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特許7474557蓄電パック、半導体装置、および、半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】蓄電パック、半導体装置、および、半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/00 20060101AFI20240418BHJP
   H01G 2/16 20060101ALI20240418BHJP
   H01G 11/16 20130101ALI20240418BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20240418BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20240418BHJP
【FI】
H01L25/00 B
H01G2/16
H01G11/16
H01G11/74
H01M50/284
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023578669
(86)(22)【出願日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2023025486
【審査請求日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2022205527
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】石田 敏史
(72)【発明者】
【氏名】山本 興輝
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168183(JP,A)
【文献】国際公開第2016/152024(WO,A1)
【文献】特開2020-173900(JP,A)
【文献】特開2003-168408(JP,A)
【文献】国際公開第2018/087890(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G2/16
H01G11/16
H01G11/74-11/76
H01M50/00-50/298
H01M50/50-50/598
H01L25/00-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の外部接続端子を有するチップサイズパッケージ型の半導体素子と、
厚さ0.2mm以下の部分を有する第1の金属板と、を備え、
前記半導体素子の一方の主面には、前記第1の金属板が接続され、
前記半導体素子の、前記一方の主面と背向する他方の主面には、前記複数の外部接続端子のうちの、前記半導体素子が実装される実装基板に接続される基板接続端子が備わり、
前記第1の金属板の第1の主面であって、前記半導体素子と接続する前記第1の主面と背向する前記第1の金属板の第2の主面には、第2の金属板と接合するための接合準備領域が備わり、
前記接合準備領域は、前記第1の金属板の平面視において、前記第1の金属板と前記半導体素子とが接続する接続領域と重複せず、
前記第1の金属板の電位は、前記複数の外部接続端子のうちの少なくとも1つの電位と同電位であり、
前記第1の金属板は、前記第2の主面同士が対面する部分を有するように、前記厚さ0.2mm以下の部分で折り曲げ可能であり、
さらに、前記第1の主面に、前記半導体素子を前記実装基板に実装する際に、前記半導体素子と共に前記実装基板に実装される1以上の金属部材を備え、
前記第1の主面と前記1以上の金属部材とが接続する領域のそれぞれは、前記第1の金属板の平面視において、前記接合準備領域と重複しない
導体装置。
【請求項2】
前記1以上の金属部材は、前記第1の金属板と同じ材料で構成され、
前記1以上の金属部材と前記第1の金属板とは一体化されている
請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の外部接続端子を有するチップサイズパッケージ型の半導体素子と、
厚さ0.2mm以下の部分を有する第1の金属板と、を備え、
前記半導体素子の一方の主面には、前記第1の金属板が接続され、
前記半導体素子の、前記一方の主面と背向する他方の主面には、前記複数の外部接続端子のうちの、前記半導体素子が実装される実装基板に接続される基板接続端子が備わり、
前記第1の金属板の第1の主面であって、前記半導体素子と接続する前記第1の主面と背向する前記第1の金属板の第2の主面には、第2の金属板と接合するための接合準備領域が備わり、
前記接合準備領域は、前記第1の金属板の平面視において、前記第1の金属板と前記半導体素子とが接続する接続領域と重複せず、
前記第1の金属板の電位は、前記複数の外部接続端子のうちの少なくとも1つの電位と同電位であり、
前記第1の金属板は、前記第2の主面同士が対面する部分を有するように、前記厚さ0.2mm以下の部分で折り曲げ可能であり、
さらに、前記半導体素子と前記第1の金属板との間に、第3の金属板を備え、
前記第3の金属板は、前記半導体素子と前記一方の主面において接続され、前記第1の金属板と前記第1の主面において接続され、
前記一方の主面には、前記第3の金属板を介して前記第1の金属板が接続される
導体装置。
【請求項4】
さらに、前記第3の金属板の、前記第3の金属板が前記半導体素子と接続する主面に、前記半導体素子を前記実装基板に実装する際に、前記半導体素子と共に前記実装基板に実装される1以上の金属部材を備え、
前記主面と前記1以上の金属部材とが接続する領域のそれぞれは、前記第1の金属板の平面視において、前記接合準備領域と重複しない
請求項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の金属板は、前記第2の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げられており、
前記半導体素子の平面視において、前記半導体素子と前記接合準備領域とが前記第1の金属板を挟んで重複する部分が存在する
請求項または請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体素子は、前記基板接続端子を介して前記実装基板にフェイスダウンで実装されており、
前記第1の金属板は、前記接合準備領域において前記第2の金属板と接合されている
請求項または請求項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体素子は、前記基板接続端子を介して前記実装基板にフェイスダウンで実装されており、
前記第1の金属板は、前記接合準備領域において前記第2の金属板と接合されており、
前記第2の金属板は、前記第1の金属板と接合する面同士が前記第1の金属板を挟んで対面する部分を有するように折り曲げられており、
前記実装基板の平面視において、前記第2の金属板と前記第1の金属板と前記半導体素子と前記実装基板とが重複する重複部分が存在し、
前記実装基板の平面視において、前記第2の金属板と前記実装基板との間に電流が流れ得る領域と、前記重複部分とが重複する部分が存在する
請求項に記載の半導体装置。
【請求項8】
請求項に記載の半導体装置と、前記第2の金属板と、前記実装基板と、蓄電セルとを備え、
前記第2の金属板は、前記蓄電セルに接続された、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電による導通経路となる蓄電タブであり、
前記第1の金属板は、前記蓄電タブに接合される蓄電タブ接合用金属板であり、
前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、
前記蓄電セルから、前記蓄電タブ、前記蓄電タブ接合用金属板、前記半導体素子の順に、またはその逆の順に、前記導通経路が形成される
蓄電パック。
【請求項9】
前記1以上の金属部材は、前記保護回路基板に接続されている
請求項に記載の蓄電パック。
【請求項10】
前記半導体素子は、前記半導体素子の平面視において、矩形であり、前記保護回路基板の長手方向と平行する方向の2つの辺を有し、
前記1以上の金属部材は、前記2つの辺に沿って、少なくとも前記2つの辺の全長で対向するように配置された2つの金属部材を含む
請求項に記載の蓄電パック。
【請求項11】
前記半導体素子は、前記半導体素子の平面視において、矩形であり、前記保護回路基板の長手方向と直交する方向の2つの辺を有し、
前記1以上の金属部材は、前記2つの辺に沿って、少なくとも前記2つの辺の全長で対向するように配置された2つの金属部材を含む
請求項に記載の蓄電パック。
【請求項12】
前記半導体素子は、前記半導体素子の平面視において矩形であり、
前記1以上の金属部材は、前記半導体素子の4つの角のそれぞれの近傍に配置された4つの金属部材を含む
請求項に記載の蓄電パック。
【請求項13】
前記半導体素子は、スイッチング素子であり、
前記スイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御する
請求項に記載の蓄電パック。
【請求項14】
前記スイッチング素子は、前記スイッチング素子の平面視において、前記他方の主面側に、前記スイッチング素子を分割する、互いに隣接する第1の領域と第2の領域とを含む複数の領域を有し、
前記スイッチング素子は、さらに、
前記第1の領域に形成された第1の縦型MOSトランジスタと、
前記第2の領域に形成された第2の縦型MOSトランジスタと、を備え、
前記基板接続端子は、複数であり、
前記第1の縦型MOSトランジスタは、前記他方の主面に、
前記基板接続端子である第1のソース端子と、
前記基板接続端子であり、前記第1の縦型MOSトランジスタの導通状態を制御する第1のゲート端子と、を備え、
前記第2の縦型MOSトランジスタは、前記他方の主面に、
前記基板接続端子である第2のソース端子と、
前記基板接続端子であり、前記第2の縦型MOSトランジスタの導通状態を制御する第2のゲート端子と、を備え、
前記スイッチング素子は、さらに、前記一方の主面に、前記第1の縦型MOSトランジスタと前記第2の縦型MOSトランジスタとに共通するドレイン電極を備え、
前記ドレイン電極は、絶縁性接着部材を介して前記蓄電タブ接合用金属板に接続され、
前記1以上の金属部材のうちの少なくとも1つが、前記保護回路基板に形成された配線を介して、前記基板接続端子の中で、前記第1のソース端子のみと接続されている
請求項13に記載の蓄電パック。
【請求項15】
前記基板接続端子は、複数であり、
前記スイッチング素子は、前記他方の主面に、前記基板接続端子であるソース端子と、前記基板接続端子であるゲート端子とを備え、前記一方の主面に、前記外部接続端子であるドレイン電極を備える、縦型MOSトランジスタであり、
前記ドレイン電極は、導電性接着部材を介して前記蓄電タブ接合用金属板に接続されている
請求項13に記載の蓄電パック。
【請求項16】
請求項1または請求項4に記載の半導体装置と、前記第2の金属板と、前記実装基板と、蓄電セルとを備え、
前記第2の金属板は、前記接合準備領域で前記第1の金属板に接合され、
前記第2の金属板は、前記蓄電セルに接続され、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電による導通経路となる蓄電タブであり、
前記第1の金属板は、前記蓄電タブに接合される蓄電タブ接合用金属板であり、
前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、
前記蓄電セルから、前記蓄電タブ、前記蓄電タブ接合用金属板、前記半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、
前記半導体素子は、スイッチング素子であり、
前記スイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御する
蓄電パック。
【請求項17】
請求項に記載の第1の半導体装置および第2の半導体装置と、
前記第1の半導体装置における前記接合準備領域に接合された前記第2の金属板である第4の金属板と、
前記第2の半導体装置における前記接合準備領域に接合された前記第2の金属板である第5の金属板と、
前記第1の半導体装置における前記半導体素子である第1の半導体素子、および、前記第2の半導体装置における前記半導体素子である第2の半導体素子が実装された前記実装基板と、
蓄電セルと、を備え、
前記第4の金属板は、前記蓄電セルの正極端子に接続された第1の蓄電タブであり、
前記第5の金属板は、前記蓄電セルの負極端子に接続された第2の蓄電タブであり、
前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、
前記第1の半導体装置における前記第1の金属板は、前記第1の蓄電タブに接合される第1の蓄電タブ接合用金属板であり、
前記第2の半導体装置における前記第1の金属板は、前記第2の蓄電タブに接合される第2の蓄電タブ接合用金属板であり、
前記第1の半導体素子は、第1のスイッチング素子であり、
前記第2の半導体素子は、第2のスイッチング素子であり、
前記蓄電セルから、前記第1の蓄電タブ、前記第1の蓄電タブ接合用金属板、前記第1の半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、
前記蓄電セルから、前記第2の蓄電タブ、前記第2の蓄電タブ接合用金属板、前記第2の半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御し、
前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子は複数であり、
前記第2のスイッチング素子における前記基板接続端子は複数であり、
さらに、
前記保護回路基板に備わる、前記第1の蓄電タブと同電位の第1の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの1つである第1の基板接続端子に接続された前記第1の配線と、
前記保護回路基板に備わる第2の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの、前記第1の基板接続端子以外の1つに接続された前記第2の配線と、
前記第2の配線に接続された蓄電パック正極端子と、
前記保護回路基板に備わる、前記第2の蓄電タブと同電位の第3の配線であって、前記第2のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの1つである第2の基板接続端子に接続された前記第3の配線と、
前記保護回路基板に備わる第4の配線であって、前記第2のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの、前記第2の基板接続端子以外の1つに接続された前記第4の配線と、
前記第4の配線に接続された蓄電パック負極端子と、を備える
蓄電パック。
【請求項18】
請求項に記載の第1の半導体装置と、
前記第1の半導体装置における前記接合準備領域に接合された前記第2の金属板である第4の金属板と、
前記第1の半導体装置における前記半導体素子である第1の半導体素子が実装された前記実装基板と、
前記実装基板にフェイスダウンで実装されたチップサイズパッケージ型の第2の半導体素子と、
蓄電セルと、
前記蓄電セルの正極端子に接続された第2の蓄電タブと、
第3の主面で前記第2の半導体素子と接続し、前記第3の主面と背向する第4の主面で前記第2の蓄電タブと接合する、厚さ0.2mm以下の部分を有する第2の蓄電タブ接合用金属板と、を備え、
前記第4の金属板は、前記蓄電セルの負極端子に接続された第1の蓄電タブであり、
前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、
前記第1の半導体装置における前記第1の金属板は、前記第1の蓄電タブに接合される第1の蓄電タブ接合用金属板であり、
前記第1の半導体素子は、第1のスイッチング素子であり、
前記第2の半導体素子は、第2のスイッチング素子であり、
前記蓄電セルから、前記第1の蓄電タブ、前記第1の蓄電タブ接合用金属板、前記第1の半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、
前記蓄電セルから、前記第2の蓄電タブ、前記第2の蓄電タブ接合用金属板、前記保護回路基板の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、
前記保護回路基板の平面視において、前記第2の蓄電タブと前記第2の蓄電タブ接合用金属板と前記第2の半導体素子と前記保護回路基板とが重複する重複部分が存在し、
前記保護回路基板の平面視において、前記第2の蓄電タブと前記保護回路基板との間に電流が流れ得る領域と、前記重複部分とが重複する部分が存在し、
前記第2の蓄電タブ接合用金属板は、前記第4の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げられており、
折り曲げられる前の状態の前記第2の蓄電タブ接合用金属板の平面視において、前記第2の蓄電タブ接合用金属板と前記第2の蓄電タブとが接合する領域と、前記第2の蓄電タブ接合用金属板と前記第2の半導体素子とが接続する領域と、は重複せず、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御し、
前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子は複数であり、
さらに、
前記保護回路基板に備わる、前記第1の蓄電タブと同電位の第1の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの1つである第1の基板接続端子に接続された前記第1の配線と、
前記保護回路基板に備わる第2の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの、前記第1の基板接続端子以外の1つに接続された前記第2の配線と、
前記保護回路基板に備わる第3の配線であって、前記第2の配線に前記第2のスイッチング素子を介して接続された前記第3の配線と、
前記第3の配線に接続された蓄電パック負極端子と、
前記保護回路基板に備わる、前記第2の蓄電タブと同電位の第4の配線と、
前記第4の配線に接続された蓄電パック正極端子と、を備える
蓄電パック。
【請求項19】
第1の金属板の第1の主面に半導体素子を接続する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記半導体素子を実装基板に実装する第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記第1の金属板の、前記第1の主面と背向する第2の主面に、第2の金属板を接合する第3の工程と、
前記第3の工程の後に、前記第1の金属板を、(1)前記第2の主面同士が対面する部分を有するように、(2)前記半導体素子の平面視において、前記第1の金属板と前記半導体素子とが接続する領域と、前記第1の金属板と前記第2の金属板とが接合する領域とが、前記第1の金属板を挟んで重複する部分を有するように、折り曲げる第4の工程と、
前記第3の工程の後に、前記第2の金属板を、前記第1の金属板と接合する面同士が対面する部分を有するように折り曲げる第5の工程と、を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項20】
さらに、前記第1の工程の前に、1以上の金属部材を備える第3の金属板を前記半導体素子に接続する第6の工程を含み、
前記第1の工程では、前記第3の金属板を介して、前記第1の主面に前記半導体素子を接続する
請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
蓄電パック、蓄電パックで利用される半導体装置、および、その半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置を利用する蓄電パックが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2022/009396号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、蓄電パックには、蓄電セルと、半導体素子が実装された、蓄電セルを過充電または過放電から保護する機能を有する保護回路基板とが含まれる。
【0005】
蓄電パックに含まれる保護回路基板の小型化が望まれる。
【0006】
そこで、本開示は、保護回路基板の小型化を実現することができる蓄電パック、半導体装置、および、その半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る蓄電パックは、蓄電セルと、前記蓄電セルに接続された、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電による導通経路となる蓄電タブと、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板と、前記保護回路基板にフェイスダウンで実装されたチップサイズパッケージ型の半導体素子と、第1の主面で前記半導体素子と接続し、厚さ0.2mm以下の部分を有する蓄電タブ接合用金属板と、を備え、前記蓄電タブ接合用金属板は、前記第1の主面と背向する第2の主面で、前記蓄電タブに、前記保護回路基板の平面視において、前記蓄電タブと前記蓄電タブ接合用金属板と前記半導体素子と前記保護回路基板とが重複する重複部分を有するように接合され、前記保護回路基板の平面視において、前記蓄電タブと前記保護回路基板との間で前記導通経路となり得る領域と、前記重複部分とが重複する部分が存在する。
【0008】
本開示の一態様に係る半導体装置は、複数の外部接続端子を有するチップサイズパッケージ型の半導体素子と、厚さ0.2mm以下の部分を有する第1の金属板と、を備え、前記半導体素子の一方の主面には、前記第1の金属板が接続され、前記半導体素子の、前記一方の主面と背向する他方の主面には、前記複数の外部接続端子のうちの、前記半導体素子が実装される実装基板に接続される基板接続端子が備わり、前記第1の金属板の第1の主面であって、前記半導体素子と接続する前記第1の主面と背向する前記第1の金属板の第2の主面には、第2の金属板と接合するための接合準備領域が備わり、前記接合準備領域は、前記第1の金属板の平面視において、前記第1の金属板と前記半導体素子とが接続する接続領域と重複せず、前記第1の金属板の電位は、前記複数の外部接続端子のうちの少なくとも1つの電位と同電位であり、前記第1の金属板は、前記第2の主面同士が対面する部分を有するように、前記厚さ0.2mm以下の部分で折り曲げ可能である。
【0009】
本開示の一態様に係る蓄電パックは、上記半導体装置と、前記第2の金属板と、前記実装基板と、蓄電セルとを備え、前記第2の金属板は、前記蓄電セルに接続された、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電による導通経路となる蓄電タブであり、前記第1の金属板は、前記蓄電タブに接合される蓄電タブ接合用金属板であり、前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、前記蓄電セルから、前記蓄電タブ、前記蓄電タブ接合用金属板、前記半導体素子の順に、またはその逆の順に、前記導通経路が形成される。
【0010】
本開示の一態様に係る蓄電パックは、上記半導体装置と、前記第2の金属板と、前記実装基板と、蓄電セルとを備え、前記第2の金属板は、前記接合準備領域で前記第1の金属板に接合され、前記第2の金属板は、前記蓄電セルに接続され、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電による導通経路となる蓄電タブであり、前記第1の金属板は、前記蓄電タブに接合される蓄電タブ接合用金属板であり、前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、前記蓄電セルから、前記蓄電タブ、前記蓄電タブ接合用金属板、前記半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、前記半導体素子は、スイッチング素子であり、前記スイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御する。
【0011】
本開示の一態様に係る蓄電パックは、上記第1の半導体装置および上記第2の半導体装置と、前記第1の半導体装置における前記接合準備領域に接合された前記第2の金属板である第4の金属板と、前記第2の半導体装置における前記接合準備領域に接合された前記第2の金属板である第5の金属板と、前記第1の半導体装置における前記半導体素子である第1の半導体素子、および、前記第2の半導体装置における前記半導体素子である第2の半導体素子が実装された前記実装基板と、蓄電セルと、を備え、前記第4の金属板は、前記蓄電セルの正極端子に接続された第1の蓄電タブであり、前記第5の金属板は、前記蓄電セルの負極端子に接続された第2の蓄電タブであり、前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、前記第1の半導体装置における前記第1の金属板は、前記第1の蓄電タブに接合される第1の蓄電タブ接合用金属板であり、前記第2の半導体装置における前記第1の金属板は、前記第2の蓄電タブに接合される第2の蓄電タブ接合用金属板であり、前記第1の半導体素子は、第1のスイッチング素子であり、前記第2の半導体素子は、第2のスイッチング素子であり、前記蓄電セルから、前記第1の蓄電タブ、前記第1の蓄電タブ接合用金属板、前記第1の半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、前記蓄電セルから、前記第2の蓄電タブ、前記第2の蓄電タブ接合用金属板、前記第2の半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御し、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子は複数であり、前記第2のスイッチング素子における前記基板接続端子は複数であり、さらに、前記保護回路基板に備わる、前記第1の蓄電タブと同電位の第1の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの1つである第1の基板接続端子に接続された前記第1の配線と、前記保護回路基板に備わる第2の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの、前記第1の基板接続端子以外の1つに接続された前記第2の配線と、前記第2の配線に接続された蓄電パック正極端子と、前記保護回路基板に備わる、前記第2の蓄電タブと同電位の第3の配線であって、前記第2のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの1つである第2の基板接続端子に接続された前記第3の配線と、前記保護回路基板に備わる第4の配線であって、前記第2のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの、前記第2の基板接続端子以外の1つに接続された前記第4の配線と、前記第4の配線に接続された蓄電パック負極端子と、を備える。
【0012】
本開示の一態様に係る蓄電パックは、上記第1の半導体装置と、前記第1の半導体装置における前記接合準備領域に接合された前記第2の金属板である第4の金属板と、前記第1の半導体装置における前記半導体素子である第1の半導体素子が実装された前記実装基板と、前記実装基板にフェイスダウンで実装されたチップサイズパッケージ型の第2の半導体素子と、蓄電セルと、前記蓄電セルの正極端子に接続された第2の蓄電タブと、第3の主面で前記第2の半導体素子と接続し、前記第3の主面と背向する第4の主面で前記第2の蓄電タブと接合する、厚さ0.2mm以下の部分を有する第2の蓄電タブ接合用金属板と、を備え、前記第4の金属板は、前記蓄電セルの負極端子に接続された第1の蓄電タブであり、前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、前記第1の半導体装置における前記第1の金属板は、前記第1の蓄電タブに接合される第1の蓄電タブ接合用金属板であり、前記第1の半導体素子は、第1のスイッチング素子であり、前記第2の半導体素子は、第2のスイッチング素子であり、前記蓄電セルから、前記第1の蓄電タブ、前記第1の蓄電タブ接合用金属板、前記第1の半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、前記蓄電セルから、前記第2の蓄電タブ、前記第2の蓄電タブ接合用金属板、前記保護回路基板の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、前記保護回路基板の平面視において、前記第2の蓄電タブと前記第2の蓄電タブ接合用金属板と前記第2の半導体素子と前記保護回路基板とが重複する重複部分が存在し、前記保護回路基板の平面視において、前記第2の蓄電タブと前記保護回路基板との間に電流が流れ得る領域と、前記重複部分とが重複する部分が存在し、前記第2の蓄電タブ接合用金属板は、前記第4の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げられており、折り曲げられる前の状態の前記第2の蓄電タブ接合用金属板の平面視において、前記第2の蓄電タブ接合用金属板と前記第2の蓄電タブとが接合する領域と、前記第2の蓄電タブ接合用金属板と前記第2の半導体素子とが接続する領域と、は重複せず、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御し、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子は複数であり、さらに、前記保護回路基板に備わる、前記第1の蓄電タブと同電位の第1の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの1つである第1の基板接続端子に接続された前記第1の配線と、前記保護回路基板に備わる第2の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの、前記第1の基板接続端子以外の1つに接続された前記第2の配線と、前記保護回路基板に備わる第3の配線であって、前記第2の配線に前記第2のスイッチング素子を介して接続された前記第3の配線と、前記第3の配線に接続された蓄電パック負極端子と、前記保護回路基板に備わる、前記第2の蓄電タブと同電位の第4の配線と、前記第4の配線に接続された蓄電パック正極端子と、を備える。
【0013】
本開示の一態様に係る半導体装置の製造方法は、第1の金属板の第1の主面に半導体素子を接続する第1の工程と、前記第1の工程の後に、前記半導体素子を実装基板に実装する第2の工程と、前記第2の工程の後に、前記第1の金属板の、前記第1の主面と背向する第2の主面に、第2の金属板を接合する第3の工程と、前記第3の工程の後に、前記第1の金属板を、(1)前記第2の主面同士が対面する部分を有するように、(2)前記半導体素子の平面視において、前記第1の金属板と前記半導体素子とが接続する領域と、前記第1の金属板と前記第2の金属板とが接合する領域とが、前記第1の金属板を挟んで重複する部分を有するように、折り曲げる第4の工程と、前記第3の工程の後に、前記第2の金属板を、前記第1の金属板と接合する面同士が対面する部分を有するように折り曲げる第5の工程と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様に係る蓄電パック、半導体装置、および、半導体装置の製造方法によると、保護回路基板の小型化を実現することができる蓄電パック、半導体装置、および、その半導体装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施の形態1に係る蓄電パックの構成を示す平面図である。
図2A図2Aは、実施の形態1に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図2B図2Bは、実施の形態1に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図3図3は、実施の形態1に係る第1の半導体素子の回路図である。
図4図4は、実施の形態1に係る第1の半導体素子の構造の一例を示す断面図である。
図5図5は、実施の形態1に係る第1の半導体素子の構造の一例を示す平面図である。
図6図6は、実施の形態1に係る第1の金属板の平面図の一例である。
図7図7は、実施の形態1に係る第1の金属板の平面図の他の一例である。
図8図8は、実施の形態1に係る第1の半導体装置の平面図である。
図9図9は、実施の形態1に係る第1の半導体装置の平面図である。
図10図10は、実施の形態1に係る第1の半導体装置の平面図である。
図11図11は、実施の形態1に係る第1の半導体素子の各角の近傍を説明するための図である。
図12図12は、実施の形態1に係る蓄電パックの回路図である。
図13図13は、実施の形態1に係る保護回路基板および第1の半導体素子の断面図である。
図14図14は、実施の形態1に係る保護回路基板および第1の半導体素子の断面図である。
図15図15は、実施の形態2に係る蓄電パックの構成を示す平面図である。
図16A図16Aは、実施の形態2に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図16B図16Bは、実施の形態2に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図17図17は、実施の形態3に係る蓄電パックの構成を示す平面図である。
図18A図18Aは、実施の形態3に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図18B図18Bは、実施の形態3に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図19図19は、実施の形態4に係る蓄電パックの構成を示す平面図である。
図20A図20Aは、実施の形態4に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図20B図20Bは、実施の形態4に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図21図21は、実施の形態5に係る蓄電パックの構成を示す平面図である。
図22A図22Aは、実施の形態5に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図22B図22Bは、実施の形態5に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図23図23は、実施の形態5に係る第1の半導体素子の回路図である。
図24図24は、実施の形態5に係る蓄電パックの回路図である。
図25A図25Aは、実施の形態5に係る蓄電パックの他の構成の回路図である。
図25B図25Bは、実施の形態5に係る蓄電パックの他の構成の回路図である。
図26図26は、変形例1に係る第1の半導体素子の回路図である。
図27図27は、変形例1に係る蓄電パックの回路図である。
図28図28は、変形例2に係る蓄電パックの回路図である。
図29図29は、変形例3に係る蓄電パックの回路図である。
図30図30は、実施の形態6に係る蓄電パックの構成を示す平面図である。
図31A図31Aは、実施の形態6に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図31B図31Bは、実施の形態6に係る蓄電パックの構成を示す断面図である。
図32図32は、実施の形態6に係る蓄電パックの回路図である。
図33A図33Aは、半導体装置の製造方法の第0の工程における製造途中の第1の半導体装置の断面図である。
図33B図33Bは、半導体装置の製造方法の第1の工程における製造途中の第1の半導体装置の断面図である。
図33C図33Cは、半導体装置の製造方法の第2の工程における製造途中の第1の半導体装置の断面図である。
図33D図33Dは、半導体装置の製造方法の第3の工程における製造途中の第1の半導体装置の断面図である。
図33E図33Eは、半導体装置の製造方法の第4の工程における製造途中の第1の半導体装置の断面図である。
図33F図33Fは、半導体装置の製造方法の第5の工程における製造途中の第1の半導体装置の断面図である。
図34図34は、実施の形態6に係る蓄電パックの他の構成を示す断面図である。
図35A図35Aは、実施の形態3に係る蓄電パックの他の構成を示す断面図である。
図35B図35Bは、実施の形態3に係る蓄電パックの他の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
発明者らは、蓄電パックで利用される半導体装置を開発している。発明者らは、この開発を通じて、蓄電パックに含まれる保護回路基板の小型化を実現すべく、鋭意、実験、検討を繰り返し行った。その結果、発明者らは、下記本開示の一態様に係る蓄電パック、下記本開示の一態様に係る半導体装置、および、下記本開示の一態様に係る半導体装置の製造方法に想到した。
【0017】
本開示の一態様に係る蓄電パックは、蓄電セルと、前記蓄電セルに接続された、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電による導通経路となる蓄電タブと、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板と、前記保護回路基板にフェイスダウンで実装されたチップサイズパッケージ型の半導体素子と、第1の主面で前記半導体素子と接続し、厚さ0.2mm以下の部分を有する蓄電タブ接合用金属板と、を備え、前記蓄電タブ接合用金属板は、前記第1の主面と背向する第2の主面で、前記蓄電タブに、前記保護回路基板の平面視において、前記蓄電タブと前記蓄電タブ接合用金属板と前記半導体素子と前記保護回路基板とが重複する重複部分を有するように接合され、前記保護回路基板の平面視において、前記蓄電タブと前記保護回路基板との間で前記導通経路となり得る領域と、前記重複部分とが重複する部分が存在する。
【0018】
従来の蓄電パックにおいて、蓄電セルに接続された蓄電タブは、半導体素子が実装された保護回路基板に接続される。
【0019】
これに対して、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、蓄電セルに接続された蓄電タブは、保護回路基板に実装された半導体素子に接続された蓄電タブ接合用金属板に接合される。
【0020】
このため、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、従来の蓄電パックにおいて必要となる、保護回路基板における蓄電タブを接続するための領域が不要となる。
【0021】
したがって、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、保護回路基板の小型化を実現することができる。
【0022】
なお、本明細書において、「接合する」という用語は、直接、間接は問わず、物理的に接触して接続する状態であって、着脱が自由でない状態のことを言う。また、本明細書において、「接続する」という用語は、「接合する」という用語の意味に加えて、物理的でない(例えば、電気的な)つながりを含む、つながっている状態のことを言う。
【0023】
また、前記蓄電タブ接合用金属板は、前記第2の主面同士が前記蓄電タブを挟んで対面する部分を有するように、前記厚さ0.2mm以下の部分で折り曲げられており、折り曲げられる前の状態の前記蓄電タブ接合用金属板の平面視において、前記蓄電タブ接合用金属板と前記蓄電タブとが接合する領域と、前記蓄電タブ接合用金属板と前記半導体素子とが接続する領域とは重複しないとしてもよい。
【0024】
上記構成の蓄電パックにおいて、折り曲げられる前の状態の蓄電タブ接合用金属板の平面視において、蓄電タブ接合用金属板と蓄電タブとが接合する領域と、蓄電タブ接合用金属板と半導体素子とが接続する領域とが離れている。このため、蓄電タブ接合用金属板と蓄電タブとを接合する際に発生する熱による半導体素子への悪影響、および、蓄電タブ接合用金属板と蓄電タブとを接合する際に生じる物理的な衝撃による半導体素子への悪影響を抑制することができる。
【0025】
さらに、蓄電タブ接合用金属板が折り曲げられていることにより、蓄電パック自身の小型化を実現することができる。
【0026】
また、前記半導体素子は、スイッチング素子であり、前記スイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御するとしてもよい。
【0027】
これにより、半導体素子を用いて、蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護機能を実現することができる。
【0028】
本開示の一態様に係る半導体装置は、複数の外部接続端子を有するチップサイズパッケージ型の半導体素子と、厚さ0.2mm以下の部分を有する第1の金属板と、を備え、前記半導体素子の一方の主面には、前記第1の金属板が接続され、前記半導体素子の、前記一方の主面と背向する他方の主面には、前記複数の外部接続端子のうちの、前記半導体素子が実装される実装基板に接続される基板接続端子が備わり、前記第1の金属板の第1の主面であって、前記半導体素子と接続する前記第1の主面と背向する前記第1の金属板の第2の主面には、第2の金属板と接合するための接合準備領域が備わり、前記接合準備領域は、前記第1の金属板の平面視において、前記第1の金属板と前記半導体素子とが接続する接続領域と重複せず、前記第1の金属板の電位は、前記複数の外部接続端子のうちの少なくとも1つの電位と同電位であり、前記第1の金属板は、前記第2の主面同士が対面する部分を有するように、前記厚さ0.2mm以下の部分で折り曲げ可能である。
【0029】
上述したように、従来の蓄電パックにおいて、蓄電セルに接続された蓄電タブは、半導体素子が実装された保護回路基板に接続される。
【0030】
これに対して、上記本開示の一態様に係る半導体装置によると、この半導体素子が実装基板としての保護回路基板に実装され、第1の金属板の接合準備領域に、第2の金属板としての蓄電タブが接合されることにより、蓄電パックを実現することができる。
【0031】
この蓄電パックにおいて、蓄電セルに接続された蓄電タブは、保護回路基板に実装された半導体素子に接続された蓄電タブ接合用金属板に接合される。
【0032】
このため、上記本開示の一態様に係る半導体装置によると、従来の蓄電パックにおいて必要となる、保護回路基板における蓄電タブを接続するための領域が不要となる。
【0033】
したがって、上記本開示の一態様に係る半導体装置によると、保護回路基板の小型化を実現することができる。
【0034】
さらに、上記本開示の一態様に係る半導体装置によると、第1の金属板の平面視において、接合準備領域と接続領域とが離れているため、第1の金属板と、第2の金属板としての蓄電タブとを接合する際に発生する熱による半導体素子への悪影響、および、第1の金属板と蓄電タブとを接合する際に生じる物理的な衝撃による半導体素子への悪影響を抑制することができる。
【0035】
さらに、第1の金属板に第2の金属板としての蓄電タブが接合されることにより、蓄電タブを使って放熱することができるため、放熱性を高めることができる。
【0036】
また、さらに、前記第1の主面に、前記半導体素子を前記実装基板に実装する際に、前記半導体素子と共に前記実装基板に実装される1以上の金属部材を備え、前記第1の主面と前記1以上の金属部材とが接続する領域のそれぞれは、前記第1の金属板の平面視において、前記接合準備領域と重複しないとしてもよい。
【0037】
また、前記第1の金属板は、折り曲げ軸において、前記第2の主面同士が対面する部分を有するように、前記厚さ0.2mm以下の部分で折り曲げ可能であり、前記接合準備領域と前記接続領域とは、前記第1の金属板の平面視において、前記折り曲げ軸を挟む一方の側と他方の側に位置するとしてもよい。
【0038】
また、前記第1の金属板は、前記厚さ0.2mm以下の部分にある折り曲げ軸において、前記第2の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げ可能であり、前記半導体素子は、前記半導体素子の平面視において、第1の辺を有する矩形であり、前記半導体素子は、前記第1の辺が前記折り曲げ軸に直交する向きに、前記第1の金属板と接続され、前記第1の金属板の平面視における、前記第1の金属板の前記折り曲げ軸に直交する向きの長さは、前記半導体素子の平面視における、前記第1の辺の長さの2倍以上であるとしてもよい。
【0039】
また、前記第1の金属板は、前記厚さ0.2mm以下の部分にある折り曲げ軸において、前記第2の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げ可能であり、前記第1の金属板は、前記第1の金属板の平面視において、前記折り曲げ軸に直交する方向に伸びる略直線状の第1の略直線状辺および第2の略直線状辺を有する略矩形であり、前記第1の略直線状辺および前記第2の略直線状辺のそれぞれは、前記第1の金属板の平面視において、前記第1の金属板の内側に凹む凹部を有するとしてもよい。
【0040】
これにより、凹部における第1の金属板の折り曲げが比較的容易になる。
【0041】
また、前記1以上の金属部材は、前記第1の金属板と同じ材料で構成され、前記1以上の金属部材と前記第1の金属板とは一体化されているとしてもよい。
【0042】
また、さらに、前記半導体素子と前記第1の金属板との間に、第3の金属板を備え、前記第3の金属板は、前記半導体素子と前記一方の主面において接続され、前記第1の金属板と前記第1の主面において接続され、前記一方の主面には、前記第3の金属板を介して前記第1の金属板が接続されるとしてもよい。
【0043】
また、さらに、前記第3の金属板の、前記第3の金属板が前記半導体素子と接続する主面に、前記半導体素子を前記実装基板に実装する際に、前記半導体素子と共に前記実装基板に実装される1以上の金属部材を備え、前記主面と前記1以上の金属部材とが接続する領域のそれぞれは、前記第1の金属板の平面視において、前記接合準備領域と重複しないとしてもよい。
【0044】
また、前記第1の金属板は、前記第2の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げられており、前記半導体素子の平面視において、前記半導体素子と前記接合準備領域とが前記第1の金属板を挟んで重複する部分が存在するとしてもよい。
【0045】
これにより、第1の金属板が折り曲げられていることで、半導体装置の小型化を実現することができる。
【0046】
また、前記半導体素子は、前記基板接続端子を介して前記実装基板にフェイスダウンで実装されており、前記第1の金属板は、前記接合準備領域において前記第2の金属板と接合されているとしてもよい。
【0047】
また、前記半導体素子は、前記基板接続端子を介して前記実装基板にフェイスダウンで実装されており、前記第1の金属板は、前記接合準備領域において前記第2の金属板と接合されており、前記第2の金属板は、前記第1の金属板と接合する面同士が前記第1の金属板を挟んで対面する部分を有するように折り曲げられており、前記実装基板の平面視において、前記第2の金属板と前記第1の金属板と前記半導体素子と前記実装基板とが重複する重複部分が存在し、前記実装基板の平面視において、前記第2の金属板と前記実装基板との間に電流が流れ得る領域と、前記重複部分とが重複する部分が存在するとしてもよい。
【0048】
本開示の一態様に係る蓄電パックは、上記半導体装置と、前記第2の金属板と、前記実装基板と、蓄電セルとを備え、前記第2の金属板は、前記蓄電セルに接続された、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電による導通経路となる蓄電タブであり、前記第1の金属板は、前記蓄電タブに接合される蓄電タブ接合用金属板であり、前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、前記蓄電セルから、前記蓄電タブ、前記蓄電タブ接合用金属板、前記半導体素子の順に、またはその逆の順に、前記導通経路が形成される。
【0049】
上述したように、従来の蓄電パックにおいて、蓄電セルに接続された蓄電タブは、半導体素子が実装された保護回路基板に接続される。
【0050】
これに対して、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、蓄電セルに接続された蓄電タブは、保護回路基板に実装された半導体素子に接続された蓄電タブ接合用金属板に接合される。
【0051】
このため、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、従来の蓄電パックにおいて必要となる、保護回路基板における蓄電タブを接続するための領域が不要となる。
【0052】
したがって、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、保護回路基板の小型化を実現することができる。
【0053】
また、前記1以上の金属部材は、前記保護回路基板に接続されているとしてもよい。
【0054】
また、前記半導体素子は、前記半導体素子の平面視において、矩形であり、前記保護回路基板の長手方向と平行する方向の2つの辺を有し、前記1以上の金属部材は、前記2つの辺に沿って、少なくとも前記2つの辺の全長で対向するように配置された2つの金属部材を含むとしてもよい。
【0055】
これにより、半導体素子に掛かる応力の一部が、2つの金属部材に分散される。このため、保護回路基板から半導体素子がはがれにくくなる。また、半導体素子の一方の主面に対する、第1の金属板の第2の主面側からの圧力に対するプレス耐性を向上させることができる。
【0056】
また、前記半導体素子は、前記半導体素子の平面視において、矩形であり、前記保護回路基板の長手方向と直交する方向の2つの辺を有し、前記1以上の金属部材は、前記2つの辺に沿って、少なくとも前記2つの辺の全長で対向するように配置された2つの金属部材を含むとしてもよい。
【0057】
これにより、半導体素子に掛かる応力の一部が、2つの金属部材に分散される。このため、保護回路基板から半導体素子がはがれにくくなる。また、半導体素子の一方の主面に対する、第1の金属板の第2の主面側からの圧力に対するプレス耐性を向上させることができる。
【0058】
また、前記半導体素子は、前記半導体素子の平面視において矩形であり、前記1以上の金属部材は、前記半導体素子の4つの角のそれぞれの近傍に配置された4つの金属部材を含むとしてもよい。
【0059】
これにより、半導体素子に掛かる応力の一部が、4つの金属部材に分散される。このため、保護回路基板から半導体素子がはがれにくくなる。また、半導体素子の一方の主面に対する、第1の金属板の第2の主面側からの圧力に対するプレス耐性を向上させることができる。
【0060】
また、前記半導体素子は、スイッチング素子であり、前記スイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御するとしてもよい。
【0061】
これにより、半導体素子を用いて、蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護機能を実現することができる。
【0062】
また、前記スイッチング素子は、前記スイッチング素子の平面視において、前記他方の主面側に、前記スイッチング素子を分割する、互いに隣接する第1の領域と第2の領域とを含む複数の領域を有し、前記スイッチング素子は、さらに、前記第1の領域に形成された第1の縦型MOSトランジスタと、前記第2の領域に形成された第2の縦型MOSトランジスタと、を備え、前記基板接続端子は、複数であり、前記第1の縦型MOSトランジスタは、前記他方の主面に、前記基板接続端子である第1のソース端子と、前記基板接続端子であり、前記第1の縦型MOSトランジスタの導通状態を制御する第1のゲート端子と、を備え、前記第2の縦型MOSトランジスタは、前記他方の主面に、前記基板接続端子である第2のソース端子と、前記基板接続端子であり、前記第2の縦型MOSトランジスタの導通状態を制御する第2のゲート端子と、を備え、前記スイッチング素子は、さらに、前記一方の主面に、前記第1の縦型MOSトランジスタと前記第2の縦型MOSトランジスタとに共通するドレイン電極を備え、前記ドレイン電極は、絶縁性接着部材を介して前記蓄電タブ接合用金属板に接続され、前記1以上の金属部材のうちの少なくとも1つが、前記保護回路基板に形成された配線を介して、前記基板接続端子の中で、前記第1のソース端子のみと接続されているとしてもよい。
【0063】
これにより、半導体素子を用いて、蓄電タブから保護回路基板に流れる向きの電流による蓄電セルへの充電もしくは蓄電セルからの放電に対する、および、保護回路基板から蓄電タブに流れる向きの電流による蓄電セルへの充電もしくは蓄電セルからの放電に対する、蓄電セルの保護機能を実現することができる。
【0064】
また、前記基板接続端子は、複数であり、前記スイッチング素子は、前記他方の主面に、前記基板接続端子であるソース端子と、前記基板接続端子であるゲート端子とを備え、前記一方の主面に、前記外部接続端子であるドレイン電極を備える、縦型MOSトランジスタであり、前記ドレイン電極は、導電性接着部材を介して前記蓄電タブ接合用金属板に接続されているとしてもよい。
【0065】
これにより、半導体素子を用いて、蓄電タブから保護回路基板に流れる向きの電流による蓄電セルへの充電もしくは蓄電セルからの放電に対する、または、保護回路基板から蓄電タブに流れる向きの電流による蓄電セルへの充電もしくは蓄電セルからの放電に対する、蓄電セルの保護機能を実現することができる。
【0066】
本開示の一態様に係る蓄電パックは、上記半導体装置と、前記第2の金属板と、前記実装基板と、蓄電セルとを備え、前記第2の金属板は、前記接合準備領域で前記第1の金属板に接合され、前記第2の金属板は、前記蓄電セルに接続され、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電による導通経路となる蓄電タブであり、前記第1の金属板は、前記蓄電タブに接合される蓄電タブ接合用金属板であり、前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、前記蓄電セルから、前記蓄電タブ、前記蓄電タブ接合用金属板、前記半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、前記半導体素子は、スイッチング素子であり、前記スイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御する。
【0067】
上述したように、従来の蓄電パックにおいて、蓄電セルに接続された蓄電タブは、半導体素子が実装された保護回路基板に接続される。
【0068】
これに対して、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、蓄電セルに接続された蓄電タブは、保護回路基板に実装された半導体素子に接続された蓄電タブ接合用金属板に接合される。
【0069】
このため、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、従来の蓄電パックにおいて必要となる、保護回路基板における蓄電タブを接続するための領域が不要となる。
【0070】
したがって、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、保護回路基板の小型化を実現することができる。
【0071】
さらに、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、半導体素子を用いて、蓄電セルの保護機能を実現することができる。
【0072】
本開示の一態様に係る蓄電パックは、上記第1の半導体装置および上記第2の半導体装置と、前記第1の半導体装置における前記接合準備領域に接合された前記第2の金属板である第4の金属板と、前記第2の半導体装置における前記接合準備領域に接合された前記第2の金属板である第5の金属板と、前記第1の半導体装置における前記半導体素子である第1の半導体素子、および、前記第2の半導体装置における前記半導体素子である第2の半導体素子が実装された前記実装基板と、蓄電セルと、を備え、前記第4の金属板は、前記蓄電セルの正極端子に接続された第1の蓄電タブであり、前記第5の金属板は、前記蓄電セルの負極端子に接続された第2の蓄電タブであり、前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、前記第1の半導体装置における前記第1の金属板は、前記第1の蓄電タブに接合される第1の蓄電タブ接合用金属板であり、前記第2の半導体装置における前記第1の金属板は、前記第2の蓄電タブに接合される第2の蓄電タブ接合用金属板であり、前記第1の半導体素子は、第1のスイッチング素子であり、前記第2の半導体素子は、第2のスイッチング素子であり、前記蓄電セルから、前記第1の蓄電タブ、前記第1の蓄電タブ接合用金属板、前記第1の半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、前記蓄電セルから、前記第2の蓄電タブ、前記第2の蓄電タブ接合用金属板、前記第2の半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御し、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子は複数であり、前記第2のスイッチング素子における前記基板接続端子は複数であり、さらに、前記保護回路基板に備わる、前記第1の蓄電タブと同電位の第1の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの1つである第1の基板接続端子に接続された前記第1の配線と、前記保護回路基板に備わる第2の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの、前記第1の基板接続端子以外の1つに接続された前記第2の配線と、前記第2の配線に接続された蓄電パック正極端子と、前記保護回路基板に備わる、前記第2の蓄電タブと同電位の第3の配線であって、前記第2のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの1つである第2の基板接続端子に接続された前記第3の配線と、前記保護回路基板に備わる第4の配線であって、前記第2のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの、前記第2の基板接続端子以外の1つに接続された前記第4の配線と、前記第4の配線に接続された蓄電パック負極端子と、を備える。
【0073】
従来の蓄電パックにおいて、蓄電セルの正極端子に接続された第1の蓄電タブと、蓄電セルの負極端子に接続された第2の蓄電タブとは、それぞれ、第1の半導体素子と第2の半導体素子とが実装された保護回路基板に接続される。
【0074】
これに対して、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、蓄電セルの正極端子に接続された第1の蓄電タブは、保護回路基板に実装された第1の半導体素子に接続された第1の蓄電タブ接合用金属板に接合され、蓄電セルの負極端子に接続された第2の蓄電タブは、保護回路基板に実装された第2の半導体素子に接続された第2の蓄電タブ接合用金属板に接合される。
【0075】
このため、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、従来の蓄電パックにおいて必要となる、保護回路基板における、第1の蓄電タブを接続するための領域、および、第2の蓄電タブを接続するための領域が不要となる。
【0076】
したがって、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、保護回路基板の小型化を実現することができる。
【0077】
さらに、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、第1の半導体素子と第2の半導体素子を用いて、蓄電セルのハイサイド側における電流経路と、蓄電セルのローサイド側における電流経路とのそれぞれを用いた蓄電セルの2重の保護機能を実現することができる。
【0078】
本開示の一態様に係る蓄電パックは、上記第1の半導体装置と、前記第1の半導体装置における前記接合準備領域に接合された前記第2の金属板である第4の金属板と、前記第1の半導体装置における前記半導体素子である第1の半導体素子が実装された前記実装基板と、前記実装基板にフェイスダウンで実装されたチップサイズパッケージ型の第2の半導体素子と、蓄電セルと、前記蓄電セルの正極端子に接続された第2の蓄電タブと、第3の主面で前記第2の半導体素子と接続し、前記第3の主面と背向する第4の主面で前記第2の蓄電タブと接合する、厚さ0.2mm以下の部分を有する第2の蓄電タブ接合用金属板と、を備え、前記第4の金属板は、前記蓄電セルの負極端子に接続された第1の蓄電タブであり、前記実装基板は、前記蓄電セルを過充電または過放電から保護する保護回路基板であり、前記第1の半導体装置における前記第1の金属板は、前記第1の蓄電タブに接合される第1の蓄電タブ接合用金属板であり、前記第1の半導体素子は、第1のスイッチング素子であり、前記第2の半導体素子は、第2のスイッチング素子であり、前記蓄電セルから、前記第1の蓄電タブ、前記第1の蓄電タブ接合用金属板、前記第1の半導体素子の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、前記蓄電セルから、前記第2の蓄電タブ、前記第2の蓄電タブ接合用金属板、前記保護回路基板の順に、またはその逆の順に、電流が流れる電流経路が形成され、前記保護回路基板の平面視において、前記第2の蓄電タブと前記第2の蓄電タブ接合用金属板と前記第2の半導体素子と前記保護回路基板とが重複する重複部分が存在し、前記保護回路基板の平面視において、前記第2の蓄電タブと前記保護回路基板との間に電流が流れ得る領域と、前記重複部分とが重複する部分が存在し、前記第2の蓄電タブ接合用金属板は、前記第4の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げられており、折り曲げられる前の状態の前記第2の蓄電タブ接合用金属板の平面視において、前記第2の蓄電タブ接合用金属板と前記第2の蓄電タブとが接合する領域と、前記第2の蓄電タブ接合用金属板と前記第2の半導体素子とが接続する領域と、は重複せず、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子は、前記保護回路基板において、前記蓄電セルへの充電もしくは前記蓄電セルからの放電を制御し、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子は複数であり、さらに、前記保護回路基板に備わる、前記第1の蓄電タブと同電位の第1の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの1つである第1の基板接続端子に接続された前記第1の配線と、前記保護回路基板に備わる第2の配線であって、前記第1のスイッチング素子における前記基板接続端子のうちの、前記第1の基板接続端子以外の1つに接続された前記第2の配線と、前記保護回路基板に備わる第3の配線であって、前記第2の配線に前記第2のスイッチング素子を介して接続された前記第3の配線と、前記第3の配線に接続された蓄電パック負極端子と、前記保護回路基板に備わる、前記第2の蓄電タブと同電位の第4の配線と、前記第4の配線に接続された蓄電パック正極端子と、を備える。
【0079】
従来の蓄電パックにおいて、蓄電セルの正極端子に接続された第1の蓄電タブと、蓄電セルの負極端子に接続された第2の蓄電タブとは、それぞれ、第1の半導体素子と第2の半導体素子とが実装された保護回路基板に接続される。
【0080】
これに対して、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、蓄電セルの正極端子に接続された第1の蓄電タブは、保護回路基板に実装された第1の半導体素子に接続された第1の蓄電タブ接合用金属板に接合され、蓄電セルの負極端子に接続された第2の蓄電タブは、保護回路基板に実装された第2の半導体素子に接続された第2の蓄電タブ接合用金属板に接合される。
【0081】
このため、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、従来の蓄電パックにおいて必要となる、保護回路基板における、第1の蓄電タブを接続するための領域、および、第2の蓄電タブを接続するための領域が不要となる。
【0082】
したがって、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、保護回路基板の小型化を実現することができる。
【0083】
さらに、上記本開示の一態様に係る蓄電パックによると、第1の半導体素子と第2の半導体素子を用いて、蓄電セルのローサイド側における電流経路のみを用いた蓄電セルの2重の保護機能を実現することができる。
【0084】
本開示の一態様に係る半導体装置の製造方法は、第1の金属板の第1の主面に半導体素子を接続する第1の工程と、前記第1の工程の後に、前記半導体素子を実装基板に実装する第2の工程と、前記第2の工程の後に、前記第1の金属板の、前記第1の主面と背向する第2の主面に、第2の金属板を接合する第3の工程と、前記第3の工程の後に、前記第1の金属板を、(1)前記第2の主面同士が対面する部分を有するように、(2)前記半導体素子の平面視において、前記第1の金属板と前記半導体素子とが接続する領域と、前記第1の金属板と前記第2の金属板とが接合する領域とが、前記第1の金属板を挟んで重複する部分を有するように、折り曲げる第4の工程と、前記第3の工程の後に、前記第2の金属板を、前記第1の金属板と接合する面同士が対面する部分を有するように折り曲げる第5の工程と、を含む。
【0085】
上述したように、従来の蓄電パックにおいて、蓄電セルに接続された蓄電タブは、半導体素子が実装された保護回路基板に接続される。
【0086】
これに対して、上記本開示の一態様に係る半導体装置の製造方法によると、この半導体素子を実装基板としての保護回路基板に実装し、第2の主面に第2の金属板としての蓄電タブが接続されることにより、蓄電パックを実現することができる。
【0087】
この蓄電パックにおいて、蓄電セルに接続された蓄電タブは、保護回路基板に実装された半導体素子に接続された蓄電タブ接合用金属板に接合される。
【0088】
このため、上記本開示の一態様に係る半導体装置の製造方法によると、従来の蓄電パックにおいて必要となる、保護回路基板における蓄電タブを接続するための領域が不要となる。
【0089】
したがって、上記本開示の一態様に係る半導体装置の製造方法によると、保護回路基板の小型化を実現することができる。
【0090】
また、さらに、前記第1の工程の前に、1以上の金属部材を備える第3の金属板を前記半導体素子に接続する第6の工程を含み、前記第1の工程では、前記第3の金属板を介して、前記第1の主面に前記半導体素子を接続するとしてもよい。
【0091】
以下、本開示の一態様に係る蓄電パック、半導体装置、および、半導体装置の製造方法の具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ならびに、ステップ(工程)およびステップの順序等は、一例であって本開示を限定する趣旨ではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0092】
(実施の形態1)
<構成>
以下、実施の形態1に係る蓄電パックの構成について説明する。
【0093】
図1は、実施の形態1に係る蓄電パック100の構成を示す平面図である。図2Aは、図1のI-Iにおける切断面を示す断面図である。図2Bは、図1のII-IIにおける切断面を示す断面図である。図1において、実際には直接視認できない部分の一部について、あたかも視認できるかのように破線で図示している。
【0094】
図1図2A図2Bに示すように、蓄電パック100は、蓄電セル3と、第1の蓄電タブ80Aと、第2の蓄電タブ80Bと、第1の半導体装置1Aと、第2の半導体装置1Bと、保護回路基板60とを備える。なお、本明細書において、第1の蓄電タブ80Aのことを第2の金属板80Aとも称し、第2の蓄電タブ80Bのことを第2の金属板80Bとも称し、保護回路基板60のことを、実装基板60とも称する。
【0095】
蓄電セル3は、正極端子36(図1、2A、2Bには図示されず、後述の図12参照)と負極端子37(図1、2A、2Bには図示されず、後述の図12参照)とを備え、正極端子36と負極端子37との間に電気エネルギーを蓄電する。蓄電セル3は、正極端子36および負極端子37を介して充電および放電することができる。蓄電セルは、例えば、リチウムイオン電池等に代表される二次電池であってもよいし、例えば、リチウムイオンキャパシタ等に代表されるキャパシタであってもよい。以下では、蓄電セル3は、リチウムイオン電池等に代表される二次電池であるとして説明する。
【0096】
第1の蓄電タブ80Aは、蓄電セル3の正極端子36に接続された金属板である。第1の蓄電タブ80Aは、限定されない一例として、アルミニウムを含む金属材料で構成される。
【0097】
第2の蓄電タブ80Bは、蓄電セル3の負極端子37に接続された金属板である。第2の蓄電タブ80Bは、限定されない一例として、銅を含む金属材料に対してニッケルメッキした金属材料で構成される。
【0098】
第1の蓄電タブ80Aおよび第2の蓄電タブ80Bは、蓄電セル3への充電もしくは蓄電セル3からの放電による導通経路の一部を成す。
【0099】
第1の半導体装置1Aは、第1の半導体素子2Aと、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aと、第3の金属板75Aと、1以上の金属部材85Aとを備える。なお、本明細書において、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aのことを第1の金属板70Aとも称する。
【0100】
第1の半導体素子2Aは、複数の外部接続端子(ここでは、後述の、第1のゲート端子119、第1のソース端子111、第2のゲート端子129、第2のソース端子121、および、ドレイン電極30(図1図2Aには図示せず、例えば図3図4等参照)が該当)を有するチップサイズパッケージ型の半導体デバイスである。ここでは、第1の半導体素子2Aは、複数の外部接続端子のうちの複数の基板接続端子(ここでは、後述の、第1のゲート端子119、第1のソース端子111、第2のゲート端子129、および、第2のソース端子121が該当)を介して保護回路基板60にフェイスダウンで実装されている。なお、本明細書において、ドレイン電極30のことを、金属層30とも称する。
【0101】
第1の半導体素子2Aは、1個以上の縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが形成された半導体デバイスである。以下では、一例として、第1の半導体素子2Aは、2個の縦型MOSトランジスタが形成された半導体デバイスであるとして説明するが、第1の半導体素子2Aは、1個以上の縦型MOSトランジスタが形成された半導体デバイスであれば、必ずしも、2個の縦型MOSトランジスタが形成された半導体デバイスに限定される必要はない。
【0102】
図3は、第1の半導体素子2Aの回路図である。
【0103】
図3に示すように、第1の半導体素子2Aは、第1の縦型MOSトランジスタ10と、第2の縦型MOSトランジスタ20とを備える。また、第1の半導体素子2Aは、複数の外部接続端子として、第1のゲート端子119、1個以上の第1のソース端子111、第2のゲート端子129、1個以上の第2のソース端子121、および、ドレイン電極30を備える。
【0104】
図4は、第1の半導体素子2Aの構造の一例を示す断面図である。図5は、第1の半導体素子2Aの構成の一例を示す平面図である。図4は、図5のIII-IIIにおける切断面を示す。
【0105】
図4および図5に示すように、第1の半導体素子2Aは、半導体層40と、金属層30と、半導体層40内の第1の領域A1に形成された第1の縦型MOSトランジスタ10と、半導体層40内の第2の領域A2に形成された第2の縦型MOSトランジスタ20と、を有する。ここで、図4に示すように、第1の領域A1と第2の領域A2とは、半導体層40の平面視において互いに隣接する。
【0106】
半導体層40は、半導体基板32と低濃度不純物層33とが積層されて構成される。
【0107】
半導体基板32は、半導体層40の下面側に配置され、第1導電型の不純物を含むシリコンからなる。
【0108】
低濃度不純物層33は、半導体層40の上面側に配置され、半導体基板32に接触して形成され、半導体基板32の第1導電型の不純物の濃度より低い濃度の第1導電型の不純物を含む。低濃度不純物層33は、例えば、エピタキシャル成長により半導体基板32上に形成されてもよい。
【0109】
酸化膜34は、半導体層40の上面に積層され、低濃度不純物層33に接触して形成される。
【0110】
保護層35は、半導体層40および酸化膜34の上面に接触して形成され、半導体層40および酸化膜34の上面の少なくとも一部を被覆する。
【0111】
金属層30は、半導体基板32の下面全面に接触して形成される。なお、金属層30には、金属材料の製造工程において不純物として混入する金属以外の元素が微量に含まれていてもよい。ここで、金属層30は、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20との共通のドレイン電極として機能する。
【0112】
また、図4および図5に示すように、第1の縦型MOSトランジスタ10は、半導体層40の上面に、フェイスダウン実装時に実装基板60に導電性材料81(例えば、はんだ、図2A参照)を介して接合される、1個以上(ここでは6個)の第1のソース端子111(ここでは、第1のソース端子111a、111b、111c、111d、111e、および、111f)、および、第1のゲート端子119を有する。また、第2の縦型MOSトランジスタ20は、半導体層40の上面に、フェイスダウン実装時に実装基板60に導電性材料81を介して接合される、1個以上(ここでは6個)の第2のソース端子121(ここでは、第2のソース端子121a、121b、121c、121d、121e、および、121f)、および、第2のゲート端子129を有する。
【0113】
図4、および、図5に示すように、平面視において、半導体層40は矩形形状である。
【0114】
図5において、中央線90は、半導体層40の平面視において、矩形形状である半導体層40を、第1の方向に二等分する線である。
【0115】
境界90Cは、第1の領域A1と第2の領域A2との境界である。境界90Cは、半導体層40の平面視において、半導体層40を面積で二等分するが、必ずしも一直線である必要はない。半導体層40の平面視において、中央線90と境界90Cとは、一致する場合も一致しない場合もあり得る。
【0116】
なお、第1のゲート端子119の数、および、第2のゲート端子129の数は、それぞれ、必ずしも図5に例示された1個に限定される必要はない。
【0117】
なお、1個以上の第1のソース端子111の数、および、1個以上の第2のソース端子121の数は、それぞれ、必ずしも図5に例示された6個に限定される必要はなく、6個以外の1以上の数であっても構わない。
【0118】
図4および図5に示すように、低濃度不純物層33の第1の領域A1には、第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第1のボディ領域18が形成されている。第1のボディ領域18には、第1導電型の不純物を含む第1のソース領域14、第1のゲート導体15、および第1のゲート絶縁膜16が形成されている。第1のソース電極11は部分12と部分13とからなり、部分12は、部分13を介して第1のソース領域14および第1のボディ領域18に接続されている。第1のゲート導体15は、第1のゲート端子119に電気的に接続される。
【0119】
第1のソース電極11の部分12は、フェイスダウン実装におけるリフロー時に導電性材料81と接合される層であり、限定されない一例として、ニッケル、チタン、タングステン、パラジウムのうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。部分12の上面には、金などのめっきが施されてもよい。
【0120】
第1のソース電極11の部分13は、部分12と半導体層40とを接続する層であり、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
【0121】
低濃度不純物層33の第2の領域A2には、第2導電型の不純物を含む第2のボディ領域28が形成されている。第2のボディ領域28には、第1導電型の不純物を含む第2のソース領域24、第2のゲート導体25、および第2のゲート絶縁膜26が形成されている。第2のソース電極21は部分22と部分23とからなり、部分22は、部分23を介して第2のソース領域24および第2のボディ領域28に接続されている。第2のゲート導体25は、第2のゲート端子129に電気的に接続される。
【0122】
第2のソース電極21の部分22は、フェイスダウン実装におけるリフロー時に導電性材料81と接合される層であり、限定されない一例として、ニッケル、チタン、タングステン、パラジウムのうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。部分22の上面には、金などのめっきが施されてもよい。
【0123】
第2のソース電極21の部分23は、部分22と半導体層40とを接続する層であり、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
【0124】
第1の縦型MOSトランジスタ10および第2の縦型MOSトランジスタ20の上記構成により、低濃度不純物層33と半導体基板32とは、第1の縦型MOSトランジスタ10の第1のドレイン領域および第2の縦型MOSトランジスタ20の第2のドレイン領域が共通化された、共通ドレイン領域として機能する。
【0125】
図4に示すように、第1のボディ領域18は、開口を有する酸化膜34で覆われ、酸化膜34の開口を通して、第1のソース領域14に接続される第1のソース電極11の部分13が設けられている。酸化膜34および第1のソース電極11の部分13は、開口を有する保護層35で覆われ、保護層35の開口を通して第1のソース電極11の部分13に接続される部分12が設けられている。
【0126】
第2のボディ領域28は、開口を有する酸化膜34で覆われ、酸化膜34の開口を通して、第2のソース領域24に接続される第2のソース電極21の部分23が設けられている。酸化膜34および第2のソース電極21の部分23は、開口を有する保護層35で覆われ、保護層35の開口を通して第2のソース電極21の部分23に接続される部分22が設けられている。
【0127】
従って、1個以上の第1のソース端子111および1個以上の第2のソース端子121は、それぞれ、第1のソース電極11および第2のソース電極21が第1の半導体素子2Aの上面に部分的に露出した領域、いわゆる端子の部分を指す。同様に、第1のゲート端子119および第2のゲート端子129は、それぞれ、第1のゲート電極(図示せず)および第2のゲート電極(図示せず)が第1の半導体素子2Aの上面に部分的に露出した領域、いわゆる端子の部分を指す。
【0128】
このように、第1の縦型MOSトランジスタ10は、第1の半導体素子2Aの他方の主面に、第1のソース端子111と、第1の縦型MOSトランジスタ10の導通状態を制御する第1のゲート端子119とを備える。また、第2の縦型MOSトランジスタ20は、第1の半導体素子2Aの他方の主面に、第2のソース端子121と、第2の縦型MOSトランジスタ20の導通状態を制御する第2のゲート端子129とを備える。そして、第1の半導体素子2Aは、第1の半導体素子2Aの一方の主面に、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20とに共通するドレイン電極30を備える。
【0129】
再び、図1図2Aに戻って、第1の半導体装置1Aの説明を続ける。
【0130】
第1の金属板70Aは、厚さ0.2mm以下の部分を有し、第1の主面において、第1の半導体素子2Aの一方の主面に接続される。ここで、一方の主面とは、第1の半導体素子2Aの2つの主面のうち、ドレイン電極30、すなわち、金属層30が形成される主面である。
【0131】
より具体的には、第1の金属板70Aは、第1の金属板70Aと第1の半導体素子2Aとの間に、後述の第3の金属板75Aを挟んで、第1の半導体素子2Aに接続される。
【0132】
ここで、第1の金属板70Aと第3の金属板75Aとは、導電性材料71(例えば、はんだ)を介して接続され、第3の金属板75Aと第1の半導体素子2Aの一方の主面とは、絶縁性材料72(例えば、絶縁性接着剤)を介して接続される。このため、第3の金属板75Aとドレイン電極30とは絶縁される。
【0133】
第1の金属板70Aは、限定されない一例として、アルミニウム、銅、銀を含む金属材料で構成される。
【0134】
なお、第1の金属板70Aは、少なくとも一部分で厚さ0.2mm以下となっていればよく、例えば、後述の折り曲げ軸74の部分のみが厚さ0.2mm以下となっているとしてもよい。
【0135】
第1の金属板70Aの第2の主面には、第2の金属板80A、すなわち、第1の蓄電タブ80Aを接合するための接合準備領域73Aが備わる。この接合準備領域73Aは、第1の金属板70Aの平面視において、第1の金属板70Aと第1の半導体素子2Aとが接続する接続領域と重複しない。
【0136】
接合準備領域73Aとは、第1の金属板70Aと第2の金属板80Aとが後に接合することとなる領域のことで、両者が接合する前の段階において、第1の金属板70Aに備わる一定の範囲のことである。
【0137】
第1の金属板70Aと第2の金属板80Aとの接合方法にもよるが、接合準備領域73Aには、後に両者の接合がされやすくなる何らの加工があらかじめ施されていてもよい。例えば、第1の金属板70Aでは接合準備領域73Aにおいてのみ、他の範囲とは異なる厚さや表面粗さになる加工が施されていてもよく、また、第1の金属板70Aを成す素材とは異なる別の素材が表面に形成されていてもよい。
【0138】
また、接合準備領域73Aには、何らかの加工が施されていなくてもよい。この場合、接合準備領域73Aは、第1の金属板70Aを平面視したときに、第1の金属板70Aのうち、折り曲げ軸74を基準にして第1の金属板70Aと第1の半導体素子2Aとが接続する領域とは反対側にある全ての領域に相当すると捉えてもよい。
【0139】
実施の形態1において、第1の金属板70Aは、接合準備領域73Aにおいて、第2の金属板80A、すなわち、第1の蓄電タブ80Aに接合されている。
【0140】
ここでは、第1の金属板70Aと第2の金属板80Aとは、溶接により接合されているとして説明する。しかしながら、第1の金属板70Aと第2の金属板80Aとは、導電性を有するように接合されていれば、必ずしも、溶接により接合される構成に限定される必要はない。第1の金属板70Aと第2の金属板80Aとは、例えば、はんだにより接合されるとしてもよい。
【0141】
第1の金属板70Aは、第2のソース端子121と導通する。より具体的には、第1の金属板70Aは、図2Aに示すように、後述の第3の金属板75Aと、後述の金属部材85Aと、実装基板60が備える第1の配線61であって、金属部材85Aと導電性材料81を介して接続し、第1の半導体素子2Aの複数の外部接続端子のうちの1つである第2のソース端子121と導電性材料81を介して接続する第1の配線61と、を介して、第2のソース端子121と導通する。このため、第1の金属板70Aは、第2のソース端子121と同電位である。
【0142】
また、第1の金属板70Aは、第2の主面同士が対面する部分を有するように、厚さ0.2mm以下の部分で折り曲げ可能である。
【0143】
折り曲げるとは、折り曲げ軸74に沿って第1の金属板70を山折り、谷折り、あるいは湾曲(後述の図18A等参照)させることである。折り曲げた後の第1の金属板Aの断面はU字型またはJ字型となるのが典型的である。
【0144】
本実施の形態1においては、第1の金属板70Aは折り曲げられていないが、折り曲げ可能な形状や素材であることを述べておく。前述したように第1の金属板70Aの厚さが0.2mm以下となる部分を有するのもこのためである。
【0145】
図6は、第1の金属板70Aの、第2の主面側から見た平面図の一例である。
【0146】
ところで、折り曲げ軸74とは、後に折り曲げられる第1の金属板70Aに備わる仮想的な軸であって、第1の金属板70Aは折り曲げ軸74に沿って折り曲げられる。
【0147】
折り曲げられる前の第1の金属板70Aにあっては、第1の金属板70Aを平面視したときに、第1の金属板70Aに、折り曲げ軸74の位置が特定される構造的な特徴が備わることが多い。しかし、第1の金属板70Aに何らの構造的な特徴が備わらない場合もあり得る。このような場合、第1の金属板70Aの内部における折り曲げ軸74の位置は、第1の半導体素子2Aの平面視において、第1の半導体素子2Aと接合準備領域73Aとが、第1の金属板70Aを挟んで重複する部分が存在するように第1の金属板70Aを折り曲げ可能な任意の位置であると捉えることができる。
【0148】
例えば、第1の金属板70Aは、図6に示すように、折り曲げ軸74において、第2の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げ可能であって、接合準備領域73Aと、第1の金属板70Aと第1の半導体素子2Aとが接続する接続領域とは、第1の金属板70Aの平面視において、折り曲げ軸74を挟む一方の側と他方の側とに位置するとしてもよい。
【0149】
これにより、第1の金属板70Aと第2の金属板80Aとを接合する際に発生する熱による第1の半導体素子2Aへの悪影響を軽減することができる。
【0150】
また、これにより、第1の金属板70Aと第2の金属板80Aとを接合する際に生じる物理的な衝撃による第1の半導体素子2Aへの悪影響を抑制することができる。
【0151】
また、図6に示すように、例えば、第1の半導体素子2Aは、第1の半導体素子2Aの第1の辺2A1が折り曲げ軸74に直交する向きに、第1の金属板70Aと接続され、第1の金属板70Aの平面視における、第1の金属板70Aの折り曲げ軸74に直交する向きの長さは、第1の辺2A1の長さの2倍以上であるとしてもよい。
【0152】
これにより、第1の金属板70Aは、第1の金属板70Aの平面視において、第1の半導体素子2Aとの接続領域の他に、当該接続領域と同等以上の面積で接合準備領域73Aを有することができるようになる。
【0153】
また、図6に示すように、例えば、第1の金属板70Aは、第1の金属板70Aの平面視において、折り曲げ軸74に直交する方向に伸びる略直線状の第1の略直線状辺76Aおよび第2の略直線状辺76Bを有する略矩形であり、第1の略直線状辺76Aと第2の略直線状辺76Bのそれぞれは、第1の金属板70Aの平面視において、第1の金属板70Aの内側に凹む凹部77Aおよび凹部77Bのそれぞれを有するとしてもよい。ここで、凹部77Aおよび凹部77Bは、折り曲げ軸と第1の略直線状辺76Aおよび第2の略直線状辺76Bとの交点に位置するとしてもよい。
【0154】
これにより、第1の金属板70Aを、折り曲げ軸74において折り曲げやすくすることができる。
【0155】
なお、第1の金属板70Aが部分的に薄化加工されている場合には、凹部77Aおよび凹部77Bは、部分的に薄化加工されている箇所と一致する位置に配置されることが望ましい。
【0156】
図7は、第1の金属板70Aの、第2の主面側から見た平面図の他の一例である。
【0157】
図7に示すように、例えば、第1の金属板70Aは、複数の折り曲げ軸74(ここでは、折り曲げ軸74A、折り曲げ軸74B、折り曲げ軸74Cが該当)において、第2の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げ可能であるとしてもよい。
【0158】
再び、図1図2Aに戻って、第1の半導体装置1Aの説明を続ける。
【0159】
第3の金属板75Aは、図2Aに示すように、第1の半導体素子2Aと第1の金属板70Aとの間において、第1の半導体素子2Aと第1の半導体素子2Aの一方の主面において接続され、第1の金属板70Aと第1の金属板70Aの第1の主面において接続される。
【0160】
第3の金属板75Aは、限定されない一例として、銅、ニッケル、または、ステンレスを含む金属材料で構成される。
【0161】
第1の半導体装置1Aは、第3の金属板75Aを備えることで、第1の半導体素子2Aのプレス耐性であって、第1の半導体素子2Aの一方の主面に対する、第1の金属板70Aの第2の主面側からの圧力に対するプレス耐性を向上させることができる。
【0162】
なお、第3の金属板75Aの厚さ、幅は、第1の半導体素子2Aに通電する電流の大きさに応じて、放熱性を高めて第1の半導体素子2Aの高温化が抑えられるように、適切な厚さ、幅に調整されている。例えば、第3の金属板75Aの幅は、第1の半導体素子2Aの通電時に発生する熱の放熱性を高めるために、第1の半導体素子2Aの幅よりも大きくなっていてもよい。
【0163】
1以上の金属部材85Aは、図2Aに示すように、第3の金属板75Aの、第3の金属板75Aが第1の半導体素子2Aと接続する主面に接続される。ここで、第3の金属板75Aの主面と1以上の金属部材85Aとが接続される位置は、第3の金属板75Aの主面と1以上の金属部材85Aとが接続する領域のそれぞれが、第1の金属板70Aの平面視において、接合準備領域73Aと重複しない位置となっている。
【0164】
1以上の金属部材85Aは、第1の半導体素子2Aを実装基板60に実装する際に、第1の半導体素子2Aと共に実装基板60に実装される。すなわち、1以上の金属部材85Aの、第3の金属板75Aの主面からの高さは、第3の金属板75Aの主面から第1の半導体素子2Aの他方の主面までの距離と等しい。
【0165】
第1の半導体装置1Aは、1以上の金属部材85Aを備えることで、第1の半導体素子2Aのプレス耐性であって、第1の半導体素子2Aの一方の主面に対する、第1の金属板70Aの第2の主面側からの圧力に対するプレス耐性をさらに向上させることができる。
【0166】
前述した通り、1以上の金属部材85Aのうちの少なくとも1つは、実装基板60が備える第1の配線61であって、第1の半導体素子2Aの複数の外部接続端子のうちの1つである第2のソース端子121と導電性材料81を介して接続する第1の配線61と導電性材料81を介して接続する。これにより、第1の金属板70Aと第2のソース端子121とが同電位となり、また、第1の蓄電タブ80Aと第1の配線61とが同電位となる。
【0167】
なお、1以上の金属部材85Aは、第3の金属板75Aと同じ材料で構成され、図2Aに示すように、第3の金属板75Aと一体化されていてもよい。これにより、第3の金属板75Aと1以上の金属部材85Aとからなる構造物を、比較的簡素に実現することができる。
【0168】
または、1以上の金属部材85Aは、第3の金属板75Aとは一体化されておらず、第3の金属板75Aとは別個体であってもよい。この場合、1以上の金属部材85Aは、限定されない一例として、銅、ニッケル、または、ステンレスを含む金属材料で構成される。
【0169】
図8は、第1の半導体装置1Aが1以上の金属部材85Aを備えている様子の一例を示す、第1の金属板70Aの第2の主面側から見た第1の半導体装置1Aの平面図である。図8において、実際には直接視認できない部分の一部について、あたかも視認できるかのように破線で図示している。
【0170】
例えば、第1の半導体素子2Aは、図8に示すように、保護回路基板60の長手方向と平行する方向の2つの辺を有し、1以上の金属部材85Aは、これら2つの辺の全長で対向するように配置される2つの金属部材85Aを含むとしてもよい。
【0171】
これにより、第1の半導体素子2Aに掛かる応力の一部が、これら2つの金属部材85Aに分散される。このため、保護回路基板60から第1の半導体素子2Aがはがれにくくなる。
【0172】
また、これにより、1以上の金属部材85Aが保護回路基板60の長手方向に平行して配置されるため、限られた保護回路基板60の幅を最大限に配線として使用することができるようになり、保護回路基板60における大電流経路のパターン幅を確保しやすくなる。
【0173】
図9は、第1の半導体装置1Aが1以上の金属部材85Aを備えている様子の他の一例を示す、第1の金属板70Aの第2の主面側から見た第1の半導体装置1Aの平面図である。図9において、実際には直接視認できない部分の一部について、あたかも視認できるかのように破線で図示している。
【0174】
例えば、第1の半導体素子2Aは、図9に示すように、保護回路基板60の長手方向と直交する方向の2つの辺を有し、1以上の金属部材85Aは、これら2つの辺の全長で対向するように配置される2つの金属部材85Aを含むとしてもよい。
【0175】
これにより、第1の半導体素子2Aに掛かる応力の一部が、これら2つの金属部材85Aに分散される。このため、保護回路基板60から第1の半導体素子2Aがはがれにくくなる。
【0176】
また、これにより、保護回路基板60の、長手方向と直交する方向の幅をより小さくすることができる。このため、蓄電パック100の、上記長手方向と直交する方向の幅をより小さくすることができる。このとき、蓄電パック100のサイズが一定の場合には、蓄電セル3のサイズをより大きくして、蓄電セル3の蓄電容量をより大きくすることができる。
【0177】
図10は、第1の半導体装置1Aが1以上の金属部材85Aを備えている様子のさらに他の一例を示す、第1の金属板70Aの第2の主面側から見た第1の半導体装置1Aの平面図である。図10において、実際には直接視認できない部分の一部について、あたかも視認できるかのように破線で図示している。
【0178】
例えば、1以上の金属部材85Aは、図10に示すように、第1の半導体素子2Aの4つの角のそれぞれの近傍に配置される4つの金属部材85Aを含むとしてもよい。ここで、第1の半導体素子2Aの角の近傍とは、図11に示すように、第1の半導体素子2Aの各角の周囲の領域のうち、第1の半導体素子2Aの各辺長の±40%分の延長領域の内側の範囲のことをいう。
【0179】
これにより、第1の半導体素子2Aに掛かる応力の一部が、これら4つの金属部材85Aに分散される。このため、保護回路基板60から第1の半導体素子2Aがはがれにくくなる。
【0180】
ところで、金属部材85Aの設置については、第1の半導体素子2Aの基板接続端子が接続する、保護回路基板60に備わる配線が、その経路を不要に伸長したり、その方向を不要に変えたりせずに済むように注意する必要がある、したがって、第1の半導体素子2Aの基板接続端子と、当該基板接続端子が接続し、保護回路基板60に備わる配線が接続する、蓄電パック100の端子と、の間には、金属部材85Aを設置しないことが望ましい。
【0181】
また、これにより、上記保護回路基板60における大電流経路のパターン幅の確保容易性と、上記蓄電パック100の幅の縮小化または上記蓄電セル3の蓄電容量の大容量化と、を両立しやすくなる。
【0182】
なお、第1の半導体装置1Aは、必ずしも、1以上の金属部材85Aを備える構成に限定される必要はない。ただし、この場合には、第1の金属板70Aと第2のソース端子121とを同電位にするための代替手段が必要である。代替手段としては、例えば、第1の金属板70Aと第1の配線61とをリード線で接続する等の手段が考えられる。
【0183】
再び、図1図2A図2Bに戻って、蓄電パック100の説明を続ける。
【0184】
第2の半導体装置1Bは、第2の半導体素子2Bと、第2の蓄電タブ接合用金属板70Bと、第3の金属板75Bと、1以上の金属部材85Bとを備える。なお、本明細書において、第2の蓄電タブ接合用金属板70Bのことを第1の金属板70Bとも称する。
【0185】
第2の半導体装置1Bは、第1の半導体装置1Aと同様である。すなわち、第2の半導体装置1Bは、第1の半導体装置1Aに対して、第1の半導体素子2Aを第2の半導体素子2Bに読み替え、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aを第2の蓄電タブ接合用金属板70Bに読み替え、第3の金属板75Aを第3の金属板75Bに読み替え、金属部材85Aを金属部材85Bに読み替えたものと同様である。
【0186】
上述した通り、第2の半導体素子2Bは、第1の半導体素子2Aと同様である。より具体的には、第2の半導体素子2Bは、第1の半導体素子2Aに対して、第1のゲート端子119を第1のゲート端子219に読み替え、第1のソース端子111を第1のソース端子211に読み替え、第2のゲート端子129を第2のゲート端子229に読み替え、第2のソース端子121を第2のソース端子221に読み替え、ドレイン電極30をドレイン電極31に読み替えたものと同様である。
【0187】
上述した通り、第1の金属板70Bは、第1の金属板70Aと同様である。より具体的には、第1の金属板70Bは、第1の金属板70Aに対して、接合準備領域73Aを接合準備領域73Bに読み替えたものと同様である。
【0188】
1以上の金属部材85Bは、1以上の金属部材85Aと同様に、1以上の金属部材85Bのうちの少なくとも1つは、実装基板60が備える第3の配線63であって、第2の半導体素子2Bの複数の外部接続端子のうちの1つである第2のソース端子221と導電性材料81を介して接続する第3の配線63と導電性材料81を介して接続する。これにより、第1の金属板70Bと第2のソース端子221とが同電位となり、また、第2の蓄電タブ80Bと第3の配線63とが同電位となる。
【0189】
保護回路基板60は、第1の配線61と、第2の配線62と、第3の配線63と、第4の配線64と、蓄電パック正極端子66と、蓄電パック負極端子67とを備える。
【0190】
保護回路基板60には、導電性材料81を介して、第1の半導体素子2Aと、第2の半導体素子2Bとが実装されている。
【0191】
第1の配線61は、導電性材料81を介して1以上の金属部材85Aのうちの少なくとも1つと接続されると共に、導電性材料81を介して第2のソース端子121と接続される。
【0192】
第2の配線62は、導電性材料81を介して第1のソース端子111と接続されるとともに、蓄電パック正極端子66と接続される。
【0193】
第3の配線63は、導電性材料81を介して1以上の金属部材85Bのうちの少なくとも1つと接続されると共に、導電性材料81を介して第2のソース端子221と接続される。
【0194】
第4の配線64は、導電性材料81を介して第1のソース端子211と接続されるとともに、蓄電パック負極端子67と接続される。
【0195】
蓄電パック正極端子66は、蓄電パック100の外部装置等に電流を流し出すための、または、蓄電パック100の外部端子等から電流が流れ込むための端子である。蓄電パック正極端子66は、蓄電パック100の正極端子として機能する。
【0196】
蓄電パック負極端子67は、蓄電パック100の外部装置等に電流を流し出すための、または、蓄電パック100の外部端子等からの電流が流れ込むための端子である。蓄電パック負極端子67は、蓄電パック100の負極端子として機能する。
【0197】
<考察>
図12は、上記構成の蓄電パック100の回路図である。
【0198】
図12に示すように、第1の半導体素子2Aは、蓄電セル3の正極端子36から蓄電パック正極端子66へと流れる電流経路、および、蓄電パック正極端子66から蓄電セル3の正極端子36へ流れる電流経路のスイッチング素子として機能する。
【0199】
すなわち、スイッチング素子である第1の半導体素子2Aが(1)第2のソース端子121から第1のソース端子111へと導通状態となることにより、第2のソース端子121側の電位を第1のソース端子111側の電位よりも高くすることで、蓄電セル3から第1の蓄電タブ80A、第1の蓄電タブ接合用金属板70A、第1の半導体素子2Aの順に電流が流れる電流経路が形成され、(2)第1のソース端子111から第2のソース端子121へと導通状態となることにより、第1のソース端子111側の電位を第2のソース端子121側の電位よりも高くすることで、第1の半導体素子2Aから第1の蓄電タブ接合用金属板70A、第1の蓄電タブ80A、蓄電セル3の順に、電流が流れる電流経路が形成される。
【0200】
また、第2の半導体素子2Bは、蓄電セル3の負極端子37から蓄電パック負極端子67へと流れる電流経路、および、蓄電パック負極端子67から蓄電セル3の負極端子37へ流れる電流経路のスイッチング素子として機能する。
【0201】
すなわち、スイッチング素子である第2の半導体素子2Bが(1)第2のソース端子221から第1のソース端子211へと導通状態となることにより、第2のソース端子221側の電位を第1のソース端子211側の電位よりも高くすることで、蓄電セル3から第2の蓄電タブ80B、第2の蓄電タブ接合用金属板70B、第2の半導体素子2Bの順に電流が流れる電流経路が形成され、(2)第1のソース端子211から第2のソース端子221へと導通状態となることにより、第1のソース端子211側の電位を第2のソース端子221側の電位よりも高くすることで、第2の半導体素子2Bから第2の蓄電タブ接合用金属板70B、第2の蓄電タブ80B、蓄電セル3の順に、電流が流れる電流経路が形成される。
【0202】
このため、スイッチング素子である第1の半導体素子2A、および、スイッチング素子である第2の半導体素子2Bは、保護回路基板60において、蓄電セル3への充電もしくは蓄電セル3からの放電を制御することができる。
【0203】
図12に示すように、蓄電パック100は、蓄電セル3のハイサイド側に、正極端子36から蓄電パック正極端子66へと流れる電流経路、および、蓄電パック正極端子66から正極端子36へと流れる電流経路を制御するスイッチング素子である第1の半導体素子2Aを備え、蓄電セル3のローサイド側に、負極端子37から蓄電パック負極端子67へと流れる電流経路、および、蓄電パック負極端子67から負極端子37へと流れる電流経路を制御するスイッチング素子である第2の半導体素子2Bを備える。
【0204】
これにより、蓄電パック100は、蓄電セル3のハイサイド側とローサイド側とで、蓄電セル3の2重保護を実現することができる。
【0205】
上記構成の蓄電パック100によると、上述した通り、第1の蓄電タブ80Aおよび第2の蓄電タブ80Bは、それぞれ、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70Bに接合される。
【0206】
これにより、上記構成の蓄電パック100では、第1の蓄電タブ80Aおよび第2の蓄電タブ80Bを直接保護回路基板60に接続する従来型の蓄電パックにおいて必要となる、保護回路基板60における、第1の蓄電タブ80Aを接続するための領域および第2の蓄電タブ80Bを接続するための領域が不要となる。
【0207】
したがって、上記構成の蓄電パック100によると、保護回路基板60の小型化を実現することができる。
【0208】
また、上記構成の蓄電パック100によると、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aおよび第1の蓄電タブ80Aが第1の半導体素子2Aに接続され、第2の蓄電タブ接合用金属板70Bおよび第2の蓄電タブ80Bが第2の半導体素子2Bに接続されることにより、第1の半導体素子2Aおよび第2の半導体素子2Bの放熱性を高めて、第1の半導体素子2Aおよび第2の半導体素子2Bの高温化を抑えることができる。
【0209】
なお、蓄電パック100において、第1の半導体素子2Aと、第3の金属板75Aと、第1の金属板70Aとを、さらに、モールドで固めてその強度を補強し、第2の半導体素子2Bと、第3の金属板75Bと、第1の金属板70Bとを、さらに、モールドで固めてその強度を補強するとしてもよい。
【0210】
また、蓄電パック100において、保護回路基板60は、埋め込み配線を有する保護回路基板であって、第1の半導体素子2Aと第2の半導体素子2Bとが、埋め込み配線を有する保護回路基板に埋め込まれて構成されるとしてもよい。
【0211】
図13は、埋め込み配線を有する保護回路基板60Aに第1の半導体素子2Aと第2の半導体素子2Bとが埋め込まれて構成される場合における、保護回路基板60Aおよび第1の半導体素子2Aの断面図である。
【0212】
図13に示すように、第1の半導体素子2Aおよび第2の半導体素子2B(第2の半導体素子2Bは、図13には図示されず)の基板接続端子を、保護回路基板60Aに埋め込まれた配線に実装するとしてもよい。
【0213】
この場合、導電性材料81は、例えば、銀ペースト、もしくは、銅または金の圧着(超音波、熱)によって実現されてもよく、導電性材料71は、例えば、はんだによって実現されてもよい。
【0214】
また、蓄電パック100において、保護回路基板60は、樹脂埋め込み対応の保護回路基板であって、第1の半導体素子2Aと第2の半導体素子2Bとが、樹脂埋め込み対応の保護回路基板に埋め込まれて構成されるとしてもよい。
【0215】
図14は、樹脂埋め込み対応の保護回路基板60Bに第1の半導体素子2Aと第2の半導体素子2Bとが埋め込まれて構成される場合における、保護回路基板60Bおよび第1の半導体素子2Aの断面図である。
【0216】
図14に示すように、第1の半導体素子2Aおよび第2の半導体素子2B(第2の半導体素子2Bは、図14には図示されず)の基板接続端子を、樹脂60Cに埋め込まれた配線に実装するとしてもよい。
【0217】
この場合、導電性材料81は、例えば、銀ペースト、もしくは、銅または金の圧着(超音波、熱)によって実現されてもよく、導電性材料71は、例えば、はんだによって実現されてもよい。
【0218】
なお、蓄電パック100において、第1の金属板70Aの、接合準備領域73Aから、第1の半導体素子2Aに接続される領域へと延びる向きの長さは、第1の半導体素子2Aの平面視において、図2Aに示すように、第1の半導体素子2Aを超えて伸びる長さであっても構わないし、第1の半導体素子2Aを超えない位置に留まる長さであっても構わない。
【0219】
(実施の形態2)
以下、実施の形態1に係る蓄電パック100から、一部の構成が変更されて構成される実施の形態2に係る蓄電パックについて説明する。
【0220】
蓄電パック100は、第1の半導体装置1Aが、第1の金属板70Aと第1の半導体素子2Aとの間に挟まる第3の金属板75Aを備え、第1の金属板70Aが、第3の金属板75Aを挟んで第1の半導体素子2Aと接続し、第2の半導体装置1Bが、第1の金属板70Bと第2の半導体素子2Bとの間に挟まる第3の金属板75Bを備え、第1の金属板70Bが、第3の金属板75Bを挟んで第2の半導体素子2Bと接続する構成の例であった。
【0221】
これに対して、実施の形態2に係る蓄電パックは、実施の形態2に係る第1の半導体装置が第3の金属板75Aを備えずに、第1の金属板70Aが、第3の金属板75Aを挟まずに第1の半導体素子2Aと接続し、実施の形態2に係る第2の半導体装置が第3の金属板75Bを備えずに、第1の金属板70Bが、第3の金属板75Bを挟まずに第2の半導体素子2Bと接続する構成の例となっている。
【0222】
ここでは、実施の形態2に係る蓄電パックについて、蓄電パック100と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、蓄電パック100との相違点を中心に説明する。
【0223】
<構成>
図15は、実施の形態2に係る蓄電パック100Aの構成を示す平面図である。図16Aは、図15のI-Iにおける切断面を示す断面図である。図16Bは、図15のII-IIにおける切断面を示す断面図である。図15において、実際には直接視認できない部分の一部について、あたかも視認できるかのように破線で図示している。
【0224】
図15図16A図16Bに示すように、蓄電パック100Aは、実施の形態1に係る蓄電パック100から、第1の半導体装置1Aが第1の半導体装置1AAに変更され、第2の半導体装置1Bが第2の半導体装置1BAに変更されて構成される。
【0225】
第1の半導体装置1AAは、第1の半導体装置1Aから、第3の金属板75Aが削除され、金属部材85Aが金属部材85AAに変更されて構成される。
【0226】
第1の半導体装置1AAにおいて、第1の金属板70Aは、第1の主面において、第1の半導体素子2Aの一方の主面に、絶縁性材料72を介して接続される。このため、第1の金属板70Aとドレイン電極30とは絶縁される。
【0227】
第1の半導体装置1AAにおいて、1以上の金属部材85AAは、図16Aに示すように、第1の金属板70Aの、第1の金属板70Aが第1の半導体素子2Aと接続する第1の主面に接続される。ここで、第1の主面と1以上の金属部材85AAとが接続される位置は、第1の主面と1以上の金属部材85AAとが接続する領域のそれぞれが、第1の金属板70Aの平面視において、接合準備領域73Aと重複しない位置となっている。
【0228】
1以上の金属部材85AAは、第1の半導体素子2Aを実装基板60に実装する際に、第1の半導体素子2Aと共に実装基板60に実装される。すなわち、1以上の金属部材85AAの、第1の金属板70Aの第1の主面からの高さは、第1の金属板70Aの第1の主面から第1の半導体素子2Aの他方の主面までの距離と等しい。
【0229】
第1の半導体装置1AAは、1以上の金属部材85AAを備えることで、第1の半導体素子2Aのプレス耐性であって、第1の半導体素子2Aの一方の主面に対する、第1の金属板70Aの第2の主面側からの圧力に対するプレス耐性を向上させることができる。
【0230】
第1の半導体装置1AAにおいて、1以上の金属部材85AAのうちの少なくとも1つは、実装基板60が備える第1の配線61と導電性材料81を介して接続する。これにより、第1の金属板70Aと第2のソース端子121とが同電位となり、また、第1の蓄電タブ80Aと第1の配線61とが同電位となる。
【0231】
なお、1以上の金属部材85AAは、第1の金属板70Aと同じ材料で構成され、図16Aに示すように、第1の金属板70Aと一体化されていてもよい。これにより、第1の金属板70Aと1以上の金属部材85AAとからなる構造物を、比較的簡素に実現することができる。
【0232】
または、1以上の金属部材85AAは、第1の金属板70Aとは一体化されておらず、第1の金属板70Aとは別個体であってもよい。この場合、1以上の金属部材85AAは、限定されない一例として、銅、ニッケル、または、ステンレスを含む金属材料で構成される。
【0233】
なお、第1の半導体装置1AAにおいて、図8に例示する第1の半導体装置1Aの場合と同様に、第1の半導体素子2Aは、保護回路基板60の長手方向と平行する方向の2つの辺を有し、1以上の金属部材85AAは、これら2つの辺の全長で対向するように配置される2つの金属部材85AAを含むとしてもよい。
【0234】
これにより、第1の半導体素子2Aに掛かる応力の一部が、これら2つの金属部材85AAに分散される。このため、保護回路基板60から第1の半導体素子2Aがはがれにくくなる。
【0235】
また、これにより、1以上の金属部材85AAが保護回路基板60の長手方向に平行して配置されるため、限られた保護回路基板60の幅を最大限に配線として使用することができるようになり、保護回路基板60における大電流経路のパターン幅を確保しやすくなる。
【0236】
また、第1の半導体装置1AAにおいて、図9に例示する第1の半導体装置1Aの場合と同様に、第1の半導体素子2Aは、保護回路基板60の長手方向と直交する方向の2つの辺を有し、1以上の金属部材85AAは、これら2つの辺の全長で対向するように配置される2つの金属部材85AAを含むとしてもよい。
【0237】
これにより、第1の半導体素子2Aに掛かる応力の一部が、これら2つの金属部材85AAに分散される。このため、保護回路基板60から第1の半導体素子2Aがはがれにくくなる。
【0238】
また、これにより、保護回路基板60の、長手方向と直交する方向の幅をより小さくすることができる。このため、蓄電パック100Aの、上記長手方向と直交する方向の幅をより小さくすることができる。このとき、蓄電パック100Aのサイズが一定の場合には、蓄電セル3のサイズをより大きくして、蓄電セル3の蓄電容量をより大きくすることができる。
【0239】
また、第1の半導体装置1AAにおいて、図10に例示する第1の半導体装置1Aの場合と同様に、1以上の金属部材85AAは、第1の半導体素子2Aの4つの角のそれぞれの近傍に配置される4つの金属部材85AAを含むとしてもよい。
【0240】
これにより、第1の半導体素子2Aに掛かる応力の一部が、これら4つの金属部材85AAに分散される。このため、保護回路基板60から第1の半導体素子2Aがはがれにくくなる。
【0241】
また、これにより、上記保護回路基板60における大電流経路のパターン幅の確保容易性と、上記蓄電パック100の幅の縮小化または上記蓄電セル3の蓄電容量の大容量化と、を両立しやすくなる。
【0242】
なお、第1の半導体装置1AAは、必ずしも、1以上の金属部材85AAを備える構成に限定される必要はない。ただし、この場合には、第1の金属板70Aと第2のソース端子121とを同電位にするための代替手段が必要である。代替手段としては、例えば、第1の金属板70Aと第1の配線61とをリード線で接続する等の手段が考えられる。
【0243】
第2の半導体装置1BAは、第2の半導体装置1Bから、第3の金属板75Bが削除され、金属部材85Bが金属部材85BAに変更されて構成される。
【0244】
第2の半導体装置1BAは、第1の半導体装置1AAと同様である。すなわち、第2の半導体装置1BAは、第1の半導体装置1AAに対して、第1の半導体素子2Aを第2の半導体素子2Bに読み替え、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aを第2の蓄電タブ接合用金属板70Bに読み替え、金属部材85AAを金属部材85BAに読み替えたものと同様である。
【0245】
第2の半導体装置1BAにおける1以上の金属部材85BAは、第1の半導体装置1AAにおける1以上の金属部材85AAと同様に、1以上の金属部材85BAのうちの少なくとも1つは、実装基板60が備える第3の配線63と導電性材料81を介して接続する。これにより、第1の金属板70Bと第2のソース端子221とが同電位となり、また、第2の蓄電タブ80Bと第3の配線63とが同電位となる。
【0246】
<考察>
上記構成の蓄電パック100Aの回路図は、実施の形態1に係る蓄電パック100の回路図として図示した図12の回路図と同様となる。
【0247】
このため、蓄電パック100Aにおいて、第1の半導体素子2Aは、蓄電パック100における第1の半導体素子2Aと同様のスイッチング素子として機能する。また、蓄電パック100Aにおいて、第2の半導体素子2Bは、蓄電パック100における第2の半導体素子2Bと同様のスイッチング素子として機能する。
【0248】
(実施の形態3)
以下、実施の形態1に係る蓄電パック100から、一部の構成が変更されて構成される実施の形態3に係る蓄電パックについて説明する。
【0249】
実施の形態3に係る蓄電パックは、蓄電パック100に対して、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70Bが、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70Bから、折り曲げ軸74で折り曲げられた、第3の実施例に係る第1の蓄電タブ接合用金属板および実施の形態3に係る第2の蓄電タブ接合用金属板に変更された構成の例となっている。
【0250】
ここでは、実施の形態3に係る蓄電パックについて、蓄電パック100と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、蓄電パック100との相違点を中心に説明する。
【0251】
<構成>
図17は、実施の形態3に係る蓄電パック100Bの構成を示す平面図である。図18Aは、図17のI-Iにおける切断面を示す断面図である。図18Bは、図17のII-IIにおける切断面を示す断面図である。図17において、実際には直接視認できない部分の一部について、あたかも視認できるかのように破線で図示している。
【0252】
図17図18A図18Bに示すように、蓄電パック100Bは、実施の形態1に係る蓄電パック100から、第1の半導体装置1Aが第1の半導体装置1ABに変更され、第2の半導体装置1Bが第2の半導体装置1BBに変更され、第1の蓄電タブ80Aが第1の蓄電タブ80ABに変更され、第2の蓄電タブ80Bが第2の蓄電タブ80BBに変更されて構成される。なお、本明細書において、第1の蓄電タブ80ABのことを第2の金属板80ABとも称し、第2の蓄電タブ80BBのことを第2の金属板80BBとも称する。
【0253】
第1の半導体装置1ABは、第1の半導体装置1Aから、第1の金属板70Aが第1の金属板70ABに変更されて構成される。なお、本明細書において、第1の金属板70ABのことを、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABとも称する。
【0254】
第1の金属板70ABは、第1の金属板70Aが、折り曲げ軸74において、第2の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げられたものと同様である。ここで、折り曲げ軸74の位置は、第1の半導体素子2Aの平面視において、第1の半導体素子2Aと接合準備領域73Aとが、第1の金属板70Aを挟んで重複する部分が存在する位置となっている。このため、第1の半導体装置1ABには、第1の半導体素子2Aの平面視において、第1の半導体素子2Aと接合準備領域73Aとが、第1の金属板70ABを挟んで重複する部分が存在する。また、第1の半導体装置1ABには、第1の半導体素子2Aの平面視において、第1の半導体素子2Aと第1の蓄電タブ80ABとが、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABを挟んで重複する部分が存在する。したがって、第1の半導体装置1ABは、保護回路基板60の平面視において、第1の蓄電タブ80ABと第1の金属板70ABと第1の半導体素子2Aと保護回路基板60とが重複する部分を有する。
【0255】
これにより、蓄電パック100Bには、保護回路基板60の平面視において、第1の蓄電タブ80ABと保護回路基板60との間に電流が流れ得る領域と、第1の蓄電タブ80ABと第1の金属板70ABと第1の半導体素子2Aと保護回路基板60とが重複する領域と、が重複する部分が存在することとなる。
【0256】
ここで、第1の蓄電タブ80ABと保護回路基板60との間に電流が流れ得る領域とは、第1の蓄電タブ80ABと保護回路基板60との間に電流が流れ得る領域全体のことをいう、すなわち、第1の蓄電タブ80ABと保護回路基板60との間に連続して存在する導体の領域全体のことをいう。なお、この導体には、第1の蓄電タブ80AB自身も含まれる。例えば、図18Aであれば、第1の蓄電タブ80ABの全体、第1の金属板70ABの全体、導電性材料71の全体、第3の金属板75Aの全体、金属部材85Aの全体、導電性材料81の全体、第1の配線61、第1の半導体素子の全体、第2の配線62が相当する。
【0257】
なお、ここでは、図6図7に示すように、折り曲げ軸74の向きは、第1の半導体素子2Aの第1の辺2A1に直交する向きであるとして説明するが、折り曲げ軸74の向きは、(1)第1の金属板70Aが、折り曲げ軸74において、第2の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げられ、かつ、(2)第1の半導体素子2Aの平面視において、第1の半導体素子2Aと接合準備領域73Aとが、第1の金属板70Aを挟んで重複する部分が存在することができれば、折り曲げ軸74の向きは、必ずしも、第1の半導体素子2Aの第1の辺2A1に直交する向きに限定される必要はない。
【0258】
第2の半導体装置1BBは、第2の半導体装置1Bから、第1の金属板70Bが第1の金属板70BBに変更されて構成される。なお、本明細書において、第1の金属板70BBのことを、第2の蓄電タブ接合用金属板70BBとも称する。
【0259】
第2の半導体装置1BBは、第1の半導体装置1ABと同様である。すなわち、第2の半導体装置1BBは、第1の半導体装置1ABに対して、第1の半導体素子2Aを第2の半導体素子2Bに読み替え、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABを第2の蓄電タブ接合用金属板70BBに読み替えたものと同様である。
【0260】
第1の蓄電タブ80ABは、実施の形態1に係る第1の蓄電タブ80Aが、接合準備領域73Aにおいて第1の金属板70Aと接合する面同士が対面する部分を有するように折り曲げられたものと同様である。
【0261】
第2の蓄電タブ80BBは、実施の形態1に係る第2の蓄電タブ80Bが、接合準備領域73Bにおいて第1の金属板70Bと接合する面同士が対面する部分を有するように折り曲げられたものと同様である。
【0262】
<考察>
上記構成の蓄電パック100Bの回路図は、実施の形態1に係る蓄電パック100の回路図として図示した図12の回路図と同様となる。
【0263】
このため、蓄電パック100Bにおいて、第1の半導体素子2Aは、蓄電パック100における第1の半導体素子2Aと同様のスイッチング素子として機能する。また、蓄電パック100Bにおいて、第2の半導体素子2Bは、蓄電パック100における第2の半導体素子2Bと同様のスイッチング素子として機能する。
【0264】
さらに、上記構成の蓄電パック100Bは、蓄電パック100に比べて、保護回路基板60の平面視において、第1の蓄電タブ80ABと第1の蓄電タブ接合用金属板70ABとが重複しているだけでなく、第1の蓄電タブ80ABと第1の蓄電タブ接合用金属板70ABと第1の半導体素子2Aと保護回路基板60とが重複する領域を有する分、および、第2の蓄電タブ80BBと第2の蓄電タブ接合用金属板70BBと第2の半導体素子2Bと保護回路基板60とが重複する領域を有する分だけ、蓄電パック100Bのサイズをより小さくすることができる。このとき、蓄電パック100Bのサイズが一定の場合には、蓄電セル3のサイズをより大きくして、蓄電セル3の蓄電容量をより大きくすることができる。
【0265】
また、第1の蓄電タブ80ABと第1の蓄電タブ接合用金属板70ABとを折り曲げない状態で接合することで、接合する際に発生する熱による第1の半導体素子2Aへの悪影響、および、第1の蓄電タブ80ABと第1の蓄電タブ接合用金属板70ABとを接合する際に生じる物理的な衝撃による半導体素子2Aへの悪影響を軽減しながら、その後に、第1の蓄電タブ80ABと第1の蓄電タブ接合用金属板70ABとを折り曲げることができるので、保護回路基板60の小型化および蓄電セル3の蓄電容量増大が可能となる。
【0266】
なお、蓄電パック100Bにおいて、第1の蓄電タブ80ABと第1の蓄電タブ接合用金属板70ABとが接合する部分の、保護回路基板60の平面視における面積である面積Aが、第1の半導体素子2Aの、保護回路基板60の平面視における面積である面積Bよりも大きくなる場合には、面積Aと面積Bとの差分である面積C(面積A-面積B)を、第1の半導体素子2Aの特性を向上するために利用することができる。例えば、第1の半導体素子2Aの、保護回路基板60の平面視における面積を、面積Aと同程度の大きさになるまで拡大して、スイッチング素子である第1の半導体素子2Aのオン抵抗を低減させることができる。
【0267】
また、第1の蓄電タブ80ABを直接保護回路基板60に接続する従来型の蓄電パックにおいて、第1の蓄電タブ80ABと保護回路基板60とが接続する部分の、保護回路基板60の平面視における面積である面積Dが、蓄電パック100Bにおける上記面積Aより大きくなる場合には、蓄電パック100Bにおける第1の蓄電タブ80ABの幅を、上記従来型の蓄電パックにおける第1の蓄電タブ80ABの幅よりも小さくすることができる場合がある。この場合には、上記従来型の蓄電パックにおいて必要となる、保護回路基板60における第1の蓄電タブ80ABを保護回路基板60に接続するための領域が不要となる効果と、第1の蓄電タブ80ABの幅をより小さくすることができる効果との2重の効果により、蓄電パック100を小型化することができる。このとき、蓄電パック100Bのサイズが一定の場合には、上記2重の効果により、蓄電セル3のサイズをより大きくして、蓄電セル3の蓄電容量をより大きくすることができる。
【0268】
(実施の形態4)
以下、実施の形態2に係る蓄電パック100Aから、一部の構成が変更されて構成される実施の形態4に係る蓄電パックについて説明する。
【0269】
実施の形態4に係る蓄電パックは、蓄電パック100Aに対して、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70Bが、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70Bから、折り曲げ軸74で折り曲げられた、第4の実施例に係る第1の蓄電タブ接合用金属板および実施の形態4に係る第2の蓄電タブ接合用金属板に変更された構成の例となっている。
【0270】
ここでは、実施の形態4に係る蓄電パックについて、蓄電パック100Aと同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、蓄電パック100Aとの相違点を中心に説明する。
【0271】
<構成>
図19は、実施の形態4に係る蓄電パック100Cの構成を示す平面図である。図20Aは、図19のI-Iにおける切断面を示す断面図である。図20Bは、図19のII-IIにおける切断面を示す断面図である。図19において、実際には直接視認できない部分の一部について、あたかも視認できるかのように破線で図示している。
【0272】
図19図20A図20Bに示すように、蓄電パック100Cは、実施の形態2に係る蓄電パック100Aから、第1の半導体装置1AAが第1の半導体装置1ACに変更され、第2の半導体装置1BAが第2の半導体装置1BCに変更され、第1の蓄電タブ80Aが第1の蓄電タブ80ACに変更され、第2の蓄電タブ80Bが第2の蓄電タブ80BCに変更されて構成される。なお、本明細書において、第1の蓄電タブ80ACのことを第2の金属板80ACとも称し、第2の蓄電タブ80BCのことを第2の金属板80BCとも称する。
【0273】
第1の半導体装置1ACは、第1の半導体装置1AAから、第1の金属板70Aが第1の金属板70ACに変更されて構成される。なお、本明細書において、第1の金属板70ACのことを、第1の蓄電タブ接合用金属板70ACとも称する。
【0274】
第1の金属板70ACは、第1の金属板70Aが、折り曲げ軸74において、第2の主面同士が対面する部分を有するように折り曲げられたものと同様である。ここで、折り曲げ軸74の位置は、第1の半導体素子2Aの平面視において、第1の半導体素子2Aと接合準備領域73Aとが、第1の金属板70Aを挟んで重複する部分が存在する位置となっている。このため、第1の半導体装置1ACには、第1の半導体素子2Aの平面視において、第1の半導体素子2Aと接合準備領域73Aとが、第1の金属板70ACを挟んで重複する部分が存在する。また、第1の半導体装置1ACには、第1の半導体素子2Aの平面視において、第1の半導体素子2Aと第1の蓄電タブ80ACとが、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABを挟んで重複する部分が存在する。
【0275】
これにより、蓄電パック100Cには、保護回路基板60の平面視において、第1の蓄電タブ80ACと保護回路基板60との間に電流が流れる領域と、第1の半導体素子2Aと第1の蓄電タブ80ACとが第1の蓄電タブ接合用金属板70ACを挟んで重複する領域と、が重複する部分が存在することとなる。
【0276】
第2の半導体装置1BCは、第2の半導体装置1BAから、第1の金属板70Bが第1の金属板70BCに変更されて構成される。なお、本明細書において、第1の金属板70BCのことを、第2の蓄電タブ接合用金属板70BCとも称する。
【0277】
第2の半導体装置1BCは、第1の半導体装置1ACと同様である。すなわち、第2の半導体装置1BCは、第1の半導体装置1ACに対して、第1の半導体素子2Aを第2の半導体素子2Bに読み替え、第1の蓄電タブ接合用金属板70ACを第2の蓄電タブ接合用金属板70BCに読み替えたものと同様である。
【0278】
第1の蓄電タブ80ACは、実施の形態2に係る第1の蓄電タブ80Aが、接合準備領域73Aにおいて第1の金属板70Aと接合する面同士が対面する部分を有するように折り曲げられたものと同様である。
【0279】
第2の蓄電タブ80BCは、実施の形態2に係る第2の蓄電タブ80Bが、接合準備領域73Bにおいて第1の金属板70Bと接合する面同士が対面する部分を有するように折り曲げられたものと同様である。
【0280】
<考察>
上記構成の蓄電パック100Cの回路図は、実施の形態1に係る蓄電パック100の回路図として図示した図12の回路図と同様となる。
【0281】
このため、蓄電パック100Cにおいて、第1の半導体素子2Aは、蓄電パック100における第1の半導体素子2Aと同様のスイッチング素子として機能する。また、蓄電パック100Cにおいて、第2の半導体素子2Bは、蓄電パック100における第2の半導体素子2Bと同様のスイッチング素子として機能する。
【0282】
(実施の形態5)
以下、実施の形態3に係る蓄電パック100Bから、一部の構成が変更されて構成される実施の形態5に係る蓄電パックについて説明する。
【0283】
蓄電パック100Bは、第1の半導体素子2Aと第2の半導体素子2Bとが、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20との2つの縦型MOSトランジスタを備える構成であった。
【0284】
これに対して、実施の形態5に係る蓄電パックは、実施の形態5に係る第1の半導体素子と実施の形態5に係る第2の半導体素子とが、第2の縦型MOSトランジスタ20を備えずに、第1の縦型MOSトランジスタ10のみの1つの縦型MOSトランジスタを備える構成の例となっている。
【0285】
ここでは、実施の形態5に係る蓄電パックについて、蓄電パック100と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、蓄電パック100との相違点を中心に説明する。
【0286】
<構成>
図21は、実施の形態5に係る蓄電パック100Dの構成を示す平面図である。図22Aは、図21のI-Iにおける切断面を示す断面図である。図22Bは、図21のII-IIにおける切断面を示す断面図である。図21において、実際には直接視認できない部分の一部について、あたかも視認できるかのように破線で図示している。
【0287】
図21図22A図22Bに示すように、蓄電パック100Dは、実施の形態3に係る蓄電パック100Bから、第1の半導体装置1ABが第1の半導体装置1ADに変更され、第2の半導体装置1BBが第2の半導体装置1BDに変更され、保護回路基板60が保護回路基板60Dに変更されて構成される。
【0288】
保護回路基板60Dは、保護回路基板60から、第1の配線61と第3の配線63とが削除されて構成される。
【0289】
第1の半導体装置1ADは、第1の半導体装置1ABから、第1の半導体素子2Aが第1の半導体素子2ADに変更され、絶縁性材料72が、導電性材料72D(例えば、はんだ)に変更され、金属部材85Aが金属部材85ADに変更されて構成される。
【0290】
図23は、第1の半導体素子2ADの回路図である。
【0291】
図23に示すように、第1の半導体素子2ADは、第1の半導体素子2Aからの第2の縦型MOSトランジスタ20の削除に伴い、第1の半導体素子2Aから、第2のゲート端子129および第2のソース端子121が削除されて構成される。
【0292】
再び、図21図22A図22Bに戻って、蓄電パック100Dの構成の説明を続ける。
【0293】
導電性材料72Dは、第3の金属板75Aと第1の半導体素子2ADの一方の主面とを接続する。このため、第3の金属板75Aとドレイン電極30とが導通する。これにより、第1の金属板70ABとドレイン電極30とが同電位となる。
【0294】
1以上の金属部材85ADは、第1の半導体装置1ABにおける1以上の金属部材85Aと同様に、第1の半導体素子2ADを実装基板60Dに実装する際に、第1の半導体素子2ADと共に実装基板60Dに実装される。すなわち、1以上の金属部材85ADの、第3の金属板75Aの主面からの高さは、第3の金属板75Aの主面から第1の半導体素子2ADの他方の主面までの距離と等しい。
【0295】
ここで、前述したように、保護回路基板60Dは、第1の配線61を備えない。このため、第1の金属板70ABと同電位になる基板接続端子は存在しない。
【0296】
なお、第1の半導体装置1ADは、必ずしも、1以上の金属部材85ADを備える構成に限定される必要はない。
【0297】
第2の半導体装置1BDは、第2の半導体装置1BBから、第2の半導体素子2Bが第2の半導体素子2BDに変更され、絶縁性材料72が、導電性材料72Dに変更され、金属部材85Bが金属部材85BDに変更されて構成される。
【0298】
第2の半導体装置1BDは、第1の半導体装置1ADと同様である。すなわち、第2の半導体装置1BDは、第1の半導体装置1ADに対して、第1の半導体素子2ADを第2の半導体素子2BDに読み替え、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABを第2の蓄電タブ接合用金属板70BBに読み替え、金属部材85ADを金属部材85BDに読み替えたものと同様である。
【0299】
第2の半導体素子2BDは、第1の半導体素子2ADと同様である。すなわち、第2の半導体素子2BDは、第2の半導体素子2Bからの第2の縦型MOSトランジスタ20の削除に伴い、第2の半導体素子2Bから、第2のゲート端子229および第2のソース端子221が削除され、ドレイン電極30がドレイン電極31に変更されて構成される。
【0300】
ここで、前述したように、保護回路基板60Dは、第3の配線63を備えない。このため、第1の金属板70BBと同電位になる基板接続端子は存在しない。
【0301】
<考察>
図24は、上記構成の蓄電パック100Dの回路図である。
【0302】
図24に示すように、第1の半導体素子2ADは、蓄電セル3の正極端子36から蓄電パック正極端子66へと流れる電流経路のスイッチング素子として機能する。
【0303】
すなわち、スイッチング素子である第1の半導体素子2ADが、ドレイン電極30から第1のソース端子111へと導通状態となることにより、ドレイン電極30側の電位を第1のソース端子111の電位よりも高くすることで、蓄電セル3から第1の蓄電タブ80AB、第1の蓄電タブ接合用金属板70AB、第1の半導体素子2ADの順に電流が流れる電流経路が形成される。
【0304】
また、第2の半導体素子2BDは、蓄電セル3の負極端子37から蓄電パック負極端子67へと流れる電流経路のスイッチング素子として機能する。
【0305】
すなわち、スイッチング素子である第2の半導体素子2BDが、ドレイン電極31から第1のソース端子211へと導通状態となることにより、ドレイン電極31側の電位を第1のソース端子211の電位よりも高くすることで、蓄電セル3から第2の蓄電タブ80BB、第2の蓄電タブ接合用金属板70BB、第2の半導体素子2BDの順に電流が流れる電流経路が形成される。
【0306】
このため、スイッチング素子である第1の半導体素子2AD、および、スイッチング素子である第2の半導体素子2BDは、保護回路基板60Dにおいて、蓄電セル3への充電もしくは蓄電セル3からの放電を制御することができる。
【0307】
図24に示すように、蓄電パック100Dは、蓄電セル3のハイサイド側に、正極端子36から蓄電パック正極端子66へと流れる電流経路を制御するスイッチング素子である第1の半導体素子2ADを備え、蓄電セル3のローサイド側に、負極端子37から蓄電パック負極端子67へと流れる電流経路を制御するスイッチング素子である第2の半導体素子2BDを備える。
【0308】
これにより、蓄電パック100Dは、蓄電セル3のハイサイド側とローサイド側とで、蓄電セル3の1重保護を実現することができる。
【0309】
なお、蓄電パック100Dは、図25Aに示すように、さらに、蓄電セル3のハイサイド側にスイッチング素子300Aを備える構成、または、図25Bに示すように、さらに、蓄電セル3のローサイド側にスイッチング素子300Bを備える構成とすることで、蓄電セル3の2重保護を実現することができる。
【0310】
ここで、蓄電パック100Dが図25Aに示す構成である場合において、保護回路基板60Dの平面視において、第1の蓄電タブ80ABの形状が第1の半導体素子2ADを覆って、さらに他のものを覆う余地がある形状であるときに、または、第2の蓄電タブ80BBが第2の半導体素子2BDを覆って、さらに他のものを覆う余地がある形状であるときには、スイッチング素子300Aを、保護回路基板60Dの平面視において、第1の蓄電タブ80ABに重なる位置、または、第2の蓄電タブ80BBに重なる位置に配置することで、スイッチング素子300Aを、保護回路基板60Dの平面視において、第1の蓄電タブ80ABに重なる位置、または、第2の蓄電タブ80BBに重なる位置に配置しない場合に比べて、保護回路基板60Dを小型化することができる。
【0311】
また、蓄電パック100Dが図25Bに示す構成である場合において、スイッチング素子300Bを、保護回路基板60Dの平面視において、第1の蓄電タブ80ABに重なる位置、または、第2の蓄電タブ80BBに重なる位置に配置することで、スイッチング素子300Bを、保護回路基板60Dの平面視において、第1の蓄電タブ80ABに重なる位置、または、第2の蓄電タブ80BBに重なる位置に配置しない場合に比べて、保護回路基板60Dを小型化することができる。
【0312】
なお、第1の半導体装置1ADは、第3の金属板75Aを備えずに、第1の金属板70ABの第1の主面と、第1の半導体素子2ADの一方の主面とが、導電性材料72Dを介して直接接続され、第2の半導体装置1BDは、第3の金属板75Bを備えずに、第1の金属板70BBの第1の主面と、第2の半導体素子2BDの一方の主面とが、導電性材料72Dを介して直接接続されるとしてもよい。
【0313】
(変形例1)
以下、実施の形態3に係る蓄電パック100Bから、一部の構成が変更されて構成される変形例1に係る蓄電パックについて説明する。
【0314】
蓄電パック100Bは、蓄電パック100Bが備える第1の半導体素子2Aと第2の半導体素子2Bとが、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20との2つの縦型MOSトランジスタを備える構成であった。
【0315】
これに対して、変形例1に係る蓄電パックは、変形例1に係る蓄電パックが備える変形例1に係る第1の半導体素子と変形例1に係る第2の半導体素子とが、3つの縦型MOSトランジスタを備える構成の例となっている。
【0316】
<構成>
図26は、変形例1に係る蓄電パック100E(図27参照)が備える、変形例1に係る第1の半導体素子2AEの回路図である。
【0317】
図26に示すように、第1の半導体素子2AEは、実施の形態3に係る第1の半導体素子2Aから、第3の縦型MOSトランジスタ20Eを更に備えて構成される。そして、第1の半導体素子2AEは、第1の半導体素子2Aから、第3の縦型MOSトランジスタ20Eのゲート端子である第3のゲート端子139と、第3の縦型MOSトランジスタ20Eのソース端子である第3のソース端子131とを更に備えて構成される。このとき、低濃度不純物層33と半導体基板32とは、第1の縦型MOSトランジスタ10の第1のドレイン領域、第2の縦型MOSトランジスタ20の第2のドレイン領域、および、第3の縦型MOSトランジスタ20Eの第3のドレイン領域が共通化された、共通ドレイン領域として機能する。
【0318】
蓄電パック100Eが備える、変形例1に係る第2の半導体素子2BE(図27参照)は、第1の半導体素子2AEと同様である。より具体的には、第2の半導体素子2BEは、第1の半導体素子2AEに対して、第1のゲート端子119を第1のゲート端子219に読み替え、第1のソース端子111を第1のソース端子211に読み替え、第2のゲート端子129を第2のゲート端子229に読み替え、第2のソース端子121を第2のソース端子221に読み替え、第3のゲート端子139を第3のゲート端子239に読み替え、第3のソース端子131を第3のソース端子231に読み替えたものと同様である。
【0319】
図27は、変形例1に係る蓄電パック100Eの回路図である。
【0320】
図27に示すように、蓄電パック100Eは、実施の形態3に係る蓄電パック100Bから、第1の半導体素子2Aが第1の半導体素子2AEに変更され、第2の半導体素子2Bが第2の半導体素子2BEに変更され、蓄電パック正極端子66Eと、蓄電パック負極端子67Eとが追加されて構成される。
【0321】
蓄電パック正極端子66Eおよび蓄電パック負極端子67Eは、例えば、実施の形態3に係る保護回路基板60から、蓄電パック正極端子66Eおよび蓄電パック負極端子67Eが追加するように構成された変形例1に係る保護回路基板(不図示)に備わる。
【0322】
<考察>
図27に示すように、蓄電パック100Eは、蓄電セル3のハイサイド側に、正極端子36から蓄電パック正極端子66へと流れる電流経路、および、蓄電パック正極端子66から正極端子36へと流れる電流経路、ならびに、正極端子36から蓄電パック正極端子66Eへと流れる電流経路、および、蓄電パック正極端子66Eから正極端子36へと流れる電流経路の2系統の電流経路を制御するスイッチング素子である第1の半導体素子2AEを備え、蓄電セル3のローサイド側に、負極端子37から蓄電パック負極端子67へと流れる電流経路、および、蓄電パック負極端子67から負極端子37へと流れる電流経路、ならびに、負極端子37から蓄電パック負極端子67Eへと流れる電流経路、および、蓄電パック負極端子67Eから負極端子37へと流れる電流経路の2系統の電流経路を制御するスイッチング素子である第2の半導体素子2BEを備える。
【0323】
これにより、蓄電パック100は、蓄電セル3のハイサイド側の2系統とローサイド側の2系統とのそれぞれで、蓄電セル3の2重保護を実現することができる。
【0324】
(変形例2)
以下、実施の形態3に係る蓄電パック100Bから、一部の構成が変更されて構成される変形例2に係る蓄電パックについて説明する。
【0325】
蓄電パック100Bは、保護回路基板60の平面視において、第1の蓄電タブ80ABに重なる位置に第1の半導体素子2Aを備え、第2の蓄電タブ80BBに重なる位置に第2の半導体素子2Bを備える構成の例であった。
【0326】
これに対して、変形例2に係る蓄電パックは、蓄電パック100Bに対して、変形例2に係る蓄電パックが備える変形例2に係る保護回路基板の平面視において、第1の蓄電タブ80ABに重なる位置に、第1の半導体素子2Aに加えて、さらに、変形例2に係る第3の半導体素子を備え、第2の蓄電タブ80BBに重なる位置に、第2の半導体素子2Bに加えて、さらに、変形例2に係る第4の半導体素子を備える構成の例となっている。
【0327】
図28は、変形例2に係る蓄電パック100Fの回路図である。
【0328】
図28に示すように、蓄電パック100Fは、実施の形態3に係る蓄電パック100Bから、変形例2に係る保護回路基板(不図示)の平面視において、第1の蓄電タブ80ABに重なる位置に配置された第3の半導体素子2AFと、変形例2に係る保護回路基板の平面視において、第2の蓄電タブ80BBに重なる位置に配置された第4の半導体素子2BFと、蓄電パック正極端子66Fと、蓄電パック負極端子67Fとが追加されて構成される。
【0329】
蓄電パック正極端子66Fおよび蓄電パック負極端子67Fは、例えば、実施の形態3に係る保護回路基板60から、蓄電パック正極端子66Fおよび蓄電パック負極端子67Fが追加されるように変更された変形例2に係る保護回路基板に備わる。
【0330】
第3の半導体素子2AFは、第1の半導体素子2Aと同様である。より具体的には、第3の半導体素子2AFは、第1の半導体素子2Aに対して、第1のゲート端子119を第1のゲート端子319に読み替え、第1のソース端子111を第1のソース端子311に読み替え、第2のゲート端子129を第2のゲート端子329に読み替え、第2のソース端子121を第2のソース端子321に読み替えたものと同様である。
【0331】
第4の半導体素子2BFは、第1の半導体素子2Aと同様である。より具体的には、第4の半導体素子2BFは、第1の半導体素子2Aに対して、第1のゲート端子119を第1のゲート端子419に読み替え、第1のソース端子111を第1のソース端子411に読み替え、第2のゲート端子129を第2のゲート端子429に読み替え、第2のソース端子121を第2のソース端子421に読み替えたものと同様である。
【0332】
<考察>
図28に示すように、蓄電パック100Fは、蓄電セル3のハイサイド側に、正極端子36から蓄電パック正極端子66へと流れる電流経路、および、蓄電パック正極端子66から正極端子36へと流れる電流経路を制御するスイッチング素子である第1の半導体素子2A、ならびに、正極端子36から蓄電パック正極端子66Fへと流れる電流経路、および、蓄電パック正極端子66Fから正極端子36へと流れる電流経路を制御するスイッチング素子である第3の半導体素子2AFを備え、蓄電セル3のローサイド側に、負極端子37から蓄電パック負極端子67へと流れる電流経路、および、蓄電パック負極端子67から負極端子37へと流れる電流経路を制御するスイッチング素子である第2の半導体素子2B、ならびに、負極端子37から蓄電パック負極端子67Fへと流れる電流経路、および、蓄電パック負極端子67Fから負極端子37へと流れる電流経路を制御するスイッチング素子である第4の半導体素子2BFを備える。
【0333】
これにより、蓄電パック100Fは、蓄電セル3のハイサイド側の2系統とローサイド側の2系統とのそれぞれで、蓄電セル3の2重保護を実現することができる。
【0334】
さらには、蓄電パック100Fによると、第3の半導体素子2AFが、変形例2に係る保護回路基板の平面視において、第1の蓄電タブ80ABに重なる位置に配置されず、第4の半導体素子2BFが、変形例2に係る保護回路基板の平面視において、第1の蓄電タブ80ABに重なる位置に配置されない構成に比べて、変形例2に係る保護回路基板を小型化することができる。
【0335】
(変形例3)
以下、実施の形態5に係る蓄電パック100Dから、一部の構成が変更されて構成される変形例3に係る蓄電パックについて説明する。
【0336】
蓄電パック100Dは、蓄電セル3と、第1の半導体素子2ADと、第2の半導体素子2BDとを備える構成の例であった。
【0337】
これに対して、変形例3に係る蓄電パックは、蓄電パック100Dに対して、さらに、蓄電セル3と同様の変形例3に係る蓄電セルと、第1の半導体素子2ADと同様の変形例3に係る第3の半導体素子と、第2の半導体素子2BDと同様の変形例3に係る第4の半導体素子とを備える構成の例となっている。
【0338】
<構成>
図29は、変形例3に係る蓄電パック100Gの回路図である。
【0339】
図29に示すように、蓄電パック100Gは、実施の形態5に係る蓄電パック100Dから、蓄電セル3Gと、第3の半導体素子2AGと、第4の半導体素子2BGとが追加されて構成される。
【0340】
蓄電セル3Gは、蓄電セル3と同様である。より具体的には、蓄電セル3Gは、蓄電セル3に対して、正極端子36を正極端子36Gに読み替え、負極端子37を負極端子37Gに読み替えたものと同様である。
【0341】
第3の半導体素子2AGは、第1の半導体素子2ADと同様である。より具体的には、第3の半導体素子2AGは、第1の半導体素子2ADに対して、第1のゲート端子119を第1のゲート端子119Gに読み替え、第1のソース端子111を第1のソース端子111Gに読み替え、ドレイン電極30をドレイン電極30Gに読み替えたものと同様である。
【0342】
第4の半導体素子2BGは、第2の半導体素子2BDと同様である。より具体的には、第4の半導体素子2BGは、第2の半導体素子2BDに対して、第1のゲート端子219を第1のゲート端子219Gに読み替え、第1のソース端子211を第1のソース端子211Gに読み替え、ドレイン電極31をドレイン電極31Gに読み替えたものと同様である。
【0343】
図29に示すように、第1の半導体素子2ADと、蓄電セル3と、第2の半導体素子2BDと、第3の半導体素子2AGと、蓄電セル3Gと、第4の半導体素子2BGとは、蓄電パック正極端子66と蓄電パック負極端子67との間において、この順に直列接続される。
【0344】
<考察>
上記構成の蓄電パック100Gによると、蓄電セル3の2重保護および蓄電セル3Gの2重保護を実現することができる。
【0345】
(実施の形態6)
以下、実施の形態4に係る蓄電パック100Cから、一部の構成が変更されて構成される実施の形態6に係る蓄電パックについて説明する。
【0346】
蓄電パック100Cは、蓄電セル3のハイサイド側に第1の半導体素子2Aを備え、蓄電セル3のローサイド側に第2の半導体素子2Bを備える構成の例であった。
【0347】
これに対して、実施の形態6に係る蓄電パックは、蓄電セル3のローサイド側に第1の半導体素子2Aと第2の半導体素子2Bとを備える構成の例となっている。
【0348】
ここでは、実施の形態6に係る蓄電パックについて、蓄電パック100Cと同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、蓄電パック100Cとの相違点を中心に説明する。
【0349】
<構成>
図30は、実施の形態6に係る蓄電パック100Hの構成を示す平面図である。図31Aは、図30のI-Iにおける切断面を示す断面図である。図31Bは、図30のII-IIにおける切断面を示す断面図である。図30において、実際には直接視認できない部分の一部について、あたかも視認できるかのように破線で図示している。
【0350】
図30図31A図31Bに示すように、蓄電パック100Hは、実施の形態4に係る蓄電パック100Cから、保護回路基板60が保護回路基板60Hに変更されて構成される。
【0351】
保護回路基板60Hは、実施の形態4に係る保護回路基板60から、第1の配線61が第1の配線161に変更され、第2の配線62が第2の配線162に変更され、第4の配線64が第4の配線164に変更されて構成される。
【0352】
第1の配線161は、蓄電パック正極端子66と接続されるとともに、導電性材料81を介して、1以上の金属部材85Aのうちの少なくとも1つと接続される。
【0353】
これにより、蓄電パック100Hには、保護回路基板60Hの平面視において、第1の蓄電タブ80ACと保護回路基板60Hとの間に電流が流れる領域と、第1の半導体素子2Aと第1の蓄電タブ80ACとが第1の蓄電タブ接合用金属板70ACを挟んで重複する領域と、が重複する部分が存在することとなる。
【0354】
第2の配線162は、導電性材料81を介して第2のソース端子121と接続されるとともに、導電性材料81を介して第1のソース端子211と接続される。
【0355】
第4の配線164は、蓄電パック負極端子67と接続されるとともに、導電性材料81を介して第1のソース端子111と接続される。
【0356】
<考察>
図32は、上記構成の蓄電パック100Hの回路図である。
【0357】
図32に示すように、第1の半導体素子2Aおよび第2の半導体素子2Bは、蓄電セル3の負極端子37から蓄電パック負極端子67へと流れる電流経路、および、蓄電パック負極端子67から蓄電セル3の負極端子37へ流れる電流経路のスイッチング素子として機能する。
【0358】
すなわち、(1)スイッチング素子である第1の半導体素子2Aが第2のソース端子121から第1のソース端子111へと導通状態となり、かつ、スイッチング素子である第2の半導体素子2Bが第2のソース端子221から第1のソース端子211へと導通状態となることにより、第2のソース端子221側の電位を第1のソース端子111側の電位よりも高くすることで、蓄電セル3から第2の蓄電タブ80BC、第2の蓄電タブ接合用金属板70BC、第2の半導体素子2B、保護回路基板60Hの第2の配線162、第1の半導体素子2A、保護回路基板60Hの第4の配線164の順に電流が流れる電流経路が形成され、(2)スイッチング素子である第1の半導体素子2Aが第1のソース端子111から第2のソース端子121へと導通状態となり、かつ、スイッチング素子である第2の半導体素子2Bが第1のソース端子211から第2のソース端子221へと導通状態となることにより、第1のソース端子111側の電位を第2のソース端子221側の電位よりも高くすることで、保護回路基板60Hの第4の配線164から第1の半導体素子2A、保護回路基板60Hの第2の配線162、第2の半導体素子2B、第2の蓄電タブ接合用金属板70BC、第2の蓄電タブ80BC、蓄電セル3の順に電流が流れる電流経路が形成される。
【0359】
このため、スイッチング素子である第1の半導体素子2A、および、スイッチング素子である第2の半導体素子2Bは、保護回路基板60Hにおいて、蓄電セル3への充電もしくは蓄電セル3からの放電を制御することができる。
【0360】
図32に示すように、蓄電パック100Hは、蓄電セル3のローサイド側に、負極端子37から蓄電パック負極端子67へと流れる電流経路、および、蓄電パック負極端子67から負極端子37へと流れる電流経路を制御するスイッチング素子である第1の半導体素子2Aおよび第2の半導体素子2Bを備える。
【0361】
これにより、蓄電パック100Hは、蓄電セル3のローサイド側で、蓄電セル3の2重保護を実現することができる。
【0362】
(実施の形態7)
以下、実装基板60に実装された状態の第1の半導体装置1ABを製造する際の、半導体装置の製造方法について説明する。
【0363】
図33A図33Fは、半導体装置の製造方法において実施される各工程における、製造途中の第1の半導体装置1ABの断面図である。
【0364】
図33A図33Fに示すように、半導体装置の製造方法は、図33Aに示す第0の工程、図33Bに示す第1の工程、図33Cに示す第2の工程、図33Dに示す第3の工程、図33Eに示す第4の工程、および、図33Fに示す第5の工程の6つの工程を含む。なお、後述するように、第0の工程を含まない、第1の工程~第5の工程の5つの工程を含む半導体装置の製造方法は、実装基板60に実装された状態の第1の半導体装置1ACを製造する際の、半導体装置の製造方法となっている。
【0365】
以下、各工程について順に説明する。
【0366】
第0の工程は、最初に実行する工程である。
【0367】
図33Aに示すように、第0の工程は、1以上の金属部材85Aを備える第3の金属板75Aを、第1の半導体素子2Aに接続する工程である。なお、実装基板60に実装された状態の第1の半導体装置1ACを製造する場合には、この第0の工程は実行しない。
【0368】
第1の工程は、第0の工程の実行後に、または、第0の工程を省略して最初に実行する工程である。
【0369】
図33Bに示すように、第1の工程は、第1の金属板70ABの第1の主面に、第1の半導体素子2Aを接続する工程である。なお、第0の工程の実行後に第1の工程を実行する場合には、第3の金属板75Aを介して、第1の主面に第1の半導体素子2Aを接続することとなり、第0の工程を省略して第1の工程を最初に実行する場合には、すなわち、実装基板60に実装された状態の第1の半導体装置1ACを製造する場合には、第3の金属板75Aを介さずに、第1の主面に第1の半導体素子2Aを接続することとなる。
【0370】
第2の工程は、第1の工程の実行後に実行する工程である。
【0371】
図33Cに示すように、第2の工程は、第1の半導体素子2Aを実装基板60に実装する工程である。
【0372】
なお、第2の工程を第1の工程よりも前に実施する製造方法もあり得る。
【0373】
第3の工程は、第2の工程の実行後に実行する工程である。
【0374】
図33Dに示すように、第3の工程は、第1の金属板70ABの第1の主面と背向する第2の主面に、第2の金属板80ABを接合する工程である。
【0375】
第4の工程は、第3の工程の実行後において、後述する第5の工程と順不同に実行する工程である。
【0376】
図33Eに示すように、第4の工程は、第1の金属板70ABを、(1)第2の主面同士が対面する部分を有するように、(2)第1の半導体素子2Aの平面視において、第1の金属板70ABと第1の半導体素子2Aとが接続する領域と、第1の金属板70ABと第2の金属板80ABとが接合する領域が、第1の金属板70ABを挟んで重複する部分を有するように折り曲げる工程である。
【0377】
第4の工程では、図33Eに示すように、例えば、型を用いて第1の金属板70ABを折り曲げるとしてもよい。
【0378】
第5の工程は、第3の工程の実行後において、前述した第4の工程と順不同に実行する工程である。
【0379】
図33Fに示すように、第5の工程は、第2の金属板80ABを、第1の金属板70ABと接合する面同士が対面する部分を有するように折り曲げる工程である。
【0380】
第5の工程では、図33Fに示すように、例えば、型を用いて第2の金属板80ABを折り曲げるとしてもよい。
【0381】
(補足)
以上、本開示の一態様に係る蓄電パック、半導体装置、および、半導体装置の製造方法について、実施の形態1~7および変形例1~3に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形をこれら実施の形態に施したものや、異なる実施の形態および変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0382】
(1)実施の形態6において、前述した通り、第1の蓄電タブ接合用金属板70ACは折れ曲がっており、蓄電パック100Hには、保護回路基板60Hの平面視において、第1の蓄電タブ80ACと保護回路基板60Hとの間に電流が流れ得る領域と、第1の蓄電タブ80ACと第1の蓄電タブ接合用金属板70ACと第1の半導体素子2Aと保護回路基板60Hとが重複する領域と、が重複する部分が存在する。
【0383】
これに対して、第1の蓄電タブ接合用金属板70ACが折れ曲がっていなくても、蓄電パック100Hは、保護回路基板60Hの平面視において、第1の蓄電タブ80ACと保護回路基板60Hとの間に電流が流れ得る領域と、第1の蓄電タブ80ACと第1の蓄電タブ接合用金属板70ACと第1の半導体素子2Aと保護回路基板60Hとが重複する領域と、が重複する部分が存在するように構成することが可能である。
【0384】
図34は、折れ曲がっていない第1の蓄電タブ接合用金属板70ACと、折れ曲がっていない第1の蓄電タブ80ACとを備える蓄電パック100Hであって、保護回路基板60Hの平面視において、第1の蓄電タブ80ACと保護回路基板60Hとの間に電流が流れ得る領域と、第1の蓄電タブ80ACと第1の蓄電タブ接合用金属板70ACと第1の半導体素子2Aと保護回路基板60Hとが重複する領域と、が重複する部分が存在する様子の一例を示す断面図である。
【0385】
なお、図34に例示される上記構成の蓄電パック100Hでは、接合準備領域73Aが、第1の金属板70ACの平面視において、第1の金属板70ACと第1の半導体素子2Aとが接続する接続領域と重複する部分を含む場合の構成例となっているが、接合準備領域73Aが、第1の金属板70ACの平面視において、上記接続領域と重複する部分含まない構成例も考えられる。
【0386】
(2)実施の形態3において、蓄電パック100Bは、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBが、図18A図18Bに示すように、それぞれ1回折り曲げられている構成例であるとして説明した。
【0387】
これに対して、他の構成例として、蓄電パック100Bは、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBが、2回以上折り曲げられている構成であっても構わない。
【0388】
図35A図35Bは、実施の形態3に係る蓄電パック100Bにおいて、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBが、2回以上折り曲げられていている構成である場合における、図17のI-Iにおける切断面を示す断面図である。
【0389】
図35Aに示すように、実施の形態3に係る蓄電パック100Bにおいて、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBが2回折り曲げられ、第1の蓄電タブ80ABおよび第2の蓄電タブ80BBが折り曲げられていない構成であってもよい。
【0390】
これにより、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBの表面積を比較的大きくすることが可能となるため、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBによる放熱効果を比較的大きくすることができる。
【0391】
または、図35Bに示すように、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBが2回折り曲げられ、第1の蓄電タブ80ABおよび第2の蓄電タブ80BBが1回折り曲げられた構成であってもよい。
【0392】
これにより、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBと、第1の蓄電タブ80ABおよび第2の蓄電タブ80BBとの接合(例えば、溶接による接合)を複数個所で行うことが可能となるため、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBと、第1の蓄電タブ80ABおよび第2の蓄電タブ80BBとの接合強度をより大きくすることができる。さらに、これにより、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBの表面積を比較的大きくすることが可能となるため、第1の蓄電タブ接合用金属板70ABおよび第2の蓄電タブ接合用金属板70BBによる放熱効果を比較的大きくすることができる。
【0393】
(3)実施の形態2において、蓄電パック100Aは、第1の蓄電タブ80Aが、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aを介して第1の半導体素子2Aと接続し、第2の蓄電タブ80Bが、第2の蓄電タブ接合用金属板70Bを介して第2の半導体素子2Bと接続するとして説明したが、他の構成例として、蓄電パック100Aは、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aと第2の蓄電タブ接合用金属板70Bとを備えずに、第1の蓄電タブ80Aが、第1の蓄電タブ接合用金属板70Aを介さずに第1の半導体素子2Aと接続し、第2の蓄電タブ80Bが、第2の蓄電タブ接合用金属板70Bを介さずに第2の半導体素子2Bと接続するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0394】
本開示は、蓄電パック、蓄電パックを構成する半導体装置、および、その半導体装置を製造する半導体装置の製造方法等に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0395】
1A、1AA、1AB、1AC、1AD 第1の半導体装置
1B、1BA、1BB、1BC、1BD 第2の半導体装置
2A、2AD、2AE 第1の半導体素子
2A1 第1の辺
2B、2BD、2BE 第2の半導体素子
2AF、2AG 第3の半導体素子
2BF、2BG 第4の半導体素子
3、3G 蓄電セル
10 第1の縦型MOSトランジスタ
11 第1のソース電極
12、13、22、23 部分
14 第1のソース領域
15 第1のゲート導体
16 第1のゲート絶縁膜
18 第1のボディ領域
20 第2の縦型MOSトランジスタ
20E 第3の縦型MOSトランジスタ
21 第2のソース電極
24 第2のソース領域
25 第2のゲート導体
26 第2のゲート絶縁膜
28 第2のボディ領域
30、30G 金属層(ドレイン電極)
31、31G ドレイン電極
32 半導体基板
33 低濃度不純物層
34 酸化膜
35 保護層
36、36G 正極端子
37、37G 負極端子
40 半導体層
60、60A、60B、60D、60H 保護回路基板(実装基板)
60C 樹脂
61、161 第1の配線
62、162 第2の配線
63 第3の配線
64、164 第4の配線
66、66E、66F 蓄電パック正極端子
67、67E、67F 蓄電パック負極端子
70A、70AB、70AC 第1の蓄電タブ接合用金属板(第1の金属板)
70B、70BB、70BC 第2の蓄電タブ接合用金属板(第1の金属板)
71、72D、81 導電性材料
72 絶縁性材料
73A、73B 接合準備領域
74、74A、74B、74C 折り曲げ軸
75A、75B 第3の金属板
76A 第1の略直線状辺
76B 第2の略直線状辺
77A、77B 凹部
80A、80AB、80AC 第1の蓄電タブ(第2の金属板)
80B、80BB、80BC 第2の蓄電タブ(第2の金属板)
85A、85B、85AA、85BA、85AD、85BD 金属部材
90 中央線
90C 境界
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H 蓄電パック
111、111a、111b、111c、111d、111e、111f、111G、211、211G、311、411 第1のソース端子
119、119G、219、219G、319、419 第1のゲート端子
121、121a、121b、121c、121d、121e、121f、221、321、421 第2のソース端子
129、229、329、429 第2のゲート端子
131 第3のソース端子
139 第3のゲート端子
231 第3のソース端子
239 第3のゲート端子
300A、300B スイッチング素子
A1 第1の領域
A2 第2の領域
【要約】
蓄電パック(100)は、蓄電セル(3)と、蓄電セル(3)に接続された蓄電タブ(80AB)と、蓄電セル(3)を過充電または過放電から保護する保護回路基板(60)と、保護回路基板(60)にフェイスダウンで実装されたチップサイズパッケージ型の半導体素子(2A)と、第1の主面で半導体素子(2A)と接続し、厚さ0.2mm以下の部分を有する蓄電タブ接合用金属板(70AB)と、を備え、蓄電タブ接合用金属板(70AB)は、第1の主面と背向する第2の主面で、蓄電タブ(80AB)に、保護回路基板(60)の平面視において、蓄電タブ(80AB)と蓄電タブ接合用金属板(70AB)と半導体素子(2A)と保護回路基板(60)とが重複する重複部分を有するように接合され、保護回路基板(60)の平面視において、蓄電タブ(80AB)と保護回路基板(60)との間で導通経路となり得る領域と、上記重複部分とが重複する部分が存在する。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25A
図25B
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図32
図33A
図33B
図33C
図33D
図33E
図33F
図34
図35A
図35B