(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ロボット供給装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20240418BHJP
B65G 47/91 20060101ALI20240418BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B25J13/00 A
B65G47/91 B
B25J15/06 A
(21)【出願番号】P 2021100161
(22)【出願日】2021-06-16
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松本 真幸
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-189341(JP,A)
【文献】特開平8-258974(JP,A)
【文献】特開2019-94158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
B65G 47/90-47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送手段上を搬送されるチューブ容器をピックアップし、そのピックアップした前記チューブ容器を第2搬送手段上に供給するロボット供給装置であって、
前記チューブ容器は、内容物が充填され得る胴部の一端側にその内容物を外部に吐出するための吐出部を有し、前記胴部の他端側には閉塞された平坦状の封止部位を有し、
前記胴部は周方向に湾曲する曲面部位を有し、
前記チューブ容器は、前記第1搬送手段上で前記周方向に回転した姿勢で搬送され得るものであり、
前記胴部を吸引する吸盤部と、
前記封止部位に接触して前記第1搬送手段の搬送面に対する前記封止部位の姿勢を一定にする製品位置決めガイドと、
前記吸盤部と前記製品位置決めガイドを一体的に移動するロボットアームを備えるように構成するロボット供給装置。
【請求項2】
前記チューブ容器は、前記第1搬送手段の搬送面に置かれた状態で前記封止部位側が前記吐出部側よりも上方に位置する姿勢になり、
前記製品位置決めガイドの前記封止部位に接触可能な下端面は、前記胴部を吸着保持するための前記吸盤部の下端開口部よりも下方に突出する状態で前記ロボットアームに取り付けられる請求項1に記載のロボット供給装置。
【請求項3】
前記製品位置決めガイドは、前記ロボットアームに回転可能に取り付けられ、その製品位置決めガイドの下端面が前記吸盤部の周りで回転可能に構成される請求項1または2に記載のロボット供給装置。
【請求項4】
前記製品位置決めガイドの下端面が前記チューブ容器の前記封止部位を下方に付勢するとともに、前記吸盤部の下端開口部が前記チューブ容器の前記胴部に接触した状態では、前記チューブ容器の中心軸が前記第1搬送手段の搬送面と平行になるように構成する請求項1から3のいずれか1項に記載のロボット供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット供給装置に関するもので、例えば、チューブ容器をピックアップして移し替える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば搬送手段上を搬送される物品を吸着保持し、別の搬送手段その他の所定領域に移し替えるロボット供給装置がある。この種のロボット供給装置は、所定の軌跡で移動するロボットアームの先端に吸着具を取り付け、吸着具の下面に設けた吸着面を物品の表面に接触した状態で吸引することで吸着面に物品を吸着する。そして吸着保持した状態のままロボットアームを動作させ、吸着具を所定領域に移動し、吸引を停止することで吸着を解除し物品を所定領域に移し替えるように構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、吸着する物品が、筒状の胴部を有するチューブ容器の場合、以下に示す課題を有する。チューブ容器は、胴部の一端に内容物を吐出するための突出部を有し、胴部の他端は閉塞する封止部位を有するものがある。そして胴部の周面は曲面状の部分を備え、周方向に転がり可能な形状なものがある。チューブ容器は、元々不安定な形状で、水平な姿勢を維持しづらく、例えば胴部が周方向に所定角度転がると、封止部位が搬送面に対して斜めに対向することがある。そして、胴部の形状が、例えば楕円形状など断面が真円でないものの場合、胴部の転がる角度により吸着面に対向する胴部の表面が変化する。
【0005】
このように、吸着具の吸着面に対向する胴部の表面形状が都度変わると、吸着具で吸引する際に吸着面の全周囲を胴部の表面にしっかり密着させることができず、ピックアップできずに取りこぼすおそれがある。
【0006】
また、封止部位の長手方向が搬送面に対して平行であっても、チューブ容器の重量バランス等から、例えば封止部位が持ち上がり吐出部が下側に位置するなど軸方向に傾斜姿勢になると、吸着保持がうまくできないことがある。また、仮に吸着保持できたとしても、ピックアップしたチューブ容器の姿勢が一定でないと、安定した姿勢で移し替えられない場合がある。
【0007】
特にチューブ容器の寸法形状が小さいと、胴部の周方向の曲率が大きく、転がりやすくなり、また、全体的に曲面部分となると吸着面が胴部に密着できなくなるおそれが高くなり、上記の問題がより顕著に生じる。
【0008】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のロボット供給装置は、(1)第1搬送手段上を搬送されるチューブ容器をピックアップし、そのピックアップした前記チューブ容器を第2搬送手段上に供給するロボット供給装置であって、前記チューブ容器は、内容物が充填され得る胴部の一端側にその内容物を外部に吐出するための吐出部を有し、前記胴部の他端側には閉塞された平坦状の封止部位を有し、前記胴部は周方向に湾曲する曲面部位を有し、前記チューブ容器は、前記第1搬送手段上で前記周方向に回転した姿勢で搬送され得るものであり、前記胴部を吸引する吸盤部と、前記封止部位に接触して前記第1搬送手段の搬送面に対する前記封止部位の姿勢を一定にする製品位置決めガイドと、前記吸盤部と前記製品位置決めガイドを一体的に移動するロボットアームを備えるように構成した。
【0010】
このようにすると、ロボットアームの動作により、第1搬送手段で搬送される所定のチューブ容器の上方に吸盤部及び製品位置決めガイドを位置させるとともに、下降移動させる。このとき、製品位置決めガイドの下端面は、封止部位の上方に位置させ、吸盤部は胴部の上に位置させる。すると、製品位置決めガイドの下降によりその下端面が例えば封止部位と面接触し、封止部位の位置・姿勢ひいてはチューブ容器の姿勢が製品位置決めガイドの下端面の位置に基づき位置決めされる。よって、例えば、製品位置決めガイドの下端面が停止する下降位置を毎回第1搬送手段の搬送面から一定にすると、各チューブ容器も同じ姿勢で封止部位も同じ位置一定の位置になる。そして、このように位置決めされた状態で、吸盤部は胴部に接触し、吸着保持する。
【0011】
そして、例えば、チューブ容器が第1搬送装手段上で周方向に回転した姿勢で搬送されると、封止部位も第1搬送手段の搬送面に対して適宜の角度で傾斜し、幅方向で一方側が上にあり、他方側が下にある状態となる。このような場合、製品位置決めガイドの下端面は、まず上に位置する封止部位の一方側に接触し、そのまま下端面が下降移動するにつれて封止部位の一方側は下降し、それに伴い他方側が上昇し、最終的に封止部位は下端面に沿うように位置決めされる。また、例えば第1搬送装置上を移動するチューブ容器の転がり角度が一定でない場合であっても、製品位置決めガイドの下降移動に伴い、所望の姿勢に位置決めされる。
【0012】
よって、ロボット供給装置は、同じ姿勢のチューブ容器の胴部を吸盤部で吸着するため、長期にわたって安定して吸着保持してピックアップし、第2搬送手段に移し替えることができる。
【0013】
(2)前記チューブ容器は、前記第1搬送手段の搬送面に置かれた状態で前記封止部位側が前記吐出部側よりも上方に位置する姿勢になり、前記製品位置決めガイドの前記封止部位に接触可能な下端面は、前記胴部を吸着保持するための前記吸盤部の下端開口部よりも下方に突出する状態で前記ロボットアームに取り付けられるようにするとよい。
【0014】
このようにすると、製品位置決めガイドの下端面にて封止部位を下方に押し下げることで、吐出部側を上昇させた姿勢で吸盤部を胴部に接触させて吸着保持できる。例えば、封止部位が胴部の厚さ方向の中央に設けられている場合、第1搬送手段の搬送面に置かれたチューブ容器は、胴部は封止部位側が高くなる傾斜姿勢にあるが、製品位置決めガイドによりその傾斜姿勢を緩やかにすることができる。さらに、製品位置決めガイドの下端面と、吸盤部の下端開口部の高さ方向のズレ量を、胴部の厚さの半分程度にすると、チューブ容器を搬送面に対して概略平行な姿勢にすることができる。
【0015】
(3)前記製品位置決めガイドは、前記ロボットアームに回転可能に取り付けられ、その製品位置決めガイドの下端面が前記吸盤部の周りで回転可能に構成されるようにするとよい。このようにすると、例えばチューブ容器の向きに合わせて製品位置決めガイドの下端面を、チューブ容器の封止部位に容易に正対させたり、ピックアップしたチューブ容器の向きを変えたりすることができる。
【0016】
(4)前記製品位置決めガイドの下端面が前記チューブ容器の前記封止部位を下方に付勢するとともに、前記吸盤部の下端開口部が前記チューブ容器の前記胴部に接触した状態では、前記チューブ容器の中心軸が前記第1搬送手段の搬送面と平行になるように構成するとよい。このようにすると、チューブ容器を搬送面に対して平行な状態にすることで、吸盤部にてより確実に吸着保持することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ピックアップする際の第1搬送手段上のチューブ容器の姿勢を同じようにすることができる。その結果、長期に亘り、安定して吸盤部にて吸着保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るロボット供給装置が実装される搬送システムの一例を示す斜視図(その1)である。
【
図6】そのロボット供給装置の要部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0020】
図1から
図6は、本発明に係るロボット供給装置の一実施形態が実装された搬送システムの一部を示している。この搬送システムは、チューブ容器1(
図7等参照)を搬送する第1搬送装置11と、第1搬送装置11の一方の側縁に沿って配置される第2搬送装置12と、第1搬送装置11上のチューブ容器1をピックアップして第2搬送装置12にロボット供給装置20等を備える。さらに図示省略するが、第2搬送装置12の下流側には、チューブ容器1を包装する包装機本体等を配置する。
【0021】
図7に示すように、チューブ容器1は、例えば樹脂などから形成され、その形状は、筒状の胴部2と、その胴部2の両端開口部位の一端に設けられる細径のノズル部3と、胴部2の他端に形成されるシール部位4と、ノズル部3に取り付けられて閉塞するキャップ部5等を備える。胴部2は、略楕円の断面形状を有し、周方向に転がりやすい形状となる。シール部位4は、筒状の胴部2を挟み込んで加圧すると共に加熱することで胴部2の内面同士がシールされて略平坦な帯板状に形成される。平坦なシール部位4は、胴部2の楕円形状の長径と平行になるように形成される。また、胴部2の一端側は徐々に径が縮小され、ノズル部3に繋がる。ノズル部3の両端は開口されており、キャップ部5を外した状態で胴部2を押すと、胴部2に充填された内容物がノズル部3の先端より吐出される。
【0022】
第1搬送装置11は、ベルトコンベアから構成され、その第1搬送装置11の上方に露出した状態で回転移動するエンドレスベルト13のベルト面131が搬送面となる。この第1搬送装置11の上流側に横に並列する3列の搬送路を有するシュートガイド部15が配置される。
【0023】
さらにこのシュートガイド部15の上流側には、図示省略するが、さらにチューブ容器1を搬送するコンベアからなる搬送経路が設けられる。そしてこの搬送経路は、例えばチューブ容器1の胴部2内に内容物を充填しキャップ部5を装着する充填供給装置の搬出経路や、第1搬送装置11の下流側に配置される迂回経路等が繋がっており、例えば充填供給装置から搬出される新規なチューブ容器1は、そのままシュートガイド部15のいずれかの経路を滑り降りて第1搬送装置11の搬送面に落下供給される。また、第1搬送装置11上を移動中のチューブ容器1のうち、ロボット供給装置20にてピックアップされなかったチューブ容器1は、一旦第1搬送装置11から搬出され、迂回経路を移動してシュートガイド部15に至り、そのシュートガイド部15のいずれかの経路を滑り降りて第1搬送装置11の搬送面に落下供給される。さらに、シュートガイド部15の上流側の搬送経路上のチューブ容器1は、例えばキャップ部5が後側に位置するなど、向きが揃えられた状態で移動し、シュートガイド部15に進入する際には、シール部位4側から進入するように構成する。これは、例えば、搬送経路上も適宜の仕切りを配置して、3列の経路を設けるとともに、充填供給装置から搬出されるチューブ容器1を搬送経路に供給する際に、前後の向きを揃えて(例えばキャップ部5が後)行うとよい。
【0024】
また、第1搬送装置11のエンドレスベルト13のベルト面131の上流側の上方には、シュートガイド部15の搬出端に近接し、搬送方向に延びるように複数のガイド板状部14が配置される。この複数のガイド板状部14は、搬送方向に対して直交する横方向に所定間隔をおいて配置され、各ガイド板状部14は、ベルト面131に対して垂直方向に起立するとともに搬送方向に沿って延びるように配置される。さらに各ガイド板状部14は、シュートガイド部15の3列の搬送路を仕切るガイド壁の延長線上に配置する。これにより、シュートガイド部15の各列の搬送路を落下して第1搬送装置11のエンドレスベルト13上に落下供給された個々のチューブ容器1は、対応する横方向に隣接する所定のガイド板状部14間に至り、その左右のガイド板状部14でキャップ部5が後ろに位置する姿勢を維持しながらベルト面131からの搬送力を受けて前進移動する。これにより、チューブ容器1は、シュートガイド部15から落下供給されても、キャップ部5の向きが変わるほど大きく姿勢が変わることなく、第1搬送装置11によって搬送される。すなわち、チューブ容器1は、第1搬送装置11上を、キャップ部5が後ろに位置する姿勢で、3列で搬送される。さらに本実施形態では、各チューブ容器1の前後の間隔はランダムにばらけた状態となる。
【0025】
また、第1搬送装置11のエンドレスベルト13のベルト面131の上に載った各チューブ容器1は、そのベルト面131の回転移動にともない前進移動する。このとき、各チューブ容器1は、胴部2の所定部位とキャップ部5がベルト面131に接し、シール部位4が持ち上がった後方傾斜状の姿勢で搬送される。また、胴部2は軸方向に対する直交方向の断面が楕円形状となっていることから、ノズル部3並びに胴部2の中心線を中心に周方向に回転することがある。係る場合、シール部位4は、ベルト面131の幅方向に対して角度θで傾斜した姿勢となる。
【0026】
第2搬送装置12は、例えばフィンガー付のプレートコンベアから構成され、チューブ容器1を、横向きの姿勢で、所定ピッチで搬送する。第2搬送装置12は、横長な平面矩形状の多数のプレート16を前後に無端状に配置して搬送路が構成される。所定のプレート16の上面には、フィンガー部17を取り付ける。フィンガー部17は、搬送方向に沿って等ピッチで配置される。プレート16は、エンドレスチェーン等の動力伝達機構に連結され、駆動モータの回転出力に追従して回転するエンドレスチェーンと一体になって回転移動し、プレート16上に置かれたチューブ容器1を搬送する。本実施形態では、第2搬送装置12のプレート16の回転移動方向は、第1搬送装置11のエンドレスベルト13の回転移動方向と逆向きにしている。
【0027】
フィンガー部17は、搬送方向に対する左右方向の一端側、例えば、左端側に前方に突出する凸部171を備える。この凸部171は、第2搬送装置12上に移し替えられたチューブ容器1のノズル部3或いはキャップ部5をガイドするためのものである。すなわち後述するようにロボット供給装置20がチューブ容器1を第2搬送装置12上に移し替える際に、チューブ容器1のノズル部3等が凸部171に接触し、胴部2がフィンガー部17の凸部171の未形成の部位に接触するように行うことで、チューブ容器1がガイドされ、チューブ容器1が横向きの安定した姿勢で第2搬送装置12にて搬送される。
【0028】
さらに、第2搬送装置12は、搬送路の左右両側に第1サイドガイド部18と第2サイドガイド部19を備え、搬送中のチューブ容器1の横方向の移動を抑制する。第1サイドガイド部18は、搬送方向の左側に配置されるもので、板状の下側ガイド部材181と、その下側ガイド部材181の上に配置される板状の上側ガイド部材182を有する。そして、下側ガイド部材181の側縁は、フィンガー部17の凸部171の近傍に配置し、上側ガイド部材182の側縁は、下側ガイド部材181の側縁よりも一段奥側(搬送路から離れた側)に位置させる。これにより、下側ガイド部材181の側縁側の上面が露出する。さらに、下側ガイド部材181の高さは、チューブ容器1がプレート16の上に置かれた状態におけるキャップ部5の搬送面からの高さ搬送面からの高さに対応した設定にしている。これにより、プレート16の上に横向きで置かれたチューブ容器1は、上述したようにノズル部3がフィンガー部17の凸部171に接してガイドされるが、そのノズル部3の先端に取り付けられたキャップ部5は凸部171よりも更に横方向の外側に突出し、露出した下側ガイド部材181の上面に接してガイドされる。
【0029】
また、第2サイドガイド部19は、搬送方向の右側に配置されるもので、プレート16の搬送面の上方所定位置に搬送面に沿って延びるように起立した側壁部位を有し、プレート16の上に横向きで置かれたチューブ容器1のシール部位4が接触或いは近接し、チューブ容器1の横方向の位置を規制するように構成する。
【0030】
よって、チューブ容器1は、その胴部2がプレート16で下から支持され、キャップ部5が下側ガイド部材181で下から支持されるとともに、搬送方向の後方側では、胴部2及びノズル部3がフィンガー部17によりガイドされた状態で安定して搬送される。
【0031】
ロボット供給装置20は、本形態では搬送方向に沿って2個設けている。個々のロボット供給装置20は、パラレルリンクロボットから構成し、3本のロボットアーム21の下方の先端は、それぞれ連結プレート22に連結される。この連結プレート22には、回転機構部23が取り付けられており、その回転機構部23の下端面に吸着具25及び製品位置決めガイド30を取り付ける。回転機構部23は、モータが内蔵されており、連結プレート22に対して垂直する方向に回転軸を有する。
【0032】
吸着具25は、吸引する空気の経路を有する本体26と、その本体26の下端に取り付けられる吸盤部27等を備える。本体26は、所定の配管を介して図外のポンプに接続され、吸盤部27の下端開口部271から吸引する機能を備える。吸盤部27は、連結プレート22に対して直交するように垂下するように配置される。これにより、例えばロボットアーム21の動作により、連結プレート22が第1搬送装置11並びに第2搬送装置12の搬送面に対して平行な姿勢を維持しながら移動すると、吸盤部27は、その搬送面に対して直交する方向に延びるような姿勢となり、その姿勢のまま昇降することで、搬送面に対してまっすぐに接近離反する。
【0033】
また吸盤部27は、伸縮可能な蛇腹状からなり、樹脂やゴムなどの可撓性のある材料から構成される。例えば吸盤部27がチューブ容器1に接触した状態で更にロボットアーム21の動作により吸着具25が下降移動すると、蛇腹部分が縮み吸盤部27の下端開口部271がチューブ容器1の曲面状の胴部2の周面に沿って変形しながら全周囲が胴部2に密着し下端開口部271が閉塞する。
【0034】
製品位置決めガイド30は、縦断面形状が略L字型状となり、吸盤部27から所定距離をおいて下方に垂下する側壁部31を有する。側壁部31は、連結プレート22に対して直交するように形成され、その側壁部31の下端面311は、連結プレート22と平行になるように形成される。これにより、上述した吸盤部27の動きに伴う姿勢と同様に、例えばロボットアーム21の動作により、連結プレート22が第1搬送装置11並びに第2搬送装置12の搬送面に対して平行な姿勢を維持しながら移動すると、側壁部31の下端面311は、その搬送面に対して平行な状態となり、その平行な状態のまま昇降することで、搬送面に対してまっすぐに接近離反する。
【0035】
さらに製品位置決めガイド30の側壁部31の下端面311は、吸盤部27の下端開口部271よりも所定の長さ分だけ下方に位置するように形成する。所定の長さは、例えば、チューブ容器1の楕円形状の胴部2の短径の約半分とするとよい。
【0036】
さらに、吸着具25及び製品位置決めガイド30は、回転機構部23に連結されて一体に回転する。吸着具25の本体26並びに吸盤部27の中心軸は、回転機構部23による回転中心と一致させる。よって、製品位置決めガイド30の側壁部31は、吸盤部27の周りを回転移動する。
【0037】
さらにまた、ロボットアーム21の動作に伴い、吸着具25及び製品位置決めガイド30は、第1搬送装置11及び第2搬送装置12の上方空間を移動可能となり、各位置にて昇降移動可能となる。更に回転機構部23の動作に伴い、製品位置決めガイド30は、吸盤部27の周りを回転移動する。
【0038】
また、図示省略するが、第1搬送装置11の搬送面を撮影するカメラ装置を備える。そして、ロボット供給装置20或いはシステム全体等の制御装置は、そのカメラ装置の出力映像に基づき、第1搬送装置11にて搬送される各チューブ容器1の存在位置、及びチューブ容器1の向きを認識する機能を備える。これにより、制御装置は、第1搬送装置11上の任意のチューブ容器1の上方に吸着具25や製品位置決めガイド30を位置させるように制御する。また、その制御装置は、第2搬送装置12の動作も制御或いはフィンガー部17の位置情報等の情報を取得し、第2搬送装置12上の所望位置、例えば、フィンガー部17の搬送方向の直前方等の上方に吸着具25や製品位置決めガイド30を位置させるように制御する。
【0039】
上述した構成のロボット供給装置20は、制御装置による指令に基づき、例えば以下に示すような動作を行うことで、第1搬送装置11上を搬送されるチューブ容器1をピックアップするとともに、そのピックアップしたチューブ容器1を第2搬送装置12の所定位置に供給する。
【0040】
まず、ロボットアーム21を動作させ、吸着具25及び製品位置決めガイド30を第1搬送装置11のエンドレスベルト13のベルト面131上の所定のチューブ容器1の上方に位置させる(
図8(a)参照)。また、適宜のタイミングで回転機構部23を動作させ、側壁部31が吸盤部27を基準にしてチューブ容器1のシール部位4に沿うように位置させる。
【0041】
そして、エンドレスベルト13の移動に合わせて側壁部31の下端面311が、チューブ容器1のシール部位4の上方に位置する状態で吸着具25及び製品位置決めガイド30を下降移動させる(
図8(b)参照)。すると、チューブ容器1は、胴部2とキャップ部5がベルト面131に接し、シール部位4が上に持ち上がった傾斜姿勢にあるため、吸盤部27よりも先に製品位置決めガイド30の側壁部31の下端面311が、チューブ容器1のシール部位4に接触する。ロボットアーム21の動作により、吸着具25及び製品位置決めガイド30をその状態のままさらに真っ直ぐに下降移動する。すると、側壁部31の下端面311が、チューブ容器1のシール部位4を下方に付勢して押し下げる(
図8(c)参照)。これに伴い、チューブ容器1は、ノズル部3及びキャップ部5が上に持ち上がるように姿勢を遷移し、シール部位4がベルト面131と平行、すなわち、シール部位4、胴部2,ノズル部3及びキャップ部5が水平になった状態で、吸盤部27の下端面が胴部2に接触・密着してその下端開口部271が閉塞する。すると、吸盤部27は、胴部2を吸引して吸着保持し、その状態のまま吸着具25を上昇移動することで、吸着具25はチューブ容器1を吸着保持してピックアップする。また、このとき、シール部位4は、側壁部31の下端面311に接触した状態のままとなる。
【0042】
このように、チューブ容器1を吸着保持する際には、チューブ容器1は水平になるため、吸盤部27が同じ姿勢のチューブ容器1の胴部2に接触するので、長期間にわたり吸盤部27の下端開口部271は胴部2の表面に密着することができ、空気の漏れなどなく、確実に吸着保持できる。
【0043】
次いで、ロボットアーム21の動作により、吸着具25及び製品位置決めガイド30が第2搬送装置12の上方所定位置に至る。また、上方所定位置に至った際或いはそれまでの移動中の適宜のタイミングで、回転機構部23が駆動し、吸着具25及び製品位置決めガイド30を回転させ、チューブ容器1を第2搬送装置12の搬送方向に対して横向きにし、さらに、側壁部31が第2搬送装置12の搬送方向の右側に来るように制御する。そして、第2搬送装置12の移動に合わせて吸着具25等が下降移動し、そこで吸引を解除してチューブ容器1を離反させ、横向きの姿勢のチューブ容器1を、フィンガー部17の直前方のプレート16の上に移し替え供給する。その移し替えられたチューブ容器1は、以後、第2搬送装置12からの搬送力を受けて前進移動する。
【0044】
また、例えば第1搬送装置11上のチューブ容器1が転がり、シール部位4がベルト面131の横方向(搬送方向に対する直交方向)に対して傾斜している場合(
図9(a)参照)、シール部位4の左右のいずれか一方が上に位置しているため、その上に位置している側が製品位置決めガイド30の側壁部31の下端面311に最初に接触する(
図9(b)参照)。そして、そのまま側壁部31が下降移動すると、シール部位4を横方向で見た場合、最初に側壁部31の下端面311に接触した端部は徐々に下降し、それに伴い反対側の端部は持ち上がり、最終的にシール部位4ひいてはチューブ容器1は、ベルト面131に対して水平になる(
図9(c)参照)。よって、上述したように、同じ姿勢のチューブ容器1の胴部2に吸盤部27を接触させることができ、確実に吸着保持できる。
【0045】
上述した実施形態では、第1搬送装置11上を移動するチューブ容器1は、前後方向に向きを揃えた姿勢で搬送されるが、本発明はこれに限ることはなく、例えば搬送走行に対して所定角度傾斜し、その傾斜角度がランダムになるものでも良く、任意の構成を採るとよい。但し、実施形態のように前後に並ぶとともに、前後の向きも揃った方が、ロボットアーム21の制御がしやすくてよい。
【0046】
上述した実施形態では、シール部位4が胴部2を閉塞する封止部位を構成するが、封止部位は、このように熱シールして閉塞するものに限ることはなく、例えばアルミ製チューブにおける胴部の他端を複数回巻く等して閉塞するものなど各種の構成のものを用いることができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、ロボット供給装置20は、パラレルリンクロボットを用いて構成したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、多関節ロボット、スカラーロボットなど各種のロボットを用いるとよい。
【0048】
製品位置決めガイド30は、シール部位と接触する側壁部31の下端面311の位置を吸盤部27の下端開口部271に対して上下方向に調節できる構造にしてもよい。例えば、側壁部31が、上方の天板部(吸着具25の本体26へ取り付ける部位)等に対して上下移動させる機構を介して接続する等して、側壁部31の下端面311の全体が吸盤部27の下端開口部271に対して相対的に上下するようにしてもよいし、一部の部位から上下するようにしてもよい。また、製品位置決めガイド30側が変位するのではなく、例えば吸盤部32を上下させて吸盤部32の下端面の位置を側壁部31の下端面311に対する高さを相対的に上下させるようにしてもよい。いずれの場合も、位置の調整後はその位置を固定し、ロボット供給装置の動作中は変動しないようにする。
【0049】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0050】
1 :チューブ容器
2 :胴部
3 :ノズル部
4 :シール部位
5 :キャップ部
11 :第1搬送装置
12 :第2搬送装置
13 :エンドレスベルト
131 :ベルト面
14 :ガイド板状部
15 :シュートガイド部
16 :プレート
17 :フィンガー部
171 :凸部
18 :第1サイドガイド部
181 :下側ガイド部材
182 :上側ガイド部材
19 :第2サイドガイド部
20 :ロボット供給装置
21 :ロボットアーム
22 :連結プレート
23 :回転機構部
25 :吸着具
26 :本体
27 :吸盤部
271 :下端開口部
30 :製品位置決めガイド
31 :側壁部
311 :下端面