(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】3Dプリンタ用プリントヘッド
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20240418BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240418BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240418BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/118
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2023099979
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2024-01-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523322612
【氏名又は名称】Todo Meta Composites合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】轟 章
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-516491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心にスクリュー中空孔及び外周にスクリューらせん溝を有するスクリューと、
中心にヒートブロック中空孔を有し、前記スクリューを収容するヒートブロックと、
中心にノズル中空孔を有し、前記ヒートブロックの先端部に設けられた同心二軸ノズルと、
前記スクリュー中空孔、前記ヒートブロック中空孔及び前記ノズル中心孔を通り前記同心二軸ノズルから所定量だけ突出したガイドパイプと
を具備し、
前記スクリューらせん溝は、前記ヒートブロック中空孔と前記ガイドパイプとの間隙及び前記同心二軸ノズルと前記ガイドパイプとの間隙に通じて
おり、
前記所定量d
h
は、
0<d
h
<(d
o
-d
i
)/2
但し、d
o
は前記同心二軸ノズルの内径、
d
i
は前記ガイドパイプの外径
である3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項2】
さらに、前記同心二軸ノズルの周辺を覆うように設けられたノズルキャップを具備する請求項1に記載の3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項3】
前記ヒートブロック及び前記ノズルキャップは同一熱伝導性金属よりなる請求項
2に記載の3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項4】
前記ガイドパイプを上方から下方へ長繊維フィラメントを通すようにし、
前記スクリューらせん溝、前記ヒートブロック中空孔と前記ガイドパイプとの間隙及び前記同心二軸ノズルと前記ガイドパイプとの間隙を上方から下方へ熱可塑性樹脂を通すようにした請求項1に記載の3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂は短繊維強化熱可塑性樹脂である請求項
4に記載の3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項6】
さらに、前記ヒートブロックの上方に前記スクリューらせん溝を囲むように設けられ、前記熱可塑性樹脂として樹脂ペレットを収容するためのホッパを具備する請求項
4に記載の3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項7】
さらに、前記ガイドパイプの先端に前記長繊維フィラメントの切断用溝を設けた請求項
4に記載の3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項8】
さらに、前記ガイドパイプの先端エッジは前記長繊維フィラメントの切断用の繊維切断機能を有する請求項
4に記載の3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項9】
前記ガイドパイプを複数個設けた請求項1に記載の3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項10】
前記各ガイドパイプの前記同心二軸ノズルから突出した前記所定量を相異ならせた請求項
9に記載の3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項11】
中心にスクリュー中空孔及び外周にスクリューらせん溝を有するスクリューと、
中心にヒートブロック中空孔を有し、前記スクリューを収容するヒートブロックと、
前記ヒートブロックの下方に前記スクリュー中空孔に通ずる長繊維用の第1のノズルと、
前記ヒートブロックの下方に前記スクリューらせん溝に通ずる熱可塑性樹脂又は短繊維強化熱可塑性樹脂用の第2のノズルと
を具備し、前記第1のノズルは前記第2のノズルより所定量だけ突出し
、
前記所定量d
h
は、
0<d
h
<(d
o
-d
i
)/2
但し、d
o
は前記第2のノズルの内径、
d
i
は前記第1のノズルの外径
である3Dプリンタ用プリントヘッド。
【請求項12】
中心に中空孔を有し、連続繊維又は連続繊維フィラメントを通すための第1の中空管と、
外周側に樹脂又は短繊維樹脂フィラメントを通すための少なくとも1つの第2の中空管と、
前記第1の中空管に接続された第1のヒートブロック中空孔及び前記第2の中空管に接続された第2のヒートブロック中空孔を有するヒートブロックと、
前記第1、第2のヒートブロック中空孔に通じたノズル中空孔を有し、前記ヒートブロックの先端部に設けられた同心二軸ノズルと、
前記第1の中空孔、前記ヒートブロック中空孔及び前記ノズル中心孔を通り前記同心二軸ノズルから所定量だけ突出したガイドパイプと
を具備し、
前記第2の中空管は、前記ヒートブロック中空孔と前記ガイドパイプとの間隙及び前記同心二軸ノズルと前記ガイドパイプとの間隙に通じて
おり、
前記所定量d
h
は、
0<d
h
<(d
o
-d
i
)/2
但し、d
o
は前記同心二軸ノズルの内径、
d
i
は前記ガイドパイプの外径
である3Dプリンタ用プリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3Dプリンタにおいてたとえば短繊維強化樹脂及び長繊維を射出するためのプリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
3Dプリンタ、射出成形等によって成形される熱可塑性樹脂構造体を繊維によって強化する方法として短繊維を利用するものと、長繊維(連続繊維)を利用するものがある(参照:特許文献1)。特に、炭素繊維強化樹脂(CFRP)は比剛性、比強度の点で金属に比較して優れている(参照:非特許文献1)。
【0003】
短繊維を強化材として用いると、短繊維の利点を活かした微細な成形が可能となるが、短繊維強化熱可塑性樹脂構造体の力学特性はそれ程大きくない。特に、導電性を必要とする場合、アスペクト比が小さい短炭素繊維はカーボンナノチューブに比較して導電性が低いか低体積含有率では導電性がなく、短炭素繊維強化熱可塑性樹脂構造体の導電性を確保できない。また、カーボンブラックに比較してコストが高い。
【0004】
他方、長繊維を強化材として用いると、力学特性は大きいが、複雑な形状の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体の成形は困難であり、端部では長繊維が折返されてその部分の強度が低下する。その対処方法としては、繊維切断装置を設けて、長繊維強化熱可塑性樹脂構造体を所定長さで切断する。
【0005】
図13は従来の3Dプリンタ用プリントヘッドを示す断面図である(参照:特許文献2)。
【0006】
図13において、プリントヘッドは、中心に中空孔101aを有し外周にらせん溝101bを有するスクリュー101と、スクリュー101を囲むスクリューカバー102と、スクリューカバー102の下部に設けられたヒータ103と、スクリューカバー102から突出したスクリュー101の下部先端を覆うように設けられたノズル104とによって構成されている。この場合、スクリュー101の先端とノズル104の先端とは一致している。スクリュー101は、ステッピングモータ105、小駆動輪106、伝動ベルト107及び大駆動輪108によって回転駆動される。また、109は繊維切断装置である。
【0007】
図13においては、長繊維フィラメントLCFがスクリュー101の中空孔101aに上方から送り込まれ、同時に熱可塑性樹脂フィラメント(ワイヤ)RFがスクリュー101の上方からスクリュー101のらせん溝101bに送り込まれる。この結果、熱可塑性樹脂フィラメントRFはスクリュー101の下部においてヒータ103によって加熱され、ノズル104のノズル先端領域(スクリュー先端領域でもある)Nにおいて、熱可塑性樹脂フィラメントRFの熱可塑性樹脂が長繊維フィラメントLCFの長繊維を包み込むようにして溶融接合する。このようにして、長繊維強化熱可塑性樹脂構造体SOが成形され、所定長さで繊維切断装置109によって切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2022-98042号公報
【文献】CN104149339A
【非特許文献】
【0009】
【文献】T.Gerngross, D. Nieberl, “Automated manufacturing of large, three-dimensional CFRP parts from dry textiles”, CEAS Aeronautical Journal, 7(2), 2016, 241-257.
【文献】Y. Imaeda, A. Todoroki, R. Matsuzaki,M. Ueda, Y. Hirano, Composites Part C: Open Access, 6, (2021), #100195.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、
図13の従来の3Dプリンタ用プリントヘッドにおいては、スクリュー101の先端とノズル104の先端とが一致しているので、長繊維フィラメントLCFの長繊維と熱可塑性樹脂Rとは、ノズル先端領域Nで溶融接合されることになる。この場合、ノズル104のノズル先端領域Nは未だ高温状態であるので、
図14に示すごとく、長繊維強化熱可塑性樹脂構造体SOがプリントヘッド110によって印刷されると、長繊維LCはノズル104の高温のノズル先端領域Nにおいて柔らかになると同時に、ノズル104によって配向方向に引っ張られると共に既に固化したパスにおける長繊維LCによって反配向方向に引っ張られる。従って、両方向に引っ張られた長繊維LCはノズル104のノズル先端領域Nにおいて反配向方向に曲がってしまい、長繊維LCは上側へ移動する。この結果、長繊維強化熱可塑性樹脂構造体SOに隙間(ボイド)Vが発生するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明に係る3Dプリンタ用プリントヘッドは、中心にスクリュー中空孔及び外周にスクリューらせん溝を有するスクリューと、中心にヒートブロック中空孔を有し、スクリューを収容するヒートブロックと、中心にノズル中空孔を有し、ヒートブロックの先端部に設けられた同心二軸ノズルと、スクリュー中空孔、ヒートブロック中空孔及びノズル中心孔を通り同心二軸ノズルから所定量だけ突出したガイドパイプとを具備し、スクリューらせん溝は、ヒートブロック中空孔とガイドパイプとの間隙及び同心二軸ノズルとガイドパイプとの間隙に通じており、
所定量d
h
は、
0<d
h
<(d
o
-d
i
)/2
但し、d
o
は同心二軸ノズルの内径、
d
i
はガイドパイプの外径
である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ボイドを減少させることできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る3Dプリンタ用プリントヘッドの第1の実施の形態を含む3Dプリンタを示す図である。
【
図2】
図1のプリントヘッドの詳細を示し、(A)は斜視図、(B)は一部切り欠いた断面図、(B’)は(B)の部分拡大断面図である。
【
図3】
図2のスクリューを示し、(A)は斜視図、(B)は一部切り欠いた断面図である。
【
図4】
図2のホッパを示し、(A)は斜視図、(B)は縦断面図、(C)は横断面図、(D)はホッパに投入される樹脂ペレットを示す。
【
図5】
図2のプリントヘッドの動作を説明するための図であって、(A)はプリントヘッドの下部断面図、(A’)は(A)の部分拡大断面図、(B)は成形された長繊維強化熱可塑性樹脂構造体(プリントパス)Sの断面図、(C)は(B)の1つのプリントパスの拡大断面図である。
【
図6】プリントヘッドの第1の比較例を説明するための図であって、(A)はプリントヘッドの第1の比較例としての下部断面図、(A’)は(A)の部分拡大断面図、(B)は成形された短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体(プリントパス)Sの1つのプリントパスの拡大断面図である。
【
図7】プリントヘッドの第2の比較例を説明するための図であって、(A)はプリントヘッドの第2の比較例としての下部断面図、(A’)は(A)の部分拡大断面図、(B)は成形された短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体(プリントパス)Sの1つのプリントパスの拡大断面図である。
【
図8】
図5、
図7のプリントヘッド上にプリントパスを印刷する様子を示し、(A)はプリントヘッドの移動方向を説明する斜視図、(B)はプリントヘッドの同心二軸ノズル、ガイドパイプのサイズを説明する図である。
【
図9】
図8のプリントヘッドの動作を説明するための図である。
【
図10】本発明に係る3Dプリンタ用プリントヘッドの第2の実施の形態を示し、(A)はプリントヘッドの下部断面図、(B)はノズルキャップの斜視図、(C)は装着されたノズルキャップの斜視図、(D)は(C)の一部切り欠いた断面図である。
【
図11】
図1の3Dプリンタ用プリントヘッドの繊維切断機能を説明するための図である。
【
図12】本発明に係る3Dプリンタ用プリントヘッドの第3の実施の形態を示す図である。
【
図13】従来の3Dプリンタ用プリントヘッドを示す断面図である。
【
図14】
図13のプリントヘッドの課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明に係るプリントヘッドの第1の実施の形態を含む3Dプリンタを示す図である。
【0015】
図1においては、プリントボディ1の下部に左右前後方向(XY方向)に移動可能なプリントベッド2を設け、プリントボディ1に対して左右前後上下方向(XYZ方向)に移動可能なプリントヘッド3を設け、プリントボディ1に対して左右前後方向(XY方向)に移動可能な長繊維フィラメントループ4を設ける。この場合、プリントヘッド3と長繊維フィラメントループ4とは連動する。長繊維フィラメントループ4には、糸状に成形された長繊維フィラメント4aが巻かれている。長繊維フィラメント4aとしては、炭素繊維、ガラス繊維等の長繊維に樹脂を複合化したもので、樹脂を含まない長繊維フィラメントよりも隣接パス間の接着性がよい。
【0016】
図1に示す3Dプリンタは熱溶解積層方式3Dプリンタであり、型が不要であり、複雑な形状を作れるので、部品数の削減、試作の簡易化、人件費の削減に役立つ。また、
図1に示す3Dプリンタは力学特性が優れた長繊維と材料選択制の幅の向上が期待できる樹脂ペレットの樹脂を同心状に射出可能な3Dプリンタである。
【0017】
図2は
図1のプリントヘッド3の詳細を示し、(A)は斜視図、(B)は一部切り欠いた断面図、(B’)は(B)の部分拡大断面図である。
【0018】
図2の(A)、(B)に示すように、プリントヘッド3は、中心に中空孔31aを有し、外周にらせん溝31bを有するスクリュー31と、スクリュー31の下部周囲に設けられたアルミ合金(A5052)製のヒートブロック32と、ヒートブロック32に備え付けられるヒータ33と、ヒートブロック32の上部のスクリュー31の周囲に設けられたA5052製のバレル34及びヒートシンク34aと、バレル34の上部のスクリュー31の周囲に設けられたホッパ35とによって構成される。Hはヒートブロック32によるヒート領域、Fはバレル34、ヒートシンク34aによるフィード領域である。
【0019】
スクリュー31の上部はステンレス製のケーシング36にベアリング37によって回転支持されている。スクリュー31はウォームホイール38aに固定され、ウォームホイール38aはウォーム38bを介してステッピングモータ39によって回転駆動される。ウォームホイール38a、ウォーム38bの減速比が大きい減速機構によりトルク増大を図っている。
【0020】
スクリュー31の先端のヒートブロック32の外部に真鍮製の同心二軸ノズル40が設けられる。
【0021】
スクリュー31の中空孔31a及び同心二軸ノズル40の中空孔40aには、長繊維フィラメント4aに由来する長繊維を通過させるための金属製のガイドパイプ41を設ける。ガイドパイプ41はスクリュー31の中空孔31aの内壁に密着するが、同心二軸ノズル40の中空孔40aの内壁には接触しない。しかも、ガイドパイプ41は同心二軸ノズル40から少しだけたとえば0.2mmだけ突出している。従って、長繊維はスクリュー31の中空孔31a内及び同心二軸ノズル40の中空孔40a内のガイドパイプ41内をヒートブロック32によって加熱されながら通過するのに対し、ホッパ35の樹脂ペレットに由来する短繊維強化可塑性樹脂(SCFRP)はスクリュー31のらせん溝31b及び同心二軸ノズル40内の中空孔40aの内壁及びガイドパイプ41に形成される通路40bをヒートブロック32によって加熱されながら通過する。この結果、樹脂ペレットに由来する短繊維強化可塑性樹脂(SCFRP)は長繊維をノズル先端領域Nより温度が少しだけ低下したガイドパイプ41のガイドパイプ先端領域Gにおいて包み込むようにして溶融接合する。このように、スクリュー31によって長繊維及び短繊維強化樹脂の供給が可能となると共に、同心二軸ノズル40によって長繊維及び短繊維強化樹脂の同心状の供給が可能となり、さらに、ガイドパイプ41の先端突出によってボイドVの低減が可能となる。
【0022】
図3は
図2のスクリュー31を示し、(A)は斜視図、(B)は一部切り欠いた断面図である。
【0023】
図3に示すように、金属製のスクリュー31の中空孔31aは金属製のガイドパイプ41を通すために1~2mmの直径を有する。スクリュー31のらせん溝31bは、ホッパ35に投入された樹脂ペレットPをヒート領域Hまで供給するために、溝深さ4~5mm、スクリューピッチ15~17mmを有し、圧縮比をつけない単純スクリューをなしている。
【0024】
図4は
図2のホッパ35を示し、(A)は斜視図、(B)は縦断面図、(C)は横断面図、(D)はホッパ35に投入される樹脂ペレットPを示す。
【0025】
図4の(A)、(B)、(C)に示すごとく、ホッパ35は、
図4の(D)に示す樹脂ペレットPを十分投入できるために、前方側をなだらかに後方側を鋭角にしている。尚、樹脂ペレットPはPAN系短炭素繊維、ピッチ系短炭素繊維のいずれを用いてもよい。フィラメントを用いない樹脂ペレットPはフィラメント形状成形が不要となり、従って、材料選択の幅が大きくなり、材料費用を低減できる。たとえば、樹脂ペレットPとして母材のPA6に約15%の短炭素繊維が複合されている3DXTech社製の短繊維強化樹脂ペレットCarbon Fiber Nylon6 Pelletsを用いる。尚、樹脂ペレットPの温度が230℃未満では、樹脂ペレットPに由来する樹脂の吐出量が著しく減少し、他方、樹脂ペレットPの温度が245℃を超えると、溶融樹脂量が増加して樹脂の吐出量の制御が困難となる。
【0026】
図5は
図2のプリントヘッドの動作を説明するための図であって、(A)はプリントヘッド3の下部断面図、(A’)は(A)の部分拡大断面図、(B)は成形された短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体(プリントパス)Sの断面図、(C)は(B)の1つのプリントパスの拡大断面図である。
【0027】
図5の(A)、(A’)に示すように、ガイドパイプ41はスクリュー31の中空孔31a及び内径2.5mmの同心二軸ノズル40の中空孔40aを通過し、同心二軸ノズル40の先端より所定量たとえば0.2mm程度突出している。この所定量は後述するように、正の値でその最大値は後述の溝GVが埋め戻される値で決定される。従って、ノズル先端領域Nではなくガイドパイプ先端領域Gにおいて、長繊維フィラメント4aの長繊維LCに樹脂ペレットPの短繊維強化熱可塑性樹脂SCが含侵する。この場合、ガイドパイプ先端領域Gの温度はノズル先端領域Nの温度たとえば235℃より低いので、
図5の(B)に示すごとく、長繊維LCを短繊維強化樹脂SCFRPで包み込んだ状態で射出される。従って、
図5の(C)に示すごとく、プリント成形された短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体(プリントパス)Sにおける長繊維フィラメント4aの長繊維LCの曲がりは小さくなり、長繊維LCは中間位置に位置する。この結果、長繊維LCと短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPとの間及び短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRP内部にボイドVはほとんど発生しない。
【0028】
図6は
図2のプリントヘッドの第1の比較例を説明するための図であって、(A)はプリントヘッドの第1の比較例としての下部断面図、(A’)は(A)の部分拡大断面図、(B)は成形された短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体(プリントパス)Sの1つのプリントパスの拡大断面図である。
【0029】
図6の(A)、(A’)においては、ガイドパイプ41の先端位置が同心二軸ノズル40の先端位置より1mm程度内側に位置する。従って、ガイドパイプ先端領域Gは同心二軸ノズル40内に位置する。この結果、やはり、ノズル先端領域Nではなくガイドパイプ先端領域Gにおいて、長繊維フィラメント4aの長繊維LCに樹脂ペレットPの短繊維強化熱可塑性樹脂SCが含侵する。
【0030】
図6の(A)、(A’)の場合、ガイドパイプ先端領域Gの温度はノズル先端領域Nの温度たとえば235℃より高いので、
図6の(B)に示すごとく、長繊維LCの下側のみを短繊維強化樹脂SCFRPで包み込んだ状態で射出される。従って、プリント成形された短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体(プリントパス)Sにおける長繊維フィラメント4aの長繊維LCの曲がりは大きくなり、長繊維LCは上方位置に位置する。この結果、長繊維LCと短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPとの間及び短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRP内部に大きなボイドVは発生する。
【0031】
図7は
図2のプリントヘッドの第2の比較例を説明するための図であって、(A)はプリントヘッドの第2の比較例としての下部断面図、(A’)は(A)の部分拡大断面図、(B)は成形された短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体(プリントパス)Sの1つのプリントパスの拡大断面図である。
【0032】
図7の(A)においては、ガイドパイプ41の先端位置が同心二軸ノズル40の先端位置より0.5mm程度外側に位置する。従って、ガイドパイプ先端領域Gは同心二軸ノズル40の先端よりさらに遠方に位置する。つまり、積層ピッチ0.6mmの半分以上になるようにした。この結果、やはり、ノズル先端領域Nではなくガイドパイプ先端領域Gにおいて、長繊維フィラメント4aの長繊維LCに樹脂ペレットPの短繊維強化熱可塑性樹脂SCが含侵する。
【0033】
図7の(A)、(A’)の場合、ガイドパイプ先端領域Gの温度はノズル先端領域Nの温度たとえば235℃よりさらに低いので、
図7の(B)に示すごとく、長繊維LCの上側のみを短繊維強化樹脂SCFRPで包み込んだ状態で射出される。従って、プリント成形された短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体(プリントパス)Sにおける長繊維フィラメント4aの長繊維LCの曲がりはさらに小さくなり、長繊維LCは下方位置に位置する。この結果、短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRP内部にボイドV又及び溝GVが発生する。
【0034】
図7の(B)におけるプリントパスの溝GVについて詳細に説明する。
【0035】
図8は
図5、
図7のプリントベッド2上にプリントパスSを印刷する様子を示し、(A)はプリントヘッド3の移動方向を説明する斜視図、(B)はプリントヘッド3のサイズを説明する図である。
【0036】
図8の(A)に示すごとく、プリントヘッド3が移動方向Mに移動すると、プリントパスSには溝GVが形成され、この場合、溝GVの寸法は
図8の(B)に示すガイドパイプ41の幅d
iとなる。
【0037】
図8の(A)の上から見た図を模式的に
図9の(A)に示す。
図9の(A)の二重円は同心二軸ノズル40を表している。
図8の(A)のプリントベッド2の上から見て(
図8の(A)のZ軸の上から見る)、同心二軸ノズル40はA
1-A
2直線状を右に動くとする。同心二軸ノズル40の内径をd
o、ガイドパイプ41の外径をd
iとする。
図9の(A)において、実線二重丸が時刻t
0における同心二軸ノズル40のノズル位置である(中心位置a
0)。
【0038】
同心二軸ノズル40が距離L=(d
o+d
i)/2だけ左に進んだ時刻t
1(t
1>t
0)のノズル位置を破線二重丸で示す(中心位置a
3)。簡単のためにA
1-A
2の線上だけを考える。時刻t
0の時(中心位置a
0)にガイドパイプ41の右端の位置a
1の右側で射出された溶融樹脂は、ガイドパイプ41が右に移動することで同心二軸ノズル40の先端からのガイドパイプ41の突出量d
hの深さの溝GVができる。このとき、
図8の(B)に示すごとく、溝GVの幅はガイドパイプ41の直径d
iとなる。このように、同心二軸ノズル40の先端からd
hだけ突出したガイドパイプ41によって、a
1からa
2の間の
図9の(A)の実線の同心二軸ノズル40から射出される短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPは深さd
hだけ削られる。
【0039】
ガイドパイプ41から射出される長繊維LCは、このd
hよりも低い位置で周囲の短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPと融合する(
図8の(B)参照)。従って、ガイドパイプ41による溝GVの深さは長繊維LCに無関係にd
hとなる。この溝GVは、樹脂流動を考えない場合には、ガイドパイプ41が右に移動する際の同心二軸ノズル40からの短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPの射出(
図9の(A)のA
1-A
2線上でのa
1-a
2間の短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPの射出)によって埋め戻される。粒子法を用いたImaedaらの短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPの3Dプリントの解析(参照:非特許文献2)では、ガイドパイプ41のノズル淵と接触していない部分の射出された短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPはすぐに凝固している。ガイドパイプ41によってできた溝GVは、同心二軸ノズル40が移動すると、同心二軸ノズル40から溶融した短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPが供給されない限り、再溶融はなく、溶融による樹脂移動は微小であると考えられる。
【0040】
簡単のために同心二軸ノズル40から射出される単位面積,単位時間当たりの射出体積を均一としてW(mm/s)、ノズル移動速度をV(mm/s)とする(一般的にW=V)。図
9の(A)に示すように、A
1-A
2線上では、ガイドパイプ41の右端がa
1の位置に達したときから、パイプ移動による溝GVが作成され、ガイドパイプ41の左端がa
2の位置に達した時に、a
1の位置での同心二軸ノズル40による溝埋め戻しが終了する。ノズル移動距離はL=(d
o+d
i)/2であるので、ノズルの中心位置がa
0からa
3までの時間ΔtはΔt=L/Vで与えられる。ただし、同心二軸ノズル40の左端部がa
1の位置を通り過ぎるまでの時間は、ガイドパイプ41による溝GVの形成に使用されるので、この移動時間は溝埋め戻しには使用されない。これを
図9の(B)に示す。
図9の(B)の破線で示す位置まではa
1の位置にガイドパイプ41が通過しているために溝埋め戻しには使われない。この時のノズル中心は、ガイドパイプ41の半径の2倍(パイプ直径)だけ中心がa
0から右にずれた位置にある。従って、ノズルの移動距離Lから、ガイドパイプ41の直径だけの移動する時間を引く必要があり、実際の埋め戻し時間であるΔt
TはΔt
T =(L-d
i)/V=(d
o-d
i)/(2V)となる。
【0041】
上述のΔt
Tの時間で単位面積当たりに射出される短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPの体積はΔt
TWである。従って、ガイドパイプ41によってできた溝GVの部分に射出される単位面積当たりの短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPの高さはΔt
TWとなる。これが、ガイドパイプ41によってできた溝GVの深さよりも大きければ溝GVは埋められる。ガイドパイプ41によってできた溝GVの深さは、
図9の(B)から、d
hである。従って、パイプの設置条件として次式が得られる。
Δt
TW>d
h (1)
実験では、射出速度W=V=100(mm/min)(1.67(mm/s)) であるので、式(1)は次式(2)となる。
(d
o-d
i)/2>d
h (2)
同心二軸ノズル40の内径は2.5(mm)であり、ガイドパイプ41の外径は1.2(mm)である。これらを式(2)に代入すると、以下の条件が得られる。
0.65(mm) > d
h (3)
図5では、d
h=0.2(mm)であり、式(3)を十分に満足している。
図7では、d
h=0.5(mm)であり、式(3)を満足しているが、溝GVが埋められていない。
d
hが深いと、短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPが押しのけられる抗力によってガイドパイプ41に曲げ弾性変形が生じたためと考えられる。
図9の(C)にこれを模式的に示す。短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRPを押しのける抗力によって、ガイドパイプ41がノズル進行方向(右)とは逆に左に曲げ変形する。この曲げ変形をd
bとする。このd
bの分だけ埋め戻し開始時刻が遅れ、ノズル移動速度は変わらないために埋め戻し終了時刻はかわらないから、埋め戻しに使用可能な時間が少なくなる。
【0042】
図7の(C)の断面を見ると、溝GVのすぐ下に長繊維LCが観察され、全く埋め戻しされていないことがわかる。これは、
図9の(C)においてガイドパイプ41が同心二軸ノズル40の左端に接触しているためと推察される。
【0043】
図10は本発明に係る3Dプリンタ用プリントヘッドの第2の実施の形態を示し、(A)はプリントヘッドの下部断面図、(B)はノズルキャップの斜視図、(C)は装着されたノズルキャップの斜視図、(D)は(C)の一部切り欠いた断面図である。
【0044】
図10の(A)においては、
図5の(A)の構成要素に対してノズルキャップ42を付加する。ノズルキャップ42は、
図10の(B)に示すように、同心二軸ノズル40を挿入するための孔41aを有する。従って、
図10の(A)、(C)、(D)に示すように、ノズルキャップ42は、同心二軸ノズル40を覆うように装着されることにより、同心二軸ノズル40の断面積を実質的に大きくし、同心二軸ノズル40から射出される短繊維強化樹脂SCFRPの冷却を防止する。従って、短繊維強化樹脂SCFRPの流動性を保持することができ、射出後の短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体S内に発生するボイドを低減できると共に、短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体S間の接着性も改善できる。尚、ノズルキャップ42の温度をプリントヘッド温度と同一とするために、ノズルキャップ42の材質はヒートブロック32の材質たとえばアルミ合金(A5052)と同一とする。
【0045】
尚、上述の第1、第2の実施の形態においては、長繊維を含む短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体S、特に、長繊維LCを切断する必要がある場合、繊維切断機能をガイドパイプ41に設ければよい。これについて、
図11を用いて説明する。
【0046】
たとえば、
図11の(A)に示すごとく、
図2のガイドパイプ41の代りに、溝付きガイドパイプ41aを設ける。長繊維LCの切断時には、溝付きガイドパイプ41aを手動にて回転させて長繊維LCを溝付きガイドパイプ41aの溝41a-1に固定する。ついで、同心二軸ノズル40又はプリントベッド2を高速に動かすことによって長繊維LCを衝撃力で切断する。他方、
図11の(B)に示すごとく、ガイドパイプ41の下端エッジを利用する。プリントベッド2の移動用モータ又はガイドパイプ41の移動用モータを高速移動可能にしておく、つまり、大型にしておく。あるいは、プリントベッド2を上下2段とし、上段だけを高速移動させるモータを設ける。又は、ガイドパイプ41は片持ち梁支持なので、小さな荷重で変位可能である。従って、ガイドパイプ押し出しユニット41bで長繊維LCを固定し、モータでプリントベッド2(あるいはその上段のみ)又はガイドパイプ41を移動させたり、ガイドパイプ41の上部を薄い板状のハンマでたたくことにより、ガイドパイプ41を移動させたりし、これにより、長繊維LCを切断する。このようにして、短繊維/長繊維競合強化熱可塑性樹脂構造体Sのガイドパイプ41の近傍温度が切断に適する温度となることを利用する。
【0047】
また、上述の実施の形態においては、スクリュー31の中空孔31aには、1本のガイドパイプ41又は溝付きガイドパイプ41aしか設けられていないが、スクリュー31の中空孔31aには複数のガイドパイプ41又は溝付きガイドパイプ41aを設けることもできる。この場合には、さらに、ガイドパイプ41又は溝付きガイドパイプ41aの突出量0.2mmを若干それぞれ相異ならせて長繊維LCをプリントパス内で分散させることもできる。
【0048】
さらに、上述の実施の形態においては、ガイドパイプ41はスクリュー31の中空孔31a、ヒートブロック中空孔32a及び同心二軸ノズル40の中空孔40aを通ずるように設けたが、ガイドパイプ41の代りに、ヒートブロック32の下方にスクリュー31の中空孔31aに通ずる長繊維用の第1のノズルを設けると共に、同心二軸ノズル40の代りに、ヒートブロック32の下方にスクリューらせん溝31bに通ずる熱可塑性樹脂又は短繊維強化熱可塑性樹脂SCFRP用の第2のノズルを設け、第1のノズルを第2のノズルより所定量突出させてもよい。この場合の所定量d
h
は、
0<d
h
<(d
o
-d
i
)/2
但し、d
o
は第2のノズルの内径、
d
i
は第1のノズルの外径
である。
【0049】
さらに、上述の第1、第2の実施の形態においては、スクリュー31を設けているが、スクリュー31を設けなくともよい。これを
図12を用いて説明する。
【0050】
図12は本発明に係る3Dプリンタ用プリントヘッドの第3の実施の形態を示す図である。
【0051】
図12に示すように、
図2、
図10のスクリュー31の代りに、連続繊維LC又は連続繊維フィラメントを通すための中空孔31aを有する中空管51及び樹脂又は短繊維樹脂フィラメントSCFRPを通すための中空孔52-1a、52-2a を有する中空管52-1、52-2を設ける。尚、中空管52-1、52-2の数は1つ又は3つ以上でもよい。ヒートブロック32は中空管51、52-1、52-2に接続されたヒートブロック中空孔32aを有する。同心二軸ノズル40はヒートブロック中空孔32aに通じたノズル中空孔40aを有する。ガイドパイプ41は中空孔51a、ヒートブロック中空孔32a、ノズル中空孔40aを通り、同心二軸ノズル40から所定量たとえば0.2mm突出している。中空管52-1、52-2はヒートブロック中空孔32aとガイドパイプ41との間隙及び同心二軸ノズル40とガイドパイプ41との間隙に通じている。
この場合も、所定量d
h
は、
0<d
h
<(d
o
-d
i
)/2
但し、d
o
は同心二軸ノズル40の内径、
d
i
はガイドパイプ41の外径
である。
【0052】
さらに、上述の実施の形態においては、炭素繊維を用いたが、他の繊維たとえばガラス繊維、ケプラー(登録商標)繊維、SiC繊維、アルミナ繊維等になし得る。
【0053】
さらにまた、熱可塑性樹脂としては、ナイロン(登録商標)以外に、他の樹脂たとえばポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、PLA、ABS、PC、PEI、PEEKになし得る。また、光硬化型樹脂ではノズル部分に四方から紫外線を当てる必要がある。
【0054】
さらにまた、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲のいかなる変更にも適用し得る。
【符号の説明】
【0055】
1:プリントボディ
2:プリントベッド
3:プリントヘッド
4:長繊維フィラメントループ
4a:長繊維フィラメント
31:スクリュー
31a:中空孔
31b:らせん溝
32:ヒートブロック(ヒート領域)
33:ヒータ
34:バレル(フィード領域)
34:ヒートシンク
35:ホッパ
36:ケーシング
37:ベアリング
38a:ウォームホイール
38b:ウォームギア
39:ステッピングモータ
SCFRP:短繊維強化可塑性樹脂
40:同心二軸ノズル
40a:中空孔
40b:通路
41:ガイドパイプ
41a:溝付きガイドパイプ
42:ノズルキャップ
42a:孔
51、52-1、52-2:中空管
N:ノズル先端領域
G:ガイドパイプ先端領域
SC:短繊維
SCFRP:短繊維強化可塑性樹脂
GV:溝
101:スクリュー
101a:中空孔
101b:らせん溝
102:スクリューカバー
103:ヒータ
104:ノズル
105:ステッピングモータ
106:小駆動輪
107:伝導ベルト
108:大駆動輪
109:繊維切断装置
LCF:長繊維フィラメント
LC:長繊維
RF:熱可塑性樹脂フィラメント
SO:長繊維強化熱可塑性樹脂構造体
N:ノズル先端領域(スクリュー先端領域)
【要約】
【課題】ボイドを減少できる3Dプリンタ用プリントヘッドを提供する。
【解決手段】プリントヘッド3は、中心に中空孔31aを有し、外周にらせん溝31bを有するスクリュー31と、スクリュー31の下部周囲に設けられたヒートブロック32と、ヒートブロック32の上部のスクリュー31の周囲に設けられたバレル34及びヒートシンク34aと、バレル34の上部のスクリュー31の周囲に設けられたホッパ35とによって構成される。スクリュー31の先端のヒートブロック32の外部に同心二軸ノズル40が設けられる。スクリュー31の中空孔31a及び同心二軸ノズル40の中空孔40aには長繊維を通過させるためのガイドパイプ41を設ける。ガイドパイプ41はスクリュー31の中空孔31aの内壁に密着するが、同心二軸ノズル40の中空孔40aの内壁には接触しない。ガイドパイプ41は同心二軸ノズル40からたとえば0.2mmだけ突出している。
【選択図】
図2