(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】金属シートを取り扱うための改良された装置及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/04 20060101AFI20240418BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B23Q7/04 Z
B23Q17/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019182428
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】102018000009172
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519357660
【氏名又は名称】アステス4 エスエイ
【氏名又は名称原語表記】ASTES4 SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ザッファローニ
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-122931(JP,A)
【文献】特開2003-218679(JP,A)
【文献】特開平09-300125(JP,A)
【文献】特開2008-030057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/04
B23Q 17/00
B21D 43/00
B26D 7/18
B23K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に水平な姿勢で、シート(2)を把持し、シート交換支持体(1)に対して、および前記シート交換支持体(1)から、前記シート(2)を移送するための
ハンドリング手段(3)と、
前記シート(2)が少なくとも部分的に水平な姿勢と異なる姿勢をとるときに前記シート(2)により遮断される面に配置される
電磁ビームを生成する、送受信電磁ビーム手段とを備え、
前記送受信電磁ビーム手段が
、同じ高さに配置され
、あらかじめ定められた第1の間隔で複数の光ダイオードを並んで備えた、少なくとも一組の線形バー(B1、B2)に固定して配置され、
前記線形バー(B1、B2)が、前記送受信電磁ビーム手段により生成され、前記バーに対して垂直な線の周りに特定の幅の複数の静止水平ビームパターンを形成し、バーの軸に対して異なる角度に向けられた、交差する静止電磁ビームよりなる水平メッシュの電磁ビームバリアを生成するために配置され、
前記バリアが、前記シート交換支持体(1)により占有される空間の上方において画定され
、
前記水平メッシュの電磁ビームバリアが、相互に三角形の扇状のパターンに形成される電磁ビームを備え、前記第1の間隔よりずっと近い、第2の相互の間隔を備える前記静止電磁ビームの交差部を決定し、前記水平メッシュの電磁ビームバリアの中心範囲におけるビームパターンの空間分解能を大幅に向上することが出来る、シートのハンドリング装置。
【請求項2】
前記水平
メッシュの電磁ビームバリアが、前記シート交換支持体の両側に配置された、前記シート(2)よりも大きな幅を持つ、少なくとも一組の送受信光ダイオードのバー(B1、B2)により画定される請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記光ダイオードのバー(B1、B2)が、前記シート交換支持体(1)上にある前記シート(2)の静止面
より上の高さに配置された、請求項
2に記載の装置。
【請求項4】
前記バリアの光ダイオードのバー(B1,B2)が約2mmから8mmの間
の共通の間隔で配置された光ダイオードを備える、請求項
2に記載の装置。
【請求項5】
請求項
1に記載のハンドリング装置の操作方法であって、
(a)シート(2)のためのシート交換支持体(1)の両端に、相互に対向して配置される少なくとも1組の送受信光ダイオードのバー(B1、B2)により、相互に交差する静止電磁ビームを備えた水平
メッシュのバリアを画定するステップと、
(b)前記シート(2)が、前記シート交換支持体(1)から取り除かれたときに前記
静止電磁ビームが遮断されたことを特定するために、前記送受信光ダイオード(B1,B2)のバリアの信号を検出するステップとを特徴とし、
(c)前記検出ステップが、
動作開始から予め定められた次の時間までのハンドリング装置のグリッピングヘッド(3)の引き上げステップのときに、前記シート(2)又はその一部を前記シート交換支持体(1)の高さと同じか又は高い第1の予め決められた高さから、前記第1の予め決められた高さより高い二番目の高さ(H)に引き上げる間に行われる、ハンドリング装置の操作方法。
【請求項6】
前記電磁ビームの遮断が検出されると、前記シート(2)又はその一部が、前記シート交換支持体(1)へ再度引き下げられ、そして、操作を停止して警告信号を発する前に、ステップ(b)と(c)が少なくとも2回繰り返される、請求項
5に記載の操作方法。
【請求項7】
前記第1の予め定められた高さと前記第2の高さとの差が80m
mより大きい、前記請求項
5に記載の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属シートを取扱うための改良された装置、特に金属シートの切断センター/ステーションと協同する装置と、その操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、金属シートの加工及び取扱いにおいて、1つの作業ステーションと他の作業ステーションとの間で金属シートを移送したり、取扱う必要がある。特に、金属シートを貯蔵されたスタックから取り、そして、様々な種類のハンドリングアームを使って所望の場所へ移送する。
【0003】
特に効果的なハンドリングシステムは、本願と同一の出願人による国際公開第2008/139409号に記載されており、参照のために本願明細書に援用する。
【0004】
金属シートは、通常かなり薄い(例えば0.5~0.25mm)が、長く(例えば1500×3000mm)、そしてかなり重いため、金属シートの一部分が、供給された時の姿勢から逸れて、そのことにより移送中に装置と衝突することが無いように、ハンドリングアームによって金属シートが確実に正確な所望の姿勢(通常は水平)を保つようにする必要がある。
【0005】
この観点で特に重大な状況は、切断ステーション用ハンドリング装置(正確には国際公開第2008/139409号に記載のもの)で発生する。実際のところ、切断ステーションでは、シートは非常に複雑な外形を有することもある複数の成型片に切断される。切断は、シート材料の組成にも基づいて、様々な技術を用いて行われ、例えば、レーザー切断や、酸素ランス切断、ウォータージェット切断、プラズマ切断などを使用する装置がある。ひとたび切断が完了すると、ハンドリングシステムは、個々の定寸の成型片を取って、専用の格納場所や、さらに加工及び組み立てステーションへ運搬しなければならない一方で、スクラップ(すなわち、個々の切断片を取り除いた後の残りである、残留シートくず)を集めて、それらの収集場所へ移送しなければならない。
【0006】
このような状況下では最も重大な問題が発生する。切断深さが不十分であったり幾何学的に制約されること等により、定寸に切断された成型片が残留廃材と部分的に接合したままとなり得るからである。レーザー切断ヘッドを使用した場合、成型片とその下にある支持メッシュとの間に接合点が生じてしまうこともあり、同様の問題を引き起こし得る。
【0007】
したがって、ハンドラーによる成型片の捕捉及び引き上げ時に、ハンドリングサイクルで妨害が発生する場合がある。ハンドラーの金属シートからの切り取り片の引き上げの詳細の斜視図を表した添付の
図1から、切断片とその金属シートのスクラップとの間に残る接合(右側の円で囲った部分)による潜在的な異常が認識できる。
【0008】
切断片を把持する工程と、引き抜く工程の作業サイクルがこのような条件下で続くと、切断片に属さない金属シート部分の、引きずりや引き上げも生じる可能性があり、故障検出、運転サイクルの停止、および、オペレーターによる実質的な介入の必要性を伴う可能性がある障害や故障の問題を引き起こす。
【0009】
これらの問題を回避するために、従来技術によれば、成型片や金属シートスクラップの異常な姿勢を検出したときに「手動操作警告」の信号を生成する光学検出システムを使うことが提案されている。
【0010】
典型的には、引き上げは常に金属シートを水平面に保ちながら行われるので、光学検出システムは、ハンドリング装置の作業領域を掃引するように、支持体上に回転するように取り付けられた水平に掃引する光源によって生成される水平光ビームを導入するために提供される。
【0011】
金属シートは非常に薄いため、金属シートが水平面に残れば、回転光ビームには何ら影響を及ぼさない。もし金属シートの一部が、ピックアップのステップのいくつかの故障により、水平面に対して傾くと、光ビームに衝突し、光ビームは金属表面により反射され、適切な光学センサーにより検出される。光学検出システムが光ビームの反射の状況を判定したら、ハンドリング装置に故障が生じる前に即座に作用するように、機械サイクルの制御ロジックに作用する警告信号を発する。
【0012】
しかしながら、従来知られていた光学検出システムは、完全に信頼できるものではないことがわかった。特に金属シートが非常に薄いときは、金属シートが不規則に引き抜き面からぶら下がっているときでさえ光ビームが反射されないという状況が発生する可能性がある。
【0013】
先行技術は、他の種類の検出用光ビームを提供しており、必ずしも回転式ではない。例えば、欧州特許出願公開第1222975号明細書は、処理対象の工作物の位置検出システムを開示しており、処理対象の工作物の正確な位置を検出するように構成された、限定された作業領域に収束する複数の光ビームが提供される。しかしながら、かかる構成は、処理対象の工作物の正確な位置を決定することが重要である限定的な作業領域に適用されることが多く、切断ステーションにおけるシート(数平方メートルサイズ)の全領域に採用した場合、費用がかかる。
【発明の概要】
【0014】
本発明の根底にある課題は、それゆえ、ハンドリング装置の上の金属シートのピックアップ及び移送の運転ステップにおける異常の検出の問題に対する単純で経済的な解決方法を提供する装置を提供することである。特に従来技術の解決策に対して、より優れた、そしてより信頼できる動作をする検出装置を提供する必要がある。
【0015】
この解決策は、添付の特許請求範囲の主請求項で述べられる特徴を有する装置と方法を通して得られる。従属請求項は、本発明の好適な特徴を開示する。
【0016】
しかしながら、本発明のさらなる特徴と利点は、全く非限定的な例として挙げられ、添付の図面において説明される、以下の好適な実施形態の詳細な説明からより明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】上述したように、例示的なカットイン金属シートの引き上げ時のハンドラーの詳細の拡大斜視図である。
【
図2】切断ステーション近傍に配置された本発明の装置の全体の斜視図である。
【
図5】スクラップを取り除くフォークが示されている、
図2と同様の図である。
【
図7】本発明による検出ビームパターンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1の概略図から明らかなように、金属シート切断ステーションは、典型的には、静止台、すなわち切断装置(例えば、可動式のフレームと制御ロジックを備えたレーザービームヘッド)を収容するキャビネット1aの近傍のシート交換支持体1を備える。
【0019】
シート交換支持体1は、典型的には、例えば、切断ステーションの制御ロジックで予め決められたプログラムに従って切断が行われる金属シート2が置かれる、細い平行の鉄線の静止メッシュを備える。そのような目的のために、シート交換支持体1はキャビネット1aの中で動くか、又は、静止したまま切断ヘッドがキャビネット1aに対して動くこととなる。
【0020】
シート交換支持体1を往復する金属シート2のハンドリングは、金属シート2が加工される前と、様々な成型片とスクラップに分けられたときの両方において、適切なハンドリング装置によって達成される。そのような装置は、例えば吸引又は磁気ピックアップユニット3aを備えるグリッピングヘッド3などの、それ自体は知られている移送ハンドラーを用いる。
【0021】
この従来知られた設計において、第1のステップとして、グリッピングヘッド3は毎回、金属シートのスタックから金属シート2を把持し、水平面に保ちながら、切断ステーションの交換支持体1の静止メッシュ上に移送する。このように金属シート2が位置決めされると、切断手段(図示しない)は、一連の成型片4、5を画定するように、金属シートの切断を行うように動作する。そして、非常に異なる外形の寸法にも合わせて切断され、また金属シートの残り部分から切り離して、スクラップ部分を作ることとなる。次のステップにおいて、グリッピングヘッド3は、成型片4、5をピックアップし、格納先又は次の加工へ移送させるため、再び稼働する。最後に、同じグリッピングヘッド又は他の同様の手段(例えば、
図5で説明される、グリッピングヘッドに接続されたマルチプロングフォーク)が、廃棄サイクルに送られる、金属シート2のスクラップ部分を取り除くために稼働する。
【0022】
例示として、
図2と
図5で、ハンドリング装置は、成型片4、5を取り除いた後(
図2と、成型片4、5が既に取り除かれた領域である4aと5aの領域のみ示す
図5)の、グリッピングヘッド3が、
図2では吸引装置を用いて、また
図5ではフォークを用いて、スクラップを牽引して廃棄サイクルに移送するために、金属シート2の残部の構造(スクラップ)の上に戻っているステップで示されている。
【0023】
既に上述したように、個々の成型片4、5(
図1)の除去ステップの間と、スクラップ除去(
図2と
図5)の間の両方において、いくつかの部品は、他の構成部分と固定されたままか、いずれにしても不規則に下方へぶら下がることがあり(スクラップの薄肉片が、フォークの爪を通って下方にぶら下がっている
図6も参照)金属シートが、動作プログラミングの制御ロジックにより提供されるように、完全には水平に保たれない状況が生じうる。これらの金属シートの把持異常は、自明であるように、ハンドリング装置の操作の故障と、次の除去操作における問題を引き起こし、サイクル停止となる悪い詰まりの原因となる可能性が高い。
【0024】
そのような異常を早く検出して、可能な限り自動で稼働するために、本発明は、相対検出装置を備えた静止交差電磁ビームを使用する水平バリアからなる検出システムを提供する。
【0025】
特に、本発明によれば、水平バリアは、切断後の成型片やシートのスクラップが置かれるシート交換支持体1の、両側に配置された、少なくとも1対の送受信光ダイオードのバーB1、B2により画定される。
【0026】
光ダイオードが配置された2つの水平なバーB1、B2と、それによる電磁ビームの水平なバリアは、ハンドリング装置のシート交換支持体1の上の金属シート2の静止面の直上の同じ高さに配置され、例えば上記静止面より約50~100mm、好ましくは80mmの高さに配置される。
【0027】
バーB1、B2のそれぞれは、あらかじめ定められた第1の間隔で、バーの全体にわたり、複数の光ダイオードを並んで備える。重要な特徴によれば、光ダイオードは、バーに対して垂直な線の周りに特定の幅の複数の静止水平ビームパターンを形成し、バーの軸に対して異なる角度に向けられた複数の静止電磁ビームが発されるように、それぞれのバーに配置される。
【0028】
バーから出てくる電磁ビームのパターンは、光ダイオードの間の距離とパターン幅により、相互に交差する。好ましくは、電磁ビームは、水平面上に三角形の扇状のパターンにしたがって発される。
【0029】
このことは、前記バーにある個々の光ダイオードの間の第1の間隔よりずっと近い、第2の相互の間隔を備える電磁ビームの交差部(
図7を参照)を決定する。これにより、電磁ビームにより形成される平面バリアの中心範囲におけるビームパターンの空間分解能を大幅に向上することが出来る。
【0030】
好適な実施形態によれば、個々の送受信光ダイオードは、2~8mmの間の、好ましくは4mmの相互距離(第1の間隔)でバーB1、B2の上に配置され、電磁ビームのパターンを生成し、それは前記バーから一定の距離の、例えば前記バーから少なくとも100mm以上の距離の水平面で交差する。
【0031】
より好ましくは、
図7において示されるように、ビームバリア面の中心領域のビーム交差部を厚くするために、ビームは互いに交差し、非対称的な方向に向いている。
【0032】
例示として、光ダイオードは、例えば電磁スペクトルの赤外領域などの、必ずしも可視スペクトルでない電磁光ビームを発する。光ダイオードは、例えば860nmの波長であり、H1600に対して9ミリ秒とH2160に対して11ミリ秒の最大反応時間である。
【0033】
光ダイオードは、電気により動作し、また特定のハンドリング装置において配置される2つのバーB1、B2の距離によって決まる距離レートを調整出来るように、入力電流の電位差計を備えることが好ましい。
【0034】
バーに1番近い部分では、ビームパターンは交差しないため、光ビームの分解能が低下する、例えば端から300-500mmの場所において、バー近傍での低カバレッジ範囲が決められる。このような理由により、光ダイオードのバーB1、B2は、ハンドリング装置の実働エリアの外側に、低カバレッジの距離よりも大きい距離で、例えば500mmよりも大きい場所に配置されることが好ましい。
【0035】
また、光ダイオードのバーB1、B2の幅は、作業エリアの全体を確実にカバーするために、加工される金属シートの幅よりも約50mm~100mm大きいことが好ましい。
【0036】
図において、2つの光ダイオードのバーB1、B2の幅はシート交換支持体1の縦軸に沿って互いに反対側に示す。よって、2つのバーは金属シートの短手方向に配置される。しかしながら、いくつかの特定の導入状態においては、図面に示されたものに対して90°に向けること、すなわち、相互に垂直な光ダイオードのバーを用意することが好適な状態であることを排除しない。そのような選択肢は、市場で入手可能な装置で簡単に実行可能なアプリケーションであるような、光ダイオードの距離レートが6メートルを超えない範囲においても、5/6メートルを超える長さの金属シートをカバーすることを可能にする。
【0037】
発信機と受信機の場所、及び光ダイオードのサイズは、その間隔の定義に加え、特定の作業条件又は特定の用途に合わせる交差ビームのメッシュを画定するように選択される。いずれの場合でも、個々の光ダイオードの電磁放射ビームは、2つのバリアB1又はB2のうち、どちらかの一方の発信機からの扇状のメッシュを生成し、2つのバリアB2又はB1のうちのもう一方の反対側の受信機にそれぞれ衝突する。
【0038】
例えば下方にぶら下がった金属シートのフラップなどの異物があると、それが放射ビームを遮断し、そのビームの放射は目的の受信機に届かないこととなる。そして受信機への衝突放射の欠如は、異常な運転状態として感知される信号を生成し、一連の修正動作の開始を決定する。
【0039】
交差ビームパターンを発する、対向するバーの光ダイオードのこの特定の配置は、金属シートハンドラーの特定のアプリケーションにとって最適な検出分解能を備えた、
図7で示したものと同様の光ビームのメッシュ状のバリアを生成する。特に光ダイオードの数を減らしても、厚さ0.5mmで幅が10mm~15mmの金属シート又は金属シートの一部を遮断するような光ビームメッシュの分解能が得られる。
【0040】
薄い帯状の金属シートが、ある場所でどのビームも遮断しないような、最も難解な状況をも克服するために、光ダイオードのバーから検出された信号の経時的な評価が採用される。
【0041】
特に、検出された信号は、ハンドラー3の引き上げ動作の間に評価されるが、バーB1、B2からの信号の取得は、例えばグリッピングヘッド3の引き上げステップにおいて、例えば動作開始から予め定められた次の時間までの5秒間か、あるいは高さが0から150mmの間に行われる。
【0042】
検出信号の取得は、異なる方法で行うことができる。第1の方法では、信号の時間スキャンが提供され、バリア信号の読出しは、第1の予め決められた高さ(典型的には台交換1の静止メッシュに金属シートが牽引される場所から100mm~120mm)から始まり、時間T(典型的には1秒から5秒)後に終えるかもしれない。第2の方法では代わりに、バリア信号の読出しは、上述の第1の予め決められた高さから始まり、第1の予め決められた高さから、例えば150mmだけ上である高さHである限り続けられる。
【0043】
それによって、変則的なシート部分がビームにより遮断されない場所がいくつかあったとしても、引き上げ動作の間に、金属シートの水平面からぶら下がる部分を検出しないという可能性は著しく減少する。
【0044】
バリアからの信号は、類推して検出するか、サンプリングしてからデジタル処理することが出来る。
【0045】
この時間又は動作間隔において、光ビームの水平バリアが遮断されなかった場合、制御システムには、何の信号も検出されず、ハンドリング装置は、その作業サイクルを続ける。
【0046】
光ビームバリアが、成型片の下にぶら下がった削れたものか、極めて近い成型片により遮断されると、制御システムは、少なくともバリアからの信号、例えば、類推による一定の閾値より上の値を検出し、制御ロジックにより、例えば、グリッピングヘッド3の動作停止を引き起こし、初期位置に戻すような警告条件を決定する。この場合において、間違った中断信号が生じるのを確実に防ぐために、また反復動作が問題を解決する(例えば、繰り返しの負荷がスクラップと成型片との接合点を壊すため)かどうか確認するために、把持および引き上げ動作は、好ましくは3回繰り返される。装置が光ビームの遮断を検出している、この連続した3回目の試みの後、本発明の方法は選択的に以下の内容を提供する。
【0047】
A.詰まり信号の原因となっている特定の切断片のピックアップを飛ばして、次の成型片をピックアップする作業サイクルを続けるか、
B.操作をブロックし、イベントを通知し、作業者の補助を要請する。
【0048】
本発明の好適な実施形態によれば、光ダイオードのバーの受信機の光検出のエラー(誤検出)となり得る、特に光沢のある表面からの反射(例えば、亜鉛でコートされたシートやステンレスシートの場合)を低減するために、金属シートの静止面の近傍のバリアと平行に配置され、光ビームの水平バリアの面より低い(数ミリメートルの)高さの、シールドプロファイルが提供される。
【0049】
上述の説明で理解できるように、本発明により提供される装置及び方法は、前提部分で説明された目的を完全に達成する。
【0050】
実際、金属シートハンドリング装置は、十分に単純で安価な光ビームバリアを備えるが(市場で容易に手に入る電磁部品を使用しているため)、非常に薄い金属シート(食品機械部門のステンレスシートなど)を加工する必要がある場合にも、高い分解能と信頼性を得られるように設計されている。
【0051】
しかしながら、本発明は、1つの実施形態の例示に過ぎない上述の特定の実施形態に限定されず、後述する請求項により定義される本発明自身の保護範囲から逸脱しない範囲で、当業者の考えが及ぶ範囲の全てにおいて、異なる変形が可能であると解釈するべきである。
【0052】
例えば、本明細書では金属シートに言及しているが、本発明は、たとえ金属性でなくても、電磁ビームに対して透明でなければ、任意の種類のシート/板/箔にも適用することができる。