(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】大口径撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20240418BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2020080025
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】391044915
【氏名又は名称】株式会社コシナ
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【氏名又は名称】下田 茂
(72)【発明者】
【氏名】菅野 靖之
(72)【発明者】
【氏名】島田 博和
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-141313(JP,A)
【文献】特開平06-308383(JP,A)
【文献】特開平02-081015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から、第1レンズ群,開口絞りを内包する第2レンズ群,第3レンズ群を順次配した撮像光学系を備える大口径撮像レンズにおいて、レンズ両面が物体側に湾曲した一枚のレンズを含む構成,又は最も物体側のレンズ面(第一レンズ面)及び最も像側のレンズ面をそれぞれ物体側に湾曲させた複数枚のレンズからなる構成を有する前記第1レンズ群と、前記開口絞りの物体側に位置し、物体側から、二枚の正レンズ,空気空間,負レンズ,を順次配した第2Aレンズ群,及び開口絞りの像側に位置し、物体側から、負レンズ,二枚の正レンズ,を順次配した第2Bレンズ群から構成されるとともに、前記開口絞りに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズを有する第2レンズ群と、物体側から、物体側のレンズ面が凸形状の正レンズ,像側のレンズ面が凹形状の負レンズ,空気空間,物体側のレンズ面が凸形状の正レンズを順次配した第3レンズ群と、前記第2レンズ群の物体側の空気空間,前記第2レンズ群の像側の空気空間,前記開口絞りの空気空間,の少なくとも一つの空気空間の間隔(以下、フォーカス可変間隔)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部とを備え、無限物点時における、第2レンズ群の最も物体側のレンズ面(第二レンズ面)から第2レンズ群の最も像側のレンズ面の光軸長をTL2,全系の焦点距離をAFL,FナンバをFNO,及びAFL/FNOをFPDとしたとき、条件式〔1〕を満たす撮像光学系を備えるとともに、
〔1〕 0.6 <(TL2/EPD)< 2.1
前記フォーカシング調整機能部に、フォーカシング時に移動する少なくとも一つの移動レンズ群を備え、無限物体時の最も物体側に存在する前記フォーカス可変間隔に対して物体側に位置する前記移動レンズ群における像側のレンズ面からその像位置までの距離をFP1,及び撮影倍率0.1倍時の最も物体側に存在する前記フォーカス可変間隔に対して物体側に位置する前記移動レンズ群における像側のレンズ面からその像位置までの距離をFP2としたとき、条件式〔8〕を満たすことを特徴とする大口径撮像レンズ。
〔8〕 0.005<{│(FP2-FP1)/FP1│}<0.5
【請求項2】
前記撮像光学系Cは、無限物点時の、前記第一レンズ面から前記第二レンズ面の光軸の長さ(光軸長)をTL1,前記第二レンズ面から第2レンズ群の最も像側のレンズ面の光軸長をTL2,前記第一レンズ面から最も像側に位置するレンズの像側のレンズ面までの光軸長をTLL,前記第一レンズ面から開口絞りまでの光軸長をTLF,前記開口絞りに対向する物体側のレンズ面の曲率半径をRS1,及び前記開口絞りに対向する像側のレンズ面の曲率半径をRS2としたとき、条件式〔2〕-〔7〕を満たすことを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
〔2〕 0.1 <(TL1/TL2)< 1.5
〔3〕 0.3 <(TL2/TLL)< 0.8
〔4〕 0.08<(TL1/TLL)< 0.60
〔5〕 0.3 <(TLF/TLL)< 0.7
〔6〕 0.1 <(RS1/TLL)< 0.5
〔7〕-0.55<(RS2/TLL)<-0.10
【請求項3】
物体側から、第1レンズ群,開口絞りを内包する第2レンズ群,第3レンズ群を順次配した撮像光学系を備える大口径撮像レンズにおいて、レンズ両面が物体側に湾曲した一枚のレンズを含む構成,又は最も物体側のレンズ面(第一レンズ面)及び最も像側のレンズ面をそれぞれ物体側に湾曲させた複数枚のレンズからなる構成を有する前記第1レンズ群と、前記開口絞りの物体側に位置し、物体側から、二枚の正レンズ,空気空間,負レンズ,を順次配した第2Aレンズ群,及び開口絞りの像側に位置し、物体側から、負レンズ,二枚の正レンズ,を順次配した第2Bレンズ群から構成されるとともに、前記開口絞りに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズを有する第2レンズ群と、物体側から、物体側のレンズ面が凸形状の正レンズ,像側のレンズ面が凹形状の負レンズ,空気空間,物体側のレンズ面が凸形状の正レンズを順次配した第3レンズ群と、前記第2レンズ群の物体側の空気空間,前記第2レンズ群の像側の空気空間,前記開口絞りの空気空間,の少なくとも一つの空気空間の間隔(以下、フォーカス可変間隔)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部とを備え、無限物点時における、第2レンズ群の最も物体側のレンズ面(第二レンズ面)から第2レンズ群の最も像側のレンズ面の光軸長をTL2,全系の焦点距離をAFL,FナンバをFNO,及びAFL/FNOをFPDとしたとき、条件式〔1〕を満たす撮像光学系を備えるとともに、
〔1〕 0.6 <(TL2/EPD)< 2.1
前記フォーカシング調整機能部に、全系の最も物体側のレンズ面を像位置に対して固定する固定レンズ群,及びフォーカシング時に移動する少なくとも一つの移動レンズ群を備え、無限物体時の最も物体側に存在する前記フォーカス可変間隔に対して物体側に位置する前記固定レンズ群における像側のレンズ面からその像位置までの距離をFP1,及び撮影倍率0.1倍時の最も物体側に存在する前記フォーカス可変間隔に対して物体側に位置する前記移動レンズ群における像側のレンズ面からその像位置までの距離をFP2としたとき、条件式〔8〕を満たすことを特徴とする大口径撮像レンズ。
〔8〕 0.005<{│(FP2-FP1)/FP1│}<0.5
【請求項4】
物体側から、第1レンズ群,開口絞りを内包する第2レンズ群,第3レンズ群を順次配した撮像光学系を備える大口径撮像レンズにおいて、レンズ両面が物体側に湾曲した一枚のレンズを含む構成,又は最も物体側のレンズ面(第一レンズ面)及び最も像側のレンズ面をそれぞれ物体側に湾曲させた複数枚のレンズからなる構成を有する前記第1レンズ群と、前記開口絞りの物体側に位置し、物体側から、二枚の正レンズ,空気空間,負レンズ,を順次配した第2Aレンズ群,及び開口絞りの像側に位置し、物体側から、負レンズ,二枚の正レンズ,を順次配した第2Bレンズ群から構成されるとともに、前記開口絞りに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズを有する第2レンズ群と、物体側から、物体側のレンズ面が凸形状の正レンズ,像側のレンズ面が凹形状の負レンズ,空気空間,物体側のレンズ面が凸形状の正レンズを順次配した第3レンズ群と、前記第2レンズ群の物体側の空気空間,前記第2レンズ群の像側の空気空間,前記開口絞りの空気空間,の少なくとも一つの空気空間の間隔(以下、フォーカス可変間隔)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部とを備え、無限物点時における、第2レンズ群の最も物体側のレンズ面(第二レンズ面)から第2レンズ群の最も像側のレンズ面の光軸長をTL2,全系の焦点距離をAFL,FナンバをFNO,及びAFL/FNOをFPDとしたとき、条件式〔1〕を満たす撮像光学系を備えるとともに、
〔1〕 0.6 <(TL2/EPD)< 2.1
前記フォーカシング調整機能部に、全系の最も物体側のレンズ面及び最も像側のレンズ面を像位置に対して固定する二つの固定レンズ群,及びフォーカシング時に移動する一つの移動レンズ群又は一枚のレンズを備え、無限物体時の最も物体側に存在する前記フォーカス可変間隔に対して物体側に位置する前記固定レンズ群における像側のレンズ面からその像位置までの距離をFP1,及び撮影倍率0.1倍時の最も物体側に存在する前記フォーカス可変間隔に対して物体側に位置する前記固定レンズ群における像側のレンズ面からその像位置までの距離をFP2としたとき、条件式〔8〕を満たすことを特徴とする大口径撮像レンズ。
〔8〕 0.005<{│(FP2-FP1)/FP1│}<0.5
【請求項5】
前記撮像光学系は、開口絞りに対して、像側に配した五枚のレンズを、物体側から、物体側が凹形状となるレンズ面を有する負レンズ,三枚の正レンズ,及び像側が凹形状となるレンズ面を有する負レンズからなる部分対称レンズ群により構成するとともに、この部分対称レンズ群には、両面が凸形状となる少なくとも一枚の正レンズと両面が凹形状となる少なくとも一枚の負レンズを含ませてなることを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
【請求項6】
前記フォーカシング調整機能部は、前記部分対称レンズ群における、両面が空気接触面となる正レンズの片側又は両側に位置する空気空間を、前記フォーカス可変間隔として機能させることを特徴とする請求項5記載の大口径撮像レンズ。
【請求項7】
物体側から、第1レンズ群,開口絞りを内包する第2レンズ群,第3レンズ群を順次配した撮像光学系を備える大口径撮像レンズにおいて、レンズ両面が物体側に湾曲した一枚のレンズを含む構成,又は最も物体側のレンズ面(第一レンズ面)及び最も像側のレンズ面をそれぞれ物体側に湾曲させた複数枚のレンズからなる構成を有する前記第1レンズ群と、前記開口絞りの物体側に位置し、物体側から、二枚の正レンズ,空気空間,負レンズ,を順次配した第2Aレンズ群,及び開口絞りの像側に位置し、物体側から、負レンズ,二枚の正レンズ,を順次配した第2Bレンズ群から構成されるとともに、前記開口絞りに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズを有する第2レンズ群と、物体側から、物体側のレンズ面が凸形状の正レンズ,像側のレンズ面が凹形状の負レンズ,空気空間,物体側のレンズ面が凸形状の正レンズを順次配した第3レンズ群と、前記第2レンズ群の物体側の空気空間,前記第2レンズ群の像側の空気空間,前記開口絞りの空気空間,の少なくとも一つの空気空間の間隔(以下、フォーカス可変間隔)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部とを備え、無限物点時における、第2レンズ群の最も物体側のレンズ面(第二レンズ面)から第2レンズ群の最も像側のレンズ面の光軸長をTL2,全系の焦点距離をAFL,FナンバをFNO,及びAFL/FNOをFPDとしたとき、条件式〔1〕を満たすとともに、
〔1〕 0.6 <(TL2/EPD)< 2.1
全系の焦点距離をAFL,第2レンズ群の焦点距離をFL2としたとき、パワー配分として、条件式〔9〕を満たす撮像光学系を備えることを特徴とする大口径撮像レンズ。
〔9〕 0.1 <(AFL/FL2)≦ 1.0
【請求項8】
前記撮像光学系は、無限物点の前記第1レンズ群の像点から前記第2レンズ群の物体側のレンズ面の距離をOB2,このOB2を物体距離としたときの前記第2レンズ群の像側のレンズ面から像位置の距離をIM2,及び前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の合成焦点距離をFLMとしたとき、第2レンズ群の共役関係を、条件式〔10〕及び〔11〕により満たすことを特徴とする請求項1又は7記載の大口径撮像レンズ。
〔10〕 0.0 <(│IM2/OB2│)≦ 0.8
〔11〕 0.45< (FLM/AFL) < 4.9
【請求項9】
前記撮像光学系は、前記第1レンズ群を、負のパワーを有する二枚以下のレンズにより構成するとともに、前記第2Aレンズ群におけるレンズの空気接触する全レンズ面,及び前記第3レンズ群における各レンズの物体側に位置する空気接触する全レンズ面を、それぞれ物体側に湾曲形成することを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
【請求項10】
前記撮像光学系は、前記第1レンズ群を、六枚以下のレンズにより構成し、正レンズの枚数と負レンズの枚数の差を一枚以内に設定することを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
【請求項11】
前記撮像光学系は、前記第2レンズ群に、異常部分分散値(=異常部分分散性:ΔθgF)の絶対値が0.02以上となる低屈折率低分散硝材を用いた負レンズを含ませてなることを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
【請求項12】
前記撮像光学系は、前記第3レンズ群の最も像側に位置するレンズの少なくとも像側のレンズ面を非球面形状に形成することを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラに使用する交換レンズ等に用いて好適な大口径撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等に使用する撮像素子は、より大型化及びより高画素化が進み、それ結え、撮像レンズに対しては、諸収差を良好かつ十分に補正可能にする、より高い光学性能が要求されているとともに、被写体の前景や後景のボケ(焦点像前後のボケ)を大きくするため、Fナンバーが小さく、かつ短い撮影距離を可能にする撮像レンズも求められている。
【0003】
従来、Fナンバーを1.0付近又はそれ以下にした明るい撮像レンズとしては、いわゆるガウス型或いは変形ガウス型の撮像レンズが知られており、この種の撮像レンズは、特許文献1-3で開示されている。一般に、ガウス型の撮像レンズは、絞りを挟んで二つの負レンズを絞り側に強い屈折力の凹面を向けて配置するとともに、二つの負レンズの物体側と像面側のそれぞれに、少なくとも一つの正レンズを配置する構成を備えている。これにより、絞りを挟んで配置した二つの負レンズの絞り側に向けた負の屈折力の凹面により、主にバックフォーカス性能を確保するとともに、ペッツバール和を小さくすることにより、像面湾曲の平坦性を図りつつコマ収差等の補正も行っている。しかし、二つの凹面の屈折力を強くした場合、画面周辺にサジタルフレアが発生するとともに、特に、Fナンバーを小さくした場合には発生量がより増加するため、ガウス型の撮像レンズでは、Fナンバーを小さくした際のサジタルフレア補正が課題となる。なお、特許文献2,3の撮像レンズは、特許文献1の撮像レンズに対し、非球面レンズによりサジタルコマを補正するとともに、ガウス型光学系の前後にレンズ群を追加して収差を補正している。特に、特許文献2の場合、フォーカシング時に、各レンズ群を移動させて収差を補正するため、十分な撮像倍率を確保できない難点がある。
【0004】
一方、これらの課題解決を目的とした撮像レンズも特許文献4-7で提案されている。特許文献4の「リア型ワイドコンバータレンズ」は、諸収差を良好に補正可能なリア型ワイドコンバータレンズの提供を目的としたものであり、具体的には、マスタレンズの像側に装着し、このマスタレンズを含めた光学系の焦点距離を縮小させるためのリア型ワイドコンバータレンズであって、全体として正の屈折力を有し、物体側から順に、第1の正レンズ成分と、負のレンズ成分と、第2の正レンズ成分とからなり、βをマスタレンズの焦点距離に対するマスタレンズとリア型ワイドコンバータレンズとの合成焦点距離の比、fnを負のレンズ成分の焦点距離、fcをリア型ワイドコンバータレンズの焦点距離としたとき、0.4<β,0.10<(-fn)/fc<0.90の条件式を同時に満足するように構成したものであり、同文献4は、コンバージョンレンズを撮像レンズのリア側(像側)に付加するタイプとなる。
【0005】
これに対して、特許文献5は、コンバージョンレンズを撮像レンズのフロント側(物体側)に付加するタイプとなる。特許文献5の「広角コンバージョンレンズ」は、広角端の画角が55゜乃至60゜程度の高性能レンズに適合した画質変化の少ない高性能な広角コンバージョンレンズの提供を目的としたものであり、具体的には、撮影レンズの物体側に装着してレンズ全系の焦点距離を短縮する略アフォーカル系の広角コンバージョンレンズにおいて、物体側より順に、曲率の強い凹面を像面側に向けた凹レンズの第1レンズと、曲率の強い凸面を像面側に向けた凸レンズの第2レンズと、両凹レンズの第3レンズと、両凸レンズの第4レンズとによって構成し、角倍率を約0.7倍程度とするとともに、hiを第i面の有効径の半径、riを第i面の曲率半径、niを第iレンズのd線における屈折率、νiを第iレンズのアッベ数とした場合、0.3<|h2/r2|0.85,0.15<|h2/r4|<0.45,0.15<|h5/r5|<0.45,1<|r6/r7|<1.35,8<(ν4-ν3)<25の各条件を満足するように構成したものである。
【0006】
さらに、特許文献6は、コンバージョンレンズを撮像レンズのフロント側(物体側)に付加する点は特許文献5と同じになるが、特許文献5は、ワイドタイプとして構成されるのに対して、特許文献6は、テレタイプとして構成される点が異なる。特許文献6の「望遠コンバージョンレンズ」は、主レンズの色収差の補正のバランスを崩すことなく、二次スペクトルの増大も極力抑えて、球面収差、コマ収差、非点収差及び歪曲収差等の単色の収差も良好に補正された、画質劣化の少ない高性能の望遠コンバージョンレンズの提供を目的とするものであり、具体的には、物体側から順に、凸レンズから成る第1レンズL1と凹レンズから成る第2レンズL2との接合正レンズと、曲率の強い凸面を物体側に向けた凸レンズから成る第3レンズL3と、凸レンズから成る第4レンズL4と凹レンズから成る第5レンズL5との接合負レンズによって構成し、角倍率が1.35乃至3倍程度で、νi,jを第iレンズから第jレンズまでの等価アッベ数とし、ΔPiを第iレンズの硝種における部分分散比の標準線からの偏差とすると、-0.01<1/ν1,3<0.01、-0.01<l/ν4,5<0.01、0.003<(ΔPI+ΔP3)/2、ΔP2<0.014の各条件を満足するように構成したものである。
【0007】
他方、特許文献7は、ガウス型或いはゾナー型などの一般的なタイプの撮像レンズに対して、物体側に数枚のレンズを付加した構成を備えるタイプである。特許文献7の「大口径レンズ」は、諸収差、特に色収差を良好に補正し画面全域で良好な画質を得ることが可能で、かつオートフォーカス機構を省略することなく製品の小型化を達成した、サイズが交換レンズに適した大口径レンズの提供を目的としたものであり、具体的には、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2からなり、第1レンズ群G1は、正の屈折力のLplと、正の屈折力のLp2と、負の屈折力のレンズを有し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、第1レンズ群G1を像面に対して固定とし、第2レンズ群G2を光軸に沿って像面側から物体側へ移動し、所定の条件を満足するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開昭48-88931号公報
【文献】特開平9-61708号公報
【文献】特開昭63-70216号公報
【文献】特開2015-41003号公報
【文献】特開2000-241700号公報
【文献】特開2000-356744号公報
【文献】特開2018-005099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した特許文献4-7に開示される従来の撮像レンズは次のような問題点があった。
【0010】
即ち、特許文献4に開示されるようなリア型ワイドコンバータレンズは、追加するレンズ系をガウス型光学系のリア側(像側)に付加して大口径化を図るため、レンズ枚数が3-4枚の縮小型となる。この結果、焦点距離,Fナンバー,バックフォーカス,イメージサークル等も縮小されることになり、カメラよりも大きなイメージサークルを有するマスターレンズを使用するか、或いはマスターレンズ本来のイメージサークルより小さいカメラを使用する必要があるなど、撮像レンズが大型化しやすい。
【0011】
一方、特許文献5及び6に開示されるようなフロント型コンバージョンレンズは、アフォーカル接合になるため、合体した全系の撮像レンズのFナンバー,バックフォーカス,イメージサークルはそのままになるとともに、焦点距離(撮影画角)が変化する。したがって、準広角域を得る場合には、特許文献5のようなワイドコンバージョンレンズを標準域の撮像レンズに付加すればよく、他方、中望遠域を得る場合には、特許文献6のような望遠コンバージョンレンズを標準域の撮像レンズに付加すればよいため、準広角域から中望遠域の撮影領域をカバーすることができるも、反面、Fナンバー及び撮影倍率はマスターレンズに依存する。この結果、この場合もコンバージョンレンズを付加した後における撮像レンズの全長が長くなり大型化しやすい。
【0012】
他方、特許文献7に開示されるような一般的なタイプの撮像レンズの物体側に、フロントコンバージョンレンズの部分的な光学系となる数枚のレンズを付加した構成では、ある程度の小型化は図れているものの、反面、十分なFナンバー及び撮影倍率が得られていない。
【0013】
このように、従来のガウス型或いは変形ガウス型などの従来タイプ、及びその前後に数枚のレンズを付加した撮像レンズであっても、諸収差に対する良好かつ十分な補正を行うことは容易でないとともに、大口径化及び全体の小型化を図ることも容易でなく、これらの課題を解決する観点からは更なる改善が要請されていた。
【0014】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した大口径撮像レンズの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上述した課題を解決するため、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える大口径撮像レンズMを構成するに際して、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む構成,又は最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面をそれぞれ物体OBJ側に湾曲させた複数枚のレンズL11,L12…からなる構成を有する第1レンズ群101と、開口絞りSTOの物体OBJ側に位置し、物体OBJ側から、二枚の正レンズL21…とL22…,空気空間S2,負レンズL23…,を順次配した第2Aレンズ群102A,及び開口絞りSTOの像IMG側に位置し、物体OBJ側から、負レンズL24…,二枚の正レンズL25…とL26…,を順次配した第2Bレンズ群102Bから構成されるとともに、開口絞りSTOに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズLaを有する第2レンズ群102と、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL31…,像IMG側のレンズ面が凹形状の負レンズL32…,空気空間S6,物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL33…を順次配した第3レンズ群103と、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1,第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5,開口絞りSTOの空気空間S3,の少なくとも一つの空気空間の間隔(以下、フォーカス可変間隔Di)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部301とを備え、無限物点時における、第2レンズ群102の最も物体OBJ側のレンズ面(第二レンズ面(i=3…))から第2レンズ群102の最も像IMG側のレンズ面の光軸長をTL2,全系の焦点距離をAFL,FナンバをFNO,及びAFL/FNOをFPDとしたとき、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)<2.1」を満たす撮像光学系Cを備えるとともに、フォーカシング調整機能部301に、フォーカシング時に移動する少なくとも一つの移動レンズ群Gm1…を備え、無限物体時の最も物体OBJ側に存在するフォーカス可変間隔Diに対して物体OBJ側に位置する移動レンズ群Gm1における像IMG側のレンズ面(i=14…)からその像位置までの距離をFP1,及び撮影倍率0.1倍時の最も物体IMG側に存在するフォーカス可変間隔Diに対して物体OBJ側に位置する移動レンズ群Gm1における像IMG側のレンズ面(i=14…)からその像位置までの距離をFP2としたとき、条件式〔8〕「0.005<{│(FP2-FP1)/FP1│}<0.5を満たすことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の他の形態に係る大口径撮像レンズ1は、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える大口径撮像レンズMを構成するに際して、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む構成,又は最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面をそれぞれ物体OBJ側に湾曲させた複数枚のレンズL11,L12…からなる構成を有する第1レンズ群101と、開口絞りSTOの物体OBJ側に位置し、物体OBJ側から、二枚の正レンズL21…とL22…,空気空間S2,負レンズL23…,を順次配した第2Aレンズ群102A,及び開口絞りSTOの像IMG側に位置し、物体OBJ側から、負レンズL24…,二枚の正レンズL25…とL26…,を順次配した第2Bレンズ群102Bから構成されるとともに、開口絞りSTOに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズLaを有する第2レンズ群102と、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL31…,像IMG側のレンズ面が凹形状の負レンズL32…,空気空間S6,物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL33…を順次配した第3レンズ群103と、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1,第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5,開口絞りSTOの空気空間S3,の少なくとも一つの空気空間の間隔(以下、フォーカス可変間隔Di)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部301とを備え、無限物点時における、第2レンズ群102の最も物体OBJ側のレンズ面(第二レンズ面(i=3…))から第2レンズ群102の最も像IMG側のレンズ面の光軸長をTL2,全系の焦点距離をAFL,FナンバをFNO,及びAFL/FNOをFPDとしたとき、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)<2.1」を満たす撮像光学系Cを備えるとともに、フォーカシング調整機能部301に、全系の最も物体OBJ側のレンズ面(i=1)を像位置に対して固定する固定レンズ群Gc,及びフォーカシング時に移動する少なくとも一つの移動レンズ群Gm1…を備え、無限物体時の最も物体OBJ側に存在するフォーカス可変間隔Diに対して物体OBJ側に位置する固定レンズ群Gcにおける像IMG側のレンズ面(i=14…)からその像位置までの距離をFP1,及び撮影倍率0.1倍時の最も物体IMG側に存在するフォーカス可変間隔Diに対して物体OBJ側に位置する移動レンズ群Gm1における像IMG側のレンズ面(i=14…)からその像位置までの距離をFP2としたとき、条件式〔8〕「0.005<{│(FP2-FP1)/FP1│}<0.5を満たすことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の他の形態に係る大口径撮像レンズ1は、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える大口径撮像レンズMを構成するに際して、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む構成,又は最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面をそれぞれ物体OBJ側に湾曲させた複数枚のレンズL11,L12…からなる構成を有する第1レンズ群101と、開口絞りSTOの物体OBJ側に位置し、物体OBJ側から、二枚の正レンズL21…とL22…,空気空間S2,負レンズL23…,を順次配した第2Aレンズ群102A,及び開口絞りSTOの像IMG側に位置し、物体OBJ側から、負レンズL24…,二枚の正レンズL25…とL26…,を順次配した第2Bレンズ群102Bから構成されるとともに、開口絞りSTOに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズLaを有する第2レンズ群102と、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL31…,像IMG側のレンズ面が凹形状の負レンズL32…,空気空間S6,物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL33…を順次配した第3レンズ群103と、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1,第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5,開口絞りSTOの空気空間S3,の少なくとも一つの空気空間の間隔(以下、フォーカス可変間隔Di)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部301とを備え、無限物点時における、第2レンズ群102の最も物体OBJ側のレンズ面(第二レンズ面(i=3…))から第2レンズ群102の最も像IMG側のレンズ面の光軸長をTL2,全系の焦点距離をAFL,FナンバをFNO,及びAFL/FNOをFPDとしたとき、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)<2.1」を満たす撮像光学系Cを備えるとともに、フォーカシング調整機能部301に、全系の最も物体OBJ側のレンズ面(i=1)及び最も像IMG側のレンズ面(i=21…)を像位置に対して固定する二つの固定レンズ群,Gc…及びフォーカシング時に移動する一つの移動レンズ群Gm1又は一枚のレンズGm1を備え、無限物体時の最も物体OBJ側に存在するフォーカス可変間隔Diに対して物体OBJ側に位置する固定レンズ群Gcにおける像IMG側のレンズ面(i=14…)からその像位置までの距離をFP1,及び撮影倍率0.1倍時の最も物体IMG側に存在するフォーカス可変間隔Diに対して物体OBJ側に位置する移動レンズ群Gm1における像IMG側のレンズ面(i=14…)からその像位置までの距離をFP2としたとき、条件式〔8〕「0.005<{│(FP2-FP1)/FP1│}<0.5を満たすことを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の他の形態に係る大口径撮像レンズ1は、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える大口径撮像レンズMを構成するに際して、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む構成,又は最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面をそれぞれ物体OBJ側に湾曲させた複数枚のレンズL11,L12…からなる構成を有する第1レンズ群101と、開口絞りSTOの物体OBJ側に位置し、物体OBJ側から、二枚の正レンズL21…とL22…,空気空間S2,負レンズL23…,を順次配した第2Aレンズ群102A,及び開口絞りSTOの像IMG側に位置し、物体OBJ側から、負レンズL24…,二枚の正レンズL25…とL26…,を順次配した第2Bレンズ群102Bから構成されるとともに、開口絞りSTOに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズLaを有する第2レンズ群102と、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL31…,像IMG側のレンズ面が凹形状の負レンズL32…,空気空間S6,物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL33…を順次配した第3レンズ群103と、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1,第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5,開口絞りSTOの空気空間S3,の少なくとも一つの空気空間の間隔(以下、フォーカス可変間隔Di)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部301とを備え、無限物点時における、第2レンズ群102の最も物体OBJ側のレンズ面(第二レンズ面(i=3…))から第2レンズ群102の最も像IMG側のレンズ面の光軸長をTL2,全系の焦点距離をAFL,FナンバをFNO,及びAFL/FNOをFPDとしたとき、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)<2.1」を満たす撮像光学系Cを備えるとともに、全系の焦点距離をAFL,第2レンズ群の焦点距離をFL2としたとき、パワー配分として、条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)≦1.0」を満たす撮像光学系を備えることを特徴とする。
【0019】
この場合、発明の好適な態様により、撮像光学系Cは、無限物点時の、第一レンズ面(i=1)から第二レンズ面(i=3…)の光軸長をTL1,第二レンズ面(i=3…)から第2レンズ群102の最も像IMG側のレンズ面(i=14…)の光軸長をTL2,第一レンズ面(i=1)から最も像IMG側に位置するレンズ(L33…)の像IMG側のレンズ面(i=19…)までの光軸長をTLL,第一レンズ面(i=1)から開口絞りSTOまでの光軸長をTLF,開口絞りSTOに対向する物体OBJ側のレンズ面(i=8…)の曲率半径をRS1,及び開口絞りSTOに対向する像IMG側のレンズ面(i=10…)の曲率半径をRS2としたとき、条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)<-0.10」を満たすことが望ましい。また、他の発明の好適な態様により、撮像光学系Cは、開口絞りSTOに対して、像IMG側に配した五枚のレンズL24…を、物体OBJ側から、物体OBJ側が凹形状となるレンズ面(i=10…)を有する負レンズL24…,三枚の正レンズL25,L26,L31,及び像IMG側が凹形状となるレンズ面(i=17…)を有する負レンズL32からなる部分対称レンズ群Gsにより構成するとともに、この部分対称レンズ群Gsには、両面が凸形状となる少なくとも一枚の正レンズL25…と両面が凹形状となる少なくとも一枚の負レンズL24を含ませてなることができる。なお、フォーカシング調整機能部301は、部分対称レンズ群Gsにおける、両面が空気接触面となる正レンズL26の片側又は両側に位置する空気空間S4,S5を、フォーカス可変間隔Diとして機能させることができる。また、撮像光学系Cは、無限物点の第1レンズ群101の像点から第2レンズ群102の物体OBJ側のレンズ面(i=3…)の距離をOB2,このOB2を物体距離としたときの第2レンズ群102の像IMG側のレンズ面(i=14…)から像IMG位置の距離をIM2,及び第1レンズ群101と第2レンズ群102の合成焦点距離をFLMとしたとき、第2レンズ群102の共役関係を、条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)≦0.8」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)< 4.9」により満たすように設定することができる。一方、撮像光学系Cは、第1レンズ群101を、負のパワーを有する二枚以下のレンズL11により構成するとともに、第2Aレンズ群102Aにおけるレンズの空気接触する全レンズ面(i=3,5,7,8…),及び第3レンズ群103における各レンズの物体OBJ側に位置する空気接触する全レンズ面(i=15,18…)を、それぞれ物体OBJ側に湾曲形成することができる。さらに、撮像光学系Cは、第1レンズ群101を、六枚以下のレンズにより構成し、正レンズの枚数と負レンズの枚数の差を一枚以内に設定することができる。加えて,撮像光学系Cは、第2レンズ群102に、異常部分分散値(=異常部分分散性:ΔθgF)の絶対値が0.02以上となる低屈折率低分散硝材を用いた負レンズL23を含ませることができるとともに、第3レンズ群103の最も像IMG側に位置するレンズ(L33…)の少なくとも像IMG側のレンズ面(i=19…)を非球面形状に形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
このような構成を有する本発明に係る大口径撮像レンズMによれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0021】
(1) レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む構成,又は最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面をそれぞれ物体OBJ側に湾曲させた複数枚のレンズL11,L12…からなる構成を有する第1レンズ群101と、開口絞りSTOの物体OBJ側に位置し、物体OBJ側から、二枚の正レンズL21…とL22…,空気空間S2,負レンズL23…,を順次配した第2Aレンズ群102A,及び開口絞りSTOの像IMG側に位置し、物体OBJ側から、負レンズL24…,二枚の正レンズL25…とL26…,を順次配した第2Bレンズ群102Bを有するとともに、開口絞りSTOに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズLaを有する第2レンズ群102と、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL31…,像IMG側のレンズ面が凹形状の負レンズL32…,空気空間S6,物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL33…を順次配した第3レンズ群103と、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1,第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5,開口絞りSTOの空気空間S3,の少なくとも一つの空気空間の間隔(フォーカス可変間隔Di)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部301とを有し、前述した条件式〔1〕を満たす撮像光学系Cを備えるため、様々なフォーカシング方式を利用可能なフォーカシング調整機能部301を確保しつつ、全系の小型化を図り、諸収差を良好かつ十分に補正できるとともに、Fナンバーの小さい(1.0以下)明るい大口径化レンズを得ることができる。これにより、準広角域から中望遠域の撮影において十分な光学性能をカバーするとともに、大型高精細撮像素子に対応し、かつ小型コンパクト化を図るデジタルカメラ等に使用する最適な交換レンズ等の大口径撮像レンズMとして利用できる。
【0022】
(2) フォーカシング調整機能部301を構成するに際し、フォーカシング時に移動する少なくとも一つの移動レンズ群Gm1…を設け、前記条件式〔8〕を満たすように構成したため、多群フォーカシング方式に基づくフォーカシング調整機構を構築できる。これにより、よりフォーカシング性能を高めたフォーカシング調整機能部301を得ることができる。
【0023】
(3) フォーカシング調整機能部301を構成するに際し、全系の最も物体OBJ側のレンズ面(i=1)を像位置に対して固定する固定レンズ群Gc,及びフォーカシング時に移動する少なくとも一つの移動レンズ群Gm1…を設け、前記条件式〔8〕を満たすように構成したため、特に、大径のレンズを配する物体OBJ側の第1レンズ群101を不動にし、リアフォーカス方式に基づくフォーカシング調整機能部301を構築できる。これにより、大口径撮像レンズMの更なる軽量化及び小型化に寄与できる。
【0024】
(4) フォーカシング調整機能部301を構成するに際し、全系の最も物体OBJ側のレンズ面(i=1)及び最も像IMG側のレンズ面(i=21…)を像位置に対して固定する二つの固定レンズ群Gc…,及びフォーカシング時に移動する一つの移動レンズ群Gm1又は一枚のレンズGm1を設け、前記条件式〔8〕を満たすように構成したため、中間に配する一つのフォーカスレンズ群Fmを移動させるインナーフォーカス方式に基づくフォーカシング調整機能部301を構築できる。これにより、大口径撮像レンズMの軽量化及び小型化を図る観点から最適な形態として実施できる。
【0025】
(5) 撮像光学系Cを構成するに際し、パワー配分として、前記条件式〔9〕を満たすように設定したため、特に、第2レンズ群102内におけるパワー配分を適切な範囲に設定できる。これにより、良好なパワーバランスを確保することができる。
【0026】
(6) 好適な態様により、撮像光学系Cを構成するに際し、無限物点時の、第一レンズ面(i=1)から第二レンズ面(i=3…)の光軸長をTL1,第二レンズ面(i=3…)から第2レンズ群102の最も像IMG側のレンズ面(i=14…)の光軸長をTL2,第一レンズ面(i=1)から第3レンズ群103における最も像IMG側のレンズ面までの光軸長をTLL,第一レンズ面(i=1)から開口絞りSTOまでの光軸長をTLF,開口絞りSTOに対向する物体OBJ側のレンズ面(i=8…)の曲率半径をRS1,及び開口絞りSTOに対向する像IMG側のレンズ面(i=10…)の曲率半径をRS2としたとき、条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)<0.5」,及び条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)<-0.10」を満たすように構成すれば、特に、撮像光学系Cにおけるディメンションの最適化を図れるため、コマ収差や他の収差に対する補正及び全体の小型化を図る観点からの最も望ましい形態として実施できる。
【0027】
(7) 好適な態様により、撮像光学系Cを構成するに際し、開口絞りSTOに対して、像IMG側に配した五枚のレンズL24…を、物体OBJ側から、物体OBJ側が凹形状となるレンズ面(i=10…)を有する負レンズL24,三枚の正レンズL25,L26,L31,及び像IMG側が凹形状となるレンズ面(i=17…)を有する負レンズL32からなる部分対称レンズ群Gsにより構成するとともに、この部分対称レンズ群Gsには、両面が凸形状となる少なくとも一枚の正レンズL25…と両面が凹形状となる少なくとも一枚の負レンズL24を含ませて構成すれば、ダブルガウスタイプにより構成した部分対称レンズ群Gsに、他のレンズを組合わせることができるため、光線の入出射角度の急激な屈折を抑制することができるとともに、これに伴う収差の発生を有効に抑えることができる。
【0028】
(8) 好適な態様により、フォーカシング調整機能部301を構成するに際し、部分対称レンズ群Gsにおける、両面が空気接触面となる正レンズL26の片側又は両側に位置する空気空間S4,S5を、フォーカス可変間隔Diとして機能させるようにすれば、部分対称レンズ群Gsの内部にフォーカス可変間隔Diを設定できるため、フォーカシング時における収差の発生を抑制できるとともに、収差の一定化(安定化)を図ることができる。
【0029】
(9) 好適な態様により、撮像光学系Cを構成するに際し、第2レンズ群102の共役関係を、前記条件式〔10〕及び〔11〕により満たすように設定すれば、ダブルガウスタイプに基づく第2レンズ群102を、いわば絞り対称の共役関係に構築できるため、特に、収差補正を良好に行うことができる。
【0030】
(10) 好適な態様により、撮像光学系Cを構成するに際し、第1レンズ群101を、負のパワーを有する二枚以下のレンズL11により構成するとともに、第2Aレンズ群102Aにおけるレンズの空気接触する全レンズ面(i=3,5,7,8…),及び第3レンズ群103における各レンズの物体OBJ側に位置する空気接触する全レンズ面(i=15,18…)を、それぞれ物体OBJ側に湾曲形成すれば、レンズの重り合い圧縮効果により、光軸方向における撮像光学系Cの長さを短縮できるため、体積の少ないメニスカス形状のレンズを含む外径の大きな大口径撮像レンズMであってもその軽量化を実現できる。
【0031】
(11) 好適な態様により、撮像光学系Cを構成するに際し、第1レンズ群101を、六枚以下のレンズにより構成し、正レンズの枚数と負レンズの枚数の差を一枚以内に設定すれば、第1レンズ群101の全枚数を六枚以下に抑制するとともに、正レンズの枚数と負レンズの枚数の差を一枚以内に設定するため、バランスの良好な収差補正を行うことができる。
【0032】
(12) 好適な態様により、撮像光学系Cを構成するに際し、第2レンズ群102に、異常部分分散値dPgFの絶対値が0.02以上となる低屈折率低分散硝材を用いた負レンズL23を含ませれば、適切な異常部分分散値dPgFの選択により、軸上色収差に対する良好かつ有効な補正を行うことができる。
【0033】
(13) 好適な態様により、撮像光学系Cを構成するに際し、第3レンズ群103の最も像IMG側に位置するレンズ(L33…)の少なくとも像IMG側のレンズ面(i=19…)を非球面形状に形成すれば、比較的小径となる像IMG側に使用するレンズを非球面化できるため、加工面及びコスト面の有利性を高めることができるとともに、特に、ガウスタイプの欠点となるサジタルコマの補正を負担できるため、他のレンズとは異なる収差補正を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の好適実施形態の実施例1に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図2】本発明の好適実施形態に係る実施例1-6の各光学条件の一覧表、
【
図3】本発明の好適実施形態に係る実施例7-12の各光学条件の一覧表、
【
図4】同実施例1に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図5】同好適実施形態の実施例2に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図6】同実施例2に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図7】同好適実施形態の実施例3に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図8】同実施例3に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図9】同好適実施形態の実施例4に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図10】同実施例4に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図11】同好適実施形態の実施例5に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図12】同実施例5に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図13】同好適実施形態の実施例6に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図14】同実施例6に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図15】同好適実施形態の実施例7に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図16】同実施例7に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図17】同好適実施形態の実施例8に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図18】同実施例8に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図19】同好適実施形態の実施例9に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図20】同好適実施形態の実施例10に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図21】同実施例9に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図22】同実施例10に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図23】同好適実施形態の実施例11に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図24】同好適実施形態の実施例12に係る大口径撮像レンズの構成図、
【
図25】同実施例11に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【
図26】同実施例12に係る大口径撮像レンズの撮影倍率をパラメータとしたときの縦収差図、
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0036】
最初に、本実施形態に係る大口径撮像レンズMの基本的な構成(必須構成)について、
図1を参照して説明する。なお、
図1は、後述する実施例1に係る大口径撮像レンズMの構成を兼ねている。本実施形態に係る大口径撮像レンズMは、デジタルカメラ用交換レンズに適用することを想定できる。
図1中、OBJは物体(被写体)を示し、IMGは像(撮像素子)を示している。したがって、物体OBJ側が光軸Dc方向の前方となり、像IMG側が光軸Dc方向の後方となる。なお、符号302は、撮像素子の前面に配したフェイスプレート,赤外線カットフィルタ,ローパスフィルタ等の平行平面板の総厚を、光学的に等価な厚さとして与えたガラス平面板フェイスプレートとして示す。このガラス平面板フェイスプレートは本実施形態に係る大口径撮像レンズMの構成に影響を与えるものではない。
【0037】
この大口径撮像レンズMは、同レンズMの主要部を構成する撮像光学系Cを備える。撮像光学系Cは、
図1に示すように、大別して、物体OBJ側から像IMG側へ順次配した、第1レンズ群101,第2レンズ群102,第3レンズ群103を備える。また、第2レンズ群102は、中間部に開口絞りSTOを内包し、この開口絞りSTOの前後、即ち、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2Aレンズ群102Aと開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第2Bレンズ群102Bにより構成する。
【0038】
第1レンズ群101は、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む形態,又は最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面をそれぞれ物体OBJ側に湾曲させた複数枚のレンズL11,L12…からなる形態,のいずれかにより構成することができる。このように構成すれば、レンズの重なり合いの圧縮効果により、レンズ群の光軸Dc方向の長さを圧縮できるとともに、特に、一枚のレンズL11としてメニスカスレンズを用いれば、レンズの体積を少なくできるため、レンズ外径の大きい大口径レンズでは、重量軽減を図ることができる。なお、
図1の第1レンズ群101は、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む構成となる。
【0039】
第1レンズ群101は、最少枚数となる一枚のレンズL11により構成可能であり、これにより、撮像光学系Cの長さを短くすることができる。これに対して、複数枚のレンズL11,L12…を組み合わせれば、コンバージョンレンズの作用により、準広角から中望遠の領域の撮像画角や像性能に対応可能になり、より高性能な収差補正を行うことができる。
【0040】
第2レンズ群102は、開口絞りSTOの物体OBJ側に位置し、物体OBJ側から、二枚の正レンズL21…とL22…,空気空間S2…,負レンズL23…,を順次配した第2Aレンズ群102A,及び開口絞りSTOの像IMG側に位置し、物体OBJ側から、負レンズL24…,二枚の正レンズL25…とL26…,を順次配した第2Bレンズ群102Bを有するとともに、開口絞りSTOに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズLaを備えて構成する。
【0041】
第2レンズ群102は、いわゆるダブルガウスタイプを構成する。絞り対称性を有するダブルガウスタイプは、開口絞りSTOの前後で収差を打ち消しあう収差補正能力が高いため、Fナンバーの小さい大口径撮像レンズに好適である。また、第2レンズ群102の前後の空気空間S1,S5及び開口絞りSTOの空気空間S3にレンズを付加し、屈折力や収差補正を分担させやすい光学系として機能させることができる。ただし、大口径撮像レンズMの場合、開口絞りSTOに対向する前後のレンズ面の曲率半径を小さくすれば、ガウスタイプ特有のサジタル方向のコマ収差の発生が多くなる。この場合には、他の部分で収差補正すればよい。
【0042】
第3レンズ群103は、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL31…,像IMG側のレンズ面が凹形状の負レンズL32…,空気空間S6,物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL33…を順次配して構成する。
【0043】
第3レンズ群103は、第2レンズ群102を通過した物体OBJ側の入射光束径に対して、像IMG側の射出光束径を制約させるため、像IMG側のレンズほど、レンズ径を小さくする。交換レンズとして用いる場合、像IMG側の外径を、撮像装置本体(カメラボディ)における装着機構の内径に対して小さくし、かつ特定の距離(フランジバック)以上に設定する必要があり、また、Fナンバーの小さい大口径撮像レンズの場合、最終レンズの径の大きさは、Fナンバーとバックフォーカスにより決定される大きさ以上に設定する。
【0044】
また、以上の基本的なレンズ構成において、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1,第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5,開口絞りSTOの空気空間S3,の少なくとも一つの空気空間の間隔(フォーカス可変間隔Di)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部301を備える。
【0045】
フォーカシング調整機能部301におけるフォーカス可変間隔Diの調整は、ダブルガウスタイプの絞り対称性を利用することにより諸収差の変動を少なくする。特に、第2Aレンズ群102A又は第2Bレンズ群102Bの両側に位置する空気空間S1,S3,S5を含めることにより様々なフォーカシング形態を実現できる。即ち、レンズ群や単レンズを光軸Dc上で移動させることにより全長が変化する多群移動フォーカシング方式、或いは全長が変化しないリアフォーカシング方式やインナーフォーカシング方式等を実現できる。この場合、複数のレンズ群や単レンズを移動させることにより性能的に有利となる。これに対して、Fナンバーが小さい大口径レンズのような大きくかつ重いレンズ群の移動を避けたい場合には少ないレンズ枚数のフォーカシング方式が有利になるとともに、機構的に移動部分を少なくすれば、複雑化を回避し、かつ軽量化を図ることができる。
【0046】
図1は、第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5の間隔を変化させる場合を示している。即ち、第1レンズ群101と第2レンズ群102が一体となる移動レンズ群Gm1が光軸Dc上を移動し、かつ第3レンズ群103が単体となる移動レンズ群Gm2が光軸Dc上を移動するとともに、それぞれの移動レンズ群Gm1,Gm2が異なる量により移動する二群移動フォーカシング方式となる。
【0047】
さらに、この基本的なレンズ構成において、以下の条件式〔1〕を満たすように設定する。
〔1〕 0.6 <(TL2/EPD)< 2.1
【0048】
ただし、EPDは、AFL/FNO,AFLは、無限物点時における、全系の焦点距離,FNOは、Fナンバーである。条件式〔1〕を満たすことにより、特に、全系のFナンバーを1.0以下、具体的には、Fナンバーを、概ね0.8-0.95程度に設定可能であることを確認できた。
【0049】
この場合、Fナンバーは小さいほど全系に入射する軸上光束が大きくなるため、レンズ全体が大きくなる傾向がある。第2レンズ群102は、正のパワーにより、軸上光束を、収差発生の抑制と補正を行いながら収束させ、第3レンズ群103を通過させることにより光束を像面の一点に集光させる働きがある。即ち、第2レンズ群102は、ダブルガウスタイプの開口紋りSTO前後の対称性による第2Aレンズ群102Aと第2Bレンズ群102Bにより収差を打ち消しあう収差補正の性質を備えている。この場合、第2レンズ群102への入光時における軸上光束は、第1レンズ群101のパワーが負のときに発散して大きくなり、第1レンズ群101のパワーが正のときに収束して小さくなる。第2レンズ群102に入射する光束は、第2Aレンズ群102Aにより、一旦収束され、光量を制御する開口絞りSTOを通過した後、第2Bレンズ群102Bにより発散される。
【0050】
第2レンズ群102の径や長さは、前後に配した第1レンズ群101及び第3レンズ群103による収差補正とパワーバランスを決めるため、全系の大きさを決める基本要素となる。条件式〔1〕は、第2レンズ群102に対する全系の軸上入射光束の比となるため、Fナンバーが小さくなるとEPDは大きくなる。したがって、条件式〔1〕の値が小さくなり、条件式〔1〕の範囲を超えた場合には、第2レンズ群102の長さを長くしなければ、全系における所定のFナンバーは得られなくなる。
【0051】
このような撮像光学系Cを備える本実施形態に係る大口径撮像レンズMによれば、基本的な構成として、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む構成,又は最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面をそれぞれ物体OBJ側に湾曲させた複数枚のレンズL11,L12…からなる構成を有する第1レンズ群101と、開口絞りSTOの物体OBJ側に位置し、物体OBJ側から、二枚の正レンズL21…とL22…,空気空間S2,負レンズL23…,を順次配した第2Aレンズ群102A,及び開口絞りSTOの像IMG側に位置し、物体OBJ側から、負レンズL24…,二枚の正レンズL25…とL26…,を順次配した第2Bレンズ群102Bを有するとともに、開口絞りSTOに対向する一対のレンズ面により形成する両凸形状の空気レンズLaを有する第2レンズ群102と、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL31…,像IMG側のレンズ面が凹形状の負レンズL32…,空気空間S6,物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正レンズL33…を順次配した第3レンズ群103と、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1,第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5,開口絞りSTOの空気空間S3,の少なくとも一つの空気空間の間隔(フォーカス可変間隔Di)を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させるフォーカシング調整機能部301とを有し、前述した条件式〔1〕を満たす撮像光学系Cを備えるため、様々なフォーカシング方式を利用可能なフォーカシング調整機能部301を確保しつつ、全系の小型化を図り、諸収差を良好かつ十分に補正することができるとともに、Fナンバーの小さい(1.0以下)明るい大口径化レンズを得ることができる。これにより、準広角域から中望遠域の撮影において十分な光学性能をカバーできるとともに、大型高精細撮像素子に対応し、かつ小型コンパクト化を図るデジタルカメラ等に使用する最適な交換レンズ等の大口径撮像レンズMとして提供できる。
【0052】
他方、本実施形態に係る大口径撮像レンズMに備える撮像光学系Cは、さらに、以下の条件式〔2〕-〔7〕を満たすように設定することが望ましい。
〔2〕 0.1 <(TL1/TL2)< 1.5
〔3〕 0.3 <(TL2/TLL)< 0.8
〔4〕 0.08<(TL1/TLL)< 0.60
〔5〕 0.3 <(TLF/TLL)< 0.7
〔6〕 0.1 <(RS1/TLL)< 0.5
〔7〕-0.55<(RS2/TLL)<-0.10
【0053】
ただし、TL1は無限物点時における第一レンズ面(i=1)から第2レンズ群102の最も物体OBJ側のレンズ面(第二レンズ面(i=3…))までの光軸長、TL2は第二レンズ面(i=3…)から第2レンズ群102の最も像IMG側のレンズ面(i=14…)までの光軸長、TLLは第一レンズ面(i=1)から第五レンズ面(i=19…)の光軸長、TLFは第一レンズ面(i=1)から開口絞りSTOまでの光軸長、RS1は第三レンズ面(i=8…)の曲率半径、RS2は第四レンズ面(i=10…)の曲率半径である。
【0054】
この場合、条件式〔2〕は、第1レンズ群101から第2レンズ群102までの長さと第2レンズ群102の光軸Dc上の長さの比となる。したがって、第1レンズ群101のレンズ枚数を選定することにより光学系の長さを設定することができる。また、負のパワーの発散系に対して正のパワーにより収束させた方が、第1レンズ群101と第2レンズ群102間における光軸Dc上の空気空間をより短くすることができる。第1レンズ群101と第2レンズ群102の長さ関係は、条件式〔2〕の数値を大きくし、第1レンズ群101のレンズ枚数を増やせば、第2レンズ群102の長さを短くすることができ、反対に、条件式〔2〕の数値を小さくし、第1レンズ群101のレンズ枚数を少なくすれば、第2レンズ群102の長さは長くなる。
【0055】
条件式〔3〕は、第2レンズ群102の長さと全系レンズ長の比となり、第2レンズ群102の長さは、全系レンズ長の0.3~0.8倍が好適である。なお、第1レンズ群101の長さが長いときは、第2レンズ群102の長さが短くなる。条件式〔2〕と条件式〔3〕の乗算値は条件式〔4〕の値となり、一枚のレンズにより構成可能な長さから全系に対して60%以下の長さが含まれる。後述する各実施例を考慮した場合、第1レンズ群101のレンズ枚数は最大五枚であるが、条件式〔4〕を満たす範囲で増減可能である。条件式〔4〕の下限は、第1レンズ群101を一枚のレンズL11により構成したときの長さで決定され、上限を超えた場合には全系レンズ長が長くなる。
【0056】
条件式〔5〕は、全系の長さにおける開口絞りSTOの位置を示しており、数値が「0.5」のときは、開口絞りSTOが全系の中心に位置する。後述する実施例1-9のような標準撮影領域の場合、開口絞りSTOは、ほぼ中心位置となる「0.5±0.1」以内にある。第1レンズ群101の構成を変えることにより撮像画角を広角化や望遠化に変化させた場合であっても、条件式〔5〕の範囲内の場合には、第2レンズ群102の絞り対称性による収差補正作用を生かすことができる。しかし、条件式〔5〕の範囲を超えた場合には、収差発生を捕正することが困難になる。
【0057】
条件式〔6〕及び〔7〕の範囲は、発生したコマ収差を光学系全体で補正可能な範囲となる。したがって、条件式〔6〕及び〔7〕の範囲を外れた場合には、「RSl」と「RS2」のいずれか一方の曲率半径が小さくなり過ぎるため、収差の発生と補正のバランスが崩れることになり、コマ収差や他の収差に対する補正が困難になる。
このような条件式〔2〕-〔7〕を満たすように構成すれば、特に、撮像光学系Cにおけるディメンションの最適化を図れるため、コマ収差や他の収差に対する補正及び全体の小型化を図る観点からの最も望ましい形態として実施できる。
【0058】
加えて、本実施形態に係る大口径撮像レンズMに備える撮像光学系Cは、以下の条件式〔9〕-〔11〕を満たすように設定することが望ましい。
〔9〕 0.1 <(AFL/FL2) ≦ 1.0
〔10〕 0.0 <(│IM2/OB2│)≦ 1.0
〔11〕 0.45 <(FLM/AFL) < 4.9
【0059】
ただし、FL2は、第2レンズ群102の焦点距離,OB2は、無限物点の第1レンズ群101の像点から第2レンズ群102の物体OBJ側のレンズ面(i=3…)の距離,IM2は、OB2を物体距離としたときの第2レンズ群102の像IMG側のレンズ面(i=14…)から像位置の距離,FLMは、第1レンズ群101と第2レンズ群102の合成焦点距離である。
【0060】
条件式〔9〕-〔11〕は、第1レンズ群101から第3レンズ群103のパワーバランスの最適な範囲を示している。通常、正のパワーを有する光学系では、物体OBJまでの距離が短い場合、像IMGの位置が正の方向に長くなるため、前側の主点からその光学系の焦点距離の位置において無限遠となり、一方、それより短い場合は像IMGの位置が負の方向に長くなる共役関係がある。実施形態における第2レンズ群102は、条件式〔9〕を満たす範囲内において良好なパワーバランスを保ちつつ、さらに、条件式〔10〕と〔11〕の範囲内にすることで、ダブルガウスタイプの第2レンズ群102の絞り対称共役関係を構成できるため、より良好な収差補正を可能にする。なお、物点から像点まで、ほぼ開口絞りSTOに対して対称であれば理想的である。
【0061】
第1レンズ群101は、フロントコンバージョンレンズとしての特徴から像点が無限遠も可能であるが、第1レンズ群101は物体OBJ側のレンズを負レンズで構成させた方が、レトロフォーカスタイプの光学系となり、軸外収差の補正を有利に行うことができる。第2レンズ群102の物点(第1レンズ群101の像点)を適切な範囲に設定することで、2つのレンズタイプの性質の軸上・軸外収差を良好に補正できる。
【0062】
第1レンズ群101は、像点が無限遠も可能であることから、OB2が無限遠になるときは、条件式〔10〕の値は、0.0となる。したがって、下限値0.0を下回った場合には、第1レンズ群101の負のパワーが弱くなり、OB2が大きくなるため、レトロフォーカスタイプの軸外収差補正の有利性から軸外収差に対する補正が困難になる。また、第2レンズ群102の像点IM2が小さくなり、第1レンズ群101の負のパワーが強過ぎると、第2レンズ群102のパワーも強くなり過ぎ、第2レンズ群102において近点の物点を長い像位置にする。このため、特に、Fナンバーが小さな大口径による球面収差の発生が多くなり、第3レンズ群103を用いてこれを補正することは困難となる。
【0063】
一方、OB2をIM2の値以上に設定することから、条件式〔10〕の値は1.0以下になる。したがって、上限値1.0を越えた場合には、第1レンズ群101の負のパワーが強くなり過ぎ、OB2が小さくなるため、軸外収差の発生が多くなり、第2レンズ群102以降の光学系による補正が困難となる。また、第1レンズ群101の負のパワーが弱くなると、OB2が長くなるため、レトロフォーカスタイプの軸外収差補正の有利性から軸外収差に対する補正が困難になる。
【0064】
このように、条件式〔9〕-〔11〕において、条件式〔9〕を満たすことにより、特に、第2レンズ群102内におけるパワー配分を適切な範囲に設定できるため、良好なパワーバランスを確保できる。加えて、条件式〔10〕及び〔11〕を満たすことにより、ダブルガウスタイプに基づく第2レンズ群102を、いわば絞り対称の共役関係に構築できるため、特に、収差補正を良好に行うことができる。
【0065】
次に、本実施形態における各種実施例(実施例1-12)について、
図1-
図26を参照して説明する。
【実施例1】
【0066】
まず、実施例1に係る大口径撮像レンズMについて、
図1-
図2,
図4及び表1を参照して説明する。
【0067】
図1は、実施例1に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例1に示す大口径撮像レンズMは、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0068】
撮像光学系Cにおいて、第1レンズ群101は、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を備える。使用するレンズL11は、負のパワーを有する負メニスカスレンズである。そして、このレンズL11の像IMG側に、空気空間S1を介して第2レンズ群102を配する。
【0069】
第2レンズ群102は、開口絞りSTOの物体OBJ側に位置する第2Aレンズ群102Aと、開口絞りSTOの像IMG側に位置する第2Bレンズ群102Bにより構成する。第2Aレンズ群102Aは、物体OBJ側から、正メニスカスレンズL21,正メニスカスレンズL22,空気空間S2,負メニスカスレンズL23,を順次配した計三枚のレンズにより構成するとともに、第2Bレンズ群102Bは、物体OBJ側から、両凹レンズ(負レンズ)L24と両凸レンズ(正レンズ)L25を接合した接合レンズJa,空気空間S4,非球面形状を有する両凸レンズ(正レンズ)L26,を順次配した計三枚のレンズにより構成する。この場合、開口絞りSTOに対向する一対のレンズ面、即ち、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に位置する負メニスカスレンズL23の像IMG側のレンズ面(第三レンズ面(i=8))と開口絞りSTOに対して像IMG側に位置する両凹レンズL24の物体OBJ側のレンズ面(第四レンズ面(i=10))間の空気空間S3により、両凸形状の空気レンズLaが形成される。
【0070】
特に、第2Aレンズ群102Aの負メニスカスレンズL23は、異常部分分散値dPgFの絶対値が0.02以上となる低屈折率低分散硝材を用いて形成する。なお、本明細書で使用した異常部分分散値dPgFは、異常部分分散性ΔθgFと同義である。低屈折率低分散硝材は、屈折率1.57以下、アッベ数75以上に分布しているため、適切な硝材を選択使用することにより、軸上色収差の補正を行うことができる。このように、第2レンズ群102を構成するに際し、異常部分分散値dPgFの絶対値が0.02以上となる低屈折率低分散硝材を用いた負レンズL23を含ませれば、適切な異常部分分散値dPgFの選択により、軸上色収差に対する良好かつ有効な補正を行える利点がある。
【0071】
そして、両凸レンズL26の像IMG側に、空気空間S5を介して第3レンズ群103を配する。第3レンズ群103は、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面が凸形状の正メニスカスレンズL31と像IMG側のレンズ面が凹形状の負メニスカスレンズL32を接合した接合レンズJb,空気空間S6,非球面形状を有する両凸レンズ(正レンズ)L33を順次配した計三枚のレンズにより構成する。この場合、両凸レンズL33は、物体OBJ側のレンズ面(i=18)が像IMG側のレンズ面(第五レンズ面(i=19))よりも曲率半径を小さく設定する。
【0072】
非球面形状のレンズ面を用いる場合、光束が非球面形状のどの部分を通過するかにより、収差補正の性質が左右されるため、より細かな収差補正を行う場合に有利となる。大口径レンズでは、レンズ径が大きくなるため、加工しやすさやコストに影響するため、最も像IMG側のレンズ(最終レンズ)又はこれに近い位置にある小径のレンズを非球面化することが有利となる。特に、交換レンズの場合、最終レンズはマウント内径に制約されるため、レンズ径をほぼ撮像サイズ(イメージサークル)に適合させる。したがって、大口径撮像レンズでは、最終レンズの径が最小になることが多い。
【0073】
このように、第3レンズ群103における最も像IMG側に位置する両凸レンズL33の少なくとも像IMG側のレンズ面(i=19)を非球面形状にすれば、比較的小径となる像IMG側に使用するレンズを非球面化できるため、加工面及びコスト面の有利性を高めることができるとともに、特に、ガウスタイプの欠点となるサジタルコマの補正を負担できるため、他のレンズとは異なる収差補正を実現できる。
【0074】
以上の撮像光学系Cにおいて、特に、開口絞りSTOに対し、像IMG側に配した五枚のレンズL24…は、物体OBJ側から、物体OBJ側が凹形状となるレンズ面(i=10)を有する負レンズL24,三枚の正レンズL25,L26,L31,及び像IMG側が凹形状となるレンズ面(i=17)を有する負レンズL32からなるため、部分対称レンズ群Gsとして構成される。
【0075】
部分対称レンズ群Gsは、第2Bレンズ群102Bとこれに続く第3レンズ群103の二枚のレンズを含み、Fナンバーの小さい大口径レンズの出射機能を負担している。第2レンズ群102は、ダブルガウスタイプとして部分対称レンズ群Gsの基礎部分となっているが、それと重ね合わせて部分対称光学系を構築する。そして、後述するフォーカシング調整機能部301では、そのレンズ群内にフォーカス可変間隔を設定することにより、フォーカシングの際に発生する収差を抑えながら収差を一定に保つ機能を担っている。この構成により、開口絞りSTOで収束された光束は、部分対称光学系内に入射することにより発散し、三枚の正レンズにより徐々に収束しながら像IMG側の最終レンズにより像面に集光する。両凸レンズ及び両凹レンズは、両面の方向が異なるカーブにより光線の入出射角度のバランスをとりながら急激な屈折とそれに伴う収差発生を抑えている。
【0076】
このように、開口絞りSTOに対して、像IMG側に配した五枚のレンズL24…を、物体OBJ側から、物体OBJ側が凹形状となるレンズ面(i=10)を有する負レンズL24,三枚の正レンズL25,L26,L31,及び像IMG側が凹形状となるレンズ面(i=17)を有する負レンズL32からなる部分対称レンズ群Gsにより構成するとともに、この部分対称レンズ群Gsに、両面が凸形状となる少なくとも一枚の正レンズL25,L26と両面が凹形状となる少なくとも一枚の負レンズL24を含ませれば、ダブルガウスタイプの基礎となる部分対称光学系に、他のレンズを付加する構成とすることができるため、光線の入出射角度の急激な屈折を抑制できるとともに、これに伴う収差の発生を有効に抑えることができる。
【0077】
また、第2Aレンズ群102AにおけるレンズL21,L22,L23の空気接触する全レンズ面(i=3,5,7,8),及び第3レンズ群103における各レンズL31,L33の物体OBJ側に位置する空気接触する全レンズ面(i=15,18)は、それぞれ物体OBJ側に湾曲形成する。このように、第1レンズ群101を、負のパワーを有する二枚以下のレンズL11により構成するとともに、第2Aレンズ群102Aにおけるレンズの空気接触する全レンズ面(i=3,5,7,8),及び第3レンズ群103における各レンズの物体OBJ側に位置する空気接触する全レンズ面(i=15,18)を、それぞれ物体OBJ側に湾曲形成すれば、レンズの重り合い圧縮効果により、光軸Dc方向における撮像光学系Cの長さを短縮できるため、体積の少ないメニスカス形状のレンズを含む外径の大きな大口径撮像レンズMであってもその軽量化を実現できる。
【0078】
一方、301は、フォーカシング調整機能部を示す。実施例1の場合、フォーカシング時に移動する少なくとも一つの移動レンズ群Gm1…を備えており、第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5の間隔が変化する。即ち、第1レンズ群101と第2レンズ群102が一体となる移動レンズ群Gm1が光軸Dc上を移動し、かつ第3レンズ群103が単体となる移動レンズ群Gm2が光軸Dc上を移動するとともに、それぞれの移動レンズ群Gm1,Gm2が異なる量により移動する二群移動フォーカシング方式による
フォーカシング調整機能部301が構成される。
【0079】
この場合、部分対称レンズ群Gsにおける、両面が空気接触面となる正レンズL26の片側に位置する空気空間S5が物点移動時におけるフォーカス可変間隔Diとして機能する。このように、部分対称レンズ群Gsに備える両面が空気接触面となる正レンズL26の片側(又は両側)に位置する空気空間S5(及び/又はS4)を、物点が移動する際のフォーカス可変間隔Diとして機能させれば、部分対称レンズ群Gsの内部にフォーカス可変間隔Diを設定できるため、フォーカシング時における収差の発生を抑制できるとともに、収差の一定化(安定化)を図ることができる。
【0080】
また、実施例1のフォーカシング調整機能部301を構成するに際しては、条件式〔8〕を満たすように設定する。条件式〔8〕に係わる具体的な設定値は
図2に示す。
〔8〕 0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}<0.5
【0081】
ただし、FP1は、無限物体時の最も物体OBJ側に存在するフォーカス可変間隔Diに対して物体OBJ側に位置する移動レンズ群Gm1における像IMG側のレンズ面(i=14)からその像位置までの距離、FP2は、撮影倍率0.1倍時の最も物体IMG側に存在するフォーカス可変間隔Diに対して物体OBJ側に位置する移動レンズ群Gm1における像IMG側のレンズ面(i=14…)からその像位置までの距離である。
【0082】
このように、フォーカシング調整機能部301を構成するに際し、フォーカシング時に移動する少なくとも一つの移動レンズ群Gm1…を設け、上記条件式〔8〕を満たすように構成すれば、多群フォーカシング方式に基づくフォーカシング調整機構を構築できるため、よりフォーカシング性能を高めたフォーカシング調整機能部301を得ることができる。
【0083】
さらに、このようなレンズ構成における光学撮像系Cにおける光学特性(光学条件)は、前述した条件式〔1〕-〔11〕の全てを満たすように設定する。各条件式に係わる具体的な設定値は
図2に示す。
【0084】
表1に、実施例1の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:28.91mm,Fナンバー:0.84,半画角:21.41゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。この場合、撮影倍率の「0.00」は、被写体が無限物点にあることを示す。なお、光学的な横倍率では、物体高に対して像高は倒置するので負の値となるが、この撮影倍率は、像高/(-物体高)として表した。
【0085】
【0086】
表1の「面データ」は、物体OBJ側から数えたレンズ面の面番号をiで示した。この面番号iは、
図1に示した一部の符号(一部の数字)に一致する。これに対応して、レンズ面の曲率半径R(i)、軸上面間隔D(i)、硝材の屈折率nd(i)、硝材のアッベ数νd(i),低屈折率低分散硝材を用いたレンズにおける異常部分分散値dPgF(i),空気中に置いた単体レンズ(接合レンズは複数として扱う)の焦点距離FL(i),をそれぞれ示す。nd(i)及びνd(i)はd線(587.56〔nm〕)に対する数値である。軸上面間隔D(i)は相対向する面と面間のレンズ厚或いは空気空間を示す。曲率半径R(i),面間隔D(i),焦点距離FL(i)の単位は〔mm〕である。面番号のOBJは物体、STOは開口絞り、IMGは像の位置を示す。曲率半径R(i)のInfinityは平面であり、面番号iの後にAが付いた面は面形状が非球面であることを示す。屈折率nd(i)とアッベ数νd(i)の空欄は空気であることを示す。
【0087】
また、表1の「非球面係数」は、面の中心を原点とし、光軸Dc方向をZとした直交座標系(X,Y,Z)において、ASPを非球面の面番号としたとき、Zは数1により表される。数1において、Rは中心曲率半径、Kは円錐定数、A4,A6,A8,A10は、それぞれ4次,6次,8次,10次の非球面係数、Hは光軸上の原点からの距離である。なお、表1において、「E」は「×10」を意味する。
【0088】
さらに、表1の「フォーカス可変間隔」において、VD+面番号で示す、「VD0」,「VD2」,「VD8」…は、フォーカス調整が可能な可変間隔を示すとともに、第2Aレンズ群102Aと第2Bレンズ群102Bが隣り合う空気空間S1,S3,S5の区分けを含む。なお、「撮影倍率」の同じ数値は、その前後のレンズ群が光軸Dc上を同時に移動することを示す。
【0089】
【0090】
図2に示すように、AFLは28.91mm,FNOは0.84であるため、EPD=AFL/FNOは「34.50」,TL2/EPDは「1.62」となり、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.62<2.1」を満たす。TL1は12.68mm,TL2は55.80mmであるため、TL1/TL2は「0.23」となり、条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.23<1.5」を満たすとともに、TLLは86.89mmであるため、TL2/TLLは「0.64」となり、条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.64<0.8」を満たす。TL1/TLLは「0.15」となり、条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.15<0.60」を満たすとともに、TLFは40.79mmであるため、TLF/TLLは「0.47」となり、条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.47<0.7」を満たす。また、RS1は17.23mm,RS2は-23.79mmであるため、RS1/TLLは「0.20」となり、条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.20<0.5」を満たすとともに、RS2/TLLは「-0.27」となり、条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.27<-0.10」を満たす。
【0091】
さらに、FP1は52.34mm,FP2は62.62mmであるため、│(FP2-FP1)/FP1│は「0.196」となり、条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.196<0.5」を満たす。FL2は54.82mmであるため、AFL/FL2は「0.53」となり、条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.53≦1.0」を満たす。OB2は-93.00mm,IM2は52.34mm.FLMは52.61mmであるため、│IM2/OB2│は「0.56」となり、条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.56≦ 1.0」を満たすとともに、FLM/AFLは、「1.82」となり、条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=1.82<4.9」を満たす。
【0092】
一方、
図4には、実施例1の大口径撮像レンズMにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」)とした縦収差図を示す。各縦収差図は、左側から、球面収差(656.27nm,587.56nm,435.83nm)、非点収差(587.56nm)、歪曲収差(587.56nm)を示す。各スケールは、±0.50mm,±0.50mm,±3.0%である。
図4に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例2】
【0093】
次に、実施例2に係る大口径撮像レンズMについて、
図2,
図5,
図6及び表2を参照して説明する。
【0094】
図5は、実施例2に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例2も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0095】
実施例2における実施例1との主たる相違点は、第1レンズ群101のレンズ構成,及び第3レンズ群103のレンズ構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例1と同じである。したがって、
図5において、面番号(i=1,2,3…21,22)を除き、
図1と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0096】
第1レンズ群101は、最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面(i=3)をそれぞれ物体OBJ側に湾曲させた二枚(一般的には複数枚)のレンズL11とL12を備える。この場合、レンズL11とL12は、両凸レンズ(正レンズ)L11と両凹レンズ(負レンズ)L12を接合した接合レンズJcを用いる。なお、第2レンズ群102は、開口絞りSTOの物体OBJ側に位置する第2Aレンズ群102Aと、開口絞りSTOの像IMG側に位置する第2Bレンズ群102Bにより構成し、基本的なレンズ構成は実施例1と同じである。ただし、第1レンズ群101のレンズ枚数が異なるため、
図5中の面番号(i)は繰り上がっている。一方、第3レンズ群103は物体OBJ側から、両凸レンズ(正レンズ)L31と両凹レンズ(負レンズ)L32を接合した接合レンズJb,空気空間S6,非球面形状を有する両凸レンズ(正レンズ)L33を順次配した計三枚のレンズにより構成する。
【0097】
表2に、実施例2の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:29.00mm,Fナンバー:0.84,半画角:21.26゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0098】
【0099】
図2に示すように、実施例2の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.60<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.27<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.64<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.17<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.47<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.19<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.23<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.149<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.63≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.41≦ 1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=1.35<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0100】
一方、
図6には、実施例2の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」)とした縦収差図を示す。
図6に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例3】
【0101】
次に、実施例3に係る大口径撮像レンズMについて、
図2,
図7,
図8及び表3を参照して説明する。
【0102】
図7は、実施例3に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例3も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0103】
実施例3における実施例2との主たる相違点は、第1レンズ群101のレンズ構成,及び第2Aレンズ群102Aのレンズ構成、さらに、フォーカシング調整機能部301の構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例2と同じである。したがって、
図7において、面番号(i=1,2,3…22,23)を除き、
図5と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。なお、実施例3(実施例4-12も同じ)では、実施例1及び実施例2において第2レンズ群102で用いた低屈折率低分散硝材によるレンズ(L23)は使用しない。
【0104】
第1レンズ群101は、最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面(i=3)をそれぞれ物体OBJ側に湾曲させた二枚のレンズL11とL12を備える点は、実施例2と同じとなるが、レンズL11とL12は、それぞれ両凸レンズ(正レンズ)L11と両凹レンズ(負レンズ)L12の二枚の単レンズを用いた。
【0105】
また、第2レンズ群102は、開口絞りSTOの物体OBJ側に位置する第2Aレンズ群102Aと、開口絞りSTOの像IMG側に位置する第2Bレンズ群102Bにより構成し、基本的なレンズ構成は実施例2と同じであるが、実施例3の第2Aレンズ群102Aは、物体OBJ側から、両凸レンズ(正レンズ)L21,物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズL22,空気空間S2,物体OBJ側のレンズ面が平面に近い両凹レンズL23,を順次配した計三枚の単レンズにより構成する。この場合、第1レンズ群101のレンズ構成が異なるため、
図7中の面番号(i)は繰り上がっている。なお、第3レンズ群103の基本的な構成は、第2実施例と同じであるが、最も像IMG側に位置する非球面形状を有する両凸レンズ(正レンズ)L33の像IMG側のレンズ面(i=21)は平面に近い凸面に設定している。
【0106】
さらに、フォーカシング調整機能部301は、
図7に示すように、第1レンズ群101の位置を像位置に対して固定(不動)するとともに、第2レンズ群102の、物体OBJ側の空気空間S1と像IMG側の空気空間S5をフォーカス可変間隔Diとして変化させるようにしたものである。
【0107】
即ち、第1レンズ群101を物体OBJ側に位置する固定レンズ群Gcとして位置を固定(不動)するとともに、第2レンズ群102と第3レンズ群103をそれぞれ独立した移動レンズ群Gm1,Gm2として機能させることによりそれぞれが異なる量により光軸Dc上を物体OBJ側へ移動する二群移動リアフォーカス方式として構成した。
【0108】
このように、フォーカシング調整機能部301を構成するに際し、全系の最も物体OBJ側のレンズ面(i=1)を像位置に対して固定する固定レンズ群Gc,及びフォーカシング時に移動する少なくとも一つの移動レンズ群Gm1…を備え、条件式〔8〕を満たすように設定すれば、特に、大径のレンズを配する物体OBJ側の第1レンズ群101を不動にし、リアフォーカス方式に基づくフォーカシング調整機能部301を構築できるため、大口径撮像レンズMの更なる軽量化及び小型化に寄与できる。
【0109】
表3に、実施例3の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:28.00mm,Fナンバー:0.84,半画角:21.92゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0110】
【0111】
図2に示すように、実施例3の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.69<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.38<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.62<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.24<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.50<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.29<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.21<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.137<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.68≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.28≦ 1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=0.97<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0112】
一方、
図8(a),(b)には、実施例3の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」)とした縦収差図を示す。
図8(a),(b)に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例4】
【0113】
次に、実施例4に係る大口径撮像レンズMについて、
図2,
図9,
図10及び表4を参照して説明する。
【0114】
図9は、実施例4に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例4も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0115】
実施例4における実施例3との主たる相違点は、第1レンズ群101のレンズ構成,及びフォーカシング調整機能部301の構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例3と同じである。したがって、
図9において、
図7と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0116】
第1レンズ群101は、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む構成,及び最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面をそれぞれ物体OBJ側に湾曲させた複数枚のレンズL11,L12…からなる構成,のいずれも満たす構成となる。具体的には、物体OBJ側から、物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL11,物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL12の二枚の単レンズを用いた。
【0117】
また、フォーカシング調整機能部301は、
図9に示すように、第1レンズ群101と第2Aレンズ群102Aの位置を像位置に対して固定(不動)とし、開口絞りSTOの空気空間S3と、第2Bレンズ群102Bの像IMG側の空気空間S5をフォーカス可変間隔Diとして変化させるようにしたものである。
【0118】
即ち、第1レンズ群101と第2Aレンズ群102Aを一体とした物体OBJ側に位置する固定レンズ群Gcとして位置を固定(不動)するとともに、第2Bレンズ群102Bと第3レンズ群103をそれぞれ独立した移動レンズ群Gm1,Gm2として機能させることによりそれぞれが異なる量により光軸Dc上を物体OBJ側へ移動するように構成したものである。
【0119】
このように、実施例4は、フォーカシング調整機能部301を構成するに際し、全系の最も物体OBJ側のレンズ面(i=1)を像位置に対して固定する固定レンズ群Gc,及びフォーカシング時に移動する移動レンズ群Gm1,Gm2を備え、条件式〔8〕を満たすように設定したものであり、実施例3と同様の二群移動リアフォーカス方式として構成される。
【0120】
表4に、実施例4の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:28.00mm,Fナンバー:0.84,半画角:21.77゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0121】
【0122】
図2に示すように、実施例4の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.83<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.27<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.67<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.18<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.51<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.22<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.21<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.128<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.48≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.55≦ 1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=1.14<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0123】
一方、
図10(a),(b)には、実施例4の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」)とした縦収差図を示す。
図10(a),(b)に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例5】
【0124】
次に、実施例5に係る大口径撮像レンズMについて、
図2,
図11,
図12及び表5を参照して説明する。
【0125】
図11は、実施例5に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例5も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0126】
実施例5における実施例4との主たる相違点は、第1レンズ群101のレンズ構成,及びフォーカシング調整機能部301の構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例4と同じである。したがって、
図11において、
図9と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0127】
第1レンズ群101は、最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面(i=3)が物体OBJ側に湾曲した二枚のレンズL11とL12を備え、それぞれ両凸レンズ(正レンズ)L11と両凹レンズ(負レンズ)L12の二枚の単レンズにより構成した。
【0128】
また、フォーカシング調整機能部301は、
図11に示すように、第1レンズ群101と第3レンズ群103を像位置に対して固定(不動)とし、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1と像IMG側の空気空間S5をフォーカス可変間隔Diとして変化させるものである。
【0129】
即ち、実施例5のフォーカシング調整機能部301は、第1レンズ群101を物体OBJ側に位置する固定レンズ群Gcとし、第3レンズ群103を像IMG側に位置する固定レンズ群Gcとした二つの固定レンズ群Gc…を備え、中間に位置する第2レンズ群102を独立した一つの移動レンズ群Gm1として、光軸Dc上を物体OBJ側へ移動するように構成したものであり、一群移動インナーフォーカス方式となる。
【0130】
このように、全系の最も物体OBJ側のレンズ面(i=1)及び最も像IMG側のレンズ面(i=21)を像位置に対して固定する二つの固定レンズ群Gc…,及びフォーカシング時に移動する一つの移動レンズ群(一枚のレンズを含む)Gm1を備え、条件式〔8〕を満たすように設定すれば、中間に配する一つのフォーカスレンズ群Fmを移動させるインナーフォーカス方式に基づくフォーカシング調整機能部301を構築できるため、大口径撮像レンズMの軽量化及び小型化を図る観点から最適な形態として実施できる。
【0131】
表5に、実施例5の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:28.00mm,Fナンバー:0.84,半画角:21.91゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0132】
【0133】
図2に示すように、実施例5の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.71<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.39<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.62<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.24<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.51<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.35<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.21<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.138<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.68≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.27≦ 1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=0.98<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0134】
一方、
図12(a),(b)には、実施例5の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」)とした縦収差図を示す。
図12(a),(b)に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例6】
【0135】
次に、実施例6に係る大口径撮像レンズMについて、
図2,
図13,
図14及び表6を参照して説明する。
【0136】
図13は、実施例6に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例6も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0137】
実施例6における実施例5との主たる相違点は、第1レンズ群101のレンズ構成,第2Aレンズ群102A,第3レンズ群103,さらにフォーカシング調整機能部301の構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例5と同じである。したがって、
図13において、面番号(i=1,2,3…23,24)を除き、
図11と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0138】
第1レンズ群101は、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚の単レンズL11を含む構成,及び最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面(i=4)が物体OBJ側に湾曲した二枚の単レンズL11,L12からなる構成,のいずれも満たす構成となる。この場合、二枚の単レンズL11とL12を、それぞれ物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズにより構成した。
【0139】
また、第2Aレンズ群102Aは、実施例5における両凹レンズL23の代わりに、実施例6では物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL23を用いた点が異なるとともに、第3レンズ群103は、物体OBJ側から、物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズL31,物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL32,空気空間S6,非球面形状を有し、かつ像IMG側のレンズ面(i=22)が平面に近い両凸レンズ(正レンズ)L33,を順次配した計三枚の単レンズにより構成する。
【0140】
さらに、フォーカシング調整機能部301は、
図13に示すように、第1レンズ群101と第2Aレンズ群102A,及び第3レンズ群103を像位置に対して固定(不動)とし、開口絞りSTOの空気空間S3,及び第2Bレンズ群102Bの像IMG側の空気空間S5を、それぞれフォーカス可変間隔Diとして変化させる構成としたものである。
【0141】
即ち、実施例6のフォーカシング調整機能部301は、第1レンズ群101と第2Aレンズ群102Aを一体とした物体OBJ側に位置する固定レンズ群Gcとし、第3レンズ群103を像IMG側に位置する固定レンズ群Gcとするとともに、第2Bレンズ群102Bを独立した一つの移動レンズ群Gm1として、光軸Dc上を物体OBJ側へ移動するように構成したものであり、固定するレンズ群と移動させるレンズ群が異なるものの実施例5と同様の一群移動インナーフォーカス方式となる。
【0142】
表6に、実施例6の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:28.01mm,Fナンバー:0.84,半画角:21.67゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0143】
【0144】
図2に示すように、実施例6の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.92<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.23<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.70<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.16<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.52<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.21<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.21<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.127<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.42≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.47≦ 1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=1.09<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0145】
一方、
図14(a),(b)には、実施例6の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」)とした縦収差図を示す。
図14(a),(b)に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例7】
【0146】
次に、実施例7に係る大口径撮像レンズMについて、
図3,
図15,
図16及び表7を参照して説明する。
【0147】
図15は、実施例7に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例7も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0148】
実施例7における実施例6との主たる相違点は、第1レンズ群101のレンズ構成,及びフォーカシング調整機能部301の構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例6と同じである。したがって、
図15において、
図13と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0149】
第1レンズ群101は、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚の単レンズL11を含む構成としたものであり、具体的には、物体OBJ側から、物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL11,像IMG側に湾曲した正メニスカスレンズL12を備える。
【0150】
また、フォーカシング調整機能部301は、
図15に示すように、第1レンズ群101,第2レンズ群102,及び第3レンズ群103の像IMG側に位置する二枚のレンズL32とL33を像位置に対して固定(不動)とし、第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5をフォーカス可変間隔Diとして変化させる構成としたものである。
【0151】
即ち、第1レンズ群101及び第2レンズ群102を一体とした物体OBJ側の固定レンズ群Gcとし、第3レンズ群103の像IMG側に位置する二枚のレンズL32とL33を像IMG側の固定レンズ群Gcとするとともに、第3レンズ群103の物体OBJ側に位置する一枚のレンズ(正メニスカスレンズ)L31を移動レンズ群Gm1として、光軸Dc上を物体OBJ側へ移動するように構成したものである。
【0152】
したがって、固定するレンズ群と移動させるレンズ群が異なるものの実施例6と同様の一群移動インナーフォーカス方式となる。特に、実施例7の場合、移動レンズ群Gm1は、一枚の単レンズのみとなるため、一枚の単レンズのみを移動させる一枚移動インナーフォーカス方式となる。
【0153】
表7に、実施例7の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:25.00mm,Fナンバー:0.84,半画角:23.90゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0154】
【0155】
図3に示すように、実施例7の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.68<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.47<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.55<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.25<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.53<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.27<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.24<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.117<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.43≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.72≦ 1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=2.62<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0156】
一方、
図16(a),(b)には、実施例7の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」)とした縦収差図を示す。
図16(a),(b)に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例8】
【0157】
次に、実施例8に係る大口径撮像レンズMについて、
図3,
図17,
図18及び表8を参照して説明する。
【0158】
図17は、実施例8に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例8も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0159】
実施例8における実施例7との主たる相違点は、第1レンズ群101,第2Aレンズ群102A,第3レンズ群103,及びフォーカシング調整機能部301の構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例7と同じである。したがって、
図17において、面番号(i=1,2,3…22,23)を除き、
図15と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0160】
実施例8は、実施例7における第1レンズ群101の像IMG側に配したレンズL12を、像IMG側に湾曲し、かつ非球面形状により形成した負メニスカスレンズL12により構成するとともに、実施例7における第2Aレンズ群102Aの最も開口絞りSTO側に配するレンズL23を両凹レンズ(負レンズ)により構成したものである。また、実施例8の第3レンズ群103を構成するに際しては、物体OBJ側から、両凸レンズ(正レンズ)L31と両凹レンズ(負レンズ)L32を接合した接合レンズJb,空気空間S6,非球面形状を有する両凸レンズ(正レンズ)L33を順次配した計三枚のレンズにより構成する。
【0161】
一方、フォーカシング調整機能部301は、
図17に示すように、第1レンズ群101,第2Aレンズ群102Aにおける物体OBJ側に位置する二枚の正レンズL21とL22,第2Bレンズ群102B,及び第3レンズ群103を、それぞれ像位置に対して固定(不動)とし、開口絞りSTOの空気空間S3を、フォーカス可変間隔Diとして変化させる構成としたものである。
【0162】
即ち、第1レンズ群101及び第2Aレンズ群102Aにおける物体OBJ側に位置する二枚の正レンズL21とL22を一体とした物体OBJ側に位置する固定レンズ群Gcとし、第2Aレンズ群102Aの最も像IMG側に配した一枚の負レンズL23を一つの移動レンズ群Gm1として、光軸Dc上を像IMG側へ移動するように構成したものである。したがって、固定するレンズ群と移動させるレンズ群が異なるものの実施例7と同様の一枚移動インナーフォーカス方式となる。
【0163】
表8に、実施例8の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:26.34mm,Fナンバー:0.84,半画角:23.30゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0164】
【0165】
図3に示すように、実施例8の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.73<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.29<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.63<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.18<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.50<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.29<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.22<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.010<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.66≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.29≦ 1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=1.03<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0166】
一方、
図18(a),(b)には、実施例8の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」)とした縦収差図を示す。
図18(a),(b)に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例9】
【0167】
次に、実施例9に係る大口径撮像レンズMについて、
図3,
図19,
図21及び表9を参照して説明する。
【0168】
図19は、実施例9に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例9も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0169】
実施例9における実施例8との主たる相違点は、第1レンズ群101,第2Aレンズ群102A,第3レンズ群103,及びフォーカシング調整機能部301の構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例8と同じである。したがって、
図19において、面番号(i=1,2,3…27,28)を除き、
図17と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0170】
第1レンズ群101は、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む構成,及び最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面(i=8)が物体OBJ側に湾曲した四枚のレンズL11,L12,L13,L14からなる構成,のいずれも満たす構成となる。例示の場合、物体OBJ側から、物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL11,両凹レンズL12,像IMG側に湾曲した正メニスカスレンズL13,及び物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズL14を備える。
【0171】
この場合、実施例9は、第1レンズ群101を六枚以下のレンズにより構成し、正レンズの枚数と負レンズの枚数の差を一枚以内となる。第1レンズ群101を構成するに際し、実施例9(実施例10も同じ)のように、六枚以下のレンズにより構成し、正レンズの枚数と負レンズの枚数の差を一枚以内に設定すれば、第1レンズ群101の全枚数を六枚以下に抑制するとともに、正レンズの枚数と負レンズの枚数の差を一枚以内に設定するため、バランスの良好な収差補正を行うことができる。
【0172】
第2Aレンズ群102Aは、最も開口絞りSTO側に配するレンズL23を物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL23を用いて構成するとともに、第3レンズ群103は、物体OBJ側から、両凸レンズ(正レンズ)L31,物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL32,空気空間S6,非球面形状を有する両凸レンズ(正レンズ)L33を順次配した計三枚のレンズにより構成する。
【0173】
一方、フォーカシング調整機能部301は、
図19に示すように、第1レンズ群101と第2レンズ群102,及び第3レンズ群103における最も像IMG側に位置する負レンズL32と正レンズL33の二枚をそれぞれ像位置に対して固定(不動)とし、第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5を、フォーカス可変間隔Diとして変化させる構成としたものである。
【0174】
即ち、第1レンズ群101及び第2レンズ群102を一体とした物体OBJ側に位置する固定レンズ群Gcとし、第3レンズ群103における最も像IMG側に位置する二枚のレンズL32とL33を像IMG側に位置する固定レンズ群Gcとするとともに、第3レンズ群103の最も像OBJ側に位置する一枚の正レンズL31のみを一つの移動レンズ群Gm1として、光軸Dc上を物体OBJ側へ移動するように構成したものである。したがって、固定するレンズ群と移動させるレンズ群が異なるものの実施例8と同様の一枚移動インナーフォーカス方式となる。
【0175】
表9に、実施例9の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:25.02mm,Fナンバー:0.93,半画角:23.82゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」,「0.15」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0176】
【0177】
図3に示すように、実施例9の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.53<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.71<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.45<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.32<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.56<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.37<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.42<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.108<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.29≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.12≦ 1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=2.74<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0178】
一方、
図21(a),(b),(c)には、実施例9の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.15」)とした縦収差図を示す。
図21(a),(b),(c)に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.15」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例10】
【0179】
次に、実施例10に係る大口径撮像レンズMについて、
図3,
図20,
図22及び表10を参照して説明する。
【0180】
図20は、実施例10に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例10も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0181】
実施例10における実施例9との主たる相違点は、第1レンズ群101,第2Aレンズ群102A,第3レンズ群103,及びフォーカシング調整機能部301の構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例9と同じである。したがって、
図20において、面番号(i=1,2,3…28,29)を除き、
図19と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0182】
第1レンズ群101は、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL11を含む構成,及び最も物体OBJ側のレンズ面(第一レンズ面(i=1))及び最も像IMG側のレンズ面(i=8)が物体OBJ側に湾曲した4つのレンズL11,L12,L13,L14からなる構成,のいずれも満たす構成となる。例示の場合、物体OBJ側から、物体OBJ側に湾曲した三枚の負メニスカスレンズL11,L12,L13,像IMG側に湾曲した正メニスカスレンズL14,及び物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズL15の計五枚の単レンズを備える。したがって、実施例9と同様に、第1実施例101を、六枚以下のレンズにより構成し、正レンズの枚数と負レンズの枚数の差を一枚以内に設定した構成となる。
【0183】
また、第2Aレンズ群102Aは、物体OBJ側から、両凸レンズ(正レンズ)L21,L22,及び物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL23を用いて構成する。なお、実施例10の場合、第2Bレンズ群102Bにおける両凸レンズ(正レンズ)L26は球面形状であり、他の実施例と異なり、非球面形状には形成しない。
【0184】
さらに、第3レンズ群103は、物体OBJ側から、物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズL31と物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL32を接合した接合レンズJb,空気空間S6,非球面形状を有する両凸レンズ(正レンズ)L33を順次配した計三枚のレンズにより構成する。
【0185】
一方、フォーカシング調整機能部301は、
図20に示すように、第1レンズ群101を像位置に対して固定(不動)とし、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1をフォーカス可変間隔Diとして変化させる構成としたものである。即ち、第1レンズ群101を固定レンズ群Gcとし、第2レンズ群102及び第3レンズ群103を一体とした可動レンズ群Gm1として、光軸Dc上を物体OBJ側へ移動するように構成したものであり、全系の最も物体OBJ側のレンズ面(i=1)を像位置に対して固定する固定レンズ群Gc,及びフォーカシング時に移動する一つの移動レンズ群Gm1を備え、前記条件式〔8〕を満たすように構成した一群移動リアフォーカス方式となる。
【0186】
このように、フォーカシング調整機能部301を構成するに際し、全系の最も物体OBJ側のレンズ面(i=1)を像位置に対して固定する固定レンズ群Gc,及びフォーカシング時に移動する少なくとも一つの移動レンズ群Gm1…を設け、前記条件式〔8〕を満たすように構成すれば、特に、大径のレンズを配する物体OBJ側の第1レンズ群101を不動にし、リアフォーカス方式に基づくフォーカシング調整機能部301を構築できるため、大口径撮像レンズMの更なる軽量化及び小型化に寄与できる。
【0187】
表10に、実施例10の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:17.52mm,Fナンバー:0.93,半画角:32.88゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」,「0.15」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0188】
【0189】
図3に示すように、実施例10の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.85<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=1.30<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.38<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.49<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.64<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.32<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.18<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.111<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.14≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.61≦1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=2.48<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0190】
一方、
図22(a),(b),(c)には、実施例10の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.15」)とした縦収差図を示す。
図22(a),(b),(c)に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.15」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例11】
【0191】
次に、実施例11に係る大口径撮像レンズMについて、
図3,
図23,
図25及び表11を参照して説明する。
【0192】
図23は、実施例11に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例11も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0193】
実施例11における実施例10との主たる相違点は、第1レンズ群101,第2Aレンズ群102A,及び第3レンズ群103の構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例10と同じである。したがって、
図23において、面番号(i=1,2,3…24,25)を除き、
図20と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0194】
第1レンズ群101は、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚のレンズL13を含む全体を三枚のレンズL11,L12,L13により構成したものである。例示の場合、物体OBJ側から、両凹レンズ(負レンズ)L11,両凸レンズ(正レンズ)L12,及び物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズL13の計三枚の単レンズを備える。また、第2Aレンズ群102Aは、物体OBJ側から、物体OBJ側に湾曲した二枚の正メニスカスレンズL21,L22,及び物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL23を用いて構成する。さらに、第3レンズ群103は、物体OBJ側から、両凸レンズ(正レンズ)L31と両凹レンズ(負レンズ)L32を接合した接合レンズJb,空気空間S6,物体OBJ側に湾曲し、かつ像IMG側のレンズ面が平面に近い正メニスカスレンズL33を順次配した計三枚のレンズにより構成する。
【0195】
実施例11の場合、第3レンズ群103における正メニスカスレンズL33は球面形状であり、他の実施例と異なり、非球面形状には形成しない。また、実施例11では、実施例10と同様、第2Bレンズ群102Bの両凸レンズ(正レンズ)L26は球面形状である。したがって、実施例11の場合、非球面形状に形成したレンズは存在しない。
【0196】
また、フォーカシング調整機能部301は、第1レンズ群101を像位置に対して固定(不動)する固定レンズ群Gcとし、第2レンズ群102及び第3レンズ群103を一体に移動させる移動レンズ群Gm1としたものであり、固定するレンズ群と移動させるレンズ群が異なるものの実施例10と同様に、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1をフォーカス可変間隔Diとして変化させる構成とした一群移動リアフォーカス方式となる。
【0197】
表11に、実施例11の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:58.02mm,Fナンバー:0.93,半画角:10.82゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」,「0.15」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0198】
【0199】
図3に示すように、実施例11の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=0.73<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.76<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.50<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.38<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.65<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.21<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.26<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.403<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.79≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.26≦1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=1.17<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0200】
一方、
図25(a),(b),(c)には、実施例11の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.15」)とした縦収差図を示す。
図25(a),(b),(c)に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.15」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【実施例12】
【0201】
次に、実施例12に係る大口径撮像レンズMについて、
図3,
図24,
図26及び表12を参照して説明する。
【0202】
図24は、実施例12に係る大口径撮像レンズMの構成を示す。実施例12も、基本構成として、上述した実施形態における説明のとおり、物体OBJ側から、第1レンズ群101,開口絞りSTOを内包する第2レンズ群102,第3レンズ群103を順次配した撮像光学系Cを備える。
【0203】
実施例12における実施例11との主たる相違点は、第1レンズ群101,第3レンズ群103,及びフォーカシング調整機能部301の構成を変更した点にあり、他の基本的な構成は、実施例11と同じである。したがって、
図24において、面番号(i=1,2,3…20,21)を除き、
図23と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0204】
第1レンズ群101は、レンズ両面が物体OBJ側に湾曲した一枚の単レンズL11、具体的には、物体OBJ側に湾曲し、かつ非球面形状に形成した一枚の正メニスカスレンズL11を用いた構成を備える。また、第3レンズ群103は、物体OBJ側から、物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズL31と物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズL32を接合した接合レンズJb,空気空間S6,非球面形状を有するとともに、物体OBJ側に湾曲し、かつ像IMG側のレンズ面が平面に近い正メニスカスレンズL33を順次配した計三枚のレンズにより構成する。
【0205】
一方、フォーカシング調整機能部301は、
図24に示すように、第1レンズ群101,第2Aレンズ群102A,及び第3レンズ群103をそれぞれ像位置に対して固定(不動)とし、開口絞りSTOの空気空間S3及び第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5をそれぞれフォーカス可変間隔Diとして変化させる構成としたものである。
【0206】
即ち、第1レンズ群101及び第2Aレンズ群102Aを一体とした物体OBJ側に位置する固定レンズ群Gcとし、第2Bレンズ群102Bを像IMG側に位置する固定レンズ群Gcとするとともに、第2Bレンズ群102Bを一つの移動レンズ群Gm1として、光軸Dc上を物体OBJ側へ移動するように構成したものであり、固定するレンズ群と移動させるレンズ群が異なるものの、前述した実施例5と同様の一群移動リアフォーカス方式となる。
【0207】
表12に、実施例12の大口径撮像レンズMにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像レンズMは、焦点距離:42.30mm,Fナンバー:0.93,半画角:14.74゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.05」,「0.10」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
【0208】
【0209】
図3に示すように、実施例12の大口径撮像レンズMも、条件式〔1〕「0.6<(TL2/EPD)=1.09<2.1」,条件式〔2〕「0.1<(TL1/TL2)=0.14<1.5」,条件式〔3〕「0.3<(TL2/TLL)=0.71<0.8」,条件式〔4〕「0.08<(TL1/TLL)=0.10<0.60」,条件式〔5〕「0.3<(TLF/TLL)=0.36<0.7」,条件式〔6〕「0.1<(RS1/TLL)=0.28<0.5」,条件式〔7〕「-0.55<(RS2/TLL)=-0.28<-0.10」,条件式〔8〕「0.009<{│(FP2-FP1)/FP1│}=0.236<0.5」,条件式〔9〕「0.1<(AFL/FL2)=0.71≦1.0」,条件式〔10〕「0.0<(│IM2/OB2│)=0.55≦1.0」,条件式〔11〕「0.45<(FLM/AFL)=1.40<4.9」の各条件式〔1〕-〔11〕を満たしている。
【0210】
一方、
図26(a),(b)には、実施例12の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」)とした縦収差図を示す。
図26(a),(b)に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
【0211】
以上、実施例1-12を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0212】
例えば、フォーカシング調整機能部301の具体的なフォーカス方式として、各種形態を例示したが、要は、第2レンズ群102の物体OBJ側の空気空間S1,第2レンズ群102の像IMG側の空気空間S5,開口絞りSTOの空気空間S3,の少なくとも一つの空気空間の間隔を、物点が無限遠から近距離に移動するフォーカシング時に変化させることができるものであれば、他の各種形態を適用可能である。一方、撮像光学系Cとして、開口絞りSTOに対して、像IMG側に配した五枚のレンズL24…を、物体OBJ側から、物体OBJ側が凹形状となるレンズ面(i=10…)を有する負レンズL24,三枚の正レンズL25,L26,L31,及び像IMG側が凹形状となるレンズ面(i=17…)を有する負レンズL32からなる部分対称レンズ群Gsを設ける構成を例示したが、必須の構成要素となるものではない。この場合、部分対称レンズ群Gsの構成として、両面が凸形状となる少なくとも一枚の正レンズL25,L26と両面が凹形状となる少なくとも一枚の負レンズL24を含ませる例を示したが、他の構成を排除するものではない。さらに、撮像光学系Cの好適な構成例として、負のパワーを有する二枚以下のレンズL11により構成するとともに、第2Aレンズ群102Aにおけるレンズの空気接触する全レンズ面(i=3,5,7,8…),及び第3レンズ群103における各レンズの物体OBJ側に位置する空気接触する全レンズ面(i=15,18…)を、それぞれ物体OBJ側に湾曲形成する第1レンズ群101の構成、また、六枚以下のレンズにより構成し、正レンズの枚数と負レンズの枚数の差を一枚以内に設定する第1レンズ群101の構成、さらに、第3レンズ群103の最も像IMG側に位置するレンズ(L33)の少なくとも像IMG側のレンズ面(i=19…)を非球面形状にする撮像光学系Cの構成を採用することが望ましいが、他の構成により置換可能であり必須の構成要素となるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0213】
本発明に係る大口径撮像レンズは、デジタルカメラやビデオカメラ等の各種光学機器における専用レンズ或いは交換レンズ等として利用できる。
【符号の説明】
【0214】
M:大口径撮像レンズ,C:撮像光学系,OBJ:物体,STO:開口絞り,IMG:像,101:第1レンズ群,102:第2レンズ群,102A:第2Aレンズ群,102B:第2Bレンズ群,103:第3レンズ群,L11:レンズ,L12…:レンズ,L21…:正レンズ,L22…:正レンズ,L23…:負レンズ,L24…:負レンズ,L25…:正レンズ,L26…:正レンズ,L31…:正レンズ,L32…:負レンズ,L33…:正レンズ,S1:空気空間,S2:空気空間,S3:空気空間,S4:空気空間,S5:空気空間,S6:空気空間,(i=1):第一レンズ面,(i=3…):第二レンズ面,La:空気レンズ,Di:フォーカス可変間隔,301:フォーカシング調整機能部,Gs:部分対称レンズ群,Gc:固定レンズ群,Gm1…:移動レンズ群,TL1:光軸長,TL2:光軸長,TLL:光軸長,TLF:光軸長,AFL:全系の焦点距離,FLM:合成焦点距離,FNO:Fナンバ,FP1:距離,FP2:距離,RS1:曲率半径,RS2:曲率半径,OB2:距離,IM2:距離,dPgF:異常部分分散値