(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】チャットプログラム、チャットシステム及びチャット方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/527 20060101AFI20240418BHJP
H04L 51/02 20220101ALI20240418BHJP
【FI】
H04M3/527
H04L51/02
(21)【出願番号】P 2023141030
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2023-09-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523332091
【氏名又は名称】株式会社エーアイカウンセリング
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】河野 康由
【審査官】綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028783(JP,A)
【文献】国際公開第2022/072739(WO,A1)
【文献】特開2023-018360(JP,A)
【文献】特開2022-065729(JP,A)
【文献】特開2020-204971(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0020075(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0331689(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L51/00-51/58
67/00-67/75
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
G06F 3/16
G06Q10/00-40/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G10L15/00-17/26
G16Z99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
複数のチャットボット質問データを記録するステップ、
前記複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、
前記チャットボット質問データに基づくユーザーからの回答データを受信した場合であって、前記回答データに遷移データが含まれているとき、オペレーターに前記回答データを送信するステップ、
前記オペレーターからの遷移データを含む対応データを受信した場合、前記複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、を実行させるためのチャットプログラムであって、
前記チャットボット質問データは、対話シナリオ識別データ及び質問順番データを含んでおり、
前記オペレーターからの対応データに含まれる前記遷移データには、前記対話シナリオ識別データ及び前記質問順番データが含まれるチャットプログラム。
【請求項2】
前記チャットボット質問データに基づくユーザーからの回答データを受信した場合であって、前記回答データに遷移データが含まれていないとき、前記複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択して前記ユーザーに送信するステップ、を実行する請求項1記載のチャットプログラム。
【請求項3】
前記オペレーターからの対応データを受信した場合であって、前記対応データに遷移データが含まれていないとき、前記オペレーターからの対応データを前記ユーザーに送信し、前記ユーザーからの回答データを前記オペレーターに送信する請求項1記載のチャットプログラム。
【請求項4】
行動課題データを記録するステップ、も実行する請求項1記載のチャットプログラム。
【請求項5】
チャット要約データを記録するステップ、も実行する請求項1記載のチャットプログラム。
【請求項6】
前記チャットボット質問データ及び前記対応データの少なくともいずれかを特定する情報を含むブックマークデータを記録するステップ、も実行する請求項1記載のチャットプログラム。
【請求項7】
予め複数のチャットボット質問データを記録しておき、
複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信し、前記ユーザーからの回答データを受信する質問回答ステップを複数回繰り返すチャットボット質問ステップ、
前記チャットボット質問ステップにおいて、回答データに遷移データが含まれている場合、オペレーターに前記回答データを送信して応答データを受信し、前記応答データを前記ユーザーに送信し、さらに前記ユーザーから前記応答データに基づく回答データを受信する応答回答ステップを行うオペレーター対応ステップ、
前記オペレーター対応ステップにおいて、遷移データが含まれている場合、再び前記チャットボット質問ステップに移行するチャットボット遷移ステップ、を有するチャット方法であって、
前記チャットボット質問データは、対話シナリオ識別データ及び質問順番データを含んでおり、
前記オペレーターからの対応データに含まれる前記遷移データには、前記対話シナリオ識別データ及び前記質問順番データが含まれるチャット方法。
【請求項8】
チャット管理用情報処理端末と、
前記チャット管理用情報処理端末に通信回線を通じて接続されるユーザー端末と、
前記チャット管理用情報処理端末に通信回線を通じて接続されるオペレータ端末と、を備えるチャットシステムであって、
前記チャット管理用情報処理端末は、コンピュータに、複数のチャットボット質問データを記録するステップ、前記複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、前記チャットボット質問データに基づくユーザーからの回答データを受信した場合であって、前記回答データに遷移データが含まれているとき、オペレーターに前記回答データを送信するステップ、前記オペレーターからの遷移データを含む対応データを受信した場合、前記複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、を実行させるためのチャットプログラムが記録されている記録媒体を備え
ており、
前記記録媒体に記録されている前記チャットプログラムにおいて、
前記チャットボット質問データは、対話シナリオ識別データ及び質問順番データを含んでおり、
前記オペレーターからの対応データに含まれる前記遷移データには、前記対話シナリオ識別データ及び前記質問順番データが含まれる、チャットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャットプログラム、チャットシステム及びチャット方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チャットボットとは、ユーザーとチャット(テキストデータに基づく対話)を行うボット(ロボットの一種)をいう。近年、オペレータ業務の効率化、即時化を目的に、多数のチャットボットが作成され、運用されている。
【0003】
チャットボットの例として、例えば下記特許文献1に、自動券売機等に適用される情報処理システムであって、応答先をチャットボットとする例が開示されている。なお、この情報処理システムでは、オペレータにするかを選択することができる旨も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、チャットボットだけでは、ユーザーとの会話がかみ合わず、ユーザーが求めている情報や問題解決にたどり着けない未解決ケースが発生しうる。
【0006】
また、ユーザーとチャットボットの会話ののち人間のオペレータに連携するという流れも提案されているが、スムーズにオペレータへ連携するために必要な情報を得るため一定量の会話をチャットボットと行わなければならないところ、会話がかみ合わずなかなかオペレータへたどり着けないといった課題がある。
【0007】
他方、チャットボットとの会話ののちすぐにオペレータへ連携してしまうと、対応の自動化というチャットボット本来の目的が薄れてしまうため、ユーザーの利便性とオペレータ業務の効率性はトレードオフの関係にある。
【0008】
そこで、本発明では、上記課題に鑑み、ユーザーの利便性とオペレータの業務効率双方のバランスをとれるチャットプログラム、チャットシステム及びチャット方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題について鋭意検討を行ったところ、ユーザーに対してチャットボットとオペレーターが交互に対応することで、上記課題を解決することができる点に着目し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の一観点にかかるチャットプログラムは、コンピュータに、複数のチャットボット質問データを記録するステップ、複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、チャットボット質問データに基づくユーザーからの回答データを受信した場合であって、回答データに遷移データが含まれているとき、オペレータに回答データを送信するステップ、オペレーターからの遷移データを含む対応データを受信した場合、複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、を実行させるためのものである。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけではないが、チャットボット質問データに基づくユーザーからの回答データを受信した場合であって、回答データに遷移データが含まれていないとき、複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、を実行することが好ましい。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけではないが、オペレーターからの対応データを受信した場合であって、対応データに遷移データが含まれていないとき、オペレーターからの対応データをユーザーに送信し、ユーザーからの回答データをオペレーターに送信することが好ましい。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけではないが、複数のチャットボット質問データは、複数の対話シナリオ識別データ及び質問順番データを含んでいることが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけではないが、オペレーターからの対応データに含まれる遷移データには、対話シナリオ識別データ及び質問順番データが含まれることが好ましい。
【0015】
また、本観点において、限定されるわけではないが、行動課題データを記録するステップ、も実行することが好ましい。
【0016】
また、本観点において、限定されるわけではないが、チャット要約データを記録するステップ、も実行することが好ましい。
【0017】
また、本観点において、限定されるわけではないが、チャットボット質問データ及び対応データの少なくともいずれかを特定する情報を含むブックマークデータを記録するステップ、も実行することが好ましい。
【0018】
また、本発明の他の一観点にかかるチャット方法は、予め複数のチャットボット質問データを記録しておき、複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信し、ユーザーからの回答データを受信する質問回答ステップを複数回繰り返すチャットボット質問ステップ、事前チャットボット質問ステップにおいて、回答データに遷移データが含まれている場合、オペレーターに回答データを送信して応答データを受信し、応答データをユーザーに送信し、さらにユーザーから応答データに基づく回答データを受信する応答回答ステップを行うオペレーター対応ステップ、
オペレーター対応ステップにおいて、遷移データが含まれている場合、再びチャットボット質問ステップに移行するチャットボット遷移ステップ、を有するものである。
【0019】
また、本発明の他の一観点にかかるチャットシステムは、チャット管理用情報処理端末と、チャット管理用情報処理端末に通信回線を通じて接続されるユーザー端末と、チャット管理用情報処理端末に通信回線を通じて接続されるオペレータ端末と、を備えるチャットシステムであって、チャット管理用情報処理端末は、コンピュータに(A)複数のチャットボット質問データを記録するステップ、(B)複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、(C)チャットボット質問データに基づくユーザーからの回答データを受信した場合であって、回答データに遷移データが含まれているとき、オペレータに回答データを送信するステップ、(D)オペレーターからの遷移データを含む対応データを受信した場合、複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、を実行させるためのチャットプログラムが記録されている記録媒体を備えるものである。
【発明の効果】
【0020】
以上、本発明によって、ユーザーの利便性とオペレータの業務効率双方のバランスをとれるチャットプログラム、チャットシステム及びチャット方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係るチャットシステムの概略を示す図である。
【
図2】実施形態に係るプログラムを実行した結果実現されるチャット方法の処理の流れを示す図である。
【
図3】実施形態に係るプログラムにおけるチャットボット質問データの構成のイメージを示す図である。
【
図4】実施形態に係るプログラムにおけるチャットボット質問データの一つのイメージを示す図である。
【
図5】実施形態に係るプログラムにおける自由回答欄に入力されたテキストデータを回答データとする場合のイメージを示す図である。
【
図6】実施形態に係るプログラムにおけるタグデータを残しておく場合のイメージを示す図である。
【
図7】実施形態に係るプログラムにおける回答データに遷移データが含まれている場合に、オペレータに回答データを送信するステップを示すイメージ図である。
【
図8】実施形態に係るプログラムにおけるユーザーとのやり取りについて示すイメージ図である。
【
図9】実施形態に係るプログラムにおける行動課題データが表示装置に表示される場合のイメージを示す図である。
【
図10】実施形態にかかるチャットシステムのカリキュラム提供画面に関する概略を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態の具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0023】
図1は、本実施形態にかかるチャットシステム(以下「本システム」という。)Sの概略を示す図である。本図で示すように、本システムSは、複数の情報処理装置を電気通信回線、いわゆるインターネットIを介して接続して構成されていることが好ましい。具体的には、複数の情報処理装置をモデムやルーター等の機器を介して電気通信回線に接続させ、これらの間で必要なデータの送受信を行うことで遠隔の地にある場合でも、ユーザーとオペレータとのチャットを効率的に行うことが可能となる。
【0024】
より具体的に、本システムSでは、インターネットIを介して、ユーザー端末U、オペレータ端末O、及び、チャット管理用情報処理装置Mが、接続されている。またこの場合において、ユーザー端末U、オペレータ端末O、及びチャット管理用情報処理装置Mは、複数のユーザー、複数のオペレータ、バックアップや処理分散などの観点から、それぞれ複数設けられていることが好ましい。
【0025】
また、本図で示すように、本システムSは、ユーザー端末U、オペレータ端末O、及び、チャット管理用情報処理装置Mを用いて実現されるが、これら装置の物理的な基本構成は同じであり、その操作者及びその操作及び処理が異なるため表現を異ならせているものである。具体的には、ユーザー端末Uは、本システムSのユーザーが操作する情報処理装置であり、例えば、本システムSがカウンセリングのためのシステムである場合、そのカウンセリングを受けようとする者が保有し操作する情報処理装置をいう。また、オペレータ端末Oは、本システムSのオペレータが操作する情報処理装置であり、例えば、本システムSがカウンセリングのためのシステムである場合、ユーザーの相談に対してアドバイス等を行うカウンセラー等が保有し操作する情報処理装置をいう。また、管理用情報処理装置Mは、本システムSの管理者が操作する情報処理装置であり、例えば、本システムSがカウンセリングのためのシステムである場合、このシステム全体の管理者がユーザーとオペレータの間のやり取りを管轄し制御するものである。この詳細については後述の記載から明らかとなる。
【0026】
本システムSにおける情報処理装置(ユーザー端末U、オペレータ端末O、及び、チャット管理用情報処理装置Mを含む。)は、いわゆるコンピュータであって、限定されるわけではないが、例えば一般的な構成要素である中央演算装置(CPU)、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性の記録媒体、メモリ等の揮発性の記録媒体、これらを接続するバス等を備えて構成されており、さらに、いわゆるキーボードやマウスなどの入力装置、ディスプレイ等の表示装置等を有することが好ましい。なお、本システムSにおける入力装置は、ユーザーの音声を認識し、電子データとして情報処理装置に出力することができるいわゆるマイク等の音声入力装置を含ませてもよい。
【0027】
また、本システムSの情報処理装置は、それぞれ、いわゆるノート型やデスクトップ型であってもよいが、近年普及が進んでいる携帯情報端末、具体的にはいわゆるスマートフォンやタブレット端末であってもよい。一般的な携帯情報端末は、一つのカバーの中に上記CPUや表示装置等の部品を収納して一体化させたものとなっており、しかも表示装置上にセンサを配置しいわゆるタッチスクリーンとしておくことで入力装置としても機能させることができ、非常に取り扱いやすいものとなっており好ましく、特にユーザー端末Uとして好ましい。また携帯情報端末の場合、当該携帯情報端末の記録媒体に、本実施形態に係るチャット方法(以下「本方法」という。)を実行するためのプログラムを、いわゆるアプリとして記録、表示させることで、このアプリを起動することで容易に本方法を実行することができる。
【0028】
また、上記の記載からも明らかであるが、本システムSを用いることで、本方法を実現することができる。具体的には、情報処理装置(ユーザー端末U、オペレータ端末O、及び、チャット管理用情報処理装置Mの少なくともいずれか、好ましくはチャット管理用情報処理装置M)の記録媒体に、本実施形態に係るプログラム(以下「本プログラム」という。)を記録し、本プログラムを実行することで、本方法を実現することができる。以下、本方法及び本プログラムの具体的な内容について詳述していく。
【0029】
本プログラムは、コンピュータに、(S1)複数のチャットボット質問データを記録するステップ、(S2)複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、(S3)チャットボット質問データに基づくユーザーからの回答データを受信した場合であって、回答データに遷移データが含まれているとき、オペレータに回答データを送信するステップ、(S4)オペレーターからの遷移データを含む対応データを受信した場合、複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、を実行させるためのものである。なお、限定されるわけではないが、本プログラムは、チャット管理用情報処理装置M内の記録媒体に記録されていることが好ましい。
図2に、本プログラムを実行した結果実現される本方法の処理の流れ(フロー)について示しておく。繰り返しとなるが、本方法は、本プログラムの各ステップを実行することで実現可能である。
【0030】
本プログラムでは、まず、(S1)複数のチャットボット質問データを記録するステップを有する。このチャットボット質問データは、ユーザー端末U、オペレータ端末O、チャット管理用情報処理装置Mのいずれに記録されていてもよいが、チャット管理用情報処理装置Mに記録されることがチャットの管理効率の観点から好ましい。ここで「チャットボット質問データ」とは、本プログラムが実行された場合に、チャット管理用情報処理装置Mが、チャットボットとしてユーザーに対して投げかける質問内容に関する情報を含むデータである。また「チャットボット」とは、ユーザーからの質問等の要求に対してオペレータ(人間)を介することなく自動的に対応を行うことができる本プログラムの動作状態を表現するものであって、チャット管理用情報処理装置Mがあたかもユーザーとチャットを行うロボットであるようにふるまうため、以下「チャットボット」の表現も用いて説明する。本ステップでは、あらかじめ複数のチャットボット質問データを記録しておくことで、様々なチャットを行うことができる。
【0031】
チャットボット質問データは、上記の通り、本プログラムが実行された場合にチャットボットとしてユーザーに対して投げかける質問に関する情報を含むものであるが、その質問の種類は、例えば、カウンセリング、ハラスメント相談、商品やサービスに関する問い合わせ、航空機等の交通機関の予約システム、法務相談、会計相談、ティーチング、コーチング、研修前後の出席者フォロー等多岐にわたる。
【0032】
ここで
図3は、チャットボット質問データの構成のイメージを示す。本プログラムにおいて、チャットボット質問データの各々は、複数の対話シナリオのいずれかに属しており、さらにその対話シナリオのどの位置に設けられているのかの情報を含むことが好ましい。すなわち、チャットボット質問データは、複数の対話シナリオ識別データ及び質問順番データを含んでいることが好ましい。これにより、複数のチャットボット質問データを特定し、適宜最適な質問を特定して選択することができるようになる。ここで「対話シナリオ識別データ」は、複数のチャットボット質問データによって構成されたものであり、一の対話シナリオを他の対話シナリオと区別するために用いられる識別番号等の情報を含むデータである。また「対話シナリオ」とは、ユーザーが保有する課題を解決するためのシナリオをいう。また、「質問順番データ」は、この一つの対話シナリオの中のどの位置(順番)の質問であるのかの位置情報を含むデータである。また、
図4は、チャットボット質問データの一つのイメージを示す図である。
【0033】
また、チャットボット質問データにおいて、「対話シナリオ」は、さらに、事前質問シナリオ(事前質問シナリオの情報を含むものを事前質問シナリオデータ)と、解決シナリオ(解決シナリオの情報を含むものを解決シナリオデータ)に分けておくことも好ましい。「事前質問シナリオ」は、具体的な相談を解決するためにどの解決シナリオを選択するかといった情報を収集するために必要な一般的な質問をまとめたものであり、「解決シナリオ」は、事前質問シナリオによって抽出されたユーザーの具体的な課題を解決するための対話シナリオをいう。すなわち、事前質問シナリオから複数の解決シナリオが分岐するイメージである。これは上記
図3で示したとおりである。
【0034】
また、本プログラムでは、(S2)複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップを有する。具体的には、ユーザー(ユーザー端末U)からのチャット開始の要求を受け、チャット管理用情報処理装置Mに記録された複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信する。
【0035】
また、本ステップでは、ユーザーに対してチャットボット質問データを送信した後、ユーザーからその回答データを受信することになる。すなわち「回答データ」とは、チャットボット質問データに基づくユーザーから受信するユーザーの回答に関する情報を含むデータをいう。これにより、チャットボットがユーザーに対して質問を行い、ユーザーがこの質問に対して回答するという流れを実現することができる。
【0036】
回答データとしては、ユーザーがチャットボット質問データに対する回答の情報を含ませることができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えばチャットボット質問データに選択肢や自由回答欄等(回答候補)を含ませてユーザーに提示し、ユーザーがこの提示された選択肢のいずれかを選択した結果、または自由回答欄に記入した結果を回答データとすることが好ましい。なお、選択肢を提示する場合はこれを選択肢データ、自由回答欄による自由回答の場合は、選択肢データのうちの一つが自由回答欄であり(選択肢が一つでその一つが自由回答欄である場合もありえる。)、そこに入力されたテキストデータを回答データとすることができる。この場合のイメージを
図5に示しておく。なお、このように、チャットボット質問データに予め含ませられる回答候補に関する情報を含むデータを「回答候補データ」ともいう。すなわち、回答候補データは、チャットボット質問データに含ませておくことが好ましい。
【0037】
また、本ステップでは、ユーザーから受信した回答データが、対話シナリオに沿った想定の範囲内の回答情報を含む回答データである場合、または、あらかじめ記録してある他のチャットボット質問データをユーザーに送信することで対応できる場合、再びユーザーに対してそのチャットボット質問データを送信し、再びその回答データを受け取るといった流れを繰り返すことができる。特に、チャットを開始したばかりの段階ではユーザーから得られる情報が少ないため、このやり取りを繰り返し、情報を蓄積することで、より後段の他の対話シナリオデータに移行することができるため好ましい。すなわち、チャットボット質問データに基づくユーザーからの回答データを受信した場合であって、回答データに遷移データが含まれていないとき、複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップを有することが好ましい。
【0038】
また、本プログラムは、(S3)チャットボット質問データに基づくユーザーからの回答データを受信した場合であって、回答データに遷移データが含まれているとき、オペレータに回答データを送信するステップを有する。本ステップにより、自動的に応答するのではなく、オペレータによって応答させることが可能となる。すなわち本ステップにおいて「遷移データ」とは、あらかじめ記録されているチャットボット質問データをユーザーに対して送信するのではなく、オペレータにその対応を促すための指示に関する情報を含むデータをいう。
【0039】
また、本ステップにおいて遷移データは回答データに含ませることが好ましく、遷移データの含ませ方は適宜調整可能であり限定されるわけではないが、例えば、チャットボット質問データに回答候補データを含ませた場合、その回答候補データの少なくとも一部にその遷移データを含ませておき、ユーザーがその遷移データが含まれた回答候補データを選択し、送信してきた場合、回答データに遷移データが含まれている状態を実現することができる。より具体的な方法としては、例えば回答候補データにタグデータを付しておき、この回答候補データを選択して回答データとした場合にそのままこのタグデータを残しておく処理としておくことで、チャット管理用情報処理装置Mは、遷移データが付されていると判断することができる。この場合のイメージ図を
図6に示しておく。
【0040】
また、本ステップにおいて、回答データに遷移データが含まれていた場合、これ以後は、オペレータ(オペレータ端末O)にこの回答データを送信することになる。この回答データを受信したオペレータは、この回答データに基づき、ユーザーに対してコメントを送る等の適切な対応を行う。この対応内容に関する情報を含むデータを「対応データ」という。なお、対応データは、オペレータ端末Oからチャット管理用情報処理装置Mに送信され、チャット管理用情報処理装置Mからユーザー端末Uまでこの対応データが転送されることになる。これにより、チャット管理用情報処理装置Mが仲介、チャット全体の管理を行うことができる。この場合のイメージ図を
図7に示しておく。なお、オペレータに回答データを送信するにおいて、ユーザーからの回答の全容を確認するため、チャット管理用情報処理装置Mは、ユーザーから遷移データを含んだもの以外の回答データ、好ましくはすべての回答データ(履歴)を送信しておくことが好ましい。
【0041】
なお、回答データに遷移データが含まれていた場合、上記の通り、これ以後はユーザーに対してはオペレータが対応することになるが、複数のオペレータが存在する場合、どのオペレータを選択するのかについては、あらかじめアルゴリズムを設定して自動的にオペレータを特定してもよいが、チャット管理用情報処理装置Mの使用者(管理者)がオペレータを選択するようにしてもよい。また、ユーザーへの対応がオペレータからチャットボットに遷移した後再びユーザーからの回答データに遷移データが含まれていた場合、同じオペレータに対応させることとしてもよいが、別のオペレータに対応させるようにしてもよい。このようにすれば、ユーザーの回答に応じて最適なオペレータを選択することが可能となり、よりユーザーの利便性が向上し、業務効率のバランスもとることができるようになる。なお、チャット管理用情報処理装置Mは、管理者が使用していることが好ましいが、管理者は、プログラムの実行など最小限度の操作だけで、あとはチャットをすべてプログラムの動作による処理だけで対応するようにしてもよい。
【0042】
上記の通り、回答データを受信したオペレータは、この回答データに基づき、ユーザーに対してコメントを送る等の適切な対応を行うが、この対応は、ユーザーの課題を解決するために必要な対応であるため、一回だけではなく、複数回行うこととしてもよい。具体的には、オペレータから(チャット管理用情報処理装置Mを介して)ユーザーに対して対応データを送信したあと、再度ユーザーから対応データに関する回答データがチャット管理用情報処理装置Mに送信された場合、再びオペレータ端末Oに送信され、以後、後述のとおり遷移データが含まれることになるまでこのやり取りが繰り返されることがユーザーの課題解決の観点から好ましい。すなわち、オペレーターからの対応データを受信した場合であって、対応データに遷移データが含まれていないとき、オペレーターからの対応データをユーザーに送信し、ユーザーからの回答データをオペレーターに送信するステップを有することが好ましい。
【0043】
また、本プログラムは、(S4)オペレーターからの遷移データを含む対応データを受信した場合、複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップを有する。本ステップにより、オペレータから再びチャットボットによる対応に切り替えることができる。すなわち本ステップにおいて「遷移データ」とは、オペレータからチャットボットに対応を切り替える(遷移する)ための情報を含むデータをいう。すなわち、本プログラムにおいて「遷移データ」とは、ユーザーへの対応をチャットボット(チャット管理用情報処理装置M)からオペレータに遷移するための情報、または、ユーザーへの対応をオペレータからチャットボット(チャット管理用情報処理装置M)に遷移するための情報を含むデータをいう。
【0044】
本ステップでは、具体的に、対応データに遷移データが含まれている場合、ユーザーに対する対応がオペレータ端末Oからチャット管理用情報処理装置Mに移ることになる。この遷移データはどのようなものであってもよいが、この場合において遷移データは、チャットボット質問データを特定するための情報を含んでいることが好ましく、対話シナリオ識別番号データ及び質問順番データを含んでいることがより好ましい。このようにすることで、チャット管理用情報処理装置Mがこの遷移データを受信した後は、その特定した対話シナリオの途中の質問から再び自動的にユーザーとの質問及び回答の送受信を行うことができるようになる。このユーザーとのやり取りについてのイメージを
図8に示す。
【0045】
以上の通り、本プログラムを実行することで、ユーザーとチャットボットの間のやり取り、ユーザーとオペレータの間のやり取りを互いに遷移させることが可能となり、チャットボットとオペレーターが協働してユーザーの課題を効率的に解決することができるようになる。すなわち、本プログラムを実行することで、ユーザーの利便性とオペレータの業務効率双方のバランスをとれるチャットシステム及びチャット方法を提供することができる。
【0046】
なお、本プログラムにおけるチャットは、まずはユーザーとチャットボット間のやり取りを行い、必要に応じてオペレータとユーザーとのやり取りとなるが、ユーザーとしてはチャットボットとオペレータの区別を行う必要はなく、ユーザーに対し、現在やり取りしている対象がチャットボットであるかオペレータであるのかわかるようにしてもよいが、同じ表示を用いてわからないようにしてもよい。
【0047】
ところで、本プログラムでは、上記のほか、(S5)行動課題データを記録するステップを備えていることが好ましい。これを含ませることで、よりユーザーに対する利便性を高めることが可能となる。
【0048】
本プログラムでは、(S5)行動課題データを記録するステップを設け、コンピュータに実行させることで、ユーザーがチャット終了後行うべき行動課題を明確にし、行ったチャットをより有意義にすることができる。なお、この記載から明らかなように「行動課題データ」とは、ユーザーがチャットの後行うべき行動課題に関する情報を含むデータであり、この行動課題はユーザー自身が入力してもよく、またオペレータが提供してもよく、またチャット管理用情報処理装置Mに予め複数記録し、その中から選択するようにしてもよい。この行動課題データが表示装置に表示される場合のイメージを
図9に示しておく。
【0049】
また、本プログラムでは、(S6)チャット要約データを記録するステップを備えていることが好ましい。これを含ませることで、よりユーザーに対する利便性を高めることが可能となる。
【0050】
本プログラムでは、(S6)チャット要約データを記録するステップを設け、コンピュータに実行させることで、ユーザーがチャット終了後、改めて行ったチャット内容を振り返ることが可能となる。なお、この記載から明らかなように「チャット要約データ」とは、ユーザーが行ったチャットの要約に関する情報を含むデータであり、これには、チャットを行った日付及び時間に関する情報を含む日時データ、そのチャットのテーマに関する情報を含むチャットテーマデータ、カウンセラー等が作成する相談事項を要約した相談内容に関する情報を含むデータ、チャット内容を要約したカウンセラーからのアドバイスの内容に関する情報を含むアドバイス概要データ、チャット履歴の詳細データ等を含ませることができるがこれに限定されない。
【0051】
また、本プログラムでは、(S7)チャットボット質問データ及び対応データの少なくともいずれかを特定する情報を含むブックマークデータを記録するステップを備えていることが好ましい。これを含ませることで、よりユーザーに対する利便性を高めることが可能となる。
【0052】
本プログラムでは、上記の(S7)チャットボット質問データ及び対応データの少なくともいずれかを特定する情報を含むブックマークデータを記録するステップを設け、コンピュータに実行させることで、ユーザーがチャット終了後、改めて行ったチャット内容のうち、気に入ったやり取りを記録し、今後の行動に役立てることができるようになる。なお、この記載から明らかなように「ブックマークデータ」とは、ユーザーがチャットボット又はオペレータと行ったチャットの内容を特定する情報を含むデータであり、チャットボット質問データ、対応データ、及び回答データのいずれかを特定するための情報を含むデータである。
【0053】
また、本プログラムでは、(S8)少なくとも一つのカリキュラムに関する情報を含むカリキュラムデータを記録するステップを備えていることが好ましい。これを含ませることで、よりユーザーに対する利便性を高めることが可能となる。ここで「カリキュラムデータ」とは、上記の記載から明らかであるがユーザーが行うカリキュラム(レッスン)に関する情報を含むデータである。
【0054】
本プログラムでは、上記の(S8)少なくとも一つのカリキュラムに関する情報を含むカリキュラムデータを記録するステップを設け、コンピュータに実行させることで、ユーザーがチャット終了後、カリキュラムをこなすことでユーザーの課題解決や、ユーザーのチャットによる効果を効果的なものとすることができるようになる。このカリキュラムの種類としては限定されるわけではないが、例えば瞑想、ヨガ、リーダーシップ養成、キャリア理論、メンタルケア等を例示することができる。この場合の画面のイメージについて例えば
図10に示しておく。
【0055】
以上、本発明によって、ユーザーの利便性とオペレータの業務効率双方のバランスをとれるチャットプログラム、チャットシステム及びチャット方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、チャットプログラム、チャットシステム及びチャット方法として産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0057】
S・・・チャットシステム
I・・・インターネット
U・・・ユーザー端末
O・・・オペレータ端末
M・・・チャット管理用情報処理装置
【要約】
【課題】ユーザーの利便性とオペレータの業務効率双方のバランスをとれるチャットプログラム、チャットシステム及びチャット方法を提供する。
【解決手段】本発明の一観点にかかるチャットプログラムは、コンピュータに、複数のチャットボット質問データを記録するステップ、複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、チャットボット質問データに基づくユーザーからの回答データを受信した場合であって、回答データに遷移データが含まれているとき、オペレータに回答データを送信するステップ、オペレーターからの遷移データを含む対応データを受信した場合、複数のチャットボット質問データのうちいずれかを選択してユーザーに送信するステップ、を実行させる。
【選択図】
図1