(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】PETボトル容器詰め飲料製品の製造方法、及びPETボトル容器
(51)【国際特許分類】
B65D 23/00 20060101AFI20240418BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20240418BHJP
【FI】
B65D23/00 H
B23K26/00 B
(21)【出願番号】P 2019132253
(22)【出願日】2019-07-17
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 剛
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-011819(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0147418(US,A1)
【文献】特開2016-137719(JP,A)
【文献】特開2019-077459(JP,A)
【文献】意匠登録第1586666(JP,S)
【文献】意匠登録第1584731(JP,S)
【文献】意匠登録第1586663(JP,S)
【文献】意匠登録第1586665(JP,S)
【文献】特開2013-215999(JP,A)
【文献】特開2019-051593(JP,A)
【文献】特開2007-041569(JP,A)
【文献】特開2003-321616(JP,A)
【文献】特開2018-034827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PETボトル容器詰め飲料製品の製造方法であって、
40m/分以上の速度でPETボトル容器を搬送する過程において、前記PETボトル容器の本体に対してレーザー光を照射して該PETボトル容器の表面を切削することにより印字を施す工程を有し、
レーザー印字される図柄は、15.0平方mm以上の中抜き領域を有しており、
前記レーザー印字される図柄は、前記PETボトル容器の総表面積に対して0.03%以上0.5%以下の中抜き領域を有している、
製造方法。
【請求項2】
PETボトル容器詰め飲料製品の製造方法であって、
40m/分以上の速度でPETボトル容器を搬送する過程において、前記PETボトル容器の本体に対してレーザー光を照射することで、該PETボトル容器の表面を切削することにより印字を施す工程を有し、
レーザー印字される図柄は、15.0平方mm以上300平方mm以下の中抜き領域を有している
製造方法。
【請求項3】
前記レーザー
光を照射することで印字される前記図柄の切削深さは、5~10μmの範囲である
請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記レーザー
光は、炭酸ガスレーザー
を用いて照射される、
請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETボトル容器詰め飲料製品の製造方法及びPETボトル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
PETボトル容器詰め飲料製品においては、環境保護の観点から、ラベルレス化が推奨されている。一方で、資源有効利用促進法では、PETボトル容器には、「PET」や「プラ」といった識別表示マークを表示することが義務付けられている。
【0003】
資源有効利用促進法では、例えば「PET」マークに関して、大型容器と小型容器とでサイズ(
図1を参照)やデザイン、またその表示方法について遵守事項を定めている。具体的に、その表示方法に関しては、容器の底部又は側部に、1箇所以上刻印し、かつ、容器の側部に1カ所以上印刷又はラベルを貼る、ことを定めている。
【0004】
これまで、「PET」マーク等については、PETボトル容器詰め飲料製品のラベルに印字されていた。ところが、当該製品において完全なラベルレスを進めていく上では、PETボトル容器それ自体(容器本体)に「PET」マークを付することが必要となり、その具体的な方法が検討されている。
【0005】
具体的に、PETボトル容器本体への印字方法としては、賞味期限やロットナンバー等の印字に用いられているインクジェットによる方法が考えられる。しかしながら、インクジェットに用いられるインク成分は、PETボトル容器のリサイクル工程においてアルカリ溶液に不溶であり、リサイクル性が損なわれる。実際に、PETボトルリサイクル推進協議会のガイドラインでも、賞味期限やロットナンバー等の微細な表示は除いて、PETボトル本体へのインクジェットによる直接印字は行わないことが原則になっている。
【0006】
このように、インクジェットを用いた「PET」マークの印字では、インク表示であることから視認性に優れるものの、リサイクル性が著しく損なわれてしまう。また、識別表示である「PET」マーク等には、上述のようにサイズや表示方法の遵守事項が定められており、リサイクル性を高めるために例えばそのサイズを小さくすることはできない。
【0007】
また、PETボトル容器の成型に用いる金型に対して「PET」マーク等の識別表示の図柄を加工し、容器成型の過程において容器本体に刻印する方法、いわゆる金型刻印の方法も考えられる。このような金型刻印の方法では、インク等を使用しないことから、リサイクル性は有するものとなる。しかしながら、金型刻印では、印字部分の識別性が低下することがある。また、既存の容器成型用の金型に追加加工を施す必要があり、あるいは新規の金型を作製する必要が生じてしまい、PETボトル容器の成型コストが高まり、経済効率性に劣る。
【0008】
一方、対象物に図柄等をマーキングする方法として、レーザーを用いたレーザーマーキング(「レーザー印字」ともいう)の方法がある。レーザー印字は、Arレーザーや炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー等のレーザー光を用い、特定の波長のレーザー光を照射することによって、対象物の表面を切削等することで図柄等をマーキングするものである。このようなレーザー印字の方法によって、PETボトル容器本体に対して「PET」マーク等の識別表示を付するようにすれば、リサイクル性が優れるPETボトル容器詰め飲料製品を製造できる。また、容器成型用の金型に追加加工するといった作業も不要となるため、効率的な操作で、PETボトル容器本体に識別表示を付すことができる。
【0009】
ここで、一般に、PETボトル容器詰め飲料製品の製造においては、PETボトル容器を成型したのち、その容器をベルトコンベア等により所定の速度で搬送して、容器内部に飲料を充填する工程へと供給する。具体的には、例えば40m/分以上の速度で搬送される。PETボトル容器本体に「PET」マーク等の識別表示を付す場合には、搬送経路の途中の位置にレーザー装置を設置して、所定の速度で搬送されているPETボトル容器に対してレーザー印字することが望まれ、これにより、量産性も確保することができる。
【0010】
しかしながら、「PET」マーク等の識別表示等の、印字される図柄の領域が比較的大きな面積となるような場合、例えば40m/分以上の高速搬送されるPETボトル容器に対して、図柄の視認性を確保しながら、PETボトル容器本体に対してレーザー印字することは困難になることがある。
【0011】
なお、特許文献1には、容器本体と、その容器本体の外側に密着して設けられるプラスチック製部材とを備えた複合容器が開示されており、そのプラスチック製部材の表面にレーザー印字部を有することが示されている。しかしながら、特許文献1には、PETボトル容器等の容器本体にレーザー印字するものではなく、別体のプラスチック製部材に印字するものである。また、プラスチック製部材に印字するものであることから、高速搬送される容器本体に対して的確にレーザー印字するという技術的課題は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、PETボトル容器自体に、「PET」マーク等の識別表示を視認性よく効率的に付すことができ、量産性を確保しながら、リサイクル性に優れたPETボトル容器詰め飲料製品を製造する方法、及びそのPETボトル容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、PETボトル容器を搬送する過程において容器本体にレーザー印字する工程を有するようにし、形成される図柄が特定の面積の中抜き領域を有するようにレーザー印字することで、量産性を確保しながら、リサイクル性に優れたPETボトル容器詰め飲料製品を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
(1)本発明の第1の発明は、PETボトル容器詰め飲料製品の製造方法であって、
40m/分以上の速度でPETボトル容器を搬送する過程において、前記PETボトル容器の本体に対してレーザーにより印字を施す工程を有し、レーザー印字される図柄は、15.0平方mm以上の中抜き領域を有しており、前記PETボトル容器はリサイクル性に優れたものである、製造方法である。
【0016】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記レーザー印字される図柄は、前記PETボトル容器の総表面積に対して0.03%以上の中抜き領域を有している製造方法である。
【0017】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記レーザーによる切削深さは、5~10μmの範囲である製造方法である。
【0018】
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記レーザーは、炭酸ガスレーザーである製造方法である。
【0019】
(5)本発明の第5の発明は、PETボトル容器であって、当該PETボトル容器本体に、レーザー印字され、15.0平方mm以上の中抜き領域を有する図柄が描写された部分を有する、PETボトル容器である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、PETボトル容器自体に識別表示を視認性よく効率的に付すことができ、量産性を確保しながら、リサイクル性に優れたPETボトル容器詰め飲料製品を製造できることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】資源有効利用促進法にて規定されている。PETボトル容器に表示する「PET」マークのサイズに関する規格事項を示す図。
【
図2】中抜き領域を有する図柄が描写されたPETボトル容器本体の例を模式的に示す図である。
【
図3】実施例及び比較例での処理により形成された、PETボトル容器本体におけるレーザー印字部の写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。なお、本明細書にて、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
【0023】
≪1.PETボトル容器詰め飲料製品の製造方法≫
本発明に係るPETボトル容器詰め飲料製品の製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう)は、40m/分以上の速度でPETボトル容器を搬送する過程においてその容器本体に対してレーザーにより印字を施す工程を有する。そして、レーザー印字される図柄は、15.0平方mm以上の中抜き領域を有するものであることを特徴としている。
【0024】
このような製造方法によれば、レーザー印字によって「PET」マーク等の識別表示の図柄を容器本体に対して付すことができ、特にリサイクル性に優れたPETボトル容器詰め飲料製品を製造できる。また、PETボトル容器を所定の速度で搬送する過程においてレーザー印字するようにしていることから、量産性を確保しながら製造でき、しかも15.0平方mm以上の中抜き領域を有する図柄を印字していることから、高速搬送されながらも、識別表示からなる図柄を的確にかつ視認性よく印字できる。
【0025】
以下、PETボトル容器の搬送について説明する。
【0026】
(PETボトル容器の搬送)
PETボトル容器詰め飲料製品を製造する過程では、PETボトル容器を金型成型により作製したのち、ベルトコンベア等の搬送手段に載せておよそ40m/分の速度で、容器内部に飲料を充填する作業場へと搬送される。
【0027】
この製造方法においては、40m/分の速度でPETボトル容器を搬送する過程において、そのPETボトル容器本体に対して所定の図柄をレーザー印字する工程を有する。
【0028】
このように、搬送過程においてPETボトル容器本体にレーザー印字することで、量産性を確保しながら、識別表示からなる図柄をPETボトル容器本体に付すことができる。
【0029】
以下、本発明に係るPETボトル容器詰め飲料製品の製造方法において好適に用いることができるレーザーにより印字を施す方法を説明する。
【0030】
(レーザー印字)
この製造方法におけるレーザー印字は、PETボトル容器を搬送する過程においてPETボトル容器の本体に対しレーザーにより印字を施す。具体的には搬送経路の途中の位置にレーザー装置を1台あるいは複数台設置して、レーザー装置から特定の波長のレーザー光を照射することにより、PETボトル容器本体の表面を切削、溶融、蒸発させて印字部を形成する(
図2を参照)。
【0031】
レーザー装置としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。また、レーザー装置によるレーザー印字の処理は、例えば、PETボトル容器を成型後、そのPETボトル容器の成型処理熱を除熱したあとに行う。また、除熱後に限られず、成型熱が残存している状態のPETボトル容器に対してレーザー印字の処理を行ってもよい。
【0032】
この製造方法においてレーザー印字される図柄は、15.0平方mm以上の中抜き領域を有している。本発明に係る製造方法によれば、このような15.0平方mm以上の中抜き領域を有する図柄を印字することができ、しかも40m/m以上の高速で搬送される状況下でも、的確かつ視認性よく印字することができる。
【0033】
なお、レーザー印字される図柄において中抜き領域の面積の上限は、PETボトル容器の大きさにも依るが、例えば300平方mm以下とすることが好ましい。レーザー印字される図柄において300平方mm以下の中抜き領域の大きさとなるようにすることで、40m/m以上の高速で搬送されるPETボトル容器に対して視認性を確保しながら、的確に印字できる。
【0034】
使用するレーザー光は特に限定されるものではなく、例えば、Arレーザー、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、He-Neレーザー、エキシマレーザー、金属蒸気レーザー、ファイバレーザー、Nd:YAGレーザーを含むYAGレーザー類、及びそれらの高調波レーザー等が挙げられる。これらの中でも、装置が比較的小型で安価であることから、CO2レーザーが好ましい。
【0035】
レーザー光の波長は、使用するレーザー光により変化するが、例えば500nm以上12μm以下とすることができる。また、レーザー光の波長は、10μm以下であることが好ましく、9.3μm以下であることが特に好ましい。レーザー光の波長を特に9.3μm以下とすることにより、PETボトル容器の破損を防止しつつ、図柄の視認性を高めることができる。
【0036】
具体的に、使用するレーザー光の波長として、例えば、炭酸ガスレーザーの場合には9.3μmのレーザー光とし、Nd:YAGレーザーの場合には1064nmのレーザー光とする。特に、炭酸ガスレーザーを用いて9.3μmのレーザー光で図柄を印字することにより、印字が深掘りされて熱が発生することによるPETボトル容器の破損等の不具合の発生を軽減することができる。
【0037】
(レーザー印字される図柄)
レーザー印字される図柄は、15.0平方mm以上の中抜き領域を有している。例えば
図2は、中抜き領域を有する図柄が描写されたPETボトル容器本体の模式図である。ここで、中抜き領域を有する図柄(中抜き図柄、中抜き文字)とは、
図2に示すように図柄の縁のみが描かれて、いわゆる塗りつぶし(中埋め)が施されていない図柄をいう。
【0038】
上述したとおり、PETボトル容器を搬送中であってもレーザー印字することが可能となり、量産性を維持しながら、識別表示マーク等をPETボトル容器本体に印字できる。しかも、
図2に示すように所定面積の中抜き領域を有する図柄であっても視認性が高い(実施例も参照)。
【0039】
この図柄は、PETボトル容器の総表面積に対して0.03%以上の中抜き領域を有していることが好ましく、0.05%以上の中抜き領域を有していることがより好ましい。このように、本発明に係る製造方法によれば、比較的大きな図柄であっても、量産性を維持しながら、リサイクル性にも優れたPETボトル容器詰め飲料製品を製造できる。
【0040】
なお、図柄を構成する中抜き領域のPETボトル容器の総表面積に対する割合は0.5%以下とすることが好ましい。このような割合であることにより、PETボトル容器の所望の座屈強度を保ちながら、識別表示マーク等の図柄を維持しながらPETボトル容器本体に印字する。また、40m/分以上の高速で搬送されている状況下でも的確に追従しながら印字することができる。
【0041】
ここで、この図柄としては、主には所定面積以上に印字する必要がある「PET」や「プラ」といった資源有効利用促進法に基づく識別表示マークが挙げられる。またそのほか、例えば、飲料の名称や銘柄、製造場所若しくは産地、製造日等の飲料の品質等を表示するものや、商標等の商品等表示であってもよい。
【0042】
また、レーザーによる切削深さは、PETボトル容器を構成するPETの厚さにもよるが、5~10μmの範囲であることが好ましい。5μm以上の範囲であることにより図柄の視認性をさらに高くすることができる。10μm以下の範囲であることによりPETボトル容器が破損することを防止することができる。
【0043】
(内部への飲料の充填)
上述のようにしてPETボトル容器本体に識別表示マーク等に図柄をレーザー印字すると、搬送先にて、そのPETボトル容器内に飲料を充填する。飲料の充填方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。この充填は、上述したレーザー印字よりも前に行っても後に行ってもよいが、衛生面等の観点からレーザー印字の後に行うことが好ましい。なお、PETボトル容器に飲料を充填するにあたっては、予め加熱殺菌処理を行うことが好ましい。
【0044】
≪2.PETボトル容器≫
本発明に係るPETボトル容器は、PETボトル容器本体に、レーザー印字されて15.0平方mm以上の中抜き領域を有する図柄が描写された部分を有することを特徴とする。具体的には、
図2の模式図に示すように、中抜き領域を有する図柄が描写され、その視認性も十分に高い。
【0045】
また、このようなインクを用いたインクジェット印字等ではなく、レーザー印字によりされていることにより中抜き領域を有する図柄が描写されていることから、例えばインク成分等のリサイクル性を低下させる成分をほとんど含まない。すなわち、このPETボトル容器は、リサイクル性に特に優れている。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
[実施例1]
成型後のPETボトル容器(小型容器(容量500mL)、大型容器(容量2L))をベルトコンベアからなる搬送手段に固定して載置し、40m/分の速度で搬送させた。このとき、搬送手段における経路の途中にレーザー装置を1台載置し、PETボトル容器を搬送する過程において、そのPETボトル容器本体の表面にレーザー印字を施した。
【0048】
ここで、PETボトル容器本体の表面には、
図2の模式図に示すような、中抜き領域を有するような図柄形態の「PET」マーク表示をレーザーにより印字した。なお、図柄の大きさとしては、中抜き領域が16.8平方mmとなるようにした。
【0049】
このようなレーザー印字の処理を行ったのち、PETボトル容器本体の表面の印字部を確認したところ、「PET」マークの識別表示が明確に印字されており、視認性も高いものであった。
図3に、実施例1での処理により形成された印字部の写真を示す。また、インクジェット等の方法を用いることなく印字したことから、リサイクル性にも優れるものとなった。
【0050】
[比較例1]
実施例1と同様に、40m/分の速度で搬送途中のPETボトル容器本体(小型容器、大型容器)の表面にレーザー印字を施す操作を行った。このとき、比較例1では、その印字する図柄として「PET」マーク識別表示であって、縁のみが描かれた中抜きの領域を有するものではなく、いわゆる塗りつぶし(中埋め)が施された識別表示とした。なお、図柄の表示よれが生じないように、中埋めの形態の「PET」マークを印字した。
【0051】
このようなレーザー印字の処理を行ったのち、PETボトル容器本体の表面の印字部を確認したところ、高速搬送されるPETボトル容器本体に対して「PET」マークの識別表示を印字することはできたものの、実施例1と比べて視認性が損なわれた。
図3に、比較例1の処理により形成された印字部の写真を示すが、併せて表示する実施例1の印字部と比べても、マークの明瞭性が劣っており(ぼやけるような感じ)、視認性が損なわれていることが分かる。