(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】食品包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 6/10 20060101AFI20240418BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B65D6/10
B65D77/20 H
(21)【出願番号】P 2020097224
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000145231
【氏名又は名称】株式会社アクタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 伊智郎
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-182477(JP,A)
【文献】特開2005-035567(JP,A)
【文献】特開2006-193212(JP,A)
【文献】特開2017-065711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/10
B65D 77/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容器、枠材及びフィルムからなる食品包装用容器であって、
前記枠材は、前記内容器を収容可能であり、
前記内容器の上縁部は、前記内容器を前記枠材に収容した状態で、前記枠材の上端部に固定可能であり、
前記上縁部の複数の隅部には、上方に突出する突起が設けてあり、
前記上縁部は、前記突起を除いて平坦面であり、
前記突起と前記複数の隅部の内側との間には
前記上縁部と同じ高さの平坦部があり、
前記突起
の外側と前記上縁部の外縁との距離は
連続して前記枠材の厚みより大きく、
前記上縁部の一部
であって隣接する前記平坦部をつなぐ部分及び
全ての前記平坦部によって連続した環状のシール部が構成され、
前記フィルムは、前記環状のシール部に固着可能である
ことを特徴とする食品包装用容器。
【請求項2】
前記フィルムは、前記環状のシール部への固着時において、前記突起との干渉を避ける穴、切欠き又は切れ目を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の食品包装用容器。
【請求項3】
前記フィルムは、前記環状のシール部に固着される固着部と、該固着部の外側にある非固着部を有している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の食品包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごはん類、麺類、各種惣菜などの食品を収納し、食品を収納した容器の上面をトップシールして密封することができる食品包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2005-35550号公報)に記載されているように、食品等の包装用容器において、内容物の保存や保護のため、容器本体の上縁部にシート又はフィルム蓋材をシールすることにより密封するとともに、その蓋材を容易に剥離できるようにすることが知られている。
そして、本出願人は、特許文献2(特許第6632489号公報)に記載されているように、内容器(1)及び縁枠(2)を備え、内容器(1)の隅部の内側に上方へ延びる突起(13) (14)が設けてある食品包装用容器を提案し、特許文献3(実用新案登録第3200776号公報)に記載されているように、内容器(1)、枠材(2)及び蓋(3)を備え、内容器(1)の四隅の内側に上方に突出する突起(16)が設けられ、蓋(3)の四隅に突起(16)をそれぞれ収容可能な凹部(31)が設けてある食品包装用容器を提案している。
【0003】
特許文献2及び3に記載の食品包装用容器は、上記のような構造となっているため、複数の食品包装用容器を上下に積み重ねると、下側の内容器の隅部に設けてある突起が上側にある縁枠(枠材)の下端部内面に接し、上下の食品包装用容器が互いにずれることがないので、積み重ねた状態を保ち易く容易に運搬することができ、また、特許文献3に記載の食品包装用容器は蓋もずれにくく保持できるため使い勝手が良い。
しかし、特許文献2及び3に記載の食品包装用容器は、内容器の隅部又は四隅の内側に突起が設けてあるため、特許文献1に記載されているようなシート又はフィルム蓋材を、容器本体の上縁部にシールして、内容器に収納した食品を密封することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-35550号公報
【文献】特許第6632489号公報
【文献】実用新案登録第3200776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特許文献2及び3に記載の食品包装用容器が有している上記の問題を解決し、内容器の隅部に突起を有するタイプの食品包装用容器において、内容器の上縁部にシート又はフィルム蓋材(以下、単に「フィルム」という。)を固着できるようにして、内容器に収納する食品を密封可能とすることを第1の課題とし、内容器の上縁部に固着されたフィルムを容易に剥離できるようにすることを第2の課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の食品包装用容器は、内容器、枠材及びフィルムからなる食品包装用容器であって、
前記枠材は、前記内容器を収容可能であり、
前記内容器の上縁部は、前記内容器を前記枠材に収容した状態で、前記枠材の上端部に固定可能であり、
前記上縁部の複数の隅部には、上方に突出する突起が設けてあり、
前記上縁部は、前記突起を除いて平坦面であり、
前記突起と前記複数の隅部の内側との間には前記上縁部と同じ高さの平坦部があり、
前記突起の外側と前記上縁部の外縁との距離は連続して前記枠材の厚みより大きく、
前記上縁部の一部であって隣接する前記平坦部をつなぐ部分及び全ての前記平坦部によって連続した環状のシール部が構成され、
前記フィルムは、前記環状のシール部に固着可能であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明の食品包装用容器は、請求項1に記載の食品包装用容器において、
前記フィルムは、前記環状のシール部への固着時において、前記突起との干渉を避ける穴、切欠き又は切れ目を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明の食品包装用容器は、請求項1又は2に記載の食品包装用容器において、
前記フィルムは、前記環状のシール部に固着される固着部と、該固着部の外側にある非固着部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明の食品包装用容器は、上縁部の複数の隅部に、上方に突出する突起が設けてあり、かつ、突起の外側と上縁部の外縁との距離は連続して枠材の厚みより大きいので、複数の食品包装用容器を上下に積み重ねると、上側にある枠材の下端の隅部を突起の外側と上縁部の外縁との間に載せることができ、上下の食品包装用容器が互いにずれることなく、積み重ねた状態を保ちながら容易に運搬することができる。
また、上縁部は突起を除いて平坦面であり、突起と複数の隅部の内側との間には上縁部と同じ高さの平坦部があり、上縁部の一部であって隣接する平坦部をつなぐ部分及び全ての平坦部によって連続した環状のシール部が構成され、フィルムは環状のシール部に固着可能であるので、内容器の内部に各種食品を収納した後にフィルムを環状のシール部に固着することにより、内容器に収納した食品を密封することができる。
そのため、食品包装用容器の運搬中における汁漏れを防止でき、また、収納した食品の日持ちを良くすることができる。なお、フィルムをバリアフィルムにしたり、脱酸素剤を併用したりすれば、より高い効果が得られる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の食品包装用容器による効果に加えて、フィルムは、環状のシール部への固着時において、突起との干渉を避ける穴、切欠き又は切れ目を有しているので、環状のシール部に固着したフィルムが、突起によって跳ね上がってしまうことを防止でき、フィルム固着時における見栄えが良くなるとともに、複数の食品包装用容器を上下に積み重ねたり蓋を被せたりする際に、固着したフィルムが邪魔にならないという利点がある。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は2に係る発明の食品包装用容器による効果に加えて、フィルムが環状のシール部に固着される固着部と、該固着部の外側にある非固着部を有しているので、非固着部を手掛かりとすることによって、環状のシール部に固着されているフィルムを容易に剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例に係る食品包装用容器にフィルムを固着する前の斜視図。
【
図2】実施例に係る食品包装用容器にフィルムを固着した後の斜視図。
【
図3】食品包装用容器からフィルムを剥がす方法について説明する図。
【
図4】フィルムの四隅に設ける切欠きや切れ目の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例】
【0014】
図1は実施例に係る食品包装用容器にフィルム1を固着する前の斜視図、
図2は実施例に係る食品包装用容器にフィルム1を固着した後の斜視図である。
図1に示すとおり、実施例に係る食品包装用容器は、薄いプラスチック製で一体成形により作製された内容器2と、折り畳み可能で開いた時に直方体状となる枠材3と、透明なプラスチックシートにより作製されたフィルム1からなっている。
【0015】
内容器2は、大小合わせて6つの食品収納用凹部を有しており、上縁部4の外縁には下方に延びる垂下部5が設けてあり、側壁6の外側には上縁部4に沿って平行に突条7が設けてある。
そして、上縁部4の四隅は略三角形状の平坦面となっており、その中央付近に上方に突出するL字状の突起8が設けてあり、突起8と上縁部4の外縁との距離は枠材3の厚みより大きい。
また、突起8と略三角形状の平坦面となっている隅部の内側との間には平坦部9があり、上縁部4の4つの直線部及び4つの平坦部9によって連続した環状のシール部10(
図1及び2において模様を付してある部分)が構成される。
【0016】
枠材3は、発泡プラスチックの板を環状に接続したものであり、4箇所において折り曲げ可能で、発泡プラスチックの板を2枚重ねた状態に折り畳めるようになっている。
また、図示はしないが、枠材3の内面には上端部に沿って平行に溝条が設けてある。
そして、枠材3を折り畳まれた状態から開いて直方体状とした後に、上方から内容器2を落とし込み、枠材3の上端部を内容器2の上縁部4、垂下部5及び側壁6との間に挿入するとともに、内容器2の突条7を枠材3の溝条に嵌合させることにより、容器部分を組み立てることができ、組み立て後は内容器2が枠材3の上端部に固定され、内容器2と枠材3が分離しにくい状態となる。
【0017】
フィルム1は、内容器2の上面全体を覆うことができる長方形状であり、環状のシール部10への固着時において、突起8との干渉を避けるため、四隅の近傍に三角形状の穴11が設けてある。
そのため、フィルム1を環状のシール部10に固着した時に、フィルム1が突起8によって跳ね上がらず、
図2に示すように、フィルム1全体が平らな状態となる。
内容器2、枠材3及びフィルム1からなる食品包装用容器を利用するに際しては、まず、直方体状とした枠材3の上方から内容器2を落とし込んで容器部分を組み立てる。
そして、内容器2の食品収納用凹部に食品を収納した後、フィルム1を環状のシール部10に固着して内容器2の内部を密閉し、必要ならば蓋(図示せず)を被せて出荷する。
また、複数の食品包装用容器を積み重ねて出荷する場合には、下側になる食品包装用容器の内容器2の上縁部4に、上側になる食品包装用容器の枠材3の下端部を載置する。
そうすると、L字状の突起8と上縁部4の外縁との距離は、枠材3の厚みより大きく設定されているので、上側になる食品包装用容器の枠材3の下端部は、下側になる食品包装用容器の突起8に乗り上げることなく、内容器2の上縁部4に積み重なる。
さらに、上側になる食品包装用容器の枠材3の四隅の内側には、下側になる食品包装用容器の突起8が位置するので、上下の食品包装用容器は互いにずれることなく積み重ねた状態が保たれ、積み重ねた複数の食品包装用容器を容易に運搬することができる。
【0018】
図3は食品包装用容器からフィルム1を剥がす方法について説明する図である。
内容器2の食品収納用凹部に食品が収納され、フィルム1によって内容器2の内部が密閉された食品包装用容器を入手した利用者が、内容器2に収納された食品を食べる時には、まずフィルム1を環状のシール部10から剥がす必要がある。
そこで、実施例の食品包装用容器においては、フィルム1を環状のシール部10に固着するとともに、穴11の外側(突起8の外側)に位置するフィルム1は上縁部4に固着しないようにしている。すなわち、フィルム1は、環状のシール部10に固着される固着部と、穴11の外側に位置する非固着部を有していることになる。
そのため、利用者は
図3に示すように、穴11の外側部分(フィルム1の四隅部分)のいずれかを、指でつまんで持ち上げることができる。
そして、つまんだフィルム1を対角線上にある内容器2の隅部に向けて引っ張ることにより、環状のシール部10に固着されているフィルム1を容易に剥がすことができる。
【0019】
実施例の変形例を列記する。
(1)実施例においては、フィルム1、内容器2及び枠材3の平面視は、いずれも長方形状であったが、多角形状、円形状、楕円形状等どのような形状であっても良い。
そして、円形状又は楕円形状とした場合には、適宜の位置を隅部とみなして平坦面を設け、その中央付近に突起8を設けるとともに、その内側を平坦部9とすれば良い。
(2)実施例のフィルム1は、透明なプラスチックシートにより作製されていたが、透明でなくても良く、薄い紙製であっても良い。
(3)実施例のフィルム1は、環状のシール部10への固着時において、突起8との干渉を避ける穴11を有していたが、穴11の代わりに
図4(A)~(C)に示すような切欠きや
図4(D)(E)に示すようなT字状又はY字状の切れ目としても良く、また、長方形のフィルムの四隅をカットして突起8の内側に収まる大きさとしても良い。
(4)実施例のフィルム1は、突起との干渉を避ける穴11の外側を内容器2の上縁部4に固着しない非固着部としたが、穴11の外側に限らず適宜位置の固着部の外側を非固着部としても良い。
【0020】
(5)実施例の内容器2は、一体成形により作製された薄いプラスチック製のものであったが、プラスチック製に限らずコーティングを施した紙製であっても良い。
(6)実施例の内容器2は、6つの食品収納用凹部を有していたが、食品収納用凹部の数、大きさ及び配置は適宜選択可能である。
(7)実施例の枠材3は、発泡プラスチックの板を環状に接続したものであったが、発泡プラスチックの板に限らず、硬質プラスチック製、木製、紙製等適当な厚さと強度を有する板であればどのような材質の板であっても良い。
(8)実施例においては、枠材3を折り畳めるものとしたが、折り畳めないものであっても良い。
【0021】
(9)実施例においては、内容器2の側壁6の外側に突条7を設け、枠材3の内面に溝条を設けていたが、これらは設けなくても良い。
(10)実施例においては、内容器2の上縁部4の外縁に下方に延びる垂下部5を設けたが、垂下部5を設けずに、内容器2の上縁部4の下面を枠材3の上端面に、接着や融着等の手段によって固定しても良い。
(11)実施例の突起8は、L字状であったが、上縁部4の隅部に突出するものであれば、どのような形状であっても良い。
そうした場合、フィルム1に設ける穴11の形状も適宜変更した方が良い。
(12)実施例の突起8は、上縁部4の四隅に設けてあったが、複数の隅部のみ、好ましくは対角線上の2つの隅部又は3つの隅部に設けても良い。
【符号の説明】
【0022】
1 フィルム 2 内容器 3 枠材
4 上縁部 5 垂下部 6 側壁 7 突条
8 突起 9 平坦部 10 シール部 11 穴