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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ピロー包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/22 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B65B9/22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020126477
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023498
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2022-07-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】服部 智数
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 優
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-110443(JP,A)
【文献】特開2001-010605(JP,A)
【文献】特開昭59-163110(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0130435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次供給される製品を包装資材で包装する包装機本体と、
その包装機本体に対し帯状の前記包装資材を上方または下方から供給する包装資材供給装置を備え、
前記包装機本体は、供給された前記包装資材を筒状に製袋する製袋器と、その製袋器の下流側に配置され前記包装資材の両側縁部を重合させてシールするセンターシール装置と、前記包装資材を搬送方向に対して直交する方向にシール・カットするトップシール装置を備え、
前記製袋器を通過する前記包装資材の、前記両側縁部と反対側の部位を吸着する吸着ベルト装置を備え、
前記吸着ベルト装置の前記包装資材に接触するベルト面の位置は、
前記包装資材を筒状に製袋する際の、前記両側縁部と反対側の部位の位置を規制する部材の配置位置と等しくするピロー包装機。
【請求項2】
順次供給される製品を包装資材で包装する包装機本体と、
その包装機本体に対し帯状の前記包装資材を搬送路の左右の一方の側面側から供給する包装資材供給装置を備え、
前記包装機本体は、供給された前記包装資材の両側縁部が前記搬送路の左右の他方の側面側で重合するように筒状に製袋する製袋器と、
その製袋器の下流側に配置され前記包装資材の前記両側縁部を重合させてシールするセンターシール装置と、
前記包装資材を搬送方向に対して直交する方向にシール・カットするトップシール装置を備え、
前記製袋器を通過する前記包装資材の、前記両側縁部と反対側の部位を吸着する吸着ベルト装置を備え、
前記吸着ベルト装置の前記包装資材に接触するベルト面の位置は、
前記包装資材を筒状に製袋する際の、前記両側縁部と反対側の部位の位置を規制する部材の配置位置と等しくするピロー包装機。
【請求項3】
前記規制する部材と前記ベルト面は、前記製袋器の、前記包装資材の両側縁部が位置する側に対して接近離反可能に構成にした請求項1または2に記載のピロー包装機。
【請求項4】
前記吸着ベルト装置におけるベルトの移動速度は、前記包装機本体における前記包装資材の搬送速度より速くする請求項1から3のいずれか1項に記載のピロー包装機。
【請求項5】
前記トップシール装置の前後の少なくとも一方に、前記包装資材を吸着する補助吸着ベルト装置を配置する請求項1から4のいずれか1項に記載のピロー包装機。
【請求項6】
前記吸着ベルト装置の搬送方向の前端は、前記トップシール装置の手前側に位置する請求項1から5のいずれか1項に記載のピロー包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロー包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装機の一形態であるピロー包装機は、以下のような構成を備える。ピロー包装機は、原反ロールに巻き取られた帯状フィルムを連続して製袋器に供給し、その製袋器を通過させる際に筒状に製袋する。そして、製袋器の下流側に配置されたセンターシール装置は、製袋器を通して筒状に製袋されて重ね合わされたフィルム重合端をシールする。また、この製袋器の上流側には製品搬送供給装置を配置し、その製品搬送供給装置から所定間隔毎に搬送される製品が、製袋器内に供給される。これにより、製品が製袋器内を通過すると、筒状の包装フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その製品は包装フィルムとともに搬送される。そして、ピロー包装機の搬出側に配置されたトップシール装置にて、筒状の包装フィルムを所定間隔毎に横方向に横断するようにシール・カットすることにより、製品を内包するピロー包装体が製造される。
【0003】
この種のピロー包装機は、例えば特許文献1等に開示されている。また、この特許文献1は、例えばアルミホイルとセロファンとポリエチレンを重ね合わせたポリセロニウムや、クラフト紙とポリエチレンを重ね合わせたペリクラフトなどの腰の強い柔軟性の少ない包装資材を用いる場合に、製袋器の搬入側の左右両側先端にベアリングのような回転体を配置する技術が開示されている。この回転体は、包装材料の搬送方向に対して交差する方向に回転軸を有し、包装資材をその回転体に掛け渡した状態で製袋器に供給する。これにより、回転体は、包装資材との摩擦抵抗を減少させて製袋器に導くことで、包装資材にすじ等を生じることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭48-31108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包装資材として例えば紙製のように、より腰の強い材質のものを用いた場合、包装資材が製袋器の内周面から離れて浮いてしまい、包装資材を製袋器の内周面に沿って製袋できないことがある。例えば、正ピロー包装機の場合、包装資材は製袋器の上方側から斜め下方に向けて搬送されながら製袋器内に供給され、そこで製袋器の内周面に沿う筒状になるように曲げられ、搬送方向が水平方向に変更される。このとき、包装資材の腰が強いと、筒状に製袋された包装資材は、下方に位置する両側縁部をピンチローラで挟み込んで搬送力を与えることも相まって、製袋器内に進入した際の曲がる角度が足りずに水平方向に変更できず、斜め下方に向けて進み、製袋器の天井面から離れてしまい、上述した事態が発生することがある。包装資材を製袋器の下方から供給する逆ピロー包装機においても、上記と天地が反転した状態で同様の現象が生じることがある。そして、綺麗に筒状に製袋できない場合、包装資材には、例えば鱗状等の傷が発生してしまう。
【0006】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このようにすると、製袋器に供給された包装資材は、吸着ベルト装置により吸着された状態で製袋器内を通過するので、包装資材を製袋器内で所望の姿勢・位置で通過させ筒状に製袋することができる。
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のピロー包装機は、(1)順次供給される製品を包装資材で包装する包装機本体と、その包装機本体に対し帯状の前記包装資材を上方または下方から供給する包装資材供給装置を備え、前記包装機本体は、供給された前記包装資材を筒状に製袋する製袋器と、その製袋器の下流側に配置され前記包装資材の両側縁部を重合させてシールするセンターシール装置と、前記包装資材を搬送方向に対して直交する方向にシール・カットするトップシール装置を備え、前記製袋器を通過する前記包装資材の、前記両側縁部と反対側の部位を吸着する吸着ベルト装置を備え、前記吸着ベルト装置の前記包装資材に接触するベルト面の位置は、前記包装資材を筒状に製袋する際の、前記両側縁部と反対側の部位の位置を規制する部材の配置位置と等しくするとよい。
(2)順次供給される製品を包装資材で包装する包装機本体と、その包装機本体に対し帯状の前記包装資材を搬送路の左右の一方の側面側から供給する包装資材供給装置を備え、前記包装機本体は、供給された前記包装資材の両側縁部が前記搬送路の左右の他方の側面側で重合するように筒状に製袋する製袋器と、その製袋器の下流側に配置され前記包装資材の前記両側縁部を重合させてシールするセンターシール装置と、前記包装資材を搬送方向に対して直交する方向にシール・カットするトップシール装置を備え、前記製袋器を通過する前記包装資材の、前記両側縁部と反対側の部位を吸着する吸着ベルト装置を備え、前記吸着ベルト装置の前記包装資材に接触するベルト面の位置は、前記包装資材を筒状に製袋する際の、前記両側縁部と反対側の部位の位置を規制する部材の配置位置と等しくするとよい。
【0010】
係るタイプの包装機においても製袋器に供給された包装資材は、吸着ベルト装置により吸着された状態で製袋器内を通過するので、包装資材を製袋器内で所望の姿勢・位置で通過させ筒状に製袋することができる。
【0011】
なお、このピロー包装機における製品は、単体の物品でも良いが、例えば、複数の偏平状物品を起立させるとともに、搬送方向に対して直交する方向に整列させた状態の集合物品とするとよい。また、トップシール装置は、そのトップシーラのシール面が、上下方向に延びるように配置されるようにしてもよいし、水平方向に伸びるように配置しても良い。
【0012】
(4)前記吸着ベルト装置におけるベルトの移動速度は、前記包装機本体における前記包装資材の搬送速度より速くするとよい。このようにすると、ベルト面に吸着した包装資材をピンと張った状態で搬送することができるので、包装資材のしわや傷の発生を可及的に抑制できる。
【0013】
(5)前記トップシール装置の前後の少なくとも一方に、前記包装資材を吸着する補助吸着ベルト装置を配置するとよい。このようにすると、腰の強い包装資材であっても、トップシール装置に対して所望の筒状の形態で供給し、シールすることができる。この場合に、補助吸着ベルト装置の駆動(搬送・吸引等)は、吸着ベルト装置と同じでもよいが、異ならせてそれぞれ独立して動作させるようにするとより好ましい。
【0014】
(6)前記吸着ベルト装置の搬送方向の前端は、前記トップシール装置の手前側に位置するように構成するとよい。このようにすると、製袋器で所望の筒状の形態に製袋された包装資材は、製袋器からトップシール装置に至るまで吸着ベルト装置で吸着されるので、そのままの状態・形態を保ってトップシール装置に至ることができるのでよい。
【0015】
記包装資材を上方から前記製袋器に供給し、前記製袋器の上方の開口部位に、前記吸着ベルト装置を配置するとよい。このようにすると、筒状に製袋される包装資材の上面側をしっかりと持ち上げた状態で製袋器内を通過させ、所望の筒状に製袋することができる。
【0016】
(1),(2)前記吸着ベルト装置の前記包装資材に接触するベルト面の位置は、前記包装資材を筒状に製袋する際の、前記両側縁部と反対側の部位の位置を規制する部材の配置位置と等しくすると、位置を規制する部材により進路を変更された包装資材の部位は、その位置のまま吸着ベルト装置で吸着されて搬送力が与えられる。
【0017】
例えば包装機本体に対し帯状の前記包装資材を上方または下方から供給するタイプの場合、前記吸着ベルト装置の前記包装資材に接触するベルト面の高さ位置は、前記包装資材を筒状に製袋する際の高さを規制する部材の配置位置と等しくするとよい。このようにすると、高さを規制する部材により進路を変更された包装資材の部位は、その高さのまま吸着ベルト装置で吸着されて搬送力が与えられる。この規制する部材は、実施形態では、高さ調整部材に対応する。この高さ調整部材は、昇降移動するが、昇降移動しない構成としてもよい。また、実施形態では、ブロック状としたが、ローラのように回転体としてもよい。さらには、製袋器の搬入側の端縁など、各種のもので構成できる。
【0018】
(3)前記規制する部材と前記ベルト面は、前記製袋器の、前記包装資材の両側縁部が位置する側に対して接近離反可能に構成にするとよい。このようすると、寸法形状の異なる包装体の製造に対応できる。また、例えば包装機本体に対し帯状の前記包装資材を上方または下方から供給するタイプの場合、前記高さを規制する部材は昇降可能に構成し、前記ベルト面も昇降するようにしてもよく、異なる高さの包装体の製造に対応できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、吸着ベルト装置により包装資材を吸着した状態で製袋器内を通過させることで、包装資材を所望の筒状に製袋でき、包装資材にしわや傷を発生することを可及的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るピロー包装機の第1実施形態を示す正面図である。
図2】製袋器を示す正面図である。
図3】製袋器を示す平面図である。
図4】製袋器を示す側面図である。
図5】本発明に係るピロー包装機の第2実施形態を示す正面図である。
図6】本発明に係るピロー包装機の第3実施形態を示す正面図である。
図7】その変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0022】
図1は、本発明に係るピロー包装機の好適な一実施形態を示している。ピロー包装機10は、上流側から製品搬送供給装置11,包装機本体12の順に配置し、それらの上方に包装資材供給装置14を備えて構成される。
【0023】
製品搬送供給装置11は、製品13を一定間隔毎に搬送するとともに、次段の包装機本体12に順次供給するフィンガーコンベア装置から形成されている。すなわち、前後に配置されたスプロケット7(図1では、下流側のみ示す)間に掛け渡されたエンドレスチェーン8に対し、一定間隔で押送フィンガー9を取り付けて構成される。そして、前後の押送フィンガー9間に製品13を供給することにより、その製品13を押送フィンガー9のフィンガーピッチで搬送する。
【0024】
包装資材供給装置14は、製品13を包み込むための帯状の包装資材16を連続して包装機本体12に供給するためのものである。この包装資材供給装置14は、帯状の包装資材16をロール状に巻き取った原反ロール15の支持手段を備える。包装資材供給装置14は、原反ロールから連続して引き出された帯状の包装資材16を所定の搬送経路で搬送し、包装機本体12の搬入部位に導くためのローラ17を備える。このローラ17は、帯状の包装資材16に対して駆動を掛ける駆動ローラや、テンションを掛けるテンションローラや、帯状の包装資材16の搬送方向を変更したり搬送をガイドしたりするフリーローラなどがある。
【0025】
包装機本体12は、搬入側に製袋器22を備える。製袋器22は、包装資材供給装置14から連続して供給される帯状の包装資材16を筒状に製袋する。ここでは、製袋器22を包装資材16が通過することで、その包装資材16の両側縁部16aが重ね合わされるとともに、その両側縁部16aが製袋器22,搬送面の下方に突出した状態となる。なお、製袋器22の詳細な構成については後述する。
【0026】
一方、製品搬送供給装置11から順次搬出される製品13は、製袋器22内に供給される。これにより、筒状に製袋される包装資材16内に製品13が所定間隔ごとに供給されることになり、以後、その製品13は筒状に製袋された包装資材16内に内包された状態のまま、当該フィルムと共に搬送される。
【0027】
さらに包装機本体12は、製袋器22の下流側に、センターシール装置23を備える。センターシール装置23は、製袋器22を通過して製袋された筒状の包装資材16の両側縁を重ね合わせた部位をシールするものである。このセンターシール装置23は、係る筒状の包装資材16の両側縁を重ね合わせた部位を挟み込んで搬送力を与える一対のピンチローラ23aと、その重ね合わせた部位を両側から挟み込んで加熱するバー状の一対のセンターシーラ23bと、そのセンターシーラ23bの下流側に配置され、加熱して溶融したフィルムの側縁の重ね合わされた部位を加圧すると共に冷却して熱シールを完了する一対のプレスローラ23cと、を備える。本実施形態ではバー状のセンターシーラ23bを用いたが、一対の回転ローラで構成するものもあり、各種の構造をとれる。
【0028】
包装機本体12は、センターシール装置23の下流側に、下部ベルトコンベア装置26を備える。下部ベルトコンベア装置26は、製品13を内包する包装資材16の搬送路を構成する。
【0029】
さらに包装機本体12は、下部ベルトコンベア装置26の下流側にトップシール装置30を備える。トップシール装置30は、包装資材16に対し、搬送方向に対して直交する方向、つまり、横断する方向にシールするとともにカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の製品13の間の所定位置である。このトップシール装置30は、包装資材16を挟んでその上下に上側トップシーラ30aと下側トップシーラ30bを備える。上側トップシーラ30aと下側トップシーラ30bは、ヒータが内蔵され、互いの先端のシール面が所定の温度に加熱される。そして上側トップシーラ30aと下側トップシーラ30bは、シール面を対向させた状態を保持しながらそれぞれを所定の軌跡で接近離反し、接近時に上側トップシーラ30aと下側トップシーラ30bのシール面が包装資材16を上下から挟み込んで加熱し、上側トップシーラ30aに内蔵するカッター刃が、下側トップシーラ30bに設けたカッター溝に進入してシールした部位をカットする。これにより、包装資材16の先端部分(先頭の製品13を内包する部分)は、後続の包装資材16から分離され、包装体29が製造される。そして、この包装体29が搬出コンベア装置27上を搬送される。
【0030】
本実施形態に用いられる製袋器22は、包装資材16を筒状に製袋する際の寸法、すなわち、製品・包装資材の搬送方向に対して直交する幅方向並びに高さ方向の寸法を、それぞれ独立して変更可能なアジャスト式製袋器である。図1では、図示の便宜上、製袋器22を模式的に簡略化して描画した。具体的な構成は、例えば、図2から図4に示すように、この製袋器22は、製品13の搬送路を構成する左右に二分割されたガイド部材31と、ガイド部材31の上方であって搬送路の左右両外側にそれぞれ配置された側壁部32を備える。一対のガイド部材31の対向縁部には、それぞれ下方に突出するようにL字プレート31aが取り付けられる。包装資材16の左右の両側縁部16aは、製袋器22を通過する際に、この一対のL字プレート31a間の隙間に導かれて重合される。
【0031】
一方、側壁部32は、駆動機構部33により搬送方向に対して直交する水平方向に移動可能に構成される。よって、左右一対の側壁部32は、互いに接近離反移動可能になり、製品13の横幅にあわせて適宜の距離で対向配置する。
【0032】
また、各側壁部32は、駆動機構部33に連携されて左右方向に移動可能な第1側壁部位35と、その第1側壁部位35に対し、搬送方向に沿って斜め方向に移動可能に取り付けられる第2側壁部位36を有する。第1側壁部位35は、起立した肉厚の略平板状で、その上端縁は搬送方向に沿って下方傾斜状に形成される。また、第2側壁部位36は、起立した肉薄の略平板状であって、搬送方向の前側の下方部位36aは内側に折れ曲がり、ガイド部材31の上面に位置する形態としていている。これにより、製袋器22に進入した包装資材16は、その左右両側部位が第2側壁部位36に沿って下側に折り曲げられ、さらに、下方部位36aに案内されて内側に折り曲げることで筒状に製袋される。
【0033】
第1側壁部位35と第2側壁部位36との接続は、本形態では、以下のような構成を採る。第1側壁部位35の外面(製袋器22の外面)の搬送方向後方側に、両端開口した筒状のロッド受け部材37を搬送方向に沿って下方傾斜状に取り付ける。一方、第2側壁部位36の外面には、角柱状のスライドロッド38の一端を取り付け、そのスライドロッド38をロッド受け部材37に挿入配置する。このスライドロッド38は、軸方向に沿って往復移動可能に配置され、適宜の位置で固定される。これにより、スライドロッド38は、ロッド受け部材37の傾斜角度に沿って往復直線運動をし、それに伴い第2側壁部位36もスライドロッド38の配置方向に沿って斜め上下方向に移動し、第1側壁部位35と第2側壁部位36との相対位置関係が変移する。そして、第1側壁部位35は、駆動機構部33に連係され、上下方向の位置は固定されているため、上述した相対位置関係の変移により、第2側壁部位36は、搬送方向に沿って前後方向に移動しながら後端部位の高さも昇降移動する。
【0034】
さらに第2側壁部位36の内面(製袋器22の内面)の後端近傍側の所定位置に、高さ調整部材40を固定設置する。高さ調整部材40は、例えば矩形状のブロック体から構成する。上述したように第2側壁部位36の後端位置が昇降すると、高さ調整部材40の高さ位置も昇降する。そして、この高さ調整部材40は、筒状に製袋される包装資材の高さを規制するもので、斜め上方から製袋器22に供給される包装資材16は、幅方向の中側の所定位置が高さ調整部材40に接触して折り曲げられながら進路を変更する。具体的には、左右の第2側壁部位36に固定した高さ調整部材40は、同一高さで互いに対向するように設定し、その状態で左右の高さ調整部材40に接触した包装資材16は、高さ調整部材40の外側の部位は下方に向けて垂れ下がるように折り曲げられ、高さ調整部材40間に位置する部位は、最終的な包装体における上面側の部位となり、進路が水平方向下流側に向けて変換される。この種のアジャスト式製袋器は、例えば、特開平11-301605号や、実開昭64-32305号などに開示されている。
【0035】
上述したように、本実施形態の製袋器22は、アジャスト式製袋器を用いたこともあり、上方が開放している。そして本実施形態では、この製袋器の上方所定位置に、吸着ベルト装置50を配置した。この吸着ベルト装置50は、左右一対の板状の枠部材51の前後端近傍に回転可能に取り付けたプーリ52と、そのプーリ52に掛け渡すように装着したエンドレスベルト53と、枠部材51を吊り下げ支持する支持機構部54と、エンドレスベルト53に設けた多数の貫通孔55を介して吸引する吸引手段56等を備える。
【0036】
なお、図1では、模式的に前後に一対のプーリ52を配置し、エンドレスベルト53をそれに掛け渡すようにしたが、3個以上のプーリを適宜位置に配置し、エンドレスベルト53を所定の軌跡で回転移動させるとよい。その場合に、エンドレスベルト53の下側で包装資材16,製品13の搬送方向に沿って移動するベルト面は、その搬送方向と平行な水平面に位置するように構成する。そして、支持機構部54により枠部材51ひいてはエンドレスベルト53のベルト面が昇降可能に構成され、そのベルト面の高さ位置は、高さ調整部材40の下面と同じに設定する。
【0037】
吸引手段56は、例えばエンドレスベルト53の内部空間内に配置した吸気ボックスと、その吸気ボックスの内部空間と真空ポンプ,吸引ポンプ等の吸引源を接続する配管等を備える。吸気ボックスは、その下面に吸引口を有し、真空ポンプ等を動作させることで、吸引口から吸引可能とする。そして、吸気ボックスの下面を、上述した下側を移動するにベルトの内周面に接触させる。
【0038】
このように構成すると、包装資材16の高さ調整部材40間に位置する部位は、製袋器22内を通過する際に、吸着ベルト装置50のベルト面に接触して吸着され、エンドレスベルト53の回転移動に伴い搬送力を受けて前進移動しようとする。そして、吸着しているベルト面は水平に設置されているので、一対の高さ調整部材40間に位置する吸着された包装資材16の部位は、水平位置を保った状態のまま搬送さる。よって、上述したように高さ調整部材40に接触して進路を水平方向に変更された包装資材16は、製袋器22内で下方に向けて移動することも無く、綺麗な筒状に製袋され、その状態で製袋器22内を通過する。
【0039】
このとき、筒状に製袋された包装資材16は、その上面が吸着ベルト装置50からの搬送力を受け、下面がピンチローラ23aからの搬送力を受けるようになる。よって、筒状の包装資材16は、上下両方の位置で、搬送方向に沿った搬送力を受けることも相まって、その筒状に製袋された形態のまま安定して搬送され、包装資材16にしわ・傷など生じない。
【0040】
さらに、吸着ベルト装置50のベルト面の移動速度は、ピンチローラ23aによる包装資材の搬送速度と等しくしてもよいが、少し速くするとよい。このようにすると、吸着した筒状の包装資材の上面側をしっかりと水平方向に搬送しようとする力がかかり、下方に移動するのをより確実抑止できる。
【0041】
図5は、本発明の第2実施形態を示している。本実施形態では、第1実施形態を基本とし、トップシール装置30の前後に、補助吸着ベルト装置60を配置する。例えば、紙製の包材のように腰が強いと、製袋器できれいに筒状にできたとしても、製袋器を通過後に少し戻り膨らむ可能性があるが、トップシール装置30の前後で、吸着して再度押さえることで、所望の筒状の形状でトップシールすることができる。
【0042】
この場合、例えばトップシール装置が、上述した実施形態で用いたボックスモーション式の場合、シーラーの移動に対応して補助吸着ベルト装置60のトップシーラ側のベルト端部を搬送方向に往復移動させるように構成するとよい。また、本実施形態では、補助吸着ベルト装置60を吸着ベルト装置50と別の装置として形成したため、それぞれを独立に駆動させるとよい。なお、その他の構成並びに作用効果は、上述した実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0043】
図6は、本発明の第3実施形態を示している。本実施形態では、第1実施形態を基本とし、吸着ベルト装置50を、製袋器22の上方からトップシール装置30の近傍に至る位置まで配置する。このようにすると、筒状に製袋された包装資材16は、包装機本体12内を移動中わたり、吸着された状態で搬送力を受けるので、製袋器22で製袋された所望の形状のまま搬送し、シールすることができる。なお、その他の構成並びに作用効果は、上述した実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0044】
また、この第3実施形態において、吸着ベルト装置50は、吸引手段56を複数備えるとよい。例えば、エンドレスベルト53の内部空間に配置する吸気ボックス56aを搬送方向に沿って複数に分割して配置し、各吸気ボックス56aを異なる真空ポンプ、吸引ポンプ等の吸引源に接続するとよい。これにより、確実に筒状に製袋された包装資材16を確実に吸着して搬送できる。
【0045】
上述した各実施例において、エンドレスベルト53は、独立したサーボモーターによって駆動してもよい。これにより、包装資材16の物性(厚み、腰の強さ要等)に応じて搬送力の調整が可能である。
【0046】
上述した各実施形態では、紙製の包装資材16を用いた例を示したが、本発明はこれに限ることはなく、紙以外の厚手または腰の強い材料に適用してもよい。また、各実施形態では、製袋器は、アジャスト式製袋器を用いた例を示したが、アジャスト式でないタイプのものでもよい。その場合例えば特許文献1等に開示するように、製袋器は天面を有している(正ピロー包装機の場合)ので、その一部または全部を開口し、その開口部位に吸着ベルト装置を配置するとよい。
【0047】
また上述した各実施形態並びに変形例では、包装資材16の両側縁部16aを挟み込んで搬送力を与えるピンチローラは、センターシール装置23の構成要素として説明したが、センターシール装置23とは別に独立した装置として配置してもよく、両方を備えてもよい。
【0048】
また、上述した各実施形態等では、包装機本体に対し帯状の包装資材を上方または下方から供給するタイプのピロー包装機について説明したが、本発明これに限ることはなく、例えば、包装機本体に対し帯状の包装資材を搬送路の左右の一方の側面側から供給するタイプのピロー包装機に適用してもよい。このように包装資材を側面側から供給すると、包装資材の両側縁部は、反対側の側面に位置し、上下に重なる形態となる。そこで、それに併せてセンターシール装置や、トップシール装置の配置向き等を設定する。そして、吸着ベルト装置や、必要に応じて補助吸着ベルト装置も適宜の位置に配置する。
【0049】
具体的な図示は省略するが、例えば、順次供給される製品を包装資材で包装する包装機本体と、その包装機本体に対し帯状の前記包装資材を搬送路の左右の一方の側面側から供給する包装資材供給装置を備え、前記包装機本体は、供給された前記包装資材の両側縁部が前記搬送路の左右の他方の側面側で重合するように筒状に製袋する製袋器と、その製袋器の下流側に配置され前記包装資材の前記両側縁部を重合させてシールするセンターシール装置と、前記包装資材を搬送方向に対して直交する方向にシール・カットするトップシール装置を備え、前記製袋器を通過する前記包装資材の、前記両側縁部と反対側の部位を吸着する吸着ベルト装置を備えるとよい。
【0050】
この種のピロー包装機は、例えば、特開2001-10605号公報に開示された包装機などを用いて実現できる。また、特開2001-10605号公報に開示された包装機では、トップシール装置のトップシーラは、上下に延びるように配置し、包装資材を左右から挟み込むように構成したが、上下から挟み込むようにしてもよい。また、特開2001-10605号公報では、製品は、複数の偏平状物品を起立させるとともに、搬送方向に対して直交する方向に整列させた状態の集合物品としたが、例えば、偏平状物品を平置きにしたものを上下に重ねた状態の集合物品としてもよく、さらには、単体の物品でもよい。
【0051】
また、上述した各実施形態等において、下部ベルトコンベア装置26及びまたは搬出コンベア装置27を吸着ベルトにしてもよい。
【0052】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0053】
10 :ピロー包装機
11 :製品搬送供給装置
12 :包装機本体
13 :製品
14 :包装資材供給装置
16 :包装資材
16a :両側縁部
22 :製袋器
23 :センターシール装置
23a :ピンチローラ
29 :包装体
30 :トップシール装置
30a :上側トップシーラ
30b :下側トップシーラ
32 :側壁部
40 :高さ調整部材
50 :吸着ベルト装置
53 :エンドレスベルト
55 :貫通孔
56 :吸引手段
56a :吸気ボックス
60 :補助吸着ベルト装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7