(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】メータユニット
(51)【国際特許分類】
E03B 7/07 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
E03B7/07 Z
(21)【出願番号】P 2020126452
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2020087138
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390006736
【氏名又は名称】株式会社日邦バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】林 晃彦
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-013439(JP,A)
【文献】実開昭60-185796(JP,U)
【文献】特開2013-151789(JP,A)
【文献】特開2005-134137(JP,A)
【文献】特開2020-109230(JP,A)
【文献】特開2004-124569(JP,A)
【文献】特開2019-039163(JP,A)
【文献】特開2000-352083(JP,A)
【文献】特開2017-141624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 7/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側配管と二次側配管との間に配置され、水道メータを経由する主配管と、
前記主配管における前記水道メータの一方側と当該水道メータの他方側とを接続し、前記水道メータの側方を延びるバイパス管と、を有し、
前記主配管は、前記水道メータの一方側で前記バイパス管が接続された第1接続部分に配置された流路切換弁と、
前記水道メータの他方側で前記バイパス管が接続された第2接続部分と当該水道メータとの間に配置された仕切弁と、を備え、
前記バイパス管は、通水口と、前記通水口と前記第2接続部分との間に位置する止水栓と、前記通水口を開閉可能に封鎖する蓋部材と、を
備え、
前記主配管の前記流路切換弁の端は、前記一次側配管に接続され、
前記主配管の前記流路切換弁とは反対側の端は、前記二次側配管に接続され、
前記流路切換弁は、前記一次側配管から流入する水が前記水道メータを経由する第1流路、前記一次側配管から流入する水がバイパス管を流れる第2流路、または、前記一次側配管から流入する水が前記第1流路および前記第2流路を流れる第3流路に切り替えることを特徴とするメータユニット。
【請求項2】
前記主配管は、前記水道メータと前記仕切弁との間に逆止弁を備えることを特徴とする請求項
1に記載のメータユニット。
【請求項3】
一次側配管と二次側配管との間に配置され、水道メータを経由する主配管と、
前記主配管における前記水道メータの一方側と当該水道メータの他方側とを接続し、前記水道メータの側方を延びるバイパス管と、を有し、
前記主配管は、前記水道メータの一方側で前記バイパス管が接続された第1接続部分に配置された流路切換弁と、
前記水道メータの他方側で前記バイパス管が接続された第2接続部分と当該水道メータとの間に配置された仕切弁と、を備え、
前記バイパス管は、通水口と、前記通水口と前記第2接続部分との間に位置する止水栓と、前記通水口を開閉可能に封鎖する蓋部材と、を備え、
前記主配管の前記流路切換弁の端は、前記一次側配管に接続され、
前記主配管の前記流路切換弁とは反対側の端は、前記二次側配管に接続され、
前記流路切換弁は、前記一次側配管から流入する水が前記水道メータを経由する第1流路、または、前記一次側配管から流入する水がバイパス管を流れる第2流路に切り換え、
前記主配管は、前記水道メータと前記仕切弁との間に逆止弁を備えることを特徴とするメータユニット。
【請求項4】
一次側配管と二次側配管との間に配置され、水道メータを経由する主配管と、
前記主配管における前記水道メータの一方側と当該水道メータの他方側とを接続し、前記水道メータの側方を延びるバイパス管と、を有し、
前記主配管は、前記水道メータの一方側で前記バイパス管が接続された第1接続部分に配置された流路切換弁と、
前記水道メータの他方側で前記バイパス管が接続された第2接続部分と当該水道メータとの間に配置された仕切弁と、を備え、
前記バイパス管は、通水口と、前記通水口と前記第2接続部分との間に位置する止水栓と、前記通水口を開閉可能に封鎖する蓋部材と、を備え、
前記主配管の前記流路切換弁の端は、前記二次側配管に接続され、
前記主配管の前記流路切換弁とは反対側の端は、前記一次側配管に接続され、
前記流路切換弁は、前記一次側配管から流入して前記水道メータを経由した水が前記二次側配管に流れる第4流路、前記一次側配管から流入して前記水道メータを経由した水が前記バイパス管に流れる第5流路、または、前記一次側配管から流入して前記バイパス管を経由した水が前記二次側配管に流れる第6流路に、切り換えることを特徴とするメータユニット。
【請求項5】
前記流路切換弁は、前記第4流路、前記第5流路、前記第6流路、または前記一次側配管から流入して前記水道メータを経由した水が前記第4流路および前記第5流路に流れる第7流路に切り換えることを特徴とする請求項
4に記載のメータユニット。
【請求項6】
前記バイパス管は、前記流路切換弁と前記止水栓との間に配置された分岐配管部材を備え、
前記分岐配管部材は、前記流路切換弁と前記止水栓とを連通させる配管本体部と、前記配管本体部から分岐する分岐管部と、を備え、
前記分岐管部は、前記配管本体部から前記主配管の側に向かって上方に曲がる折れ曲がり部を備え、
前記通水口は、前記分岐管部の上端開口であり、
前記通水口の中心は、前記配管本体部の管軸よりも、前記主配管の側に位置することを特徴とする
請求項1から5のうちのいずれか一項に記載のメータユニット。
【請求項7】
前記バイパス管は、ドレン口と、前記ドレン口に着脱可能に装着されたドレンプラグと、を備えることを特徴とする
請求項1から6のうちのいずか一項に記載のメータユニット。
【請求項8】
前記主配管は、前記水道メータと当該水道メータの隣に位置する配管部材との間に設けられた管継手機構を有し、
前記管継手機構は、前記配管部材に接続された固定管と、前記固定管の管軸方向に移動可能な状態で当該固定管に支持された移動管と、前記移動管と前記水道メータとを締結する締結機構と、前記固定管に対する前記移動管の移動を不能とする移動規制機構と、を備えることを特徴とする
請求項1から7のうちのいずれか一項に記載のメータユニット。
【請求項9】
前記主配管を間に挟んで前記バイパス管とは反対側で当該主配管に沿って延びる補強部材を有し、
前記主配管は、前記水道メータと当該水道メータの隣に位置する配管部材との間に設け
られた管継手機構を有し、
前記管継手機構は、前記配管部材に接続された固定管と、前記固定管の管軸方向に移動可能な状態で当該固定管の内周側に支持された移動管と、前記固定管の外周側において当該固定管の管軸方向に移動不能な状態で、かつ前記固定管の管軸回りに回転可能に支持されたロックナットと、を備え、
前記移動管は、外周面に前記ロックナットに螺合する雄ねじを備え、前記ロックナットの回転により移動して前記水道メータに圧着し、
前記補強部材は、前記主配管における前記水道メータおよび前記管継手機構の一方側に設けられた第1固定部と、前記主配管における前記水道メータおよび前記管継手機構の他方側に設けられた第2固定部とに架け渡されて固定されていることを特徴とする
請求項1から8のうちのいずれか一項に記載のメータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道メータを取り外すことなく取水が可能なメータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
水道管の本管から建物内に引き込まれる配管の途中に設置されるメータユニットは特許文献1に記載されている。同文献のメータユニットは、水の流通方向に沿って、止水栓、水道メータ、逆止弁をこの順に備える。メータユニットは、開閉蓋を備えるメータボックスに収容される。メータボックスは、開閉蓋が地表に露出するようにして、地中に埋設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
災害時に水道管の本管から建物内に引き込まれる配管から取水できれば、被災者に飲料可能な水を供給できる。また、このような場合に、メータユニットから取水すれば、配管に通水口を形成するなどの施工を行うことなく、水を外部に供給できる。しかし、メータユニットから取水する場合には、メータユニットから水道メータを取り外して、そこに水吐管などを接続しなければならないという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、水道メータを取り外すことなく取水が可能なメータユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のメータユニットは、一次側配管と二次側配管との間に配置され、水道メータを経由する主配管と、前記主配管における前記水道メータの一方側と当該水道メータの他方側とを接続し、前記水道メータの側方を延びるバイパス管と、を有し、前記主配管は、前記水道メータの一方側で前記バイパス管が接続された第1接続部分に配置された流路切換弁と、前記水道メータの他方側で前記バイパス管が接続された第2接続部分と当該水道メータとの間に配置された仕切弁と、を備え、前記バイパス管は、通水口と、前記通水口と前記第2接続部分との間に位置する止水栓と、前記通水口を開閉可能に封鎖する蓋部材と、を備え、前記主配管の前記流路切換弁の端は、前記一次側配管に接続され、前記主配管の前記流路切換弁とは反対側の端は、前記二次側配管に接続され、前記流路切換弁は、前記一次側配管から流入する水が前記水道メータを経由する第1流路、前記一次側配管から流入する水がバイパス管を流れる第2流路、または、前記一次側配管から流入する水が前記第1流路および前記第2流路を流れる第3流路に切り替えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、メータユニットが、水道メータを経由しないバイパス管を備える。また、バイパス管には、通水口が設けられている。従って、水をバイパス管に流入させれば、水道メータを取り外すことなく、通水口から取水できる。また、本発明では、災害により水道管の本管に断水が発生した場合などに給水車の給水管を通水口に接続すれば、給水車から供給される水を、メータユニットを介して、建物内に供給できる。よって、避難所として利用される建物や、病院、各種の施設において、建物内で水を必要とする場所に、給水車からの水を直接的に届けることができる。
【0008】
この場合において、前記主配管は、前記水道メータと前記仕切弁との間に逆止弁を備え
てもよい。
【0009】
また、本発明のメータユニットは、一次側配管と二次側配管との間に配置され、水道メータを経由する主配管と、前記主配管における前記水道メータの一方側と当該水道メータの他方側とを接続し、前記水道メータの側方を延びるバイパス管と、を有し、前記主配管は、前記水道メータの一方側で前記バイパス管が接続された第1接続部分に配置された流路切換弁と、前記水道メータの他方側で前記バイパス管が接続された第2接続部分と当該水道メータとの間に配置された仕切弁と、を備え、前記バイパス管は、通水口と、前記通水口と前記第2接続部分との間に位置する止水栓と、前記通水口を開閉可能に封鎖する蓋部材と、を備え、前記主配管の前記流路切換弁の端は、前記一次側配管に接続され、前記主配管の前記流路切換弁とは反対側の端は、前記二次側配管に接続され、前記流路切換弁は、前記一次側配管から流入する水が前記水道メータを経由する第1流路、または、前記一次側配管から流入する水がバイパス管を流れる第2流路に切り換え、前記主配管は、前記水道メータと前記仕切弁との間に逆止弁を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のメータユニットは、一次側配管と二次側配管との間に配置され、水道メータを経由する主配管と、前記主配管における前記水道メータの一方側と当該水道メータの他方側とを接続し、前記水道メータの側方を延びるバイパス管と、を有し、前記主配管は、前記水道メータの一方側で前記バイパス管が接続された第1接続部分に配置された流路切換弁と、前記水道メータの他方側で前記バイパス管が接続された第2接続部分と当該水道メータとの間に配置された仕切弁と、を備え、前記バイパス管は、通水口と、前記通水口と前記第2接続部分との間に位置する止水栓と、前記通水口を開閉可能に封鎖する蓋部材と、を備え、前記主配管の前記流路切換弁の端は、前記二次側配管に接続され、前記主配管の前記流路切換弁とは反対側の端は、前記一次側配管に接続され、前記流路切換弁は、前記一次側配管から流入して前記水道メータを経由した水が前記二次側配管に流れる第4流路、前記一次側配管から流入して前記水道メータを経由した水が前記バイパス管に流れる第5流路、または、前記一次側配管から流入して前記バイパス管を経由した水が前記二次側配管に流れる第6流路に、切り換えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、メータユニットが、水道メータを経由しないバイパス管を備える。また、バイパス管には、通水口が設けられている。従って、水をバイパス管に流入させれば、水道メータを取り外すことなく、通水口から取水できる。また、本発明では、災害により水道管の本管に断水が発生した場合などに給水車の給水管を通水口に接続すれば、給水車から供給される水を、メータユニットを介して、建物内に供給できる。よって、避難所として利用される建物や、病院、各種の施設において、建物内で水を必要とする場所に、
給水車からの水を直接的に届けることができる。
【0012】
本発明において、前記流路切換弁は、前記第4流路、前記第5流路、前記第6流路、または前記一次側配管から流入して前記水道メータを経由した水が前記第4流路および前記第5流路に流れる第7流路に切り換えるものとすることができる。
【0013】
本発明において、前記バイパス管は、前記流路切換弁と前記止水栓との間に配置された分岐配管部材を備え、前記分岐配管部材は、前記流路切換弁と前記止水栓とを連通させる配管本体部と、前記配管本体部から分岐する分岐管部と、を備え、前記分岐管部は、前記配管本体部から前記主配管の側に向かって上方に曲がる折れ曲がり部を備え、前記通水口は、前記分岐管部の上端開口であり、前記通水口の中心は、前記配管本体部の管軸よりも、前記主配管の側に位置するものとすることができる。このようにすれば、通水口に外部の配管やホースなどを上方から接続することができる。また、このようにすれば、通水口の中心が配管本体部の管軸よりも主配管から離間している場合と比較して、メータユニットを幅方向で小さくすることができる。
【0014】
本発明において、前記バイパス管は、ドレン口と、前記ドレン口に着脱可能に装着されたドレンプラグと、を備えることが望ましい。このようにすれば、取水後などに、バイパス管に残留した水を排出できる。
【0015】
本発明において、前記主配管は、前記水道メータと当該水道メータの隣に位置する配管部材との間に設けられた管継手機構を有し、前記管継手機構は、前記配管部材に接続された固定管と、前記固定管の管軸方向に移動可能な状態で当該固定管に支持された移動管と、前記移動管と前記水道メータとを締結する締結機構と、前記固定管に対する前記移動管の移動を不能とする移動規制機構と、を備えるものとすることができる。このような管継手機構を備えるメータユニットでは、主配管に水道メータを取り付ける際に、移動管を後退させておき、水道メータを配置した後に、移動管を前進させて水道メータに締結することができる。従って、水道メータの着脱が容易である。
【0016】
本発明において、前記主配管を間に挟んで前記バイパス管とは反対側で当該主配管に沿って延びる補強部材を有し、前記主配管は、前記水道メータと当該水道メータの隣に位置する配管部材との間に設けられた管継手機構を有し、前記管継手機構は、前記配管部材に接続された固定管と、前記固定管の管軸方向に移動可能な状態で当該固定管の内周側に支持された移動管と、前記固定管の外周側において当該固定管の管軸方向に移動不能な状態で、かつ前記固定管の管軸回りに回転可能に支持されたロックナットと、を備え、前記移動管は、外周面に前記ロックナットに螺合する雄ねじを備え、前記ロックナットの回転により移動して前記水道メータに圧着し、前記補強部材は、前記主配管における前記水道メータおよび前記管継手機構の一方側に設けられた第1固定部と、前記主配管における前記水道メータおよび前記管継手機構の他方側に設けられた第2固定部とに架け渡されて固定されているものとすることができる。このような管継手機構を備えるメータユニットでは、主配管に水道メータを取り付ける際に、移動管を後退させておき、水道メータを配置した後に、移動管を前進させて水道メータに圧着させることができる。従って、水道メータの着脱が容易である。また、主配管を間に挟んでバイパス管とは反対側に補強部材を備えれば、移動管を水道メータに圧着させたときに、移動管が水道メータに押し付けられる力によって主配管が撓むことを防止、或いは抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のメータユニットでは、水道メータを取り外すことなく取水が可能である。また、本発明では、断水が発生した場合などに給水車の給水管を通水口に接続すれば、給水車から供給される水を、メータユニットを介して、建物内に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】メータユニットを上方から見た場合の平面図である。
【
図2】メータユニットを幅方向から見た場合の側面図である。
【
図3】メータユニットを主配管の管軸方向から見た場合の側面図である。
【
図4】主配管を構成する管継手機構の説明図である。
【
図5】分岐配管部材を主配管の管軸方向から見た場合の側面図である。
【
図6】第1設置例のメータユニットの第1、第2形態の説明図である。
【
図7】第1設置例のメータユニットの第3、第4形態の説明図である。
【
図8】第1設置例のメータユニットの第5形態の説明図である。
【
図9】第1設置例のメータユニットの第6形態の説明図である。
【
図10】第2設置例のメータユニットを上方から見た場合の平面図である。
【
図11】第2設置例のメータユニットの第1、第2形態の説明図である。
【
図12】第2設置例のメータユニットの第3、第4形態の説明図である。
【
図13】第2設置例のメータユニットの第5形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態であるメータユニットを説明する。
【0020】
(メータユニット)
図1は本例のメータユニットを上方から見た場合の平面図である。
図2は、本例のメータユニットを幅方向から見た場合の側面図である。
図2では、メータユニットをバイパス管の側から見た場合である。
図3は、本例のメータユニットを主配管の管軸方向から見た場合の側面図である。
図1から
図3では、ユニットボックスを鎖線で示す。
図4は、主配管を構成する管継手機構の説明図である。
図4では、管継手機構の一部分を断面で示す。
【0021】
本例のメータユニット1は、水道管の本管から建物内に引き込まれる配管の途中に設置
される。
図1、
図2に示すように、メータユニット1は、配管を構成する一次側配管2と二次側配管3との間に設置される。一次側配管2と二次側配管3とは地中に埋設されている。また、一次側配管2と二次側配管3とは、直線上に配置されている。本管から流入する水は、一次側配管2から二次側配管3に向かって流れる。
【0022】
メータユニット1は、ユニット本体5と、ユニット本体5を収容するユニットボックス6とを備える。ユニット本体5は、水道メータ7を備える主配管8と、主配管8に接続されて水道メータ7をバイパスするバイパス管9と、を備える。主配管8は、一次側配管2および二次側配管3と同軸に延びて一次側配管2および二次側配管3を接続する。バイパス管9は、主配管8における水道メータ7の一方側と、水道メータ7の他方側とを接続する。バイパス管9は、水道メータ7の側方を延びている。
【0023】
また、ユニット本体5は、主配管8を間に挟んでバイパス管9とは反対側で、主配管8における水道メータ7の両側に架け渡された補強部材10を有する。さらに、ユニット本体5は、主配管8の下方に配置され、主配管8における水道メータ7の一方側と他方側とを支持するベース11を備える。
【0024】
図2、
図3に示すように、ユニットボックス6は、全体として、直方体形状をしている。ユニットボックス6は、箱型のボックス本体13と、ボックス本体13に着脱可能に被せられた天井板14と、を備える。天井板14は、ボックス本体13の上端開口を封鎖する。天井板14には、上方から見た場合に水道メータ7と重なる位置に開閉蓋15が設けられている。ベース11は、ユニットボックス6の底板16に沿って延びる。ユニットボックス6は天井板14が地表に露出するようにして、地中に埋設される。なお、メータユニット1は、ユニットボックス6を備えておらず、ユニット本体5のみからなる場合もある。
【0025】
以下の説明では、主配管8の管軸Lに沿った方向を管軸方向Xとし、管軸Lと直交する2方向を幅方向Yおよび上下方向Zとする。上下方向Zでは、メータユニット1を設置した場合の上下を、それぞれ上方Z1、下方Z2とする。管軸方向Xにおいて、一次側配管2が位置する側を第1方向X1、二次側配管3が位置する側を第2方向X2とする。幅方向Yにおいて、バイパス管9が位置する側を一方側Y1とし、その反対側を他方側Y2とする。
【0026】
図1に示すように、主配管8は、水道メータ7の第1方向X1でバイパス管9が接続された第1接続部分8aに配置された流路切換弁21を有する。また、主配管8は、水道メータ7の第2方向X2で、バイパス管9が接続された第2接続部分8bと水道メータ7との間に配置された仕切弁22を有する。さらに、主配管8は、水道メータ7と当該水道メータ7の隣に位置する配管部材(流路切換弁21)との間に設けられて、水道メータ7を着脱可能とする管継手機構23を有する。また、主配管8は、水道メータ7と仕切弁22の間を接続する第1管継手部材24を備える。
【0027】
管継手機構23は、
図4に示すように、流路切換弁21に固定された固定管25と、固定管25の管軸方向Xに移動可能な状態で固定管25に同軸に支持された移動管26と、を備える。移動管26は、水道メータ7の側から第1方向X1に向かって、小径部26aと、小径部26aよりも外径寸法が大きい大径部26bと、を備える。また、移動管26は、小径部26aの第2方向X2の端から外周側に広がる環状フランジ26cを備える。大径部26bは、固定管25に挿入されている。大径部26bには2本の環状溝が設けられており、各環状溝には、それぞれOリング27が取り付けられている。これにより、固定管25と移動管26との間には、2本のOリング27が介在する。また、管継手機構23は、移動管26と水道メータ7とを締結する締結機構28と、固定管25に対する移動
管26の移動を不能とする移動規制機構29と、を備える。
【0028】
締結機構28は、移動管26と水道メータ7との間に配置されるパッキン55と、移動管26の環状フランジ26cと、環状フランジ26cに係止する袋部56aを有する袋ナット56と、を備える。ここで、袋ナット56を水道メータ7の管部に捩じ込むと、移動管26と水道メータ7とが締結される。袋ナット56を水道メータ7に捩じ込む際には、袋ナット56が捩じ込まれる分だけ移動管26が管軸方向Xに移動する。
【0029】
移動規制機構29は、固定管25の先端部分に捩じ込まれるジョイントナット57と、移動管26の小径部26aの外周面に支持されて固定管25の先端に当接するジョイントパッキン58と、ジョイントパッキン58に固定管25とは反対側から当接するジョイント座金59と、を備える。ジョイントナット57は、袋ナットであり、ジョイント座金59に固定管25とは反対側から当接する袋部57aを備える。ジョイントナット57が、固定管25に捩じ込まれると、袋部57aはジョイント座金59を固定管25の側に移動させる。これにより、ジョイントパッキン58は、移動管26の大径部26bおよび固定管25と、ジョイント座金59との間で管軸方向Xに圧縮され、ジョイントナット57と移動管26との間で径方向に弾性変形する。この結果、ジョイントナット57は、ジョイントパッキン58を介して、移動管26を内周側に押し付ける。従って、移動管26は、固定管25に対する管軸方向Xへの移動が不能とされる。
【0030】
なお、水道メータ7を主配管8から取り外す際には、まず、移動規制機構29のジョイントナット57を緩めて、移動管26を固定管25に対して移動可能とする。次に、締結機構28の袋ナット56を緩めて、移動管26と水道メータ7との締結を解除する。しかる後に、水道メータ7を管軸Lと交差する方向に取り出す。
【0031】
バイパス管9は、通水口31と、主配管8の第2接続部分8bと通水口31との間に位置する止水栓32と、通水口31を開閉可能に封鎖する蓋部材33と、を備える。また、バイパス管9は、バイパス管9の下側部分に設けられたドレン口34と、ドレン口34に着脱可能に装着されたドレンプラグ35と、を備える。ドレン口34は、バイパス管9における第2接続部分8bと通水口31との間であって、通水口31に近い位置に設けられている。
【0032】
ここで、バイパス管9は、流路切換弁21と止水栓32との間に配置された分岐配管部材36を備える。分岐配管部材36は、主配管8の側方(幅方向Yの一方側Y1)に位置する。通水口31は、分岐配管部材36に設けられている。
図5は、分岐配管部材36を管軸方向Xから見た場合の側面図である。
図1、
図2、
図5に示すように、分岐配管部材36は、流路切換弁21と止水栓32とを連通させる配管本体部37と、配管本体部37から分岐する分岐管部38と、を備える。配管本体部37の管軸37aは、主配管8の軸線と平行である。配管本体部37には、ドレン口34が設けられており、ドレン口34にはドレンプラグ35が取り付けられている。分岐管部38は、配管本体部37から幅方向Yの他方側Y2(主配管8の側)に向かって上方に曲がる折れ曲がり部38aを備える。通水口31は、分岐管部38の上端開口である。通水口31は、蓋部材33により封鎖されている。
図3、
図5に示すように、通水口31の中心31aは、配管本体部37の管軸37aよりも、幅方向Yの他方側Y2(主配管8の側)に位置する。
【0033】
補強部材10は、金属製であり、主配管8に沿って延びる。
図1に示すように、補強部材10は、流路切換弁21に設けられた第1固定部41と主配管8の第2接続部分8bに設けられた第2固定部42とに架け渡されて固定されている。より具体的には、流路切換弁21には、幅方向Yの他方側Y2に突出する第1固定部41が設けられている。第2接続部分8bを構成する第2管継手部材43には、幅方向Yの他方側Y2に突出する第2固
定部42が設けられている。補強部材10は、管軸方向Xの両端部分が、それぞれ第1固定部41と第2固定部42とに固定されている。
【0034】
ベース11は、主配管8の下方Z2を管軸方向Xに延びる。
図2に示すように、ベース11の第1方向X1の端部分には、上方Z1に突出する第1支持部45が設けられている。ベース11の第2方向X2の端部分には、上方Z1に突出する第2支持部46が設けられている。第1支持部45には、上方Z1から流路切換弁21が固定されている。第2支持部46には、上方Z1から仕切り弁が取り付けられている。また、第2支持部46には、第2接続部分8bを構成する第2管継手部材43が載せられている。
図3に示すように、本例では、ベース11と補強部材10とは、一体に形成されている。なお、ベース11と補強部材10とは、別体としてもよい。また、ベース11、および補強部材10は省略してもよい。
【0035】
(第1設置例)
図6は、第1設置例のメータユニット1の第1、第2形態の説明図である。
図7は、第1設置例のメータユニット1の第3、第4形態の説明図である。
図8は、第1設置例のメータユニット1の第5形態の説明図である。
図9は、第1設置例のメータユニット1の第6形態の説明図である。以下の図では、ユニットボックス6を省略して示す。第1設置例では、主配管8の流路切換弁21の側の端が、一次側配管2に接続される。主配管8における流路切換弁21とは反対側の端が、二次側配管3に接続される。従って、一次側配管2からメータユニット1に流入して主配管8を流通する水は、流路切換弁21、水道メータ7、および仕切弁22をこの順に経由し、第2接続部分8bを介して、二次側配管3に流れる。水道メータ7は、一次側配管2の側に流入口を向け、二次側配管3の側に流出口を向けて配置されている。
【0036】
第1設置例では、流路切換弁21は、一次側配管2から流入する水が水道メータ7を経由する第1流路S1、一次側配管2から流入する水がバイパス管9を流れる第2流路S2、または、一次側配管2から流入する水が第1流路S1および第2流路S2を流れる第3流路S3に切り替える。
【0037】
図6(a)は、流路切換弁21により第1流路S1を選択し、主配管8の仕切弁22を開状態(O)とし、バイパス管9の止水栓32を閉状態(X)とした第1形態である。この場合、一次側配管2から流入する水は、流路切換弁21、水道メータ7、仕切弁22をこの順に経由して二次側配管3に流入する。従って、メータユニット1を、一次側配管2から流入する水を水道メータ7により計量して二次側配管3に供給する通常のメータユニットとして用いることができる。
【0038】
図6(b)は、流路切換弁21により第1流路S1を選択し、主配管8の仕切弁22およびバイパス管9の止水栓32を開状態(O)とし、かつ、蓋部材33による通水口31の封鎖を解除した第2形態である。この場合、一次側配管2から流入する水は、流路切換弁21、水道メータ7、仕切弁22をこの順に経由して流れ、二次側配管3に流入する。また、一次側配管2から流入する水は、流路切換弁21、水道メータ7、仕切弁22をこの順に経由した後に第2接続部分8bからバイパス管9に流入し、止水栓32を経由して、通水口31から吐き出される。従って、メータユニット1からの取水が可能となる。また、この場合には、二次側配管3に流入する水および通水口31から吐き出される水の総量を計量できる。
【0039】
図7(a)は、流路切換弁21により第2流路S2を選択し、バイパス管9の止水栓32を開状態(O)とし、主配管8の仕切弁22を閉状態(X)とした第3形態である。この場合、一次側配管2から流入する水は、流路切換弁21を介してバイパス管9を流れ、
第2接続部分8bを介して二次側配管3に流入する。また、主配管8の仕切弁22が閉状態(X)なので、第2接続部分8bの側から水道メータ7に向かって水が逆流しない。従って、水道メータ7の交換を行うことが容易となる。また、この場合には、二次側配管3への水の供給を停止することなく、水道メータ7の交換を行うことができる。
【0040】
図7(b)は、流路切換弁21により第2流路S2を選択し、バイパス管9の止水栓32を閉状態(X)とし、かつ、蓋部材33による通水口31の封鎖を解除した第4形態である。この場合、一次側配管2から流入する水は、通水口31より吐き出される。従って、メータユニット1からの取水が可能となる。ここで、主配管8の仕切弁22を閉状態(X)とすれば、第2接続部分8bの側から水道メータ7に向かって水が逆流することを防止できる。
【0041】
図8は、流路切換弁21により第3流路S3を選択し、主配管8の仕切弁22を開状態(O)とし、バイパス管9の止水栓32を閉状態(X)とし、かつ、蓋部材33による通水口31の封鎖を解除した第5形態である。この場合、一次側配管2から流入する水は、流路切換弁21、水道メータ7、仕切弁22をこの順に経由して流れ、二次側配管3に流入する。また、一次側配管2から流入する水は、流路切換弁21を介してバイパス管9に流入して、通水口31より吐き出される。従って、主配管8を介して二次側配管3に水を供給しながら、取水が可能となる。また、この場合には、主配管8から二次側配管3に流入する水を計量できる。
【0042】
図9に示すメータユニット1の第6形態は、災害などによって水道管の本管の側で断水が発生したときに、給水車を利用して建物内に水を供給するために採用される。
【0043】
まず、断水が発生する前の状態では、メータユニット1は、
図6(a)に示す第1形態で使用されている。従って、メータユニット1では、流路切換弁21により第1流路S1が選択されている。また、メータユニット1では、主配管8の仕切弁22が開状態(O)とされ、バイパス管9の止水栓32が閉状態(X)とされている。ここで、断水が発生した場合には、
図9に示すように、主配管8の仕切弁22を閉状態(X)とする。また、バイパス管9の止水栓32を開状態(O)とし、かつ、蓋部材33による通水口31の封鎖を解除する。さらに、通水口31に、給水車のタンクから引き出された給水管を接続する。これにより、メータユニット1は、第6形態で使用される。
【0044】
第6形態では、流路切換弁21により第1流路S1が選択されているが、断水が発生しているので、一次側配管2からメータユニット1の側への水の流入はない。また、仕切弁22が閉状態(X)とされている。従って、復旧により水が本管を流通するようになった場合でも、一次側配管2から流入した水が、二次側配管3に流れ込むことはない。
【0045】
ここで、給水車の給水管から水を供給すると、この水は、通水口31からバイパス管9に流入する。また、バイパス管9に流入した水は、第2接続部分8bから、主配管8における水道メータ7および仕切弁22の二次側に流れ込み、二次側配管3に流入する。これにより、給水車から供給される水は建物内の配管に供給される。従って、第6形態では、メータユニット1および建物内の配管を利用して、建物内の各部屋に水を供給することができる。よって、災害時に断水が発生したときに、避難所として利用される建物や、病院、各種の施設において、建物内で水を必要とする場所に、給水車からの水を直接的に届けることができる。
【0046】
(第2設置例)
図10は、第2設置例のメータユニット1を上方Z1から見た場合の平面図である。
図11は、第2設置例のメータユニット1の第1、第2形態の説明図である。
図12は、第
2設置例のメータユニット1の第3、第4形態の説明図である。
図13は、第2設置例のメータユニット1の第5形態の説明図である。第2設置例では、主配管8を流通する水の流通方向を第1設置例と反転させている。
【0047】
すなわち、
図10に示すように、第2設置例では、主配管8の流路切換弁21の側の端が、二次側配管3に接続される。主配管8における流路切換弁21とは反対側の端が、一次側配管2に接続される。従って、一次側配管2からメータユニット1に流入して主配管8を流通する水は、第2接続部分8b、仕切弁22、水道メータ7、流路切換弁21(第1接続部分8a)をこの順に経由して、二次側配管3に流れる。また、バイパス管9では、通水口31よりも、止水栓32が第1方向X1(一次側配管2に近い側)に位置する。水道メータ7は、一次側配管2の側に流入口を向け、二次側配管3の側に流出口を向けて配置されている。第2設置例では、水道メータ7の向きが、第1設置例の水道メータ7の向きと反対である。
【0048】
第2設置例では、流路切換弁21は、一次側配管2から流入して水道メータ7を経由した水が二次側配管3に流れる第4流路S4、一次側配管2から流入して水道メータ7を経由した水がバイパス管9に流れる第5流路S5、一次側配管2から流入してバイパス管9を経由した水が二次側配管3に流れる第6流路S6、または、一次側配管2から流入して水道メータ7を経由した水が第4流路S4および第5流路S5に流れる第7流路S7に切り換える。
【0049】
図11(a)は、主配管8の仕切弁22を開状態(O)とし、バイパス管9の止水栓32を閉状態(X)として、流路切換弁21により第4流路S4を選択した第1形態である。この場合、一次側配管2から流入する水は、第2接続部分8b、仕切弁22、水道メータ7、流路切換弁21を、この順に経由して二次側配管3に流入する。従って、メータユニット1を、一次側配管2から流入する水を水道メータ7により計量して二次側配管3に供給する通常のメータユニットとして用いることができる。
【0050】
図11(b)は、主配管8の仕切弁22を開状態(O)とし、バイパス管9の止水栓32を閉状態(X)とし、かつ、蓋部材33による通水口31の封鎖を解除して、流路切換弁21により第5流路S5を選択した第2形態である。この場合、一次側配管2から流入する水は、第2接続部分8b、仕切弁22、水道メータ7、流路切換弁21を経由してバイパス管9に流入して、通水口31からから吐き出される。従って、メータユニット1からの取水が可能となる。また、この場合には、二次側配管3への水の供給を停止した状態で、通水口31からの取水が可能となる。さらに、この場合には、通水口31から吐き出される水を計量できる。
【0051】
図12(a)は、主配管8の仕切弁22を閉状態(X)とし、バイパス管9の止水栓32を開状態(O)として、流路切換弁21により第6流路S6を選択した第3形態である。この場合、一次側配管2から流入する水は、第2接続部分8bから、バイパス管9を経由して、二次側配管3に流れる。これにより、水が水道メータ7を経由して流れることがなくなるので、水道メータ7の交換を行うことができる。また、この場合には、二次側配管3への水の供給を停止することなく、水道メータ7を交換できる。
【0052】
図12(b)は、主配管8の仕切弁22を開状態(O)とし、バイパス管9の止水栓32を閉状態(X)とし、かつ、蓋部材33による通水口31の封鎖を解除して、流路切換弁21により第7流路S7を選択した第4形態である。この場合、一次側配管2から流入する水は、第2接続部分8b、仕切弁22、水道メータ7、流路切換弁21を、この順に経由して二次側配管3に流入する。また、一次側配管2から流入する水は、流路切換弁21を介してバイパス管9に流れ込み、通水口31からから吐き出される。従って、主配管
8を介して二次側配管3に水を供給しながら、取水が可能となる。また、この場合には、二次側配管3に流入する水および通水口31から吐き出される水の総量を計量できる。
【0053】
図13に示すメータユニット1の第5形態は、災害などによって水道管の本管の側で断水が発生したときに、建物内に水を供給するために採用される。
【0054】
まず、断水が発生する前の状態では、メータユニット1は、
図11(a)に示す第1形態で使用されている。従って、メータユニット1では、主配管8の仕切弁22が開状態(O)とされ、バイパス管9の止水栓32が閉状態(X)とされている。また、メータユニット1では、流路切換弁21により第4流路S4が選択されている。ここで、断水が発生した場合には、
図13に示すように、流路切換弁21の操作により、バイパス管9を経由した水が二次側配管3に流れる第6流路S6を選択する。また、蓋部材33による通水口31の封鎖を解除する。さらに、通水口31に、給水車のタンクから引き出された給水管を接続する。これにより、メータユニット1は、第5形態で使用される。
【0055】
第5形態では、主配管8の仕切弁22が開状態(O)とされているが、断水が発生しているので、一次側配管2からメータユニット1の側への水の流入はない。また、流路切換弁21により第6流路S6が選択されているので、復旧により水が本管を流通するようになった場合でも、一次側配管2から流入した水が、二次側配管3に流れ込むことはない。
【0056】
ここで、給水車の給水管から水を供給すると、この水は、通水口31からバイパス管9に流入する。また、バイパス管9に流入した水は、流路切換弁21を経由して、二次側配管3に流入する。これにより、給水車から供給される水は建物内の配管に供給される。従って、第5形態では、メータユニット1および建物内の配管を利用して、建物内の各部屋に水を供給することができる。よって、災害時に断水が発生したときに、避難所として利用される建物や、病院、各種の施設において、建物内で水を必要とする場所に、給水車からの水を直接的に届けることができる。
【0057】
(作用効果)
本例によれば、メータユニット1が、水道メータ7を経由しないバイパス管9を備える。また、バイパス管9には、通水口31が設けられている。従って、水をバイパス管9に流入させれば、水道メータ7を取り外すことなく、通水口31から取水できる。
【0058】
また、本例のメータユニット1によれば、流路切換弁21を一次側配管2に接続して流路切換弁21の側から水を流通させた場合でも、流路切換弁21を二次側配管3に接続して仕切弁22の側から水を流通させた場合でも、メータユニット1を介して二次側配管3へ流入する水を計量が可能であり、かつ、通水口31からの取水が可能である。よって、同一のメータユニット1を、使用の用途に応じて、複数の形態で使い分けることができる。
【0059】
また、本例では、災害により水道管の本管に断水が発生した場合などに給水車の給水管を通水口31に接続すれば、給水車から供給される水を、メータユニット1を介して、建物内に供給できる。よって、避難所として利用される建物や、病院、各種の施設において、建物内で水を必要とする場所に、給水車からの水を直接的に届けることができる。
【0060】
さらに、本例では、バイパス管9において、流路切換弁21と止水栓32との間に配置された分岐配管部材36は、流路切換弁21と止水栓32とを連通させる配管本体部37と、配管本体部37から分岐する分岐管部38と、を備える。分岐管部38は、配管本体部37から主配管8の側に向かって上方Z1に曲がる折れ曲がり部38aを備える。通水口31は、分岐管部38の上端開口であり、通水口31の中心31aは、配管本体部37
の管軸37aよりも、主配管8の側に位置する。従って、ユニットボックス6の天井板14を取り外すなどすれば、通水口31に上方Z1から外部の配管やホースなどを接続できる。また、通水口31の中心31aは、配管本体部37の管軸37aよりも、主配管8の側に位置するので、通水口31の中心31aが配管本体部37の管軸37aよりも主配管8から離間している場合と比較して、メータユニット1を幅方向Yで小さくすることができる。
【0061】
また、本例では、主配管8における流路切換弁21と水道メータ7との間には、管継手機構23が配置されている。管継手機構23は、流路切換弁21に固定された固定管25と、固定管25の管軸方向Xに移動可能な状態で固定管25に同軸に支持された移動管26と、移動管26と水道メータ7とを締結する締結機構28と、固定管25に対する移動管26の移動を不能とする移動規制機構29と、を備える。従って、主配管8に水道メータ7を取り付ける取付け作業、および、主配管8から水道メータ7を取り外す取り外し作業が容易である。さらに、本例は、主配管8を間に挟んでバイパス管9とは反対側に補強部材10を備える。従って、水道メータ7を着脱したときに、主配管8が撓むことを防止、或いは抑制できる。なお、補強部材10は、省略することもできる。
【0062】
(変形例)
ここで、第1管継手部材24に代えて、水道メータ7と仕切弁22の間に管継手機構23を設けてもよい。すなわち、管継手機構23は、水道メータ7と当該水道メータ7の隣に位置する配管部材(仕切弁22)との間に設けてもよい。この場合には、水道メータ7と流路切換弁21とを第1管継手部材24で接続することができる。
【0063】
また、上記の管継手機構23に替えて、移動管26を水道メータ7に圧着させる別の形態の管継手機構23Aを用いてもよい。
図14は、別の形態の管継手機構の説明図である。
図14(a)は、移動管26を水道メータ7に圧着させる前の状態を示し、
図14(b)は、移動管26を水道メータ7に圧着させた状態を示す。
図14では、管継手機構の一部分を断面で示す。なお、本例の管継手機構23Aは、上記の管継手機構23と対応する構成を備えるので、対応する構成には、同一の符号を付して説明する。
【0064】
本例の管継手機構23Aは、水道メータ7の隣に位置する配管部材(流路切換弁21)に固定された固定管25と、固定管25の管軸方向Xに移動可能な状態で固定管25の内周側に同軸に支持された移動管26と、を備える。また、管継手機構23Aは、固定管25の外周側において当該固定管25の管軸方向Xに移動不能な状態で、かつ固定管25の管軸回りに回転可能に支持されたロックナット70を備える。移動管26において固定管25の側の端部分には2本の環状溝が設けられており、各環状溝には、それぞれOリング27が取り付けられている。これにより、径方向における固定管25と移動管26との間には、2本のOリング27が介在する。
【0065】
移動管26は、外周面にロックナット70に螺合する雄ねじ71を備える。また、移動管26は、水道メータ7の側の端部分に、水道メータ7の管部を受け入れる凹形状の受部72を備える。受部72には、Oリング73が保持されている。移動管26は、ロックナット70の回転により、固定管25の管軸方向Xに進退する。
【0066】
管継手機構23Aによって流路切換弁21と水道メータ7とを接続する際には、
図14(a)に示すように、まず、移動管26を水道メータ7から離間する位置に後退させて、受部72に水道メータ7の管部を受け入れる。次に、ロックナット70を回転させて、移動管26を水道メータ7の側に前進させる。そして、移動管26を水道メータ7に押し付ける。これにより、
図14(b)に示すように、移動管26は、Oリング73を介して、水道メータ7に圧着した状態となる。主配管8から水道メータ7を取り外す際には、ロッ
クナット70を回転させて、移動管26を水道メータ7から離間する方向に後退させる。
【0067】
本例の管継手機構23Aを用いた場合でも、主配管8に水道メータ7を取り付ける取付け作業、および、主配管8から水道メータ7を取り外す取り外し作業が容易である。ここで、メータユニット1は、主配管8を間に挟んでバイパス管9とは反対側に補強部材10を備える。従って、移動管26を水道メータ7に圧着させたときに、移動管26が水道メータ7に押し付けられる力によって主配管8が撓むことを防止、或いは抑制できる。
【0068】
(分岐配管部材の別の例)
図15は、変形例の分岐配管部材の説明図である。変形例の分岐配管部材36Aは、上記の分岐配管部材36の替わりに用いることができる。
図15(a)は、変形例の分岐配管部材36Aを主配管8の側から見た場合であり、
図15(b)は、変形例の分岐配管部材36Aを管軸方向Xから見た場合である。
図15(b)では、変形例の分岐配管部材36Aの一部分を断面で示す。なお、変形例の分岐配管部材36Aは、分岐配管部材36と対応する構成を備えるので、対応する構成には同一の符号を付す。
【0069】
図15(a)に示すように、分岐配管部材36Aは、流路切換弁21と止水栓32とを連通させる配管本体部37と、配管本体部37から分岐する分岐管部38と、を備える。配管本体部37の管軸37aは、主配管8の軸線と平行である。配管本体部37には、ドレン口34が設けられており、ドレン口34にはドレンプラグ35が取り付けられている。
図15(b)に示すように、分岐管部38は、配管本体部37から幅方向Yの他方側Y2(主配管8の側)に向かって上方に曲がる折れ曲がり部38aを備える。通水口31は、分岐管部38の上端開口である。通水口31は蓋部材33により封鎖されている。
通水口31の中心31aは、配管本体部37の管軸37aよりも、幅方向Yの他方側Y2(主配管8の側)に位置する。
【0070】
ここで、分岐配管部材36Aは、配管本体部37を備える第1管部材61と、折れ曲がり部38aおよび通水口31を備える第2管部材62と、の2部材から構成されている。第1管部材61は、配管本体部37を構成する本管部分61aと、本管部分61aの途中から本管部分61aと直交する方向に突出する接続管部分61bと、を備える。本管部分61aには、ドレン口34が設けられている。接続管部分61bには2本の環状溝が設けられており、各環状溝には、Oリング63が取り付けられている。接続管部分61bは、本管部分61aとの境界部分に外周側に広がるフランジ61cを備える。また、第1管部材61は、分岐配管部材36Aをユニットボックス6の底板16に固定するための第1ボルト締結部分61dを備える。第1ボルト締結部分61dは、本管部分61aから下方Z2に延びる。
【0071】
第2管部材62は、上下方向Zに延びる。第2管部材62は、下端部分に開口62aを備える。また、第2管部材62は、下端部分における開口62aとは反対側に、折れ曲がり部38aを備える。さらに、第2管部材62は、開口62aの開口縁から当該第2管部材62の内側に延びる筒部分62bを備える。また、第2管部材62は、分岐配管部材36Aをユニットボックス6の底板16に固定するための、第2ボルト締結部分62cを備える。第2ボルト締結部分62cは、折れ曲がり部38aの下端部分から下方Z2に延びる。
【0072】
ここで、第1管部材61は、接続管部分61bが開口62aを介して第2管部材62の筒部分62bに挿入され、フランジ61cが開口62aの開口縁に当接した状態で、第2管部材62と一体とされる。第1管部材61の接続管部分61bと第2管部材62の筒部分62bとの間には、2本のOリング63が介在する。
【0073】
本例の分岐配管部材36Aを用いた場合でも、分岐配管部材36Aの分岐管部38は、配管本体部37から主配管8の側に向かって上方Z1に曲がる折れ曲がり部38aを備える。通水口31は、分岐管部38の上端開口であり、通水口31の中心31aは、配管本体部37の管軸37aよりも、主配管8の側に位置する。従って、ユニットボックス6の天井板14を取り外すなどすれば、通水口31に上方Z1から外部の配管やホースなどを接続できる。また、通水口31の中心31aは、配管本体部37の管軸37aよりも、主配管8の側に位置するので、通水口31の中心31aが配管本体部37の管軸37aよりも主配管8から離間している場合と比較して、メータユニット1を幅方向Yで小さくすることができる。さらに、分岐配管部材36Aは、2部材から構成されるので、その製造が容易である。
【符号の説明】
【0074】
1…メータユニット、2…一次側配管、3…二次側配管、5…ユニット本体、6…ユニットボックス、7…水道メータ、8…主配管、8a…第1接続部分、8b…第2接続部分、9…バイパス管、10…補強部材、11…ベース、13…ボックス本体、14…天井板、15…開閉蓋、16…底板、21…流路切換弁、22…仕切弁、23…管継手機構、24…第1管継手部材、25…固定管、26…移動管、26a…小径部、26b…大径部、26c…環状フランジ、27…Oリング、28…締結機構、29…移動規制機構、31…通水口、31a…通水口の中心、32…止水栓、33…蓋部材、34…ドレン口、35…ドレンプラグ、36,36A…分岐配管部材、37…配管本体部、37a…管軸、38…分岐管部、38a…折れ曲がり部、41…第1固定部、42…第2固定部、43…第2管継手部材、45…第1支持部、46…第2支持部、50…逆止弁、55…パッキン、56…袋ナット、56a…袋部、57…ジョイントナット、57a…袋部、58…ジョイントパッキン、59…ジョイント座金、61…第1管部材、61a…本管部分、61b…接続管部分、61c…フランジ、61d…第1ボルト締結部分、62…第2管部材、62a…開口、62b…筒部分、62c…第2ボルト締結部分、63…Oリング、70…ロックナット、71…雄ねじ、72…受部、73…Oリング、S1…第1流路、S2…第2流路、S3…第3流路、S4…第4流路、S5…第5流路、S6…第6流路、S7…第7流路、X…主配管の管軸方向、Y…幅方向、Z…上下方向