部を行い、副制御部20が各種手段として動作することもできる。
また、反対に、副制御部20が表示器8等において演出を実行する手段として動作を行ったが、主制御部10がその一部又は全部を行い、主制御部10が各種手段として動作することもできる。
【0155】
また、本実施形態において、遊技機は、スロットマシンである例を示したが、これに限定されない。遊技機は、例えば、パチンコ、玉スロなどその他の遊技機でもよい。
また、遊技機は、メダルなどの現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆるメダルレス遊技機でもよい。さらに、遊技機は、遊技球などの遊技媒体を外部に払い出さず、内部循環させてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機でもよい。
【0156】
また、本実施形態では、表示手段としてモータにより駆動制御されるリール41を用いたが、これに代えて又はこれに加えて、液晶表示器などの表示器8にリール等の図柄が変動する画像を表示させることにより、表示器を識別情報の表示手段として用いることもできる。
【符号の説明】
【0157】
1 スロットマシン
5 停止ボタン(操作手段)
8 表示器(報知手段)
10 主制御部(抽選手段、区間制御手段、付与手段、決定手段、増加判定手段、遊技状態制御手段、計数手段)
20 副制御部(演出制御手段)
41 リール(表示手段)