(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】内視鏡システム、データ処理装置、通信接続方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240418BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A61B1/00 640
A61B1/00 631
A61B1/00 682
G02B23/24 B
(21)【出願番号】P 2019153907
(22)【出願日】2019-08-26
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】萩原 雅之
(72)【発明者】
【氏名】西尾 潤二
(72)【発明者】
【氏名】池谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】大瀬 浩司
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/061495(WO,A1)
【文献】特開2016-202708(JP,A)
【文献】国際公開第2019/102693(WO,A1)
【文献】特開平11-211997(JP,A)
【文献】特開2014-204892(JP,A)
【文献】特開2006-026299(JP,A)
【文献】特開2005-052637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0347953(US,A1)
【文献】特開2012-110478(JP,A)
【文献】特開2010-166966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内視鏡と、
前記複数の内視鏡から離隔しており、無線にて何れか一つの内視鏡から画像データを受信して表示部に表示するデータ処理装置とを含む内視鏡システムにおいて、
各内視鏡は、
自身を識別する識別データを前記データ処理装置に無線で送信する送信部を備えており、
前記データ処理装置は、
何れか一つの内視鏡から前記識別データを無線で受信する受信部と、
受信した識別データを予め記憶している識別データと対比することによって、受信した識別データの送信元である内視鏡との通信接続可否を判定する接続判定部とを備え
、
各内視鏡の前記送信部は自身の洗浄状況、使用時間又は使用回数を表す管理データを前記データ処理装置に無線で送信し、
前記データ処理装置は、受信した管理データに基づいて、受信した管理データの送信元である内視鏡の使用適否を判定する使用判定部を備えることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
各内視鏡は、前記データ処理装置との通信接続に係る処理を開始する指示を受け付ける受付部を備えることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記データ処理装置は、受信した管理データに基づいて、受信した管理データの送信元である内視鏡のメンテナンスに係る通知を行うことを特徴とする請求項
1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記データ処理装置は、
マイクロ波を発振する発振部を備えており、
各内視鏡は、
マイクロ波を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナが受信したマイクロ波を用いて充電されるバッテリと
を備えることを特徴とする請求項1から
3の何れか一つに記載の内視鏡システム。
【請求項5】
離隔している一の内視鏡から
無線にて画像データを受信して表示部に表示するデータ処理装置において、
前記一の内視鏡から前記一の内視鏡を識別する識別データを無線で受信する受信部と、
受信した識別データを予め記憶している識別データと対比することによって、前記一の内視鏡との通信接続可否を判定する接続判定部とを備え
、
前記受信部は、前記一の内視鏡から前記一の内視鏡の洗浄状況、使用時間又は使用回数を表す管理データを無線で受信し、
受信した管理データに基づいて、前記一の内視鏡の使用適否を判定する使用判定部を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
受信した管理データに基づいて前記一の内視鏡のメンテナンスに係る通知を行うことを特徴とする請求項
5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
データ処理装置が、
前記データ処理装置から離隔している一の内視鏡から無線にて前記一の内視鏡を識別する識別データを受信し、
受信した識別データを予め記憶している識別データと対比することによって、前記一の内視鏡との通信接続可否を判定
し、
前記一の内視鏡から前記一の内視鏡の洗浄状況、使用時間又は使用回数を表す管理データを無線で受信し、
受信した管理データに基づいて、前記一の内視鏡の使用適否を判定する処理
を実行する通信接続方法。
【請求項8】
データ処理装置に含まれるコンピュータに、
前記データ処理装置から離隔している一の内視鏡から無線にて前記一の内視鏡を識別する識別データを受信し、
受信した識別データを予め記憶している識別データと対比することによって、前記一の内視鏡との通信接続可否を判定
し、
前記一の内視鏡から前記一の内視鏡の洗浄状況、使用時間又は使用回数を表す管理データを無線で受信し、
受信した管理データに基づいて、前記一の内視鏡の使用適否を判定する処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システム、データ処理装置、通信接続方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一つの内視鏡と、一台の内視鏡用プロセッサとを無線にて接続する内視鏡システムが提案されている。斯かる内視鏡システムにおいては、内視鏡により撮影された被写体の画像データが無線を介して内視鏡用プロセッサに送信される。
【0003】
一方、特許文献1には、無線給電ができる内視鏡システムにおいて、無線給電の受信状況及びバッテリの状態に応じて無線給電の給電能力を最適に調整する内視鏡システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、一つの内視鏡検査室に、内視鏡と内視鏡用プロセッサとのセットが複数台置かれ、同時に使用される場合がある。また、一つの内視鏡検査室に、内視鏡用プロセッサよりも多数の内視鏡が置かれる場合もある。
このような場合に、内視鏡と内視鏡用プロセッサとの組み合わせが不明確であると、内視鏡検査を正しく行えない。
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の内視鏡は、このような問題に対して工夫しておらず、解決できない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の内視鏡と、無線にて何れか一つの内視鏡から画像データを受信して表示部に表示するデータ処理装置とを含む内視鏡システムにおいて、希望する内視鏡から正しく撮像結果の画像データを受信できる内視鏡システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る内視鏡システムは、複数の内視鏡と、無線にて何れか一つの内視鏡から画像データを受信して表示部に表示するデータ処理装置とを含む内視鏡システムにおいて、各内視鏡は、自身を識別する識別データを前記データ処理装置に無線で送信する送信部を備えており、前記データ処理装置は、何れか一つの内視鏡から前記識別データを無線で受信する受信部と、受信した識別データ及び予め記憶している識別データに基づいて、受信した識別データの送信元である内視鏡との通信接続可否を判定する接続判定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、前記データ処理装置においては、前記受信部が何れか一つの内視鏡から前記識別データを無線で受信した場合、前記接続判定部は受信した識別データを予め記憶している識別データと対比することによって、受信した識別データの送信元である内視鏡と自装置との通信接続可否を判定する。
【0010】
本発明に係る内視鏡システムは、各内視鏡は、前記データ処理装置との通信接続に係る処理を開始する指示を受け付ける受付部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、各内視鏡において、前記受付部が、前記データ処理装置との通信接続に係る処理を開始する指示をユーザから受け付けた場合のみ、前記データ処理装置との通信接続に係る処理が開始される。
【0012】
本発明に係る内視鏡システムは、各内視鏡の前記送信部は自身のメンテナンスに係る管理データを前記データ処理装置に無線で送信し、前記データ処理装置は、受信した管理データに基づいて、受信した管理データの送信元である内視鏡の使用適否を判定する使用判定部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、前記データ処理装置は、何れかの内視鏡と通信が接続された場合、通信接続された内視鏡から前記管理データを受信する。この際、前記使用判定部は、受信した管理データに基づいて、受信した管理データの送信元である内視鏡の使用適否を判定する。
【0014】
本発明に係る内視鏡システムは、前記データ処理装置は、受信した管理データに基づいて、受信した管理データの送信元である内視鏡のメンテナンスに係る通知を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、前記データ処理装置は、通信接続された内視鏡から前記管理データを受信し、受信した管理データに基づいて、該管理データの送信元である内視鏡のメンテナンスに関してユーザに通知を行う。
【0016】
本発明に係る内視鏡システムは、前記データ処理装置は、マイクロ波を発振する発振部を備えており、各内視鏡は、マイクロ波を受信する受信アンテナと、前記受信アンテナが受信したマイクロ波を用いて充電されるバッテリとを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、各内視鏡で、前記受信アンテナが前記データ処理装置からのマイクロ波を受信すると、前記受信アンテナが受信したマイクロ波を用いてバッテリが充電される。
【0018】
本発明に係るデータ処理装置は、無線にて一の内視鏡から画像データを受信して表示部に表示するデータ処理装置において、前記一の内視鏡から前記一の内視鏡を識別する識別データを無線で受信する受信部と、受信した識別データ及び予め記憶している識別データに基づいて、前記一の内視鏡との通信接続可否を判定する接続判定部とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、前記データ処理装置の前記受信部が前記一の内視鏡から前記識別データを無線で受信した場合、前記接続判定部は受信した識別データを予め記憶している識別データと対比することによって、前記一の内視鏡と自装置との通信接続可否を判定する。
【0020】
本発明に係るデータ処理装置は、前記受信部は、前記一の内視鏡から前記一の内視鏡のメンテナンスに係る管理データを無線で受信し、受信した管理データに基づいて、前記一の内視鏡の使用適否を判定する使用判定部を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、前記一の内視鏡と通信が接続された場合、前記一の内視鏡から前記一の内視鏡の前記管理データを受信する。この際、前記使用判定部は、受信した管理データに基づいて、前記一の内視鏡の使用適否を判定する。
【0022】
本発明に係るデータ処理装置は、受信した管理データに基づいて前記一の内視鏡のメンテナンスに係る通知を行うことを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、前記一の内視鏡から前記管理データを受信し、受信した管理データに基づいて、前記一の内視鏡のメンテナンスに関してユーザに通知を行う。
【0024】
本発明に係る内視鏡は、データ処理装置と通信接続を行って無線にて画像データを送信する内視鏡において、前記データ処理装置との接続に係る処理を開始する指示を受け付ける受付部を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、前記内視鏡の前記受付部が、前記データ処理装置との通信接続に係る処理を開始する指示をユーザから受け付けた場合のみ、前記データ処理装置との通信接続に係る処理が開始される。
【0026】
本発明に係る内視鏡は、前記データ処理装置からマイクロ波を受信する受信アンテナと、前記受信アンテナが受信したマイクロ波を用いて充電されるバッテリとを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、前記受信アンテナが前記データ処理装置からのマイクロ波を受信すると、前記受信アンテナが受信したマイクロ波を用いてバッテリが充電される。
【0028】
本発明に係る通信接続方法は、一の内視鏡から無線にて前記一の内視鏡を識別する識別データを受信し、受信した識別データ及び予め記憶している識別データに基づいて、前記一の内視鏡との通信接続可否を判定する処理をデータ処理装置が実行する。
【0029】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、一の内視鏡から無線にて前記一の内視鏡を識別する識別データを受信し、受信した識別データ及び予め記憶している識別データに基づいて、前記一の内視鏡との通信接続可否を判定する処理を実行させる。
【0030】
本発明にあっては、前記一の内視鏡から前記識別データを無線で受信した場合、受信した識別データを予め記憶している識別データと対比することによって、前記一の内視鏡との通信接続可否が判定される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、複数の内視鏡と、無線にて何れか一つの内視鏡から画像データを受信して表示部に表示するデータ処理装置とを含む内視鏡システムにおいて、希望する内視鏡から正しく撮像結果の画像データを受信できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施の形態1に係る内視鏡システムの外観図である。
【
図2】実施の形態1に係る内視鏡システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る内視鏡システムのプロセッサが記憶している識別データリストの一例を示す例示図である。
【
図4】実施の形態1に係る内視鏡システムの制御部の要部構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】実施の形態1に係る内視鏡システムにおける、プロセッサ及び内視鏡の間での画像データの送受信を説明するフローチャートである。
【
図6】本実施の形態に係る内視鏡システムのプロセッサにおける接続ステータスを例示する例示図である。
【
図7】実施の形態1に係る内視鏡システムにおいて、ユーザに管理データの送信を要求する一例を説明する説明図である。
【
図8】実施の形態1に係る内視鏡システムにおいて、プロセッサが受信管理データに基づいて行う通知の一例を説明する説明図である。
【
図9】実施の形態2に係る内視鏡システムの要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の実施の形態に係る内視鏡について、図面に基づいて詳述する。
【0034】
(実施の形態1)
【0035】
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システム1の外観図である。
図1に示されるように、内視鏡システム1は、ユーザ(医師)が手に持って操作する内視鏡200-400と、内視鏡200-400によって撮影された画像を表示する本体100とを有している。
【0036】
本体100は、内視鏡200-400からの画像データを処理するプロセッサ20(データ処理装置)と、プロセッサ20にて処理された画像データに基づいて画像を表示する表示部10とを備える。
【0037】
実施の形態1に係る内視鏡システム1では、本体100(プロセッサ20)が複数の内視鏡200-400のうち何れかと無線にて接続することができるように構成されている。即ち、プロセッサ20は、予め設定登録された複数の内視鏡200-400のうち、何れか一つの内視鏡と通信接続を行い、通信接続された内視鏡が撮像した画像データを無線にて受信して表示する。
【0038】
以下においては、説明の便宜上、内視鏡200がプロセッサ20と通信接続を行い、画像データを送信する場合を例に挙げて説明する。内視鏡200は、プロセッサ20に予め設定登録された複数の内視鏡200-400の一つであり、他の内視鏡300,400も内視鏡200と同じ構成を有する。
【0039】
内視鏡200は、挿入部250と、操作部270とを有する。操作部270は、ユーザの操作を受け付けるボタン272及び湾曲ノブ271と、略円筒形状のケース230に設けられたチャンネル入口とを有する。
【0040】
挿入部250は、被検体の体内に挿入される。挿入部250は長尺であり、先端の一端から順に先端部280、湾曲部260および軟性部290を有する。挿入部250は、他端が折止部240を介して操作部270に接続されている。湾曲部260は、湾曲ノブ271の操作に応じて湾曲する。
【0041】
先端部280には、観察光学系(撮像素子202)、照明光学系(LED205)等が設けられている(
図2参照)。
【0042】
図2は、実施の形態1に係る内視鏡システム1の要部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本体100(プロセッサ20)は、制御部110と、電源101と、画像処理部102と、通信部103と、記憶部104とを更に有している。
【0043】
画像処理部102には、内視鏡200からの画像データが入力される。画像データは、クランプ、ニー(Knee)補正、γ補正、補間処理、AGC(Auto Gain Control)、AD変換等の処理後、各色信号別にフレーム単位でR、G、Bの各色用のフレームメモリ(図示せず)にバッファリングされる。バッファリングされた各色信号は、所定のタイミングでフレームメモリから掃き出されて、所定の規格に準拠した画像データに変換される。変換された画像データは画像処理部102によって表示部10に順次入力され、被写体の画像が表示部10に表示される。
【0044】
記憶部104は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(登録商標)、HDD、MRAM(磁気抵抗メモリ)、FeRAM(強誘電体メモリ)、又は、OUM等の不揮発性の記憶媒体により構成されている。記憶部104は、自身(プロセッサ20)との通信接続が許可可能な内視鏡の識別データのリスト(以下、識別データリストと称する。)を予め記憶している。また、記憶部104には、自身を識別する識別データ及び認証キーが記憶されている。斯かる識別データは、例えば、内視鏡200‐400の型番、MACアドレス、Bluetoothアドレス等である。
【0045】
図3は、実施の形態1に係る内視鏡システム1のプロセッサ20が記憶している識別データリストの一例を示す例示図である。
図3の識別データリストには、内視鏡200、内視鏡300、内視鏡400の夫々の型番である「11111」、「22222」、「33333」がリストアップされている。即ち、プロセッサ20との通信接続が許可可能な内視鏡として、内視鏡200、内視鏡300、内視鏡400が設定されている。ユーザは、内視鏡200‐400に表示されている、バーコード、QRコード(登録商標)等をリーダーを用いて読み込むことによって、識別データリストを予め用意することができる。また、ユーザが自分のPCから入力を行い、ユーザのPCが、例えば無線インターネットを介してプロセッサ20に送信するように構成しても良い。
更に、記憶部104には、後述する使用判定部115による判定に用いられる閾値が記憶され、後述する接続ステータス情報が記憶されている。接続ステータス情報は、プロセッサ20と内視鏡との通信接続のステータスを表す。
【0046】
通信部103(受信部)は、アンテナを内蔵しており、内視鏡200との近距離通信(RFID)を行う。通信部103は、例えば、例えばBluetooth(登録商標)技術に対応できるものであり、所定近距離内の他のBluetooth対応デバイス(例えば、後述の内視鏡200の通信部204)と無線での通信を行う。通信部103は、何れかの一つの内視鏡から該一つの内視鏡を識別する識別データを受信し、表示部10に表示すべき画像データを受信し、後述する管理データを受信する。
通信部103は、Bluetooth対応デバイスに限るものでなく、例えば、IEEE802.11対応デバイスであっても良い。ただし、斯かる場合、内視鏡200の通信部204もIEEE802.11対応デバイスである必要がある。
【0047】
表示部10は、LCD又はEL(Electroluminescence)パネル等からなり、内視鏡200からの画像データに基づいて画像を表示する。
【0048】
制御部110は、内視鏡200の識別データに基づいて内視鏡200からの画像データを用いて各種処理を行う。制御部110は、プロセッサ20に通信接続中の内視鏡に適した処理がされるようにプロセッサ20内の各種部分の動作及びタイミングを制御する。
【0049】
図4は、実施の形態1に係る内視鏡システム1の制御部110の要部構成を示す機能ブロック図である。制御部110は、CPU111と、ROM112と、RAM113と、接続判定部114と、使用判定部115と、通知部116とを備えている。
【0050】
ROM112には各種の制御プログラム、演算用のパラメータのうちの基本的に固定のデータ等が予め格納されており、RAM113はデータを一時的に記憶し、記憶順、記憶位置等に関係なく読み出すことが可能である。また、RAM113は、例えば、ROM112から読み出されたプログラム、該プログラムを実行することにより発生する各種データ、該実行の際適宜変化するパラメータ等を記憶する。
CPU111は、ROM112に予め格納されている制御プログラムをRAM113上にロードして実行することによって、上述した各種ハードウェアの制御を行なう。
【0051】
接続判定部114は、通信部103によって受信された識別データ(以下、受信識別データと称する。)と、記憶部104に予め記憶されている前記識別データリストに基づいて、受信識別データの送信元である内視鏡とプロセッサ20との通信接続が可能か否かを判定する。接続判定部114による判定の結果は表示部10に表示される。
【0052】
使用判定部115は、通信部103によって前記管理データが受信された場合、受信された管理データ(以下、受信管理データと称する。)に基づいて、受信管理データの送信元である内視鏡の使用が適切であるか否かを判定する。
【0053】
通知部116は、通信部103によって受信された管理データに基づいて、受信管理データの送信元である内視鏡のメンテナンスに係る通知を行う。詳しくは、使用判定部115による判定の結果、受信管理データの送信元である内視鏡のメンテナンスに係る問題により、斯かる内視鏡の使用が適切でないと判定された場合、その旨をユーザに通知し、かつ、斯かる問題の解決方法をユーザに通知する。斯かる通知は、例えば、表示部10を介して行われる。
【0054】
また、プロセッサ20は、フロントパネル(図示せず)を有しており、該フロントパネルは、プロセッサ20のフロント面に実装された機能毎のハードウェアキー、タッチパネル式GUI(Graphical User Interface)等を有している。
【0055】
一方、内視鏡200は、制御部201(受付部)と、撮像素子202と、信号処理回路203と、通信部204と、LED205と、LEDドライバ206と、バッテリ207と、ICタグ208と、記憶部209とを更に備える。
【0056】
撮像素子202は、例えば単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサであり、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R、G、Bの各色に応じた撮像信号に変換する。変換された撮像信号は、信号増幅等が施された後、信号処理回路203に出力される。なお、撮像素子202は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであってもよい。
【0057】
信号処理回路203は、所定のクロックパルスに従って、プロセッサ20側で処理される画像データのフレームレートに同期したタイミングにて、撮像素子202を駆動制御する。
【0058】
記憶部209は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(登録商標)、HDD、MRAM(磁気抵抗メモリ)、FeRAM(強誘電体メモリ)、又は、OUM等の不揮発性の記憶媒体により構成されている。記憶部209は、自身(内視鏡200)を識別する識別データを記憶している。斯かる識別データは、例えば、内視鏡200の型番、MACアドレス、Bluetoothアドレス等である。また、記憶部209には認証キーが記憶されている。
【0059】
通信部204(送信部)は、アンテナを内蔵しており、プロセッサ20との近距離通信(RFID)を行う。通信部204は、例えば、Bluetooth(登録商標)技術に対応できるものであり、所定近距離内の他のBluetooth対応デバイス(例えば、プロセッサ20の通信部103)と無線での通信を行う。通信部204は、プロセッサ20に、自身を識別する識別データを送信し、撮像素子202によって撮像された画像データを送信し、管理データを送信する。
【0060】
LED205は、制御部201の指示によってLEDドライバ206により駆動される。LED205は、主に可視光領域から不可視である赤外光領域に広がるスペクトルを持つ光を放射する。
LED205から射出した照射光は被写体に照射される。被写体からの反射光は、対物レンズ(図示せず)を介して撮像素子202の受光面上の各画素で光学像を結ぶ。
【0061】
ICタグ208は、内視鏡200の管理データに含まれる洗浄状態データを記憶している。使用後の内視鏡200は、専用の洗浄装置に収納されて洗浄される。斯かる洗浄装置にはICタグ208に対応するリーダーライターが搭載されており、洗浄が実行される都度、日付、洗浄済か否かなどの洗浄履歴がICタグ208に書き込まれる。即ち、ICタグ208には、現在、内視鏡200が洗浄済であるか否かを表す洗浄状態データが記憶されている。
【0062】
制御部201は、例えば、CPU又はGPUを備えており、内視鏡200の各種ハードウェアの制御を行ない、装置全体を本発明の内視鏡200として動作させる。
また、制御部201は、自身のメンテナンスに係る管理データを作成して、通信部204を介してプロセッサ20に送信する。斯かる管理データとは、例えば、バッテリ207の残量を表すバッテリ残量データ、前記洗浄状態データ、及び、自身の使用時間(又は使用回数)を表す使用時間データ等を含む。前記使用時間データについては、計時部(図示せず)が、バッテリ207がONである時間を測定する。
【0063】
図5は、実施の形態1に係る内視鏡システム1における、プロセッサ20及び内視鏡200の間での画像データの送受信を説明するフローチャートである。以下、説明の便宜上、プロセッサ20と内視鏡200とが互いにBluetooth通信が可能な距離内に有るとする。
【0064】
プロセッサ20の通信部103は、所定距離範囲内に、他のBluetooth対応端末が有るか否か探索する(ステップS101)。CPU111は、通信部103の探索結果に基づいて、所定距離範囲内に通信の接続が可能な端末が有るか否かを判定する(ステップS102)。
【0065】
CPU111は、所定距離範囲内に通信の接続が可能な端末が無いと判定した場合(ステップS102:NO)、通信部103に探索の繰り返しを指示する。
本実施の形態の場合、プロセッサ20と内視鏡200とが互いにBluetooth通信が可能な距離内に有るので、CPU111は、接触可能な端末があると判定する。
CPU111は、所定距離範囲内に通信の接続が可能な端末が有ると判定した場合(ステップS102:YES)、内視鏡の所定操作をユーザに催促する(ステップS103)。斯かる催促は表示部10を介して行われる。例えば、CPU111は、表示部10に「内視鏡の○○ボタンを押してください」との文字列を表示させる。
【0066】
この際、内視鏡200のユーザは、本体100側の催促に応じて、例えば、内視鏡200のボタン272を押下げる。これによって、内視鏡200の制御部201は、ボタン272を介して、本体100(プロセッサ20)との通信接続に係る処理を開始する指示を受け付ける(ステップS201)。
【0067】
次いで、制御部201は、通信部204を介して、プロセッサ20にペアリングを要求するデータを送信する(ステップS202)。プロセッサ20の通信部103は内視鏡200からペアリングを要求するデータを受信する。
【0068】
この際、プロセッサ20のCPU111は、記憶部104から自身の識別データを読み出し、通信部103を介して、内視鏡200に送信する(ステップS104)。内視鏡200の通信部204はプロセッサ20からプロセッサ20の識別データを受信する。
【0069】
制御部201は、記憶部209から自身の識別データを読み出し、通信部204を介して、プロセッサ20に送信する(ステップS203)。プロセッサ20の通信部103は内視鏡200から内視鏡200の識別データを受信する。更に、プロセッサ20及び内視鏡200が互いに認証キーを送受信しても良い。
【0070】
プロセッサ20の接続判定部114は、通信部103によって受信された内視鏡200の識別データに基づいて、受信識別データの送信元である内視鏡200と通信を接続することが可能であるか否かを判定する(ステップS105)。斯かる判定は、接続判定部114が、記憶部104に記憶の前記識別データリストと、受信識別データとを対比することによって行われる。
【0071】
なお、ボタン272は、本来、内視鏡200の動作においてフリーズ、レリーズ等の操作用ボタンである。上述したように、ペアリングを行う際には、ボタン272を介して通信接続に係る処理を開始する指示をユーザから受け付けるが、ペアリングが完了した場合、本来の機能であるフリーズ、レリーズ等の操作に使用される。
【0072】
受信識別データが前記識別データリスト内に存在しない場合、接続判定部114は、内視鏡200と通信を接続することが不可能であると判定する(ステップS105:NO)。この場合、CPU111は、内視鏡200と通信を接続することが出来ない旨のエラー表示を表示部10に行う(ステップS111)。以降、処理は終了する。
【0073】
また、受信識別データが前記識別データリスト内に存在する場合、接続判定部114は、内視鏡200と通信を接続することが可能であると判定する(ステップS105:YES)。以降、他の内視鏡300,400からのペアリング要求は無効にされる。
【0074】
図6は、本実施の形態に係る内視鏡システム1のプロセッサ20における接続ステータスを例示する例示図である。斯かる接続ステータスは、プロセッサ20と内視鏡200-400との通信接続のステータスを表す情報である。
図6に示すように、接続ステータス情報には、プロセッサ20と接続した内視鏡のID(N1-N3)、接続日付、接続(開始/終了)時刻に加え、前記管理データに基づいて、洗浄済みか否か、バッテリの残量、部品の劣化状態等を判断した結果が「洗浄」、「バッテリ」及び「劣化」の欄に夫々書き込まれている。即ち、前記バッテリ残量データ及び記憶部104の閾値に基づく判定結果が「バッテリ」欄に書き込まれ、前記洗浄状態データに基づく判定結果が「洗浄」欄に書き込まれ、前記使用時間データ及び記憶部104の閾値に基づく判定結果が「劣化」欄に書き込まれる。
ここで、N1、N2、N3は夫々内視鏡200、内視鏡300、内視鏡400を特定するに用いられる内視鏡IDである。また、通信接続された内視鏡から得られた画像データが斯かる内視鏡に対応付けられている。
【0075】
例えば、上述したステップS105にてYESである場合、前記接続ステータス情報には、プロセッサ20と内視鏡200との通信接続の接続時刻(開始時刻)と、内視鏡200を表すID(N1)が書き込まれる(
図6の矢印参照)。以降、後述するステップS107での判定結果に基づいて、「洗浄」、「バッテリ」及び「劣化」の欄が書き込まれる。
【0076】
本実施の形態に係る内視鏡システム1においては、このように、ボタン272を押すだけの簡単な操作により、識別データリストの複数の内視鏡のうち内視鏡200を選択的にプロセッサ20と接続させることができる。換言すれば、識別データリストの複数の内視鏡に対し、一台のプロセッサ20にて対応することができる。
【0077】
接続判定部114によって内視鏡200と通信を接続することが可能であると判定された場合、CPU111は、ユーザに、管理データの送信を要求する(ステップS106)。
【0078】
管理データの要求は、例えば、表示部10を介して行われる。
図7は、実施の形態1に係る内視鏡システム1において、ユーザに管理データの送信を要求する一例を説明する説明図である。例えば、CPU111は、管理データの送信を要求する旨の文字列を表示部10に表示させる。
図7では、表示部10に、「内視鏡N1が認識されました。使用される場合、○○ボタンを押してください。」と表示されている。
【0079】
この際、内視鏡200のユーザは、例えば、内視鏡200のボタン272を再び押下げる。これによって、内視鏡200の制御部201は、ボタン272を介して、プロセッサ20に自身の管理データを送信する旨の指示を受け付ける(ステップS204)。
【0080】
制御部201は、上述したように、バッテリ残量データ、洗浄状態データ及び使用時間データ等を含む管理データを作成して、通信部204を介してプロセッサ20に送信する(ステップS205)。プロセッサ20の通信部103は内視鏡200から管理データを受信する。
【0081】
プロセッサ20の使用判定部115は、通信部103によって受信された内視鏡200の管理データに基づいて、内視鏡200の使用が適切であるか否かを判定する(ステップS107)。斯かる判定は、使用判定部115が、記憶部104に記憶の閾値と、受信管理データとを対比することによって行われる。
【0082】
例えば、使用判定部115は、受信管理データが含むバッテリ残量データ、洗浄状態データ及び使用時間データに基づいて、内視鏡200のバッテリ残量及び使用時間を記憶部104に記憶の閾値と比較し、内視鏡200の洗浄如何を確認する。
【0083】
内視鏡200のバッテリ残量が閾値以下である場合、使用時間が閾値以上である場合、又は、内視鏡200が未洗浄である場合、使用判定部115は内視鏡200の使用が不適切であると判定する(ステップS107:NO)。
【0084】
この際、通知部116は、受信管理データの送信元である内視鏡200がメンテナンスに係る問題がある旨、及び、斯かる問題の解決方法をユーザに通知する(ステップS108)。以降、処理は終了する。
【0085】
図8は、実施の形態1に係る内視鏡システム1において、プロセッサ20が受信管理データに基づいて行う通知の一例を説明する説明図である。
図8Aは内視鏡200の洗浄状態データに基づく通知の一例であり、
図8Bは内視鏡200のバッテリ残量データに基づく通知の一例であり、
図8Cは内視鏡200の使用時間データに基づく通知である。
【0086】
例えば、内視鏡200の洗浄状態データに基づいて内視鏡200が未洗浄の状態である場合、通知部116は内視鏡200が未洗浄状態である旨、及び、洗浄の実施を促す旨の文字列を表示部10に表示させる(
図8A参照)。
【0087】
また、内視鏡200のバッテリ残量データに基づいて内視鏡200のバッテリ残量が閾値以下である場合、通知部116はバッテリ残量が少ない旨、及び、バッテリの交換を促す旨の文字列を表示部10に表示させる(
図8B参照)。更に、
図8Bには、バッテリの残量が少ないことを表すイラストが共に表示される。
【0088】
そして、内視鏡200の使用時間データに基づいて内視鏡200の特定部品の劣化が推測される場合、通知部116は特定部品が劣化している旨、及び、部品交換を促す旨の文字列を表示部10に表示させる(
図8C参照)。
例えば、斯かる特定部品としては、内視鏡200の使用時間と比例して劣化する、LED205、撮像素子202、バッテリ207等が挙げられる。
【0089】
一方、内視鏡200のバッテリ残量が閾値以上で、使用時間が閾値以下であり、かつ内視鏡200が洗浄済の状態である場合、使用判定部115は内視鏡200の使用が適切であると判定する(ステップS107:YES)。
【0090】
以降、CPU111は、通信部103が受信した内視鏡200からの画像データに対して上述したような所定の処理を施した後、斯かる画像データに基づく画像を表示部10に表示する(ステップS109)。
内視鏡200で撮像された画像は、リアルタイムで表示部10に表示される。ユーザ(例えば、医師)は、画像を見ながら内視鏡200を操作する。
【0091】
この際、内視鏡200の制御部201は、内視鏡200が使用されたこと、即ち内視鏡200の使用履歴をICタグ208に書き込む。つまり、制御部201は内視鏡200が未洗浄の状態であることを表す洗浄状態データをICタグ208に書き込む。
【0092】
内視鏡200の撮像の間、CPU111は、前記フロントパネルのハードウェア―キー、又は、通信部103を監視することにより、撮像を終了する指示を受け付けたが否かを判定する(ステップS110)。
CPU111は、撮像を終了する指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS110:NO)、処理をステップS109に戻す。また、CPU111は撮像を終了する指示を受け付けたと判定した場合(ステップS110:YES)、処理を終了する。
【0093】
以上のことから、本実施の形態に係る内視鏡システム1においては、内視鏡200の使用に先立って、そのメンテナンス状況等から使用に適した状態であるか否かを事前にチェックしてユーザに通知する。従って、より適確に被写体を撮影することができる。
【0094】
撮像中では、ボタン272が押下げされた場合、その時の撮像画像が静止画として得られ、得られた静止画に係る画像データはプロセッサ20に送信されて内視鏡200の識別データに対応付けて記憶部104に記憶される。これによって、どの患者に、どの内視鏡を使用したかを確認するトレーサビリティのデータとして活用できる(
図6参照)。
【0095】
以上では、ステップS201及びステップS204において、ボタン272を介してユーザから指示を受け付ける場合について説明したが、これに限定されるものでない。
例えば、内視鏡200又はプロセッサ20に音声指示を受け付ける音声指示受付部を設け、ユーザの音声を介して指示を受け付けるように構成しても良い。即ち、マイクを介して集音されたユーザの音声指示は、電気信号(音声信号)に変換されてからデジタルの音声データに変換される。斯かる音声データに基づいて音声指示が認識できる。
【0096】
また、以上では、内視鏡200及びプロセッサ20がBluetoothにて無線通信を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、UWB(Ultra-Wideband)、ZigBee、NFC(Near Field Communication)などを用いても良い。更に、WLAN(Wireless LAN)、Wi-Fiダイレクト(Wireless Fidelity Direct)、DLNA(Digital Living Network Alliance、登録商標)、Wibro(Wireless Broadband)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)などの無線インターネット技術を用いても良い。
【0097】
なお、内視鏡200-400が使い捨てである場合にも対応できるように構成しても良い。例えば、ペアリング完了後、通信接続された内視鏡が使い捨てであるか否かの判定を行い、使い捨てである場合は、管理データにおける洗浄状態データ及び使用時間データに基づく判定を行わないようにする。
更に、通信接続された内視鏡が使い捨てであるか否かの判定結果を
図6の接続ステータス情報として記憶するように構成しても良い。このような場合、次回、プロセッサ20が何れかの内視鏡と通信接続を行う際、斯かる内視鏡の識別データと接続ステータス情報の履歴とを対比することによって、斯かる内視鏡が使い捨てであるか否か及び2回目の接続であるか否かを判断出来る。よって、使い捨ての内視鏡の非衛生的な再利用を防止できる。
【0098】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る内視鏡システム1においては、内視鏡200が無線にて給電されるように構成されている。
【0099】
図9は、実施の形態2に係る内視鏡システム1の要部構成を示すブロック図である。本体100は、実施の形態1と同様に、表示部10と、制御部110と、電源101と、画像処理部102と、通信部103と、記憶部104とを備えている。また、内視鏡200は、実施の形態1と同様に、制御部201と、撮像素子202と、信号処理回路203と、通信部204と、LED205と、LEDドライバ206と、ICタグ208と、記憶部209と、ボタン272とを備えている。これらの構成については実施の形態1にて説明しており、詳しい説明を省略する。
【0100】
一方、実施の形態2においては、プロセッサ20は、マイクロ波アンテナ108、マイクロ波発振部106及びマイクロ波制御部107を更に備えており、内視鏡200はレクテナ(Rectenna)210及びパイロット信号生成部211を更に備えている。
【0101】
プロセッサ20のマイクロ波アンテナ108は、内視鏡200に向けてマイクロ波を放射する。マイクロ波アンテナ108は、その向き、即ち、マイクロ波が放射される方向を調整する調整機構(図示せず)を有している。
【0102】
マイクロ波発振部106は、電源101からの商用交流電圧を受けて、例えば2~10GHzのマイクロ波をマイクロ波アンテナ108を介して放射する。
【0103】
マイクロ波制御部107は、マイクロ波アンテナ108の前記調整機構を駆動することによって、マイクロ波アンテナ108から放射されるマイクロ波が内視鏡200に届くように制御する。マイクロ波制御部107は、内視鏡200からのパイロット信号に基づいて、マイクロ波アンテナ108の向きを調整する。
【0104】
内視鏡200のパイロット信号生成部211は、プロセッサ20からのマイクロ波を誘導するためのパイロット信号を生成する。パイロット信号生成部211によって生成されたパイロット信号は通信部204を介してプロセッサ20に送信される。内視鏡200が被写体を撮影する間、パイロット信号生成部211はパイロット信号を生成し続け、パイロット信号は連続的にプロセッサ20に送信される。
【0105】
レクテナ210(受信アンテナ)は、プロセッサ20からのマイクロ波を受信して整流することによって直流電力に変換し、バッテリ207Aに直流電力を出力する。レクテナ210は、アンテナと、複数のいわゆるレクテナ素子を含む 。各レクテナ素子は、前記アンテナに接続され、該アンテナで受信したマイクロ波を整流して、直流電力に変換する。
【0106】
内視鏡200は充電用のバッテリ207Aを備えており、レクテナ210から出力される直流電力によって充電される。
【0107】
以下、実施の形態2に係る内視鏡システム1における無線給電について説明する。
上述したように、内視鏡200が被写体を撮影する間、パイロット信号は連続的にプロセッサ20に送信される。
プロセッサ20の通信部103が内視鏡200からパイロット信号を受信した場合、マイクロ波発振部106はマイクロ波アンテナ108を介してマイクロ波の放射を開始する。この際、制御部110(CPU111)は、受信したパイロット信号(以下、受信パイロット信号と称する。)の到来方向を算出する。CPU111による算出結果に基づいて、マイクロ波制御部107は受信パイロット信号の到来方向に、マイクロ波アンテナ108からのマイクロ波の放射方向を調整する。
【0108】
ユーザによる内視鏡200の操作に伴い、内視鏡200からのパイロット信号の到来方向は変化するが、プロセッサ20のCPU111がパイロット信号の到来方向を順次演算する。従って、内視鏡200の位置変更に応じてプロセッサ20が内視鏡200にマイクロ波を放射することができる。
【0109】
これによって、内視鏡200(レクテナ210)は、安定的に、マイクロ波を受信してバッテリ207Aを充電させることができる。
以降、制御部201は、バッテリ207Aを監視し、バッテリ207Aの残量が閾値以上である場合は、パイロット信号生成部211にパイロット信号の生成を中止するよう指示する。これによって、内視鏡200からのパイロット信号の送信は中止され、バッテリ207Aの充電は中止される。従って、バッテリ207Aの過充電が防止できる。
【0110】
また、制御部201は、バッテリ207Aを監視し、バッテリ207Aの残量が他の閾値以下である場合は、パイロット信号生成部211にパイロット信号の生成を再開するよう指示する。これによって、バッテリ207Aの充電が再開される。従って、内視鏡200の使用中にバッテリ切れが生じることを未然に防止できる。
【0111】
実施の形態2においては、プロセッサ20にマイクロ波アンテナ108が設けられている場合を例にして説明したが、これに限定されるものではない。マイクロ波アンテナ108がプロセッサ20から分離して別に(例えば、天井、壁等に)設けられても良い。
【0112】
なお、上述した接続判定部114、使用判定部115及び通知部116は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、CPU111が所定のプログラムを実行することにより、ソフトウェア的に構築されてもよい。
【0113】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0114】
1 内視鏡システム
10 表示部
20 プロセッサ
100 本体
103 通信部
106 マイクロ波発振部
110 制御部
111 CPU
116 通知部
200-400 内視鏡
201 制御部
204 通信部
207A バッテリ
210 レクテナ