(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
B62K 23/06 20060101AFI20240418BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20240418BHJP
B62J 45/40 20200101ALI20240418BHJP
B62J 99/00 20200101ALI20240418BHJP
B62L 3/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B62K23/06
B60T13/74 E
B62J45/40
B62J99/00
B62L3/00 Z
(21)【出願番号】P 2018075515
(22)【出願日】2018-04-10
【審査請求日】2020-10-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
【合議体】
【審判長】藤井 昇
【審判官】沼生 泰伸
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0305394(US,A1)
【文献】特開2005-39995(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0051303(KR,A)
【文献】特開2017-134521(JP,A)
【文献】特開2000-152583(JP,A)
【文献】特開2011-149294(JP,A)
【文献】特開2022-126697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K23/00
B62J45/00
B62J99/00
B62L3/00
B60T7/08
B60T13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車においてブレーキ装置を含むコンポーネントを操作するための操作装置であって、
変位可能に設けられ、ユーザによって操作される操作部と、
前記操作部への入力を電力に変換する発電部と、
前記操作部の変位を前記発電部に伝達するように構成される伝達機構と、
前記発電部における発電量に基づいて、前記操作部の変位量を検出するように構成されるセンサと、を備え、
前記伝達機構は、
前記発電部に連結されるプーリと、
前記操作部と前記プーリとを接続する接続部材と、を有し、
前記プーリは、前記操作部の変位に応じて前記接続部材によって回転され
、
前記発電部は、回転子と、固定子と、を有するダイナモであり、
前記回転子は、前記プーリと連結されて前記プーリとともに回転し、
前記センサは、電圧センサ、または、電流センサである、操作装置。
【請求項2】
前記操作部は、待機位置から操作位置に変位可能に構成され、
前記操作部を前記待機位置に向けて付勢する付勢部材をさらに備える、請求項
1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作部は、揺動可能に設けられる、請求項1
または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記センサは、前記発電部からの電力によって駆動される、請求項1から
3のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記発電部からの電力によって駆動される無線通信部をさらに備える、請求項1から
4のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記発電部からの電力を蓄電する蓄電部をさらに備える、請求項1から
5のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項7】
前記操作部と前記発電部とが設けられる基部をさらに備える、請求項1から
6のいずれか1項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置およびブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を含む人力駆動車において、コンポーネントを駆動するための電力を発生する発電装置が用いられる。特許文献1には、ハブダイナモによって発電する人力駆動車が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンポーネントの電動化によって人力駆動車の消費電力が増加している。このため、人力駆動車は、効率良く発電できることが望まれている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、効率良く発電できる操作装置およびブレーキシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1側面に従う操作装置は、人力駆動車においてブレーキ装置を含むコンポーネントを操作するための操作装置であって、ユーザによって操作される操作部と、前記操作部への入力を電力に変換する発電部と、を備える。前記第1側面の操作装置によれば、ブレーキ装置を操作するための操作装置への入力によって、発電部は発電できる。したがって、操作装置は、効率良く発電できる。操作装置で発生した電力は、ブレーキ装置などの人力駆動車のコンポーネント、センサ、制御装置などの駆動や、信号伝送に利用できる。
【0007】
前記第1側面に従う第2側面の操作装置において、前記発電部は、圧電素子を含み、前記操作部への入力に応じて前記圧電素子に圧力を与える伝達機構をさらに備える。前記第2側面の操作装置によれば、圧電素子は変形量が小さい場合であっても効率よく発電できる。このため、操作部への入力が小さい場合でも、発電部は効率よく発電できる。
【0008】
前記第2側面に従う第3側面の操作装置において、前記操作部は変位可能に設けられ、前記伝達機構は、前記操作部の変位に応じて前記圧電素子に圧力を与えるように構成される。前記第3側面の操作装置によれば、操作部は、例えばユーザの把持力によって変位する。このためは、伝達機構は、大きい力を圧電素子に与えることができる。したがって、操作装置は、圧電素子からより大きな電力を得ることができる。
【0009】
前記第1側面に従う第4側面の操作装置において、前記操作部は変位可能に設けられ、前記操作部の変位を前記発電部に伝達するように構成される伝達機構をさらに備える。前記第4側面の操作装置によれば、操作部は、例えばユーザの把持力によって変位する。このためは、伝達機構は、大きい力を発電部に与えることができる。したがって、操作装置は、発電部からより大きな電力を得ることができる。
【0010】
前記第4側面に従う第5側面の操作装置において、前記伝達機構は、前記発電部に連結されるプーリと、前記操作部の変位に応じて前記プーリを回転させるように前記操作部と前記プーリとを接続する接続部材と、を有する。前記第5側面の操作装置によれば、接続部材を介して操作部の変位がプーリの回転に変換される。このため、発電部は効率良く発電できる。
【0011】
前記第4側面に従う第6側面の操作装置において、前記伝達機構は、前記操作部の変位を前記発電部に伝達するように前記操作部と前記発電部との間に設けられる複数のギヤを有する。前記第6側面の操作装置によれば、操作部の変位がギヤの回転に変換される。このため、発電部は効率良く発電できる。
【0012】
前記第6側面に従う第7側面の操作装置において、前記複数のギヤは、前記操作部の変位を増速して前記発電部に伝達するように構成される。前記第7側面の操作装置によれば、複数のギヤによって増速された回転が発電部に伝達される。このため、発電部は効率良く発電できる。
【0013】
前記第6または第7側面に従う第8側面の操作装置において、前記伝達機構は、前記操作部の所定方向への変位のみを前記複数のギヤを介して前記発電部に伝達するように構成されるワンウェイ構造を有する。前記第8側面の操作装置によれば、ワンウェイ構造によって一方向のみの回転が発電部に伝達される。このため、発電部は効率良く発電できる。
【0014】
前記第4側面に従う第9側面の操作装置において、前記伝達機構は、前記操作部に接続され、前記操作部の変位に応じて移動するピストンと、前記ピストンを収容するシリンダと、前記ピストンの移動に応じて発生する流体圧によって前記発電部を駆動する駆動部と、を有する。前記第9側面の操作装置によれば、伝達機構は、流体圧によって発電部を駆動する。このため、ユーザは、通常の油圧操作装置と同じ操作感覚で操作できる。また、発電部は効率よく発電できる。
【0015】
前記第4から第8側面のいずれか1つに従う第10側面の操作装置において、前記発電部は、回転子と、固定子と、を有するダイナモである。前記第10側面の操作装置によれば、伝達機構は、操作部の変位に応じて回転子を回転させる。これによって、発電部は効率よく発電できる。
【0016】
前記第3から第9側面のいずれか1つに従う第11側面の操作装置において、前記操作部は、待機位置から操作位置に変位可能に構成され、前記操作部を前記待機位置に向けて付勢する付勢部材をさらに備える。前記第11側面の操作装置によれば、ユーザは、操作部を容易に操作できる。
【0017】
前記第3から第9側面のいずれか1つに従う第12側面の操作装置において、前記操作部は、揺動可能に設けられる。前記第12側面の操作装置によれば、ユーザは、把持力を操作部に与えることで容易に操作部を操作できる。
【0018】
前記第3から第11側面のいずれか1つに従う第13側面の操作装置において、前記操作部の変位量を検出するように構成されるセンサをさらに備え、前記センサは、前記発電部からの電力によって駆動される。前記第13側面の操作装置によれば、センサは、発電部からの電力によって操作装置の変位量を検出できる。
【0019】
前記第13側面に従う第14側面の操作装置において、前記センサは、前記発電部における発電量に基づいて、前記操作部の変位量を検出するように構成される。前記第14側面の操作装置によれば、操作装置は、発電部の発電量を操作部の変位量の検出に利用できる。
【0020】
前記第3から第11側面のいずれか1つに従う第15側面の操作装置において、前記発電部における発電量に基づいて、前記操作部の変位量を検出するように構成されるセンサをさらに備える。前記第15側面の操作装置によれば、操作装置は、発電部の発電量を操作部の変位量の検出に利用できる。
【0021】
前記第1から第15側面のいずれか1つに従う第16側面の操作装置において、前記発電部からの電力によって駆動される無線通信部をさらに備える。前記第16側面の操作装置によれば、無線通信部は、発電部からの電力によって信号を伝送できる。
【0022】
前記第1から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の操作装置において、前記発電部からの電力を蓄電する蓄電部をさらに備える。前記第17側面の操作装置によれば、発電部で発生した電力を適切に利用できる。
【0023】
前記第1から第17側面のいずれか1つに従う第18側面の操作装置において、前記操作部と前記発電部とが設けられる基部をさらに備える。前記第18側面の操作装置によれば、発電部は操作部の近傍に設けられる。このため、操作装置は、操作部への入力を適切に発電部に伝達できる。
【0024】
前記第1から第18側面のいずれか1つに従う第19側面の操作装置において、ユーザに各種情報を報知する報知部をさらに備える。前記第19側面の操作装置によれば、報知部は、ユーザに各種警告、蓄電量、その他の情報を報知することができる。
【0025】
第19側面に従う第20側面の操作装置において、前記発電部が前記報知部としても機能する。前記第20側面の操作装置によれば、発電部に電力供給することで発電部を駆動し、ユーザに各種情報を報知することができる。
【0026】
本発明の第21側面に従うブレーキシステムは、第1から第20側面のいずれか1つに従う操作装置と、前記ブレーキ装置と、を備える。前記第21側面のブレーキシステムによれば、ブレーキ装置を操作するための操作装置への入力によって、発電部は発電を行うことができる。したがって、ブレーキシステムは、効率良く発電できる。
【0027】
第21側面に従う第22側面のブレーキシステムにおいて、前記ブレーキ装置は、電力によって駆動される電動駆動部を有する。前記第22側面のブレーキシステムによれば、電動駆動部は、発電部の電力によってブレーキ装置を駆動できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、効率良く発電できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、実施形態1のブレーキシステムを備えた人力駆動車の側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のブレーキシステムのブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の操作装置の模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態2の操作装置の一部の断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態3の操作装置の模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態3の操作装置の一部の断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態4の操作装置の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態によって限定されるものではない。また、実施形態が複数ある場合、本発明は、各実施形態を組み合わせて構成されるものも含む。例えば、本実施形態では、人力駆動車100が自転車の場合で説明するが、他の人力で駆動する車両にも用いることができる。
【0031】
(実施形態1)
本実施形態のブレーキシステム1が用いられる人力駆動車100は、例えば自転車である。人力駆動車100は、自転車に限定されない。人力駆動車100は、電動自転車またはその他の2輪の電動車両を含む。人力駆動車100は、公道での運転に免許を要しない車両を含む。人力駆動車100は、内燃機関を有する車両を含まない。
【0032】
図1に示すように、人力駆動車100は、ハンドルバー10、フレーム16、バッテリ18、ホイールWおよびドライブトレインDTを含む。ホイールWは、前方の車輪(前輪WF)および後方の車輪(後輪WR)を含む。前輪WFは、ハブ組立体HAFを含む。後輪WRは、ハブ組立体HARを含む。前輪WFのハブ組立体HAFおよび後輪WRのハブ組立体HARにはそれぞれ、ディスクブレーキロータRTが設けられる。なお、本実施形態において、“前”、“後”、“左”、“右”、“上”および“下”、ならびにこれらと同義の用語は、ユーザがハンドルバー10に向かってサドルSに座った状態からみた“前”、“後”、“左”、“右”、“上”および“下”を意味する。
【0033】
ドライブトレインDTは、クランクアセンブリFCW、フロントスプロケットFS、リアスプロケットRSおよびチェーンCNを含む。クランクアセンブリFCWは、一対のクランクアームFCAおよび一対のペダルPDを含む。一対のペダルPDは、一対のクランクアームFCAのそれぞれの先端に回転可能に取り付けられる。
【0034】
フロントスプロケットFSは、クランクアセンブリFCWに設けられる。リアスプロケットRSは、後輪WRのハブ組立体HARに設けられる。チェーンCNは、フロントスプロケットFSおよびリアスプロケットRSに巻き掛けられる。人力駆動車100の搭乗者によってペダルPDに加えられる駆動力は、フロントスプロケットFS、チェーンCNおよびリアスプロケットRSを介して後輪WRに伝達される。
【0035】
人力駆動車100は、電動走行補助装置20をさらに含む。電動走行補助装置20は、人力駆動車100の推進力がアシストされるように動作する。電動走行補助装置20は、例えばペダルPDに加えられる駆動力に応じて動作する。電動走行補助装置20は、電気モータ22を含む。電動走行補助装置20は、人力駆動車100に搭載されるバッテリ18から供給される電力によって駆動される。本実施形態では、バッテリ18は、フレーム16の外表面に設けられる。バッテリ18は、後述する制御装置110、操作装置2およびブレーキ装置3に電力を供給する。なお、電動走行補助装置20は、人力駆動車100から省略されてもよい。
【0036】
図2に示すように、ブレーキシステム1は、操作装置2と、ブレーキ装置3と、を備える。操作装置2は、人力駆動車100においてコンポーネント(本実施形態ではブレーキ装置3)を操作するように構成される。操作装置2は、操作部32、伝達機構34および発電部36を備える。なお、操作装置2によって操作されるコンポーネントはブレーキ装置3に限定されない。操作装置2によって、電動走行補助装置20、変速装置、アジャスタブルシートポスト、サスペンション、サイクルコンピュータ、その他人力駆動車100に搭載されるデバイス、など任意のコンポーネントを操作できる。
【0037】
図3に示すように、操作部32は、ブレーキ装置3を操作するためのブレーキレバーである。操作装置2は、操作部32と発電部36とが設けられる基部28をさらに備える。基部28は、クランプ12によってハンドルバー10に取り付けられる。操作部32は、軸14を介して基部28に連結される。軸14を中心軸として、操作部32は、揺動可能に設けられる。なお、操作部32は、ブレーキ装置3を操作するものであればよく、ブレーキレバーに限定されない。例えば、操作部32は、スイッチ装置などであってもよい。
【0038】
操作部32は、待機位置P1から操作位置P2に変位可能に構成され、操作部32を待機位置P1に向けて付勢する付勢部材46をさらに備える。操作位置P2は、待機位置P1よりもハンドルバー10に近い位置である。ユーザがハンドルバー10を握って操作部32を把持することによって、操作部32は待機位置P1から操作位置P2に変位する。また、ユーザが操作部32を開放すると、付勢部材46の付勢力によって、操作部32は操作位置P2から待機位置P1に戻る。付勢部材46は、コイルばねや板ばねなどである。
【0039】
発電部36は、圧電素子62を含む。操作装置2は、操作部32への入力に応じて圧電素子62に圧力を与える伝達機構34をさらに備える。圧電素子62は、基部28に固定されたハウジング64の内部に取り付けられる。伝達機構34は、操作部32と連結され、ハウジング64の内部に延びる。伝達機構34の押圧面34aは、ハンドルバー10と圧電素子62との間に配置される。伝達機構34は、リンクである。また、伝達機構34は、複数のリンクが組み合わされたリンク機構であってもよい。
【0040】
操作部32が待機位置P1から操作位置P2に変位すると、伝達機構34はハンドルバー10から離れる方向に変位する。この結果、伝達機構34の押圧面34aが圧電素子62に接し、伝達機構34は圧電素子62に圧力を与える。このように、操作部32は変位可能に設けられ、伝達機構34は、操作部32の変位に応じて圧電素子62に圧力を与えるように構成される。これによって、圧電素子62は、加えられた圧力に応じた電圧を発生する。
【0041】
このように、操作装置2は、人力駆動車100のブレーキ装置3を操作するための装置であって、ユーザによって操作される操作部32と、操作部32への入力を電力に変換する発電部36と、を備える。
【0042】
なお、伝達機構34の構成は
図3に限定されない。伝達機構34はリンク機構であってもよい。この場合、伝達機構34は、操作部32が待機位置P1から操作位置P2に変位した場合に、ハンドルバー10に近づく方向に変位してもよい。圧電素子62の取付位置も伝達機構34に合わせて適宜変更できる。圧電素子62は、伝達機構34の押圧面34aと、ハンドルバー10との間に配置されてもよい。また、操作装置2において、伝達機構34が省略されてもよい。この場合、操作装置2において、例えば、操作部32が基部28に固定的に設けられ、操作部32、または操作部32と基部28との間に圧電素子62が設けられる。
【0043】
図2に示すように、操作装置2は、発電部36からの電力を蓄電する蓄電部38をさらに備える。蓄電部38は、充電可能なバッテリ(二次電池)である。蓄電部38は、リチウムイオンバッテリであるが、充電可能なバッテリであれば、種類は任意である。蓄電部38に蓄えられた電力は、ブレーキ装置3、センサ40、無線通信部42および制御装置110の駆動に利用できる。また、発電部36の電力は、ユーザインターフェース(UI)の駆動電源に利用してもよい。
【0044】
操作装置2は、操作部32の変位量を検出するように構成されるセンサ40をさらに備える。センサ40は、発電部36からの電力によって駆動される。センサ40は、発電部36における発電量に基づいて、操作部32の変位量を検出するように構成される。センサ40は、電圧センサまたは電流センサである。なお、センサ40は、発電部36から電力が供給される場合に限定されず、蓄電部38からの電力によって駆動されてもよい。また、センサ40は、軸14を中心軸とした操作部32の揺動角度を検出する角度センサまたは角加速度センサや、操作部32の変位量を検出する変位センサであってもよい。
【0045】
また、操作装置2は、発電部36からの電力によって駆動される無線通信部42をさらに備える。無線通信部42は、各種情報を無線で制御装置110に送信できる。各種情報は、センサ40で検出された操作部32の変位量に関する情報や、発電部36で発電された電力に関する情報や、蓄電部38に蓄電された電力に関する情報を含む。制御装置110は、操作装置2およびブレーキ装置3の動作を制御する。制御装置110は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびフラッシュメモリ(Flash Memory)などを含む。なお、操作装置2は、無線通信部42を備えず、有線によって各種情報を送信できる有線通信部を備えてもよい。また、制御装置110は、操作装置2およびその操作対象のコンポーネント(本実施形態ではブレーキ装置3)の一方に操作ユニットとして設けられてもよい。
【0046】
また、操作装置2は、ユーザに各種情報を報知する報知部44をさらに備える。報知部44は、警告音を発生するスピーカーや、振動を発生する振動発生装置や、各種情報を表示する表示装置である。表示装置は、蓄電部38の蓄電量や、発電部36の発電量などの情報を表示する。制御装置110は、無線通信部42からの情報に基づいて、蓄電量が低下した場合や、発電部36の動作に異常が発生した場合に、報知部44によって各種情報を報知する。
【0047】
また、発電部36が報知部44としても機能する。圧電素子62は、蓄電部38、バッテリ18、および電源装置(図示しない)の少なくともいずれか1つからの電力によって振動するように駆動される。これによって、発電部36はユーザに各種情報を報知できる。
【0048】
蓄電部38、センサ40、無線通信部42、報知部44および付勢部材46は、
図3に示す基部28または操作部32に設けられる。なお、操作装置2は、蓄電部38、センサ40、無線通信部42、報知部44および付勢部材46の1つ以上を備えない構成であってもよい。
【0049】
図2に示すように、制御装置110は、操作部32の変位量に関する情報に基づいて、ブレーキ装置3に駆動信号を供給して、ブレーキ装置3を動作させる。本実施形態ではブレーキ装置3はディスクブレーキキャリパである。ブレーキ装置3は、ブレーキパッド56と、電力によって駆動される電動駆動部58と、を有する。
図1に示すように、ブレーキ装置3は、前輪WFのディスクブレーキロータRTおよび後輪WRのディスクブレーキロータRTにそれぞれ対応するように設けられる。つまり、人力駆動車100には、2つのブレーキ装置3が設けられる。これに対応して、ハンドルバー10には、左右に2つの操作装置2が設けられる。なお、
図1には右側の操作装置2のみが示されている。本実施形態のブレーキシステム1は、1つの操作装置2によって1つのブレーキ装置3を動作させるように構成される。なお、2つの操作装置2および2つのブレーキ装置3において制御装置110を共用してもよい。なお、1つの操作装置2によって2つのブレーキ装置3を動作させるようにブレーキシステム1を構成してもよい。
【0050】
ブレーキ装置3は、回転体であるディスクブレーキロータRTの周縁部に部分的に設けられる。ブレーキ装置3は、ディスクブレーキロータRTを挟んで対向するように配置される2つのブレーキパッド56を有する。
【0051】
電動駆動部58は、蓄電部38または発電部36から電力が供給される。電動駆動部58は、通常動作時には蓄電部38から電力が供給され、蓄電部38の蓄電量が低下した場合に発電部36およびバッテリ18の少なくとも1つから電力が供給される。電動駆動部58は、ねじやカムなどを有するアクチュエータであり、2つのブレーキパッド56の少なくとも1つを移動させるように構成される。電動駆動部58は、電力によってブレーキパッド56をディスクブレーキロータRTに押し付ける。ブレーキパッド56とディスクブレーキロータRTとの間に発生する摩擦によってホイールWが制動される。また、電動駆動部58は、シリンダとピストンとを含む油圧装置を有していてもよい。この場合、電動駆動部58は、電力によってピストンを動作させて、シリンダ内の液圧によってブレーキパッド56を移動させることができる。
【0052】
なお、ブレーキ装置3は、ディスクブレーキキャリパに限定されず、ブレーキシューをホイールWのリムなどに接触させるリムブレーキ、またはハブなどに設けられるドラムにブレーキシューを接触させるドラムブレーキであってもよい。
【0053】
(実施形態2)
図4は、操作装置2Aのうち、発電部36Aと伝達機構34Aとが連結される部分を示す。なお、上述した実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
図4に示すように操作装置2Aは、操作部32(
図3参照)の変位を発電部36Aに伝達するように構成される伝達機構34Aをさらに備える。伝達機構34Aは、発電部36Aに連結されるプーリ72と、操作部32の変位に応じてプーリ72を回転させるように操作部32とプーリ72とを接続する接続部材74と、を有する。接続部材74は、ワイヤなどの紐状(線状)の部材であり、プーリ72の外周に設けられた溝に巻き付けられる。接続部材74は、操作部32の待機位置P1から操作位置P2への変位に伴ってプーリ72を回転させるように、プーリ72の中心軸に対してオフセットしてプーリ72に連結される。
【0055】
発電部36Aは、回転子66と、固定子68と、を有するダイナモである。回転子66は、シャフト70を介してプーリ72と連結され、プーリ72とともに回転する。回転子66は、磁石を有する。固定子68は、籠状(筒状)のヨーク68aとその一端に設けられるコイル68bを有する。本実施形態では、回転子66が固定子68の内側に配置される。ただし、これに限定されず、発電部36Aは、回転子66が筒状に形成されて、固定子68の外側を回転するように構成されてもよい。なお、操作装置2Aは、プーリ72と回転子66との間に、プーリ72の回転を増速して発電部36Aに伝達する増速機構を有していてもよい。このように発電部36Aがダイナモである場合、発電部36を電動モータとして駆動することによって、発電部36Aが報知部44として機能する。発電部36Aの回転子66の回転によって、操作部32を変位または振動させることによって、ユーザに各種情報を報知できる。
【0056】
(実施形態3)
図5に示すように、実施形態3の操作装置2Bにおいて、発電部36Aは、基部28の軸14と重なって設けられる。
【0057】
図6に示すように、伝達機構34Bは、第1ギヤ76と第2ギヤ78とを有する。第1ギヤ76は、軸14と連結されて、操作部32の揺動が伝達される。これによって、第1ギヤ76は軸14を中心軸として回転できる。第1ギヤ76の歯と、第2ギヤ78の歯とは噛み合う。第2ギヤ78は、シャフト70を介して発電部36Aの回転子66と連結される。このように、伝達機構34Bは、操作部32の変位を発電部36に伝達するように操作部32と発電部36との間に設けられる複数のギヤ(第1ギヤ76および第2ギヤ78)を有する。
【0058】
第1ギヤ76の歯数は、第2ギヤ78の歯数よりも大きい。このため、第1ギヤ76の回転数よりも第2ギヤ78の回転数が大きくなる。このように、複数のギヤは、操作部32の変位を増速して発電部36Aに伝達するように構成される。
【0059】
また、伝達機構34Bは、操作部32の所定方向への変位のみを複数のギヤ(第1ギヤ76および第2ギヤ78)を介して発電部36Aに伝達するように構成されるワンウェイ構造80を有する。ワンウェイ構造80は、軸14と第1ギヤ76との間に設けられる。ワンウェイ構造80は、軸14の一方向の回転のみを第1ギヤ76に伝達するクラッチ(ワンウェイクラッチ)である。ワンウェイ構造80は、操作部32が待機位置P1から操作位置P2に変位した場合に、軸14の回転を発電部36Aに伝達するように構成される。一方、ワンウェイ構造80は、操作部32が操作位置P2から待機位置P1に変位した場合に、軸14の回転を発電部36Aに伝達しないように構成される。
【0060】
(実施形態4)
図7は、操作装置2Cのうち、伝達機構34Cの断面図を示し、発電部36を二点鎖線で示している。
図7に示すように、本実施形態の操作装置2Cにおいて、伝達機構34Cは、操作部32に接続され、操作部32の変位に応じて移動するピストン84と、ピストン84を収容するシリンダ82と、ピストン84の移動に応じて発生する流体圧によって発電部36Aを駆動する駆動部86と、を有する。
【0061】
ピストン84は、ロッド84aを介して操作部32と連結される。操作部32が待機位置P1から操作位置P2に変位すると、ロッド84aからピストン84に力が加わる。これによって、ピストン84は、シリンダ82の軸方向にスライドする。ピストン84は、シリンダ82のシリンダ室82aの体積が小さくなるようにスライドする。シリンダ室82aは作動液88で満たされる。ピストン84の移動によって作動液88の液圧が変化する。
【0062】
シリンダ82の端部には管82bの一端が接続される。管82bの内部は、シリンダ室82aと流体的に接続される。なお、シリンダ82には、作動液88を収容できる図示しないリザーバタンクが接続される。管82b内では、シリンダ82で生じた作動液88の液圧の変化によって作動液88が流れ、流体圧が発生する。
【0063】
駆動部86は、管82bに設けられ、軸86aを中心に回転可能になっている。駆動部86は、軸86aを介して発電部36Aの回転子66(
図6参照)と連結される。駆動部86は、例えば羽根車であり、管82bを通る作動液88の流体圧によって回転する。これによって、発電部36Aの回転子66が駆動される。
【0064】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本実施形態の内容によって実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更できる。
【符号の説明】
【0065】
1 ブレーキシステム
2、2A、2B 操作装置
3 ブレーキ装置
10 ハンドルバー
14 軸
28 基部
32 操作部
34、34A、34B 伝達機構
36、36A 発電部
38 蓄電部
40 センサ
42 無線通信部
44 報知部
46 付勢部材
58 電動駆動部
62 圧電素子
64 ハウジング
66 回転子
68 固定子
70 シャフト
72 プーリ
74 接続部材
76 第1ギヤ
78 第2ギヤ
80 ワンウェイ構造
82 シリンダ
84 ピストン
86 駆動部
88 作動液
100 人力駆動車
110 制御装置
P1 待機位置
P2 操作位置